説明

クエチアピンを含む持続放出製剤及びその製造方法

本発明は、クエチアピン及び薬学的に許容されるその塩の持続放出製剤に関する。製剤は、ポリマー、好ましくは製剤を予め選択されたクエチアピン放出特性に適合させるために選択された、種々の粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。上記製剤の製造方法も、また、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年5月16日に出願した米国仮出願第60/930643号(これは参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)の本出願である。
【0002】
本発明は、11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン(クエチアピン)の製剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含む持続放出薬剤組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
「クエチアピン」の一般名を有する化合物11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン(式1を参照)及び薬学的に許容されるその塩は、有用な抗ドーパミン活性を示し、そして例えば抗精神病薬として(例えば、精神異常の症状発現の管理のための)、又は多動性障害の治療薬として使用することができる。本化合物は、副作用が定型抗精神病薬又は神経安定剤の使用から生じる可能性がある、急性ジストニア、急性ジスキネジー、仮性パーキンソニズム及び遅発性ジスキネジーなどの副作用を起こす可能性を実質的に低減した抗精神病薬として用いることができる。
【化1】

【0004】
クエチアピン及び薬学的に許容されるその塩の、製造、物理的性質及び有益な薬理特性は特許文献1及び特許文献2、並びに特許文献3に記載されており、それらの内容は、参照することによりそれらの全文が本明細書に組み込まれている。
【0005】
多くの疾患の治療において、活性医薬成分を持続放出の形態で提供することは、治療的及び予防的に望ましい。持続放出は、一般に長期間にわたって均一で定速度の放出を提供することができ、成分の頻繁な投与を必要とせずに、目的とする血液又は血漿中の活性成分の濃度を達成することができる。
【0006】
ゲル化剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(本明細書では「HPMC」及び「ヒプロメロース」とも呼ばれる)を使用した多くの持続放出組成物が業界で知られているが、可溶性薬剤とゲル化剤、例えば、ヒプロメロース、を持続放出製剤に製剤化することは、いくつかの理由で難しいことが分かっている。基本的に、希望する溶解特性を実現させること、又は(水に僅かに溶け、酸に可溶性であるクエチアピンの場合のような)水性媒体に可溶性である活性成分の放出速度をコントロールすることが難しいことは認められている。とりわけ、そのような活性成分は、投与量の急速放出(dose dumping)として知られる現象を起こし易い持続放出製品を産む傾向がある。即ち、活性成分の放出は或る時間遅延されるが、一旦放出が起こり始めると活性成分の放出速度は非常に速い。更に、活性成分の血漿濃度の変動が起こり易く、従って毒性の可能性が増加する。更に、ある程度、活性成分の血漿濃度の日内変動もまた観察されている。
【0007】
いくつかの医薬組成物の構成成分間の多数の物理的及び化学的相互作用のため、多くの場合、製剤に望ましい物理的又は化学的特性を与える方法で成分を混合することも、また、難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第240,228号;
【特許文献2】欧州特許第282,236号;
【特許文献3】米国特許第4,879,288号;
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、性能を改善し、そして1つ又はそれ以上の上記の問題を克服、又は少なくとも軽減することができる水溶性の薬剤、例えば11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン又は薬学的に許容されるその塩の、持続放出製剤を提供することが望ましいことになる。
【0010】
クエチアピン及びその薬学的に許容される塩を含有する製剤、並びに製剤を作る方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
製剤は、ゲル化剤を含む親水性マトリックス、11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン又は薬学的に許容されるその塩、例えばヘミフマル酸塩(hemifumarate salt)、及び1つ又はそれ以上の薬学的に許容される添加剤を含み得る。
【0012】
本発明の実施態様に存在し得るゲル化剤の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドンなど、又はそれらの混合物などの物質が挙げられる。特定の実施態様では、ゲル化剤はヒプロメロースを含むことができる。
【0013】
クエチアピン及び任意の添加剤の組み合わせで、ゲル化剤の量は、活性成分が、約24時間にわたって、制御された様式で製剤から放出されるように選択することができる。
【0014】
ゲル化剤は、約5〜50%(質量で)の範囲で存在し得る。範囲は、約5〜10%であってもよい。範囲は、約20〜50%であってもよい。範囲は、約25〜50%であってもよい。範囲は、28〜50%であってもよい。範囲は、30〜50%であってもよい。(本明細書で用いる質量パーセントは、特に規定しない限り、いかなる被覆物の質量を除いたコア錠の質量に対するものである。)
【0015】
いくつかの本発明の実施態様は、複数のグレードのポリマーを含むヒプロメロース混合物を含むことができる。
【0016】
ヒプロメロースポリマーは、いくつかの商標で、例えばDow Chemical Company, U.S.A.
からのMETHOCEL(登録商標)E、F、J及びKが、そしてShin-Etsu, Ltd., JapanからMETOLOSE(登録商標)60SH、65SH及び90SHが市販されている。それらのグレードは、メトキシ及びヒドロキシプロポキシ含量、並びに粘度及び他の特性に違いを有し得る。異なるロットのヒプロメロースは、同一グレードであっても、メトキシ及びヒドロキシプロポキシ含量、粘度及び他の特性に違いを有する可能性がある。
【0017】
製剤は、例えば活性成分が、フマル酸クエチアピンのようなクエチアピン塩の場合のように、pH依存の溶解性を示す場合、緩衝剤又はpH調整剤を含有してもよい。
【0018】
製剤は、一般的に、1つ又はそれ以上の添加剤を含有する。そのような添加剤としては、ラクトース、微結晶セルロース、デキストロース、マンニトール、ショ糖、ソルビトール、ゼラチン、アカシア、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど、好ましくはラクトース及び微結晶セルロースのような賦形剤;ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウムなど、好ましくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;ショ糖、ポリエチレングリコール、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、トウモロコシデンプン又はメイズデンプン、アルファ化デンプンなどのような結合剤;酸化鉄、FD&C色素、レーキ(lakes)などのような着色剤;着香剤;そして、好適な有機酸又はそのアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウム)塩、例えば安息香酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、アジピン酸など又は対応するそれらのアルカリ金属塩、好ましくはその様な酸のアルカリ金属塩、特にクエン酸のナトリウム塩(即ち、クエン酸ナトリウム)を含むpH調整剤が挙げられる。よく知られているように、いくつかの添加剤は、賦形剤及び結合剤の両者であるような、複数の機能を有する。
【0019】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピンヘミフマル酸塩 (「フマル酸クエチアピン」)、6〜18質量%のクエン酸ナトリウム二水和物、30.0質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む錠剤、カプレット剤(caplet)又は他の任意の好適な形態のような固形の投与形態で存在してもよい。ここで、30%の15〜29は第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30%の残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;そして第1及び第2の成分は、それぞれ、80センチポアズ(「cp」)と120cpの間の「見掛け粘度」(以下を参照)を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する。錠剤は、11〜12質量%の11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピンヘミフマル酸塩を含んでもよい。錠剤は、29.5〜30.5質量%の11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン・ヘミフマル酸塩を含んでもよい。錠剤は、37.9〜38.9質量%の11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピンヘミフマル酸塩を含んでもよい。いくつかの実施態様において、錠剤は、52.4〜53.4質量%の11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピンヘミフマル酸塩を含む。
【0020】
いくつかの実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度は、米国薬局方(USP30−NF25)、United State Pharmacopoeia Convention, Inc. 2007, p.2323に記載の方法を使用して測定して、20℃の水中における2質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースのウベローデ粘度計の見掛け粘度に一致する。
【0021】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、約7.2〜12.5質量%で存在するクエン酸ナトリウム二水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、7.2質量%で存在するクエン酸ナトリウム二水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、11.5質量%で存在するクエン酸ナトリウム二水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、12.5質量%で存在するクエン酸ナトリウム二水和物を含む。
【0022】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、最大約30質量%で存在するラクトース一水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、25.1質量%で存在するラクトース一水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、13.0質量%で存在するラクトース一水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、8.8質量%で存在するラクトース一水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、1.8質量%で存在するラクトース一水和物を含む。
【0023】
いくつかの実施態様において、製剤は、約30質量%以下で存在する微結晶セルロースを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、25.1質量%で存在する微結晶セルロースを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、13.0質量%で存在する微結晶セルロースを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、8.8質量%で存在する微結晶セルロースを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、1.8質量%で存在する微結晶セルロースを含む。
【0024】
いくつかの実施態様において、錠剤は、約1質量%と3質量%の間の量のステアリン酸マグネシウムを含む。いくつかの実施態様において、錠剤は、1.0質量%で存在するステアリン酸マグネシウムを含む。いくつかの実施態様において、錠剤は、1.5質量%で存在するステアリン酸マグネシウムを含む。いくつかの実施態様において、錠剤は、2.0質量%で存在するステアリン酸マグネシウムを含む。
【0025】
いくつかの実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒドロキシプロポキシを核磁気共鳴(「NMR」)で測定して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの9.8〜13.4質量%を含む。いくつかの実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシをNMRで測定して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの26.4〜29.2質量%を含む。
【0026】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は、例えば500ミリグラム(「mg」)の全コア錠の質量中に、50mgのクエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、固形の投与形態は、例えば575mgの全コア錠の質量中に、150mgのクエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、固形の投与形態は、例えば600mgの全コア錠の質量の中に、200mgのクエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、固形の投与形態は、例えば870mgの全コア質量中に、400mgのクエチアピンを含む。
【0027】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、50mgのクエチアピンを含む固形の投与形態で存在し、その投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、血漿1ミリリットル当たりナノグラムのクエチアピンの血漿濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で最大約67.6ナノグラム;摂取後4時間で約124ナノグラム以下;摂取後8時間で最大約105ナノグラム;摂取後12時間で最大約74.3ナノグラム;摂取後16時間で最大約236ナノグラムである。
【0028】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、200mgのクエチアピンを含む固形の投与形態であり、投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、血漿1ミリリットル当たりナノグラムのクエチアピンの血漿濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で最大約251ナノグラム;摂取後4時間で約32.2ナノグラムと約416ナノグラムの間;摂取後8時間で最大約496ナノグラム;摂取後12時間で約4.6ナノグラムと約323ナノグラムの間;そして摂取後16時間で最大約251ナノグラムである。
【0029】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、400mgのクエチアピンを含む固形の投与形態であり、投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、血漿1ミリリットル当たりナノグラムクのエチアピンの血漿濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で約15.9ナノグラムと約391ナノグラムの間;摂取後4時間で最大約1,052ナノグラム;摂取後8時間で約63.1ナノグラムと約785ナノグラムの間;摂取後12時間で約11.1ナノグラムと約785ナノグラムの間;そして摂取後16時間で最大約448ナノグラムである。
【0030】
本発明のいくつかの実施態様では、投与形態は、30.0質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース及び7.2質量%のクエン酸ナトリウム二水和物を含む。特定の実施態様においては、30.0%の15〜29は第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30.0%のうちの残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;そして第1及び第2の成分は、それぞれ、80cpと120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する。いくつかの実施態様において、投与形態の粘度は、米国薬局方(USP30−NF25)、United State Pharmacopoeia Convention, Inc. 2007, p.2323に記載の方法を使用して測定して、20℃の水中の2質量%ヒドロキシプロピルメチルセルロースのウベローデ粘度計粘度に一致する。いくつかの実施態様において、第1及び第2の成分は、それぞれ、80〜120cp及び3,000〜5,600cpの粘度を有する。
【0031】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は50mgのクエチアピンを含み、投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、血漿1ミリリットル当たりのナノグラムクエチアピンとして、最大約239で摂取後2時間と16時間の間の時間tmaxに対応する最大値Cmaxを有する。いくつかの実施態様において、濃度は、C24値を有し、それは最大約39.2で、摂取後24時間の時間t24に対応し;そしてCmax:C24の比率は最大約35.2である。
【0032】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は200mgのクエチアピンを含み、投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、血漿1ミリリットル当たりナノグラムクエチアピンとして約3.9と約601の間に、摂取後2時間と8時間の間の時間tmaxに対応する最大値Cmaxを有する。いくつかの実施態様において、濃度は、C24値を有し、それは約156以下で摂取後24時間の時間t24に対応し;そしてCmax:C24の比率は最大約20.9である。
【0033】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は400mgのクエチアピンを含み、投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、血漿1ミリリットル当たりナノグラムのクエチアピンとして約80と約1,109の間に、摂取後3時間と8時間の間の時間tmaxに対応する最大値Cmaxを有する。いくつかの実施態様において、濃度は、C24値を有し、それは約265以下で摂取後24時間の時間t24に対応し;そしてCmax:C24の比率は最大約25.9である。
【0034】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は50mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは血漿1ミリリットル当たり約5.1と約117ナノグラムクエチアピンの間にCave,maxが摂取後2.5時間と3.5時間の間である時間に対応する最大値Cave,maxを有する。いくつかの実施態様において、明確な濃度は約14.8で摂取後24時間に対応する平均値Cave,24を有し;そしてCave,max:Cave,24の比率は約4.1である。
【0035】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は200mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは血漿1ミリリットル当たり最大約550.4ナノグラムクエチアピンでCave,maxが摂取後5.5時間と6.5時間の間である時間に対応する最大値Cave,maxを有する。いくつかの実施態様において、明確な濃度は約64.9で摂取後24時間に対応する平均値Cave,24を有し;そしてCave,max:Cave,24の比率は約4.0である。
【0036】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は400mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは血漿1ミリリットル当たり最大約1,062ナノグラムクエチアピンでCave,maxが摂取後2.5時間と3.5時間の間である時間に対応する最大値Cave,maxを有する。いくつかの実施態様において、明確な濃度は約114で摂取後24時間に対応する平均値Cave,24を有し;そしてCave,max:Cave,24の比率は約4.6である。
【0037】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は50mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で最大46;摂取後4時間で8と352の間;摂取後8時間で34と789の間;摂取後12時間で83と1,092の間;摂取後16時間で111と1,396の間;そして摂取後24時間で最大1,935である累積濃度曲線下面積(cumulative area-under-the-curve)AUCcumを有し;ここで、AUCcumは、(ナノグラムクエチアピン)×時間/ミリリットルの単位を有する。
【0038】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は200mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で最大177;摂取後4時間で35と1,318の間;摂取後8時間で188と3,115の間;摂取後12時間で251と4,650の間;摂取後16時間で362と5,666の間;そして摂取後24時間で441と6,899の間である累積濃度曲線下面積AUCcumを有し;ここで、AUCcumは、(ナノグラムクエチアピン)×時間/ミリリットルの単位を有する。
【0039】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は400mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で3と320の間;摂取後4時間で143と2,677の間;摂取後8時間で575と6,158の間;摂取後12時間で916と8,722の間;摂取後16時間で1,037と10,685の間;そして摂取後24時間で1,031と13,033の間である累積濃度曲線下面積AUCcumを有し;ここで、AUCcumは、(ナノグラムクエチアピン)×時間/ミリリットルの単位を有する。
【0040】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤はフマル酸エチアピン及び30.0%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、ここで、30.0%の15〜29はその製剤が所定の溶出基準を満たすような第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30.0%のうちの残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;第1及び第2の成分は、それぞれ、80cpと120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する。
【0041】
いくつかの実施態様において、製剤は、11〜12質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、29.5〜30.5質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、37.9〜38.9質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、52.4〜53.4質量%のフマル酸クエチアピンを含む。
【0042】
いくつかの実施態様において、製剤は、クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含み、ここで、クエチアピン含量は約9.6質量%〜約10.4質量%であり、そしてここで、製剤は、約30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース及び約7.2質量%のクエン酸ナトリウム二水和物を含む。
【0043】
いくつかの実施態様において、製剤は、クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含み、ここで、クエチアピン含量は約25.6質量%〜約26.5質量%であり、そしてここで、投与形態は、約30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース及び約12.5質量%のクエン酸ナトリウム二水和物を含む。
【0044】
いくつかの実施態様において、製剤は、クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含み、ここで、クエチアピン含量は約32.9質量%〜約33.8質量%であり、そしてここで、投与形態は、約12.5質量%のクエン酸ナトリウム二水和物及び約30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
【0045】
いくつかの実施態様において、製剤は、クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含み、その中でクエチアピン含量は約37.1質量%〜約38.0質量%であり、そして投与形態は、約12.5質量%のクエン酸ナトリウム二水和物及び約30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、そしてここで、30%のヒドロキシプロピルメチルセルロースの約15〜約29は第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30%のうちの残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;そして第1及び第2の成分は、それぞれ、約80cpと約120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び約3,000cpと約5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当し、第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレードに対する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレードの比率は、25.0〜5.0ではない。
【0046】
いくつかの実施態様において、製剤は、クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含み、ここで、クエチアピン含量は約45.5質量%〜約46.4質量%であり、そしてここで、投与形態は、約11.5質量%のクエン酸ナトリウム二水和物及び約30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
【0047】
いくつかの実施態様において、本発明は、クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含有する経口持続放出投与形態を、1日1回の割りでヒト患者に経口的に投与することを含む、ヒトの精神病を効果的に治療する方法を含み、ここで、そのクエチアピン含量は50mgであり、これは定常状態で、約2〜約16時間の上記抗精神病薬の最大血漿濃度に到達するまでの時間(tmax)、及び約24時間で上記抗精神病薬の血漿濃度の4倍を超えるか又はそれに等しいその最大血漿濃度(Cmax)を与え、且つ投与形態が、投与後24時間又はそれ以上の間、患者に精神病の効果的な治療を提供する。
【0048】
いくつかの実施態様において、本発明は、クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含有する経口持続放出投与形態を、1日1回の割りでヒト患者に経口的に投与することを含む、ヒトの精神病を効果的に治療する方法を含み、ここで、そのクエチアピン含量は150mgであり、これは定常状態で、約2〜約16時間の上記抗精神病薬の最大血漿濃度に到達するまでの時間(tmax)、及び約24時間で上記抗精神病薬の血漿濃度の4倍を超えるか又はそれに等しいその最大血漿濃度(Cmax)を与え、且つその投与形態が、投与後24時間又はそれ以上の間、患者に精神病の効果的な治療を提供する。
【0049】
いくつかの実施態様において、本発明は、クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含有する経口持続放出投与形態を、1日1回の割りでヒト患者に経口的に投与することを含む、ヒトの精神病を効果的に治療する方法を含み、ここで、そのクエチアピン含量は200mgであり、これは定常状態で、約2〜8時間の上記抗精神病薬の最大血漿濃度に到達するまでの時間(tmax)、及び約24時間で上記抗精神病薬の血漿濃度の4倍を超えるか又はそれに等しいその最大血漿濃度(Cmax)を与え、且つその投与形態が、投与後24時間又はそれ以上の間、患者に精神病の効果的な治療を提供する。
【0050】
いくつかの実施態様において、本発明は、クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含有する経口持続放出投与形態を、1日1回の割りでヒト患者に経口的に投与することを含む、ヒトの精神病を効果的に治療する方法を含み、ここで、そのクエチアピン含量は400mgであり、これは定常状態で、約3〜8時間の上記抗精神病薬の最大血漿濃度に到達するまでの時間(tmax)、及び約24時間で上記抗精神病薬の血漿濃度の4倍を超えるか又はそれに等しいその最大血漿濃度(Cmax)を与え、そして投与した時間と投与後24時間の間を結ぶ曲線の下の面積(AUCcum)は6,000ng・hr/mLに等しいか又はそれ以上であり、且つその投与形態が、投与後24時間又はそれ以上の間、患者に精神病の効果的な治療を提供する。
【0051】
いくつかの実施態様において、製剤の溶出を、1分間200回転の回転速度を有し、900ミリリットルのクエン酸ナトリウム(0.05モル)及び水酸化ナトリウム(0.09規定)を収容するバスケット装置で、これに5時間後100ミリリットルのリン酸ナトリウム(0.05モル)及び水酸化ナトリウム(0.46規定)を添加して行うとき:20%未満のクエチアピンが、溶出の最初の1時間に溶出される。いくつかの実施態様において、47〜69%のクエチアピンが、溶出の最初の6時間に溶出される。いくつかの実施態様において、65〜95%のクエチアピンが溶出の最初の12時間に溶出される。いくつかの実施態様において、少なくとも85%のクエチアピンが、溶出の最初の20時間に溶出される。
【0052】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤はフマル酸クエチアピン及び30%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、ここで、30.0%の15〜29は、製剤が少なくとも1つの溶出目標を最適に呈するように、第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30.0%の残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;第1及び第2の成分は、それぞれ、80cpと120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する。
【0053】
いくつかの実施態様において、製剤は、11〜12質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、29.5〜30.5質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、37.9〜38.9質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、52.4〜53.4質量%のフマル酸クエチアピンを含む。
【0054】
いくつかの実施態様において、第1の目標は、溶出を、1分間200回転の回転速度を有し、900ミリリットルのクエン酸ナトリウム(0.05モル)及び水酸化ナトリウム(0.09規定)を収容するバスケット装置で、これに5時間後100ミリリットルのリン酸ナトリウム(0.05モル)及び水酸化ナトリウム(0.46規定)を添加して行うとき:58%のクエチアピンが、溶出の最初の6時間に溶出することである。いくつかの実施態様において、第2の目標は:80%のクエチアピンが、溶出の最初の12時間に溶出されることである。
【0055】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は1回投与量のクエチアピンを含み、その投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、その平均が投与量スケールの濃度(C/dose)を有する時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは: 投与後1時間で約0.433と約0.678の間;投与後4時間で約1.01と約1.35の間;投与後8時間で約0.930と約1.35の間;投与後12時間で約0.590と約1.07の間;投与後16時間で約0.204と約1.22の間であり;ここで、投与量は49.5mgと249.5mgの間であり、そしてCは血漿1ミリリットル当たりのナノグラムクエチアピンで表わされる。
【0056】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は1回投与量のクエチアピンを含み、その投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、その平均が投与量スケールの濃度(C/dose)を有する時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは: 投与後1時間で約0.433と約0.678の間;投与後4時間で約1.01と約1.35の間;投与後8時間で約0.930と約1.35の間;投与後12時間で約0.590と約1.07の間;投与後16時間で約0.204と約1.22の間であり;ここで、投与量は350mgより大であり、そしてCは血漿1ミリリットル当たりのナノグラムクエチアピンで表される。
【0057】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は、クエチアピンの量及び30%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。ここで30.0%の15〜29は、製剤の時間依存的なC:投与量比(C:dose)を最適に呈するように、第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30.0%の残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;第1及び第2の成分は、それぞれ、80cpと120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当し;そしてC:投与量比は、以下の数式:
【数1】

によって定義される範囲内であり、ここで:Cは、ヒトへのクエチアピン投与後の時点tにおける、1ミリリットル血漿当たりナノグラムクエチアピンで示す平均血漿クエチアピン濃度であり;baseは、包括的に0.1227と0.2428の間であり;Kは、包括的に0.2344と0.2678の間であり;Kは、包括的に0.1396と0.1592の間であり;そして投与量は、49.5mgと249.5mgの間である。
【0058】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は、ある量のクエチアピン及び30%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。ここで、30.0%の15〜29は、製剤が時間依存的なC:投与量比を最適に呈するように、第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30.0%の残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;第1及び第2の成分は、それぞれ、80cpと120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当し;そしてC:投与量比は、以下の数式:
【数2】

によって定義される範囲内であり、ここで:Cは、ヒトへのクエチアピン投与後の時点tにおける、1ミリリットル血漿当たりナノグラムクエチアピンで示す平均血漿クエチアピン濃度であり;baseは、包括的に0.1227と0.2428の間であり;Kは、包括的に0.2344と0.2678の間であり;Kは、包括的に0.1396と0.1592の間であり;そして、投与量は、350mgより大である。
【0059】
本発明は、活性成分並びに第1及び第2の成分を含む組成を有する固形投与形態を製造する方法を包含することができる。活性成分はクエチアピンであり得る。本発明のいくつかの実施態様では、その方法は、多変数モデルに第1の成分に対応する第1のデータを入力し;そのモデルに第2の成分に対応する第2のデータを入力し;そのモデルを用い、組成物が比率に比例した第1及び第2の成分を含む場合に、投与形態が溶出基準を満たすように、第1の成分の量と第2の成分の量の比を特定することを含む。この方法は、例えば同質の成分ロットが容易に入手できない可能性があるような場合の、長期間にわたる商業的規模の製造のような投与形態製造中に起こる可能性がある、ロット間又は供給源間の変動のような成分特性の変動に直面しても、目的とする溶出特性が得られる構成比を見出すために、使用することができる。
【0060】
いくつかの実施態様において、第1及び第2の成分は、それぞれ、第1及び第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースロット含む。いくつかの実施態様において、第1及び第2のロットは、それぞれ、第1及び第2の粘度を有し、第1の粘度は、第2の粘度とは異なる。いくつかの実施態様において、第1の粘度は80〜120cpの範囲にあり、第2の粘度は、3,000〜5,600cpの範囲にある。
【0061】
いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のロットに対応する測定粘度を含む。いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のロットのヒドロキシプロポキシ含量を含む。いくつかの実施態様において、ヒドロキシプロポキシ含量の少なくとも1つは、核磁気共鳴を用いて測定される。いくつかの実施態様において、メトキシ含量の少なくとも1つは、核磁気共鳴を用いて測定される。
【0062】
いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のロットに対応する重量平均分子量(以後、必要に応じ「分子量」)を含む。
【0063】
いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のロットのメトキシ含量を含む。
【0064】
いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のロットに対応する粒径情報を含む。粒径情報は、例えば、100メッシュ通過%(%-through-100-mesh)として特徴付けることができる(供給元の試験成績書から得ることが出来る指標;3/〜400のより細かな篩の「メッシュ」サイズは、篩の直線1インチ当たりの目開きの数で指定される。従って、100メッシュ篩は1インチ当たり100個の目開きを有する。例えば、100メッシュ篩は、149×149マイクロメートルの目開きを有し得る。従って、100メッシュ通過%は、直径149マイクロメートル未満である粒子の質量%である。)。粒径は、また、中央粒径(D50)及び/又は粒径範囲として特徴付けることができ、その両者はレーザー回折法を用いて測定することができる。
【0065】
いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のロットに対応する数平均分子量(以下、「分子数」)情報を含む。
【0066】
いくつかの実施態様において、方法は、組成物に対応するクエチアピン塩の含量をモデルに入力することを含む。
【0067】
いくつかの実施態様において、本方法は、組成物に対応する添加剤の含量をモデルに入力することを含む。
【0068】
いくつかの実施態様において、本方法は、投与形態の質量をモデルに入力することを含む。
【0069】
いくつかの実施態様において、本方法は、組成物に対応するクエチアピン量をモデルに入力することを含み;ここで、第1及び第2のデータは、第1及び第2のロットに関して、それぞれ:ヒドロキシプロポキシ含量;及び分子量の情報を含む。いくつかの実施態様において、ヒドロキシプロポキシ含量は、全ヒドロキシプロピルメチルセルロース質量に対する質量パーセントとして特徴づけられる。
【0070】
いくつかの実施態様において、第2の成分に対する第1成分の比は、15%組成物質量の最小値:15%組成物の質量;及び29%組成物の質量の最大値:1%組成物の質量;を有する。
【0071】
いくつかの実施態様において、溶出基準は、固形投与形態の製剤が、所定の条件に一定時間かけられ、所定範囲内の程度で溶出する場合に満たされる。いくつかの実施態様において、溶解基準は、その程度が範囲内で最適である場合に満たされる。
【0072】
いくつかの実施態様において、比率が第1の比率である場合、モデルを用いることは、第2の比率の溶出を予測することを包含し;そして溶出の程度は、その程度が第2の比率に対応する溶出よりも範囲の中心に近い場合、最適である。
【0073】
本発明は、第1及び第2の成分の第1及び第2のそれぞれの特性について、比率と溶出プロファイル情報の間の相関性を設定することによる投与形態の製造方法を含むことができ;ここで、その比率は、組成物が比率に比例して第1及び第2の成分を含むとき製剤が溶出基準を満足するような、第1の成分の量と第2の成分の量の間の比率である。
【0074】
いくつかの実施態様において、第1の特性は溶出を促進し;第2の特性は溶出を遅延させる。いくつかの実施態様において、第1の特性はヒドロキシプロポキシ含量に対応する。
【0075】
いくつかの実施態様において、第2の特性は、粘度、分子量又は分子数に対応する。
【0076】
いくつかの実施態様において、第1の特性はヒドロキシプロポキシ含量に対応し、第2の特性は、粘度に対応する。
【0077】
いくつかの実施態様において、溶出プロファイルの情報は、ある時点に対応する第1の値及びその時点の溶出程度に対応する第2の値を包含する。
【0078】
いくつかの実施態様において、相関関係は、多変数モデルで具現化されてもよい。
【0079】
本方法は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの複数のバッチのヒドロキシプロポキシ及びメトキシを測定することを含んでもよい。いくつかの実施態様において、測定は、核磁気共鳴(NMR)を用いて実装される。第1のグレードのヒプロメロースは第1の粘度を有し、第2のグレードは、第2の粘度を有することもある。本方法は、錠剤力価及びヒドロキシプロポキシ含量、並びに第1のグレード及び第2のグレードのそれぞれの分子量を、多変数モデルに入力することを含むことができる。方法はまた、一連の第1のグレードの量と第2のグレードの量の比率を、多変数モデルに入力することを含んでもよい。本方法は、また、そのモデルを用い、別の比率を使用して得た目標プロファイルからの偏差よりも小さい偏差を有する、予測された溶出プロファイルに対応する、最適な比率を特定することを含んでもよい。或いは、本方法は、モデルを用い、所望の溶出プロファイルを満足する製剤を生み出す少なくとも1つの比率を特定することを含んでもよい。
【0080】
いくつかの実施態様において、モデルは、人工神経回路網(「ANN」)モデルであってもよい。
【0081】
いくつかの実施態様において、相関は、参照表に具現化されてもよい。
【0082】
本発明の上記の及び他の特徴、その性質及びさまざまな利点は、添付の図面と関連付けて以下の詳細な説明を考慮すると、より明らかになるであろう。即ち、
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の原理に従って使用することができる化学構造を示す概略図である。
【図2】本発明の原理に従って使用することができる製造方法を示すフロー図である。
【図3】本発明の原理に従った製剤に基づく臨床データを示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の原理に従った製剤に基づく臨床データを示すグラフである。
【図5】本発明の原理に従った方法を用いて得ることができる製剤に基づく臨床データを示すグラフである。
【図6】本発明の原理に従った製剤に基づく臨床データを示すグラフである。
【図7】図3〜6からの正規化された臨床データを示すグラフである。
【図8】種々の要因が、本発明の原理に従った製剤の特性に及ぼす影響を示すチャートである。
【図9】高分子化学的特質と重合体特性の間の相関を示すグラフである。
【図10】高分子物理学的特質と重合体特性の間の相関を示すグラフである。
【図11】本発明の原理に従った製剤に基づくインビトロ溶出データを示すグラフである。
【図12】本発明の原理に従って使用することができるゲル化剤の特性を示すグラフである。
【図13】本発明の原理に従って使用することができる種々のグレードのヒプロメロースについて、ヒプロメロース放出を示すグラフである。
【図14】本発明の原理に従って使用することができるヒプロメロース及び薬剤の放出を示すグラフである。
【図15】本発明の原理に従って使用することができる多変数モデルの体系を示す概略図である。
【図16】本発明の原理に従った多変数モデルの概略図である。
【図17】本発明の原理に従った予測データ及び合否基準を示すグラフである。
【図18】図15のモデルを用いる方法を示すフロー図である。
【図19】図15のモデルを用いる方法を示すフロー図である。
【図20】本発明の原理に従った説明のためのデータ表である。
【図21】本発明の原理に従った製剤に基づくインビトロ溶出データのグラフである。
【図22】本発明の原理に従った製剤に基づくインビトロ溶出データのグラフである。
【図23】本発明の原理に従った製剤に基づくインビトロ溶出データのグラフである。
【図24】本発明の原理に従った製剤に基づくインビトロ溶出データのグラフである。
【図25】本発明の原理に従った製剤に基づくインビトロ溶出データのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0084】
定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野における当業者によって一般に理解されていることと同じ意味を有する。本明細書の記載のものと類似する又は等価の方法及び材料は、本発明の実施又は試験に使用することはできるが、好適な方法及び材料は以下に記載される。材料、方法及び実施例は単なる例示であり、限定することを意図するものではない。本明細書に言及されるすべての刊行物、特許及び他の文書は、その全文が参照によって組み込まれる。
【0085】
発明を更に定義するために、以下の用語及び定義が本明細書で規定される。
【0086】
用語「治療する」又は「治療」は、ヒトの様な哺乳類の精神異常又は多動性障害などの症状を軽減又は緩和することを含むことを意図するが、それらに限定されない。
【0087】
用語「患者」は、哺乳類を含む動物(例えば、ヒト)を意味する。
【0088】
用語「生物学的利用能」は、活性成分又は活性部分が薬剤から吸収され、そして作用部位で利用できるようになる割合及び程度を指すことを含むが、これに限定されない。
【0089】
用語「持続放出」は、薬剤を、投与後長期間にわたって利用できるように製剤化した製品を指すことを含むが、これに限定されない。
【0090】
製剤は、ゲル化剤を含む親水性マトリックス、11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン若しくは薬学的に許容されるその塩、例えばヘミフマル酸塩、及び1つ又はそれ以上の薬学的に許容される添加剤を含んでもよい。
【0091】
本発明の実施態様に存在してもよいゲル化剤の例として、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドンなど、又はそれらの混合物などの物質が挙げられる。或る実施態様では、ゲル化剤はヒプロメロースを含むことができる。
【0092】
クエチアピン及び任意の添加剤と配合されるゲル化剤の量は、活性成分が、制御された様式で、約24時間にわたって、製剤からから放出されるように選択すればよい。
【0093】
ゲル化剤は、約5〜50%(質量で)の範囲で存在すればよい。その範囲は、約5〜40%であってもよい。その範囲は、約8〜35%であってもよい。その範囲は、約10〜35%であってもよい。その範囲は、10〜30%であってもよい。その範囲は、15〜30%であってもよい。(質量パーセントは、本明細書で用いるように、特別に規定しない限り、いかなる被覆物の質量を除外したコア錠質量に対するものである。)
【0094】
本発明のいくつかの実施態様は、複数グレードのポリマーを含むヒプロメロース混合物を含み得る。ポリマーは、いくつかの商標で、例えば、Dow Chemical Company, U.S.A. からMETHOCEL(登録商標)E、F、J及びKが、そしてShin-Etsu, Ltd., JapanからMETOLOSE(登録商標)60SH、65SH及び90SHが市販されている。グレードは、メトキシ及びヒドロキシプロポキシ含量、並びに粘度及び他の特性に違いを有する。異なるロットのヒプロメロースは、同一グレードであっても、メトキシ及びヒドロキシプロポキシ含量、粘度及び他の特性に違いを有していてもよい。
【0095】
製剤は、例えば活性成分が、フマル酸クエチアピンのようなクエチアピン塩の場合のように、pH依存の溶解性を示す場合、緩衝剤又はpH調整剤を含有してもよい。
【0096】
製剤は、一般的に、1つ又はそれ以上の添加剤を含有する。そのような添加剤としては、ラクトース、微結晶セルロース、デキストロース、マンニトール、ショ糖、ソルビトール、ゼラチン、アカシア、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど、好ましくはラクトース及び微結晶セルロースのような賦形剤;ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウムなど、好ましくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;ショ糖、ポリエチレングリコール、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、トウモロコシデンプン又はメイズデンプン、アルファ化デンプンなどのような結合剤;酸化鉄、FD&C色素、レーキなどのような着色剤;着香剤;そして、好適な有機酸又はそのアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウム)塩、例えば安息香酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、アジピン酸など又は対応するそれらのアルカリ金属塩、好ましくはその様な酸のアルカリ金属塩、特にクエン酸のナトリウム塩(即ち、クエン酸ナトリウム)を含むpH調整剤が挙げられる。よく知られているように、いくつかの添加剤は、賦形剤と結合剤の両者であるような、複数の機能を有する。
【0097】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピンヘミフマル酸塩 (「フマル酸クエチアピン」)、6〜18質量%のクエン酸ナトリウム二水和物、
30.0質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む錠剤、カプレット剤又は他の任意の好適な形態のような固形の投与形態で存在してもよい。ここで、30%の15〜29は第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30%のうちの残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;そして第1及び第2の成分は、それぞれ、80センチポアズ(「cp」)と120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する。錠剤は、11〜12質量%の11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピンヘミフマル酸塩を含んでもよい。錠剤は、29.5〜30.5質量%の11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピンヘミフマル酸塩を含んでもよい。錠剤は、37.9〜38.9質量%の11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピンヘミフマル酸塩を含んでもよい。いくつかの実施態様において、錠剤は、52.4〜53.4質量%の11−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−1−ピペラジニル]ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピンヘミフマル酸塩を含む。
【0098】
投与形態は、バッチで製造してもよい。バッチは、1つ又はそれ以上の成分を含んでもよい。成分は、市販品であって、ロットで入手可能なものでもよい。投与形態は、活性成分放出特性に変化をもたらすことが予想されるヒドロキシプロポキシ含量の変動を、高粘度と低粘度のヒプロメロースの比(「ポリマー比」)を適切に選択することによって補正させる(off set)ことができる「バッチ比率法(Batch Ratio Method)」に従って製造してもよい。活性成分放出に及ぼす他の成分の特性の変動の影響は、同じ方法で補正させることができる。
【0099】
本発明のいくつかの実施態様において、製剤の粘度は、米国薬局方(USP30−NF25)、United State Pharmacopoeia Convention, Inc. 2007, p.2323に記載の方法、この方法の全文は参照することによって本明細書に組み込まれている、を使用して測定して、20℃の水中の2質量%ヒドロキシプロピルメチルセルロースのウベローデ粘度計の粘度に一致する。
【0100】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、約7.2〜12.5質量%で存在するクエン酸ナトリウム・二水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、7.2質量%で存在するクエン酸ナトリウム・二水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、11.5質量%で存在するクエン酸ナトリウム・二水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、12.5質量%で存在するクエン酸ナトリウム・二水和物を含む。
【0101】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、最大約30質量%で存在するラクトース一水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、25.1質量%で存在するラクトース一水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、13.0質量%で存在するラクトース一水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、8.8質量%で存在するラクトース一水和物を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、1.8質量%で存在するラクトース一水和物を含む。
【0102】
いくつかの実施態様において、製剤は、約30質量%以下で存在する微結晶セルロースを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、25.1質量%で存在する微結晶セルロースを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、13.0質量%で存在する微結晶セルロースを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、8.8質量%で存在する微結晶セルロースを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、1.8質量%で存在する微結晶セルロースを含む。
【0103】
いくつかの実施態様において、錠剤は、約1質量%と3質量%の間の量のステアリン酸マグネシウムを含む。いくつかの実施態様において、錠剤は、1.0質量%で存在するステアリン酸マグネシウムを含む。いくつかの実施態様において、錠剤は、1.5質量%で存在するステアリン酸マグネシウムを含む。いくつかの実施態様において、錠剤は、2.0質量%で存在するステアリン酸マグネシウムを含む。
【0104】
いくつかの実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒドロキシプロポキシを核磁気共鳴(「NMR」)で測定して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの9.8〜13.4質量%を含む。いくつかの実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシをNMRで測定して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの26.4〜29.2質量%を含む。
【0105】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は、例えば500ミリグラム(「mg」)の全コア錠の質量中に、50mgのクエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、固形の投与形態は、例えば575mgの全コア錠の質量中に、150mgのクエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、固形の投与形態は、例えば600mgの全コア錠の質量の中に、200mgのクエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、固形の投与形態は、例えば870mgの全コア錠の質量中に、400mgのクエチアピンを含む。
【0106】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、50mgのクエチアピンを含む固形の投与形態で存在し、その投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、血漿1ミリリットル当たりナノグラムのクエチアピンの血漿濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で最大約67.6ナノグラム;摂取後4時間で最大約124ナノグラム;摂取後8時間で最大約105ナノグラム;摂取後12時間で最大約74.3ナノグラム;摂取後16時間で最大約236ナノグラムである。
【0107】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、200mgのクエチアピンを含む固形の投与形態であり、投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、血漿1ミリリットル当たりナノグラムのクエチアピンの血漿濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で最大約67.6ナノグラム;摂取後4時間で約32.2ナノグラムと約416ナノグラムの間;摂取後8時間で最大約496ナノグラム;摂取後12時間で約4.6ナノグラムと約323ナノグラムの間;そして摂取後16時間で最大約251ナノグラムである。
【0108】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤は、400mgのクエチアピンを含む固形の投与形態であり、投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、血漿1ミリリットル当たりナノグラムクのエチアピンの血漿濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で約15.9ナノグラムと約391ナノグラムの間;摂取後4時間で最大約1,052ナノグラム;摂取後8時間で約63.1ナノグラムと約785ナノグラムの間;摂取後12時間で約11.1ナノグラムと約785ナノグラムの間;そして摂取後16時間で最大約448ナノグラムである。
【0109】
本発明のいくつかの実施態様では、投与形態は、30.0質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース及び7.2質量%のクエン酸ナトリウム・二水和物を含む。特定の実施態様においては、30.0%の15〜29は第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30.0%のうちの残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;そして第1及び第2の成分は、それぞれ、80cpと120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する。いくつかの実施態様において、投与形態の粘度は、米国薬局方(USP30−NF25)、United State Pharmacopoeia Convention, Inc. 2007, p.2323に記載の方法を使用して測定して、20℃の水中の2質量%ヒドロキシプロピルメチルセルロースのウベローデ粘度計粘度に一致する。いくつかの実施態様において、第1及び第2の成分は、それぞれ、80〜120cp及び3,000〜5,600cpの粘度を有する。
【0110】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は50mgのクエチアピンを含み、投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、血漿1ミリリットル当たりナノグラムクエチアピンとして、最大約239で摂取後2時間と16時間の間の時間tmaxに対応する最大値Cmaxを有する。いくつかの実施態様において、濃度は、C24値を有し、それは最大約39.2で、摂取後24時間の時間t24に対応し;そしてCmax:C24の比率は最大約35.2である。
【0111】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は200mgのクエチアピンを含み、投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、血漿1ミリリットル当たりナノグラムクエチアピンとして約3.9と約601の間に、摂取後2時間と8時間の間の時間tmaxに対応する最大値Cmaxを有する。いくつかの実施態様において、濃度は、C24値を有し、それは約156以下で摂取後24時間の時間t24に対応し;そしてCmax:C24の比率は最大約20.9である。
【0112】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は400mgのクエチアピンを含み、投与形態は、ヒトによる定常状態条件下で摂取後、時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、血漿1ミリリットル当たりナノグラムのクエチアピンとして約80と約1109の間に、摂取後3時間と8時間の間の時間tmaxに対応する最大値Cmaxを有する。いくつかの実施態様において、濃度は、C24値を有し、それは約265以下で摂取後24時間の時間t24に対応し;そしてCmax:C24の比率は最大約25.9である。
【0113】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は50mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは血漿1ミリリットル当たり約5.1と約117ナノグラムクエチアピンの間にCave,maxが投与後2.5時間と3.5時間の間である時間に対応する最大値Cave,maxを有する。いくつかの実施態様において、明確な濃度は約14.8で摂取後24時間に対応する平均値Cave,24を有し;そしてCave,max:Cave,24の比率は約4.1である。
【0114】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は200mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは血漿1ミリリットル当たり最大約550.4ナノグラムクエチアピンでCave,maxが投与後5.5時間と6.5時間の間である時間に対応する最大値Cave,maxを有する。いくつかの実施態様において、明確な濃度は約64.9で摂取後24時間に対応する平均値Cave,24を有し;そしてCave,max:Cave,24の比率は約4.0である。
【0115】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は400mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは血漿1ミリリットル当たり最大約1062ナノグラムクエチアピンでCave,maxが投与後2.5時間と4.5時間の間である時間に対応する最大値Cave,maxを有する。いくつかの実施態様において、明確な濃度は約114で摂取後24時間に対応する平均値Cave,24を有し;そしてCave,max:Cave,24の比率は約4.6である。
【0116】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は50mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で、最大46;摂取後4時間で、8と352の間;摂取後8時間で、34と789の間;摂取後12時間で、83と1092の間;摂取後16時間で、111と1396の間;そして摂取後24時間で、最大1935である累積濃度曲線下面積AUCcumを有し;ここで、AUCcumは、(ナノグラムクエチアピン)×時間/ミリリットルの単位を有する。
【0117】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は200mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で、最大177;摂取後4時間で、35と1318の間;摂取後8時間で、188と3115の間;摂取後12時間で、251と4650の間;摂取後16時間で、362と5666の間;そして摂取後24時間で、441と6899の間である累積濃度曲線下面積AUCcumを有し;ここで、AUCcumは、(ナノグラムクエチアピン)×時間/ミリリットルの単位を有する。
【0118】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は400mgのクエチアピンを含み、投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、明確な時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは:摂取後1時間で、3と320の間;摂取後4時間で、143と2677の間;摂取後8時間で、575と6158の間;摂取後12時間で、916と8722の間;摂取後16時間で、1037と10685の間;そして摂取後24時間で、1031と13033の間である累積濃度曲線下面積AUCcumを有し;ここで、AUCcumは、(ナノグラムクエチアピン)×時間/ミリリットルの単位を有する。
【0119】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤はフマル酸エチアピン及び30.0%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、ここで30.0%の15〜29はその製剤が所定の溶出基準を満たすような第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30.0%のうちの残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;第1及び第2の成分は、それぞれ、80cpと120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する。
【0120】
いくつかの実施態様において、製剤は、11〜12質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、29.5〜30.5質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、37.9〜38.9質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、52.4〜53.4質量%のフマル酸クエチアピンを含む。
【0121】
いくつかの実施態様において、製剤の溶出を、1分間200回転の回転速度を有し、900ミリリットルのクエン酸ナトリウム(0.05モル)及び水酸化ナトリウム(0.09規定)を収容するバスケット装置で、これに5時間後100ミリリットルのリン酸ナトリウム(0.05モル)及び水酸化ナトリウム(0.46規定)を添加して行うとき:20%未満のクエチアピンが、溶出の最初の1時間に溶出される。いくつかの実施態様において、47〜69%のクエチアピンが、溶出の最初の6時間に溶出される。いくつかの実施態様において、65〜95%のクエチアピンが溶出の最初の12時間に溶出される。いくつかの実施態様において、少なくとも85%のクエチアピンが、溶出の最初の20時間に溶出される。
【0122】
本発明のいくつかの実施態様では、製剤はフマル酸クエチアピン及び30%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、ここで、30.0%の15〜29は、製剤が少なくとも1つの溶出目標を呈するように、第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30.0%のうちの残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;第1及び第2の成分は、それぞれ、80cpと120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する。
【0123】
いくつかの実施態様において、製剤は、11〜12質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、29.5〜30.5質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、37.9〜38.9質量%のフマル酸クエチアピンを含む。いくつかの実施態様において、製剤は、52.4〜53.4質量%のフマル酸クエチアピンを含む。
【0124】
いくつかの実施態様において、第1の目標は、溶出を、1分間200回転の回転速度を有し、900ミリリットルのクエン酸ナトリウム(0.05モル)及び水酸化ナトリウム(0.09規定)を収容するバスケット装置で、これに5時間後100ミリリットルのリン酸ナトリウム(0.05モル)及び水酸化ナトリウム(0.46規定)を添加して行うとき:58%のクエチアピンが、溶出の最初の6時間に溶出させることである。いくつかの実施態様において、第2の目標は:80%のクエチアピンが、溶出の最初の12時間に溶出されることである。
【0125】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は1回投与量のクエチアピンを含み、その投与形態は、種々のヒトによる定常状態条件下で摂取後、平均が、投与量スケールの濃度(C/dose)を有する時間依存的な血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは: 投与後1時間で約0.433と約0.678の間;投与後4時間で約1.01と約1.35の間;投与後8時間で約0.930と約1.35の間;投与後12時間で約0.590と約1.07の間;投与後16時間で約0.204と約1.22の間であり;ここで、投与量は49.5mgと249.5mgの間であり、そしてCは血漿1ミリリットル当たりのナノグラムクエチアピンで表わされる。
【0126】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は1回投与量のクエチアピンを含み、その投与形態は、違うヒトによって定常状態の条件下で摂取後、平均が、投与量スケールの濃度(C/dose)を有する時間依存的血漿クエチアピン濃度をもたらし、それは: 投与後1時間で約0.433と約0.678の間;投与後4時間で約1.01と約1.35の間;投与後8時間で約0.930と約1.35の間;投与後12時間で約0.590と約1.07の間;投与後16時間で約0.204と約1.22の間であり;ここで、用量は350mgより大であり、そしてCは血漿1ミリリットル当たりのナノグラムクエチアピンで表される。
【0127】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は、ある量のクエチアピンと30%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。ここで30.0%の15〜29は、製剤が時間依存的なC:投与量比を最適に呈するように、第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30.0%の残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;第1及び第2の成分は、それぞれ、80cpと120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当し;そしてC:投与量比は、以下の数式:
【数3】

によって定義される範囲内であり、ここで:Cは、ヒトへのクエチアピン投与後の時点tにおける、1ミリリットル血漿当たりナノグラムクエチアピンで示す平均血漿クエチアピン濃度であり;baseは、包括的に0.1227と0.2428の間であり;Kは、包括的に0.2344と0.2678の間であり;Kは、包括的に0.1396と0.1592の間であり;そして投与量は、49.5mgと249.5mgの間である。
【0128】
本発明のいくつかの実施態様では、固形の投与形態は、ある量のクエチアピンと30%ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。ここで、30.0%の15〜29は、製剤が時間依存的なC:投与量比を最適に呈するように、第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30.0%のうちの残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;第1及び第2の成分は、それぞれ、80cpと120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び3,000cpと5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当し;そしてC:投与量比は、以下の数式:
【数4】

によって定義される範囲内であり、ここで:Cは、ヒトへのクエチアピン投与後の時点tにおける、1ミリリットル血漿当たりナノグラムクエチアピンで示す平均血漿クエチアピン濃度であり;baseは、包括的に0.1227と0.2428の間であり;Kは、包括的に0.2344と0.2678の間であり;Kは、包括的に0.1396と0.1592の間であり;そして、投与量は、350mgより大である。
【0129】
本発明は、活性成分並びに第1及び第2の成分を含む組成を有する固形投与形態を製造する方法を包含することができる。活性成分はクエチアピンであってもよい。本発明のいくつかの実施態様では、その方法は、多変数モデルに第1の成分に対応する第1のデータを入力し;そのモデルに第2の成分に対応する第2のデータを入力し;そのモデルを用い、組成物が比率に比例した第1及び第2の成分を含む場合に、製剤が溶出基準を満たすような、第1の成分の量と第2の成分の量の比率を特定することを含む。この方法は、例えば、同質の成分ロットが容易に入手できない可能性があるような場合の、長期間にわたる商業的規模の製造のような投与形態製造中に起こる可能性がある、ロット間又は供給源間の変動のような成分特性の変動に直面しても、目的とする溶解特性が得られる構成比を見出すために、使用することができる。
【0130】
いくつかの実施態様において、第1及び第2の成分は、それぞれ、第1及び第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースのロットを含む。いくつかの実施態様において、第1及び第2のロットは、それぞれ、第1及び第2の粘度を有し、第1の粘度は、第2の粘度とは異なる。いくつかの実施態様において、第1の粘度は80〜120cpの範囲にあり、第2の粘度は、3,000〜5,600cpの範囲にある。
【0131】
いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のロットに対応する測定粘度を含む。いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のロットのヒドロキシプロポキシ含量を含む。いくつかの実施態様において、ヒドロキシプロポキシ含量の少なくとも1つは、核磁気共鳴を用いて測定される。いくつかの実施態様において、メトキシ含量の少なくとも1つは、核磁気共鳴を用いて測定される。
【0132】
いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のロットに対応する分子量を含む。
【0133】
いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のメトキシ含量を含む。
【0134】
いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のロットに対応する粒径情報を含む。粒径情報は、例えば、100メッシュ通過%(%-through-100-mesh)として特徴付けることができる(販売元の試験成績書から得ることができる指標;3.5〜400のより細かい篩の「メッシュ」サイズは、篩中の直線1インチ当たりの穴の数で指定される。従って、100メッシュ篩は1インチ当たり100個の穴を有する。例えば、100メッシュ篩は、149×149マイクロメートルの穴を有することができる。従って、100メッシュ通過%は、直径149マイクロメートル未満である粒子の質量%である。)。粒径は、また、平均粒径(D50)及び/又は粒径範囲として特徴付けることができ、その両者はレーザー回折法を用いて測定することができる。
【0135】
いくつかの実施態様において、第1及び第2のデータは、それぞれ、第1及び第2のロットに対応する分子数情報を含む。
【0136】
いくつかの実施態様において、方法は、組成物に対応するクエチアピン塩の含量をモデルに入力することを含む。
【0137】
いくつかの実施態様において、方法は、組成物に対応する賦形剤の含量をモデルに入力することを含む。
【0138】
いくつかの実施態様において、方法は、投与形態の質量をモデルに入力することを含む。
【0139】
いくつかの実施態様において、方法は、組成物に対応するクエチアピン量をモデルに入力することを含み;ここで、第1及び第2のデータは、第1及び第2のロットに関して、それぞれ:ヒドロキシプロポキシ含量;及び分子量の情報を含む。いくつかの実施態様において、ヒドロキシプロポキシ含量は、全ヒドロキシプロピルメチルセルロース質量に対する質量パーセントとして特徴付けられる。
【0140】
いくつかの実施態様において、第2の成分に対する第1成分の比率は:15%組成物の質量の最小値:15%組成物の質量;及び29%組成物の質量の最大値:1%組成物の質量;を有する。
【0141】
いくつかの実施態様において、溶解基準は、固形投与形態の製剤が、所定の条件に一定時間曝され、所定の範囲の程度に溶解する場合に満たされる。いくつかの実施態様において、溶解基準は、あおの程度が範囲内で最適である場合に満たされる。
【0142】
いくつかの実施態様において、比率が第1の比率である場合、モデルを用いることは、第2の比率の溶解を予測することを包含し;そして溶解の程度は、その程度が第2の比率に対応する溶解よりも範囲の中心に近い場合、最適である。
【0143】
本発明は、第1及び第2の成分の第1及び第2のそれぞれの特性について、比率と溶解特性情報の間の相関性を設定することによる投与形態の製造方法を含むことができる;ここで、その比率は、組成物が比率に比例して第1及び第2の成分を含むとき製剤が溶解基準を満足するような、第1の成分の量と第2の成分の量の間の比率である。
【0144】
いくつかの実施態様において、第1の特性は溶解を促進し;第2の特性は溶解を遅らせる。いくつかの実施態様において、第1の特性はヒドロキシプロポキシ含量に対応する。
【0145】
いくつかの実施態様において、第2の特性は、粘度、分子量又は分子数に対応する。
【0146】
いくつかの実施態様において、第1の特性はヒドロキシプロポキシ含量に対応し、第2の特性は、粘度に対応する。
【0147】
いくつかの実施態様において、溶解特性の情報は、ある時点に対応する第1の値及びその時点の溶解程度に対応する第2の値を包含する。
【0148】
いくつかの実施態様において、相関関係は、多変数モデルで具体化されてもよい。
【0149】
本方法は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの複数のバッチのヒドロキシプロポキシ及びメトキシを測定することを含んでもよい。いくつかの実施態様において、測定は、核磁気共鳴(NMR)を用いて実施される。第1のグレードのヒプロメロースは第1の粘度を有し、第2のグレードは、第2の粘度を有してもよい。本方法は、錠剤力価及びヒドロキシプロポキシ含量、並びに第1のグレード及び第2のグレードのそれぞれの分子量を、多変数モデルに入力することを含むことができる。本方法は、また、一連の第1のグレードの量と第2のグレードの量の比率を、多変数モデルに入力することを含んでもよい。本方法は、また、そのモデルを用い、別の比率を使用して得た目標特性からの偏差よりも小さい偏差を有する、予測された溶解特性に対応する最適な比率を特定することを含んでもよい。或いは、本方法は、モデルを用い、目的の溶解特性を満足する製剤を生み出す少なくとも1つの比率を特定することを含んでもよい。
【0150】
いくつかの実施態様において、モデルは、人工の神経ネットワーク(「ANN」)モデルであってもよい。
【0151】
いくつかの実施態様において、相関関係は、参照の表に具体化されてもよい。
【0152】
錠剤力価50mg、150mg、200mg、300mg及び400mgのための典型的な処方を、それぞれ表1〜5に示す。
【0153】
【表1】

【0154】
【表2】

【0155】
【表3】

【0156】
【表4】

【0157】
【表5】

【0158】
図1は、ヒプロメロースを構成し、特定の例示的な実施態様に関連して以下により詳細に論議する、溶出プロセスに関与する、置換アンヒドログルコース単位を示す。
【0159】
製剤は、持続放出の50mg、150mg、200mg、300mg及び400mg錠剤に具現化することができ、それは以下の装置及び方法:標準的な高剪断湿式造粒、流動床乾燥機、粉砕、混合、圧縮、水性フィルムコーティング処理、及び全製薬工業界で使われる他の製造法と同じ又は類似の任意の好適な方法の、1つ又はそれ以上を用いて製造することができる。
【0160】
原料は、高剪断造粒機に移してもよく、そして10分間混合してもよい。すべての添加剤は(ステアリン酸マグネシウムを除いて)、高剪断造粒機に添加してもよい。10分間の乾式混合時間を用い得る。
【0161】
湿式造粒工程の間、粒状化を完結させるために、水を乾操混合物に添加し得る。許容される製品を提供するために、造粒に添加される水の量及び水の添加速度の両者に範囲があってもよい。
【0162】
湿式粉砕された材料は、流動床乾燥機で乾燥してもよい。各バッチ水分については、≦3%の乾燥減量(LOD)目標が達成されればよい。
【0163】
適切な流れ及び圧縮特性を与えるために、造粒の粉砕に衝撃式粉砕機が使用できる。
【0164】
3分間の滑沢剤混合時間が使用できる。
【0165】
2つの異なる商業プラントの、例証的錠剤処理パラメータを表6に示す。
【表6】

【0166】
図2は、フマル酸クエチアピン錠剤の製造についての説明のためのフロー図を示す。製造方法200は、工程フロー210及び処理装置250を含むことができる。フロー工程は、高剪断造粒機252を用いる乾式混合及び湿式造粒212、スクリーン粉砕機254を用いる湿式粉砕214、流動床乾燥機256を用いる乾燥216、衝撃式又はスクリーン粉砕機258を用いる粉砕218、拡散混合機260を用いる混合220、回転圧縮機262を用いる打錠222、パンコーター264を用いるコーティング224を包含する。フロー210及び装置250は、単に例示的なものであり、他の好適な工程並びに処理装置が使われてもよい。
【0167】
工程253に関して、高剪断造粒機252で乾式混合及び湿式造粒される構成成分の典型的な表が示される。ステアリン酸マグネシウム263は、混合220中に篩265を通して添加されればよい。コーティング懸濁液267は、コーティング処理224に含めることができる。
【0168】
以下のプロトコルは、患者の血漿活性成分濃度を測定するために使用された。図3〜6は、血漿濃度−時間のプロット(平均及び範囲)を示す。
【0169】
以下のクエチアピン力価:50mg、200mg、300mg及び400mgを有する研究製剤(「SF」)を含む商業規模の錠剤の、定常状態の薬物動態を評価するために、多施設共同、非盲検、反復投与試験を実施した。研究製剤は、表1〜5に記載された組成を有する。2日のウォッシュアウト期間の後、患者は、研究製剤及び現在「セロクエル(Seroquel)」の商標(AstraZeneca Pharmaceuticals, Wilmington, Delawareから市販)で市販されている即時放出型(「IR」)薬剤の経口投与量を、1日1回、以下のとおり服用した:1〜4日目に50mgのSF、5〜7日目に200mgのSF、8〜11日目に300mgのSF、12〜14日目に400mgのSF、そして15〜17日目に300mgのIR。4日目及び11日目に、患者は、予定された服用から10分以内に標準的な高脂肪の朝食を摂取した。3日目(50mg;図3)、7日目(200mg;図4)、10日目(300mg;図5)、及び14日目(400mg;図6)からのデータを使用し、各投与量レベルで定常状態が達成されていたことが推定された。各プロット(図3〜6)において、誤差バーは、95%予測区間に相当する。
【0170】
研究データは、表6A及び6Bに記載されている。表6Aでは、Ctは、錠剤摂取後の時間で表現される時間、t、における、1ミリリットル血漿当たりナノグラムでの濃度である。AUCcumtは、錠剤摂取後の時間で表現される時間、t、における、(ナノグラムクエチアピン)×時間/ミリリットルでの、累積濃度曲線下面積である。表6Aに示される、Ct及びAUCcumtに由来する量は、上記で説明している。
【0171】
【表7】

【0172】
表6Bでは、C/dosetは、錠剤摂取後の時間で表現される時間、t、における、mgクエチアピンの錠剤力価に対する、1ミリリットル血漿当たりナノグラムクエチアピンの力価非依存的な濃度比である。
【0173】
【表8】

【0174】
各プロット(図3〜6)は、また、式:
【数5】

により、一次薬物吸収及び排泄速度定数、K及びK、のそれぞれを使用した薬物動態(「PK」)モデルに基づいた最良の適合曲線を示す。(例えば、「薬物作用の経時変化(The Time Course of Drug Action)」, Neubig, R. R., 薬物作用の原理Principles of Drug Action), Pratt, W, B., Taylor, P., (Eds), 3rd Edition, Churchill Livingstone, Inc. 1990 を参照)。
【0175】
活性成分量50mg、200mg、300mg及び400mgについて、PKモデルパラメータ、最良の適合値、及び95%信頼区間に伴った標準誤差(「SE」)は、それぞれ、表7〜10に記載され、それらは、それぞれ図3〜6に示すデータに対応する。
【0176】
【表9】

【0177】
【表10】

【0178】
【表11】

【0179】
【表12】

【0180】
投与量正規化されたカーブに対するPKモデルパラメータ、最良の適合値、及び標準誤差(95%信頼区間)は、表11に記載され、それらは図7に示すデータに対応する。誤差バーは、95%信頼区間に対応する。
【表13】

【0181】
ヒプロメロースは、摂取後急速に水和して連続的なゲル層を形成する。ゲル層は、最初は、薬剤の急速で完全な放出をもたらしかねない錠剤コアの湿潤化及びそれに続く崩壊を阻止し、次いで水和ゲル層の内部への拡張、膨潤、ゲルを通して周囲の媒体への薬物の拡散、及び外表面から活性成分及びヒプロメロースの放出をもたらす侵食作用を含む、複雑なメカニズムを経由して、薬剤放出を仲介する。Dow Chemical Company, September, 2006出版の「親水性マトリックス系における制御された薬剤放出のためのダウ添加剤の使用」技術指針(“Using Dow Excipients for Controlled Release of Drugs in Hydrophilic Matrix Systems” Technical Guide)(その全文は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0182】
ヒプロメロースは、アンヒドログルコース単位の反復構造を有する天然炭水化物であるセルロースの、化学修飾によって誘導されたセルロースエーテルである。セルロースそれ自体は、不溶性繊維状ポリマーである;しかし、それぞれのアンヒドログルコース単位は5個の反応性水酸基を含み、そのうちの2個は、連鎖成長に利用され、化学的置換のために3つの部位を残している。薬学的応用のために最も一般的に使用される置換基は、メチル、エチル及びヒドロキシプロピルである。エチルセルロースは水に不溶であるが、ある種の有機溶剤に溶け、錠剤コーティングとして又は疎水性マトリックス錠剤の製造に、単独で又は他の添加剤と組み合わせた利用性を有する。メチルセルロースは、一般に水に溶解するが、一方、ヒドロキシプロピルセルロースは、水及びある種の有機溶媒の両者に可溶性である。ヒプロメロースは、メチル基とヒドロキシプロピル基の両者によって置換することができ、従って、親水性マトリックス錠剤への使用のような応用のために、特性の微調整が可能である(図1を参照)。
【0183】
ヒプロメロース濃度は、制御放出親水性マトリックス錠剤の設計における重要な考慮事項である。ヒプロメロース濃度は、水性媒体に曝露した際に、連続ゲル層が瞬時に形成されることを確実にするために、十分高くなければならない。しかし、一旦、そのような濃度が限度を超えてしまうと、錠剤の表面でヒプロメロースがもつれを解くために要する時間が増すため、ヒプロメロース濃度の増加は、放出速度の減少につながる。ある点で、もつれ解消(disentanglement)の影響は、ヒプロメロース濃度の更なる増加が薬剤放出速度の更なる低下を生じないような、プラトーに達する。これは、薬剤放出が、専らヒプロメロース侵食からだけでなく、水和マトリックス内での溶解薬剤の拡散からも生じるからである。低い濃度闘値の正確な位置及び上のプラトー濃度は、薬剤及び他の添加剤の特性及び負荷量に依存するであろうが、一般的に、ヒプロメロース濃度は20%〜50%の範囲に存在しなければならない。
【0184】
ヒプロメロースは、以下のパラメータによって特徴付けることができる:
【0185】
置換度(「DS」):
DSは、置換基の種類に関係なく、置換された水酸基の数に関して平均で表される置換のレベルのことを言う。ヒプロメロースについては、DSは、通常メトキシル置換だけを反映するように、再定義される。いずれにしても、合計の利用可能な水酸基の数は3であるので、従って、DSは0と3の間になるが、最も一般的には1.3と2.6の間である。
【0186】
モル置換(「MS」):
ヒプロメロースについては、MSは、アンヒドログルコースのモル当たりのモルという意味でのヒドロキシプロピル置換の程度のことを言い、平均として表される。典型的な値は、0.2〜0.4の範囲にある。それぞれのヒドロキシプロピル基は水酸基を含むので、MSの理論的な上限はない。
【0187】
アッセイ:
アッセイは、メトキシ(−OCH3)及びヒドロキシプロポキシ(−OCH2CHOHCH3)の含量を指し、パーセントで表示される。
【0188】
化学的性質:
化学的性質は、アッセイ値によって定義され、ヒプロメロースの親水性、従って溶解度を測定することにおいて重要である。METHOCEL(登録商標)(The Dow Chemical Company, Michigan, USA)の商標で販売されているヒプロメロースは、表12に示されるように、化学的性質によって区別される4つの確立されたグレードが利用できる。
【表14】

【0189】
制御放出マトリックス錠剤の製剤化については、ヒプロメロースのような律速ポリマーの水和/ゲル化の高速性が、製剤に、錠剤コア周辺の保護層をもたらすことができる。種々のグレードのヒプロメロースの水和速度は、化学的性質が違うために異なる。ヒドロキシプロピル基は、水和速度に大きく貢献する親水性の置換基として作用し、これに対して、メトキシル基は、比較的疎水性であり、水和速度に貢献しないことが想定されている。従って、異なる化学的性質のヒプロメロースの水和速度は、メトキシルに対するヒドロキシプロピルの置換の比率に依存すると考えられ、化学的性質の高い比率は、より急速な水和を提示する。それ故、K及びEの化学製品は、最も一般的に、制御放出マトリックスの錠剤に使用されている。
【0190】
ヒプロメロースのヒドロキシプロポキシ及びメトキシ含量は、最も一般的には、ヨウ化水素酸処理を用いるZeiselアルコキシ反応の変法、続いてガスクロマトグラフィーによる解離したヨウ化メチル及びヨウ化イソプロピルの測定を用いて測定される(例えば、米国薬局方(USP30−NF25)、United States Pharmacopoeia Convention, Inc., 2007, p. 2323、及びダウ分析法DOWM 100755−ME00B (DOW Analytical Method DOWM 100755-ME00B), The Dow Chemical Company, 2002を参照)。サンプル調製は時間がかかり、高い温度及び圧力で有害な試薬の使用を必然的に含み、有意義な結果を達成しようとする場合慎重な制御が必要である。
【0191】
プロトン核磁気共鳴分光法(1HNMR)は、セルロースエーテル中のO−(2−ヒドロキシプロピル)セルロースのヒドロキシプロポキシ含量を測定するために用いられている(例えば、セルロースエーテルのアセチル化誘導体:O−(3−ヒドロキシプロピル)セルロースの13C−及び1H−NMR研究によるセルロース・エーテル中の置換基分布の測定(Determination of substituent distribution in cellulose ethers by 13C- and 1H-NMR studies of their acetylated derivatives: O-(3-hydroxypropyl)cellulose), Tezuka, Y.; Imai, K.; Oshima, M. and Ciba, T., Carbohydr. Res. 196, 1 (1990) を参照)。広範囲の置換にわたってNMR溶媒への溶解性を与えるために、インタクトなポリマーのアセチル誘導体の調製を含めた類似の方法が、ヒプロメロースのために開発されている(例えば、下記のNMR法1を参照)。この方法は、米国薬局方(USP)の方法よりも優れた精度を示すが、サンプル調製には手間がかかる(アセチル化反応に3日かかる)。溶媒として重クロロホルムを使用し、誘導体化しないヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシ含量の測定については、記載がある(例えば、核磁気共鳴分光分析法によるヒドロキシプロピルセルロースのモル置換及び置換程度の測定(Determination of molar substitution and degree of substitution of hydroxypropyl cellulose by nuclear magnetic resonance spectrometry)Ho, F. F.-L., Kohler, R. R., Ward, G. A., Anal. Chem. 44, 178 (1972) を参照);しかし、この方法の最近の評価では、再現性に乏しいことが示された(例えば、1HNMRによるヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシ含量の測定(Determination of the hydroxypropoxy content in hydroxypropyl cellulose by 1H NMR)Andersson, T., Richardson, S., Erikson, M., Pharmeuropa 15, 271 (2003) を参照)。誘導体化されていないヒプロメロースのヒドロキシプロポキシ及びメトキシ含量を測定する方法を開発するために、日常的な使用に好適なD2O/DMSO溶媒を用いて、更なる研究が行われている(下記のNMR法2を参照)。
【0192】
NMR法1:
置換度は、アセチル化サンプルに関して、プロトン核磁気共鳴(1HNMR)を用いて間接的に測定する。サンプルのアセチル化は、各ポリマーサンプル(75mg)を無水酢酸(2.25mL)及びピリジン(0.75mL)に溶解することによって行われる。溶液を、攪拌下に90℃までの温度で6時間加熱し、次いで、Spectra/Por透析膜(分子量カットオフ:10kDa)内で、脱イオン水に対して24時間透析する。サンプルは、0.8mg/mLの重クロロホルム に溶解する前に乾燥する。1HNMRスペクトルは、11.7Tの磁界で操作し、5mmの1H逆検出勾配プローブを装着したVarian 500 Inova 分光計(USA)に記録する。自由誘導減衰は少なくとも16回スキャンで記録し、スペクトル窓は、CDCl3の溶媒シグナルを基準にして、−1と16ppmの間である。スペクトルは50℃で記録する。メトキシ基(MeO)及びヒドロキシプロピル(HP)基の質量パーセントは、以下の式:
【数6】

に従って計算され、ここで、置換度DS及びモル置換MSは、NMRスペクトルを通して得られる(例えば、1HNMRによるヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシ含量の測定(Determination of the hydroxypropoxy content in hydroxypropyl cellulose by 1H NMR), Andersson, T., Richardson, S., Erikson, M., Pharmeuropa 15, 271 (2003) を参照)。
【0193】
NMR法2:
ヒドロキシプロポキシ及びメトキシ含量は、以下の通り核磁気共鳴分光分析法によって直接的に決定される。ヒプロメロース(3.5〜約4.5mg)を、99.96%D2Oの溶媒に溶解する。ヒプロメロースは、溶媒に溶解する前に、約105℃で約30分間加熱する。ヒプロメロースは、溶媒に溶解した後、約80℃で約15分間加熱する。核磁気共鳴分光計は、1H{X}逆検出プローブを含む。温度は約353Kである。パルスは約45oである。
【0194】
スペクトル幅は、約−2.5〜13.5ppmである。パルス反復は約15秒である。指数関数の線の広がりは、約1Hzである。スペクトルは、2.70ppmにある残留ジメチルスルホキシド(DMSO)ピークを基準とする。核磁気共鳴スペクトルのベースラインは補正される。スキャン回数は、1.2ppmにあるピークの200Hzのシグナル:ノイズ比が500より大であるように選択される。時間領域のデータポイントの数は、約65,000である。処理データポイント数は、約250,000である。
【0195】
表13は、米国薬局方(「USP」)法、NMR法1及びNMR法2を使用して測定し質量パーセントで表わした、18種の固形投与形態の製剤の、ヒドロキシプロポキシ(「HP」)及びメトキシ(「MeO」)含量を示す。
【0196】
【表15】

【0197】
多変数解析によって、製剤からの活性成分の放出を測定する上で、最も重要な制御されていない要因であるヒプロメロースのヒドロキシプロポキシ含量を特定した。図8は、製剤の固形投与形態からの活性成分の放出に影響する最も重要な制御されていない要因である、低及び高粘度のUSP 2208化学特性を持つヒプロメロースの、ヒドロキシプロピル含量を特定した多変数解析の結果を示す。縦軸は、放出に影響する可能性がある横軸にリストアップした、要因の相対的重要性の尺度である、予測についての可変影響(Variable Influence on Projection)、VIP、を示す。(例えば、PLS. Wold, S., Johansson, E., Cocchi, M., ドラッグデザインにおける三次元QSAR、理論、方法及びアプリケーション(3D-QSAR in Drug Design, Theory, Methods and Applications), Kubinyi, H., (ed.), ESCOM Science, Ledien, pp 523-550, 1993 を参照。)。
【0198】
要因は、図8に示す順に:ポリマー比(ヒプロメロースロットの特性の変動を補償するために使用した制御された要因)、低粘度ヒプロメロースのヒドロキシプロポキシ含量(「100cP HP」)、高粘度ヒプロメロースのヒドロキシプロポキシ含量(「4000cP HP」)、高粘度ヒプロメロースの数平均分子量(「4,000cP Mn」)、高粘度ヒプロメロースの重量平均分子量(「4,000cP Mw」)、低粘度ヒプロメロースの粘性(「100cP Viscosity」)、低粘度ヒプロメロースのメトキシ含量(「100cP MeO」)、高粘度ヒプロメロースの100メッシュ通過%(「4000cp 100mesh」)、低粘度ヒプロメロースの平均粒径(「100cP
PS D50」)、低粘度ヒプロメロースの重量平均分子量(「100cP Mw」)、低粘度ヒプロメロースの100メッシュ通過%(「100cp 100mesh」)、高粘度ヒプロメロースの平均粒径(「4,000cP PS D50」)、低粘度ヒプロメロースの数平均分子量(「100cP Mn」)、高粘度ヒプロメロースのメトキシ含量(「4,000cP MeO」)、低粘度ヒプロメロースの粒径範囲(「100cP PS Span」)、高粘度ヒプロメロースの粒径範囲(「4,000cP PS Span」)及び高粘度ヒプロメロースの粘性(「4,000cP Viscosity」)である。
【0199】
ヒドロキシプロポキシ含量の重要性を考えると、とり得る最善の試験方法を使用することが重要である。NMR法2は、NMR法1より堅実ではないが(特に、検査室間の移動に関して)、ヒドロキシプロポキシ測定のために最適化されており、1つの場所で熟練オペレータによるルーチンの操作には、好適であると考えられる。NMR法1は、基準の方法として又は多施設での作業が必要な場合に有用である。これに対して、米国薬局方の方法は、薬局方の基準への適合性を測定するためには好適であるが、ヒプロメロースのロット選択のためのツールとして分離して使用するには、あまりに変動しすぎると考えられる。従って、特に他に特定される場合を除いて、HPMCのNMR特徴付けは、NMR法2を意味する。
【0200】
曇り点:
ヒプロメロースの水溶液は、熱ゲル化として知られる現象を起こし、それによって、加熱すると、ヒプロメロースの化学的性質及び溶液濃度によって決定される特定の温度でゲル化を起こす。この効果は、温度の上昇に伴って水和水が徐々に失われることに起因し、粘度の漸次低下に反映される。一旦、脱水が臨界点に達すると、疎水性の(ポリマー間)相互作用が優勢になり、ネットワーク構造の拡大と粘性の急激な増加につながる。光線透過率が初期値の50%に達する温度は、曇り点と定義される。ゲル化の始まり(透過率95%の温度)も、また、温度−透過率プロファイルを完全なものにするために、測定してもよい。
【0201】
曇り点を測定するための、例証的プロトコルは以下の通りである:100mLの容器に入った0.05Mクエン酸/0.09M水酸化ナトリウム緩衝液(pH4.7〜4.9)(50mL)を75±5℃に加熱し、急速に攪拌しながら、ヒプロメロース試験サンプル(500±2mg)を添加する。攪拌は、完全な分散を確保するために、約5分間続ける。容器を氷浴に移し、穏やかな撹拌を更に20分間続ける。次いで、得られた溶液を、完全な溶解を確保するため、終夜冷蔵保存する。
【0202】
曇り点は、Mettler-Toledo FP90中央処理装置及びMettler-Toledo FP81C透明及び曇り点測定セルを含む、Mettler-Toledo FP900 Thermosystemのような曇り点計を使用して測定される。サンプル・キャピラリー(Fisher部品番号UC-18572又は同等品)は、パスツールピペットを使用し、空気の取り込みを避けるように注意して、約10mmの高さにサンプル溶液を満たし、測定セル内に置く。光線透過率は、サンプルが、30秒の待ち時間を有し、1分間に1℃の速度で40〜80℃の範囲にわたって加熱される間、連続的に測定される。各試験は、3回実施し、Tcp96(光線透過率が40℃での光線透過率の96%になる温度)及びTcp50(光線透過率が40℃での光線透過率の50%になる温度)の平均値を記録した。
【0203】
表14は、10.2〜13.7%の範囲のヒドロキシプロポキシ含量を有する製剤の、16種の固形投与形態の曇り点測定を示す。
【0204】
【表16】

【0205】
図9は、表14に示すデータに基づく、曇り点とヒドロキシプロポキシ含量の弱い相関を示す。
曇り点は、ヒプロメロースのヒドロキシプロポキシ及びメトキシ置換の程度に大きく依存する特性である、親水性に関連するため、曇り点は、より複雑で費用のかかるNMR法の代わりの働きをする活性成分放出ファクターとして、有用になる可能性がある。
【0206】
粘度:
2%ヒプロメロース水溶液(ヒプロメロースの質量/水の質量)の粘度は、ウベロード粘度計によって測定し、センチポアズ(cp)で表示してもよい。更なる情報は、C.M. Kearyの、複数の検出器を用いた水性のSECによるMETHOCELセルロース・エーテルの特性評価(Characterization of METHOCEL cellulose ethers by aqueous SEC with multiple
detectors)、Carbohydrate Polymers 45 (2001) 293-303(その全文は、参照により本明細書に組み込まれる)に見ることができる。
【0207】
粘度及び100メッシュ通過%は、ヒプロメロース供給業者(例えば、Dow Chemical Company及びShin-Etsu Chemical Company)によって決定される。粘性は、米国薬局方のヒプロメロースモノグラフの方法を使用して決定してもよい。
【0208】
侵食:
固形投与形態は、ヒプロメロースコンパクト(compact)の侵食によって活性成分を放出することができ、それは以下のように測定することができる。Methocel K100及びMetolose SR [Type 90SH](Hypromellose 2208 USP, 100cP)を含んでもよいヒプロメロースのコンパクトは、直接圧縮によって調製する。ヒプロメロースは、ステアリン酸マグネシウム(1.5%)と小型のV−ブレンダーで2分間混合する。コンパクトは、F−プレス(0.3×0.748”形の工具)を用い、目標質量640mg(±10mg)及び目標硬度20〜25Kpに調製する。一定の質量及び硬度の値の確認は、加圧を実行する前及び一旦加圧を開始した後に、無作為にそれぞれ5個のサンプルをとって行い、一貫性を確認した。
【0209】
侵食研究は、USP Iバスケット装置を使用し、37℃に維持された0.05Mのクエン酸/0.09MのNaOH、pH4.8の緩衝液(900mL)中で、100rpmの速度で攪拌することを3回繰り返して、行うことができる。各コンパクトは、試験開始前に秤量する。16時間で、バスケットを溶媒から取り除き、オーブン内で、60℃で24時間乾燥する。次に残渣は、秤量の前に乾燥剤上で冷却する。
【0210】
侵食パーセントは、以下のように計算した:
【数7】

式中、W1は試験前のコンパクト質量であり、W2は冷却残渣の質量である。
【0211】
表15は、ある製剤の20種の固形投与形態についてのパーセント侵食を示す。
【表17】

【0212】
表15のデータに基づけば、低粘度ヒプロメロースが(高粘度ヒプロメロース及び他の添加剤と共に)含まれている固形投与形態からの活性成分放出の速度と、低粘度ヒプロメロースのコンパクトの侵食の間には、12時間溶出時点の図10に例証されるように、強い相関がある。
【0213】
このように、侵食試験は、低粘度ヒプロメロースの新ロットの評価における性能試験として、それらのロットが許容しがたい薬物放出特性を持つ錠剤につながることを識別して拒絶するため、又は許容される放出特性を有する錠剤をもたらす高粘度に対する低粘度ヒプロメロースの好適な比率を決定するための、何れかのために使用することができる。
【0214】
粒径:
粒径は、エアジェット・シーブ(air-jet sieve)によって測定することができる。
【0215】
このように、市販のヒプロメロース製品は、化学的性質(メトキシ及びヒドロキシプロポキシ含量)、粘度及び物理的形状(粒径)という観点から分類することができる。METHOCEL(登録商標)製品の場合は、分類は以下の形式:METHOCEL(登録商標)X NYP形式をとり、ここで、XはヒプロメロースをE、F、又はKとして特定し;NYは粘度を示し(Nは数字、そしてYは、もしあれば、乗数を示す文字で、「C」は100を表し「M」は1,000を表し、掛け算の積は、2%水溶液の20℃でのmPa・sの見掛けの粘度である);Pはサフィックスで、もしあれば、特定の製品を識別するために使われてもよい(「LV」は低粘度を指し、「CR」は制御放出グレードを指し、「EP」は欧州薬局方の規格に合った製品等々)。
【0216】
緩衝剤(クエン酸ナトリウム二水和物など)は、水和された錠剤コア内のpHを上昇させる可能性があり、従ってコアの溶解性を低下させ、拡散放出を最小限に抑える。製剤化のために、ラクトース、微結晶セルロース及びステアリン酸マグネシウムの選択は、工業的手法に従って行った。種々の錠剤力価のための処方は、表16に示す。
【0217】
【表18】

【0218】
治験により、錠剤のバッチ内溶出性の変動は、任意の単一要因に起因するのではなく、ヒプロメロースの4つの要因:粘度/分子量、粒径分布、ヒドロキシプロポキシル含量及びメトキシル含量、に依存することが明らかにされた。これらの要因の相対的な重要度は、錠剤力価によって変動することが分かり、異なるサプライヤー(例えば、Dow Chemical Company 及び Shin-Etsu, Ltd.)からのヒプロメロースは、違った挙動を取ることが分かった。
【0219】
粘度の上昇(鎖長の増加、従って分子量の増加)は、表面侵食速度の低下、そしてそれ故、薬剤放出速度の低下につながる。この効果は、高粘度で頭打ちになる可能性があるといういくつかの証拠がある。中間粘度を達成するための高粘度と低粘度ヒプロメロースの調合は、Phillipofの方程式:η=(1+KC)8、式中、ηはcpで表される粘度、Kは個々のポリマーバッチの定数、そしてCはパーセントとして表される濃度、を用いてモデル化することができる。ヒプロメロースグレードの組合せを含む製剤は、ヒプロメロースバッチの規格内ばらつきの結果として起こる粘度変化の影響を受け易いものと思われる。
【0220】
錠剤の3つのバッチについて、重量平均分子量(Mw)によって特徴付けられるヒプロメロース2208の、低粘度と高粘度グレードの割合を調整することによって意図的に作られた粘度の違いの影響は、図11に示される。
【0221】
大きな表面積:質量比を有する小さな粒子は、大きな粒子より急速に水和する。これは、保護ゲル障壁の生成を、より効果的に起こさせる。対照的に、ヒプロメロースの大きな粒子で製造された錠剤は、分解する傾向がある。これは、薬剤の急速な放出及び無制御の放出を引き起こす。
【0222】
ヒドロキシプロポキシル及びメトキシル含量に関して、製剤化及び製造方法は、ヒプロメロースマトリックスの化学について広く受け入れられている仮説と一致しない理論に基づく(例えば、親水性マトリックスシステムにおける薬剤の放出制御のための添加剤の使用(Using Dow Excipients for Controlled Release of Drugs in Hydrophilic Matrix Systems)、The Dow Chemical Company, Midland, MI,2006を参照)。
【0223】
前に述べたように、ヒドロキシプロピル基は、水和の速度に大きく寄与する親水性置換基として働くのに対し、メトキシル基は比較的疎水性の置換基として働き、水和の速度に寄与しないことは、これまでに指摘されている。ヒプロメロースの水和速度が違う化学的性質は、従って、ヒドロキシプロポキシル:メトキシル置換の比に依存すると考えられた。
【0224】
この仮説とは反対に、曇り点の測定から、検討したポリマーバッチについては、メトキシル及びヒドロキシプロポキシル基の両者が疎水性置換基として作用し、その結果どちらの含量の増加も曇り点を低下させることを示している。類似のレベルのメトキシ置換を有するヒプロメロースバッチについて、ヒドロキシプロピル含量と曇り点の間の逆相関を図12に示す。更に、ヒプロメロースバッチが、他の全ての条件を同じにして製剤に使用された場合、曇り点のそのような低下は、図13に示されるように、薬剤放出速度の増加につながる。放出メカニズムの研究によって、図14のクエチアピン及びヒプロメロースの同時に起こる放出像で示されるように、錠剤からのクエチアピン放出は、侵食によって独占的に制御されることを示している。従って、メトキシル含量及びヒドロキシプロポキシル含量の変動は、侵食速度に影響を及ぼす。
【0225】
製剤の製造方法は、錠剤からのクエチアピン溶出プロファイルに許容できないばらつきをもたらす可能性のある、ヒプロメロースのヒドロキシプロポキシル含量、メトキシル含量、及び粘度の通常の変動を補正するために、高粘度と低粘度ヒプロメロースの比率をバッチ毎に変化させることを含む。その方法は、製剤のすべてのバッチが、固定した量の活性成分及び添加剤を分注し、同一方法で処理することによって同一に製造される、従来の「基本公式」的な取り組みとは異なる。本発明の方法では、合計のヒプロメロースの含有量はすべてのバッチで固定することができるが、低粘度と高粘度のヒプロメロースの比率は、異なるロットでは異なる可能性があり、その中でその比率は15:15と29:1の間で変動してもよい。
【0226】
本発明の方法は、簡潔な試験法と比較して変動が少ない検査法(例えば、核磁気共鳴によるヒドロキシプロポキシルの測定)を含んでもよい。その方法は、所定の力価の製剤について、溶出プロファイルを達成するために、ヒプロメロースバッチの高粘度と低粘度の比率を測定する予測ツールを含んでもよい。予測ツールは、検索テーブル(履歴データから誘導)、多変数の数学的モデル、又は他の任意の好適な発見ツールの形態をとってもよい。
【0227】
本方法は、投与形態が商業製品の薬物放出規格を満たす頻度を改善し;サプライヤーの能力と調和したヒプロメロースバッチ用の幅広い購入仕様の利用を支援し;異なるサプライヤーからのヒプロメロースの使用を可能にし;別の製造プラント及び規模の活用を支援し;及び/又は、薬物動態の研究に必要な、より速い又はより遅い溶出プロファイルを有する投与形態の製造を支援することができる。
【0228】
本方法は、クエチアピン若しくは薬学的に許容されるその塩の前記の製剤及びその他の製剤に、又は他の活性物質及びヒプロメロース含量15〜55%を含む製剤に、適用することができる。
【0229】
本発明のいくつかの実施態様は、ヒプロメロース特性及び製剤情報を、生体外測定の錠剤溶出と関連付けるために使用することができる多変数モデルを含む。ヒプロメロースの含量及びヒプロメロースの粘度が、クエチアピン持続放出錠剤製剤からのクエチアピンの放出速度に寄与することが測定された。意外にも、ヒプロメロース含量及び粘度比だけが放出速度に影響を与えるのではなく、ポリマーの特性(例えば、ヒドロキシプロポキシ含量)も、また、放出速度に影響を与える。
【0230】
モデルは、他のモデルと比較して低い予測誤差を示す人工神経回路網(artificial neural network)(「ANN」)モデルであればよい。ANNは、変数を出力と関連付ける演算手法である。ANNは、「トレーニング」と呼ばれる方法で、既知の入力と既知の出力の間の相関を構築する。多層フィードフォワード(feedforward)・ニューラルネットワーク(「NN」)は、例えば、「多変数検定における神経回路網(Neural networks in multivariate calibration)」, Despagne, F. and D. Luc Massart, Analyst, 123:157R-178R , 1998 が報告されており、その全文は、参照することにより本明細書に組み込まれている。MATLABの商標で販売され、The MathWorks, Inc. of Natick, Massachusettsから入手できる数値分析プラットフォームは、ニューラルネットワークのトレーニングのため、及び予測のために定義された神経回路網を使うための1つの市販の道具である。フィードフォワードNN及び高速誤差逆伝搬(fast back-propagation)は、多くの市販のソフトウェア・パッケージで提供されている。
【0231】
図15は、本明細書に記載された本発明の製剤に関連する入力及び出力を備えた、フィードフォワードANN1500の単純化した表現を示す。図15は、入力層1502、隠れ層1504及び出力層1506を示す。ヒプロメロース特性及び製剤情報は、入力層1502に入力される。
【0232】
出力1506は、溶解した%、即ち、単一時点の放出されたクエチアピン%である。本明細書に記載されるようなクエチアピン錠剤及び他の薬学的に許容される塩の持続放出溶出曲線は、溶出サンプル抽出時点当たり1つの独立した神経回路網を使用してモデル化することができる。その結果を併せて、異なる時点に亘る溶出プロファイルを示すことができる。
【0233】
本明細書に記載されるようなクエチアピン製剤及び他の薬学的に許容される塩のためのANN構造の例は、表17に記述する。表17において、入力パラメータ及び溶出試験の結果と共に言及される項目は、本明細書に記載されるようなクエチアピン錠剤(及びその薬学的に許容される塩、より具体的にはフマル酸塩)に使用されるANNを定義する。表17に示されたANN構造及びパラメータの考察については、例えば、1998年のDespagne及びMassart(上記に引用された)を参照されたい。製剤に関係するモデル入力は本明細書で考察され、他のモデル入力は、本発明の他の実施態様、例えば、他の薬剤組成物に使われる本発明の実施態様に使用される。
【0234】
【表19】

【0235】
本発明のいくつかの実施態様では、モデル1500に入力される2つのタイプのトレーニング情報がある。第1のタイプは製剤に関する情報であり、第2のタイプは、特定のヒプロメロース特性に関するデータである。
【0236】
50mg、200mg、300mg及び400mg錠剤力価が、モデル1500のトレーニングに含められた。錠剤は、下記の実施例2に記載されたプロトコルに従って作成した。製剤の成分及び錠剤質量は、入力として含めた(表18を参照)。成分の定量的組成は、それぞれの錠剤力価に対する各成分の相対的な含量(質量%)として示した。任意の一定力価錠剤の各バッチについて、各バッチの100cpと4,000cpヒプロメロースの和の総量は製剤の30質量%であったが、製剤入力における唯一の違いは、100cp及び4,000cpヒプロメロースの量であった。他のすべての製剤成分は、各製剤力価について固定されたままであった。
【0237】
【表20】

【0238】
表16は、本明細書に記載されるクエチアピン製剤の錠剤及び他の異なる質量の薬学的に許容される塩の定量的組成を示す。
【0239】
モデル1500に入力される第2のタイプのトレーニング情報は、ヒプロメロースの特性に関するデータであった。商用のデータは薬局方の基準への遵守を示したが、そのようなデータだけから、ヒプロメロースと溶出成績の相関を理解することは不適切であることが確認された。
【0240】
モデル用に、8件のヒプロメロース特性を選定した(表19を参照)。それぞれの特性に対する100cp及び4,000cpヒプロメロースの両者の値を、モデルに含ませた。
【0241】
【表21】

【0242】
ヒドロキシプロポキシ及びメトキシ含量は、NMR法2のような核磁気共鳴分光分析プロトコルによって測定してもよい。
【0243】
粘度及び粒径(100メッシュ通過%)の値は、直接サプライヤーの分析証明書から取り、モデルに使用してもよい。
【0244】
平均粒径及び粒径範囲は、乾燥粉末について、レーザー回折技術を用いて測定してもよい。
【0245】
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、直接的な分子量測定用のオンライン光散乱検出を用いる水系SEC法を用いて決定する。単位はダルトン(Dalton)である。
【0246】
ANNモデルにおける入力及び出力のトレーニングデータは、平均を中心にし、範囲を調整した。調整によって、平均を中心にした入力の絶対値の最大は1の値に設定され、平均を中心にした出力の絶対値の最大は、それぞれ0.5、0.5、0.5、0.5、0.5、0.5、0.8及び0.85に設定された。
【0247】
質量及びバイアスは、−0.05と0.05の間の小さな乱数で初期化した。
【0248】
運動量及び適応学習速度を使用する誤差逆伝搬のアルゴリズムは、下に記載する。アルゴリズムは、によって、ニューラルネットワーク設計Neural Network Design), Martin T. Hagan、Howard B. Demuth、and Mark Beale, Boston: PWS Publishing Co., 1996の中で論じられており、その全文は、参照により本明細書に組み込まれる。それを下記に要約する。
【0249】
トレーニング過程の間に、質量及びバイアスは以下の式に従って調整される(いくつかの用語は、トレーニングされたモデルに関連して以下に出てくる対応する用語よりも一般的である):
【数8】

式中、λは学習速度、γは運動量因子、δiは標準誤差バックプロパゲーションを用いて計算される補正項、pj はニューロンにおける入力、そしてtはトレーニング過程の時間系列を表す。
【0250】
トレーニング過程の学習速度αに適応するために、以下のルールが使用された。ルールは、誤差の二乗を算定することを含み、それは1つの個体の予測の誤差の二乗、トレーニングバッチ内の個々の固体の誤差の二乗の合計、又は予測と実際の溶出間の誤差の他の好適な指標であればよい。
【0251】
(1)もし誤差の二乗が質量の更新後に4%以上増加するなら、質量更新は廃棄し、学習速度は0.7倍し、運動量因子は0に設定する;
(2)もし誤差の二乗が質量の更新後に減少するなら、質量更新は受け入れ、学習速度は1.05乗算される。もし運動量因子が前に0に設定されているなら、それを初期値にリセットする;
(3)もし誤差の二乗が質量の更新後に4%未満増加するなら、質量更新は受け入れる。学習速度及び運動量因子は、同じ値に維持する。
【0252】
トレーニングは、400トレーニング世代に到達又は誤差の二乗合計がゴールの0.001に到達したとき、停止した。初期学習速度は0.01に設定し、トレーニングバッチのサイズは10に設定した。
【0253】
本明細書に記載されるように、モデル1500は、製剤177バッチのトレーニングデータセットを用いてトレーニングした。すべての濃度の錠剤、ヒプロメロースの2つの異なる市販供給源、開発及び商用規模の製造、及び3箇所の製造工場が、モデルのトレーニングに使用された。錠剤は、ヒプロメロース100cpの4,000cp に対する比率が、15:15〜29:1(%−100cp:%−4,000cp)の範囲を含めた。その比率も、また、モデルに含められた。モデル1600(図16参照)は、図15に示されたモデル構造に基づく説明のためのトレーニングされた予測モデルであり、そして、本質的に製造業者間及び製造工場間で異なる可能性がある製造装置の特性を反映する、トレーニングデータセットである。モデル1600は、従って、本明細書に記載される錠剤を生産するために使用される機器とは違う機器を使用して生産される製剤の溶出挙動は、予測しない可能性がある。それでもなお、モデル1600は、異なる製造方法由来の錠剤に対してトレーニング可能であり、従って、ANN法には汎用性があることを示したが、モデルは、商業生産に使用するのと同じ装置に対してトレーニングを受けるべきである。過剰適合に対する防護対策は、データを当てはめることが可能な最も単純なANNを用いることである。モデル1500は、僅か10個のセルを持った単一の隠れ層を含むため、適切に単純なANN構造であると考えられる。
【0254】
トレーニングは、ヒプロメロースロットの物理的及び化学的特性の測定結果を得ること、その測定結果をモデルに入力すること、溶出を予測すること、予測した溶出をそのロットから製造されるバッチ錠剤のインビトロ溶出と比較すること、そしてモデル予測が許容されるまでモデル定数を再スケール化すること、によって達成された。インビトロ溶出アッセイのプロトコルは、実施例7で説明する。予測された溶出プロファイルは、予測の二乗平均平方根誤差(「RMSEP」)を計算することによって、実際の錠剤溶出プロファイルと比較すればよい。RMSEPが低ければ低いほど、実際と予測した特性の間の一致は良くなる。
【0255】
100cp及び4,000cpヒプロメロースロットについて、ヒプロメロース比率(100cp:4,000cp)が15:15から29:1までの0.1ずつの比率増加(例えば、15:15、15.1:14.9、15.2:14.8など)で、溶出プロファイルを予測するために、モデル1500を使用することができる。図17は、増分比率に対応する多数の予測特性を含む曲線の範囲1702を示す。最適な特性、従って、最適な比率は、溶出の予測結果を、6時間及び12時間の2つの時点で、溶出許容基準範囲(図17、棒線1704)の中点と比較することによって特定される。中点に対する予測結果の比較は、組み合わせた相対的な距離因子dを、以下の等式:
【数9】

式中、
6は、6時間時点における予測された溶出クエチアピンの%であり;
6は、6時間時点における溶出許容基準範囲の中点での溶出クエチアピン%であり;
6は、6時間における溶出クエチアピン%内の許容基準範囲であり;
12は、12時間における溶出クエチアピン%内の許容基準範囲であり;
12は、12時間時間点における予測された溶出クエチアピンの%であり;
c12は、12時間時点における溶出許容基準範囲の中点での溶出クエチアピン%である;
を用いて計算することによって行われる。
【0256】
最適な比率は、dの最も低い値を持つ溶出プロファイルを選択することによって特定される。
【0257】
溶出曲線の傾斜は、使用されるヒプロメロースの特定の性質によって変わるため、しばしば、特定された最適な比率での溶出曲線は、6時間又は12時間の何れかの時間での許容基準の中点(図17の棒線1704で示される)を通過しない可能性がある。
【0258】
最適な比率の決定を使用して完成されるバッチ製造の詳細は、上記に提供される。
【0259】
24件の直接入力1610は、それぞれの倍率1612によって−1〜+1の範囲に適合するようにスケール化される。スケール化された入力1614は、入力層1602に入力される。スケール化された入力1614は、質量1616及びバイアス1618に基づいて、隠れ層1604の10の値αj(j=1〜10)に変換される。隠れ層2604の値は、質量1620及びバイアス出力1622に基づいて出力層1606の値αスケール化(αscaled)に変換される。次いで、値αスケール化は、拡大縮尺係数1624を用いて元に戻された出力のα逆スケール化(αbackscaled)1626にスケールバックされる。
【0260】
表20は、モデル1600用の、24件の直接入力1610の事例的な物理パラメータを示す。直接入力番号1〜16及び19〜24は、実験的な測定結果、製剤パラメータの推定又は記述統計学、及びヒプロメロース特性に基づく。
【0261】
直接入力番号17及び18は、それぞれ100及び4,000cpHPMCについての、HPMC質量パーセントである。総合すれば、直接入力番号17及び18は、距離因子dに基づいて最適化される独立した変数である比率を表す。直接入力番号17と18の合計は、30%に一定に保ち、そして直接入力番号17と18の比率は、15.0:15.0と29.0:1.0の間で、0.1の段差で変化させる。
【0262】
【表22】

【0263】
表20は、また、モデルがトレーニングされそして検証された、それぞれの直接入力物理パラメータの最大値及び最小値を示す。
【0264】
表21は、スケール化された入力1614の対応する最小及び最大値を示す。
【0265】
【表23】

【0266】
モデル1600は、異なる比率について6時間及び12時間時点におけるフマル酸クエチアピンの溶出%1626(図16を参照)を予測するために、8つの時点のそれぞれで、直接入力番号17及び18の各ペアについて一度、実行することができる。次いで、距離因子dを最小にする比率は、本明細書に記載される製剤の製造のための比率として、使用することができる。
【0267】
スケール化された入力1614は、次式を用いて決定することができる。
【数10】

式中、各直接入力について、pは直接入力1610に対応し、pscaleは、スケール化された入力1614に対応する。それぞれの生の入力のxMean及びxScaleは、例証的なモデル1600について表22に示される。
【0268】
【表24】

【0269】
より一般的には、直接入力がベクトルx(vector x)によって表される場合、スケール化(scaling)は以下のように行えばよい:任意のベクトルx(入力データマトリックスの縦列)については、ベクトルの平均値(x平均)を最初に計算し、次にxは以下のようにして平均中心化する:
【数11】

式中、Iは識別ベクターである。次に、以下の等式:
【数12】

を用いて調整因子のxスケール化(xScale)を計算するために、所定のx最大値(xMax)(すべての生の入力に対して1)を使うことができる。
【0270】
次にデータは、以下の等式:
【数13】

を用いてスケール化することができる。
【0271】
出力データは、類似の方法で元に逆スケール化(back-scaled)することができる。
【0272】
逆スケール化出力1626は、以下の等式:
【数14】

を用いて測定することができる。式中、αscaledは出力層1606における値であり;αbackscaledは元に逆スケール化された出力1626であり;そしてyScale及びyMeanは表23に説明される。yScale及びyMeanは、xScale及びxMeanに類似する。yMaxは、xMaxに類似している。yMaxは、また、モデル1600用として、表23に示される。
【0273】
【表25】

【0274】
8つの時点のそれぞれについて、質量1616(10×24要素配列)、バイアス1618(10×1ベクトル)、質量1620(1×10ベクトル)及びバイアス出力1622(スカラー)は、下記の付録Aに示される。
【0275】
各時点についての、出力層1606値のαscaledは、以下のように計算することができる:例証のための伝達関数fは双曲正接であり、層1604及び1606の中のそれぞれのニューロンで適用される。双曲正接は、以下のように定義される:
【数15】

【0276】
隠れ層1604内のニューロンの各値は、αjであり、ここで、jは1〜10である。αjの値は、次のように計算される:
【数16】

式中、Wjiは質量1616であり;pscalediは調整された入力1614であり;bjはバイアス1618であり;そしてfは、上記のf(n)によって定義される。
出力層1606 におけるニューロンの値(αscaled)は、以下の等式:
【数17】

によって与えられる。式中、Wjは質量1620であり;αjは上記で定義され;b2はbiasoutputであり;fは上記のf(n)によって定義される。
【0277】
モデル1600は、前記のスカラー、ベクトル及び2−D配列変数をMATLAB(登録商標)変数にロードし、前記の等式によって定義される計算を実行することによってMATLAB(登録商標)で実行することができる。当然のことながら、モデル1600は、任意の好適な数値分析プラットフォームを使用して実行できる。モデルは、手動で実施してもよい。
【0278】
モデル1600は、トレーニングデータセットのサンプルが、トレーニングデータセットの残りの部分を使って予測される、Leave-One-Out Cross-Validation(「LOOCV」)法を使用して、検証することができる。錠剤の1つのバッチは、モデル1600から取り除かれ、そのバッチ無しで再トレーニングした。次いで、そのバッチの溶出は、モデル1600を使用して予測した。次いで、予測の二乗平均平方根誤差(「RMSEP」)は、実測された及び/又は予測されたプロファイルが溶出合格基準を満たしたプロファイルについて、指定時点での、実際の溶出プロファイルに対する予測を比較することによって計算した。すべての錠剤バッチが順に除外され、そして予測されるまで、この手順を繰り返した。クロスバリデーションの二乗平均平方根誤差(RMSECV)は、すべての個々のRMSEPの平均である。
【0279】
合格基準範囲内で作動する場合、製剤のためのモデル1600のRMSECVは2.9%である。ヒプロメロースの比率は、6時間及び12時間溶解の時点における中間点を目標にすることによって測定できる。6時間及び12時間において、それぞれ22%及び30%の合否基準範囲を持ち、モデル1600に対して2.9%のRMSECVは、受け入れ基準範囲にうまく匹敵する。
【0280】
モデル1600は、錠剤の生体外溶出によって測定されるので、バッチ処理のパフォーマンスを向上させるために使用することができるツールである。結果として、錠剤がインビトロ溶出合格基準を満たす場合、モデルは検証されたと考えられる。
【0281】
合計24バッチの錠剤、6バッチの各濃度は、ANNを用いて測定した4,000cpヒプロメロースに対する100cpの比率を使用し、2つの商業プラントで製造された。製造の詳細は、上記に提供される。
【0282】
錠剤力価200、300及び400mgのすべてのバッチは、溶出合格基準を満たした。50mg含量錠剤の6バッチ中の4バッチは、溶出合格基準を満たした。2つの50mg錠剤バッチはその合格基準を満たさず、これらのバッチは、2つの商業製造プラントのそれぞれで、ヒプロメロース100cp及び4,000cpの同一ロットから製造された。モデルは、ヒプロメロースの商業的有用性に基づいてトレーニングされているので、トレーニングで説明不足なヒプロメロースの組成がある。例えば、失敗バッチの4,000cpヒプロメロースのヒドロキシプロポキシ含有量(10%)は、トレーニング錠剤では良く表わされない含有量である。
【0283】
モデル1600の開発は、例えば、ヒプロメロースロット及び錠剤バッチの数の増加、多様な製剤力価、及びおそらく他の変化に基づいたモデル改良が、モデルの頑健性を高める可能性があることを実証した。
【0284】
モデル1600がトレーニングを受けた錠剤に対応するデータを、下記の表24に記載する。
【0285】
【表26】

【0286】
【表27】

【0287】
【表28】

【0288】
【表29】

【0289】
【表30】

【0290】
表25は、モデル1600をトレーニングするために用いられた、100cpヒプロメロースロットの性質を載せている。
【0291】
【表31】

【0292】
表25は、モデル1600をトレーニングするために用いられた、4,000cpヒプロメロースロットの性質を載せている。
【0293】
【表32】

【0294】
図18は、持続放出製剤を製剤化するための、説明のための方法1800を示す。その方法は、核磁気共鳴(NMR)を用いて、複数のヒプロメロースロットのヒドロキシプロポキシ及びメトキシを測定する工程1810を含んでもよい。この複数の中で、第1のロットは第1の粘度を有してもよく、第2のロットは第2の粘度を有してもよい。工程1820は、多変数モデルに、第1のロット及び第2のロットのヒドロキシプロポキシ含量及び分子量並びに錠剤力価を入力することを示す。工程1830は、一連の第1のロットの量と第2のロットの量の比を、そのモデルに入力することを示す。工程1840は、目標プロファイルからの偏差を有し、その偏差が他の比率のそれよりも小さい、予測された溶出プロファイルに対応する最適比率を、そのモデルを用いて特定することを示す。
【0295】
図19は、説明のための方法1900を示す。方法1900は、複数の製剤パラメータ値を特定する工程1910を含んでもよい。方法1900は、複数の特性パラメータ値を特定する工程1920を含んでもよい。工程1930は、複数の比率の値を選択することを示す。それぞれの比率の値は、第2の成分に対する第1の成分の比率に対応してもよい。工程1940は、目的成分の推定溶出率と所定の許容溶出率の間の差を最小限にする、比率の値を特定することを示す。
【0296】
図20は、制御放出添加剤2120及び2130の質量%の比2140を、活性成分放出情報2150に相関させるために使用できる説明のための参照テーブル2000を示す。情報2150は、時間2154における活性成分の放出されたパーセント2152を含んでもよい。情報2150は、その全部又は一部を、制御放出添加剤2120及び2130のそれぞれの1つ又はそれ以上の物理又は化学的パラメータ2122及び2132によって測定することができる。パラメータ2122及び2132は、それぞれ範囲2124及び2134のような範囲に拘束されてもよい。情報2150は、その全部又は一部が、投与形態力価2110によって測定されてもよい。参照テーブル2000は、濃度2110、2122のようなパラメータ及び比率2140の値のすべての組み合わせについての、実験的に測定された情報2150によって満たすことができる。本発明のいくつかの実施態様では、参照テーブル2000は、一部実験的に測定された値の情報2150によって及び一部推定した値によって満たされてもよい。例えば、いくつかの情報2150の値は、近傍の値に基づいて内挿又は外挿されてもよい。
【0297】
本発明のいくつかの実施態様では、制御放出添加剤2120及び2130は、それぞれ100cp及び4,000cpの公称粘度を有するヒプロメロースであってもよい。本発明のいくつかの実施態様では、活性成分はクエチアピンであってもよい。本発明のいくつかの実施態様では、2122及び2132のようなパラメータは、モデル1600への入力に相当してもよい(図16における、例えば、表17の入力1−16を参照)。
【実施例】
【0298】
〔実施例1〕
核磁気共鳴によるヒプロメロース(ヒプロメロース)のヒドロキシプロピル(HP)含量の測定
NMR法2に従い、ヒプロメロース(3.5〜約4.5mg)を、99.96%のD2O溶媒に溶解した。ヒプロメロースは、溶媒に溶解する前に、105℃で約30分間加熱した。ヒプロメロースは、溶媒に溶解した後、80℃で約15分間加熱した。核磁気共鳴分光計は、1H{X}逆検出プローブを含んだ。温度は、約353Kであった。パルスは約45oであった。スペクトル幅は、約−2.5〜13.5ppmであった。パルス反復は約15秒であった。指数関数の線の広がりは、約1Hzであった。スペクトルは、2.70ppmにおける残留ジメチルスルホキシド(DMSO)ピークを基準にした。核磁気共鳴スペクトルのベースラインは補正した。スキャン回数は、1.2ppmにあるピークの200Hzのシグナル:ノイズ比が500より大であるように選択した。時間領域のデータポイントの数は、約65,000であった。処理データポイント数は、約250,000であった。NMRスペクトルは、4.5ppmと1.2ppmにあるピークが対称になるように位相を合わせた。
【0299】
以下の領域を積分した:範囲1:4.96〜4.31(区域A);範囲2:4.08〜2.95(区域B);範囲3:1.47〜0.92(区域C)。
【0300】
ヒドロキシプロポキシ含量(質量%HP)は、以下のようにして計算した:
【数18】

式中、
MoleHP=C/(3×A);
MoleMeO =[B−C−(6×A)]/(3×A);そして、
MeOはメトキシ;
である。
【0301】
以下は、NMRによるヒプロメロースのヒドロキシプロピル(HP)含量を分析するための例証的な手順である。
【0302】
NMR法2に従って、ヒプロメロースのサンプル(3.5〜4.5mg)を、約105℃で約30分間加熱した。ヒプロメロースのサンプル(3.5〜4.5mg)を99.96%のD2O溶媒に溶解した。溶解したヒプロメロースを、80℃で約10分間加熱した。溶解したヒプロメロースは核磁気共鳴によって分析した。この場合、(i)核磁気共鳴分光計は、1H{X}逆検出プローブを含み、(ii)温度は、約353Kであり、(iii)パルスは約45oであり、(iv)スペクトル幅は約−3.5〜13.5ppmであり、(v)パルス反復は約15秒であり、(vi)指数関数の線の広がりは約1Hzであり、(vii)スキャン回数は、1.2ppmにあるピークの200Hzのシグナル:ノイズ比が500より大であるように選択し、(viii)時間領域のデータポイントの数は約65,000であり、そして(ix)処理データポイント数は約250,000であった。
【0303】
核磁気共鳴スペクトルは、4.5ppmと1.2ppmにあるピークが対称になるように位相を合わせた。スペクトルは、2.70ppmにある残留ジメチルスルホキシド(DMSO)ピークを基準にした。核磁気共鳴スペクトルのベースラインを補正した。
【0304】
以下の領域を積分した:範囲1:4.96〜4.31(区域A);範囲2:4.31〜4.08;範囲3:4.08〜2.95(区域B);範囲4:2.95〜2.45;範囲5:1.47〜0.92(区域C)。
【0305】
ヒドロキシプロポキシ含量(質量%HP)は、以下のようにして計算した:
【数19】

式中、
(i)MoleHP=C/(3×A)であり;そして、
(ii)MoleMeO =[B−C−(6×A)]/(3×A);
であった。
【0306】
〔実施例2〕
50mg錠剤の製剤
表1に記載したマル酸クエチアピンの持続放出製剤を製造するために、以下の方法を用いた。
【0307】
1)フマル酸クエチアピン、ラクトース、微結晶セルロース、ヒプロメロース2208(USP)及びクエン酸ナトリウムを(例えば、高剪断造粒機中で)含量均一性が達成されるまで混合し(例えば、600Lのフィールダー(Fielder)で約10分間);
2)精製水(例えば、錠剤の37質量%)を、造粒機(例えば、スプレーノズル)内の粉末に5〜6分間で加えて、顆粒を形成し;
3)顆粒を流動床乾燥機で乾燥させる(例えば、3%乾燥減量以下の含水率に);
4)顆粒の粒子を縮小して、圧縮(例えば、Carrの指標で30を超えない(例えば、20)に)に好適なフローを達成し(例えば、0.05〜0.109インチ粉砕機スクリーンを用いて、);そして、
5)実質的な錠剤のパンチフィルミング(punch filming)を防ぐために、十分な時間、顆粒をステアリン酸マグネシウムと混合した(例えば、V−混合機で3分間;全容量の2/3で)。
【0308】
工程5で得られた製剤を圧縮し、16キロポンド超(具体的には、約28kp)の硬度及び1%未満の摩損度を有する錠剤を成形した。
【0309】
錠剤は、更に、全てのコーティング成分が溶解するまで水中で混合し、得られた混合スプレー剤を均一な被覆(例えば、目標2.5質量%)が達成されるまで錠剤に(例えば、穴のあいたパンコーター内で)スプレーすることによって、コーティングしてもよい。
【0310】
〔実施例3〕
150mg錠剤の製剤
実施例2に記載した方法を用いて、表2に示された組成の錠剤を製造した。
【0311】
〔実施例4〕
200mg錠剤の製剤
実施例2に記載した方法を用いて、表3に示された組成の錠剤を製造した。
【0312】
〔実施例5〕
300mg錠剤の製剤
実施例2に記載した方法を用いて、表4に示された組成の錠剤を製造した。
【0313】
〔実施例6〕
400mg錠剤の製剤
実施例2に記載した方法を用いて、表5に示された組成の錠剤を製造した。
【0314】
〔実施例7〕
インビトロ溶出アッセイ−50mg
インビトロ溶出プロトコル
以下の方法は、ANNトレーニングのため、製剤のコントロール及び生体内放出の予測の判断材料として使用した。溶出の方法は、良く知られたバスケット装置を用い、200rpmの回転速度で行った。初めに、0.05M(モル)のクエン酸ナトリウム及び0.09N(規定)の水酸化ナトリウムを含む溶解媒体(900mL)を、それぞれの容器に入れた。その媒体のpHは、4.8であった。5時間後に、0.05Mのリン酸ナトリウム及び0.46Nの水酸化ナトリウムから成る媒体(1,000mL)をそれぞれの容器に添加し、溶出分析の最後の時間の媒体のpHを6.6にした。20時間にわたってサンプルを採取し、紫外線分光光度検出を使用して290nmでクエチアピンを分析した。
図21に溶出るアッセイの結果を示した。誤差バーは、各時点における個々の測定範囲に対応する。
【0315】
〔実施例8〕
インビトロ溶出アッセイ−150mg
インビトロ溶出プロトコルは、実施例(7)で実施したようにして実施した。図22に溶出アッセイの結果を示した。誤差バーは、各時点における個々の測定範囲に対応する。
【0316】
〔実施例9〕
インビトロ溶出アッセイ−200mg
インビトロ溶出プロトコルは、実施例(7)で実施したようにして実施した。図23に溶出アッセイの結果を示した。誤差バーは、各時点における個々の測定範囲に対応する。
【0317】
〔実施例10〕
インビトロ溶出アッセイ−300mg
インビトロ溶出プロトコルは、実施例(7)で実施したようにして実施した。図24に溶出アッセイの結果を示した。誤差バーは、各時点における個々の測定範囲に対応する。
【0318】
〔実施例11〕
インビトロ溶出アッセイ−400mg
インビトロ溶出プロトコルは、実施例(7)で実施したようにして実施した。図25に溶出アッセイの結果を示した。誤差バーは、各時点における個々の測定範囲に対応する。
【0319】
〔実施例12〕
血漿プロトコル研究
以下のクエチアピン力価:50mg、200mg、300mg及び400mgを有する研究製剤(「SF」)を含む商業規模の錠剤の、定常状態の薬物動態を評価するために、多施設共同、非盲検、反復投与試験を実施した。研究製剤は、表1〜5に記載された組成を有する。2日のウォッシュアウト期間の後、患者は、研究製剤及び現在「セロクエル(Seroquel)」の商標で(AstraZeneca Pharmaceuticals, Wilmington, Delawareから)市販されている即時放出型(「IR」)薬剤の経口投与量を、1日1回、以下のとおり服用した:1〜4日目に50mgのSF、5〜7日目に200mgのSF、8〜11日目に300mgのSF、12〜14日目に400mgのSF、そして15〜17日目に300mgのIR。4日目及び11日目に、患者は、予定された服用の後10分以内に、標準的な高脂肪の朝食を摂取した。3日目(50mg;図3)、7日目(200mg;図4)、10日目(300mg;図5)、及び14日目(400mg;図6)からのデータを使用し、各用量レベルで定常状態が達成されていたことを推定した。各プロット(図3〜6)において、誤差バーは、個々の目標データの予測区間(p=0.05)に相当する。各プロット(図3〜6)は、また、一次薬物吸収及び排泄速度定数のそれぞれKe及びKaを用い、式:
【数20】

で計算された最良の適合曲線を示した。
【0320】
異なる錠剤力価について、最良の適合パラメータは、以下のとおりであった:
50mg:Base=0.3773、K=0.8421、K=0.05765(図3);
200mg:Base=25.86、K=0.3541、K=0.1033(図4);
300mg:Base=42.15、K=0.2592、K=0.1033(図5);
400mg:Base=62.96、K=0.2959、K=0.1390(図6);
図7は、図3〜6由来のデータを表す。
【0321】
このようにして、クエチアピン及びその薬学的に許容される塩を含む持続放出製剤、及びその製剤の製造方法が提供された。当業者は、限定するよりはむしろ説明することを目的として提示された、本明細書に記載の実施態様以外の実施態様の形態で本発明を実施することができ、そして本発明が以下の特許請求の範囲によってのみ限定されることを当然のことと理解するであろう。
【0322】
付録
【表33】

【0323】
【表34】

【0324】
【表35】

【0325】
【表36】

【0326】
【表37】

【0327】
【表38】

【0328】
【表39】

【0329】
【表40】

【0330】
【表41】

【0331】
【表42】

【0332】
【表43】

【0333】
【表44】

【0334】
【表45】

【0335】
【表46】

【0336】
【表47】

【0337】
【表48】

【0338】
【表49】

【0339】
【表50】

【0340】
【表51】

【0341】
【表52】

【0342】
【表53】

【0343】
【表54】

【0344】
【表55】

【0345】
【表56】

【0346】
【表57】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含む製剤であって、ここでクエチアピン含量が約9.6質量%〜約10.4質量%であり、且つここでその製剤が約30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース及び約7.2質量の%クエン酸ナトリウム二水和物を含む製剤。
【請求項2】
クエチアピン含量が約49.5〜約50.5mgである、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
30%のヒドロキシプロピルメチルセルロースの約15〜約29は第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;
30%の残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;そして、
第1及び第2の成分は、それぞれ、約80cpと約120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び約3,000cpと約5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する;
請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
約25.1質量%のラクトース一水和物;
約25.1質量%の微結晶セルロース;及び
約1質量%のステアリン酸マグネシウム;
を更に含む、請求項4に記載の形態。
【請求項6】
クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含む製剤であって、ここでクエチアピン含量は約25.6〜約26.5質量%であり、そしてここでその投与形態が約30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース及び約12.5質量%のクエン酸ナトリウム二水和物を含む製剤。
【請求項7】
クエチアピン含量が約149.5〜約150.5mgである、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
30%のヒドロキシプロピルメチルセルロースの約15〜約29は第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;
30%の残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;そして
第1及び第2の成分は、それぞれ、約80cpと約120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び約3,000cpと約5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する;
請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
約13.0質量%のラクトース一水和物;
約13.0質量%の微結晶セルロース;及び
約1.5質量%のステアリン酸マグネシウム;
を更に含む、請求項8に記載の形態。
【請求項11】
クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含む製剤であって、ここでクエチアピン含量は約32.9質量%〜約33.8質量%であり、且つここでその投与形態が約12.5質量%のクエン酸ナトリウム二水和物及び約30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む製剤。
【請求項12】
クエチアピン含量が約199.5〜約200.5mgである、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
30%のヒドロキシプロピルメチルセルロースの約15〜約29は第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;
30%の残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;そして
第1及び第2の成分は、それぞれ、約80cpと約120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び約3,000cpと約5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する;
請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
約8.8質量%のラクトース一水和物;
約8.8質量%の微結晶セルロース;及び
約1.5質量%のステアリン酸マグネシウム;
を更に含む、請求項11に記載の製剤。
【請求項16】
クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含む製剤であって、ここでクエチアピン含量は約37.1質量%〜約38.0質量%であり;そしてここでその投与形態が約12.5質量%のクエン酸ナトリウム二水和物及び約30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み;且つここで30%のヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの約15〜約29は第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;30%の残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;そして第1及び第2の成分は、それぞれ、約80cpと約120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び約3,000cpと約5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当し、ここで第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレードに対する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレードの比率は25.0〜5.0ではない製剤。
【請求項17】
クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含む製剤であって、ここでクエチアピン含量は約45.5質量%〜約46.4質量%であり、且つここでその投与形態が約11.5質量%のクエン酸ナトリウム二水和物及び約30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む製剤。
【請求項18】
クエチアピン含量が約399.5〜約400.5mgである、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
30質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
30%のヒドロキシプロピルメチルセルロースの約15〜約29は第1のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;
30%の残りは第2のヒドロキシプロピルメチルセルロース成分であり;そして
第1及び第2の成分は、それぞれ、約80cpと約120cpの間の見掛け粘度を有する第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード及び約3,000cpと約5,600cpの間の見掛け粘度を有する第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースに相当する;
請求項19に記載の製剤。
【請求項21】
約1.8質量%のラクトース一水和物;
約1.8質量%の微結晶セルロース;及び
約2.0質量%のステアリン酸マグネシウム;
を更に含む、請求項17に記載の製剤。
【請求項22】
溶出が、1分間に200回転の回転速度を有し、900ミリリットルのクエン酸ナトリウム(0.05モル)及び水酸化ナトリウム(0.09モル)を収容するバスケット装置で、これに5時間後100ミリリットルのリン酸ナトリウム(0.05モル)及び水酸化ナトリウム(0.46モル)を添加して行うとき、
以下の溶出基準:
溶出の最初の1時間の間に20%以下のクエチアピンが溶出され;
溶出の最初の6時間の間に47〜69%のクエチアピンが溶出され;
溶出の最初の12時間の間に65〜95%のクエチアピンが溶出され;
溶出の最初の20時間の間に少なくとも85%のクエチアピンが溶出される;
を満足する請求項1、6、11、16、17のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項23】
クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含有する経口持続放出投与形態を、1日1回の割りでヒト患者に経口的に投与することを含む、ヒトの精神病の効果的な治療方法であって、ここでそのクエチアピン含量が50mgであり、これは定常状態で約2〜約16時間の上記の抗精神病薬の最大血漿濃度に到達するまでの時間(tmax)、及び約24時間で上記抗精神病薬の4倍を超えるかまたはそれに等しい血漿濃度の最大血漿濃度(Cmax)を与え、且つ投与形態が投与後約24時間またはそれ以上の間精神病の効果的な治療を患者に提供する、治療方法。
【請求項24】
クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含有する経口持続放出投与形態を、1日1回の割りでヒト患者に経口的に投与することを含む、ヒトの精神病の効果的な治療方法であって、ここでクエチアピン含量が150mgであり、これは定常状態で約2〜約16時間の上記抗精神病薬の最大血漿濃度に到達するまでの時間(tmax)、及び約24時間で上記抗精神病薬の4倍を超えるかまたはそれに等しい血漿濃度の最大血漿濃度(Cmax)を与え、且つ投与形態が投与後約24時間またはそれ以上の間精神病の効果的な治療を患者に提供する、治療方法。
【請求項25】
クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含有する経口持続放出投与形態を、1日1回の割りでヒト患者に経口的に投与することを含む、ヒトの精神病の効果的な治療方法であって、ここでクエチアピン含量が200mgであり、これは定常状態で約2〜約8時間の上記抗精神病薬の最大血漿濃度に到達するまでの時間(tmax)、及び約24時間で上記抗精神病薬の4倍を超えるかまたはそれに等しい血漿濃度の最大血漿濃度(Cmax)を与え、且つ投与形態が、投与後約24時間またはそれ以上の間精神病の効果的な治療を患者に提供する、治療方法。
【請求項26】
クエチアピン又は薬学的に許容されるその塩を含有する経口持続放出投与形態を、1日1回の割りでヒト患者に経口的に投与することを含む、ヒトの精神病の効果的な治療方法であって、ここでクエチアピン含量が400mgであり、これは定常状態で約2〜約8時間の上記抗精神病薬の最大血漿濃度に到達するまでの時間(tmax)、約24時間で上記抗精神病薬の4倍を超えるかまたはそれに等しい血漿濃度の最大血漿濃度(Cmax)、及び約6,000ng・hr/mLを超えるかまたはそれに等しいの投与時点と投与後24時間の間の曲線下面積(AUCcum24)を与え、且つ投与形態が投与後約24時間また
はそれ以上の間精神病の効果的な治療を患者に提供する、治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2010−526874(P2010−526874A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508330(P2010−508330)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/SE2007/001014
【国際公開番号】WO2008/060228
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】