説明

クラッチユニット

【課題】 ブレーキ側側板の爪部の加締め状態の良否を容易に判断する。
【解決手段】 入力側に設けられ、レバー操作により出力側への回転トルクの伝達・遮断を制御するレバー側クラッチ部と、出力側に設けられ、レバー側クラッチ部からの入力トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とからなり、ブレーキ側クラッチ部は、回転が拘束されたブレーキ側側板25、ブレーキ側外輪23およびカバー24を備え、ブレーキ側外輪23およびカバー24の外周に形成された切欠き凹部24aに、ブレーキ側側板25の外周に形成された二股状の爪部25aを挿入してその先端部25aを外側へ拡開させて加締めることにより、ブレーキ側外輪23とカバー24を連結してブレーキ側側板25と共に一体化し、ブレーキ側側板25の二股状の爪部25aは、その二股状先端部25aの内側端面角部に面取り25aを施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達するレバー側クラッチ部と、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とを有するクラッチユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、円筒ころやボール等の係合子を用いるクラッチユニットにおいては、入力側部材と出力側部材との間にクラッチ部が配設される。このクラッチ部は、前述の入力側部材と出力側部材間に形成される楔すきまに円筒ころやボール等の係合子を係合・離脱させることによって、入力トルクの伝達・遮断を制御する構成になっている。
【0003】
この種のクラッチユニットは、例えば、レバー操作により座席シートを上下調整する自動車用シートリフタ部に組み込まれ、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達するレバー側クラッチ部と、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とを具備する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図31は前述の特許文献1に開示された従来のクラッチユニットの全体構成を示す縦断面図、図32は図31のD−D線に沿う断面図、図33は図31のE−E線に沿う断面図である。
【0005】
図31および図32に示すように、レバー側クラッチ部111は、レバー操作によりトルクが入力される入力側部材としてのレバー側外輪114と、そのレバー側外輪114からのトルクをブレーキ側クラッチ部112に伝達する連結部材としての内輪115と、レバー側外輪114と内輪115間での係合・離脱によりレバー側外輪114からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子としての円筒ころ116と、各円筒ころ116を円周方向に所定間隔で保持する保持器117と、回転が拘束された静止側部材としてのブレーキ側外輪123と、保持器117とブレーキ側外輪123の間に設けられ、レバー側外輪114からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で保持器117を中立状態に復帰させる第一の弾性部材としての内側センタリングばね118と、レバー側外輪114とブレーキ側外輪123の間に設けられ、レバー側外輪114からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力でレバー側外輪114を中立状態に復帰させる第二の弾性部材としての外側センタリングばね119とで主要部が構成されている。
【0006】
なお、図中、113はレバー側外輪114に加締め固定されてレバー側外輪114と共に入力側部材を構成するレバー側側板、130はウェーブワッシャ131を介して出力軸122に取り付けられたワッシャである。
【0007】
一方、図31および図33に示すように、ブレーキ側クラッチ部112は、回転が拘束された静止側部材としてのブレーキ側外輪123と、レバー側クラッチ部111からのトルクが入力される連結部材としての内輪115と、ブレーキ側外輪123と出力軸122間のすきまに配設され、ブレーキ側外輪123と出力軸122間での係合・離脱により内輪115からの入力トルクの伝達と出力軸122からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子としての円筒ころ127とで主要部が構成されている。
【0008】
なお、内輪115の軸方向端部を拡径させた大径部115cは、円筒ころ127を円周方向に所定間隔で保持する保持器として機能する。図中、125はブレーキ側外輪123に加締め固定されてブレーキ側外輪123と共に静止側部材を構成するブレーキ側側板、128は各対の円筒ころ127間に配置された例えば断面N字形の板ばね、129はブレーキ側側板125に取り付けられた制動部材としての摩擦リングである。
【特許文献1】特開2003−166555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に開示された従来のクラッチユニットにおけるブレーキ側外輪123とブレーキ側側板125は、ブレーキ側外輪123の外周に形成された複数の切欠き凹部123a〔特許文献1の図11(a)参照〕に、ブレーキ側側板125の外周に形成された複数の爪部125a〔特許文献1の図12(a)(b)参照〕を挿入して加締めることにより一体化されている。
【0010】
このブレーキ側側板125の爪部125aは、図34に示すように軸方向に屈曲成形されてその先端部125aが二股状をなし、加締め治具150を利用してその二股状先端部125aを外側へ拡開させることにより、ブレーキ側側板125の爪部125aをブレーキ側外輪123の切欠き凹部123aに引掛け係止することでブレーキ側側板125をブレーキ側外輪123に加締め固定している。
【0011】
ブレーキ側側板125とブレーキ側外輪123との組立工程においては、ブレーキ側側板125の爪部125aを加締めた後、その爪部125aの加締め状態の良否を確認するようにしている。この加締め状態の良否確認は、図35に示すように加締め前におけるブレーキ側側板125の爪部125aの二股状先端部125aの位置をリニアスケール151(高さ測定器)で計測した上で、加締め後におけるブレーキ側側板125の爪部125aの二股状先端部125aの位置をリニアスケール151(高さ測定器)で計測する。そして、この加締め前と加締め後での爪部125aの二股状先端部125aの変位量S(高さ寸法差)が規定値以上となっているか否かで加締め状態の良否を判断するようにしている。
【0012】
しかしながら、従来のクラッチユニットにおけるブレーキ側側板125の爪部125aは、その二股状先端部125aの内側端面角部125aが直角形状をなすことから、加締め前と加締め後での爪部125aの二股状先端部125aの変位量Sが少なく、また、ブレーキ側側板125の製作における寸法公差も存在するため、加締め状態の良否を判断することが非常に困難であった。
【0013】
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、ブレーキ側側板の爪部の加締め状態の良否を容易に判断し得るクラッチユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るクラッチユニットは、入力側に設けられ、レバー操作により出力側への回転トルクの伝達・遮断を制御するレバー側クラッチ部と、出力側に設けられ、レバー側クラッチ部からの入力トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とからなり、ブレーキ側クラッチ部は、回転が拘束された静止側部材を備え、その静止側部材は、ブレーキ側外輪およびカバーの外周に形成された切欠き凹部に、ブレーキ側側板の外周に形成された二股状の爪部を挿入してその先端部を外側へ拡開させて加締めることにより、ブレーキ側外輪とカバーを連結してブレーキ側側板と共に一体化した構造を具備する。
【0015】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明のクラッチユニットにおけるブレーキ側側板の二股状の爪部は、その二股状先端部の内側端面角部に面取りを施したことを特徴とする。なお、この面取りには、凸曲線状のものや直線テーパ状のものが可能である。
【0016】
本発明のクラッチユニットにおいて、ブレーキ側側板とブレーキ側外輪との組立工程における加締め工程では、ブレーキ側側板の爪部の二股状先端部を外側へ拡開させるように加締める。この爪部の加締め状態の良否確認は、加締め後における爪部の二股状先端部の内側端面角部の位置をリニアスケール(高さ測定器)で計測することから、本発明のように、ブレーキ側側板の爪部の二股状先端部の内側端面角部に面取りを施すことにより、加締め前と加締め後での爪部の二股状先端部の変位量が従来の場合よりも大きくなる。このように、加締め前と加締め後での爪部の二股状先端部の変位量が大きくなることで、ブレーキ側側板の製作における寸法公差があったとしても、加締め状態の良否を容易に判断することができる。
【0017】
本発明におけるブレーキ側側板の爪部は、その二股状先端部の外側端面で加締め根元部位に切欠きを形成することが望ましい。このように爪部の二股状先端部の外側端面で加締め根元部位に切欠きを形成すれば、爪部の二股状先端部を外側へ拡開させて加締める際に、その切欠きを起点として爪部の二股状先端部を外側へ拡開させ易くなる。その結果、加締め前と加締め後での爪部の二股状先端部の変位量をより一層大きくすることが可能となり、加締め状態の良否判断がより一層容易となる。
【0018】
このクラッチユニットにおけるレバー側クラッチ部は、レバー操作によりトルクが入力される入力側部材と、入力側部材からのトルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する連結部材と、入力側部材と連結部材間での係合・離脱により入力側部材からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子と、各係合子を円周方向に所定間隔で保持する保持器と、回転が拘束された静止側部材と、保持器と静止側部材の間に設けられ、入力側部材からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で保持器を中立状態に復帰させる第一の弾性部材と、入力側部材と静止側部材の間に設けられ、入力側部材からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で入力側部材を中立状態に復帰させる第二の弾性部材とを備えた構成が可能である。なお、このレバー側クラッチ部の係合子は円筒ころが望ましい。
【0019】
このクラッチユニットにおけるブレーキ側クラッチ部は、レバー側クラッチ部からのトルクが入力される連結部材と、トルクが出力される出力側部材と、回転が拘束された静止側部材と、その静止側部材と出力側部材間の楔すきまに配設され、両部材間での係合・離脱により前記連結部材からの入力トルクの伝達と出力側部材からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子とを備えた構成が可能である。なお、このブレーキ側クラッチ部の係合子は円筒ころが望ましい。
【0020】
本発明に係るクラッチユニットは、レバー側クラッチ部およびブレーキ側クラッチ部を自動車用シートリフタ部に組み込むことで自動車用途として適している。その場合、入力側部材が操作レバーに結合され、出力側部材が自動車用シートリフタ部のリンク機構に連結された構造となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ブレーキ側側板の爪部の二股状先端部の内側端面角部に面取りを施したことにより、加締め前と加締め後での爪部の二股状先端部の変位量を従来の場合よりも大きくすることができるので、ブレーキ側側板の製作における寸法公差が存在したとしても、爪部の加締め状態の良否を容易に判断することができる。
【0022】
その結果、爪部の加締め状態の良否を判断する作業の効率を向上させることができて作業の迅速化が図れ、その良否判断の信頼性を向上させることも可能となり、製品の歩留まりを向上できると共に高品質のクラッチユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明の実施形態におけるクラッチユニットXの全体構成を示す縦断面図、図2は図1に示すクラッチユニットXの右側面図、図3は図1に示すクラッチユニットXの左側面図、図4は図1のA−Aに沿う横断面図、図5は図1のB−B線に沿う横断面図である。また、図6〜図18はクラッチユニットXの主要な各構成部品を示す図である。図19〜図28はクラッチユニットXの主要な構成部品の組み付け状態を示す図である。
【0024】
クラッチユニットXは、例えばレバー操作により座席シートの高さ調整を行う自動車用シートリフタ部〔図29および図30(a)(b)参照〕に組み込まれる。このクラッチユニットXは、図1〜図5に示すように、入力側に設けられたレバー側クラッチ部11と、出力側に設けられた逆入力遮断機能のブレーキ側クラッチ部12とをユニット化した構成となっている。
【0025】
レバー側クラッチ部11は、図1、図2および図4に示すように、例えば操作レバー(図示せず)が連結された入力側部材としてのレバー側側板13およびレバー側外輪14と、そのレバー側外輪14からのトルクをブレーキ側クラッチ部12に伝達する連結部材としての内輪15と、その内輪15の外周面15aとレバー側外輪14の内周面14aとの間に形成された楔すきま20に配設された係合子としての例えば複数の円筒ころ16と、円筒ころ16を円周方向等間隔に保持する保持器17と、その保持器17を中立状態に復帰させるための第一の弾性部材である内側センタリングばね18と、レバー側外輪14を中立状態に復帰させるための第二の弾性部材である外側センタリングばね19とを有する。なお、後述の出力軸22の端部にウェーブワッシャ30を介してワッシャ31を圧入することにより、構成部品の抜け止めとしている(図1参照)。
【0026】
ロック型と称されるタイプで逆入力遮断機能を有するブレーキ側クラッチ部12は、図1、図3および図5に示すようにレバー側クラッチ部11からのトルクが入力される連結部材としての内輪15と、出力側部材としての出力軸22と、回転が拘束された静止側部材としてのブレーキ側外輪23、カバー24およびブレーキ側側板25と、そのブレーキ側外輪23と出力軸22間の楔すきま26に配設され、両部材間での係合・離脱により内輪15からの入力トルクの伝達と出力軸22からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子としての円筒ころ27と、各対の円筒ころ27間に介挿され、それら円筒ころ27同士に離反力を付勢する弾性部材としての例えば断面N字形の板ばね28とで主要部が構成されている。なお、出力軸22には突起22fが設けられ、この突起22fがクリアランスをもって挿入された孔15dが内輪15に設けられている(図1参照)。
【0027】
次に、このクラッチユニットXにおけるレバー側クラッチ部11およびブレーキ側クラッチ部12の主要な構成部品について詳述する。
【0028】
図6(a)(b)はレバー側クラッチ部11のレバー側側板13を示す。このレバー側側板13は、その中央部位に出力軸22および内輪15が挿通される孔13aが形成され、外周縁部に複数(例えば5つ)の爪部13bが突設されている。これらの爪部13bは、軸方向に屈曲成形されてその先端部を二股状とし、後述するレバー側外輪14の切欠き凹部14e〔図7(c)参照〕に挿入して二股状先端部を外側へ拡開させることにより、レバー側側板13をレバー側外輪14に加締め固定している。なお、図中の符号13cは、座席シートの高さ調整を操作するための操作レバー(図示せず)をレバー側側板13に取り付けるための複数(例えば4つ)の孔である。
【0029】
図7(a)〜(c)はレバー側外輪14を示す。このレバー側外輪14は、一枚の板状素材をプレス加工によりカップ状に成形したもので、中央部14cに出力軸22および内輪15が挿通される孔14bが形成され、その中央部14cから軸方向に延びる筒状部14dの内周には、複数のカム面14aが円周方向等間隔に形成されている(図4参照)。
【0030】
このレバー側外輪14の外周縁部には複数(例えば3つ)の爪部14f,14gが突設されて軸方向に屈曲成形されている。これら爪部14f,14gのうち、一つの爪部14fは、後述する外側センタリングばね19の二つの係止部19a〔図12(a)参照〕間に挿入配置されて係止され、残り二つの爪部14gは、後述するブレーキ側外輪23〔図15(b)参照〕の端面に接触した状態でレバー側外輪14の回転によりそのブレーキ側外輪23の端面上を摺動し、カバー24の外周に設けられた回転ストッパとしての二つの係止部24e,24f〔図16(b)参照〕と回転方向で当接可能とすることで、操作レバーの操作角度を規制するようにしている。
【0031】
また、レバー側外輪14の外周には、レバー側側板13の爪部13b〔図6(a)(b)参照〕が挿入される複数(図では5つ)の切欠き凹部14eが形成されている。この切欠き凹部14eに挿入されたレバー側側板13の爪部13bを加締めることによりレバー側側板13とレバー側外輪14が連結されている。レバー側外輪14とそのレバー側外輪14に加締め固定されたレバー側側板13とでレバー側クラッチ部11の入力側部材を構成している。
【0032】
図8(a)(b)は内輪15を示す。この内輪15は、出力軸22が挿通される筒状部15bの外径にレバー側外輪14のカム面14aとの間に楔すきま20(図4参照)を形成する外周面15aを備えている。また、筒状部15bの端部に拡径部15cが一体的に形成され、その拡径部15cに、ブレーキ側クラッチ部12の保持器として機能させるため、円筒ころ27および板ばね28を収容するポケット15eが円周方向等間隔に形成されている。なお、図中の符号15dは、出力軸22の突起22f(図1参照)がクリアランスをもって挿入される孔である。
【0033】
図9および図10(a)〜(c)は樹脂製の保持器17を示す。この保持器17は、円筒ころ16を収容する複数のポケット17aが円周方向等間隔に形成された円筒状部材である。この保持器17の一方の端部には、二つの切欠き凹部17bが形成され、それぞれの切欠き凹部17bの隣接する二つの端面17cに前述の内側センタリングばね18の係止部18aが係止される〔図10(b)参照〕。
【0034】
図11(a)(b)は内側センタリングばね18を示す。この内側センタリングばね18は、径方向内側に屈曲させた一対の係止部18aを有する断面円形のC字状ばね部材からなり、外側センタリングばね19の内径側に位置する(図27参照)。この内側センタリングばね18は、保持器17とブレーキ側クラッチ部12の静止側部材であるカバー24との間に配設され〔図28(a)(b)参照〕、両係止部18aが保持器17の二つの端面17c〔図9および図10(b)参照〕に係止されると共にカバー24に設けられた爪部24b〔図16(a)(b)参照〕に係止されている。
【0035】
この内側センタリングばね18では、レバー側外輪14からの入力トルクの作用時、一方の係止部18aが保持器17の一方の端面17cに、他方の係止部18aがカバー24の爪部24bにそれぞれ係合するので、レバー側外輪14の回転に伴って内側センタリングばね18が押し拡げられて弾性力が蓄積され、レバー側外輪14からの入力トルクの開放時、その弾性復元力により保持器17を中立状態に復帰させる。
【0036】
図12(a)(b)は外側センタリングばね19を示す。この外側センタリングばね19はC字状をなし、その両端を径方向外側に屈曲させた一対の係止部19aを有する帯板状ばね部材であり、内側センタリングばね18の外径側に位置する(図27参照)。外側センタリングばね19は、レバー側クラッチ部11のレバー側外輪14とブレーキ側クラッチ部12のカバー24との間に配設され、図27に示すように両係止部19aがレバー側外輪14に設けられた爪部14f〔図7(a)〜(c)参照〕に係止されると共にカバー24に設けられた爪部24d〔図16(a)(b)参照〕に係止されている。この係止部19aは、内側センタリングばね18の係止部18aに対して円周方向の位相(180°)をずらせて配置されている(図27参照)。
【0037】
この外側センタリングばね19では、レバー側外輪14から入力トルクが作用してレバー側外輪14が回転した場合、一方の係止部19aがレバー側外輪14の爪部14fに、他方の係止部19aがカバー24の爪部24dにそれぞれ係合するので、レバー側外輪14の回転に伴って外側センタリングばね19が押し拡げられて弾性力が蓄積され、レバー側外輪14からの入力トルクを開放すると、その弾性復元力によりレバー側外輪14を中立状態に復帰させる。
【0038】
図13(a)(b)および図14(a)〜(c)は出力軸22を示す。この出力軸22は、軸部22cから径方向外側に延びて拡径した大径部22dが軸方向ほぼ中央部位に一体的に形成されている。この軸部22cの先端には、シートリフタ部41と連結するためのピニオンギヤ41gが一体的に形成されている。
【0039】
大径部22dの外周面には複数(例えば6つ)の平坦なカム面22aが円周方向等間隔に形成され、ブレーキ側外輪23の内周面23bとの間で設けられた楔すきま26(図5参照)に二つの円筒ころ27および板ばね28がそれぞれ配されている。この大径部22dの一方の端面には、摩擦リング29が収容配置される環状凹部22bが形成されている。また、図中の符号22fは、大径部22dの他方の端面に形成された突起で、内輪15の孔15dにクリアランスをもって挿入される〔図1および図8(a)(b)参照〕。
【0040】
図15(a)(b)および図16(a)(b)はブレーキ側外輪23およびそのカバー24を示す。ブレーキ側外輪23は、一枚の素材をプレスで打ち抜き加工した厚肉の板状部材であり、カバー24は、一枚の別素材をプレス加工により成形したものである。図17(a)(b)はブレーキ側側板25を示す。前述のブレーキ外輪23とカバー24は、このブレーキ側側板25により一体的に加締め固定される。なお、図中の符号25bは出力軸22が挿通された孔、符号25cは後述の摩擦リング29の突起29aが嵌合する孔である。
【0041】
ブレーキ側外輪23の外周には複数(3個)の切欠き凹部23aが形成されると共に、これら切欠き凹部23aに対応させて、カバー24の外周にも複数(3個)の切欠き凹部24aが形成されている。図19(a)(b)に示すようにブレーキ側外輪23の切欠き凹部23aにブレーキ側側板25の爪部25aが挿入されると共に、図20に示すようにカバー24の切欠き凹部24aにブレーキ側側板25の爪部25aが挿入される。
【0042】
このブレーキ側側板25の二股状の爪部25aは、その二股状先端部25aの内側端面角部に凸曲線状、例えば、図21に示すようにR状の面取り25aを施している。なお、この面取り25aには、R状以外の他の凸曲線状や、図22に示すように直線テーパ状の面取り25a’も可能である。以下の実施形態では、R状の面取り25aを施した場合について説明するが、R状以外の他の凸曲線状や直線テーパ状の面取り25a’を施した場合も同様であるため、重複説明は省略する。
【0043】
これら切欠き凹部23a,24aに挿入されたブレーキ側側板25の爪部25aを加締めることによりブレーキ外輪23とカバー24を連結してブレーキ側側板25と共に一体化する。このブレーキ側側板25の爪部25aの加締めは、図23に示すように加締め治具50を利用することにより、その爪部25aの二股状先端部25aを外側へ拡開させることにより行われる(図24参照)。
【0044】
ブレーキ側側板25とブレーキ側外輪23との組立工程における加締め工程では、ブレーキ側側板25の爪部25aの二股状先端部25aを外側へ拡開させるように加締めた後、爪部25aの加締め状態の良否を確認するようにしている。この爪部25aの加締め状態の良否確認は、図23に示すように加締め前におけるブレーキ側側板25の爪部25aの二股状先端部25aの位置をリニアスケール51(高さ測定器)で計測した上で、加締め後における爪部25aの二股状先端部25aの内側端面角部(面取り25a)の位置をリニアスケール51(高さ測定器)で計測する。そして、この加締め前と加締め後での爪部25aの二股状先端部25aの変位量S(高さ寸法差)が規定値以上となっているか否かで加締め状態の良否を判断するようにしている。
【0045】
この実施形態の場合、ブレーキ側側板25の爪部25aの二股状先端部25aの内側端面角部にR状の面取り25aを施したことにより、加締め前と加締め後での爪部25aの二股状先端部25aの変位量Sが従来の場合における変位量S(図35参照)よりも大きくなる(S>S)。このように、加締め前と加締め後での爪部25aの二股状先端部25aの変位量Sが大きくなることで、ブレーキ側側板25の製作における寸法公差があったとしても、加締め状態の良否を容易に判断することができる。
【0046】
また、他の実施形態として、図25に示すようにブレーキ側側板25の爪部25aは、その二股状先端部25aの外側端面で加締め根元部位に切欠き25aを形成した形状としてもよい。このように爪部25aの二股状先端部25aの外側端面で加締め根元部位に切欠き25aを形成すれば、図26に示すように爪部25aの二股状先端部25aを外側へ拡開させて加締める際に、その切欠き25aを起点として爪部25aの二股状先端部25aを外側へ拡開させ易くなる。その結果、加締め前と加締め後での爪部25aの二股状先端部25aの変位量Sをより一層大きくすることが可能となり(S>S>S)、加締め状態の良否判断がより一層容易となる。
【0047】
ブレーキ側外輪23の内周面23bと出力軸22のカム面22aとの間に楔すきま26が形成されている(図5参照)。カバー24には軸方向に突出する爪部24bが形成され、その爪部24bをレバー側クラッチ部11の内側センタリングばね18の二つの係止部18a間に配置している〔図11(b)および図28(a)(b)参照〕。このカバー24の爪部24bは、その爪部形成位置の外径側を面起こしすることにより形成されている。カバー24の外周には軸方向に突出する爪部24dが形成されている。この爪部24dは、レバー側クラッチ部11の外側センタリングばね19の二つの係止部19a間に配置される〔図12(a)および図28(a)(b)参照〕。
【0048】
カバー24の外周には二組の係止部24e,24fが段付き加工により形成されている〔図28(a)(b)参照〕。これら係止部24e,24fは、カバー24がブレーキ側外輪23の端面に接触した状態でレバー外輪14の回転によりそのブレーキ側外輪23の端面上を摺動する爪部14gと回転方向で当接可能とすることで、操作レバーの操作角度を規制する回転ストッパとして機能する。つまり、操作レバーの操作によりレバー外輪14が回転すれば、その爪部14gがカバー24の係止部24eと24fとの間でカバー24の外周に沿って移動することになる。
【0049】
ブレーキ側側板25の外周には、シートリフタ部へのクラッチ取付部として、一つのフランジ部25eと二つのフランジ部25fが設けられている(図2〜図4参照)。これら三つのフランジ部25e,25fの先端部には、シートリフタ部への取付用孔25g,25hが穿設されてその取付孔25g,25hを囲撓するように円筒部25i,25jが軸方向に突設されている。
【0050】
図18(a)〜(c)は樹脂製の摩擦リング29を示す。摩擦リング29の端面には、その円周方向に沿って等間隔に円形の突起29aが複数個設けられ、この突起29aをブレーキ側側板25の孔25cに圧入して嵌合させることによりブレーキ側側板25に固着される(図1および図3参照)。
【0051】
この突起29aの圧入時、樹脂材による突起29aの弾性変形でもって孔25cとの嵌合状態が得られる。このように突起29aと孔25cの圧入嵌合構造を採用することにより、搬送時などの取り扱いで摩擦リング29がブレーキ側側板25から脱落することを未然に防止でき、組立時のハンドリング性を向上させることができる。
【0052】
この摩擦リング29は出力軸22の大径部22dに形成された環状凹部22bの内周面22eに締め代をもって圧入される〔図13(a)および図14(a)(b)参照〕。摩擦リング29の外周面29cと出力軸22の環状凹部22bの内周面22eとの間に生じる摩擦力によって、出力軸22に回転抵抗が付与される。
【0053】
この摩擦リング29の外周面29cには、複数の凹溝状のスリット29bが円周方向等間隔に形成されている(図5参照)。このようにスリット29bを設けることにより、摩擦リング29に弾性を持たせることができることから、出力軸22の内径公差および摩擦リング29の外径公差に対する摺動トルクの変化率が大きくなることはない。
【0054】
つまり、摩擦リング29の外周面29cと出力軸22の環状凹部22bの内周面22eとの間に生じる摩擦力によって付与される回転抵抗の設定範囲を小さくすることができて回転抵抗の大きさを適正に設定することが容易となる。また、そのスリット29bがグリース溜まりとなるので摩擦リング29の外周面29cが出力軸22の環状凹部22bの内周面22eとの摺動で摩耗することを抑制できる。
【0055】
以上の構成からなるクラッチユニットXにおけるレバー側クラッチ部11およびブレーキ側クラッチ12の動作を説明する。
【0056】
レバー側クラッチ部11では、レバー側外輪14に入力トルクが作用すると、円筒ころ16がそのレバー外輪14と内輪15間の楔すきま20に係合し、その円筒ころ16を介して内輪15にトルクが伝達されて内輪15が回転する。この時、レバー側外輪14および保持器17の回転に伴って両センタリングばね18,19に弾性力が蓄積される。その入力トルクがなくなると、両センタリングばね18,19の弾性力によりレバー側外輪14および保持器17が中立状態に復帰する一方で、内輪15は、与えられた回転位置をそのまま維持する。従って、このレバー側外輪14の回転繰り返し、つまり、操作レバーのポンピング操作により、内輪15は寸動回転する。
【0057】
ブレーキ側クラッチ部12では、出力軸22に逆入力トルクが入力されると、円筒ころ27がその出力軸22とブレーキ側外輪23間の楔すきま26と係合して出力軸22がブレーキ側外輪23に対してロックされる。従って、出力軸22からの逆入力トルクは、ブレーキ側クラッチ部12によってロックされてレバー側クラッチ部11への逆入力トルクの還流が遮断される。
【0058】
一方、レバー側外輪14からの入力トルクがレバー側クラッチ部11を介して内輪15に入力され、内輪15が円筒ころ27と当接して板ばね28の弾性力に抗して押圧することにより、その円筒ころ27が楔すきま26から離脱して出力軸22のロック状態が解除され、出力軸22は回転可能となる。内輪15がさらに回転すると、内輪15の孔15dと出力軸22の突起22fとのクリアランスが詰まって内輪15が出力軸22の突起22fと回転方向で当接することにより、内輪15からの入力トルクが突起22fを介して出力軸22に伝達され、出力軸22が回転する。
【0059】
以上で詳述した構造を具備するクラッチユニットXは、例えば自動車用シートリフタ部に組み込まれて使用される。図29は自動車の乗員室に装備される座席シート40を示す。座席シート40は着座シート40aと背もたれシート40bとで構成され、着座シート40aの高さHを調整するシートリフタ部41などを備えている。着座シート40aの高さHの調整はシートリフタ部41の操作レバー41aによって行う。
【0060】
図30(a)はシートリフタ部41の一構造例を概念的に示す。シートスライドアジャスタ41bのスライド可動部材41bにリンク部材41c,41dの一端がそれぞれ回動自在に枢着される。リンク部材41c,41dの他端はそれぞれ着座シート40aに回動自在に枢着される。リンク部材41cの他端はリンク部材41eを介してセクターギヤ41fに回動自在に枢着される。セクターギヤ41fは着座シート40aに回動自在に枢着され、支点41f回りに揺動可能である。リンク部材41dの他端は着座シート40aに回動自在に枢着される。
【0061】
前述した実施形態のクラッチユニットXは、着座シート40aの適宜の部位に固定される。このクラッチユニットXの着座シート40aへの固定は、ブレーキ側側板25の三つのフランジ部25e,25fを、その円筒部25i,25jの先端部分を外側へ拡径させるように塑性変形させることで着座シート40aのシートフレーム(図示せず)に加締め固定する。
【0062】
一方、レバー側クラッチ部11のレバー側側板13に例えば樹脂製の操作レバー41aが結合され、ブレーキ側クラッチ部12の出力軸22に回転部材であるセクターギヤ41fと噛合するピニオンギヤ41gが設けられている。このピニオンギヤ41gは、図1、図13(a)(b)および図14(a)(b)に示すように出力軸22の軸部22cの先端に一体的に形成されている。
【0063】
図30(b)において、操作レバー41aを反時計方向(上側)に揺動操作すると、その方向の入力トルクがクラッチユニットXを介してピニオンギヤ41gに伝達され、ピニオンギヤ41gが反時計方向に回動する。そして、ピニオンギヤ41gと噛合するセクターギヤ41fが時計方向に揺動して、リンク部材41cの他端をリンク部材41eを介して引っ張る。その結果、リンク部材41cとリンク部材41dが共に起立して、着座シート40aの座面が高くなる。
【0064】
このようにして、着座シート40aの高さHを調整した後、操作レバー41aを開放すると、操作レバー41aが二つのセンタリングばね18,19の弾性力によって時計方向に回動して元の位置(中立状態)に戻る。なお、操作レバー41aを時計方向(下側)に揺動操作した場合は、上記とは逆の動作によって、着座シート40aの座面が低くなる。また、高さ調整後に操作レバー41aを開放すると、操作レバー41aが反時計方向に回動して元の位置(中立状態)に戻る。
【0065】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態におけるクラッチユニットの全体構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1の左側面図である。
【図4】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図6】(a)はレバー側側板を示す断面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図7】(a)はレバー側外輪を示す断面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。
【図8】(a)は内輪を示す断面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図9】保持器を示す斜視図である。
【図10】(a)は保持器を示す断面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の断面図である。
【図11】(a)は内側センタリングばねを示す正面図、(b)は(a)の右側面図である。
【図12】(a)は外側センタリングばねを示す側面図、(b)は(a)の部分拡大下面図である。
【図13】(a)は出力軸を一方の側から見た斜視図、(b)は出力軸を他方の側から見た斜視図である。
【図14】(a)は出力軸を示す断面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。
【図15】(a)はブレーキ側外輪を示す断面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図16】(a)はカバーを示す断面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図17】(a)はブレーキ側側板を示す断面図、(b)は(a)の右側面図である。
【図18】(a)は摩擦リングを示す正面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。
【図19】(a)はブレーキ側側板にブレーキ側外輪を組み付ける前の状態を示す斜視図、(b)はブレーキ側側板にブレーキ側外輪を組み付けた後の状態を示す斜視図である。
【図20】ブレーキ側側板にブレーキ側外輪およびカバーを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図21】ブレーキ側側板の爪部の一例で、その爪部をブレーキ側外輪およびカバーの切欠き凹部に挿入した状態を示す部分拡大側面図である。
【図22】ブレーキ側側板の爪部の変形例で、その爪部をブレーキ側外輪およびカバーの切欠き凹部に挿入した状態を示す部分拡大側面図である。
【図23】ブレーキ側側板の爪部の一例をブレーキ側外輪およびカバーの切欠き凹部に挿入した状態でその爪部の加締め前と加締め後の状態を比較した部分拡大側面図である。
【図24】ブレーキ側側板とブレーキ側外輪とカバーを加締めにより一体化した状態を示す斜視図である。
【図25】ブレーキ側側板の爪部の他の変形例で、その爪部をブレーキ側外輪およびカバーの切欠き凹部に挿入した状態を示す部分拡大側面図である。
【図26】ブレーキ側側板の爪部の他の変形例をブレーキ側外輪およびカバーの切欠き凹部に挿入した状態でその爪部の加締め前と加締め後の状態を比較した部分拡大側面図である。
【図27】図1のC−C線に沿う断面図である。
【図28】(a)はブレーキ側側板、ブレーキ側外輪、カバーおよび内側センタリングばねに対して保持器を組み付ける前の状態を示す斜視図、(b)はブレーキ側側板、ブレーキ側外輪、カバーおよび内側センタリングばねに対して保持器を組み付けた後の状態を示す斜視図である。
【図29】自動車の座席シートを示す概念図である。
【図30】(a)はシートリフタ部の一構造例を示す概念図、(b)はその要部拡大図である。
【図31】従来のクラッチユニットの全体構成を示す縦断面図である。
【図32】図31のD−D線に沿う横断面図である。
【図33】図31のE−E線に沿う横断面図である。
【図34】従来のクラッチユニットにおけるブレーキ側側板の爪部で、その爪部をブレーキ側外輪およびカバーの切欠き凹部に挿入した状態を示す部分拡大側面図である。
【図35】従来のクラッチユニットにおけるブレーキ側側板の爪部をブレーキ側外輪およびカバーの切欠き凹部に挿入した状態でその爪部の加締め前と加締め後の状態を比較した部分拡大側面図である。
【符号の説明】
【0067】
11 レバー側クラッチ部
12 ブレーキ側クラッチ部
13 入力側部材(レバー側側板)
14 入力側部材(レバー側外輪)
15 連結部材(内輪)
16 係合子(円筒ころ)
17 保持器
18 第一の弾性部材(内側センタリングばね)
19 第二の弾性部材(外側センタリングばね)
22 出力側部材(出力軸)
23 静止側部材(ブレーキ側外輪)
23a 切欠き凹部
24 静止側部材(カバー)
24a 切欠き凹部
25 静止側部材(ブレーキ側側板)
25a 爪部
25a 二股状先端部
25a 面取り
27 係合子(円筒ころ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側に設けられ、レバー操作により出力側への回転トルクの伝達・遮断を制御するレバー側クラッチ部と、出力側に設けられ、前記レバー側クラッチ部からの入力トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とからなり、
前記ブレーキ側クラッチ部は、回転が拘束された静止側部材を備え、その静止側部材は、ブレーキ側外輪およびカバーの外周に形成された切欠き凹部に、ブレーキ側側板の外周に形成された二股状の爪部を挿入してその先端部を外側へ拡開させて加締めることにより、前記ブレーキ側外輪とカバーを連結してブレーキ側側板と共に一体化し、
前記ブレーキ側側板の二股状の爪部は、その二股状先端部の内側端面角部に面取りを施したことを特徴とするクラッチユニット。
【請求項2】
前記爪部は、その二股状先端部の内側端面角部に凸曲線状の面取りを施した請求項1に記載のクラッチユニット。
【請求項3】
前記爪部は、その二股状先端部の内側端面角部に直線テーパ状の面取りを施した請求項1に記載のクラッチユニット。
【請求項4】
前記爪部は、その二股状先端部の外側端面で加締め根元部位に切欠きを形成した請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
【請求項5】
前記レバー側クラッチ部は、レバー操作によりトルクが入力される入力側部材と、入力側部材からのトルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する連結部材と、前記入力側部材と連結部材間での係合・離脱により入力側部材からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子と、各係合子を円周方向に所定間隔で保持する保持器と、回転が拘束された静止側部材と、前記保持器と静止側部材の間に設けられ、入力側部材からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で保持器を中立状態に復帰させる第一の弾性部材と、前記入力側部材と静止側部材の間に設けられ、入力側部材からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で入力側部材を中立状態に復帰させる第二の弾性部材とを備えている請求項1〜4のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
【請求項6】
前記ブレーキ側クラッチ部は、レバー側クラッチ部からのトルクが入力される連結部材と、トルクが出力される出力側部材と、回転が拘束された静止側部材と、その静止側部材と出力側部材間の楔すきまに配設され、両部材間での係合・離脱により前記連結部材からの入力トルクの伝達と出力側部材からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子とを備えている請求項1〜4のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
【請求項7】
前記レバー側クラッチ部の係合子あるいはブレーキ側クラッチ部の係合子の少なくとも一方を円筒ころとした請求項5又は6に記載のクラッチユニット。
【請求項8】
前記レバー側クラッチ部とブレーキ側クラッチ部が自動車用シートリフタ部に組み込まれている請求項1〜7のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
【請求項9】
前記レバー側クラッチ部の入力側部材が操作レバーに結合され、前記ブレーキ側クラッチ部の出力側部材が自動車用シートリフタ部のリンク機構に連結されている請求項8に記載のクラッチユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2009−299868(P2009−299868A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157894(P2008−157894)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】