説明

クランク軸用軸受装置

【課題】2分割型転がり軸受を用いたクランク軸用軸受装置に発生する過摩耗部分の発生を防止して、軸受装置の耐久性を向上させる。また、軸受装置の組付けを容易にする。
【解決手段】ジャーナルキャップ12をシリンダブロック30の下部ジャーナル支持壁34にボルト14で締付け固定する。ジャーナルキャップ12に設けられた半筒状凹面12aと下部ジャーナル支持壁34に設けられた半筒状凹面34aを対接して円筒状の保持面16を形成する。保持面16にクランク軸のジャーナル部36を囲繞したニードルベアリング24を収容する。ニードルベアリング24のアウターレース22を長辺分割片22aと短辺分割片22bとで2分割し、両分割片22a〜bの合わせ面26a〜bをジャーナル部36の中心Oを通る平面Cに対して傾斜すると共に、垂線Pに対して短辺分割片22b側に傾斜した平面とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に装備された内燃機関(エンジン)のクランク軸を転がり軸受を用いて支持するクランク軸用軸受装置及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載された内燃機関のクランク軸は、クランクアームやバランスウェイトが径方向外側に張り出し、端部にはフライホィール等の大径部が装着されている。このため、クランク軸を支持する軸受は、これらの張出部や大径部を通過させて内側軸受部やジャーナル部に装着できないため、2分割されてクランク軸に装着される。
【0003】
従来、かかるクランク軸の軸受にはすべり軸受が用いられていた。しかし、すべり軸受は、回転時の摩擦抵抗が大きく、かつ境界面に油膜を形成する必要があり、始動時にこの油膜形成に時間がかかる等の問題があった。
そこで、最近では、摩擦抵抗が少なく、始動のための準備時間を要しない転がり軸受を用い、これによって、車両の低燃費化を図ることが提案されている。
【0004】
特許文献1(特開2008−232279号公報)に、内燃機関のクランク軸を回転可能に支持する軸受装置として、2分割されたニードルベアリングを用いた例が開示されている。この軸受装置を図6により説明する。図6において、ニードルベアリング108は、シリンダブロック102の固定部104及びその固定部104に対応するジャーナルキャップ106と、クランク軸100のジャーナル部100aとの間に介装される。クランク軸100は、クランクピン100bやカウンターウェイト100c等を備えている。
【0005】
ニードルベアリング108は、周方向に2分割されて半筒状をなす一対の分割片110a及び110bで形成される2分割型のアウターレース110と、該アウターレース110の内周面を軌道面とする複数のころ(ニードル)112と、複数のころ112を周方向に所定間隔で保持すると共に、周方向に分離されて半環状をなす一対の分離片114a及び114bで形成される保持器114とを備えている。保持器114には、半径方向の内外に貫通する複数のポケット部Pが周方向に沿って等間隔で設けられ、この各ポケット部P内にころ112が収容されている。ころ112は、アウターレース110の内周面及びジャーナル部100aの外周面に夫々形成された軌道面間で転動する。
【0006】
ニードルベアリング108は、固定部104に設けられた半筒状を呈する凹面104aと、ジャーナルキャップ106に設けられた半筒状を呈する凹面106aとが対面配置して形成される円筒状保持面に保持される。即ち、一対の分割片110a、110bで構成されるアウターレース110が固定部104及びキャップ106に一体的に固定され、ジャーナル部100aが内輪として相対回転可能に連結される。固定部104にボルト116に対応する雌ネジ穴104hが形成されており、ジャーナルキャップ106に形成された挿通孔106hを介してボルト116が締結される。
【0007】
特許文献2(特開2003−214442号公報)には、ニードルベアリングを用いた2分割型クランク軸用軸受装置が開示されている。転がり軸受の中でも、ニードルベアリングは、断面高さが小さいので、軸受スペースを節約でき、クランク室の小形軽量化を可能すると共に、負荷容量や最大許容荷重等が大きい等の長所をもっている。
【0008】
特許文献2には、背景技術として、「分割型転がり軸受は、クランク軸等の被装着部材に組み付けた状態で軌道面の真円度が低下したり、軌道面の分割線部分に微小な段差が生じることがある。これによって、転動体が強く擦り付けられる部分が軌道面に生じ、長期間に亘って使用することにより、軌道面及び転動体の転動面がうろこ状に剥離するフレーキング現象が発生しやすくなって、軸受の耐久性が著しく低下してしまう。軌道面の真円度が低下したり、軌道面の分割線部分に微小な段差が生じる原因は、軌道面の硬度を向上させるために熱処理を行なったときの残留応力が分割時に開放され、分割された軌道輪半部の形状が僅かに歪むためと考えられる。」と記述されている。
【0009】
そこで特許文献2に開示された軸受は、軌道輪を夫々半円筒形状の分割体に2分割し、クランク軸への装着時に2個の軌道輪半部の合わせ面に段差部を形成し、この段差部を利用して軌道輪半部を互いに嵌合させ位置決めさせることにより、ころ軌道面の真円度を確保し、分割部分を段差のない滑らかな面に形成できるようにしている。以下、図7により、特許文献2に開示された軸受のアウターレースの合わせ面の構成を説明する。
【0010】
図7において、アウターレース120を構成する一対の分割片120a及び120bの合わせ面122は、アウターレース120の内周面124から径方向外側へ延びる第1の分割面126a及び126bと、この第1の分割面126a、126bの先端から周方向へ延びる第2の分割面128a及び128bと、この第2の分割面128a、128bの先端から径方向外側へ延びる第3の分割面130a及び130bとで形成されている。
【0011】
分割片120a及び120bをクランク軸のジャーナル部100aに組み付けた状態で、第1の分割面126a、126bは、互いに押圧し合うように形成されている。第2の分割面128a及び128bは、前記組み付け状態で互いに接触し、径方向に対する分割片120aと分割片120bとの相対的な移動を規制している。第3の分割面130a及び130bは、隙間sを隔てて対向しており、分割片120a、120bの周方向への相対的な移動を許容するように形成されている。
【0012】
このように、第3の分割面130a、130b間に隙間sを形成することによって、分割片120a、120bを互いに嵌合させたときに、第1の分割面126a、126b同士を確実に対接できるようにすると共に、前記組み付け状態で、分割片120a、120b間に生じる押圧力を第1の分割面126a、126bのみに作用させるようにしている。
【0013】
かかる構成によって、実際にクランク軸に組み付けていない仮組付けの状態でも、合わせ面122を周方向と径方向の両方向で位置決めできるので、クランク軸に組み付けた状態と同一の状態に位置決めできる。このため、仮組付けの状態で軌道面に熱処理や研磨などを施してアウターレース120の内周面を最終仕上げ形成した後、軌道輪半部を互いに分離させて被装着部材に装着する。これによって、ころ軌道面の真円度を確保し、分割部分を段差のない滑らかな面に形成できるので、クランク軸が回転するときの抵抗を軽減し、クランク軸の高速回転を可能にしている。なお、転がり軸受を構成するアウターレースは、一般に、アルミ製のシリンダブロックに対して高い硬度を有する鋼製とすることにより、転がり軸受の強度を確保している。
【0014】
アウターレースを構成する分割片の加工は、自然割り加工と機械割り加工とがある。このうち自然割り加工は、焼入れ、焼鈍しされた部材の片面又は両面にノッチ部を形成し、該ノッチ部にくさびの打ち込み等で集中応力を発生させ、破断させるものである。機械割り加工は、ワイヤーカット等を用いて切断する加工である。自然割り加工は、破断面に結晶粒の境界に沿う微細な凹凸が形成されるので、破断された分割片の合わせ面の位置決めが容易になるという利点がある。自然割り加工は、例えば特許文献3(実公昭63−46725号公報)及び特許文献4(特開平10−184674号公報)に開示されている。
【0015】
クランク軸用軸受装置では、シリンダブロック102の固定部104に設けられる半筒状の凹面104aと、ジャーナルキャップ106に設けられる半筒状の凹面106aが形成する円筒形状の保持面の真円度を維持するために、ジャーナルキャップ106をボルト116でシリンダブロック102に締付け固定した状態で、該凹面104a及び106aを加工する方法が採用されている。また、破断後の分割片の合わせ面の位置決めを容易にするため、アウターレース110を自然割り加工で2分割している。
【0016】
図8に、前記凹面104a及び106aを加工した後、ニードルベアリング108をクランク軸のジャーナル部100aに装着した状態を示す。図8において、ジャーナルキャップ106とシリンダブロックの固定部104との接触面117a〜bは、水平面H上に位置し、分割片110a〜bが互いに当接する合わせ面118a〜bは、水平面Hから周方向にずらした位置に配置されている。即ち、該合わせ面及び中心Oを通る平面Cは、クランク軸のジャーナル部100aの中心Oを中心として水平面Hから時計方向に角度α(例えば5〜10°)だけ傾けた位置にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2008−232279号公報(図4)
【特許文献2】特開2003−214442号公報
【特許文献3】実公昭63−46725号公報
【特許文献4】特開平10−184674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図9は、ニードルベアリング108をボルト116でシリンダブロックに締付け固定する前後の凹面104a及び106aの形状変化を示す。図9中、Pは中心Oを通る垂線であり、Dは締付け固定前、Eは締付け固定後の凹面104a、106aの形状を示す。図示のように、締付け固定前の凹面形状Dは、上下方向に伸びた瓢箪形をし、その後、ボルト116による締付けにより、上下方向から締付け力(図10中の力F)が付加されることにより、締付け固定後の凹面形状Eは、凹面104a、106aの真円度が戻る形状となる。このように、凹面104a、106aは、ニードルベアリング108を締付け固定した後真円となるように加工してあるため、締付け固定前は、瓢箪形となる。
【0019】
そのため、締付け固定前に分割片110a〜bを凹面104a、106aに装着しようとすると、該分割片に水平方向両側から挟み込む力が加わる。この挟み込み力が分割片110a〜bに作用する影響を避けるため、アウターレース110の合わせ面118a〜bは、接触面117a〜bから角度αだけずらした位置に配置している。
【0020】
合わせ面118a〜bを水平面Hより時計方向に角度αだけずらしてあるため、分割片110aの一方の端部110aが分割片110b側に先に進入する。このとき、凹面104a、106aの挟み込み力の影響及び分割片自体の残留応力により、該端部110aが浮き上がり、分割片110bの端面との間でズレGを生じる(図11参照)。このズレGにより、他方の合わせ面118bでもズレが発生する。合わせ面118a〜bのズレ量は、通常5〜40μm(0.005mm〜0.04mm)(合わせ面118a及び118bにおけるズレ量Gの合計値)程度になる。
【0021】
ニードルベアリング108をシリンダブロックに締付け固定した後、上下方向から凹面104a、106aに締付け力Fが付加されて、凹面104a、106aの真円度が戻るが、合わせ面118a〜bのズレが小さくならない場合がある。合わせ面118a〜b間にズレを生じたままニードルベアリング108がジャーナル部100aに装着されると、軸受108に摩擦部分が発生する。そのため、ころ112等に過摩耗部分が発生し、これによって、ニードルベアリング108が損傷したり、その耐久性が低下するおそれが出てくる。
【0022】
特許文献2に開示されたアウターレース分割片の合わせ面は、3つの分割面で構成された複雑な形状をしているため、隙間sの形成など精密な加工を要する。そのため、加工に時間と手間がかかり、高コストとなる。また、合わせ面に段差部を設けるため、合わせ面にズレが生じたときに、ズレの方向によっては該段差部が障害となってズレの解消が困難になる虞がある。
【0023】
また、図6に示すように、2分割型転がり軸受をクランク軸に組み付ける場合に、アウターレース110の分割片110a〜bや保持器114の分離片114a〜b、及びジャーナルキャップ106をシリンダブロック102側から順々に組み付けていく必要がある。この組み付け工程に多くの時間と労力が費やされる。また、分割片110a〜bや分離片114a〜bの合わせ面のズレや各部品の軸方向のズレを目視で確認することが困難であり、これら部品の位置ズレ防止に多大の労力を必要としていた。
【0024】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、クランク軸を支承する軸受に2分割型の転がり軸受を用いた場合、シリンダブロックに装着した後のアウターレースの合わせ面のズレをなくし、これによって、軸受構成部品に発生する偏摩擦力に起因した過摩耗部分の発生を防止し、軸受構成部品の損傷を防ぎ、軸受の耐久性を向上させることを目的とする。
また、2分割型転がり軸受をシリンダブロックに組み付ける作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
かかる目的を達成するため、本発明のクランク軸用軸受装置は、
内燃機関のクランク軸を分割型転がり軸受で回転可能に支持させ、該分割型転がり軸受をシリンダブロックに固定するクランク軸用軸受装置において、
前記分割型転がり軸受のアウターレースを周方向に長い長辺分割片と周方向に短い短辺分割片とで構成し、長辺分割片と短辺分割片とが接する合わせ面をアウターレースを囲むシリンダブロックとキャップ部材との接触面から離れた位置に配置すると共に、該長辺分割片が該短辺分割片を外側から囲むようにクランク軸の中心を通る平面に対して傾斜させるように構成したものである。
【0026】
前述のように、シリンダブロック及びキャップ部材に設けられた半筒状凹面の組立前後の形状変化により、2分割型転がり軸受には水平方向から挟み込み力が加わる。本発明の軸受装置は、長辺分割片と短辺分割片とが接する合わせ面をシリンダブロックとキャップ部材との接触面から離れた位置に配置したことにより、該挟み込み力の影響を抑えて、該合わせ面のズレを少なくすることができる。
【0027】
また、クランク軸の中心を通る平面に対して合わせ面を傾斜させることにより、両分割片の合わせ面同士が嵌りやすくなるため、突合せ時のズレを少なくすることができる。そのため、締付け固定前の合わせ面のズレを少なくできるので、締付け固定時に付加される締付け力によって、締付け固定後の合わせ面のズレを無くすことができる。従って、転がり軸受の構成部品に偏摩擦力が発生せず、過摩耗部分が発生しないので、転がり軸受の損傷をなくし、軸受の耐久性を向上させることができる。
また、合わせ面が傾斜しているので、両分割片の突合せが互いの合わせ面を滑らすことによって、スムーズに行なうことができる。さらに、該合わせ面の加工は、自然割り加工等で簡単に加工できるので、加工費が低コストとなる。
【0028】
また、該合わせ面を長辺分割片が該短辺分割片を外側から囲むようにクランク軸の中心を通る平面に対して傾斜させているので、長辺分割片の外側からの挟み込み力で短辺分割片をクランク軸の外周面に組み付けておくことができる。そのため、長辺分割片及びその外側に装着されるキャップ部材の挟み込み力により、クランク軸の外周面に転がり軸受及びキャップ部材を一時的に組み付けておくことが可能になる。そして、この組立体をその状態で、各部品の軸線方向のズレや長辺分割片と短辺分割片との合わせ面のズレを矯正しながらシリンダブロックに組み付けることが可能になる。これによって、シリンダブロックへの軸受装置の組み付け時間を短縮できる。
【0029】
本発明の軸受装置において、長辺分割片と短辺分割片との合わせ面をシリンダブロックとキャップ部材との接触面に対して、共にシリンダブロック側に配置するか又は共にキャップ部材側に配置するとよい。これによって、長辺分割片の挟み込み力によって短辺分割片を安定して支持でき、クランク軸への転がり軸受の一時組付け状態を安定して維持できる。
【0030】
前記構成に加えて、長辺分割片を組付け時にクランク軸の上方に配置すると共に、短辺分割片をクランク軸の下方に配置し、両分割片の合わせ面を垂直方向より短辺分割片側に傾斜させ、長辺分割片で短辺分割片を支持させるようにするとよい。短辺分割片をクランク軸外周面の下方に配置するときは、該合わせ面を垂直方向より短辺分割片側に傾斜させることにより、短辺分割片の重量より大きな保持力を発生できる。これによって、短辺分割片の落下を防止して、クランク軸への一時組付け状態を安定して維持できる。
【0031】
あるいは、長辺分割片を組付け時にクランク軸の下方に配置すると共に、短辺分割片をクランク軸の上方に配置し、両分割片の合わせ面を垂直方向より短辺分割片側に傾斜させ、長辺分割片で短辺分割片を支持させるようにするとよい。短辺分割片をクランク軸の上方に配置すれば、短辺分割片をクランク軸で支えることができるので、短辺分割片を安定してクランク軸に保持できる。これによって、転がり軸受をクランク軸に安定して一時組付け状態を安定して維持できる。
【0032】
本発明の軸受装置において、長辺分割片又は短辺分割片とシリンダブロックとが接する面に、一方に位置決め用ノックピンを突設すると共に、他方に該位置決め用ノックピンの挿入穴を設けるようにするとよい。これによって、シリンダブロックに対するシリンダブロックと接する長辺分割片又は短辺分割片の位置決めが容易になるので、シリンダブロックに対する転がり軸受の周方向の位置合わせが容易になる。
【0033】
本発明の軸受装置において、長辺分割片及び短辺分割片を円筒状のアウターレース素材から自然割り加工で分割形成するとよい。これによって、分割面に生じた結晶粒に沿う微細な凹凸が生じるので、軸受装置の組付け時に、両分割片の位置決めを容易にすると共に、この微細凹凸により合わせ面のズレを抑制する作用を生む利点がある。
【0034】
本発明の軸受装置において、長辺分割片及び短辺分割片の合わせ面に、アウターレースの軸方向に沿って互いに嵌合する凹凸面を形成するとよい。これによって、長辺分割片と短辺分割片の組付け時に、該凹凸面により分割片の軸方向の位置決めが容易になり、分割片の軸方向の位置ズレをなくすことができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明のクランク軸用軸受装置によれば、内燃機関のクランク軸を分割型転がり軸受で回転可能に支持させ、該分割型転がり軸受をシリンダブロックに固定するクランク軸用軸受装置において、分割型転がり軸受のアウターレースを周方向に長い長辺分割片と周方向に短い短辺分割片とで構成し、長辺分割片と短辺分割片とが接する合わせ面をアウターレースを囲むシリンダブロックとキャップ部材との接触面から離れた位置に配置すると共に、該長辺分割片が該短辺分割片を外側から囲むようにクランク軸の中心を通る平面に対して傾斜させるように構成したことにより、シリンダブロック及びキャップ部材の形状変化により生じた挟み込み力の影響を抑えることができると共に、両分割片の合わせ面同士が嵌りやすくなるため、突合せ時の合わせ面のズレを少なくできる。従って、締付け固定時に付加される締付け力によって、締付け固定後の合わせ面のズレを無くすことができる。
【0036】
従って、転がり軸受の構成部品に偏摩擦力が発生せず、過摩耗部分が発生しないので、転がり軸受の損傷をなくし、軸受の耐久性を向上させることができる。また、合わせ面が傾斜しているので、両分割片の突合せをスムーズに行なうことができる。さらに、該合わせ面の加工が低コストで済むという利点がある。
【0037】
また、該合わせ面を長辺分割片が該短辺分割片を外側から囲むようにクランク軸の中心を通る平面に対して傾斜させているので、長辺分割片の挟み込み力により短辺分割片の保持が可能になる。そのため、クランク軸に軸受構成部品の一時的な仮組付けが可能になるので、このような仮組付けをした後、各部品の軸方向のズレや長辺分割片と短辺分割片との合わせ面のズレを矯正しながら、この仮組付け品をシリンダブロックに締付け固定することにより、2分割型転がり軸受のシリンダブロックへの装着時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の軸受装置の第1実施形態に係る正面図である。
【図2】前記第1実施形態の合わせ面26aの拡大図である。
【図3】本発明の軸受装置の第2実施形態に係る正面図である。
【図4】本発明の軸受装置の第3実施形態に係るアウターレースの斜視図である。
【図5】前記第3実施形態の変形例に係るアウターレースの斜視図である。
【図6】従来のクランク軸用軸受装置を展開して示す斜視図である。
【図7】従来のクランク軸用軸受のアウターレースの合わせ面の断面図である。
【図8】従来のクランク軸用軸受装置の正面図である。
【図9】従来のクランク軸用軸受を収容するシリンダブロック側保持面の形状変化を示す説明図である。
【図10】図8のクランク軸用軸受装置のアウターレースの挙動を示す説明図である。
【図11】図10中のB部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0040】
(実施形態1)
本発明のクランク軸用軸受装置の第1実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、シリンダブロック30に組み付けられた本実施形態のクランク軸用軸受装置10を示し、エンジンへのクランク軸の組付け時の姿勢で図示している。図2〜5も同様の姿勢で図示している。図1において、シリンダブロック30の一部を構成するクランクケース32の内部で、クランクケース32と一体成形された上部ジャーナル支持壁34に半筒状の凹面34aが設けられている。上部ジャーナル支持壁34の下面34bにジャーナルキャップ12が接触し、上部ジャーナル支持壁34とジャーナルキャップ12とは、ボルト14で締付け固定されている。上部ジャーナル支持壁34の下方にはシリンダ室38が設けられている。
【0041】
ジャーナルキャップ12には半筒状の凹面12aが設けられ、凹面34aと凹面12aとは互いに対接して円筒状の保持面16を形成している。半環状の保持器18a及び18bがそれらの端面で互いに突き合わされ、環状の保持器18を形成して保持面16に収容されている。保持器18a、18bには、夫々小径で細長いニードル形の多数のころ(ニードル)20が回転可能に取り付けられている。
【0042】
保持器18の外周面には、長辺分割片22aと短辺分割片22bとからなるアウターレース22が配設されている。保持器18、ころ20及びアウターレース22でニードルベアリング24を構成している。アウターレース22の内周面がころ20の軌道面を形成し、クランク軸のジャーナル部36の外周面をころ20で回転可能に支持している。前述のように、ニードルベアリングは、断面高さが小さいので、軸受スペースを節約でき、クランク室の小形軽量化を可能すると共に、負荷容量や最大許容荷重等が大きい等の長所をもっている。
【0043】
長辺分割片22aは周方向に中心角が180°を超えた円弧状の長辺を有し、短辺分割片18bは、周方向に中心角が180°に満たない円弧状の短辺を有している。そして、これら分割片の両端は合わせ面26a、26bで対接している。合わせ面26a、26bは、共に凹面34aに収容されている。合わせ面26a、26bの位置は、水平面Hから下方にずらしており、図9中の点Iに当る位置に配置されている。点Iの位置は、軸受108をボルト116でシリンダブロックに締付け固定する前後で、凹面104a、106aの形状が変わらない位置である。
【0044】
また、合わせ面26a、26bは、ジャーナル部36の中心Oを通る平面Cに対して傾斜し、かつ垂線Pに対して短辺分割片18b側に角度β(鋭角)だけ傾斜した平面をなしている。即ち、合わせ面26a、26bは、ジャーナル部36の中心Oを通る垂線Pに対して、その位置及び傾きが互いに対称となるように配置されている。
【0045】
長辺分割片18a及び短辺分割片18bは、円筒状の鋼製素材を合わせ面26a、26bで自然割り加工して分割形成している。即ち、該鋼製素材の片面又は両面の所定位置にノッチ部を形成し、該ノッチ部にくさびの打ち込み等で集中応力を発生させ、所望角度の傾斜面となるように破断させている。なお、短辺分割片22bの外周面中央には、ノックピン28が突設され、凹面34aには、ノックピン28に対応する位置にノックピン挿入穴35が穿設されている。ニードルベアリング24をシリンダブロック30に装着する際に、ノックピン28をノックピン挿入穴35に挿入することで、アウターレース22の周方向の位置合わせが容易になる。
【0046】
次に、軸受装置10のシリンダブロック30への組付け手順を説明する。まず、クランク軸のジャーナル部36の外周面にころ20が付いた2個の半環状の保持器18a〜bでジャーナル部36を囲繞する。次に、保持器18の周囲に長辺分割片22aと短辺分割片22bとを組み付ける。このとき、合わせ面26a、26bを介して長辺分割片22aで短辺分割片22bを両側から挟むようにし、長辺分割片22aの残留応力により短辺分割片22bに挟み込み力を付与する。長辺分割片22aの開口幅は保持器18の外周面より小さいので、長辺分割片22aの弾性を利用し、長辺分割片22aの両端を広げてジャーナル部36に嵌合する。
【0047】
合わせ面26a、26bは、垂線Pに対して短辺分割片18b側に角度βだけ傾斜した平面をなしているので、短辺分割片22bは合わせ面26a、26bで長辺分割片18aによって係止され、落下しない。また、長辺分割片22aは、加工時の残留応力により縮径方向へ変形しているので、この変形による挟み込み力を加わって短辺分割片22bをジャーナル部36の外周面に安定保持できる。
【0048】
次に、長辺分割片22aの外側にジャーナルキャップ12を装着する。ジャーナルキャップ12は、図9に示すように、残留応力により凹面12aの内側方向に変形する形状変化が起きているので、ジャーナルキャップ12を長辺分割片22aの外周面に配置すると、長辺分割片22aを挟み込む挟み込み力が生じる。従って、この状態で仮の一時組み付けが可能になる。ここで各部材の軸方向ズレや長辺分割片22aと短辺分割片22bとの合わせ面26a、26bのズレが無いことを確認する。次に、この仮組み付けの状態で、ジャーナルキャップ12を上部ジャーナル支持壁34にボルト14で締付け固定する。
【0049】
本実施形態によれば、図2に示すように、長辺分割片22aと短辺分割片22bとを保持器18の外周面に配置するとき、短辺分割片22bの先端が長辺分割片22aの傾斜面上を円滑に滑って突き合わされるので、両分割片の突合せ時、合わせ面26a、26bに生じるズレ量は少なくなる。また、合わせ面26a、26bが水平面Hから離れ、特に合わせ面26a、16bの位置が、ニードルベアリング24をボルト14でシリンダブロックに締付け固定する前後で、凹面104a、106aの形状が変わらない位置に配置されているので、凹面104a、106aの形状変化に起因した挟み込み力を受けない。そのため、仮組付け時の合わせ面26a、26bに生じるズレ量は少ない。
【0050】
従って、ニードルベアリング24をシリンダブロック30にボルト14で締付け固定し、ニードルベアリング24にボルト14の締付け力(図10の力F)が付加された時、合わせ面26a、26bのズレは解消する。従って、ニードルベアリング24の構成部品に偏摩擦力が発生せず、過摩耗部分が発生しないので、転がり軸受の損傷をなくし、かつ軸受の耐久性を維持することができる。また、合わせ面26a、26bを傾斜させるだけの加工で済むので、低コストで加工できる。
【0051】
また、合わせ面26a、26bが共に凹面34a側に配置されているので、長辺分割片22aによって短辺分割片22bを安定支持できる。また、垂線Pに対して短辺分割片22b側に角度βだけ傾斜した平面をなしているので、仮組付けの状態で短辺分割片22bを保持器18の外周面に確実に保持できる。さらに、長辺分割片22a及びジャーナルキャップ12の残留応力により、内側部品に対する挟み込み力が生じるので、ジャーナル部36にニードルベアリング24及びジャーナルキャップ12を装着した状態で、これらを同時にシリンダブロック30に組み付けることができる。そのため、シリンダブロック30への軸受装置10の組み付け時間が短縮される。
【0052】
さらに、短辺分割片22bに位置決め用ノックピン28を設け、凹面34aにノックピン挿入穴35を設けたことにより、ニードルベアリング24のシリンダブロック30への位置決めが容易になる。また、長辺分割片22aと短辺分割片22bとを自然割り加工により、分割したので、分割面に結晶粒に沿う微細な凹凸が生じ、この微細な凹凸により両合わせ面26a〜bの位置合わせが容易になると共に、該合わせ面のズレをさらに抑制できる。
【0053】
(実施形態2)
次に、本発明の軸受装置の第2実施形態を図3により説明する。図3において、本実施形態は、アウターレース22を構成する長辺分割片22aと短辺分割片22bのうち、長辺分割片22aが上部ジャーナル支持壁34の凹面34aに収容され、短辺分割片22bがジャーナルキャップ12の凹面12aに収容されている。即ち、長辺分割片22aと短辺分割片22bとの合わせ面26a、26bが、凹面12a側に位置している。この点で、前記第2実施形態と異なる。その他の構成は第1実施形態と同一である。
【0054】
合わせ面26a、26bは、ジャーナル部36の中心Oを通る平面Cに対して傾斜し、かつ垂線Pに対して短辺分割片22b側に角度γだけ傾斜した平面である。本実施形態では、短辺分割片22bがジャーナル部36の上方に配置されているため、短辺分割片22bの重量は、保持器18a支持される。そのため、短辺分割片22bの落下を防止する保持力は、前記第1実施形態と比べて低減できる。従って、傾斜角γは、第1実施形態の傾斜角βと小さくでき、γ<βとすることができる。
【0055】
本実施形態の軸受装置10のシリンダブロック30への組付け手順は、第1実施形態と同一である。本実施形態では、ジャーナルキャップ12と長辺分割片22aの配置がジャーナル部36を挟んで対面配置される。そのため、ジャーナルキャップ12の残留応力による内側部品に対する挟み込み力と、長辺分割片22aの残留応力による内側部品に対する挟み込み力とがジャーナル部36を挟んで両側から働くので、一時組付け時の組付け体の組付け力を増大できる利点がある。そのほか、本実施形態でも、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、前記組付け手順と別な組付け手順も可能であり、以下、別な組付け手順を説明する。まず、ジャーナル部36に保持器18a、18bと長辺分割片22aとを保持器18a、18bから順に組み付ける。この組付け後の組付け体をクランク軸ごとシリンダブロック30に装着する。次に、短辺分割片22bを保持器18aの外側に配置し、さらに短辺分割片22bの外側にジャーナルキャップ12を装着し、ジャーナルキャップ12をボルト14で上部ジャーナル支持壁34に締付け固定する。
【0057】
この組付け手順によれば、短辺分割片22bの装着時、合わせ面26a、26bのズレや長辺分割片22aと短辺分割片22bの軸方向のズレの有無を目視で確認できるので、短辺分割片22bを正しい位置に装着できる。そのため、組付け時の合わせ面26a〜bのズレを解消するのが第1実施形態より容易になる。その他、本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
(実施形態3)
次に、本発明の軸受装置の第3実施形態を図4により説明する。図4は、ニードルベアリングのアウターレースの斜視図である。図4において、アウターレース40は、ジャーナルキャップ側に配置された長辺分割片42aと、シリンダブロック側に配置された短辺分割片42bとからなる。長辺分割片42aと短辺分割片42bとが接する合わせ面44a〜bは、アウターレース40の中心Oを通る平面Cに対して傾斜しており、かつ垂線Pに対して短辺分割片42b側に角度βだけ傾斜した平面をなしている。この合わせ面の構成は、前記第1実施形態と同一である。
【0059】
本実施形態では、合わせ面44a〜bを、アウターレース40の軸線Aの方向に沿って、長辺分割片22aに形成された山形凹面46aと、短辺分割片22bに形成された山形凸面46bとを形成している。山形凹凸面46a、46bは互いに嵌合する形状をなしている。そのため、長辺分割片42aと短辺分割片42bとは、円筒状のアウターレース素材を機械割り加工で長辺分割片42aと短辺分割片42bとに分割したものである。
【0060】
本実施形態では、軸受装置10の組付け時に、該山形凹凸面46a〜bを互いに嵌合させることにより、合わせ面44a、44bの位置決めが、自然割り加工したときよりさらに容易になる利点がある。
【0061】
図5は、前記第3実施形態の変形例を示している。図5において、本変形例は、前記第3実施形態と同様に、長辺分割片42aと短辺分割片42bとを機械割り加工で分割したものである、そして、長辺分割片42aと短辺分割片42bとの合わせ面44a、44bに、アウターレース40の軸方向に沿って、長辺分割片22aに段差状凹面48aを形成し、短辺分割片22bに段差状凸面48bを形成したものである。段差状凹凸面48a、48bは互いに嵌合する形状をなしている。その他、合わせ面44a〜bの配置又は傾斜角等の構成は、第3実施形態と同一である。
【0062】
本変形例では、軸受装置10の組付け時に、該段差状凹凸面48a、48bを互いに嵌合させることにより、合わせ面26a、26bの位置決めが、自然割り加工したときよりさらに容易になる利点がある。
【0063】
なお、前記第1〜3実施形態は、いずれもシリンダブロック30内に設けられた上部ジャーナル支持壁34の下面にジャーナルキャップ12を装着する例であるが、本発明は、シリンダブロック30内に設けられた下部ジャーナル支持壁の下面にジャーナルキャップ12を装着した場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によれば、内燃機関のクランク軸の軸受として、2分割型転がり軸受を用いた場合に、軸受構成部品の偏摩耗をなくし、該部品の損傷を防止して、軸受の耐久性を向上できると共に、転がり軸受のシリンダブロックへの組付けを容易にすることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 クランク軸用軸受装置
12,106 ジャーナルキャップ(キャップ部材)
12a、34a 凹面
14,116 ボルト
16 保持面
18,18a、18b、114a、114b 保持器
20,112 ころ
22,40 アウターレース
22a、42a 長辺分割片
22b、42b 短辺分割片
24,108 ニードルベアリング
26a、26b 合わせ面
28 ノックピン
30,102 シリンダブロック
32 クランクケース
34 上部ジャーナル支持壁
35 ノックピン挿入穴
36 ジャーナル部
38 シリンダ室
44a、44b 合わせ面
46a 山形凹面
46b 山形凸面
48a 段差状凹面
48b 段差状凸面
100 クランク軸
100a ジャーナル部
110a、110b アウターレース
A 軸線
C 平面
H 水平面
O ジャーナル部中心
G ズレ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のクランク軸を分割型転がり軸受で回転可能に支持させ、該分割型転がり軸受をシリンダブロックに固定するクランク軸用軸受装置において、
前記分割型転がり軸受のアウターレースを周方向に長い長辺分割片と周方向に短い短辺分割片とで構成し、長辺分割片と短辺分割片とが接する合わせ面をアウターレースを囲むシリンダブロックとキャップ部材との接触面から離れた位置に配置すると共に、該長辺分割片が該短辺分割片を外側から囲むようにクランク軸の中心を通る平面に対して傾斜させるように構成したことを特徴とするクランク軸用軸受装置。
【請求項2】
前記合わせ面を前記接触面に対して共にシリンダブロック側に配置するか又は共にキャップ部材側に配置したことを特徴とする請求項1に記載のクランク軸用軸受装置。
【請求項3】
前記長辺分割片を組付け時にクランク軸の上方に配置すると共に、前記短辺分割片をクランク軸の下方に配置し、前記合わせ面を垂直方向より短辺分割片側に傾斜させ、長辺分割片で短辺分割片を支持させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のクランク軸用軸受装置。
【請求項4】
前記長辺分割片を組付け時にクランク軸の下方に配置すると共に、前記短辺分割片をクランク軸の上方に配置し、前記合わせ面を垂直方向より短辺分割片側に傾斜させ、長辺分割片で短辺分割片を支持させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のクランク軸用軸受装置。
【請求項5】
前記長辺分割片又は短辺分割片とシリンダブロックとが接する面に、一方に位置決め用ノックピンを突設すると共に、他方に該位置決め用ノックピンの挿入穴を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載のクランク軸用軸受装置。
【請求項6】
前記長辺分割片及び短辺分割片を円筒状のアウターレース素材から自然割り加工で分割形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載のクランク軸用軸受装置。
【請求項7】
前記長辺分割片及び短辺分割片の合わせ面に、アウターレースの軸方向に沿って互いに嵌合する凹凸面を形成させたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載のクランク軸用軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−38572(P2011−38572A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185308(P2009−185308)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】