説明

クランク駆動装置

本発明は、特にハウジングによって形成され得るフレームを有し、フレーム上に位置的に固定されて取り付けられたロッカー(1)を有し、フレーム上に位置的に固定して取り付けられるとともに駆動出力を形成するクランク(3)を有し、ロッカー(1)およびクランク(3)を接続するカプラ(5)を有し、カプラ(5)が、クランク(3)とロッカー(1)の位置固定取付部(2)とは反対側の端部とに、各々関節式に接続され、クランク(3)を駆動するために、移動可能に取り付けられたピストン(13)を有する第1シリンダ(12)が設けられ、ピストン(13)およびロッカー(1)が、プッシュロッド(14)を介して互いに関節式に接続され、それにより、ピストン(13)の軸方向運動によりロッカー(1)が振動搖動運動し、ロッカー(1)が、ロッカー(1)の位置固定取付部から離れておりかつカプラ(5)に向かって固定角度で傾斜する、部分(8)を備える、クランク駆動装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、クランク駆動装置に関する。クランク駆動装置は、特にハウジングによって形成され得るフレームと、フレームの固定位置に取り付けられたロッカーとを備える。クランク駆動装置は、クランクをさらに有し、クランクは、フレームの固定位置に取り付けられ駆動出力を形成する。カプラがロッカーおよびクランクを接続する。この目的で、カプラは、クランクと、ロッカーの位置固定取付部とは反対側の端部とに、それぞれ関節式に接続されている。
【背景技術】
【0002】
この種のクランク駆動装置は、線形振動運動を円運動に変換するために用いられる。たとえば、独国実用新案第1698561号明細書は、トグル継手のようにカプラによってクランクシャフトに各々接続される2つのロッカーを有する、死点位置のない二重クランク駆動装置を示している。二重クランク駆動装置を作動する人は、自身の手または足を用いてロッカーに圧力および張力を加える。得られるロッカーの振動搖動運動は、ロッカーをクランクシャフトに接続するそれぞれのカプラによってクランクシャフトの回転運動に変換される。
【0003】
このクランク駆動装置の不都合は、特に、長いレバーとしてのロッカーの設計であり、これらのロッカーは、加えられる力を駆動出力シャフトに伝達する必要がある。レバーが長い結果、示されているクランク駆動装置にはかなりの空間が必要であり、このレバーは小型設計を妨げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国実用新案第1698561号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の目的は、単純な構造のクランク駆動装置であって、その小型設計を通して新たな使用の可能性を広げるクランク駆動装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載のクランク駆動装置によって達成される。本発明の有利な実施形態および発展形態は、従属項から明らかとなろう。
【0007】
本発明による解決法の本質的な態様は、クランクを駆動するために、移動可能に取り付けられたピストンを有する第1シリンダが設けられることと、ピストンおよびロッカーがコネクティングロッドによって関節式に互いに接続されており、その結果、ピストンの軸方向運動によりロッカーが振動搖動運動することと、である。
【0008】
本発明による解決法の1つの主な利点は、小型設計にも関らず、圧力媒体によって作動するシリンダ内に大きい力を蓄積することができるということである。特に、圧力シリンダを平坦構造とすることができ、その結果、本発明によるクランク駆動装置は、全体的な高さが特に小さくなる。
【0009】
圧力シリンダにより、ロッカーを短いレバーアームとして設計することができる。シリンダのピストンによってロッカーに加えることができる力によって、クランクに大きいトルクをもたらすのに、小さいレバーで十分である。さらに、ロッカーおよびカプラからなるトグル継手型機構は、クランクに加えられるトルクを増大させる。ロッカーおよびカプラを次第に真直ぐになるように位置合せすることにより、急激に上昇するトルクがクランクに伝達される。
【0010】
設計に関して特に単純なこの方法では、クランク駆動装置の小型寸法にも関らず、クランクにおいて生成される利用可能なトルクは高い。本発明によるクランク駆動装置の別の利点は、圧力シリンダを制御することが容易であることである。さらに、シリンダを、その線形振動軸方向運動の終点間で種々の速度で作動させることができ、したがって、トグル継手型機構のさまざまな角度位置および得られるクランクの回転に対して最適であるように調整することができる。
【0011】
したがって、本発明によるクランク駆動装置はモータを形成し、それは、その小型設計、特にその特に平坦な設計により広範囲の可能な用途を提供する。
【0012】
ロッカーは、ロッカーの位置固定取付部から離れており、かつカプラに向かって固定角度で屈曲している部分を備えている。この屈曲により、ロッカーの長手方向軸とロッカーの位置固定取付部から離れているロッカーのその部分の長手方向軸とは、互いに対して斜めに位置合せされる。ロッカーとカプラに向かって傾斜しているその部分とは、好ましくは一体設計である。
【0013】
ロッカーのカプラに向かう傾斜により、ロッカーとカプラとの間のトグル−レバー型継手に鈍角がもたらされる。その結果、継手は、クランクの大きい回転角度にわたってトグルレバー効果に対して有利な角度範囲で移動する。したがって、トグルレバーの力の増大が、クランクの回転中に、より大きく効力を発揮する。
【0014】
特に、本発明によるクランク駆動装置を、屈曲部分の長さを変更し、かつ/またはその角度位置をロッカーの長手方向軸に向かって変化させることにより、単純な方法でそれぞれの使用条件に一致させることができる。それにより、特に高いトルクが伝達されるクランクの回転の角度を定義することが厳密に可能である。
【0015】
第1シリンダのストローク軸が、ロッカーに垂直な面に対して斜めの角度で位置合せされる場合にさらに有利である。選択される角度が鋭角であるほど、クランク駆動装置の軸方向の幅の低減が大きくなる。このように、本発明による圧力駆動式モータを、さらに小型にすることができる。
【0016】
コネクティングロッドが、ロッカーが屈曲する箇所に関節式に取り付けられる場合、さらに特に有利である。ピストンに作用する横方向の力は、シリンダの効率において重大な役割を果たす。ピストンの軸方向運動中に、ピストンをロッカーに接続するコネクティングロッドがストローク軸に対して鋭利に角度が付けられるほど、横方向の力が大きくなる。したがって、ピストンのストローク軸の位置、位置固定取付部の位置、およびロッカーへの関節式取付の位置を、コネクティングロッドが、ロッカーの搖動運動中にストローク軸に対して可能な限り小さい角度のずれでその運動を行うように、互いに対して位置合せすることが特に有利である。ロッカーが屈曲する箇所におけるコネクティングロッドの本発明による関節式取付により、クランク駆動装置の軸方向の幅を低減するようにシリンダを位置決めすることができ、同時に、シリンダのこの構成に対してロッカーに対し最大のレバー作用を利用して、ピストンに対して小さい横方向の力を達成することができる。
【0017】
ロッカーが、第2シリンダに含まれる第2ピストンに関節式に接続され、第2シリンダがロッカーの第1シリンダとは反対側に配置される場合、さらに特に有利である。第2シリンダにより、クランク駆動装置に対する空間要件を大幅に増大させることなく、クランクに作用しているトルクを増大させることがさらに可能である。第1シリンダおよび第2シリンダと言及する、本出願で選択されたシリンダの名称は、いかなる特別な機能にも関連付けられておらず、置き換えることができる。
【0018】
コネクティングロッドが、ロッカーの延長部に関節式に取り付けられ、前記延長部が、いずれの場合もロッカーに対して横方向に配置される場合、有利である。これは、コネクティングロッドの関節式取付箇所の領域においてロッカーの断面の減少を抑制し、ロッカーの脆弱化を防止する。
【0019】
ロッカーの横方向延長部が、カプラに向かって傾斜するロッカーの部分の上に配置される場合、さらに特に有利である。
【0020】
第1シリンダおよび第2シリンダが、ロッカーの長手方向軸に沿って互いに対して角度をなして配置され、ロッカーの搖動軸のより近くに位置する方のシリンダのピストンのストロークが、他方のシリンダのピストンのストロークより小さい場合、有利である。
【0021】
第1シリンダのストローク軸が、第2シリンダのストローク軸に対して斜めの角度である場合、さらに特に有利である。これにより、各個々のシリンダを、そのピストンに作用する横方向の力が最小化するように位置決めすることが可能になる。
【0022】
クランクの死点位置が、ピストンの軸方向運動の反転の上位点で交差する場合に有利である。これにより、ピストンの初期軸方向運動を通して増大したトルクを即座に伝達することが可能になる。
【0023】
特に好ましい実施形態では、シリンダは燃焼機関の一部である。したがってピストンおよびシリンダは、点火のために空気/燃料混合物が導入される燃焼室を形成する。燃焼機関のピストンは、空気/燃料混合物の燃焼によって生成される圧力により、その下死点位置の方向に駆動される。燃焼室の容積が増大すると、燃焼室の圧力はそれにしたがって低減する。同時に、ピストンの運動は、トグルレバーの角度、したがってその力伝達の角度を変化させる。
【0024】
ピストンの上死点位置から下死点位置までの運動中、トグルレバーの角度は、ロッカーにおける本発明による屈曲のために、真直ぐなロッカーを有するクランク駆動装置の場合より大きく真直ぐになる。したがって、トグルレバーは、ピストンのストローク全体にわたってトグルレバー効果に対し比較的より有利な角度で設定される。特に、混合物の点火の直後にピストンを駆動する高圧は、より真直ぐなトグルレバーのために、よりよく力伝達しやすい。
【0025】
本発明のさらなる利点および特徴は、以下の説明からかつ図面に示す実施形態から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】クランクがシリンダによって駆動される、本発明によるクランク駆動装置の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示すクランク駆動装置は、搖動軸2によってフレーム(図示せず)の一端の固定位置に取り付けられているロッカー1を備えている。クランク駆動装置からの駆動出力はクランク3を介して発生し、クランク3は、その枢軸4によってフレーム上に、同様に固定位置に、取り付けられている。搖動軸2および枢軸4は、互いに平行に位置合せされている。カプラ5が、ロッカー1の長手方向軸7に対して角度が付けられた部分8に、継手6によって接続されている。
【0028】
角度付き部分8は、カプラ5に対して一定角度で、ロッカー1の長手方向軸7に対して傾斜しており、好ましくは、ロッカー1と一体的に具現化されている。その結果、カプラ5に向かって角度が付けられた部分8の長手方向軸9と、カプラ5の長手方向軸10との間に、クランク3の回転運動によって変化する角度aが形成される。クランク3の回転運動中、角度aは、ロッカー1の延長した長手方向軸7とカプラ5の長手方向軸10との間の角度より鈍角である。真直ぐなロッカー、すなわち角度付き部分のないロッカーによってもたらされ得るトグルレバー効果と比較して、角度付き部分8により継手6において作用しているトグルレバー効果が増大する。
【0029】
さらに、ロッカー1の長手方向軸7とカプラ5の長手方向軸10との間の角度により、搖動軸2におけるロッカー1の位置固定取付部と、枢軸4におけるクランク3の位置固定取付部との間の距離を短くすることができる。これにより、本発明によるクランク駆動装置の小型設計を維持しながら、トグルレバー効果を増大させることができる。一定角度のサイズは、トグルレバーにおける所望の力伝達および/または設計の所望の長さ短縮化に従って選択される。実施形態では、それは約15度である。
【0030】
カプラ5の継手6とは反対側の端部において、前記カプラは、クランク3の外側領域に関節式に接続されている。この継手11を介してクランク3に作用する力により、クランク3の回転運動がもたらされ、それは、本発明によるモータの駆動出力軸へ伝達される。
【0031】
圧力媒体と、コネクティングロッド14によってロッカー1に関節式に取り付けられているピストン13とを充填することができるシリンダ12は、ロッカー1の駆動入力として提供される。コネクティングロッド14とロッカー1との間の継手15が、ロッカー1とその角度付き部分8との間の屈曲部分に位置している。ピストン13が完全に後退すると、シリンダ12のストローク軸16は、ロッカー1に対して垂直な平面に対して斜めに位置合せされる。
【0032】
トグルレバー効果は、角度aが真直ぐになる領域において導入される力を大幅に増大させる。クランク3に加えられる合力は、式F=G/(2×cos a/2)に従って計算され、ここで、Gはピストンを介してロッカーに作用する力であり、Fは合力である。したがって、角度aが真直ぐになるほど、合力Fによってクランク3に加えられるトルクがすべてより大きくなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にハウジングによって形成され得るフレームを有し、前記フレーム上の固定位置に取り付けられたロッカー(1)を有し、前記フレーム上の固定位置に取り付けられるとともに駆動出力を形成するクランク(3)を有し、前記ロッカー(1)および前記クランク(3)を接続するカプラ(5)を有し、前記カプラ(5)が、前記クランク(3)と前記ロッカー(1)の位置固定取付部(2)とは反対側の端部とに、各々関節式に接続され、前記クランク(3)を駆動するために、移動可能に取り付けられたピストン(13)を有する第1シリンダ(12)が設けられ、前記ピストン(13)および前記ロッカー(1)が、コネクティングロッド(14)によって関節式に互いに接続され、その結果、前記ピストン(13)の軸方向運動により前記ロッカー(1)が振動搖動運動する、クランク駆動装置であって、前記ロッカー(1)が、前記ロッカー(1)の前記位置固定取付部から離れておりかつ前記カプラ(5)に向かって固定角度で傾斜する、部分(8)を備えることを特徴とする、クランク駆動装置。
【請求項2】
前記ロッカー(1)および前記離れている部分(8)が一体設計であることを特徴とする、請求項1に記載のクランク駆動装置。
【請求項3】
前記コネクティングロッド(14)が、前記ロッカー(1)が屈曲する箇所において関節式に取り付けられていることを特徴とする、請求項2に記載のクランク駆動装置。
【請求項4】
前記第1シリンダ(12)のストローク軸(16)が、前記ロッカー(1)に対して垂直な平面に対して斜めの角度で位置合せされることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクランク駆動装置。
【請求項5】
前記ロッカー(1)が、第2シリンダに含まれる第2ピストンに関節式に接続され、前記第2シリンダが、前記ロッカー(1)の前記第1シリンダ(12)とは反対側に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のクランク駆動装置。
【請求項6】
前記コネクティングロッド(14)が、各々、前記ロッカー(1)の延長部に関節式に取り付けられ、前記延長部が前記ロッカー(1)に対して横方向に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のクランク駆動装置。
【請求項7】
前記ロッカー(1)の前記横方向延長部が、前記カプラ(15)に向かって傾斜している前記ロッカー(1)の前記部分(8)の上に配置されることを特徴とする、請求項6に記載のクランク駆動装置。
【請求項8】
前記第1シリンダ(12)および前記第2シリンダが、前記ロッカー(1)の前記長手方向軸(1)に沿って互いに対して角度をなして配置され、前記第1シリンダ(12)の前記ピストン(13)のストロークが前記第2シリンダの前記ピストンのストロークより大きいことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載のクランク駆動装置。
【請求項9】
前記第1シリンダ(12)の前記ストローク軸(16)が、前記第2シリンダのストローク軸に対して斜めの角度にあることを特徴とする、請求項8に記載のクランク駆動装置。
【請求項10】
前記クランク(3)の死点位置が、前記少なくとも1つのピストン(13)の軸方向運動の反転の上位点で交差することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のクランク駆動装置。
【請求項11】
前記ピストン(13)が燃焼機関内に配置されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のクランク駆動装置。

【図1】
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【公表番号】特表2012−533023(P2012−533023A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519939(P2012−519939)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052479
【国際公開番号】WO2011/006683
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512009805)
【Fターム(参考)】