説明

クランプリフト

【課題】クランプアームを損傷させることなく、床面に散乱する物体を効率的に掻き集めるクランプリフトの提供。
【解決手段】クランプリフトのクランプアーム13には、下面から下方に突出する突出部材22を設ける。クランプアーム13の先端部下面には、床面Fとの距離を測定する距離センサ31を設ける。クランプリフトは、クランプアーム13で床面Fに散乱した物体を掻き集める前に、距離センサ31で測定した距離Hが、突出部材22の突出長さhよりも小さく、長さh/2よりも大きくなるように、クランプアーム13を昇降させる。そしてクランプアーム13が床面Fに接触せず、突出部材22が床面Fに接触する状態で散乱した物体を掻き集めるようクランプリフトを走行させる。これにより、クランプアーム13は床面Fに接触せず損傷することがなく、突出部材22により散乱した物体の捕集効率を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クランプリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
リサイクル工場やゴミ処理場では、古紙、パルプ、空き缶などの廃棄物を直方体状の塊に圧縮して、クランプリフトにて移送することが行われている。廃棄物の塊を移送すると、廃棄物の屑が床に散乱することがある。そのため、散乱した屑を人手により掻き集めている。しかし、人手により屑を掻き集める作業は効率が悪いため、例えば特許文献1に示すようにフォークリフトが使用されている。特許文献1のベールクランプアタッチメントを装着したフォークリフト(クランプリフト)は、アーム(クランプアーム)でブレード装置やバケット装置をクランプしている。そしてブレード装置やバケット装置をクランプした状態でフォークリフトを走行させて、ブレード装置やバケット装置で床に散乱した空き缶や紙屑を掻き集めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−226197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のフォークリフトは、空き缶や紙屑を掻き集める際にブレード装置やバケット装置、さらにはアームが損傷する虞がある。空き缶や紙屑を掻き集める際には、ブレード装置およびバケット装置を床にできるだけ隙間なく接近させてフォークリフトを走行させる。すると、走行する路面状態が悪い場合にはフォークリフトが振動してクランプアームに取り付けたブレード装置もしくはバケット装置が床と接触し、そのブレード装置もしくはバケット装置の床と接触した部分が凹んだり欠けたりすることがある。また、ブレード装置やバケット装置が床面と接触すると、その衝撃は、ブレード装置やバケット装置を支えるフォークリフトのアームに加わり、アームが損傷する虞がある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、クランプアームを損傷させることなく、床面に散乱する物体を効率的に掻き集めることが可能なクランプリフトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のクランプリフトは、クランプアームと、クランプアームを保持するベースと、ベースを昇降させる昇降手段と、弾性材よりなるとともにクランプアームまたはベースに取り付けられるクランプアームおよびベースの下端よりも下方に突出する突出部材と、クランプアームもしくはベースの下端と床面との距離を測定する距離測定手段と、クランプアームおよびベースを床面に接触させない状態で距離測定手段で測定される距離が突出部材の突出長さ以下となるよう昇降手段を制御する高さ制御手段とを備えることを特徴とする。
高さ制御手段は、クランプアームおよびベースを床面に接触させない状態で突出部材が床面に接触するよう昇降手段を昇降制御するため、クランプアーム及びベースを直接床面に接触させることなく、突出部材により床面に散乱する物体を掻き集めることができる。さらに、弾性材よりなる突出部材は、床面に接触した際には弾性変形してその接触にともなう衝撃を緩和するので、床面から受ける衝撃がクランプアームおよびベースに加わることで該クランプアームおよびベースが損傷することを防止できる。
【0007】
また、本発明のクランプリフトの突出部材は、先端に複数の弾性毛を有するブラシ状部材であることを特徴とする。先端に複数の弾性毛を有するブラシ状部材は、箒と同様の効果を有するので、床面に散乱する物体を掻き集める効率を向上させることができる。また、突出部材を先端に複数の弾性毛を有するブラシ状部材としたので、突出部材が床面に接触した場合には、先端の弾性毛が弾性変形して床面への接触により加わるクランプアームへの衝撃を緩和することができる。
【0008】
また、本発明のクランプリフトにおける高さ制御手段は、距離測定手段により測定される距離が、突出部材の突出長さの半分以上且つ前記突出部材の突出長さ以下となるよう昇降手段を制御することを特徴とする。高さ制御手段は、クランプアームもしくはベースの下端と床面との距離が突出部材の突出長さ以下、且つ、突出長さの半分以上となるよう昇降手段を制御するので、突出部材を床面に確実に接触させることができる。そのため、クランプアームおよびベースが床面と接触して損傷することを確実に防防止するとともに、床面に散乱する物体を効果的に集めることができる。
【0009】
また、本発明のクランプリフトにおける距離測定手段は、クランプアームの下端またはベースの下端における最も床面に近接可能な位置に設けられた少なくとも一つの距離センサを備えることを特徴とする。
したがって、クランプリフトのマストがティルト操作された状態で、高さ制御手段による昇降制御が行われたとしても、クランプアームの下端もしくはベースの下端が床面に接触することを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、クランプアームを損傷させることなく、床面に散乱する物体を効率的に掻き集めることが可能なクランプリフトを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るクランプリフトの概要を示す側面図である。
【図2】図1におけるクランプ装置の概要を示す斜視図である。
【図3】(a)クランプ装置のベースを示す斜視図である。(b)ベースの側面図である。
【図4】(a)クランプ装置の右側のクランププレートを示す斜視図である。(b)左側のクランププレートを示す斜視図である。
【図5】クランプ装置の側面図である。
【図6】図5のA−A断面を示す断面図である。
【図7】実施形態の作用に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るクランプリフトを図に基づいて説明する。
図1に示すクランプリフト1は、車両前部にマスト2を有している。マスト2はリフトシリンダ3により昇降自在である。運転席には、リフトレバー7が設けられている。リフトレバー7を操作すると、リフトシリンダ3が伸縮しマスト2を昇降させることができる。クランプリフト1の車体には、制御装置8が設けられている。制御装置8は、マスト2の昇降やクランプリフト1の走行など、クランプリフト1全体の駆動を制御するものである。制御装置8には、クランプリフト1の各部の寸法や制御に用いる数値を記憶しておくメモリ8Aが備えられている。また、運転席には、マスト2の昇降の制御に関するスイッチ9が設けられている。スイッチ9は制御開始の指示を制御装置8に送るものである。なお、本実施形態における昇降手段は、マスト2、リフトシリンダ3、リフトレバー7および制御装置8により構成されている。また、制御装置8およびメモリ8Aにより高さ制御手段が構成されている。
【0013】
マスト2の下部前面には、取り付け部10を介して図2に示すクランプ装置11がマスト2と一体に昇降自在に設けられる。取り付け部10の前面には、ベース12が固定されている。ベース12は、クランプ装置11が備える左右一対のクランプアーム13(13R、13L)を保持するものである。図3(b)に示すように、ベース12には、クランプアーム13を保持するためのホルダ部12A、12B、12C、12Dが形成されている。ホルダ部12A、12B、12C、12Dは、断面がベース12の前面側に開口を有する空間である。ベース12は、ホルダ部12Bとホルダ部12Cとの間にシリンダ部12Eが形成されている。シリンダ部12Eは、クランプアーム13を開閉するためのクランプシリンダ14を固定するための空間である。シリンダ部12Eには、クランプシリンダ14を固定するためのブラケット14Aが設けられている。なお、クランプシリンダ14は、右のクランプアーム13Rに対応したクランプシリンダ14Rと、左のクランプアーム13Lに対応したクランプシリンダ14Lが設けられている。
【0014】
ベース12の下端部には、凹み部12Fが形成されている。凹み部12Fは、断面T字型の切り欠き溝である。凹み部12Fには、断面T字型の突出部材21が挿入されている。突出部材21は、ベース12の下端である下面よりも下方に突出している。そして、突出部材21は、ブラシ状部材であり、弾性材から形成されている。本実施形態の突出部材21は、弾性毛として無数の糸状繊維を集めて形成されたブラシである。突出部材21は、上部で糸状繊維を樹脂部材にて束ねられており、先端である下部は拘束されていない自由状態である。突出部材21は、ベース12の横方向全幅に渡って同一断面形状に形成されている。なお、突出部材21の上下方向の長さは、ベース12がマスト2の下端に下降されたときに、突出部材21の下端が床面Fに少なくとも当接するよう設定されている。
【0015】
図4に示すようにクランプアーム13R、13Lの後端部における上下方向の略中央には、ブラケット15R、15Lが設けられている。ブラケット15Rには、図3(a)に示すクランプシリンダ14Rのシリンダロッドの先端部が接続される。ブラケット15Lには、クランプシリンダ14Lのシリンダロッドの先端部が接続される。クランプアーム13Rには、ブラケット15Rの上側に上レール16Rが、下側には下レール17Rが設けられている。また、クランプアーム13Lには、ブラケット15Lの上側に上レール16Lが、下側には下レール17Lが設けられている。上レール16R、16Lには、上面にローラ18およびスライドブシュ19が設けられている。下レール17R、17Lには、下面にローラ18およびスライドブシュ19が設けられている。図5は、クランプアーム13R、13Lがベース12に組み付けられた状態である。
【0016】
上レール16Rはホルダ部12A内を左右方向にスライドし、上レール16Lはホルダ部12B内を左右方向にスライドする。また、下レール17Rはホルダ部12C内をスライドし、下レール17Lはホルダ部12D内をスライドする。ローラ18は、クランプシリンダ14を伸縮させたときに、上レール16R、16Lおよび下レール17R、17Lをそれぞれのホルダ部12A、12B、12C、12D内で円滑にスライドさせるための部材である。また、ローラ18は、上レール16R、16Lおよび下レール17R、17Lがそれぞれのホルダ部12A、12B、12C、12Dから前後方向に外れないように規制する部材である。スライドブシュ19は、上レール16R、16Lがベース12に対し上方向への力を支持しつつスライド自在とする部材である。また、スライドブシュ19は、下レール17R、17Lがベース12に対し下方向への力を支持しつつスライド自在とする部材である。
【0017】
図6に示すように、クランプアーム13の下端部には、凹み部13Aが形成されている。凹み部13Aは、断面T字型の切り欠き溝である。凹み部13Aには、断面T字型の突出部材22が挿入されている。突出部材22は、クランプアーム13の下端である下面よりも下方に突出している。そして、突出部材22は、ブラシ状部材であり、弾性材から形成されている。本実施形態の突出部材22は、無数の糸状繊維を集めて形成されたブラシである。突出部材22は、上部で糸状繊維を樹脂部材にて束ねられており、下部は拘束されていない自由状態である。突出部材22は、クランプアーム13の下端部において、後端から先端付近まで同一断面形状に形成されている。なお、突出部材22の上下方向の長さは、クランプアーム13を備えたベース12がマスト2の下端に下降されたときに、突出部材22の下端が床面Fに少なくとも当接するよう設定されている。なお、本実施形態では、クランプアーム13の下端とベース12の下端の高さは同じであり、突出部材21および突出部材22の断面形状における寸法も同じに設定されている。
【0018】
クランプアーム13の下端部における先端には、下面に距離センサ31が設けられている。図2に示すように、距離センサ31は、右のクランプアーム13Rに距離センサ31Rが設けられ、左のクランプアーム13Lに距離センサ31Lが設けられている。本実施形態における距離センサ31は、レーザーセンサであり、クランプアーム13の下端である下面と床面Fとの距離を測定する部材である。距離センサ31は、制御装置8に接続されており、測定結果は制御装置8にて把握される。図6に示すように、距離センサ31Lは、クランプアーム13Lの下面から床面Fまでの距離Sを測定する。距離センサ31Lの長さkは、メモリ8Aに事前に登録されている。そのため、クランプアーム13Lの下面から床面Fまでの距離Hは、距離センサ31Lで測定される距離Sとメモリ8Aに記憶された距離センサ31Lの長さkとから、制御装置8にて算出される。なお、本実施形態における距離センサ31は、制御装置8とともに距離測定手段を構成する。また、距離センサ31の長さkは、突出部材22のクランプアーム13の下面からの突出長さhよりも小さい距離センサ31が使用される。さらに、本実施形態では、距離センサ31の長さkは突出長さhの半分の長さよりも短く設定されている。
【0019】
次に、本実施形態のクランプ装置11による床面に散乱する物体の掻き集めについて説明する。
クランプリフト1で床面Fに散乱した物体(例えば、空き缶や紙くずなどのゴミ)を掻き集めるとき、作業者は、まず物体が散乱していない平らな床面Fにクランプリフト1を移動させる。そして、作業者は、運転席のスイッチ9を押して、図7に示すクランプ装置11の高さ制御フローを開始する。ステップ1(S1)では、クランプアーム13の下面と床面Fとの距離Hを測定する。具体的には、左右のクランプアーム13に設けられた距離センサ31R、31Lが、床面Fまでの距離Sを測定し、制御装置8にてメモリ8Aに記憶された距離センサ31R、31Lの長さkを補正して、クランプアーム13の下面から床面Fまでの距離Hを求める。なお、このとき、左右の距離センサ31R、31Lにより、距離Hが2つ求められるが、もし2つの測定した距離Hの値が異なる場合には、小さい値を距離Hとする。そして次にステップ2へ進む。
【0020】
ステップ2(S2)では、測定した距離Hが突出部材21、22の突出長さhの半分の長さより小さいか否かを判定する。制御装置8は、測定した距離Hとメモリ8Aに記憶された突出長さhから比較して、距離Hが長さh/2より小さい場合には、ステップ3へ進む。ステップ3(S3)では、制御装置8は、昇降手段を駆動してクランプ装置11を上昇させる。このとき、距離センサ31にて測定される距離Hが突出長さhの半分よりも大きくなる高さまでクランプ装置11を上昇させる。ステップ2で、距離Hが長さh/2よりも小さいと判断されるのは、クランプアーム13の下面が床面Fに接触しそうな高さまで下降されている状態であり、ステップ3にて床面Fと長さh/2以上の間隔を有するように上昇させるものである。また、ステップ2にて距離Hが長さh/2よりも大きいと判断された場合には、ステップ4へと進む。
【0021】
ステップ4(S4)では、距離Hが突出長さhより大きいか判断する。制御装置8は、測定した距離Hとメモリ8Aに記憶された突出長さhを比較し、距離Hが突出長さhより大きい場合には、ステップ5へ進む。ステップ5(S5)では、制御装置8は、昇降手段を駆動してクランプ装置11を下降させる。このとき、距離センサ31にて測定される距離Hが突出長さhよりも小さくなるようにクランプ装置11を下降させる。ステップ4で距離Hが突出長さhよりも大きいと判断されるのは、クランプアーム13の下面が床面Fから離れ過ぎて、突出部材21、22が床面Fと接触しない位置である。そのため、ステップ5で突出部材21、22が床面Fに接触するようにクランプアーム13の下面の位置を下降させるものである。また、ステップ4にて距離Hが突出長さhよりも小さいと判断された場合には、ステップ6へと進む。
【0022】
ステップ6(S6)では、ステップ3やステップ5で高さ位置を調整されたクランプ装置11におけるクランプアーム13の下面と床面Fとの距離Hが突出長さh以下で、長さh/2よりも大きいか否か判断する。つまり、クランプアーム13の下面において、突出部材22が床面Fに接触しており、さらに、突出部材22の突出長さhの半分の長さよりも大きい間隔を床面Fとの間に有しているかを判断している。クランプアーム13の下面と床面Fとの間の距離Hが突出長さh以下で長さh/2よりも大きい状態は、突出部材22が床面Fに接触しつつクランプアーム13が床面Fに接触せず、適度に床面Fに散乱した物体を捕集できる状態である。もし、ステップ6にて距離Hが突出長さhより大きい場合や、長さh/2よりも小さい場合には、ステップ2へと戻り、クランプ装置11の高さ調整を再び行う。ステップ6で、距離Hが適切な状態であると判断された場合には、ステップ7へと進む。
【0023】
ステップ7(S7)では、クランプ装置11の昇降を停止する。つまり、クランプ装置11の高さ位置を適切な状態のまま維持するよう固定する。そして、ステップ8(S8)へ進み、クランプ装置11の昇降調整が終了したことを作業者へ通知する。以上のステップによりクランプ装置11の昇降制御フローを終了する。そして、作業者は、クランプ装置11の昇降調整が終了したことを確認したら、クランプリフト1を散乱している物体に向かって床面F上を走行させて、ベース12、クランプアーム13および突出部材21、22により散乱している物体を掻き集めていく。
【0024】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
(1)突出部材21、22によりクランプアーム13が床面Fに接触させずにクランプアーム13と床面Fとの間を埋めることができるため、クランプリフト1により床面Fに散乱した物体を掻き集めてもクランプアーム13を損傷することがない。
(2)突出部材21、22を床面Fに接触させて床面Fに散乱した物体を掻き集めることができ、床面Fに散乱した物体を捕集する効率を向上させることができる。また、突出部材21、22はブラシ状部材であるため、散乱した物体を捕集する効率をさらに向上させることができる。
(3)制御装置8は、突出部材21、22を床面Fに接触させつつクランプアーム13もしくはベース12の下面を床面Fに接触させることが無いよう制御する。そのため、クランプアーム13およびベース12を床面Fとの接触により損傷させることを確実に防ぐことができる。
【0025】
(4)距離センサ31をクランプアーム13の先端部の下面に設けるので、クランプアーム13の下面と床面Fとの距離を精度良く直接測定することができる。
(5)突出部材21、22は、クランプアーム13の下面から垂直下向きに突出し設けたので、クランプアーム13の横方向の厚さを増やすことなく通常のクランプ作業において、ワークと側面に必要な隙間を増加させることなくワークをクランプ可能である。
(6)突出部材21、22は、クランプアーム13に着脱自在に設けたので、突出部材21、22の交換、メンテナンスが容易である。
【0026】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。以下に本発明の変更例について記載する。
○突出部材21、22はベース12およびクランプアーム13に取り換え可能に設けても良いし、固定して設けても良い。
○突出部材21、22は断面T字型としたが、突出部材21、22の形状は限定されない。I字型にしてクランプアーム13およびベース12の側面に螺子もしくはボルトなどにより固定するよう設けても良い。これによりクランプアーム13もしくはベース12に突出部材を簡単に取り付けることができる。
○上記実施形態では、突出部材21、22を取り付けるため、ベース12に凹み部12Fを形成し、クランプアーム13に凹み部13Aを形成したが、突出部材21、22の取り付け手段は限定されない。ベース12およびクランプアーム13に取り付け部を後付けし、取り付け部を介して突出部材を設けても良い。取り付け部を設けることで突出部材の着脱および交換が容易となる。
【0027】
○突出部材21、22は、クランプアーム13およびベース12にそれぞれ別体として設けたが、これに限らない。クランプアーム13にのみ設けても良く、ベース12にのみ設けても良い。この場合、突出部材21、22の形状を平面視コ字型にすると良い。また、突出部材をコ字型としてクランプアーム13およびベース12の両方に固定して設けても良い。この場合、突出部材21、22が水平方向に伸縮自在な部材もしくは形状を用いることで、通常のクランプ作業においてクランプアーム13を開閉することができる。
○突出部材21、22の突出長さは一様でなくても良い。突出部材21、22の突出長さが一様でない場合には、一番短い突出長さを突出長さhとして設定し使用すると良い。
○突出部材21、22の材質は、限定されない。ゴム製や樹脂製であっても良い。
【0028】
○制御装置8は、図7におけるクランプ装置11の昇降制御フローの最中に、再びスイッチ9が押されたときに、クランプ装置11の昇降制御を中止するよう制御しても良い。また、スイッチ9が再び押されるまで連続して昇降手段の制御を続けるようにして、作業者が昇降制御の終了を判断するようにしても良い。
○マスト2はティルト動作させて床面Fに散乱した物体の掻き集め作業を行っても良い。この場合、マスト2のティルト角度に応じてクランプアーム13が床面Fに接触しないようにマスト2を昇降を制御すると良い。また、マスト2ティルト動作により距離センサ31の向きが変わったとしても、ティルト角度に応じて測定距離を補正すれば良い。例えばマスト2の傾斜角度を測定するセンサを設け、測定した角度から距離センサ31の垂直高さを測定し、クランプ装置11の各部の既知の寸法から床面Fまでの高さを推定し距離Hとして使用すると良い。
○昇降制御は、突出長さhよりも小さい値を閾値としても良い。例えば、距離Hを0.9hよりも小さくなるようクランプアーム13を昇降させると良い。これにより、クランプアーム13の下面の高さが突出部材21、22の突出長さhよりも小さくすることができ、突出部材21、22を床面Fに確実に接触させることができる。
【0029】
○距離センサ31は、クランプアーム13に設ける構成に限らない。例えば、マスト2の揚高を測定するエンコーダを設け、エンコーダの測定値およびクランプ装置11の各部の既知の寸法から制御装置8により推定した推定値を測定した距離Hとして用いても良い。
○左右一対の距離センサ31R、31Lにより測定した距離Sが異なる場合には、閾値を設定して、閾値以上の差異が有る場合に異常と判断しても良い。
○距離センサ31R、31Lを設ける位置および距離センサ31R、31Lの個数は、実施形態に限定されない。クランプアーム13の先端とベース12下面の両方に設けても良い。またベース12下面にのみ設けても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 クランプリフト
2 マスト
3 リフトシリンダ
7 リフトレバー
8 制御装置
8A メモリ
9 スイッチ
11 クランプ装置
12 ベース
13、13R、13L クランプアーム
14、14R、14L クランプシリンダ
15R、15L ブラケット
16、16R、16L 上レール
17、17R、17L 下レール
21、22 突出部材
31、31R、31L 距離センサ
F 床面
H 距離
h 突出長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプアームと、
前記クランプアームを保持するベースと、
前記ベースを昇降させる昇降手段と、
弾性材よりなるとともに前記クランプアームまたは前記ベースに取り付けられる前記クランプアームおよび前記ベースの下端よりも下方に突出する突出部材と、
前記クランプアームもしくは前記ベースの下端と床面との距離を測定する距離測定手段と、
前記クランプアームおよび前記ベースを床面に接触させない状態で前記距離測定手段で測定される距離が前記突出部材の突出長さ以下となるよう前記昇降手段を制御する高さ制御手段とを備えることを特徴とするクランプリフト。
【請求項2】
前記突出部材は、先端に複数の弾性毛を有するブラシ状部材であることを特徴とする請求項1記載のクランプリフト。
【請求項3】
前記高さ制御手段は、前記距離測定手段により測定される距離が、前記突出部材の突出長さの半分以上且つ前記突出部材の突出長さ以下となるよう前記昇降手段を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクランプリフト。
【請求項4】
前記距離測定手段は、前記クランプアームの下端またはベースの下端における最も床面に近接可能な位置に設けられた少なくとも一つの距離センサを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のクランプリフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−100151(P2013−100151A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243805(P2011−243805)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】