説明

クランプ装置

【課題】昇降体を昇降させるためのネジ部をスムーズに回動させることができ、かつ昇降体の上片と被取付部材との間に異物が挟み込まれることを防止でき、被取付部材に対して着脱操作がし易いクランプ装置を提供すること。
【解決手段】上片10と下片と連結片23を有する昇降体9を備え、その上片10全体が、被取付部材5に上方から当接される当接面36を有する上部挟持部材12に収納され、この上部挟持部材12の内部には、上片10に設けられた雌ネジ部15に螺合される雄ネジ部19を有する回動ボルト20が設けられるとともに、上部挟持部材12の上面には、回動ボルト20に連結された回動操作部22が設けられ、この回動操作部22の回動操作により昇降体9が上昇し、被取付部材5が上部挟持部材12と下片11との間で挟持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルの天板等の板状の被取付部材に対してパネル体や照明器具等のオプション部材を取り付ける際に、天板の端部を挟持した状態でオプション部材を支持するクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テーブルの天板(被取付部材)の任意の箇所に照明器具等のオプション部材を取り付けるクランプ装置には、例えば、特許文献1に記載の機器取付用クランプのように、コ字形に屈曲する取付具(昇降体)の上片に雌ねじ筒(雌ネジ部)が形成され、この雌ねじ筒に螺合される支持筒(回動ボルト)を有する固定具(回動操作部)を回動させることで、固定具の下端に設けられた圧接具(上部挟持部材)を天板の上面に当接させた状態で、取付具を上昇させて、取付具の下片を天板の下面に当接させ、上下方向から天板を挟持するようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−213288号公報(第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の機器取付用クランプにあっては、支持筒(回動ボルト)を隠蔽する操作筒が固定具に設けられていることで、支持筒が露呈せず、外観を損なうことがないが、長年の使用により固定具(回動操作部)と圧接具(上部挟持部材)との間から内部に、天板上のゴミや埃が入り込み、固定具の回動がスムーズに行えなくなる場合があり、かつ取付具(昇降体)の上片が露呈されているため、クランプを天板(被取付部材)に着脱する際に、上片と天板との間に指や電気コード等の異物を挟んでしまう虞があり、クランプの着脱操作がし難いという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、板状の被取付部材に対してオプション部材を取り付けるためのクランプ装置において、昇降体を昇降させるためのネジ部をスムーズに回動させることができ、かつ昇降体の上片と被取付部材との間に異物が挟み込まれることを防止でき、被取付部材に対して着脱操作がし易いクランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のクランプ装置は、
板状の被取付部材に対してオプション部材を取り付けるためのクランプ装置であって、
前記被取付部材の上方に配置される上片と、前記被取付部材の下方に配置される下片と、前記上片と前記下片とを上下方向に連結する連結片と、を有する昇降体を備え、前記上片全体が、前記被取付部材に上方から当接される当接面を有する上部挟持部材に収納され、該上部挟持部材の内部には、前記上片に設けられた雌ネジ部に螺合される雄ネジ部を有する回動ボルトが設けられるとともに、前記上部挟持部材の上面には、前記回動ボルトに連結された回動操作部が設けられ、該回動操作部の回動操作により前記昇降体が上昇し、前記被取付部材が前記上部挟持部材と前記下片との間で挟持されることを特徴としている。
この特徴によれば、昇降体を上下昇降させる回動ボルトが上部挟持部材の内部に収納されているため、回動ボルトの雄ネジ部と上片の雌ネジ部との間にゴミや埃が入り込むことを防止できるばかりか、上部挟持部材を被取付部材に当接させた状態で昇降体を上下昇降させて、被取付部材を上部挟持部材と下片との間で挟持することができ、昇降体の上片と被取付部材との間に異物が挟み込まれることが防止されるため、クランプ装置の被取付部材に対する着脱操作がし易くなる。
【0007】
本発明の請求項2に記載のクランプ装置は、請求項1に記載のクランプ装置であって、
前記上部挟持部材の内部には、前記雌ネジ部が形成された円筒部と、該円筒部の周囲に形成されたフランジ部と、該フランジ部から突設された係合部と、を有するネジ座が設けられ、前記上片には、前記円筒部が下方から嵌合される孔部が形成されるとともに、該孔部の近傍に、前記係合部が係合される被係合部が形成されることを特徴としている。
この特徴によれば、回動ボルトに螺合された円筒部の周囲のフランジ部によって、上片の孔部の周囲を安定的に支持できるとともに、被係合部によってネジ座の回動が防止される。また、昇降体の上片に雌ネジ部を形成する手間が省け、ネジ座の円筒部を下方から上片の孔部に嵌合して係合部を上片の被係合部に係合させるだけで、雌ネジ部を昇降体の上片に容易に設けることができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載のクランプ装置は、請求項1または2に記載のクランプ装置であって、
前記連結片には、前記オプション部材の支持部が取り付けられ、該支持部が遊嵌される切欠部が、前記上部挟持部材に形成されることを特徴としている。
この特徴によれば、オプション部材が連結片に支持されることで、回動操作部の操作がオプション部材によって妨げられなくなり、回動操作部の操作がし易くなる。また、上部挟持部材に切欠部を設けたので、昇降体が上下昇降されても、支持部が昇降体の上片を覆う上部挟持部材に干渉されないようになる。
【0009】
本発明の請求項4に記載のクランプ装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載のクランプ装置であって、
前記下片には、前記被取付部材に下方から当接される少なくとも2つの当接面を有する下部挟持部材が着脱自在に取り付けられ、該下部挟持部材は、一方の当接面から前記下片までの寸法と、他方の当接面から前記下片までの寸法とが異なるように形成されるとともに、前記一方の当接面または前記他方の当接面にも、前記被取付部材に当接されるように、前記下部挟持部材が前記下片に着脱自在に取り付けられることを特徴としている。
この特徴によれば、上部挟持部材と下部挟持部材との被取付部材に当接する当接面同士の間の距離を、昇降体の上下昇降のみならず、一方の当接面または他方の当接面のいずれかを適宜選択する下部挟持部材の取り付け方によっても変えることができ、多少厚みが異なる被取付部材であってもクランプ装置によって挟持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係るクランプ装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0011】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例におけるパネル装置が取り付けられたテーブルを示す斜視図であり、図2は、パネル装置が取り付けられたテーブルの使用例を示す側面図であり、図3は、パネル装置が取り付けられたテーブルを示す背面図であり、図4は、クランプ装置を示す縦断側面図であり、図5は、天板を挟持した状態のクランプ装置を示す縦断側面図であり、図6は、クランプ装置を示す分解斜視図であり、図7は、斜め上方から見たときのクランプ装置を示す斜視図であり、図8は、斜め下方から見たときのクランプ装置を示す斜視図である。以下、図1の紙面右下方側をテーブルにおけるパネル装置の正面側(前方側)とし、図2の紙面右側をテーブルにおけるパネル装置の正面側(前方側)として説明する。
【0012】
図1の符号1は、本発明の適用されたパネル装置であり、このパネル装置1は、垂直方向に延びる平板状をなすパネル体2と、このパネル体2を支持するクランプ装置3で構成されている。1つのパネル装置1は、1つのクランプ装置3を介してテーブル4の天板5の端部に取り付けられている。本実施例では、オフィス等に設置される1台のテーブル4の天板5に3つのパネル装置1が用いられ、それぞれのパネル装置1が、天板5における後方側及び左右側方側の端縁部の3箇所に取り付けられている。尚、本実施例で言うテーブルとは、オフィス等で使用される机等も含んでいる。更に尚、テーブル4における天板5が、本実施例における板状の被取付部材を構成するとともに、パネル体2が、本実施例におけるオプション部材を構成している。
【0013】
図2に示すように、パネル体2は、その端縁を形成する端縁フレーム材6と、端縁フレーム材6の内側に配置される直線状の支持フレーム材7とを有している。両フレーム材6,7は、軽量な金属等の材質で形成され、端縁フレーム材6は、金属製の管体を屈曲させることで形成されるとともに、支持フレーム材7は、端縁フレーム材6に溶接によって接合されている。
【0014】
尚、これらフレーム材6,7を覆うように透過性を有する軽量な布地で構成されるクロス材8が張設されている。このように軽量な金属製のフレーム材6,7とクロス材8とで、パネル体2を構成することで、パネル体2を軽量化することができる。
【0015】
また、端縁フレーム材6は円形状や三角形状や四角形状などの様々な形状に変形加工することができ、この端縁フレーム材6の形状を変化させることで、様々な形状のパネル体2を製造できる。更に、クロス材8の色や模様を適宜選択することで、様々な色や模様のパネル体2を製造できる。尚、クロス材8は袋状に形成されており、その寸法が端縁フレーム材6の寸法よりも若干小さくなっている。そのためクロス材8にテンションをかけた状態で張設できるようになっている。
【0016】
本実施例におけるパネル体2は、略卵形状に形成されている。また、支持フレーム材7の中央部は、パネル体2の中心位置、すなわちパネル体2の重心位置から偏心された位置に設けられており、パネル体2は、支持フレーム材7の中央部でクランプ装置3によって支持されている。
【0017】
図3(a)〜(c)に示すように、パネル体2は、使用者Uがパネル体2の端縁を掴んで垂直方向に自在に回動(自転)させることができるとともに、パネル体2を任意の回動位置で固定することができる。パネル体2は、天板5の端部におけるクランプ装置3が設けられた支持点を中心(軸)として垂直方向に自転される。尚、本発明で言うパネル体2の垂直方向の回動とは、支持点を中心軸としての図3の紙面に対してパネル体2が平行に回動する方向を言う。
【0018】
図2に示すように、パネル体2の回動位置を変えることによって、使用者Uが仕事に集中したい場合には、パネル体2を回動させてその上端縁(表面領域の上端縁)を高くすることができ、使用者Uが周囲の人とのコミュニケーションが必要な場合には、パネル体2を回動させてその上端縁を低くすることができるようになっている。
【0019】
図3(a)は、略卵形状のパネル体2の端縁のうち、外方に膨出された端縁が上方側にある状態のパネル体2の回動位置を示している。このパネル体2を垂直方向に90°回動させると、図3(b)に示すように、パネル体2の外方に膨出された端縁が側方側に移動される。そのためパネル体2の上端縁の高さを低くすることができる。
【0020】
更に、パネル体2を垂直方向に90°回動させると、図3(c)に示すように、パネル体2の外方に膨出された端縁が下方側に移動される。そのためパネル体2によって遮蔽される面積、すなわち天板5よりも上方のパネル体2の部位(表面領域)を最小限にすることができる。
【0021】
次にクランプ装置3について詳述すると、図4及び図5に示すように、クランプ装置3は金属製の板体が側面視で略コ字形状をなすように屈曲された本実施例における昇降体としての屈曲板体9を備え、この屈曲板体9には、天板5の上方に配置される上片10と、天板5の下方に配置される下片11と、上片10と下片11とを垂直方向(上下方向)に連結する本実施例における連結片としての垂直片23とを有している。また、上片10及び下片11には、天板5の上面及び下面に当接され、かつ天板5を上下方向から挟持するための上部及び下部挟持部材12,13が設けられている。
【0022】
図4及び図6に示すように、上部挟持部材12は、矩形状をなすカバー部材21と、このカバー部材21の下面側を覆う板状をなすカバー板体21’とを有している。カバー部材21とカバー板体21’とで形成される内部空間、すなわち上部挟持部材12の内部には、上片10全体が収納されるとともに、上片10に取り付けられたネジ座14が配置されている。
【0023】
このネジ座14は、雌ネジ部15が形成された円筒部16と、この円筒部16の周囲に形成されて円筒部16よりも大径をなすフランジ部17により構成されている。ネジ座14の円筒部16は、屈曲板体9の上片10に形成されて円筒部16の外径とほぼ同じ内径を有する円形状の孔部18に下方から挿設されて嵌合され、ネジ座14のフランジ部17が屈曲板体9の上片10に下方から当接されるようになっている。
【0024】
更に、ネジ座14のフランジ部17には、本実施例における係合部としての突起部37が形成されており、この突起部37に係合される本実施例における被係合部としての溝部38が、屈曲板体9における孔部18の近傍位置である上片10から垂直片23にかけて形成されている。
【0025】
また、上部挟持部材12の内部には、ネジ座14の雌ネジ部15に螺合される雄ネジ部19が形成された回動ボルト20が配置されている。更に、屈曲板体9の上片10全体とネジ座14と回動ボルト20とは、その上方側がカバー部材21によって覆われており、このカバー部材21の上部には、本実施例における回動操作部としての回動ノブ22が設けられている。
【0026】
尚、回動ボルト20の上端部には、連結部33が形成されるとともに、この連結部33が、カバー部材21の上部に形成された開口部32を介して回動ノブ22に形成された被連結部34に連結されている。回動ノブ22を回動させると、回動ボルト20が回動するようになっている。また、開口部32は回動ノブ22によって完全に閉塞されるようになっており、回動ノブ22と開口部32との間からゴミや埃がカバー部材21内に入り込まないようになっている。
【0027】
図6に示すように、カバー板体21’は、その上面側の四隅に形成された嵌合突起30が、カバー部材21の下部に形成された嵌合穴部(図示略)に嵌合されることで、カバー部材21に固着される。また、カバー板体21’の上面には、回動ボルト20に形成された穴部40に嵌合される突出部41が形成されている。カバー板体21’の突出部41が回動ボルト20の穴部40に嵌合されることで、回動ボルト20が回動した際に、その回動軸が水平方向にぐらつかないようになっている(図4及び図5参照)。
【0028】
尚、このカバー板体21’には、屈曲板体9の垂直片23が配置される端縁側に切欠部35が形成されている。この切欠部35がカバー板体21’に形成されることによって、屈曲板体9が上下昇降される際に、切欠部35が垂直片23を上下に案内するようになっている。
【0029】
また、カバー板体21’の切欠部35は、垂直片23が上下に移動可能な状態で嵌合できる寸法に形成されており、この切欠部35によって、屈曲板体9の水平回動の動きが規制されるようになっている。更に、カバー部材21’には、その下面側に、天板5の上面に上方から当接される上部当接面36が形成されており、この上部当接面36には、滑り止め用の滑止パッド31が貼り付けられている(図8参照)。
【0030】
図4及び図5に示すように、回動ノブ22を手で摘まんで回動させると、回動ボルト20の回動によって、ネジ座14が上下昇降するようになっており、このネジ座14の上下動に応じて屈曲板体9が上下昇降するようになっている。このときネジ座14の突起部37が、屈曲板体9の溝部38に係合されているため、回動ボルト20が回動してもネジ座14が屈曲板体9に対して固定されて回動しないようになっている。
【0031】
また、屈曲板体を上昇させる際には、ネジ座14の円筒部16の周囲のフランジ部17によって、屈曲板体9の上片10の孔部18の周囲を安定的に支持できる。更に、屈曲板体9を降下させる際には、ネジ座14の突起部37が溝部38を介して屈曲板体9を下方に押し下げるようになっている。
【0032】
尚、ネジ座14が屈曲板体9と別部材として設けられていることで、屈曲板体9の上片10に雌ネジ部15を直接形成する手間が省け、ネジ座14の円筒部16を上片10の孔部18に嵌合して突起部37を上片10の溝部38に係合させるだけで、雌ネジ部15を屈曲板体9の上片10に容易に設けることができる。
【0033】
クランプ装置3を天板5の端部に取り付ける際には、先ず回動ノブ22を回動させて、屈曲板体9を降下させた状態で、クランプ装置3を屈曲板体9が天板5の端部に遊嵌された状態で配置する。そして、回動ノブ22を逆に回転させると、ネジ座14を介して屈曲板体9が上昇するとともに、回動ボルト20が降下し、上部及び下部挟持部材12,13によって上下方向から天板5の端部が挟持されるようになり、クランプ装置3が天板5の端部に取り付けられるようになる。
【0034】
尚、クランプ装置3を天板5の端部から取り外す際は、回動ノブ22を回動させて屈曲板体9を降下させればよく、このようにクランプ装置3を天板5の端部に着脱することで、天板5の端部における任意の位置にクランプ装置3を取り付けることができる。
【0035】
図5及び図7に示すように、クランプ装置3がその上部に設けられた回動ノブ22によって操作ができるため、作業者がテーブル4の天板5の下方に潜ってクランプ装置3を操作しなくてもよくなり、パネル装置1の取付作業が容易になっている。
【0036】
また、屈曲板体9の垂直片23には、その外面側にパネル体2の支持フレーム材7に螺着された略円筒形状の本実施例における支持部としての回動部材24が設けられている。この回動部材24の内部には、トルクヒンジ25が配置されており、回動部材24に所定の摩擦抵抗が加わるようになっている。
【0037】
図6に示すように、トルクヒンジ25は、屈曲板体9に螺着される固定片26と、回動部材24に螺着される回動片27とを有している。垂直片23にネジにより固定される固定片26には、軸部28が設けられており、回動片27は軸部28に対して回動自在に軸支されている。
【0038】
また、軸部28には、皿バネ29が設けられている。回動片27は皿バネ29によって所定の付勢力で固定片26に向かって付勢されており、固定片26と回動片27との間に、所定の摩擦抵抗が加えられるようになっている。皿バネ29がトルクヒンジ25に加える摩擦抵抗によって、パネル体2は、その回動が任意の回動位置で固定できるようになっている。
【0039】
図5に示すように、回動部材24は屈曲板体9から所定の長さ水平方向に突出されており、パネル体2は天板5の端部から所定の長さ離間された状態で配置される。そのためパネル体2と天板5の端部との間には、間隙が形成されており、パネル体2を回動させた際に、パネル体2の端縁が天板5の端部に接触することを防止できる。
【0040】
図8に示すように、上部挟持部材12には、回動部材24が遊嵌される切欠部39が形成されている。このように上部挟持部材12に切欠部39を設けたので、屈曲板体9が上下昇降されても、回動部材24が上部挟持部材12に干渉(当接)されないようになっている。
【0041】
また、パネル体2が軸部28を介して垂直片23に支持されることで、従来から用いられているクランプ装置と比較して、上部挟持部材12からオプション部材(パネル体2)等を立設させる必要がなく、回動ノブ22の操作がオプション部材によって妨げられなくなり、回動ノブの操作がし易くなっている
【0042】
図4に示すように、下部挟持部材13は、略矩形状をなしており、下片11を挿入できるスリット孔42が形成されている。また、下部挟持部材13の中央部には、爪部44を有する弾性変形可能な係合片43が形成されるとともに、屈曲板体9の下片11には、係合片43の爪部44が係合される被係合孔部45が形成されている(図6参照)。
【0043】
尚、下部挟持部材13を屈曲板体9の下片11に取り付ける際には、スリット孔42から下片11を挿入して係合片43の爪部44を下片11の被係合孔部45に係止させるようになっている。更に尚、下部挟持部材13の下面側には、開口部48が形成されており、屈曲板体9の下片11から取り外す際には、この開口部48から下片11の被係合孔部45内に指を挿入して、爪部44を被係合孔部45から係脱させることで、下部挟持部材13を下片11から取り外せるようになっている。
【0044】
図4に示すように、下部挟持部材13には、その上面側に、天板5の下面に下方から当接される第1下部当接面46が形成されているとともに、下部挟持部材13の下面側にも、第2下部当接面47が形成されており、下部挟持部材13を反転させた状態で、屈曲板体9の下片11に取り付けると、第2下部当接面47を天板5の下面に下方から当接させることができる。また、第1下部当接面46及び第2下部当接面47には、滑り止め用の滑止パッド49,50が貼り付けられている(図7及び図8参照)。
【0045】
下部挟持部材13は、一方の当接面である第1下部当接面46から下片11までの寸法L1と、他方の当接面である第2下部当接面47から下片11までの寸法L2とが異なるように形成されている。詳しくは、第2下部当接面47から下片11までの寸法L2が、第1下部当接面46から下片11までの寸法L1よりも大きくなるように形成されている。
【0046】
第2下部当接面47が上面側になるように下部挟持部材13を下片11に取り付けると、上部当接面36と第2下部当接面47との間の距離を短くすることができる。すなわち、上部挟持部材12の上部当接面36と、下部挟持部材13の下部当接面46,47との間の距離を、屈曲板体9の上下昇降のみならず、下部挟持部材13の取り付け方によっても変えることができ、多少厚みが異なる天板5であってもクランプ装置3によって挟持できる。また、取付対象となる天板5の厚みに対して、屈曲板体9の昇降範囲を小さく構成することができるため、上部挟持部材12を小型化することができるようになる。
【0047】
以上、本実施例におけるクランプ装置3では、略コ字形状をなす屈曲板体9を上下昇降させる回動ボルト20及びネジ座14が、上部挟持部材12の内部に収納されるとともに、屈曲板体9の上片10全体が、上部挟持部材12の内部に収納されているため、回動ボルト20の雄ネジ部19と、ネジ座14の雌ネジ部15との間にゴミや埃が入り込むことを防止できるばかりか、上部挟持部材12を天板5に当接させた状態で屈曲板体9を上下昇降させて、天板5を上部挟持部材12と下部挟持部材13との間で挟持することができ、屈曲板体9の上片10と天板5との間に異物が挟み込まれることが防止されるようになり、クランプ装置3の天板5に対する着脱操作がし易くなる。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0049】
例えば、前記実施例では、回動ボルト20が螺合する雌ネジ部15が形成されたネジ座14と、屈曲板体9の上片10とが別部材として構成されていたが、ネジ座14と屈曲板体9は別部材である必要は無く、屈曲板体9の上片10に直に雌ネジ部15を形成してもよい。
【0050】
また、前記実施例では、天板5の下方から当接される当接面46、47が、下部挟持部材13の上面と下面の2面のみに形成されていたが、天板5の下方から当接される当接面を3面以上、すなわち下部挟持部材13の側周面等にも形成するようにしてもよく、各々の当接面から下片11までの寸法が異なるように形成されていれば、前記実施例と同様な効果を得ることができる。
【0051】
また、前記実施例では、本発明の昇降体が、板体が側面視で略コ字形状をなすように屈曲された屈曲板体9によって構成されているが、本発明の昇降体は、その上片10と下片11と垂直片23とが板体によって一体的に形成されている必要はなく、例えば、上片10と下片11と垂直片23とをそれぞれ別々の部材により形成し、それらを組み合わせることで、上下昇降可能な昇降体を構成してもよい。更に、本発明の昇降体は、側面視で略コ字形状をなす必要はなく、例えば、垂直片が途中で外方に向かって傾斜したり湾曲したりするような形状をしていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施例におけるパネル装置が取り付けられたテーブルを示す斜視図である。
【図2】パネル装置が取り付けられたテーブルの使用例を示す側面図である。
【図3】パネル装置が取り付けられたテーブルを示す背面図である。
【図4】クランプ装置を示す縦断側面図である。
【図5】天板を挟持した状態のクランプ装置を示す縦断側面図である。
【図6】クランプ装置を示す分解斜視図である。
【図7】斜め上方から見たときのクランプ装置を示す斜視図である。
【図8】斜め下方から見たときのクランプ装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 パネル装置
2 パネル体(オプション部材)
3 クランプ装置
4 テーブル
5 天板(被取付部材)
9 屈曲板体(昇降体)
10 上片
11 下片
12 上部挟持部材
13 下部挟持部材
14 ネジ座
15 雌ネジ部
16 円筒部
17 フランジ部
18 孔部
19 雄ネジ部
20 回動ボルト
21 カバー部材
21’ カバー板体
22 回動ノブ(回動操作部)
23 垂直片(連結片)
24 回動部材(支持部)
36 上部当接面
37 突起部(係合部)
38 溝部(被係合部)
46 第1下部当接面
47 第2下部当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被取付部材に対してオプション部材を取り付けるためのクランプ装置であって、
前記被取付部材の上方に配置される上片と、前記被取付部材の下方に配置される下片と、前記上片と前記下片とを上下方向に連結する連結片と、を有する昇降体を備え、前記上片全体が、前記被取付部材に上方から当接される当接面を有する上部挟持部材に収納され、該上部挟持部材の内部には、前記上片に設けられた雌ネジ部に螺合される雄ネジ部を有する回動ボルトが設けられるとともに、前記上部挟持部材の上面には、前記回動ボルトに連結された回動操作部が設けられ、該回動操作部の回動操作により前記昇降体が上昇し、前記被取付部材が前記上部挟持部材と前記下片との間で挟持されることを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
前記上部挟持部材の内部には、前記雌ネジ部が形成された円筒部と、該円筒部の周囲に形成されたフランジ部と、該フランジ部から突設された係合部と、を有するネジ座が設けられ、前記上片には、前記円筒部が下方から嵌合される孔部が形成されるとともに、該孔部の近傍に、前記係合部が係合される被係合部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記連結片には、前記オプション部材の支持部が取り付けられ、該支持部が遊嵌される切欠部が、前記上部挟持部材に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記下片には、前記被取付部材に下方から当接される少なくとも2つの当接面を有する下部挟持部材が着脱自在に取り付けられ、該下部挟持部材は、一方の当接面から前記下片までの寸法と、他方の当接面から前記下片までの寸法とが異なるように形成されるとともに、前記一方の当接面または前記他方の当接面にも、前記被取付部材に当接されるように、前記下部挟持部材が前記下片に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のクランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−121804(P2008−121804A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307038(P2006−307038)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】