説明

クランプ装置

【課題】光ファイバケーブルのプラグ部の傾きを抑制することができるクランプ装置を提供する。
【解決手段】クランプ装置26は、素子ブロック27に保持された投光素子29と光軸AX1が一致するように光ファイバケーブルのプラグ部15Aを保持するもので、プラグ部15Aを光軸AX1と同軸上において挿通可能でかつ弾性変形することでプラグ部15Aを挟持する挟持部42Aと、挟持部42Aを一方側から押圧方向に押圧することで弾性変形させる押圧部36と、押圧方向と交差する延設方向に延びるとともに押圧方向において押圧部36の反対側となる挟持部42Aの他方側に配置されて挟持部42Aを片持ち支持する支持部40Aと、挟持部42Aを係止する係止部48とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子ブロックに保持された光電素子と光軸が一致するように光ファイバケーブルのプラグ部を保持するクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第1の端部に検出部が設けられるとともに第2の端部にプラグ部が設けられた光ファイバケーブルにおけるプラグ部を保持するためのクランプ装置を備えた検出センサがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の検出センサは、センサ本体に差し込んだ光ファイバケーブルのプラグ部を保持するためのファイバホルダ(クランプ装置)と、ファイバホルダの内側に配置されて光電スイッチ素子(光電素子)を保持する素子ホルダ(素子ブロック)とを備えている。そして、ファイバホルダと素子ホルダとは、上ケースと下ケースとの組立体の内部に収容されるとともに、ファイバホルダの外側にはカバーが取り付けられている。
【0004】
ファイバホルダは、素子ホルダ側(内側)に設けられてプラグ部の先端が挿入される接合部と、クランプ孔を有してカバー側(外側)に設けられるクランプ部と、クランプ部の上方に設けられる押圧部とを備えている。そして、押圧部の上方に設けられた操作レバーを回動させて押圧部を下方に押圧すると、クランプ孔の上面部(可動部)が下面部(固定部)の方に近づくようにクランプ部が弾性変形することで、プラグ部が挟持されるようになっている。
【0005】
なお、クランプ部において、クランプ孔は上下に並ぶように2つ設けられている。そして、下側のクランプ孔の側方に設けられた突起が該クランプ孔の下面部(固定部)に当接することで、クランプ部の過度な変形が抑制される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平7−26803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ファイバホルダは、カバー側(外側)に配置されたクランプ部が下方に押圧される場合に、素子ホルダ側(内側)に配置された接合部側の端部が固定端となる片持ち梁として、自由端側に押圧力を受けている。そのため、ファイバホルダは、操作レバーから押圧力を受けた場合に、自由端側が下がるように撓み変形してしまうことがある。そして、このようにファイバホルダが撓み変形すると、特に突起から離間した上側のクランプ孔に挟持された光ファイバケーブルは接合部に挿入されたプラグ部の先端部が上方に傾き、光電スイッチ素子に対する位置決め精度が低下してしまうという問題が生じうる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、光ファイバケーブルのプラグ部の傾きを抑制することができるクランプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のクランプ装置は、素子ブロックに保持された光電素子と光軸が一致するように光ファイバケーブルのプラグ部を保持するクランプ装置であって、前記プラグ部を前記光軸と同軸上において挿通可能でかつ弾性変形することで前記プラグ部を挟持する挟持部と、前記挟持部を一方側から押圧方向に押圧することで弾性変形させる押圧部と、前記押圧方向と交差する延設方向に延びるとともに前記押圧方向において前記押圧部の反対側となる前記挟持部の他方側に配置されて前記挟持部を片持ち支持する支持部と、該支持部の自由端側及び前記挟持部のうち少なくとも一方を係止する係止部とを備えることを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、支持部の自由端側及び挟持部のうち少なくとも一方が係止部に係止されるので、挟持部を片持ち支持する支持部は、自由端となっている先端側の撓み変形が抑制される。これにより、プラグ部は過度に傾くことなく保持されるので、光ファイバケーブルのプラグ部の傾きを抑制することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクランプ装置において、外側から内側に向けて順次配置される外側ケースと挟持部材と支持部材とを備え、前記支持部材は本体部を有するとともに前記挟持部材を片持ち支持するために前記本体部から外側に向けて突設される前記支持部を有する一方、前記挟持部材は前記支持部と嵌合する嵌合部及び前記挟持部を有し、かつ、前記支持部又は前記挟持部は外側に向けて延設される延設部を有し、前記外側ケースには前記延設部を係止する前記係止部が凹設されていることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、係止部は外側ケースに凹設されているので、係止部を設けるためのスペースを確保するためにクランプ装置を大型化させる必要がない。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のクランプ装置において、前記挟持部は前記支持部よりも外側に向けて延設される前記延設部を有することを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、挟持部が有する延設部が係止部に係止されることで、支持部の長さを増すことなく、支持部の撓み変位を抑制することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のクランプ装置において、前記挟持部には前記押圧部の押圧によって移動する可動部と、前記押圧部の押圧によって移動しない非可動部とが設けられ、前記延設部は前記非可動部の一部を構成することを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、延設部は押圧部の押圧によって移動しない非可動部の一部を構成するので、挟持部の弾性変形を許容しつつ、支持部の撓み変位を抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載のクランプ装置において、前記挟持部は側方に切欠部が設けられるとともに前記押圧部の押圧によって上側部分が前記切欠部を介して対向する下側部分に近接するように下がることで前記プラグ部を挟持し、前記挟持部の下側部分は前記嵌合部の一部を構成し、前記延設部は前記挟持部の下側部分及び前記嵌合部から延設されていることを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、押圧部による押圧を受けた場合に、切欠部によって挟持部の上側部分の変位を許容することができるとともに、嵌合部の一部を構成する挟持部の下側部分及び延設部の変位を抑制することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5のうちいずれか一項に記載のクランプ装置において、前記挟持部材の前記嵌合部は、前記支持部材の前記支持部と嵌合した嵌合状態において、前記支持部を囲むように配置されていることを要旨とする。
【0017】
この構成によれば、挟持部材において嵌合部は支持部を囲むように配置されているので、支持部と確実に嵌合させることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項2〜請求項6のうちいずれか一項に記載のクランプ装置において、前記外側ケースは、前記係止部が凹設された外壁部と、該外壁部よりも内側に位置する内壁部と、前記外壁部と前記内壁部とを接続する床部と、前記外壁部と前記内壁部と前記床部とによって囲み形成される収容部とを有し、前記支持部材は前記本体部が前記内壁部に隣接するとともに前記外壁部側に向けて前記支持部が突設されるように前記収容部内に配置され、かつ、前記本体部は下端側が前記床部に固定されていることを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、支持部材は外側ケースの床部に固定されているので、外壁部に設けられた係止部が延設部を係止する場合にも、外壁部の撓み変位を抑制することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載のクランプ装置において、前記挟持部と前記支持部とは対をなして、上下方向に2対が並ぶように2つずつ設けられ、前記押圧部は2つの前記挟持部のうち上側に位置する前記挟持部の上側から下方向に2つの前記挟持部を押圧するとともに、前記係止部は上側に設けられた一対の前記挟持部及び前記支持部に対応して1つ設けられることを要旨とする。
【0019】
この構成によれば、押圧部に近い位置に設けられた上側の支持部は、下側の支持部よりも押圧部による押圧力の影響を強く受けることになるが、上側に設けられた一対の挟持部及び支持部に対して係止部を設けることにより、上側の支持部の撓み変位を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光ファイバケーブルのプラグ部の傾きを抑制することができるクランプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のクランプ装置を備える検出センサの一実施形態を示す斜視図。
【図2】同実施形態のクランプ装置の構成を示す断面図。
【図3】同実施形態のクランプ装置の分解斜視図。
【図4】同実施形態における延設部及び係止部の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のクランプ装置の一実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は各図中に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。なお、図面中の上方向、右方向及び前方向を示す矢印において、「○」の中に「・」が記載されたもの(矢の先端を前から見た図)は紙面の裏から表に向かう矢印を意味するものとする。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の光ファイバセンサ11は、略直方体形状のセンサ本体12を備えている。センサ本体12には、2本の光ファイバケーブル13(13A,13B)が差し込み態様で接続されるようになっている。
【0024】
光ファイバケーブル13Aにおいては、第1の端部に検出部となる投光部14が設けられているとともに第2の端部にプラグ部15(15A)が設けられている。一方、光ファイバケーブル13Bにおいては、第1の端部に検出部となる受光部16が設けられているとともに第2の端部にプラグ部15(15B)が設けられている。
【0025】
光ファイバセンサ11において被検出体Wの検出を行う場合には、光ファイバケーブル13の投光部14及び受光部16が被検出体Wを検知できる位置に設置される一方、センサ本体12が被検出体Wから離間した任意の位置に配置される。なお、図1においては反射型の光ファイバケーブル13が図示されているが、光ファイバケーブル13の投光部14と受光部16とが互いに対向するように配置される透過型の光ファイバケーブル13をセンサ本体12に接続するようにしてもよい。
【0026】
センサ本体12の一側面(本実施形態では前面)には、光ファイバケーブル13のプラグ部15を差し込むための2つの差込部17(17A,17B)が上下方向に並ぶように設けられている。また、センサ本体12の他側面(本実施形態では後面)にはセンサ本体12を外部機器(図示略)と接続するための接続ケーブル18が接続されるとともに、センサ本体12の上面にはデジタル表示部19が設置されている。
【0027】
図2に示すように、センサ本体12は、筐体を構成する外側ケース20及び外側ケース20の上面側を覆う上カバー21を備えている。なお、センサ本体12において、差込部17は外側ケース20の前面側に設けられている一方、デジタル表示部19は上カバー21の上面側に設けられている。
【0028】
外側ケース20の前端部には、センサ本体12の前面を構成する外壁部22が左右方向及び上下方向に延びるように立設されている。そして、外壁部22において差込部17(17A,17B)と対応する位置には、それぞれ挿通孔23(23A,23B)が形成されている。また、外側ケース20において外壁部22よりも内側となる位置には、外壁部22と平行をなす内壁部24が立設されている。そして、内壁部24において差込部17(17A,17B)と対応する位置には、それぞれ挿通孔25(25A,25B)が形成されている。
【0029】
外側ケース20において外壁部22と内壁部24との間には収容部20aが形成されている。また、外側ケース20において、外壁部22の下端部と内壁部24の下端部とを接続するとともに、外壁部22及び内壁部24とともに収容部20aを囲み形成する床部20bには、嵌合凹部20cが形成されている。なお、図3においては、外側ケース20の収容部20a等を明示するために、外側ケース20の右側壁及び後端側の図示を省略している。
【0030】
外側ケース20の収容部20aには光ファイバケーブル13のプラグ部15を挟持して保持するためのクランプ装置26が収容されているとともに、外側ケース20において内壁部24の後方には素子ブロック27が収容されている。そして、素子ブロック27において差込部17(17A,17B)と対応する位置には、それぞれ挿通孔28(28A,28B)が形成されている。
【0031】
素子ブロック27は、挿通孔28A,28Bのそれぞれ後方となる位置に、光電素子としての投光素子29及び受光素子30を支持している。また、素子ブロック27は、前後方向において挿通孔28Aと投光素子29との間となる位置に、光ファイバケーブル13Aのプラグ部15Aの先端(後端)が挿通される円環状のファイバホルダ31を支持している。
【0032】
そして、光ファイバケーブル13Aが差込部17Aに差し込まれると、プラグ部15Aの先端と投光素子29とが互いに対向して配置される態様となる。このとき、光ファイバケーブル13Aのプラグ部15Aは、先端がファイバホルダ31に挿通されることで、投光素子29に対する位置決めがなされる。また、光ファイバケーブル13Bが差込部17Bに差し込まれると、プラグ部15Bの先端と受光素子30とが互いに対向して配置される態様となる。
【0033】
これにより、投光素子29と光ファイバケーブル13Aとの光軸AX1が一致するとともに、光ファイバケーブル13Bと受光素子30との光軸AX2が一致する。すなわち、クランプ装置26は、素子ブロック27に保持された投光素子29と光軸AX1が一致するように光ファイバケーブル13Aのプラグ部15Aを保持するとともに、素子ブロック27に保持された受光素子30と光軸AX2が一致するように光ファイバケーブル13Bのプラグ部15Bを保持する。
【0034】
また、各プラグ部15がクランプ装置26によって保持されると、投光素子29から出射された光は光ファイバケーブル13Aを伝搬して投光部14(図1参照)から照射される。また、受光部16(図1参照)が受光した光は光ファイバケーブル13Bを伝搬して受光素子30に入射される。そして、受光素子30に入射された光は電気信号に変換された後、センサ本体12内に設けられた受光アンプ(図示略)で増幅され、比較回路にて所定の閾値と比較されて検出動作が行なわれる。すなわち、受光アンプ(図示略)からの出力信号レベルに基づいて、被検出体W(図1参照)の有無が判断される。
【0035】
次に、クランプ装置26の構成について詳述する。
クランプ装置26は、センサ本体12の差込部17が設けられる位置において外側から内側に向けて順次配置される外側ケース20と、挟持部材32と、支持部材33とを構成要素として備えている。また、クランプ装置26は挟持部材32を一方側(本実施形態では上側)から押圧方向(本実施形態では下方)に押圧するための押圧部材34を備えている。
【0036】
図3に示すように、押圧部材34の上端側には、押圧部材34を回動操作するための操作部35が設けられている。また、押圧部材34の下端部には押圧部36が突設されているとともに、押圧部材34において操作部35と押圧部36との間には、左右の側面から左右方向に延びる回動軸37が突設されている。
【0037】
支持部材33は、収容部20a内において外側ケース20の内壁部24と隣接する位置に配置される本体部33aを有している。また、支持部材33において本体部33aの上端側からは、押圧部材34の回動軸37を回動自在に支持する支軸部38が前側に向けて突設されている。支持部材33の本体部33aにおいて差込部17(17A,17B)と対応する位置には、それぞれ挿通孔39(39A,39B)が形成されている。
【0038】
本体部33aにおいて挿通孔39(39A,39B)の下側からは、挟持部材32を片持ち支持するための支持部40(40A,40B)が外側(本実施形態では前側)に向けてそれぞれ突設されている。すなわち、支持部材33は本体部33aが内壁部24に隣接するとともに外壁部22側に向けて支持部40が突設されるように収容部20a内に配置されている。また、支持部材33において本体部33aの下端側には嵌合凸部33bが形成されている。図2に示すように、支持部材33は、嵌合凸部33bが外側ケース20の床部20bに設けられた嵌合凹部20cと嵌合することで、本体部33aの下端側が床部20bに固定されている。
【0039】
図3に示すように、各支持部40は、上下方向に所定の厚みを有するとともに、左右方向において挿通孔39の直径と同程度の長さL1(図4参照)を有する。また、各支持部40の上端は、挿通孔39の形状に沿うように円弧形状をなしている。
【0040】
挟持部材32の上端部には、押圧部材34の押圧部36の下方となる位置に被押圧部41が設けられている。また、挟持部材32において差込部17(17A,17B)と対応する位置には、それぞれ正面視略C字形状の挟持部42(42A,42B)が設けられている。すなわち、差込部17は、外壁部22の挿通孔23、挟持部材32の挟持部42、支持部材33の挿通孔39、内壁部24の挿通孔25及び素子ブロック27の挿通孔28等によって構成されている。
【0041】
挟持部42Aは、プラグ部15Aを光軸AX1と同軸上において挿通可能でかつ弾性変形することでプラグ部15Aを挟持するようになっている。挟持部42Bは、プラグ部15Bを光軸AX2と同軸上において挿通可能でかつ弾性変形することでプラグ部15Bを挟持するようになっている。また、支持部40は、押圧部36の押圧方向と交差する延設方向(本実施形態では前後方向)に延びるとともに押圧方向において押圧部36の反対側となる挟持部42の他方側に配置されて、挟持部42を片持ち支持している。そして、挟持部42と支持部40とは対をなして、上下方向に2対が並ぶように2つずつ設けられている。
【0042】
挟持部材32において、挟持部42Aには右側方に切欠部43が形成されているとともに、挟持部42Bには左側方に切欠部43が形成されている。また、各挟持部42において切欠部43と対向する位置には、それぞれ屈曲部44が設けられている。
【0043】
挟持部材32において、挟持部42Aはその上側部分から右方向に延びる接続部45を介して被押圧部41と接続されているとともに、挟持部42Bはその上側部分から左方向に延びる接続部45を介して被押圧部41と接続されている。また、各挟持部42の下側には、支持部材33の支持部40と嵌合する嵌合部46(46A,46B)が配置されている。各嵌合部46はそれぞれ環状をなし、内径側が支持部材33の支持部40の外形に沿う形状に形成されている。また、挟持部42の下側部分は、嵌合部46の一部(具体的には、正面視円弧形状をなす嵌合部46の上側部分)を構成している。
【0044】
そして、挟持部材32は嵌合部46が支持部材33の支持部40に圧入されることで、支持部材33に片持ち支持されるようになっている。すなわち、挟持部材32の嵌合部46は、支持部材33の支持部40と嵌合した嵌合状態において、支持部40を囲むように配置されている。
【0045】
挟持部材32の挟持部42Aの下側部分及び嵌合部46Aは、支持部材33の支持部40よりも外側(本実施形態では前側)に向けて延設される延設部47を有している。また、図2に示すように、外側ケース20の外壁部22の内壁側には、上端部から挟持部材32の延設部47の下端位置まで上下方向に延びる係止部48が凹設されている。なお、図4に示すように、係止部48は左右方向において延設部47と対応する長さL2を有している。また、係止部48は前後方向において延設部47と対応する長さL3を有している。
【0046】
次に、以上のように構成されたクランプ装置26の作用について説明する。
図2に示すように、センサ本体12において支持部材33の内側には、差込部17に差し込まれたプラグ部15A,15Bの先端と対向する位置に、それぞれ投光素子29と受光素子30とが設けられている。そして、センサ本体12の差込部17に光ファイバケーブル13のプラグ部15が差し込まれた場合に、押圧部材34の操作部35を後方に押して押圧部材34を図2における時計方向に回動させることで、プラグ部15を保持するようになっている。
【0047】
クランプ装置26においては、押圧部材34が図2において実線で示す位置から二点鎖線で示す位置まで回動すると、押圧部36が挟持部材32の被押圧部41を下方に押圧する。そして、挟持部材32の挟持部42が押圧部36によって上側から下方向に押圧されて弾性変形することにより、挟持部42に差し込まれたプラグ部15を挟持するようになっている。具体的には、押圧によって被押圧部41が下方に下がるのに伴って、挟持部42の屈曲部44と接続部45との間に位置する上側部分が切欠部43を介して対向する下側部分に近接するように下がる態様で、屈曲部44が弾性変形する。
【0048】
このとき、挟持部42の下側部分は、支持部40と嵌合した嵌合部46に支えられることで、下方への変位が抑制される。すなわち、挟持部材32において、被押圧部41、接続部45及び挟持部42の上側部分は押圧部材34の押圧によって移動する可動部を構成する。一方、挟持部材32において、挟持部42の下側部分、嵌合部46及び延設部47は押圧部材34の押圧によって移動しない非可動部を構成する。
【0049】
ここで、挟持部材32は支持部材33に片持ち支持されているので、押圧に伴って支持部40はその先端側(前端側)が下がるように撓み変形して、プラグ部15の後端部が上方に傾いてしまうことがある。特に、上下方向に並ぶ支持部40のうち上側に位置する支持部40Aは、その下側に位置する支持部40Bよりも押圧部36からの押圧力の影響を強く受けるため、投光素子29と対向するプラグ部15Aの後端部が上方に傾き、光結合効率が低下してしまう虞がある。
【0050】
すなわち、本実施形態においては、押圧部36が2つの挟持部42のうち上側に位置する挟持部42Aの上側から下方向に2つの挟持部42A,42Bを押圧するようになっている。そのため、係止部48は上側に設けられた一対の挟持部42A及び支持部40Aに対応して1つ設けられている。そして、挟持部42Aの下側部分及び嵌合部46Aから外側に延設された延設部47が外側ケース20の係止部48に係止されるようになっている。
【0051】
このように、外側ケース20の係止部48は、挟持部42Aの弾性変形に伴って変位する虞がある延設部47を係止する。そのため、支持部40Aの撓み変位や挟持部42Aの下側部分の変位が抑制され、プラグ部15Aを傾かせることなく挟持することができる。
【0052】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)挟持部42Aが係止部48に係止されるので、挟持部42Aを片持ち支持する支持部40Aは、自由端となっている先端側の撓み変形が抑制される。これにより、プラグ部15Aは過度に傾くことなく保持されるので、光ファイバケーブル13Aのプラグ部15Aの傾きを抑制することができる。
【0053】
(2)係止部48は外側ケース20に凹設されているので、係止部48を設けるためのスペースを確保するためにクランプ装置26やセンサ本体12を大型化させる必要がない。
【0054】
(3)挟持部42Aが有する延設部47が係止部48に係止されることで、支持部40Aの長さを増すことなく、支持部40Aの撓み変位を抑制することができる。なお、支持部40の長さが増すと、挟持部材32を圧入する際に支持部40が折れてしまう虞があるので、支持部40Aではなく挟持部42Aに延設部47を設けることで、従来通り挟持部材32を圧入することができる。
【0055】
(4)延設部47は押圧部の押圧によって移動しない非可動部の一部を構成するので、挟持部42Aの弾性変形を許容しつつ、支持部40Aの撓み変位を抑制することができる。
【0056】
(5)押圧部36による押圧を受けた場合に、切欠部43によって挟持部42の上側部分の変位を許容することができるとともに、嵌合部46の一部を構成する挟持部42の下側部分及び延設部47の変位を抑制することができる。また、外壁部22と支持部材33とを一体に形成して挟持部材32を支持する両端支持構造にするには、大幅に設計変更をする必要があるが、挟持部42Aの下側部分及び嵌合部46Aに延設部47を設けることで、大幅な設計変更をすることなく、支持部40Aの撓み変位を抑制することができる。
【0057】
(6)挟持部材32において嵌合部46は支持部40を囲むように配置されているので、支持部40と確実に嵌合させることができる。
(7)支持部材33は外側ケース20の床部20bに固定されているので、外壁部22に設けられた係止部48が延設部47を係止する場合にも、外壁部22の撓み変位を抑制することができる。
【0058】
(8)押圧部36に近い位置に設けられた上側の支持部40Aは、下側の支持部40Bよりも押圧部36による押圧力の影響を強く受けることになるが、上側に設けられた一対の挟持部42A及び支持部40Aに対して係止部48を設けることにより、上側の支持部40Aの撓み変位を抑制することができる。
【0059】
なお、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・支持部40Aの自由端側に延設部を設けて、該延設部が係止部48に係止されるようにしてもよい。また、支持部40Aの自由端側及び挟持部42Aの両方に延設部を設けて、両延設部が係止部48に係止されるようにしてもよい。
【0060】
・嵌合部46Aの下側部分に延設部47を設けず、挟持部42Aの下側部分(嵌合部46Aの上側部分)のみに延設部47を設けるようにしてもよい。
・挟持部材32において、受光部16を有する光ファイバケーブル13Bのプラグ部15Bが挿通される挟持部42Bに延設部を設けるとともに、外側ケース20に該延設部を係止するための係止部を設けてもよい。
【0061】
・クランプ装置26が光ファイバケーブル13Aのプラグ部15Aのみを保持するようにしてもよいし、3つ以上のプラグ部15を保持するようにしてもよい。また、クランプ装置26が3つ以上のプラグ部15を保持する場合には、挟持部材32に設けられる一部の挟持部42が延設部47を有してもよいし、全ての挟持部42が延設部47を有してもよい。
【0062】
・挟持部材32がばね等で上下方向に連結される可動部材と非可動部材とを有し、非可動部材に対して可動部材が近接するように移動することでプラグ部15を挟持する構成としてもよい。
【0063】
・係止部48は、外側ケース20の外壁部22を貫通する挿通孔として形成されていてもよいし、外側ケース20の内壁から内側に向けて突設されていてもよい。また、外側ケース20の内壁から内側に向けて係止部が突設される場合には、延設部47を設けなくてもよい。
【0064】
・挟持部材32の下方や側方に押圧部材34を配置してもよい。
・挟持部材32と支持部材33とが一体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
13A…光ファイバケーブル、15A…プラグ部、20…外側ケース、20a…収容部、20b…床部、22…外壁部、24…内壁部、26…クランプ装置、27…素子ブロック、29…光電素子としての投光素子、32…挟持部材、33…支持部材、33a…本体部、36…押圧部、40A…支持部、42A…挟持部、43…切欠部、46A…嵌合部、47…延設部、48…係止部、AX1…光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子ブロックに保持された光電素子と光軸が一致するように光ファイバケーブルのプラグ部を保持するクランプ装置であって、
前記プラグ部を前記光軸と同軸上において挿通可能でかつ弾性変形することで前記プラグ部を挟持する挟持部と、
前記挟持部を一方側から押圧方向に押圧することで弾性変形させる押圧部と、
前記押圧方向と交差する延設方向に延びるとともに前記押圧方向において前記押圧部の反対側となる前記挟持部の他方側に配置されて前記挟持部を片持ち支持する支持部と、
該支持部の自由端側及び前記挟持部のうち少なくとも一方を係止する係止部とを備えることを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
外側から内側に向けて順次配置される外側ケースと挟持部材と支持部材とを備え、
前記支持部材は本体部を有するとともに前記挟持部材を片持ち支持するために前記本体部から外側に向けて突設される前記支持部を有する一方、前記挟持部材は前記支持部と嵌合する嵌合部及び前記挟持部を有し、かつ、前記支持部又は前記挟持部は外側に向けて延設される延設部を有し、
前記外側ケースには前記延設部を係止する前記係止部が凹設されていることを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記挟持部は前記支持部よりも外側に向けて延設される前記延設部を有することを特徴とする請求項2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記挟持部には前記押圧部の押圧によって移動する可動部と、前記押圧部の押圧によって移動しない非可動部とが設けられ、前記延設部は前記非可動部の一部を構成することを特徴とする請求項3に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記挟持部は側方に切欠部が設けられるとともに前記押圧部の下方向への押圧によって上側部分が前記切欠部を介して対向する下側部分に近接するように下がることで前記プラグ部を挟持し、前記挟持部の下側部分は前記嵌合部の一部を構成し、前記延設部は前記挟持部の下側部分及び前記嵌合部から延設されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のクランプ装置。
【請求項6】
前記挟持部材の前記嵌合部は、前記支持部材の前記支持部と嵌合した嵌合状態において、前記支持部を囲むように配置されていることを特徴とする請求項2〜請求項5のうちいずれか一項に記載のクランプ装置。
【請求項7】
前記外側ケースは、前記係止部が凹設された外壁部と、該外壁部よりも内側に位置する内壁部と、前記外壁部と前記内壁部とを接続する床部と、前記外壁部と前記内壁部と前記床部とによって囲み形成される収容部とを有し、
前記支持部材は前記本体部が前記内壁部に隣接するとともに前記外壁部側に向けて前記支持部が突設されるように前記収容部内に配置され、かつ、前記本体部は下端側が前記床部に固定されていることを特徴とする請求項2〜請求項6のうちいずれか一項に記載のクランプ装置。
【請求項8】
前記挟持部と前記支持部とは対をなして、上下方向に2対が並ぶように2つずつ設けられ、
前記押圧部は2つの前記挟持部のうち上側に位置する前記挟持部の上側から下方向に2つの前記挟持部を押圧するとともに、前記係止部は上側に設けられた一対の前記挟持部及び前記支持部に対応して1つ設けられることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載のクランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−78530(P2012−78530A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223039(P2010−223039)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】