説明

クリアランスを調整するカバープレートを閉止するための方法およびその装置

中央孔(14)の開口部に近接した変形可能な材料の厚いハウジング壁(23)を組み込み、変形可能なカバープレート(66)を利用する閉止システムを提供するボールソケットハウジング。変形可能なカバープレート(66)は、中央孔内で所望の構成に形成され、内部ソケットの安定した予圧を達成する。カバープレートは弾性限界を超えてハウジング開口部に変形し、弾力性またははね返り特性を制御し、それによって、高再現性を示し、組立工程の間にボールソケットの予圧を正確に制御する。変形したカバープレート(66)は、ハウジングの周辺部をスウェージ加工または回転することによって、ソケットハウジング(12)内にカバープレートシートで(12)保持され、変形したカバープレートの周辺部をハウジング中央孔の開口部(14)内で固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
関連出願の相互参照
本特許出願は、2004年4月21日出願の米仮特許出願番号第60/564,085号に優先権を主張し、その全体を本願明細書に参照により援用する。
【0002】
1.技術分野
本発明は、たとえば自動車のステアリング装置およびサスペンション装置において用いられているようなボールジョイント等の可動ソケットの製造および組立に関し、より詳細には、剛性カバープレートを変形させ、ついで、ハウジングの周囲縁を回転させるかまたはスウェージ加工して、変形したカバープレートを保持することによって、可動ソケットの一端を閉止する操作を行うための方法および装置に関する。本発明は自動車への使用に関して詳述するが、当業者は本発明がより広範囲に適用可能であることを理解するであろう。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
従来のボールジョイントおよび他の可動ソケットは、たとえば自動車のステアリング装置およびサスペンション置において使用される。ソケットは、一般に、環状の円筒状の内面を有するハウジングと、ボール頭がハウジングに含まれるボールスタッドと、ハウジング内でボール頭を支持する支持部材とを備える。これらの構成要素は、一般に、後部開口部を通ってハウジングに設置され、ボールスタッドは、軸方向に配置された、ボール頭より小さな直径の前部開口部を通って、外側に延びる。従来、後部開口部は、所定の位置において回転もしくはスウェージ加工される平坦なカバープレートによって閉止される。あるいは、カバープレートは、所定の位置に溶接されてもよい。このようなソケットにおいては、ソケットの閉止に関連してカバープレートによって加えられる圧力による、ソケットの構成要素の予圧を制御することが、ソケットの目的とする用途においてソケットを適切に機能させるのに極めて重要となる。
【0004】
従来、カバープレート要素は打抜き法から形成され、それによって、所望の寸法を有する個々の構成要素が金属シートから打抜き加工される。打抜き法の間または後続の製造ステップのどちらかで、隆起したボスが引抜かれるかまたはカバープレートに打ち抜かれてもよく、所定の寸法の中央に位置する孔がカバープレートに打ち込まれ、セルフタッピングかねじ切りされたグリース金具を受ける。カバープレートは、一度所定の位置に固定されると、直接、または弾性の中間の構成要素および圧力板または支持部材を介して間接的に、支持部材を押圧する。
【0005】
可動ソケットは、一度組み立てられると、位置の制御として、および自動車車両のサスペンション装置およびステアリング装置等数多くの機械システムにおける荷重支持部材として、利用しうる。明らかに、これらの用途において使用される可動ソケットまたはボールジョイントは、様々な運転条件にさらされ、かなりの荷重を支えなければならない可能性もある。摩耗が生じる場合、可動ソケットまたはボールジョイントの性能が低下し、その結果、自動車に利用された場合には、車両のサスペンション装置において操縦を不安定にしたり過剰なゆるみおよび遊びをもたらしたりする恐れがある。
【0006】
その内容を本願明細書に参照により援用した米国特許番号第6,202,280号にお
いて説明されているように、後部開口部における周溝内に円すい形か凸状のカバープレートを広げる方法および装置が使用されてもよく、ソケットハウジング内にソケット構成要素を固定して包囲し、それによりソケットを閉止してカバープレートを固定するステップをさらに追加する必要なしに、十分に強化されたハウジングの閉止を十分確実にすることが可能となる。
【0007】
あるいは、その内容を本願明細書に引用したものとする、Parkerによる米国特許番号第6,125,541号に記載されているように、第1および第2の接触面を有している2段式ラムが利用されてもよく、ハウジングの後部開口部における周囲溝内に、軸孔を有する円すい形か凸状の摩耗インジケータ形式のカバープレートを最初に広げ、ついで、ソケットの内部要素に対する所定の最終位置までカバープレートをさらに変形して所定の摩耗インジケータ距離を設ける。
【0008】
同様に、その内容を本願明細書に引用したものとする、Parkerによる米国特許番号第6,532,665B2号に記載されているように、ハウジングを閉止するために、ハウジングの後部開口部内で、接触面および同心の枢軸パンチを有する2段式ラムがカバープレートと係合されてもよい。2段式ラムによって及ぼされる圧力が、接触面を介してカバープレートに伝達され、カバープレートを広げて接触面に適合させ、ソケットハウジング内でソケットの内部要素を包囲する。及ぼされた圧力によって、さらに、同心の枢軸パンチがカバープレートの中央のオリフィスに延びる結果となり、それによって、カバープレートの広がりを制御し、ソケットハウジングの閉止時に中央のオリフィスを所定の寸法に定める。
【0009】
上述のソケットとラムを備えた可動ソケットを閉止するための装置および方法のそれぞれは、カバープレートが軸方向の開口部を組み込み、ラムからの荷重下での所望の変形を可能とする必要がある。しかしながら、ソケット設計には、まったく軸孔がない、密封もしくは閉止されたカバープレートを必要とするものもある。このような用途においては多くの場合、ソケットは組立工程の直前に潤滑され、組み立てた後では潤滑されない。これらは、たいてい「永久潤滑型(lubed for life)」ソケットと呼ばれるものである。その内容を本願明細書に引用したものとするParkerによる米国特許番号第6,619,873B2号は、まったく軸孔のない、密封もしくは閉止されたカバープレートをソケットハウジングの開口端に広げ、それによって、ソケットを閉止するための組立て技術を説明し記載している。
【0010】
カバープレートの段の設計と、カバープレートの段に近接したハウジング開口部の内面に、完全に形成された周溝を組み込む必要性とのために、上述の、変形可能もしくは伸長性のカバープレートに利用されるソケットハウジングの設計は、ソケット壁の厚さを制限する。したがって、有利なのは、カバープレートを保持する(capture)ための周溝を組込むために壁厚を減少する必要のない、ハウジングを提供することである。さらに有利なのは、変形可能なカバープレートに利用可能であり、従来の回転またはスウェージ加工されたハウジングの薄型の上面の利点を保持するハウジングを設け、対応する用途においてソケットを設置した後で構成要素を包囲するためのクリアランスを提供することである。さらにまた有利なのは、ハウジングの上面を変形可能とし、薄型の上面を有するハウジング設計を使用することが可能となる十分な延性を有するソケットハウジングを提供することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の簡単な概要
簡潔に述べると、本発明は、ハウジング開口部にカバープレートを保持するための周方
向全体にわたって形成された周溝を必要としないソケットハウジングを使用する、ボールソケット継手のためのソケットを提供する。ハウジングは、好ましくは延性材料である変形可能な材料のハウジング壁を組込み、内部のボールソケット構成要素の安定した予圧を達成するために変形可能なカバープレートを利用する閉止システムを提供する。カバープレートは、弾性限界を超えて、ハウジング開口部内の段の上で変形し、それによって、変形したカバープレートが高度な再現性を示し、組立工程の間にボールソケット構成要素の予圧を正確に制御する。上面に近接したハウジングの変形可能な周辺部を形成するスウェージ加工または回転成形することによって、変形したカバープレートがソケットハウジング内にカバープレート取付部で保持され、ハウジング開口部内にカバープレートの周辺部を固定する。
【0012】
一態様において、本発明はソケットを組立てるための方法であり、以下のステップを含む。すなわち、ハウジング開口部を通ってソケット構成要素をハウジングに挿入するステップと、ソケット開口内の周方向シートに変形可能なカバープレートを配置するステップと、変形可能なカバープレートに制御された荷重を加えてカバープレートが弾性限界を超えるようにし、それによって、ハウジング開口部内にある取付部上で所望の構成となるまでカバープレートを平らにして広げ、制御された予圧とボールソケット構成要素の関連する内部クリアランスとを提供するステップと、カバープレートの周辺部の上でハウジングの周辺リップをスウェージ加工または回転成形することによって、ハウジングソケット内にカバープレートの周縁部を係合し、それによって、ハウジングにソケット構成要素を保持し、ハウジング開口部内の周方向取付台にカバープレートを保持するステップとを含む。好都合にも、カバープレートを変形し周辺リップをスウェージ加工または回転形成することによってカバープレートの周縁部を係合することに関連付けられるステップの順序付けは、逆転してもよい。
【0013】
本発明の方法のさらなる利点は、ハウジングはまっすぐな座ぐり孔が設けられてもよく、ソケットを形成する従来の方法に利用されているような分離した周方向溝を形成する必要のないことである。
【0014】
本発明の前述の、および他の目的、特徴、利点、ならびに現時点での好ましい実施形態は、添付の図面と関連する以下の説明からより明らかになる。
【0015】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面と関連して考えると、より容易に理解される。
【0016】
一致する参照番号は、図面のいくつかの図を通して、一致する部分を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
好適な実施形態の説明
以下の詳細な説明は、本発明を例示的に示すものであり、制限するためのものではない。この説明によって、当業者が本発明を実行し使用することが明らかに可能となり、この説明は、本発明のいくつかの実施形態、適合、変化、変形および使用を記載し、本発明を実施する最良の形態であると現在考えられていることを含む。
【0018】
当業者は、以下の方法を様々な異なる可動ソケットのアセンブリへ適用可能であることを容易に理解する。すなわち、それと同時に使用する方法および装置の説明を容易にするために、本発明の好ましい実施形態が、図3に示されるボールジョイント10等の様々なボールソケット継手に関して記載されているが、それを同時に使用すべく制限されるものではない。
【0019】
図1および図2に示すように、ボールジョイント10の様々な内部のボールソケット構成要素が包囲されるハウジング12は、ほぼ円筒状であり、後部開口部16および前部開口部18を有する均一でない半径の中央孔14を備える。中央孔14の半径Rが減少し、前部開口部18に近接してハウジングの底部に曲面20を画定する。シート24を有する座ぐり孔22が、孔14内に後部開口部16に近接して形成される。ハウジング12の外面26は、中央孔14の全体的な輪郭に追従してもよい。例示される実施形態において、表面26には表面に形成される広がった隆起部28がある。隆起部28が、ボールジョイント10を他の構成要素(図示せず)に取り付けるために使われる。当然のことながら、隆起部28はまた、ねじまたは他のコネクタ(図示せず)を使用する、他の特定の種類の取付けに適合するようになされてもよい。
【0020】
ボールジョイント10のボールソケット構成要素を組み立てるために、中央孔14内に嵌合するように寸法決めされた第1または下方の軸受30が、ハウジング12内に装着される。第1の軸受30は、ハウジングの垂直軸VAと軸方向に心を合わせた中央孔32を含む。第1の軸受30の湾曲した外側面34は、ハウジング12にある表面20の曲率に対応するように設計される。
【0021】
次に、ほぼ円筒状の本体38と外周フランジ42を備える拡径された頭部40とを有するスタッド36が、中央孔32および14を貫通するので、第1の軸受30およびスタッド36の両方がハウジング12内に装着される場合に、フランジ42の下面44が第1の軸受30の上面部46上に載置される。本体38は、先細りの中央部分52に移行し、次に幅の狭い均一な直径の下部54に移行する、フランジ42に近接した均一な直径の上部50を含む。上部50は、軸受30の中央孔32内に嵌合するように寸法決めされ、中央部分52および下部54は前部開口部18を通ってハウジング12の外部に延びる。頭部40は、半球状の表面56を含み、上部50の半径よりも大きいがハウジング12の半径Rよりも小さな半径RHを有する。組立てられると、半球状の表面56および湾曲した外側面34は、ほぼ球形のユニットまたはボールをハウジング12の内に画定し、スタッド36が回動するか円すい運動することが可能となる。
【0022】
スタッド36および第1の軸受30については数多くの形状および構成が可能であることを、当業者であれば容易に理解するであろう。たとえば、図4Aから図4Cおよび図5Aから図5Cに示すように、スタッド36はほぼ球形の頭部を含んでもよく、その場合第1の軸受30が必ずしも必要ではなくなるか、第1の軸受30がスタッド36のほぼ球形の頭部のための支承面としての役割を果たすように働くほぼ球形の孔を有する必要が生じるか、あるいは、外部の構成要素(図示せず)を取り付けるために、円筒状の本体38が、ねじ(図示せず)や、58としての孔や、60としての溝を含んでもよい。
【0023】
一度スタッド36および軸受30がハウジング12内に装着されると、圧力板62の形の第2の軸受または上部の軸受およびクッション予圧装置64等の予圧装置64が中央孔14内に半球状の表面56の上に配置され、変形可能なカバープレート66によってそこに固定される。圧力板62はスタッド36の上にあり、好ましくは湾曲したくぼみの形をした、RHに相当する曲率半径を有する支承面68を含む。次に、予圧装置64が圧力板62の上面部72にあり、組立てられると、制御された予圧またはばね力を加えることによって、圧力板62をスタッド36に所定の位置に保持する役目をすると同時に、ソケット内でスタッド36が回転式あるいは円すい形に駆動するのに応じてボールのわずかな動きが可能となる。クッション予圧装置64は、軸方向の通路76を有する円筒状の本体74を備えてもよい。図3に示すように、予圧装置はベルビルワッシャ64を備えてもよい。
【0024】
最終的に、図1の初期状態が円すい形かドーム形の構成で示されるカバープレート66
が、後述するように垂直に圧縮し横方向の広がりを最小とするために、クッション予圧装置64の上で座ぐり孔22に近接して周方向シート24の上に配置され、ハウジング12内で様々な構成要素を包囲する。ハウジング12の後部開口部16内にカバープレート66が挿入しやすくなるように、カバープレート66は、座ぐり孔22内に嵌合するように寸法決めされた外径ODを有する外周リム78を含むので、カバープレートは周方向シート24上に載置される。カバープレート66は好ましくは薄型の円すい形もしくは凸状の構成を備えるので、外径ODが座ぐり孔22の直径(CD)よりもわずかに小さく、座ぐり孔22の直径(CD)内で嵌合し、シート24上での広がりが制限される。一度変形すると、シート24上のカバープレートの広がりと、ハウジング12の割れまたは過度の変形を引き起こすのに十分な力をカバープレート66に近接したハウジング12に及ぼす空隙とを制限するように、カバープレート66のために選択される材料によって、好適な薄型の円すい形であるか凸状の構成が選択される。薄型の円すい形もしくは凸状の構成は、全体として、従来のボールソケット継手のために利用される円すい形の構成よりも少なく、従来のボールソケット継手はカバープレートの外型を引っ掛けるための外溝を利用したものであり、円すい形のカバープレートが半径方向に有意に広がる必要があり、結果として、対照的に、約35度の円すい角アルファが必要となるが、本発明によって利用され得る薄型の構成は約35度未満の円すい角アルファを組込むことが可能である。一例において、約20度の円すい角アルファが利用されて、カバープレート66をドーム形状に変形するための十分な材料を提供されつつ、また、変形と連動して、カバープレート66の半径方向への拡張を最小限にした。しかしながら、当業者は、カバープレート66のために利用される材料と、シート24の寸法と、取付け後のカバープレート66の所望の最終的な構成および形状とによって、カバープレート66の詳細な形状および最初の構成が変動されてもよいことを理解するであろう。図1は、ボールジョイント10を組み立ててカバープレート66が変形する前のボールジョイント10の上部の構成要素36、62、64、および66の配置を示す。支承面68および曲面20は、ソケットを備える。組み立てられると、これらの表面およびそれらに対応する構成要素は、半球状の表面56および湾曲した外側面34およびそれらの対応する構成要素と共に、ボールジョイント10としてボールソケット継手を備える。
【0025】
上述のように、カバープレート66によってハウジング12内に固定される可動ボールソケット継手10の様々な内部要素の寸法および形状が、可動ボールソケット継手10が設計される特定の用途によって様々であってもよいことは、当業者には明らかであろう。したがって、上述のボールジョイント10は、単に一実施形態の例示的なものにすぎない。
【0026】
図3を参照すると、ボールジョイント10は、成形工具100等の、本発明の方法によるステップを行うのに適する成形装置100を使用して製作されてもよい。成形工具100は、本質的に2段階の成形金型または成形工具である。成形工具100は、カバープレート66が変形する前の組み立てられた配置において、ボールジョイント10の垂直軸VAに心を合わせるのに使用される中心軸CAのまわりに位置する中央のカバープレートを形成する部分102を含む。中心軸CAのまわりの中央部102の外側の位置に、外側の周辺リップを形成する部分104が配置される。本願明細書においてさらに記載されているように、中央部分102は、一般に、カバープレート66をその所望の構成に形成するのに適合し、かつその働きをする。外側部分104は、一般に、側壁23を変形し、変形した周辺リップ25を形成するのに適応し、かつその働きをする。中央部分102は、成形面108を有する成形金型106を含む。中央部分102は、カバープレート66を変形したカバープレート66’のような所望の構成に変形するのに十分な成形の荷重または力F1を加えるための、関連する手段(図示せず)を有する。成形面108は、変形したカバープレート66’の、たとえば半球状またはドーム状の形状等の所望の構成を提供するように成形される。中央部分102は、成形金型106内に配置されそこから延び、さ
らに中心軸CAに沿って心を合わせられるセンタポンチ110を含んでもよい。センタポンチ110は、カバープレート66を変形する間に、カバープレート66に配置された孔67、好ましくは中心孔に、延長した先端部111を挿入することによって、孔67’、好ましくは中心孔を、変形したカバープレート66’に画定し保持するのに適合し、かつその働きをする。外側部分104は、下端部114に成形部材112を含む。図3の例示的な概略図において、タイプの異なる2つの成形部材112が示されている。図3の右側には、本願明細書においてさらに記載するように、たとえば側壁23の回転成形のために利用可能な、回動式成形ホイール116としての成形部材112が示されている。図3の左側には、本願明細書においてさらに記載するように、たとえば側壁23を圧着またはスウェージ加工するために利用可能な、外側部分104の下端部114に形成される外周面取り118としての成形部材112が示されている。外側部分104はまた、側壁23を変形し、変形した周辺リップ25を形成するのに十分な成形荷重または成形力F2を加えるための、関連する手段(図示せず)を有する。成形工具100が成形ホイール116を組込む場合には、成形工具100およびボールジョイント10を保持するために用いる治具(図示せず)のうちの1つは、側壁23を変形し周辺リップ25を形成するのに成形ホイール116を用いることができるように、成形力F2が加えられる間に、回転に適合する。成形工具が外周面取りを含む場合には、成形力F2が加わる間に工具または保持具を回転する必要はないのは、外周面取り118が対応する外周のひだまたは変形した周辺リップ25をおのずと形成するためである。中央部分102および外側部分104は、互いを完全に独立して作動するように構成され配置されてもよく、また、好ましくは、本願明細書においてさらに記載するように、所定の調整された順序で作動するように構成され配置されてもよい。容易に理解されるように、中央部分102および外側部分104を含む成形工具100の制御は、手動、または、周知の自動化された金型および金型成形の制御を用いることにより行われてもよい。
【0027】
ここで図4Aから図4Cに戻る。ソケットを組み立てるための本発明の方法の第1の実施形態は、ハウジング12内にハウジング開口部16を通って、全体として図3に示されるような、または本願明細書において記載するように、図1に示される構成要素をハウジング12に挿入することによって得られるような、最初の予め組み立てられた構成まで上述のボールソケット構成要素を挿入する最初のステップを含む。このことは、以下のステップを含む。すなわち、中央孔14を有するハウジング12を設けるステップであって、中央孔14は上記開口端部16に近接して周方向シート24を画定する座ぐり孔22を有する、少なくとも1つの開口端部16を含むステップと、第1の軸受30、第2の軸受62、および予圧装置64等の1つ以上の継手構成要素を設け、スタッド36を含めるステップと、変形可能なカバープレート66を設けるステップであって、カバープレート66は周方向シート24上の座ぐり孔22内に装着するように寸法決めされた外径ODを有し、スタッド36および継手構成要素を中央孔14に挿入するステップと、カバープレート66を周方向シート24に装着して、中央孔14の開口端部16にある継手構成要素の上にカバープレート66を配置するステップとを含む。ハウジング12に配置されるボールジョイント10のボールソケット構成要素によって、変形可能なカバー−プレート66がハウジング開口部16内の周方向シート24に装着され、制御された荷重F1が、成形金型106(および成形面108の働き)およびセンタポンチ110を通って変形可能なカバープレート66に及び、カバープレート66が弾性限界を超え、それによって、ハウジング開口部16および座ぐり孔22内での所望の完成した構成66’(図4Aを参照)まで、カバープレート66を平らにして最小限に広げる。この働きによって、クッション予圧装置64(図1および図2を参照)の形またはベルビルワッシャ64(図3を参照)の形にかかわらず、予圧をボールジョイント10の構成要素、特に圧縮予圧装置64に加える。予圧装置64を圧縮することによって、その目的の用途においてボールジョイント10の次の操作に必須のボールジョイント10の組立ての後で、ボールジョイント10の構成要素の制御された荷重を維持するのに用いられるエネルギーを保存する。
【0028】
所望の構成とは、カバープレート66と関連付けられる変形工程の間に、組立工程が終了するまでカバープレート66’を周方向シート24に所定の位置に保持し、内部ソケット構成要素を所定の位置に保持するのに十分なだけ、カバープレート66の外径ODが限定されて広がり可塑的に変形することを意味する。合力がハウジング12に損傷を与えるかまたは歪曲するのに十分でない限り、座ぐり孔の表面22を押圧するようにODが半径方向に広がってもよいが、カバープレートが66は、座ぐり孔22と接触するのに十分に広げられる必要はない。所望の構成はまた、たとえばドーム形状等のハウジング12の上部の上に延びてもよい、ほぼ円弧状の部分80を有する、変形したカバープレート66’の部分を備えるのが好ましい。この全体として円弧状に成形された部分80は、ボールソケット継手10内にグリースを受けるための囲いの部分を画定する役目をしてもよい。座ぐり孔22の表面を押圧しハウジング開口部16を包囲するために変形し広げられた、変形したカバープレート66’を使って、座ぐり孔22に近接したハウジング12の側壁23をスウェージ加工することによって、カバープレートの周縁部65がハウジング12内に引っ掛かり、変形し広げられたカバープレート66’の周辺部の上にハウジング12の変形した周辺リップ25(図6を参照)を形成する。それによってソケット構成要素を、ハウジング12に保持し、ハウジング開口部16内の周方向シート24にカバープレート66’を保持する。
【0029】
上述のボールソケット構成要素をハウジング12内にハウジング開口部16を通って最初の組立て前の構成まで挿入するステップに続き、図4Bは、座ぐり孔に近接したハウジング12の外周側壁23を半径方向に内側の方向に変形させ、それによって、変形した周辺リップ25を形成し、上記カバープレートの周縁65を引っ掛けるステップを示し、ここでは、引っ掛かり変形したカバープレート66’によって、スタッド36および継手構成要素が中央孔14内に保持される。変形は、本願明細書に記載されるように、成形ホイール116を使用した回転成形を用いることにより、または、面取りされた成形金型118を使用して圧着するかスウェージ加工することによって、達成しうる。ハウジング12がスチールまたは変形可能な鋳鉄合金から形成される場合、変形した周辺リップ25は、冷間加工されたミクロ構造およびこのような構造の機械的性質特性を有することとなる。
【0030】
図4Cは、上述の本発明の方法の用途によって組み立てられたボールジョイント10を示し、変形したカバープレート66’の所望の構成を含む。
【0031】
ここで図5Aから図5Cに戻る。ソケットを組立てるための本発明の方法の第2の実施形態は、上述のボールソケット構成要素をハウジング12にハウジング開口部16を通って、全体として図3に示されるような、または本願明細書に記載されるように、ハウジング12に図1に示される構成要素を挿入することによって得られるような、最初の組立て前の構成まで挿入するステップを含む。このことは、以下のステップを含む。すなわち、中央孔14を有するハウジング12を設けるステップであって、中央孔14は上記開口端部16に近接して周方向シート24を画定する座ぐり孔22を有する、少なくとも1つの開口端部16を含むステップと、第1の軸受30、第2の軸受62、および予圧装置64等の1つ以上の継手構成要素を設け、スタッド36を含めるステップと、変形可能なカバープレート66を設けるステップであって、カバープレート66は周方向シート24上の座ぐり孔22内に装着するように寸法決めされた外径ODを有し、スタッド36および継手構成要素を中央孔14に挿入するステップと、カバープレート66を周方向シート24に装着して、中央孔14の開口端部16にある継手構成要素の上にカバープレート66を配置するステップとを含む。
【0032】
図5Bに示すように、側壁23を変形することによってハウジング12に引っ掛かるソケット構成要素および内方へ延びる変形した周辺リップ25(図5A)の形成によって、
変形可能なカバープレート66がハウジング開口部16内の周方向シート24に装着され、制御された荷重F1が、成形金型106(および成形面108の働き)およびセンタポンチ110を通って変形可能なカバープレート66に及び、カバープレート66が弾性限界を超え、それによって、ハウジング開口部16および座ぐり孔22内での所望の完成した構成66’まで、カバープレート66を平らにして最小限に広げる。この働きによって、クッション予圧装置64(図1および図2を参照)の形か、またはベルビルワッシャ64(図3を参照)の形にかかわらず、予圧をボールジョイント10の構成要素、特に圧縮予圧装置64に加える。予圧装置64を圧縮することによって、その目的の用途においてボールジョイント10の次の操作に必須のボールジョイント10の組立ての後で、ボールジョイント10の構成要素の制御された荷重を維持するのに用いられるエネルギーを保存する。所望の構成によって、意味することは、変形工程の間に、組立工程が終了するまでカバープレート66’を周方向シート24に所定の位置に保持し、内部ソケット構成要素を所定の位置に保持するのに十分なだけ、カバープレート66’の外径ODが限定されて広がり可塑的に変形することである。所望の構成はまた、ハウジング12の上部の上に延びてもよいほぼ円弧状の部分80を有する変形したカバープレート66’を備えることが好ましく、ソケット内にグリースを受けるための囲いの部分を画定する役目をしてもよい。変形したカバープレート66’は、座ぐり孔22の表面を押圧してさらにハウジング開口部16を包囲するかまたは密封するのに十分に変形し広がってもよいが、この程度のODの広がりは必要とされない。
【0033】
ボールジョイント10を閉止する間に変形可能なカバープレート66がカバープレート材料の弾性限界を超え、それによって、塑性変形を含み、変形したカバープレート66’を製作することによって、それぞれの変形したカバープレート66’および同じ構成のボールジョイント10を高度に再現可能な、一貫した内部のソケット予圧と、スタッドおよび継手構成要素の関連する内部クリアランスとを得る。この改良によって、その目的の用途のためのソケットの受け入れ可能であり再現可能な性能を保証する。図6に示すような有限要素のモデリングによって、このことを証明する。このモデリングにおいて、カバープレート66のいくつかの構成が、2つの異なる降伏点を有する材料を使用してモデル化された。材料2が材料1の降伏点より10%高い降伏点を有することを除いて、材料1および材料2は同一のものであった。モデルはまた、継手の内部要素の2つの異なる構成または条件を考慮するものであった。条件1は、構成要素の許容寸法の可変性に基づく極小条件を示し、構成要素が周方向シート24のほぼ0.035インチ下に位置するように設定した。条件2は極大条件を示し、構成要素が周方向シート24のほぼ0.005インチ下に位置するように設定した。モデルは、変形し中央部分102を取りはずした後のカバープレート66’の予想されるはね返り量を測定した。平坦または0度の円すい角の条件および35度の円すい角の条件は、ボールジョイント10を形成するための関連技術の方法を示し、0度の円すい角の条件は、スウェージ加工されたか回転形成された周辺リップを有する平坦なカバープレートの典型であり、35度の円すい角の条件は、カバープレートを引っ掛けソケットを密封のためにハウジング12の外溝に変形した、変形したカバープレートの典型である。20度の円すい角の条件は、本発明のソケットの典型である。特に、本発明のソケットには、平坦なカバープレートを使用して形成したソケットを超えて、有意に減少した可変性(すなわち、材料および公差スタックの条件を両方考慮して、最大限のはね返りと比較した最小限のはね返り)がある。このことは、円すい形であるか凸状のカバープレートを用いることに関連して、カバープレートの塑性変形が高まったためであると考えられる。
【0034】
変形し広げられたカバープレート66’の表面の上に突出するハウジング部の全高を減少させることによって、ハウジング開口部16内に変形したカバープレート66’を保持するスウェージ加工または回転成形する閉止方法の利用により、ソケットハウジング12の頂部周辺により大きなクリアランスがさらに設けられ、それによって、ボールジョイン
ト10が適する用途において設置される場合に、近接した構成要素のためのより多くの空間を備える。さらに、ハウジング後部開口部の外溝が必要でなくなることによって、所望の強度特性を保持するためにハウジング壁の厚さを増大する必要はなく、それによって、製造工程が簡略化される。
【0035】
上記の教示内容に鑑みて、本発明の多くの変形および変更が可能であるのは明らかである。それゆえに、添付の特許請求の範囲内において、本発明は詳細に記載されている以外の方法で実施されてもよいことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】組み立てる前の本発明の可動ソケット組立体の構成部分の例示的な一実施形態の分解断面図である。
【図2】ソケットを組み立てた後の図1の可動ソケット組立体の構成部分の断面図である。
【図3】本発明による使用のためのアセンブリ工具の2つの実施形態を示す断面図である。
【図4】AからCは本発明の方法の一実施形態による一連のステップを示す横断面図である。
【図5】AからCは本発明の方法の第2の実施形態による一連のステップを示す横断面図である。
【図6】本発明の方法によるカバープレートを変形するステップと連動して、ソケットのカバープレートおよび構成要素のはね返りの様々な態様を関連づける図表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットを形成する方法であって、
中央孔を有するハウジングを設けるステップを備え、
前記中央孔が、前記開口端部に近接した周方向シートを規定する座ぐり孔を有する少なくとも1つの開口端部を含み、
スタッドを含む1つ以上の継手構成要素を設けるステップと、
変形可能なカバープレートを設けるステップをさらに備え、
前記カバープレートは、前記座ぐり孔内の前記周方向シート上に着座するように寸法決めされた外径を有し、
前記スタッドおよび継手構成要素を前記中央孔に挿入するステップと、
前記中央孔の前記開口端部にある前記継手構成要素の上に前記カバープレートを配置するステップをさらに備え、
前記カバープレートは前記周方向シート上に着座し、
制御された荷重を前記カバープレートに加えるステップをさらに備え、
前記制御された荷重が所望の構成まで前記カバープレートを変形し、前記周方向シートに係合させて圧接し、
前記座ぐり孔に近接する前記ハウジングの外周側壁を半径方向内方に変形させ、前記カバープレートの周縁端を固定するステップをさらに備え、
前記固定されて変形したカバープレートによって、前記スタッドおよび継手構成要素が、前記中央孔内で保持される、方法。
【請求項2】
前記変形ステップが、前記座ぐり孔の外周部をスウェージ加工することを含む、請求項1に記載のソケットを形成するための方法。
【請求項3】
上記変形ステップが、前記座ぐり孔の外周部を回転成形することを含む、請求項1に記載のソケットを形成するための方法。
【請求項4】
前記加えるステップが、十分に制御された荷重を前記カバープレートに加え、前記カバープレートの弾性限界を超えるようにすることを含み、それによって、前記カバープレートが予測可能な変形特性を示す、請求項1に記載のソケットを形成するための方法。
【請求項5】
前記中央孔内の前記スタッドおよび継手構成要素のための所望の内部クリアランスを達成するために、前記カバープレートの変形が制御される、請求項1に記載のソケットを形成するための方法。
【請求項6】
前記ハウジングが、前記カバープレートの上方で前記ハウジングを閉止することができるのに十分な可撓性を有する材料から形成される、請求項1に記載のソケットを形成するための方法。
【請求項7】
ソケットを形成する方法であって、
中央孔を有するハウジングを設けるステップを備え、
前記中央孔が、前記開口端部に近接した周方向シートを規定する座ぐり孔を有する少なくとも1つの開口端部を含み、
スタッドを含む1つ以上の継手構成要素を設けるステップと、
変形可能なカバープレートを設けるステップをさらに備え、
前記カバープレートが、前記座ぐり孔内の前記周方向シート上にに着座するように寸法決めされた外径を有し、
前記スタッドおよび継手構成要素を前記中央孔に挿入するステップと、
前記中央孔の前記開口端部にある前記継手構成要素の上方に前記カバープレートを配置
するステップをさらに備え、
前記カバープレートは前記周方向シート上に着座し、
前記座ぐり孔に近接する前記ハウジングの外周側壁を半径方向内方向に変形させ、前記カバープレートの周縁端を固定するステップと、
制御された荷重を前記固定されたカバープレートに加えるステップをさらに備え、
前記制御された荷重が所望の構成まで前記固定されたカバープレートを変形し、前記周方向シートに係合させて圧接し、
前記固定されて変形したカバープレートによって、前記スタッドおよび継手構成要素が、前記中央孔内で保持される、方法。
【請求項8】
前記変形ステップが、前記座ぐり孔の外周部をスウェージ加工することを含む、請求項7に記載のソケットを形成するための方法。
【請求項9】
上記変形ステップが、前記座ぐり孔の外周部を回転成形することを含む、請求項7に記載のソケットを形成するための方法。
【請求項10】
前記加えるステップが、十分に制御された荷重を前記カバープレートに加え、前記カバープレートの弾性限界を超えるようにすることを含み、それによって、前記カバープレートが予測可能な変形特性を示す、請求項7に記載のソケットを形成するための方法。
【請求項11】
前記中央孔内の前記スタッドおよび継手構成要素のための所望の内部クリアランスを達成するために、前記カバープレートの変形が制御される、請求項7に記載のソケットを形成するための方法。
【請求項12】
前記ハウジングが、前記カバープレートの上方で前記ハウジングを閉止することができるのに十分な可撓性を有する材料から形成される、請求項7に記載のソケットを形成するための方法。
【請求項13】
ボールジョイントであって、
上部軸受および下部軸受と移動可能に係合するボールスタッドを受けるように適合されたハウジングを備え、
前記ボールスタッドおよび軸受には、予圧装置との押圧係合によって加わる予圧が与えられ、
変形した周辺リップによってハウジングに固定される所望の構成を有する変形したカバープレートにより特徴づけられ、変形した周辺リップはハウジング側壁を変形することによって得られ、変形したカバープレートは円すい形もしくは凸状のカバープレートプリフォームを変形することによって得られる、ボールジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−534903(P2007−534903A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509676(P2007−509676)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/013829
【国際公開番号】WO2005/105337
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】