説明

クリスタルガラス加工方法

【課題】クリスタルガラス内部にレーザー加工された二次元画像の輝度ムラがなく、明るく外光を反射し、画像を正面から見ても写りこみがなく、さらに画像の不可視領域が小さいレーザー加工方法を提供すること。
【解決手段】レーザーにより、クリスタルガラス内部へ加工する方法で、レーザー発生装置、X−Y−Z位置制御、電子制御、ソフトウェアから成り、加工された画像が、クリスタルガラスの目視面に対し5°〜30°傾斜したことを特徴とするレーザー加工方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
この考案は、クリスタルガラス内部へのレーザーによる加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーにより、クリスタルガラス内部へ加工する方法としては、図1に示す通り、レーザー発生装置(2)、X−Y−Z位置制御(3)、電子制御(4)、ソフトウェア(5)から成る。 ソフトウェア(5)にて、画像情報をレーザー加工情報に変換し、レーザー発生装置(2)にて発生したレーザー光(6)が、X−Y−Z位置制御にて制御されたクリスタルガラス(1)内の所望の位置で焦点を結ぶことにより、クリスタルガラス(1)内部に非線形吸収現象を引き起こし、その結果、微細なクラックが綿密で局地的な点状に生成される。この点状クラックの集合で、画像(1a)が形成される。
【0003】
一方、上記加工方法の内、安価なものとして、X−Y−Z位置制御のZ方向すなわちレーザーの光軸方向が固定の、二次元加工専用の加工方法がある。この加工方法においては薄板ガラスへの加工が適している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ソースが二次元である文字、写真等をクリスタルガラス内部へ加工する場合、図2に示すように、クリスタルガラス(1)の設置方向に対し垂直方向から加工するのが一般的である。一方、レーザー光(6)は屈折、反射の影響を避ける為にガラス面に対して直角に照射する必要がある。
特に上述の二次元加工専用の加工方法では、クリスタルガラス(1)の通常見る面を目視面(1d)とすると、目視面(1d)と加工面は平行である必要があり、加工面には、目視面(1d)に平行な画像である平行画像(1b)が形成される。
【0005】
ここで、通常の使用ではクリスタルガラス(1)を立てて見ることから、目視面(1d)は直立することになり、目視面(1d)と平行に加工された平行画像(1b)は、主に上方からの外光(7a)を反射することにより認識されるが、図3に示す通り画像全体に上方からの外光(7a)が当らず、輝度ムラが生じて、暗くなる。
【0006】
また、クリスタルガラス(1)をLED等の光源付置き台に乗せる場合があるが、下方からの外光(7b)も同様に画像全体に当らず、輝度ムラが生じて、暗くなる。
【0007】
一方、目視面(1d)に対し平行にレーザー加工された平行画像(1b)を正面から見ると、図4に示す通り、クリスタルガラス(1)の目視面(1d)を直角方向から見ることになり、自分の顔がクリスタルガラス(1)の目視面(1d)で反射して写りこみ、画像が見えにくくなる。
さらに、クリスタルガラス(1)を置物としての通常の使い勝手として、目視面(1d)に対し平行にレーザー加工された平行画像(1b)を斜め上方から見た場合、図5に示す通り、画像位置と大きさによっては、全てを見ることができない画像の不可視領域(e)が大きくなり、画像の可視領域(f)が小さくなる。
【0008】
これらの問題を鑑み、請求項1に係る考案は、クリスタルガラス内部にレーザー加工された二次元画像の輝度ムラがなく、外光を明るく反射し、画像を正面から見ても写りこみがなく、さらに画像の不可視領域が小さいレーザー加工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る考案は、レーザーにより、クリスタルガラス内部へ加工する方法であって、図6に示す通り、レーザー発生装置(2)、X−Y−Z位置制御(3)、電子制御(4)、ソフトウェア(5)から成る。
ここで、加工された画像、すなわち傾斜画像(1c)は、クリスタルガラス(1)の目視面(1d)に対し5°〜30°傾斜した加工面上に形成されたことを特徴とする加工方法である。
【発明の効果】
【0010】
本考案のレーザー加工によって、傾斜画像(1c)が、クリスタルガラス(1)の目視面(1d)に対し傾いていることにより、上方からの外光(7a)、及び下方からの外光(7b)を均一に受光する為、均一で明るい反射光(8)が得られる。
一方、本考案のレーザー加工された傾斜画像(1c)を正面から見ると、クリスタルガラス(1)の目視面(1d)は傾くことになり、自分の顔がクリスタルガラス(1)の目視面(1d)で反射して写り込むことがなく、傾斜画像(1c)を鮮明に見ることができる。
さらに、平行画像(1b)に比べて大きな画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
実施例について図を参照にして説明すると、レーザーにより、クリスタルガラス(1)内部へ加工する方法として、図6に示す通り、レーザー発生装置(2)、X−Y−Z位置制御(3)、電子制御(4)、ソフトウェア(5)から成る。
【0011】
ソフトウェア(5)にて、画像情報をレーザー加工情報に変換し、電子制御(4)により、レーザー発生装置(2)で発生したレーザー光(6)が、X−Y−Z位置制御(3)にて制御されたクリスタルガラス(1)内の所望の位置で焦点を結ぶことにより、クリスタルガラス(1)内部に非線形吸収現象を引き起こし、その結果、微細なクラックが綿密で局地的な点状に生成される。 この点状クラックの集合で、以下に説明する傾斜画像(1c)が形成される。
【0012】
図7は、本考案のレーザー加工の側面図であり、ソフトウェアにより制御された傾斜画像(1c)はクリスタルガラス(1)の目視面(1d)に対し画像角度(g)が5°〜30°傾いて形成されている。レーザー加工された傾斜画像(1c)が目視面(1d)に対し傾いていることにより、上方らの外光(7a)、及び下方からの外光(7b)を均一に受光する為、均一で明るい反射光(8)が得られる。
【0013】
一方、本考案のレーザー加工された傾斜画像(1c)を正面から見ると、クリスタルガラス(1)の目視面(1d)は5°〜30°傾くことになり、自分の顔がクリスタルガラス(1)の目視面(1d)で反射して写り込むことがなく、傾斜画像(1c)を鮮明に見ることができる。
【0014】
さらに、クリスタルガラス(1)を置物としての通常の使い勝手では、本考案のレーザー加工された傾斜画像(1c)を斜め上方から見た場合、図8に示す通り、傾斜画像(1c)の画像角度を(g)とすると、傾斜画像(1c)の寸法すなわち傾斜画像寸法(h)と、平行画像(1b)の寸法すなわち平行画像寸法(i)の関係は、式1で示すことができる。
傾斜画像寸法(h)=平行画像寸法(i)/cos(g) (式1)
すなわち平行画像(1b)に比べて1/cos(g)だけ大きな傾斜画像(1c)を形成することができる。
【0015】
本考案の実施例では、ソフトウェアによる制御によって、画像を傾けて形成する方法を述べたが、画像を傾けて形成する別の方法について、図9を用いて説明すると、X−Y−Z位置制御(3)上に設置する、クリスタルガラス(1)の片側に、所望の画像角度で傾斜画像(1c)を形成する為の、マクラ(10)を挟み込む。次に傾斜して設置された、クリスタルガラス(1)に、レーザー光(6)が直角に入射する為の、片面が所望の画像角度だけ傾斜して台形状に成形された、補正ガラス(9)を、クリスタルガラス(1)の上に設置し、レーザー加工することで、所望の画像角度のある、傾斜画像(1c)を形成することができる。
また、この方法を利用すると、X−Y−Z位置制御(3)のZ方向すなわちレーザー光(6)の光軸方向が固定になる為、二次元加工専用のレーザー加工装置においても、実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】レーザー加工装置の構成図である。
【図2】垂直方向にレーザー加工する説明図である。
【図3】レーザー加工された平行画像の説明図である。
【図4】レーザー加工された平行画像を正面から見た説明図である。
【図5】レーザー加工された平行画像を斜め上方から見た説明図である。
【図6】本考案のレーザー加工装置の構成図である。
【図7】本考案のレーザー加工の側面図である。
【図8】斜め上方から見た場合の画像形成図である。
【図9】画像を傾けて形成する別の方法の説明図である。
【符号の説明】
1 クリスタルガラス
1a 画像
1b 平行画像
1c 傾斜画像
1d 目視面
2 レーザー発生装置
3 X−Y−Z位置制御
4 電子制御
5 ソフトウェア
6 レーザー光
7a 上方からの外光
7b 下方からの外光
8 反射光
9 補正ガラス
10 マクラ
e 画像の不可視領域
f 画像の可視領域
g 画像角度
h 傾斜画像寸法
i 平行画像寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリスタルガラスへのレーザーによる加工において、加工面がクリスタルガラスの目視面に対し、5°〜30°の角度の傾斜した内部平面上にあることを特徴とする、クリスタルガラス加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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