説明

クリヤ塗装ステンレス鋼板およびその製造方法

【課題】クリヤ塗膜の剥離が防止されたクリヤ塗装ステンレス鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板10は、ステンレス鋼板原板11と、ステンレス鋼板原板11の一方の面に成膜された化成処理塗膜12と、化成処理塗膜12の表面に成膜されたクリヤ塗膜13とを有し、ステンレス鋼板原板11における表面の油汚染部の面積率が2%以下である。本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法は、2個のステンレス鋼板原板11のコイルを接合し、次いで脱脂処理した後、化成処理液を塗布して化成処理塗膜12を成膜し、化成処理塗膜12の表面にクリヤ塗料を塗布してクリヤ塗膜13を成膜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリヤ塗膜を備えるクリヤ塗装ステンレス鋼板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家電や電子機器の筐体用の材料として、ステンレス鋼板原板の表面に化成処理塗膜を介してクリヤ塗膜が成膜されたクリヤ塗装ステンレス鋼板を用いることがある(特許文献1〜5参照)。
【特許文献1】特開2001−149860号公報
【特許文献2】特開2001−316845号公報
【特許文献3】特開2003−154309号公報
【特許文献4】特開2005−153168号公報
【特許文献5】特開2006−142642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、クリヤ塗装ステンレス鋼板を所望の形状に成形する前に、クリヤ塗膜表面に保護フィルムが貼着されることがある。ところが、成形後保護フィルムを引き剥がした際に、保護フィルムと共にクリヤ塗膜がステンレス鋼板原板から剥離してしまうことがあった。特に、厳しいプレス成形条件、例えば、クリヤ塗装ステンレス鋼板の複雑な形状でのプレス成形、大型パネルの一体化成形等での深絞り、小さい曲率半径での曲げ加工の場合に、剥離が起こりやすかった。化成処理塗膜およびクリヤ塗膜が剥離すると、外観が損なわれたり、ステンレス鋼板原板が錆び易くなったりするため、クリヤ塗膜の剥離が防止されたクリヤ塗装ステンレス鋼板が求められている。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、成形加工後のクリヤ塗膜の剥離が防止されたクリヤ塗装ステンレス鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、クリヤ塗装ステンレス鋼板を成形した際に化成処理塗膜およびクリヤ塗膜の剥離が生じる原因について調べた。その結果、クリヤ塗装ステンレス鋼板原板を製造する際のコイル接合工程で使用したジョイナー油(以下、油という。)がステンレス鋼板原板の表面に残存し、その残存した油が剥離の原因になることを見出した。特に、ステンレス鋼板原板をコイル状に巻回した場合には、油の付着のない部分に油が転移して、油で汚染された部分が広がってしまい、剥離がより発生しやすくなることを見出した。そして、その知見に基づき、化成処理塗膜およびクリヤ塗膜が剥離しにくいクリヤ塗装ステンレス鋼板について検討した結果、以下のクリヤ塗装ステンレス鋼板およびその製造方法を発明した。
【0005】
すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
[1] ステンレス鋼板原板と、該ステンレス鋼板原板の一方の面に成膜された化成処理塗膜と、該化成処理塗膜の表面に成膜されたクリヤ塗膜とを有し、
ステンレス鋼板原板における表面の油汚染部の面積率が2%以下であることを特徴とするクリヤ塗装ステンレス鋼板。
[2] 化成処理塗膜は、アミノシラン系シランカップリング剤およびエポキシシラン系シランカップリング剤の一方または両方を含有する塗膜であり、該化成処理塗膜の付着量が2〜50mg/mであり、
クリヤ塗膜は、架橋性官能基を有し、ガラス転移点30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂が、ブロックイソシアネート化合物により架橋された熱硬化性樹脂組成物であることを特徴とする[1]に記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
[3] クリヤ塗膜は、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部に対して0.25〜10質量部のポリオレフィン系ワックスを含有することを特徴とする[2]に記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
[4] クリヤ塗膜中のアクリル樹脂が、アミノ樹脂によっても架橋されていることを特徴とする[2]または[3]に記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
[5] クリヤ塗膜は、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部に対して2〜10質量部のシリカゾルを含有することを特徴とする[2]〜[4]のいずれかに記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
[6] クリヤ塗膜は、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部に対して0.5〜5質量部の非晶質シリカを含有することを特徴とする[2]〜[5]のいずれかに記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
[7] 化成処理塗膜は、鎖状の水分散性シリカを0.1〜30質量%含有することを特徴とする[2]〜[6]のいずれかに記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
[8] 2個のステンレス鋼板原板のコイルを接合し、次いで脱脂処理した後、化成処理液を塗布して化成処理塗膜を成膜し、該化成処理塗膜の表面にクリヤ塗料を塗布してクリヤ塗膜を成膜することを特徴とするクリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板は、成形加工後のクリヤ塗膜の剥離が防止されている。
本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法によれば、成形加工後のクリヤ塗膜の剥離が防止されたクリヤ塗装ステンレス鋼板を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(クリヤ塗装ステンレス鋼板)
本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板の一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例のクリヤ塗装ステンレス鋼板を示す。本実施形態例のクリヤ塗装ステンレス鋼板10は、ステンレス鋼板原板11と、ステンレス鋼板原板11の一方の面に成膜された化成処理塗膜12と、化成処理塗膜12の表面に成膜されたクリヤ塗膜13とを有するものである。
【0008】
該クリヤ塗装ステンレス鋼板10におけるステンレス鋼板原板11は、表面の油汚染部合計の面積率が2%以下であり、1%以下であることが好ましい。ステンレス鋼板原板11における表面の油汚染部の面積率が2%以下であることにより、化成処理塗膜12およびクリヤ塗膜13の剥離を防止できる。
ここで、油汚染部の面積率は、通常の画像解析装置により、次のようにして求められる。
まず、ステンレス鋼板原板11の表面の一部を、走査電子顕微鏡(SEM)により撮影し、得られた画像を黒色の油汚染部とそれ以外の非汚染部とに二値化し、画像の測定全面積に対する油汚染部の面積の百分率を求める。これを複数の箇所(3箇所)でおこない、それらの平均値を油汚染部の面積率とする。
図2に、種々のクリヤ塗装ステンレス鋼板の油汚れの面積率とクリヤ塗膜剥離との関係を示す。クリヤ塗装前のステンレス鋼板原板の油汚れ面積率が2%以下の場合、クリヤ塗膜の加工時の剥離が著しく低下している。なお、該図示例における油汚れの面積率の計測方法は、後述の実施例に記載した方法である。
【0009】
[化成処理塗膜]
化成処理塗膜12としては、アミノシラン系シランカップリング剤およびエポキシシラン系シランカップリング剤の一方または両方を含有する塗膜が好ましい。ステンレス鋼板原板11とクリヤ塗膜13との間に、これらシランカップリング剤を含有する化成処理塗膜12を有していれば、クロメートフリーの無公害であり、かつステンレス鋼板原板11とクリヤ塗膜13との密着性を高くできる。
ここで、アミノシラン系カップリング剤としては、例えば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ系シランカップリング剤としては、例えば、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0010】
化成処理塗膜12の付着量は2〜50mg/mであることが好ましい。化成処理塗膜12の付着量が2mg/m未満であると、光沢および耐食性が低下しやすくなり、付着量が50mg/mを超えると、沸騰水試験後の塗膜表面にブリスターを生じることがある。化成処理塗膜12の付着量の好ましい上限は30mg/mであり、より好ましくは10mg/mである。
化成処理塗膜12の付着量については、蛍光X線分析にてSiO量を測定することによって求めることができる。
【0011】
本発明の化成処理塗膜12は、該クリヤ塗装ステンレス鋼板10の光沢を高くできる点で、鎖状の水分散性シリカを含有することが好ましい。
化成処理塗膜12中の鎖状の水分散性シリカの含有量は、0.1〜30質量%(固形分比)であることが好ましい。鎖状の水分散性シリカの含有量が0.1質量%未満であると、光沢向上の効果が不足し、30質量%を超えると、化成処理塗膜12を形成する際に用いる化成処理液の安定性が低くなることがある。
【0012】
鎖状の水分散性シリカとしてはナトリウム分の少ないものが好適に使用される。鎖状の水分散性シリカの市販品としては、スノーテックスUP、スノーテックスOUP(日産化学工業社製)等が挙げられる。
なお、水分散性シリカとしては鎖状の水分散性シリカ以外に球状の水分散性シリカが知られているが、球状の水分散性シリカを含有させても高光沢は得られない。鎖状水分散性シリカが好適である理由は定かではないが、そのものの持つ成膜性の良さ、結合性の良さ、さらに粘度が高く造膜ゲル性が大きいためであると考えられる。
【0013】
化成処理塗膜12には、さらに耐食性を向上させるために、リン酸塩類、縮合リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等のリン酸またはその塩類、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、アルキッド樹脂等の樹脂が含まれてもよい。
【0014】
[クリヤ塗膜]
本実施形態例におけるクリヤ塗膜13は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂組成物を含有する塗膜である。
クリヤ塗膜13に含まれる熱硬化性樹脂組成物は、架橋性官能基を有するアクリル樹脂(以下、アクリル樹脂と略す。)を、ブロックイソシアネート化合物により架橋した樹脂であることが好ましい。
ここで、架橋性官能基は、水酸基、カルボキシ基、アルコキシシラン基などから選ばれる1種または2種以上の官能基である。アクリル樹脂は架橋性官能基を1分子あたり、2個以上有することが好ましい。
【0015】
アクリル樹脂は、少なくとも1種の非官能性アクリル単量体と少なくとも1種の官能性単量体との共重合体である。
非官能性アクリル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ラウリル等の脂肪族アクリレートまたは環式アクリートが挙げられる。
官能性単量体としては、水酸基を有する単量体、カルボキシ基を有する単量体、アルコシキシラン基を有する単量体等が挙げられる。
【0016】
水酸基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキルエステル、ラクトン変性水酸基含有アクリルモノマー(ダイセル化学工業製商品名プラクセルFM1〜5、FA−1〜5)が挙げられる。
【0017】
カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
【0018】
アルコキシシラン基を有する単量体は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0019】
アクリル樹脂には、非官能性アクリル単量体および官能性単量体以外の他の単量体が共重合されていてもよい。他の単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル類;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体等が挙げられる。
【0020】
アクリル樹脂のガラス転移点は30〜90℃であることが好ましく、50〜90℃であることがより好ましい。該クリヤ塗装ステンレス鋼板10を連続プレスした際に摩擦、加工発熱して、表面の温度が80〜100℃に上昇するため、アクリル樹脂のガラス転移点が30℃未満であると、クリヤ塗膜13が軟化して、金型に付着することがある。また、アクリル樹脂のガラス転移温度が90℃を超えると、ピンホール、レベリング不足等が生じる傾向にある。
アクリル樹脂のガラス転移温度を前記範囲にするためには、アクリル樹脂の組成を適宜選択すればよい。
【0021】
アクリル樹脂の数平均分子量は3000〜50000であることが好ましく、4000〜10000であることがより好ましい。アクリル樹脂の数平均分子量が3000未満であると、ブロックイソシアネート化合物との反応性が低くなり、クリヤ塗膜13が形成しにくくなり、50000を超えると、溶媒溶解性が低くなるため、クリヤ塗料が得られにくくなる。
アクリル樹脂の数平均分子量は、アクリル樹脂を製造する際の条件(例えば、重合温度、重合開始剤の種類や量等)によって調整することができる。
【0022】
アクリル樹脂を架橋する架橋剤であるブロックイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、該ポリイソシアネートのビューレットタイプの付加物、イソシアヌル環タイプ付加物等であって、フェノール類、オキシム類、活性メチレン類、ε−カプロラクタム類、トリアゾール類、ピラゾール類等のブロック剤で封鎖したものが挙げられる。ジブチルチンジラウリレート等の有機錫触媒がブロック剤の解離促進剤として使用される。
ブロックイソシアネート化合物の市販品としては、例えば、デスモジュールBL1100、BL1265MPA/X、VPLS2253、BL3475BS/SN、BL3272MPA、BL3370MPA、BL4265SN、デスモーサム2170、スミジュール3175(以上、住化バイエルウレタン株式会社製)、デュラネート17B−60PX、TPA−B80X、MF−B60X、MF−K60X(以上、旭化成ケミカルズ株式会社製)、バーノックDB−980K、D−550、B3−867、B7−887−60(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、コロネート2515、2507、2513(以上、日本ポリウレタン工業株式会社製)などが挙げられる。これらブロックイソシアネート化合物は、1種を単独で使用してもよいし、併用してもよい。
【0023】
アクリル樹脂は、クリヤ塗膜13が硬くなって耐疵付き性がより高くなることから、架橋剤として上記ブロックイソシアネート化合物だけでなく、アミノ樹脂(メラミン樹脂)を用いて架橋されていることが好ましい。
アミノ樹脂は、アミノ化合物(メラミン、グアナミン、尿素)とホルムアルデヒド(ホルマリン)を付加反応させ、アルコールで変性した樹脂の総称である。具体例としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ブチル化尿素樹脂、ブチル化尿素メラミン樹脂、グリコールウリル樹脂、アセトグアナミン樹脂、シクロヘキシルグアナミン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐指紋汚染性、耐疵付き性、耐薬品性という面からメラミン樹脂が好ましい。
メラミン樹脂は、変性するアルコールの種類によって、例えば、メチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、混合アルキル化メラミン樹脂等に分類される。
【0024】
具体的には、メチル化メラミン樹脂としては、サイメル300、301,303、350、370、771、325、327、703、712、715,701、267、285、232、235、236、238、211、254、204、212、202、207(以上、三井サイテック株式会社製)、LUWIPAL 063、066、068、069、072、073(以上 BASF製)、スーパーベッカミンL−105(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、メラン522、523、620、622、623(以上、日立化成工業株式会社製)等が挙げられる。
n−ブチル化メラミン樹脂としては、マイコート506、508(以上、三井サイテック株式会社製)、ユーバン20SB、20SE、21R、22R、122、125、128、220、225、228、28−60、20HS、2020、2021、2028、120(以上、三井化学株式会社製)、PLASTOPAL EBS 100A、100B、400B、600B、CB(以上、BASF製)、スーパーベッカミンJ−820、L−109、L−117、L−127、L−164(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、メラン21A、22、220、2000、8000(以上、日立化成工業株式会社製)、テスアジン3020、3021、3036(以上、日立化成ポリマー株式会社製)等が挙げられる。
イソブチル化メラミン樹脂としては、ユーバン60R、62、62E、360、361、165、166−60、169、2061(以上、三井化学株式会社製)、スーパーベッカミンG−821、L−145、L−110、L−125(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、PLASTOPAL EBS 4001、FIB、H731B、LR8824(以上、BASF製)、メラン27、28、28D、245、265、269、289(以上、日立化成工業株式会社製)、テスアジン3027、3028、3029、3030、3037(以上、日立化成ポリマー株式会社製)等が挙げられる。
混合アルキル化メラミン樹脂としては、サイメル267、285、232、235、236、238、211、254、204、212、202、207(以上、三井サイテック株式会社製)等が挙げられる。
アミノ樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
・他の成分
クリヤ塗膜13は、ポリオレフィン系ワックスを含有することが好ましい。クリヤ塗膜13がポリオレフィン系ワックスを含有すれば、油性潤滑剤等を塗布した場合に比べて潤滑性が高くなり、加工性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板10になる。
【0026】
ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば、パラフィン、マイクロクリスタリン、ポリエチレン、ポリエチレン−フッ素等の炭化水素系ワックス等が挙げられる。
クリヤ塗装ステンレス鋼板10を加工する際には、加工発熱および摩擦熱により塗膜温度が上昇するため、ポリオレフィン系ワックスの融点は70〜160℃であることが好ましい。ポリオレフィン系ワックスの融点が70℃未満であると、加工時に軟化溶融して固形潤滑添加物としての優れた特性が発揮できないことがある。ポリオレフィン系ワックスの融点が160℃を超えると、硬い粒子が表面に存在して摩擦特性を低下させるため、高い加工性が得られないことがある。
ポリオレフィン系ワックスの酸価は、0〜30が好ましい。ポリオレフィン系ワックスの酸価が30を超えると、熱硬化性樹脂組成物との相溶性が高くなって、ポリオレフィン系ワックスが均一に塗膜表面に浮き上がりにくくなるため、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の加工性が不充分になることがある。
【0027】
クリヤ塗膜13中のポリオレフィン系ワックスの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部に対して0.25〜10質量部であることが好ましい。ポリオレフィン系ワックスの含有量が0.25質量部未満であると加工性が不充分になることがあり、10質量部を超えると塗膜表面にムラが発生して、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の外観を損なうことがある。
【0028】
クリヤ塗膜13は、硬度、耐疵付き性がより高くなり、また、耐指紋汚染性が高くなることから、シリカゾルを含有することが好ましい。
シリカゾルは、ナノメートルサイズの粒子から構成されたシリカ粒子である。
【0029】
クリヤ塗膜13中のシリカゾルの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部に対して2〜10質量部であることが好ましく、3〜8質量部であることがより好ましい。シリカゾルの含有量が2質量部未満であると、耐疵付き性や硬さが不足する傾向にあり、10質量部を超えると、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の加工性が低下する傾向にある。
【0030】
また、クリヤ塗膜13は非晶質シリカを含有することが好ましい。クリヤ塗膜13が非晶質シリカを含有すれば、耐指紋汚染性をより一層向上させることができる。これは、非晶質シリカの多孔性と表面親水性に基づくものと考えられる。
【0031】
非晶質シリカは多孔性を有する流動性粉末である。非晶質シリカの具体例としては、サイリシア250、250N、256、256N、310P、320、350、370、380、420、430、440、450、470、435、445、436、446、456、476、530、550、710、730、740、770、780(以上、富士シリシア化学株式会社製)、ミズカシルP−801、P−802、P−526、P−527、P−603、P−604、P−554A、P−73、P−78A、P−78D、P−78F、P−707、P−740、P−752、P−50、P−766(以上、水澤化学工業株式会社製)、カープレックスFPS−1、FPS−2、FPS−3、FPS−4、FPS−5、FPS−101、CS−5、CS−7、CS−8、CS−701、CS−801(シオノギ製薬株式会社製)などが挙げられる。非晶質シリカは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
クリヤ塗膜13中の非晶質シリカの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部に対して0.5〜5質量部であることが好ましく、1〜4質量部であることがより好ましい。非晶質シリカの含有量が0.5質量部未満であると、耐指紋汚染性が低下して、直接塗膜に触れたとき指紋が付きやすく、しかもガーゼ等でふき取っても指紋が取れにくくなる傾向にある。非晶質シリカの含有量が5質量部を超えると、クリヤ塗膜13の光沢が低くなりすぎて、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の外観が損なわれやすくなる。
【0033】
クリヤ塗膜13には、更に添加剤として、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、シランカップリング剤等が含まれてもよい。また、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル等が含まれてもよい。
【0034】
クリヤ塗膜13の膜厚は1〜10μmであることが好ましい。クリヤ塗膜13の膜厚が1μm未満であると、クリヤ塗膜の機能が十分発揮されず、加工性が低下する。膜厚が10μmを超えると、クリヤ塗膜の機能が飽和するとともに、クリヤ塗膜の形成が困難になることがある。
【0035】
以上説明したクリヤ塗装ステンレス鋼板10では、ステンレス鋼板原板11の表面の油汚染部が特定範囲以下であるため、化成処理塗膜12の密着性に優れる。その結果、化成処理塗膜12およびクリヤ塗膜13がステンレス鋼板原板11から剥離しにくくなっている。このようなクリヤ塗装ステンレス鋼板10は、複雑な形状のプレス成形、大型パネルの一体化成形等での深絞り、小さい曲率半径での曲げ加工する用途に好適である。
【0036】
(クリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法)
次に、本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法の一実施形態例について説明する。ただし、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の製造方法は本実施形態例に限定されるものではない。
本実施形態例の製造方法では、まず、2個のステンレス鋼板原板のコイルを接合する。その後、ステンレス鋼板原板11の表面を、アルカリ化合物の水溶液や溶剤等により洗浄して脱脂処理する。
脱脂処理に使用されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、りん酸ナトリウム等が挙げられる。
溶剤としては、例えば、工業ガソリン、灯油、軽油、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルエチルケトン、アセトン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、メチレンクロライド(塩化メチレン)、四塩化炭素、メタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
洗浄方法としては、例えば、ステンレス鋼板原板11の表面にアルカリの水溶液や溶剤をスプレーによって吹き付ける方法、アルカリの水溶液や溶剤を貯めた容器中にステンレス鋼板原板11を浸漬させる方法などが挙げられる。
【0037】
ステンレス鋼板原板を、化成処理塗布前に、何らかの脱脂を実施することは、特許文献4および5に開示されている。しかしながら、特許文献4,5を含めたいずれの先行文献でも、脱脂することと、クリヤ塗膜の密着性、すなわち塗膜の耐剥離性との相関関係は指摘されていない。すなわち、従来、ステンレス鋼板原板の油汚れと製品への加工後のクリヤ塗膜の耐剥離性との関係は知られていなかった。
実機製造プロセスで重要なのは、2つのコイルを接合した後にも、ステンレス鋼板原板の油汚れが発生しないことである。したがって、コイル接合後に、脱脂処理を施すことは極めて重要である。
【0038】
次いで、脱脂処理したステンレス鋼板原板11に、アミノシラン系カップリング剤およびエポキシシラン系カップリング剤の一方または両方を含む化成処理液を塗布し、乾燥して、化成処理塗膜12を形成する。
前記化成処理液としては市販品を用いることができる。市販の化成処理液としては、例えば、パルコートE305、3750、3751、3753、3756、3757、3970(日本パーカライジング株式会社製)、アルサーフ440(日本ペイント株式会社製)等が挙げられる。
化成処理液の塗布方法としては、例えば、スプレー、ロールコート、バーコート、カーテンフローコート、静電塗布等を採用できる。
化成処理液の乾燥温度(表面温度)は60〜140℃とすることが好ましい。
【0039】
次いで、化成処理塗膜12の表面に、クリヤ塗料を塗布し、乾燥(焼付け)する。この乾燥の際に、アクリル樹脂がブロックイソシアネート化合物によって架橋して、熱硬化性樹脂組成物を形成する。これにより、熱硬化性樹脂組成物を含有するクリヤ塗膜13を形成して、クリヤ塗装ステンレス鋼板10を得る。
ここで、クリヤ塗料とは、アクリル樹脂とブロックイソシアネート化合物と溶媒とを必須成分として含有し、ブロックイソシアネート化合物の硬化触媒、アミノ樹脂、ポリオレフィン系ワックス、シリカゾル、非晶質シリカ、アクリル樹脂ビーズ等を任意成分として含有する塗料である。
【0040】
クリヤ塗料中のアクリル樹脂とブロックイソシアネートとの割合は、アクリル樹脂の架橋性官能基1モルに対してイソシアネート基が0.1〜2.0モルになる割合であることが好ましく、アクリル樹脂の架橋性官能基1モルに対してイソシアネート基が0.1〜1.0モルになる割合であることがより好ましく、アクリル樹脂の架橋性官能基1モルに対してイソシアネート基が0.2〜0.8モルになる割合であることが特に好ましい。
【0041】
クリヤ塗料は、クリヤ塗膜13の形成時間を短縮するために、ブロックイソシアネート化合物の硬化触媒を含有することができる。
ブロックイソシアネート化合物の硬化触媒としては、ジ−n−ブチルチンオキサイド、n−ジブチルチンクロライド、ジ−n−ブチルチンジラウリレート、ジ−n−ブチルチンジアセテート、ジ−n−オクチルチンオキサイド、ジ−n−オクチルチンジラウリレート、テトラ−n−ブチルチン等が挙げられる。
【0042】
クリヤ塗料が、架橋剤としてブロックイソシアネート化合物以外にアミノ樹脂を含有する場合、クリヤ塗料中のアミノ樹脂の含有量は、アクリル樹脂固形分100質量部に対して10〜40質量部であることが好ましく、15〜30質量部であることがより好ましい。クリヤ塗料中のアミノ樹脂の含有量が10質量部未満であると、耐疵付き性を充分に向上させることができず、40質量部を超えると、クリヤ塗膜13の形成が困難になることがある。
【0043】
また、クリヤ塗料がアミノ樹脂を含有する場合には、アクリル樹脂の硬化時間(焼付け時間)が長くなる傾向にあるため、アミノ樹脂の硬化触媒を含有することができる。クリヤ塗料がアミノ樹脂の硬化触媒を含有すれば、硬化時間を短くできる。
アミノ樹脂の硬化触媒としては、例えば、スルホン酸系触媒やアミン系触媒等が使用されるが、硬化時間の短縮に特に効果を発揮することから、p−トルエンスルホン酸系触媒が好ましい。
アミノ樹脂の硬化触媒の量は、アクリル樹脂とブロックイソシアネート化合物とアミノ樹脂との合計量を100質量部とした際の0.5〜5質量部であることが好ましく、1〜2質量部であることがより好ましい。
アミノ樹脂の硬化触媒の量が、アクリル樹脂とブロックイソシアネート化合物とアミノ樹脂との合計量を100質量部とした際の0.5質量部未満であると、硬化時間を短縮できないことがあり、5質量部を超えると、得られるクリヤ塗装ステンレス鋼板10の加工性が低くなる傾向にある。
【0044】
クリヤ塗料にポリオレフィン系ワックスが含まれる場合、ポリオレフィン系ワックスの平均粒径は0.1〜7.0μmであることが好ましい。ポリオレフィン系ワックスの平均粒径が7.0μmを超えると、クリヤ塗膜13中でのポリオレフィン系ワックスの分散性が低くなる傾向にあり、0.1μm未満であると、得られるクリヤ塗装ステンレス鋼板10の加工性が低くなる傾向にある。
【0045】
クリヤ塗料にシリカゾルが含まれる場合には、オルガノシリカゾルを添加することによってクリヤ塗料を調製すればよい。
オルガノシリカゾルとは、有機溶媒にナノメートルサイズのコロイダルシリカを安定に分散させたコロイド溶液である。
オルガノシリカゾルとしては、MA−ST−M、IPA−ST、EG−ST、EG−ZL、NPC−ST、DMAC−ST、DMAC−ST−ZL、XBA−ST、MIBK−ST(以上、日産化学工業株式会社製)などが挙げられる。オルガノシリカゾルは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
以上説明したクリヤ塗装ステンレス鋼板10の製造方法では、ステンレス鋼板原板11として、表面を脱脂処理したものを用いるため、ステンレス鋼板原板11の表面に化成処理塗膜12を高い密着性で成膜できる。したがって、化成処理塗膜12およびクリヤ塗膜13の剥離が防止されたクリヤ塗装ステンレス鋼板10を製造できる。
【実施例】
【0047】
(製造例1)
温度計、還流冷却器、攪拌器、滴下ロート、窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合量で、トルエン、酢酸ブチルを入れ、110℃まで昇温し窒素ガスを吹き込みながら攪拌し、メタクリル酸メチル、スチレン、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸メチル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらにAIBNを追加して同温度でさらに3時間反応させて、不揮発分50%のアクリル樹脂の溶液を得た。
次いで、該アクリル樹脂の溶液に、硬化剤であるブロックイソシアネート「デスモジュールVPLS2253」(住化バイエルウレタン株式会社製、NCO含有率10.5質量%)と、アミノ樹脂としてメラミン樹脂(三井サイテック社製サイメル327)を表1のように配合することにより、クリヤ塗料を得た。
次いで、クリヤ塗料に、ポリエチレンワックスを、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部に対して4質量部含有させた。
【0048】
【表1】

【0049】
また、2個のステンレス鋼板原板(SUS304のNo.4研磨仕上げ品)のコイルを接合し、次いで、接合したステンレス鋼板原板の表面を、日本パーカライジング製FC−L4434(けい酸ナトリウム45〜50質量%、りん酸三ナトリウム25〜30質量%、界面活性剤5〜10質量%、縮合りん酸ナトリウム5〜10質量%)で脱脂処理した。脱脂処理後のステンレス鋼板原板における表面の油汚染部の面積率は0.5%以下であった。油汚染部の面積率は、ニレコ製LUZEX−Fによる画像解析により求めた。なお、油汚染部の面積率は、後述するクリヤ塗膜の剥離性評価後の剥離面を、走査電子顕微鏡(SEM)により観察した結果から求めた。
【0050】
次いで、脱脂処理したステンレス鋼板原板の片面に、アミノシラン系カップリング剤を含む化成処理液をロールコータにより塗布し、表面温度が100℃になるように乾燥させて、SiO付着量10mg/mの化成処理塗膜を成膜させた。
次いで、化成処理塗膜の表面に、クリヤ塗料をバーコータにより塗布し、表面温度が193℃になるように焼付け、厚さ3μmのクリヤ塗膜を成膜させて、クリヤ塗装ステンレス鋼板を得た。
【0051】
得られたクリヤ塗装ステンレス鋼板について、成形後の化成処理塗膜およびクリヤ塗膜の剥離性を評価した。評価結果を表2に示す。
(剥離性評価方法)
クリヤ塗装ステンレス鋼板を、曲率半径4mmの条件で折り曲げ、その折り曲げ部分に粘着テープ(日立化成社製C330)を貼着した後、該粘着テープを引き剥がした。そして、粘着テープ引き剥がし後の化成処理塗膜およびクリヤ塗膜の剥離の有無を目視により観察した。
【0052】
【表2】

【0053】
(製造例2)
表面を脱脂処理せず、油汚染部の面積率が2.054%であったステンレス鋼板原板を用いたこと以外は製造例1と同様にして、クリヤ塗装ステンレス鋼板を得た。そして、製造例1と同様にして、剥離性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0054】
ステンレス鋼板原板の表面を脱脂処理した製造例1のクリヤ塗装ステンレス鋼板は、化成処理塗膜およびクリヤ塗膜の剥離が防止されていた。
ステンレス鋼板原板の表面を脱脂処理しなかった製造例2のクリヤ塗装ステンレス鋼板は、化成処理塗膜およびクリヤ塗膜の剥離が防止されていなかった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板の一実施形態例を示す断面図である。
【図2】本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板の油汚れの面積率とクリヤ塗膜剥離との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10 クリヤ塗装ステンレス鋼板、11 ステンレス鋼板原板、12 化成処理塗膜、13 クリヤ塗膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼板原板と、該ステンレス鋼板原板の一方または両方の面に成膜された化成処理塗膜と、該化成処理塗膜の表面に成膜されたクリヤ塗膜とを有し、
ステンレス鋼板原板における表面の油汚染部の面積率が2%以下であることを特徴とするクリヤ塗装ステンレス鋼板。
【請求項2】
化成処理塗膜は、アミノシラン系シランカップリング剤およびエポキシシラン系シランカップリング剤の一方または両方を含有する塗膜であり、該化成処理塗膜の付着量が2〜50mg/mであり、
クリヤ塗膜は、架橋性官能基を有し、ガラス転移点30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂が、ブロックイソシアネート化合物により架橋された熱硬化性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
【請求項3】
クリヤ塗膜は、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部に対して0.25〜10質量部のポリオレフィン系ワックスを含有することを特徴とする請求項2に記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
【請求項4】
クリヤ塗膜中のアクリル樹脂が、アミノ樹脂によっても架橋されていることを特徴とする請求項2または3に記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
【請求項5】
クリヤ塗膜は、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部に対して2〜10質量部のシリカゾルを含有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
【請求項6】
クリヤ塗膜は、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部に対して0.5〜5質量部の非晶質シリカを含有することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
【請求項7】
化成処理塗膜は、鎖状の水分散性シリカを0.1〜30質量%(固形分比)含有することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
【請求項8】
2個のステンレス鋼板原板のコイルを接合し、次いで脱脂処理した後、化成処理液を塗布して化成処理塗膜を成膜し、該化成処理塗膜の表面にクリヤ塗料を塗布してクリヤ塗膜を成膜することを特徴とするクリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−149607(P2008−149607A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341311(P2006−341311)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(503378420)新日鐵住金ステンレス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】