説明

クリーニングブレード部材

【課題】耐磨耗性等の機械特性に優れたクリーニングブレード部材を提供することを課題とする。
【解決手段】数平均分子量1500〜3800の長鎖ポリオールと、イソシアネートと、2つ以上のOH基を有するイソシアヌレート誘導体とを反応させて得たゴム状弾性体からなり、前記イソシアヌレート誘導体は、前記長鎖ポリオール100重量部に対して0.5〜15重量部配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングブレード部材に関し、特に、電子写真法において感光体や転写ベルトなど、トナー像が形成され且つその後当該トナー像を被転写材に転写するトナー像担持体上のトナーを除去するクリーニングブレード部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真プロセスでは、電子写真感光体あるいは転写ベルト等を繰り返し使用するためにトナーを除去するクリーニングブレードが用いられる。クリーニングブレードは、長期間に亘って感光体に当接させるものであるため、耐磨耗性が良好であることが求められている。なお、クリーニングブレード部材にはポリウレタンが使用される。ポリウレタンは、耐磨耗性が良好で、補強剤などを添加しなくても十分な機械的強度を有し、非汚染性であるからである。しかしながら、ポリウレタンの物性には温度依存性があるという問題がある。
【0003】
ここで、ポリウレタンからなるクリーニングブレードとしては、50℃における引張強度が12MPa以上、tanδピーク温度が15℃以下、硬度が80°以下の硬化体とすることにより、低温環境下におけるクリーニング性を損なうことなく、高温環境下における欠けの発生が有効に防止され、広い温度域で良好なクリーニング性を発揮することができるクリーニングブレードが開発されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、数平均分子量が1000〜3000である2官能ポリオールと、数平均分子量が92〜980の3官能ポリオールとを、平均官能基数が2.02〜2.20となる比率に混合した混合ポリオールに、イソシアネート基の含量が5〜20%となる量のジイソシアネート化合物を混合したプレポリマーに、OH基/NCO基の当量比が0.90〜1.05となる量の架橋剤と、前記プレポリマー100重量部に対して0.01〜1.0重量部の反応促進剤とを混合し反応させて得られるポリウレタンシートを用いる電子写真装置用ブレードがある(特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、これらのブレードでは、耐磨耗性等の面で満足が得られず、更なる特性の向上が望まれている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−265190号公報
【特許文献2】特開平9−274416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、耐磨耗性等の機械特性に優れたクリーニングブレード部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、数平均分子量1500〜3800の長鎖ポリオールと、イソシアネートと、2つ以上のOH基を有するイソシアヌレート誘導体とを反応させて得たゴム状弾性体からなり、前記イソシアヌレート誘導体は、前記長鎖ポリオール100重量部に対して0.5〜15重量部配合されていることを特徴とするクリーニングブレード部材にある。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載のクリーニングブレード部材において、前記長鎖ポリオールの数平均分子量が1650〜3000であることを特徴とするクリーニングブレード部材にある。
【0010】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様に記載のクリーニングブレード部材において、前記イソシアヌレート誘導体を架橋剤、または鎖長延長剤として用いることを特徴とするクリーニングブレード部材にある。
【0011】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様に記載のクリーニングブレード部材において、前記長鎖ポリオールがポリエステルポリオールを含み、当該ポリエステルポリオールが下記式に定義されるエステル濃度が6.85±0.25mmol/gの範囲にあることを特徴とするクリーニングブレード部材にある。
【0012】
【数1】

【0013】
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載のクリーニングブレード部材において、前記ポリエステルポリオールが、ノナンジオール及びメチルオクタンジオールから選択される少なくとも一種のジオール成分と、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸から選択される少なくとも一種の二塩基酸との脱水縮合により得られたものであることを特徴とするクリーニングブレード部材にある。
【0014】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様に記載のクリーニングブレード部材において、ゴム硬度がJIS Aで65〜85°であることを特徴とするクリーニングブレード部材にある。
【0015】
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様に記載のクリーニングブレード部材において、25℃における反発弾性が40〜80%であることを特徴とするクリーニングブレード部材。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、耐磨耗性等の機械特性に優れたクリーニングブレード部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のクリーニングブレード部材は、数平均分子量1500〜3800の長鎖ポリオールと、イソシアネートと、2つ以上のOH基を有するイソシアヌレート誘導体とを反応させて得たゴム状弾性体からなり、イソシアヌレート誘導体が長鎖ポリオール100重量部に対して0.5〜15重量部配合されている。このように、2つ以上のOH基を有するイソシアヌレート誘導体を長鎖ポリオール100重量部に対して0.5〜15重量部配合して長鎖ポリオールと、イソシアネートとを反応させることで、耐磨耗性に優れたクリーニングブレード部材とすることができる。
【0018】
本発明にかかる長鎖ポリオールは、数平均分子量が1500〜3800であり、好ましくは1650〜3000である。この範囲を外れると、所定の特性を有するクリーニングブレード部材を得ることができないためである。
【0019】
長鎖ポリオールは、上述した分子量のものであればよく、例えば、ジオール成分と二塩基酸との脱水縮合で得られるポリエステルポリオール、ジオールとアルキルカーボネートの反応により得られるポリカーボネートポリオール、カプロラクトン系のポリオール、ポリエーテルポリオール等を挙げることができる。
【0020】
また、本発明にかかる長鎖ポリオールは、ポリエステルポリオールを含むことが好ましく、該ポリエステルポリオールが下記式で定義されるエステル濃度が6.85±0.25mmol/gの範囲にあるのが好ましい。高い機械的強度と、反発弾性などの低い温度依存性とを両立させる上で好適だからである。
【0021】
【数2】

このような所定のエステル濃度を有するポリエステルポリオールとしては、ジオール成分と二塩基酸との脱水縮合により得られるポリエステルポリオールを用いるのが好ましい。但し、ジオール成分と二塩基酸との脱水縮合により得られるポリエステルポリオール以外のポリオールを用いても、エステル濃度が上述した所定の範囲に入れば、上述した特性を得ることができる。
【0022】
本発明で用いられる所定のポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどのジオール成分と、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの二塩基酸との組み合わせで上述した条件を満足するエステル濃度を有するものを挙げることができる。具体的には、ノナンジオールアジペート、2−メチル−1,8−オクタンジオールアジペート、デカンジオールアジペート、ヘキサンジオールアゼレート、ノナンジオールアゼレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールアゼレート、デカンジオールアゼレート、ブタンジオールセバケート、ヘキサンジオールセバケート、ノナンジオールセバケート、2−メチル−1,8−オクタンジオールセバケート、デカンジオールセバケート、各種グリコールのダイマー酸エステル及び水添ダイマー酸エステルなどを挙げることができる。数種類のジオール成分および二塩基酸を組み合わせることも差し支えない。
【0023】
また、上述した条件の範囲内でε−カプロラクトンやδ−バレロラクトンなどのラクトン類を、重付加もしくは共重合することもできる。すなわち、ジオール成分と二塩基酸とを脱水縮合する際にラクトン類を共重合してランダム共重合体とするか、または、脱水縮合したものにラクトン類を重付加するかなどにより得たポリオールを用いることもできる。このようにラクトン類を用いることにより、低温時の反発弾性をさらに向上させることができる。
【0024】
特に、性能およびコスト面で好適なものはノナンジオール及びメチルオクタンジオールから選択される少なくとも一種のジオール成分と、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸から選択される少なくとも一種の二酸基塩とを脱水縮合してなるポリエステルポリオールである。特に、1,9−ノナンジオール及びメチル−1,8−オクタンジオールから選択される少なくとも一種のジオール成分を用いるのが好ましいが、1,9−ノナンジオール単独では結晶性が強すぎて好ましくない。従って、メチル−1,8−オクタンジオールのみ、又はこれに1,9−ノナンジオールを添加して用いるのが好ましい。勿論、これらを主成分とし、一部の成分を他のグリコールや二塩基酸で置換したものも好適に用いることができる。ここで、メチル−1,8−オクタンジオールとは、1又は8以外の位置にメチル基を有するオクタンジオールであり、代表的なものは2−メチル−1,8−オクタンジオールであるが、これに限定されるものではない。
【0025】
ポリオールと反応させるイソシアネートは、分子構造が比較的剛直でないものであることが好ましく、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)及び3,3−ジメチルフェニル−4,4−ジイソシアネート(TODI)などを挙げることができる。特に、好適なものはMDIである。
【0026】
本発明にかかるイソシアヌレート誘導体は2つ以上のOH基を有するものであり、2つ以上のOH基を有することでイソシアネートと反応し、ポリウレタンマトリックス中に一体的に取り込まれ、所望の物性を得ることができる。2つ以上のOH基を有するイソシアヌレート誘導体としては、例えば、分子量261のトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(タナック:日産化学工業製)等を挙げることができる。
【0027】
また、本発明にかかるイソシアヌレート誘導体は、長鎖ポリオール100重量部に対して0.5〜15重量部配合する。0.5重量部より低いと耐磨耗性に対する十分な効果が得られず、15重量部より多いとイソシアヌレート誘導体の凝集によりゴム状弾性体を成形できなくなるからである。
【0028】
上述したような2つ以上のOH基を有するイソシアヌレート誘導体は、架橋剤、または鎖長延長剤として用いるのが好ましい。なお、他の架橋剤または鎖長延長剤を併用するのが好ましく、本発明にかかるイソシアヌレート誘導体は、架橋剤または鎖長延長剤の一部として用いることができる。イソシアヌレート誘導体は高い熱分解温度を有しており、摩擦時の発熱による分子鎖の破断が発生しないためか、イソシアヌレート誘導体を架橋剤または鎖長延長剤として用いることで、耐磨耗性に優れたクリーニングブレード部材となる。
【0029】
ここで、イソシアヌレート誘導体と共に用いる架橋剤又は鎖長延長剤は、特に限定されないが、数平均分子量が500以下の短鎖ポリオールを用いるのが好ましい。例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどの主鎖の炭素数が2〜12の直鎖グリコール;ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどの炭素数12以下の側鎖を有するジオール類;3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールなどの炭素数12以下の不飽和基を有するジオール類;および、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、パラキシレングリコールなどの芳香族環を含む炭素数20以下のジオール類、シクロへキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール類およびペンタエリスリトールやソルビトールなどの4官能以上のポリオールを挙げることができる。これらの短鎖ポリオールは、勿論、二種以上混合して用いてもよい。
【0030】
特に、性能およびコスト面で好適なものは、1,4−ブタンジオール及び1,3−プロパンジオールなどの2官能ポリオールである。
【0031】
上述した長鎖ポリオール、イソシアヌレート誘導体、他の架橋剤または鎖長延長剤、及びイソシアネートを混合し、反応させることによりポリウレタンを製造することができる。イソシアネート重量部や、架橋剤または鎖長延長剤の比率等を調整することによって、より耐磨耗性に優れたクリーニングブレード部材とすることができる。
【0032】
本発明にかかるクリーニングブレード部材はゴム硬度がJIS Aで65〜85°であることが好ましい。硬度が65°よりも低くなると、耐磨耗性が低下し、また、クリーニング不良となるめくれが発生しやすくなってしまい、硬度が85°より高くなると、感光体への接圧が高くなりすぎるために感光体が磨耗してしまうからである。
【0033】
また、25℃における反発弾性が40〜80%であることが好ましい。反発弾性が40%よりも低くなるとクリーニング不良が発生し、80%よりも高くなるとクリーニングブレード使用時に異音(いわゆる鳴き)が発生してしまうためである。
【0034】
本発明にかかるゴム状弾性体はプレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法により製造することができる。プレポリマー法は強度、耐磨耗性に優れるポリウレタンが得られるため本発明には好適であるが、製法により制限されるものではない。
【0035】
また、遠心成形法により成形することもできる。遠心成形法で製造する場合には、製造したゴム状弾性体のエアー面側が感光体と接触するように用いるのが望ましい。
【0036】
上述したような方法により製造したポリウレタン(ゴム状弾性体)を切断等して、所定の寸法のクリーニングブレード部材とし、これを接着剤等で支持部材に接着すればクリーニングブレードとなる。
【0037】
以下、具体的な実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0038】
(実施例1)
ε-カプロラクタムの開環重合によって得られた分子量2000のポリオール(PCL220:DIC製)を100重量部と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を27重量部とを140℃で10分間混合攪拌し、これに3つのOH基を有するイソシアヌレート誘導体である分子量261のトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(タナック:日産化学工業製)を0.9重量部加えて、さらに5分間攪拌した。さらに、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)を4.2重量部加えて混合攪拌し、予め150℃に保温した金型に注型し、20分間加熱して反応させることで、硬化させてゴム状弾性体を得た。得られたゴム状弾性体を14mm幅にカットして、板金と接着して実施例1のクリーニングブレードを得た。
【0039】
(実施例2)
ε-カプロラクタムの開環重合によって得られた分子量2000のポリオール(PCL220:DIC製)の代わりにε-カプロラクタムの開環重合によって得られた分子量3000のポリオール(PCL230:DIC製)を用い、タナックを5重量部、1,4−BDを4重量部とした以外は、実施例1と同様にして実施例2のクリーニングブレードを得た。
【0040】
(実施例3)
ε-カプロラクタムの開環重合によって得られた分子量2000のポリオール(PCL220:DIC製)の代わりにノナンジオール及びメチルオクタンジオールとアジピン酸の脱水縮合により得られた分子量2000のポリオール(O―2010:クラレ製)を用い、MDIを40重量部、タナックを5.5重量部、1,4−BDを6.5重量部、とした以外は、実施例1と同様にして実施例3のクリーニングブレードを得た。
【0041】
(実施例4)
ε-カプロラクタムの開環重合によって得られた分子量2000のポリオール(PCL220:DIC製)の代わりにテトラヒドロフラン(THF)の重合によって得られた分子量2000のポリオール(PTMG2000:保土ヶ谷化学製)を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例4のクリーニングブレードを得た。
【0042】
(実施例5)
MDIの代わりに、3,3−ジメチルフェニル−4,4−ジイソシアネート(TODI)を用いた以外は実施例3と同様にして実施例5のクリーニングブレードを得た。
【0043】
(実施例6)
ε-カプロラクタムの開環重合によって得られた分子量2000のポリオール(PCL220:DIC製)の代わりに分子量1650のポリオール(PTMG1650:保土ヶ谷化学製)を用い、MDIを48重量部、タナックを9重量部、1,4−BDを7重量部とした以外は、実施例1と同様にして実施例6のクリーニングブレードを得た。
【0044】
(比較例1)
タナックの代わりにTMPを2.8重量部用い、1,4−BDを6.6重量部、TMPを2.8重量部とする以外は実施例3と同様にして比較例1のクリーニングブレードを得た。
【0045】
(比較例2)
タナックの代わりにTMPを2.8重量部用いた以外は、実施例4と同様にして比較例2のクリーニングブレードを得た。
【0046】
(比較例3)
1,4−BDを4.5重量部、タナックを0.4重量部とした以外は実施例1と同様にして比較例3のクリーニングブレードを得た。
【0047】
(比較例4)
MDIを60重量部、タナックを16.4重量部、1,4−BDを6.9重量部とした以外は実施例1と同様の配合で混合攪拌を行った。
【0048】
(試験例1)
各実施例及び各比較例のゴム状弾性体のテストサンプルを形成し、反発弾性をJIS K6255に準拠したリュプケ式反発弾性試験装置により、ゴム硬度(JIS A)をJIS K6253に準拠して25℃で測定した。結果を、表1に示す。
【0049】
(試験例2):耐磨耗性
各実施例及び各比較例のクリーニングブレードを当接させた感光体を、NN(23℃×50%)環境、及びLL(10℃×30%)環境下、線速125mm/secで駆動モータにより空回しし、連続運転を90分間行った。その後、各クリーニングブレードのエッジの磨耗幅をマイクロスコープにより測定した。なお、感光体にはトナーを15分ごとに刷毛で塗布した。結果を表1及び図1に示す。
【0050】
<測定条件>
当接条件‥‥当接角度:25deg、当接圧:0.3N/cm
感光体‥‥‥OPC(初期滑剤塗布)
試験時間‥‥90min
マイクロスコープ測定条件‥‥測定機:キーエンス VH−7000、倍率:450倍、
測定箇所:クリーニングブレード1本内5点
(両端から20mm及び80mmの地点並びに中央)
【0051】
【表1】

【0052】
(結果のまとめ)
実施例1〜6のクリーニングブレードはいずれもNN(23℃×50%)環境下での磨耗幅が5μm以下で、また、LL(10℃×30%)環境下での磨耗幅も12μm以下であり、耐磨耗性に非常に優れたものであった。また、硬度は65〜78°であり、25℃における反発弾性は41〜63%であった。
【0053】
これに対し、比較例1及び2のようにイソシアヌレート誘導体を配合しないで形成したクリーニングブレードは、硬度及び反発弾性は良好であったが、図1からわかるように磨耗幅が大きく、耐磨耗性が非常に悪かった。また、イソシアヌレート誘導体をポリオール100重量部に対して0.5重量部より少なくなるように配合した比較例3のクリーニングブレードも硬度及び反発弾性は良好であったが、NN(23℃×50%)環境下での磨耗幅が62μm、LL(10℃×30%)環境下での磨耗幅が74μmであり、磨耗幅が大きかった。イソシアヌレート誘導体の配合が少なかったために、耐磨耗性の効果が顕著に表れなかったと考えられる。また、イソシアヌレート誘導体をポリオール100重量部に対して15重量部より多くなるように配合した比較例4のクリーニングブレードは、イソシアヌレート誘導体の凝集によりゴム状弾性体を成形することができなかった。
【0054】
これにより、数平均分子量1500〜3800の長鎖ポリオール100重量部に対して、2つ以上のOH基を有するイソシアヌレート誘導体0.5〜15重量部と、イソシアネートとを配合して得た本発明のクリーニングブレード部材は、耐摩耗性に優れたものであるということがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】試験例1の結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量1500〜3800の長鎖ポリオールと、イソシアネートと、2つ以上のOH基を有するイソシアヌレート誘導体とを反応させて得たゴム状弾性体からなり、前記イソシアヌレート誘導体は、前記長鎖ポリオール100重量部に対して0.5〜15重量部配合されていることを特徴とするクリーニングブレード部材。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニングブレード部材において、前記長鎖ポリオールの数平均分子量が1650〜3000であることを特徴とするクリーニングブレード部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクリーニングブレード部材において、前記イソシアヌレート誘導体を架橋剤、または鎖長延長剤として用いることを特徴とするクリーニングブレード部材。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のクリーニングブレード部材において、前記長鎖ポリオールがポリエステルポリオールを含み、当該ポリエステルポリオールが下記式で定義されるエステル濃度が6.85±0.25mmol/gの範囲にあることを特徴とするクリーニングブレード部材。
【数1】

【請求項5】
請求項4に記載のクリーニングブレード部材において、前記ポリエステルポリオールが、ノナンジオール及びメチルオクタンジオールから選択される少なくとも一種のジオール成分と、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸から選択される少なくとも一種の二塩基酸との脱水縮合により得られたものであることを特徴とするクリーニングブレード部材。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のクリーニングブレード部材において、ゴム硬度がJIS Aで65〜85°であることを特徴とするクリーニングブレード部材。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載のクリーニングブレード部材において、25℃における反発弾性が40〜80%であることを特徴とするクリーニングブレード部材。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−9400(P2008−9400A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140143(P2007−140143)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000227412)シンジーテック株式会社 (99)
【Fターム(参考)】