説明

クリーニング装置および画像形成装置

【課題】像担持体上の残留トナーのクリーニング不良を防止しつつ駆動負荷の増大とノイズ発生を防止することが可能なクリーニング装置を提供すること。
【解決手段】中間転写ベルト21上の残留トナーTをクリーニングブラシ51を介して回収ローラ52で回収し、回収ローラ52の表面の残留トナーTをスクレーパ54で掻き取る。回収ローラ52の回転方向に沿って、スクレーパ54と回収ローラ52との当接位置より下流かつクリーニングブラシ51と回収ローラ52との接触位置より上流の位置に、回収ローラ52の表面521に当接して、回収ローラ52の表面521を研削する研削部材55を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動する像担持体上に残存する残留トナーを除去するクリーニング装置およびこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像形成装置では、感光体ドラムや中間転写ベルトなどの像担持体上に作像されたトナー像を用紙などの被転写体に転写する構成になっている。像担持体上のトナー像は、理想的には全てが被転写体に転写されるべきであるが、実際には、若干量のトナーが転写されずに残留トナーとして残ってしまうことがある。このため、画像形成装置には通常、残留トナーを像担持体から除去するクリーニング部が設けられている。
【0003】
クリーニング部として、特許文献1にはブラシローラを有するものが開示されている。具体的には、ブラシローラを像担持体の表面に接触させた状態で回転させつつ、ブラシローラに残留トナーを静電吸着させるための電圧を印加することにより、像担持体上の残留トナーをブラシローラに取り込むものである。
ブラシローラに取り込まれた残留トナーは、ブラシローラに接触した状態で回転しつつ、その残留トナーを静電吸着させるための電圧が印加されたフリッカーローラに付着する。フリッカーローラの表面には、板状のスクレーパの先端が、フリッカーローラの回転方向に向き合う(カウンター)方向に向けた状態で押圧されており、フリッカーローラの表面に付着している残留トナーは、スクレーパの先端により掻き取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−41279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにスクレーパの先端でフリッカーローラ上の残留トナーを機械的に掻き取る構成をとると、スクレーパとフリッカーローラの両者間に生じる摩擦により、時間の経過に連れて徐々にスクレーパの先端とフリッカーローラの表面が磨耗していく。
この磨耗が進行すると、フリッカーローラの表面が磨かれて平滑度が上昇するようになるなど、スクレーパの先端とフリッカーローラの表面との接触面積が新品のときに比べて増えて、スクレーパとフリッカーローラ間の摩擦力が増大する。
【0006】
スクレーパとフリッカーローラ間の摩擦力が増大すると、フリッカーローラの駆動トルクが増大して、フリッカーローラを回転駆動させるモータやギアなどの回転駆動機構に大きな負荷がかかり、ギアを破損させるおそれが生じる。
また、増大した摩擦力によりスクレーパが撓み、撓みがある程度の大きさになるとスクレーパ自身の復元力により元の姿勢に戻る動作を何度も繰り返す、いわゆるスティックスリップ現象が生じ易くなる。スティックスリップ現象は、スクレーパが振動していることと同じであり、この振動によるノイズがユーザに異常音ととられるおそれも生じる。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、像担持体上の残留トナーのクリーニング不良を防止しつつ駆動負荷の増大とノイズ発生を防止することが可能なクリーニング装置および画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係るクリーニング装置は、回動する像担持体上に残存する残留トナーを除去するクリーニング装置であって、前記像担持体に接触した状態で回転して前記残留トナーを取り込む第1の回転部材と、前記第1の回転部材に接触した状態で回転して、当該第1の回転部材により取り込まれた残留トナーを回収する第2の回転部材と、前記第2の回転部材の表面に当接して、当該第2の回転部材の表面に存する残留トナーを掻き取る当接部材と、前記第2の回転部材の回転方向に当該第2の回転部材と前記当接部材の当接位置より下流かつ前記第1の回転部材と当該第2の回転部材の接触位置より上流の位置に配され、当該第2の回転部材の表面に当接して前記第2の回転部材の表面を研削する研削部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記研削部材は、前記第2の回転部材の表面と当接する部分の粗さの番手が、前記第2の回転部材の表面を研削したときの当該表面の、前記当接部材に対する摩擦係数が0.1以下になる大きさの番手に設定されてなることを特徴とする。
さらに、前記研削部材は、前記第2の回転部材の表面と当接する部分の粗さの番手が、前記第2の回転部材の製造時に前記第2の回転部材の表面が研磨処理される際に用いられた研磨材の番手と同じ大きさに設定されてなることを特徴とする。
【0010】
また、前記研削部材は、砥粒が合成繊維の表面に付着されてなる、または砥粒がゴム若しくは樹脂の表面に接着若しくは混入されてなることを特徴とする。
さらに、前記当接部材と前記研削部材の、前記第2の回転部材の回転軸方向における長さが略等しいことを特徴とする。
また、前記像担持体と前記第2の回転部材間に電圧を印加して、前記像担持体から前記第1の回転部材を介して前記第2の回転部材までの間に生じる電位差により、前記像担持体と前記第1の回転部材間に、前記像担持体上に存する正規帯電極性の残留トナーを前記第1の回転部材に移動させ前記第1の回転部材の表面に吸着させる力が作用すると共に、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材間に、前記第1の回転部材の表面に吸着された正規帯電極性の残留トナーを前記第2の回転部材に移動させ前記第2の回転部材の表面に吸着させる力が作用する向きの電界を発生させる正規極性用電圧印加手段を備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記像担持体の回動方向に前記第1の回転部材より上流または下流の位置に配され、前記像担持体の表面に接触して回転し、前記残留トナーを取り込む第3の回転部材と、前記第3の回転部材に接触して回転し、前記第3の回転部材が取り込んだ残留トナーを回収する第4の回転部材と、前記第4の回転部材の表面に当接して、当該第4の回転部材の表面に存する残留トナーを掻き取る、前記当接部材とは別の当接部材と、前記第4の回転部材の回転方向に当該第4の回転部材と前記別の当接部材の当接位置より下流かつ前記第3の回転部材と当該第4の回転部材の接触位置より上流の位置に配され、当該第4の回転部材の表面に当接して前記第4の回転部材の表面を研削する、前記研削部材とは別の研削部材と、を備えることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記像担持体と前記第4の回転部材間に電圧を印加して、前記像担持体から前記第3の回転部材を介して前記第4の回転部材までの間に生じる電位差により、前記像担持体と前記第3の回転部材間に、前記像担持体上に存する正規帯電極性とは逆極性の残留トナーを前記第3の回転部材に移動させ前記第3の回転部材の表面に吸着させる力が作用すると共に、前記第3の回転部材と前記第4の回転部材間に、前記第3の回転部材の表面に吸着された逆極性の残留トナーを前記第4の回転部材に移動させ前記第4の回転部材の表面に吸着させる力が作用する向きの電界を発生させる逆極性用電圧印加手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、上記のクリーニング装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このように第2の回転部材の表面に当接してその表面を研削する研削部材を配置することにより、当接部材との摺擦時の磨耗により第2の回転部材の表面が磨かれるようになって第2の回転部材の表面粗さが小さくなっても、その直後に第2の回転部材の表面を研削により表面粗さを大きくすることができ、当接部材と第2の回転部材の表面との接触面積の増加を抑制して、当接部材と第2の回転部材間に生じる摩擦力の増大を抑制できる。
【0015】
従って、回転時間の経過に連れて磨耗により第2の回転部材の表面粗さが小さくなり、当接部材と第2の回転部材の表面との接触面積が増えることにより、当接部材と第2の回転部材間の摩擦力が増大していき、第2の回転部材に対する駆動負荷の上昇やスティックスリップによりノイズが発生するといったことを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1に係るプリンタの全体の構成を示す図である。
【図2】プリンタ内のクリーニング部の構成を拡大して示す概略構成図である。
【図3】スクレーパと研削部材を示す概略斜視図である。
【図4】実施の形態2に係るクリーニング部の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るクリーニング装置および画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)を例に説明する。
<実施の形態1>
〔1〕プリンタの全体構成
図1は、プリンタ10の全体の構成を示す図である。
【0018】
同図に示すように、プリンタ10は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであり、画像プロセス部1、中間転写部2、給送部3および定着部4を備え、ネットワーク(例えばLAN)に接続されて、外部の端末装置(不図示)からの印刷(プリント)ジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)色からなるカラーの画像形成を実行する。
【0019】
画像プロセス部1は、Y〜K色のそれぞれに対応する作像部10Y〜10Kを備えている。作像部10Yは、感光体ドラム11Yと、その周囲に配設された帯電器12Y、露光部13Y、現像器14Y、一次転写ローラ15Y、感光体ドラム11Yを清掃するためのクリーナなどを備えており、公知の帯電、露光、現像工程を経て感光体ドラム11Y上にY色のトナー像を作像する。この構成は、他の作像部10M〜10Kについて同様であり、対応する色のトナー像が感光体ドラム11M〜11K上に作像される。
【0020】
中間転写部2は、所定の電気抵抗を有する材料、例えば導電性樹脂などからなる中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21を張架すると共に同図の矢印方向に周回駆動させる駆動ローラ22と従動ローラ23のローラ対と、中間転写ベルト21の表面を清掃するクリーニング部24などを備える。
給送部3は、給紙カセットから記録用のシートSを搬送路31に1枚ずつ繰り出す。
【0021】
画像プロセス部1において感光体ドラム11Y〜11K上に作像されたトナー像は、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの転写位置において対応する転写ローラ15Y、15M、15C、15Kによる静電力の作用を受けて、周回走行する中間転写ベルト21の表面上に一次転写される。なお、各色の作像動作は、各色のトナー像が中間転写ベルト21上において同じ位置に多重転写されるようにタイミングをずらして実行される。
【0022】
この作像動作のタイミングに合わせて、給送部3からは、シートSが搬送されて来ており、そのシートSは、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21に二次転写位置で圧接された二次転写ローラ32との間に挟まれて搬送され、二次転写ローラ32による静電力の作用を受けて、中間転写ベルト21上の各色トナー像が二次転写位置において一括してシートS上に二次転写される。二次転写後のシートSは、定着部4に送られる。
【0023】
定着部4は、二次転写後のシートS上の各色トナー像を加熱、加圧によりシートSに定着させる。定着後のシートSは、排出ローラ対33を介して機外に排出され、収容トレイ34上に収容される。
二次転写の際にシートSに二次転写されずに中間転写ベルト21の表面に残った残留トナーは、クリーニング部24により除去される。
【0024】
クリーニング部24は、中間転写ベルト21の周囲であり、中間転写ベルト21の周回方向(ベルト周回方向)に、二次転写位置(中間転写ベルト21と二次転写ローラ32との圧接位置)より下流、かつ作像部10Yにおける一次転写位置(感光体ドラム11Yと中間転写ベルト21との当接位置)より上流の位置に配置されている。
〔2〕クリーニング部24の構成
図2は、クリーニング部24の構成を拡大して示す概略構成図であり、中間転写ベルト21の表面上の残留トナーTが除去される様子を模式的に示している。
【0025】
同図に示すようにクリーニング部24は、筐体50と、クリーニングブラシ51と、回収ローラ52と、搬送ローラ53と、スクレーパ54と、研削部材55と、帯電部材56と、噴煙防止シール57などを備える。
筐体50は、絶縁性の樹脂などからなり、クリーニングブラシ51〜研削部材55を内部に収容しており、中間転写ベルト21に対向する側に開口部501を有する。
【0026】
クリーニングブラシ51は、筐体50の開口部501に設けられ、金属製の導電性材料からなる中実または中空の棒材である芯金511と、芯金511の外周に植設された導電性のブラシ繊維からなるブラシ部512を備える。
ブラシ部512の、中間転写ベルト21と対向する部分が、中間転写ベルト21の表面に接触している。ブラシ繊維は、例えばナイロン、ポリエステル、アクリル、レーヨンなどの樹脂にカーボンを分散させ、導電性を付与させた材料からなる。具体的には、例えば繊度は1D〜10D、密度は50〜300〔kF/inch〕、原糸抵抗は10〜1013〔Ω〕の範囲に設定されるものなどが用いられる。
【0027】
芯金511は、回転軸として回転可能に筐体50に支持されており、駆動モータ(不図示)からの駆動力が駆動伝達機構(不図示)を介して与えられて、中間転写ベルト21の周回方向と同方向に回転駆動される。
回収ローラ52は、導電性を有する金属のローラからなり、クリーニングブラシ51を挟んで中間転写ベルト21に対峙する位置に配置され、クリーニングブラシ51のブラシ部512と接触している。
【0028】
回収ローラ52の表面521は、新品時(製造時)においてある程度の大きさの表面粗さを有するように表面研磨、例えばバフ研磨が施されている。あえて、ある程度の表面粗さを有する処理を施しているのは、次の理由による。
すなわち、回収ローラ52の製造時に表面521をより番手の大きい研磨材を用いて研磨すれば平滑度が上がって表面521を鏡面化させることもできるが、平滑度が上がるということは、微視的に表面521の凹凸が少なく、軸方向に沿った縦断面で見ると表面521を示す輪郭がより直線に近くなることを意味する。
【0029】
スクレーパ54の先端541の長手方向に長い端辺を直線として、回収ローラ52の表面521の凹凸が少ない(直線に近い)とすると、スクレーパ54と回収ローラ52双方の直線部分の同士が接触する箇所が増えて、スクレーパ54の先端541と回収ローラ52の表面521との両者間の接触面積が増大することになる。これに対し、表面521の凹凸が多い場合、凸の部分はスクレーパ54の先端541の端辺と接するが、凹の部分は接触しないことから、両者間の接触面積は低減することになる。
【0030】
スクレーパ54と回収ローラ52の両者間の接触面積が増大するということは、両者間の摩擦力が大きくなることになることを意味し、新品時からの回転時間の経過に連れて、両者間の摩擦力が大きくなると、両者の磨耗が進み易く、長寿命化を実現できない。
そこで、回収ローラ52の製造時に、表面521を番手の小さい研磨材を用いて粗研磨することにより、ある程度の表面粗さを有する(表面521にある程度の大きさの凹凸を付ける)ようにして、スクレーパ54の先端541と回収ローラ52の表面521との接触面積を少なくして、両者間の摩擦力を低減させて長寿命化を図るものである。
【0031】
もちろん、回収ローラ52の表面521を粗研磨するといっても、スクレーパ54との間に生じる凹凸による隙間を残留トナーTが通り抜けるようなことがあっては、スクレーパ54による残留トナーTの掻き取り(清掃)を行えないので、このような残留トナーTの通り抜けが生じないように表面粗さの大きさが予め決められる。
例えば、スクレーパ54に対する表面の摩擦係数が0.1以下になるように製造時に表面研磨処理が施された回収ローラが用いられる。この表面研磨処理に用いる研磨材の表面粗さの番手は、例えば次の実験から求められる。
【0032】
すなわち、(1)スクレーパ54と同じ材料からなるシート状の部材(シート部材)を用意して、そのシート部材を水平面に置く。
(2)シート部材の上に回収ローラ52を載せ、一本の紐の一端を回収ローラ52の軸芯の一方端に付け、その紐の他端を回収ローラ52の軸芯の他方端に付ける。
(3)その紐の中央をプッシュプルゲージで、水平かつ回収ローラ52の軸に直交する方向に向かって引き、回収ローラ52が滑り出した時点の力(F)を測定する。
【0033】
(4)力(F)と、μ(摩擦係数)と、N(垂直抗力:回収ローラ52の重さ)の関係は、次の(式1)で示すことができる。
力(F)=μ(摩擦係数)×N(垂直抗力)・・・(式1)
(式1)から摩擦係数を求めることができるので、複数の回収ローラを一つずつ、研磨材の番手を代えて表面研磨した回収ローラのそれぞれを順に上記の実験にかけ、それぞれの回収ローラについて、(式1)から摩擦係数を求める。
【0034】
(5)それぞれの回収ローラのうち、摩擦係数が0より大きく0.1以下の範囲内に入った回収ローラであり、かつ、実際の装置に装着したときに残留トナーTの通り抜けが発生しない回収ローラを特定し、その特定した回収ローラの研磨に用いた研磨材の番手を、製造時に用いる研磨材と決めることができる。
回収ローラ52は、筐体50に回転可能に支持されており、上記の駆動伝達機構からの駆動力を付与されてクリーニングブラシ51の回転方向に対し逆方向に回転駆動される。なお、クリーニングブラシ51と回収ローラ52が対向する部分では、クリーニングブラシ51と回収ローラ52の回転方向が同じになり、回転駆動負荷の軽減が図られている。
【0035】
回収ローラ52は、電圧出力部91と接続されており、電圧出力部91から出力されるバイアス電圧、ここではトナーの正規帯電極性(マイナス)と逆極性であるプラスの電圧が印加される。
帯電部材56は、中間転写ベルト21の表面に接触する導電性のブラシを有しており、電圧出力部92から出力されるマイナスのバイアス電圧を、当該ブラシを介して中間転写ベルト21上の残留トナーTに与えることにより、残留トナーTの帯電極性を正規帯電極性(マイナス)に揃える。
【0036】
残留トナーTの中には、正規帯電極性とは逆極性(プラス)に帯電しているトナーが少ないとはいえ含まれているので、その逆帯電したトナーを正規のマイナス帯電に戻して、クリーニングブラシ51による除去を行い易くするものである。
回収ローラ52が電圧出力部91と接続され、帯電部材56が電圧出力部92と接続される構成により、電圧出力部91から、回収ローラ52、回収ローラ52とクリーニングブラシ51の接触部、クリーニングブラシ51、クリーニングブラシ51と中間転写ベルト21の接触部、中間転写ベルト21のうちクリーニングブラシ51から帯電部材56までのベルト部分、中間転写ベルト21と帯電部材56の接触部、帯電部材56を介して電圧出力部92に直流電流が流れる回路が形成される。
【0037】
例えば、電圧出力部91の出力電圧が+2〜+3〔kV〕、電圧出力部92の出力電圧が−1〔kV〕程度である。回収ローラ52とクリーニングブラシ51の電位がプラス、帯電部材56の電位がマイナスになるように各部材の電気抵抗が設定されている。
この直流回路が形成されることにより、正規帯電極性と同極性に帯電した残留トナーTに対して、中間転写ベルト21とクリーニングブラシ51間には中間転写ベルト21からクリーニングブラシ51に向かう方向の静電力を作用させる電界が形成され、クリーニングブラシ51と回収ローラ52間にはクリーニングブラシ51から回収ローラ52に向かう方向の静電力を作用させる電界がそれぞれ形成される。
【0038】
この電界の形成により中間転写ベルト21の表面上の残留トナーTは、中間転写ベルト21から離れてクリーニングブラシ51のブラシ部512のブラシ繊維に吸着され(取り込まれ)、ブラシ繊維に吸着された残留トナーTは、回収ローラ52に移動してその表面521に吸着する(担持される)。回収ローラ52の表面521に吸着された残留トナーTは、スクレーパ54により掻き取られる。
【0039】
スクレーパ54は、鉄やステンレスなどの金属材料からなる薄い板状の部材であり、回収ローラ52の軸方向に沿って長尺であり、回収ローラ52の表面521に当接して、回収ローラ52の表面521に吸着されている残留トナーTを掻き取り、回収ローラ52の表面521を清掃する部材(当接部材)である、
スクレーパ54は、幅方向にその一方の端部(基端部)が筐体50の支持部59に支持され、他方の端部が自由端であり、その自由端である先端541が回収ローラ52の回転方向とは逆(カウンター)方向に向けられた状態で回収ローラ52の表面521に当接されてなる。スクレーパ54の長手方向の長さは、回収ローラ52の長さと同じまたは回収ローラ52の長さよりも長くなっている。また、スクレーパ54の厚み、圧接角、圧接力などは、トナーの種類やトナー外添剤、回収ローラ52の材質など装置構成に応じて適した値が予め設定される。
【0040】
研削部材55は、合成繊維の表面に砥粒が接着剤で付着された不織布表面処理材からなり、回収ローラ52の表面521に当接してその表面521を研削するものである。
研削部材55における、回収ローラ52の表面521との当接面551の粗さの番手は、回収ローラ52の表面521を研削したときの、スクレーパ54に対する表面521の摩擦係数が0.1以下になる大きさの番手に設定される。この番手の設定方法としては、例えば上記の回収ローラ52の製造時における表面研磨処理に用いる研磨材の番手の大きさを決める方法と同じ方法を用いることができる。摩擦係数が0.1以下になるという条件を満たすのであれば、研削部材55として、回収ローラ52の製造時の表面研磨処理に用いられた研磨材と同じ番手のものを用いる、または同じ研磨材を用いるとしても良いし、異なる番手のものを用いるとしても良い。
【0041】
研削部材55は、回収ローラ52の周囲であり、回収ローラ52の回転方向にスクレーパ54と回収ローラ52の表面521との当接位置より下流、かつクリーニングブラシ51と回収ローラ52の接触位置より上流の位置に、断面L字状の取付部材60を介して筐体50の支持部59に固定されている。
図3は、スクレーパ54と研削部材55を図2の矢印A方向から見たときの分解斜視図であり、説明に関係しない部材については図示を省略している。
【0042】
同図に示すようにスクレーパ54と研削部材55は、Y方向(回収ローラ52の軸方向)に長尺であり、Y方向長さがLで略等しい。
研削部材55は、例えばX方向とZ方向の長さが5〔mm〕、Y方向の長さLが325〔mm〕であり、研削部材55の表面551の全面が回収ローラ52の表面521に当接しつつ、その当接圧が10〜20〔g〕の範囲の値になるように配設されている。
【0043】
研削部材55は、スクレーパ54による残留トナーTの掻き取り位置より回収ローラ52の回転方向下流の位置で回収ローラ52に常時、当接しているので、残留トナーTが掻き取られた直後の回収ローラ52の表面521を研削することができる。この研削は、回収ローラ52の回転によりその回転開始から停止までの間に亘って実行される。
従って、回収ローラ52の回転中にスクレーパ54と回収ローラ52の両者間に生じる摩擦による、スクレーパ54の先端541と回収ローラ52の表面521との磨耗により、回収ローラ52の表面521が研磨されたようになってその表面粗さが小さくなったとしても、その直後に研削部材55による研削により回収ローラ52の表面粗さをスクレーパ54により磨かれる前の粗さに戻すように大きくすることができる。
【0044】
換言すると、回収ローラ52は、回転方向一周のうち、スクレーパ54との当接部位を通過する際に磨かれて表面粗さが小さくなり(平滑度が増し、微視的に見たときに表面521の凹凸の程度が小さくなり)、その直後に研削部材55との当接位置を通過する際に研削により表面粗さが大きくなる(平滑度が減り、凹凸の程度が大きくなる。)。
この研磨と研削が回転中にこの順に実行されるので、時間経過に連れて研磨だけが進行することがなく、回収ローラ52の表面粗さをある程度の大きさ(研削部材の番手に相当する程度の粗さ)に維持することができる。回収ローラ52の表面粗さをある程度の大きさに維持できるということは、研磨だけの進行に比べて、表面521の凹凸の程度が増していることを意味し、表面521の凹凸の程度が増しているということは、上記のように凹凸の程度が小さいときに比べて、スクレーパ54の先端541と回収ローラ52の表面521との接触面積が少なくなっていることを意味する。
【0045】
研削部材55を設けない場合、回転時間の経過に連れて回収ローラ52の表面521の研磨だけが進行するので、回収ローラ52の表面粗さが小さく(凹凸の程度が小さく)なる方向だけになり、凹凸の程度が小さくなるほど鏡面化が進み、スクレーパ54と回収ローラ52との接触面積が増加して、両者間に生じる摩擦力が増大していくことになる。
これに対し、本実施の形態のように研削部材55により表面粗さをある程度の大きさに維持することにより、長期に亘ってスクレーパ54と回収ローラ52との接触面積の増加を抑制し、両者間の摩擦力の増大を抑制して、回収ローラ52に対する駆動負荷の上昇やスティックスリップによるノイズの発生を防止することが可能になる。
【0046】
上記では、スクレーパ54と研削部材55のY方向長さが等しいとしたが、これに限られず、装置構成によっては一方を長く、他方を短くするとしても良い。
<実施の形態2>
上記実施の形態では、クリーニング部24がクリーニングブラシと回収ローラを1つずつ備える構成を説明したが、本実施の形態では2つずつとしており、この点が実施の形態1と異なっている。以下、説明の重複を避けるため、実施の形態1と同じ内容についてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
【0047】
図4は、本実施の形態に係るクリーニング部241の構成を示す拡大断面図である。
同図に示すようにクリーニング部241は、筐体150、第1クリーニングブラシ151、第1回収ローラ152、第1搬送ローラ153、第1スクレーパ154、第1研削部材155、第2搬送ローラ156、噴煙防止シール157、第2クリーニングブラシ158、第2回収ローラ159、第2スクレーパ160および第2研削部材161を備える。
【0048】
第1クリーニングブラシ151と第2クリーニングブラシ158は、筐体150の開口部501に配置され、ベルト周回方向に第2クリーニングブラシ158が第1クリーニングブラシ151より上流に位置している。
第1クリーニングブラシ151と第2クリーニングブラシ158は、それぞれが筐体150に回転自在に支持され、開口部501を介して中間転写ベルト21の表面に接触した状態で、図示しない駆動機構からの駆動力を受けて回転駆動される。
【0049】
第1クリーニングブラシ151、第2クリーニングブラシ158は、実施の形態1のクリーニングブラシ51と同様に、中間転写ベルト21上の残留トナーTを取り込む。
第1回収ローラ152、第2回収ローラ159は、実施の形態1の回収ローラ52と同様に、筐体150に回転自在に支持されると共に回転駆動され、第1クリーニングブラシ151、第2クリーニングブラシ158が取り込んだ残留トナーTを回収する。
【0050】
また、第1スクレーパ154、第2スクレーパ160は、実施の形態1のスクレーパ54と同様に、第1回収ローラ152、第2回収ローラ159の表面に存する残留トナーTを掻き取る。
さらに、第1研削部材155、第2研削部材161は、実施の形態1の研削部材55と同様に、第1回収ローラ152の表面、第2回収ローラ159の表面を研削する機能を有している。第1研削部材155は、第1回収ローラ152の回転方向に第1スクレーパ154と第1回収ローラ152の当接位置より下流、かつ第1クリーニングブラシ151と第1回収ローラ152との接触位置より上流の位置に配置されている。
【0051】
第2研削部材161は、第2回収ローラ159の回転方向に第2スクレーパ160と第2回収ローラ159の当接位置より下流、かつ第2クリーニングブラシ158と第2回収ローラ159との接触位置より上流の位置に配置されている。
第1搬送ローラ153と第2搬送ローラ156は、実施の形態1の搬送ローラ53と同様に、残留トナーTをクリーニング部241から外部に搬送する。
【0052】
本実施の形態では、第1回収ローラ152は、電圧出力部91と接続され、電圧出力部91から出力されるプラスのバイアス電圧が印加される。また、第2回収ローラ159は、電圧出力部92と接続され、電圧出力部92から出力されるマイナスのバイアス電圧が印加されている。また、中間転写ベルト21を張架する従動ローラ23の回転軸231がアース(グランド)されており、電圧出力部91、第1回収ローラ152、第1クリーニングブラシ151、中間転写ベルト21、従動ローラ23を介してアースに至るまでの第1の回路が形成されると共に、電圧出力部92、第2回収ローラ159、第2クリーニングブラシ158、中間転写ベルト21、従動ローラ23を介してアースに至るまでの第2の回路が形成されて、各回路を直流電流が流れるようになっている。
【0053】
第1の回路では、中間転写ベルト21と第1クリーニングブラシ151間に、正規帯電極性と同極性に帯電した残留トナー(正規帯電残留トナー:同図の黒丸で表わしたトナーT)に対して中間転写ベルト21から第1クリーニングブラシ151に向かう方向の静電力を作用させる電界が形成され、第1クリーニングブラシ151と第1回収ローラ152間には、正規帯電残留トナーに対して第1クリーニングブラシ151から第1回収ローラ152に向かう方向の静電力を作用させる電界が形成される。
【0054】
これにより、中間転写ベルト21上に存する正規帯電残留トナーが中間転写ベルト21から第1クリーニングブラシ151を介して第1回収ローラ152に回収される。第1回収ローラ152の表面に存する正規帯電残留トナーは、第1スクレーパ154により第1回収ローラ152の表面から掻き取られて落下して第1搬送ローラ153に送られる。
第2の回路では、中間転写ベルト21と第2クリーニングブラシ158間には、正規帯電極性と逆極性(プラス)に帯電した残留トナー(逆帯電残留トナー:同図の白丸で表わされたトナーT)に対して中間転写ベルト21から第2クリーニングブラシ158に向かう方向の静電力を作用させる電界が形成され、第2クリーニングブラシ158と第2回収ローラ159間には、逆帯電残留トナーに対して第2クリーニングブラシ158から第2回収ローラ159に向かう方向の静電力を作用させる電界が形成される。これにより、中間転写ベルト21上の逆帯電残留トナーが中間転写ベルト21から第2クリーニングブラシ158を介して第2回収ローラ159に回収される。
【0055】
第2回収ローラ159の表面に存する逆帯電残留トナーは、第2スクレーパ160により第2回収ローラ159の表面から掻き取られる。掻き取られた逆帯電残留トナーは、同図に示すように第2スクレーパ160上を第2スクレーパ160の先端から基端部に向かって滑り落ち、第2スクレーパ160を支持している支持部材169と第2スクレーパ160との間に存する段差部に堰き止められることにより、一時的に第2スクレーパ160上に溜められる。そして、溜められた逆帯電残留トナーの量がある程度の量に達すると、支持部材169と第2スクレーパ160との間の段差部を乗り越えて下方に落下して、第2搬送ローラ156に送られる。
【0056】
本実施の形態では、中間転写ベルト21上の残留トナーTのうち、まず逆帯電残留トナーを第2クリーニングブラシ158により中間転写ベルト21から取り込み、続いて、正規帯電残留トナーを第1クリーニングブラシ151により中間転写ベルト21から取り込む構成において、第1回収ローラ152に対して第1研削部材155を設け、第2回収ローラ159に対して第2研削部材161を設けることにより、スクレーパと回収ローラ間の摩擦力の増大に起因するスティックスリップなどの発生を防止することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、第2クリーニングブラシ158と第2回収ローラ159を同方向に回転する構成において、第2スクレーパ160の先端を第2回収ローラ159に対してカウンター方向に当接させるべく、第2スクレーパ160の姿勢を第2スクレーパ160の先端が基端部よりも上方に位置する傾斜姿勢にしているが、このような構成に限られないことはいうまでもない。
【0058】
例えば、第2回収ローラ159の回転方向を第2クリーニングブラシ158の回転方向と逆方向とする構成をとる場合、第2スクレーパ160の姿勢を第1スクレーパ154の姿勢と同様に、その先端が基端部よりも下方になる傾斜姿勢にするとしても良い。
また、中間転写ベルト21上の逆帯電残留トナーを取り込む第2クリーニングブラシ158を、正規帯電残留トナーを取り込む第1クリーニングブラシ151よりもベルト周回方向の上流に位置するとしたが、この位置関係を逆にして、第2クリーニングブラシ158を第1クリーニングブラシ151よりも下流に配する構成をとるとしても良い。
【0059】
さらに、中間転写ベルト21上の正規帯電残留トナーと逆帯電残留トナーをそれぞれ別のクリーニングブラシを用いて除去するとしたが、装置構成によっては例えば逆帯電残留トナーを除去するための、第2クリーニングブラシ158、第2回収ローラ159、第2スクレーパ160、第2研削部材161、電圧出力部92の組だけを備える構成をとるとしても良い。
【0060】
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないことは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、スクレーパと回収ローラ間に生じる摩擦力を低減するために回収ローラ52の表面521の摩擦係数が0.1以下の範囲の値になるように研削部材55、155、161の粗さの番手を決めるとしたが、摩擦係数の値は、これに限られない。スクレーパと回収ローラ間に生じる摩擦力を低くするという点からすれば、摩擦係数が低い方が望ましいが、スクレーパと回収ローラとの磨耗による接触面積の範囲を、スクレーパと回収ローラ間の摩擦力がスティックスリップ等の発生する大きさに至ることがない範囲内に抑止することができれば良く、装置構成に応じて予め実験などから適した大きさの摩擦係数とこれに対応する粗さの番手が決められれば良い。
【0061】
例えば、研削部材として、回収ローラ52の製造時に用いられる研磨材の番手と同じ番手のもの、または同じ研磨材を用いれば、回収ローラ52の新品時の表面粗さを回転時間が経過しても略維持することができるようになる。従って、スクレーパと回収ローラの表面との接触面積についても新品時以降に増大させることなく新品時と略同じ大きさに維持して、長期に亘ってスティックスリップ等の発生の防止を図れる。
【0062】
さらに、研削部材55、155、161が合成繊維に砥粒が接着剤で付着された不織布表面処理材からなるとしたが、これに限られず、研削可能な構成であれば良い。例えば、ゴム、樹脂などの素材の表面に砥粒が接着や混入されてなるものを用いるとしても良い。
(2)上記実施の形態では、研削部材55が回収ローラ52の表面521に当接した状態で筐体50の支持部59に固定される構成例を説明したが、この構成に限られない。例えば、研削部材55を回収ローラ52の表面521と接離可能に構成し、中間転写ベルト21上の残留トナーTの量に応じて接離動作を行う構成をとることが考えられる。
【0063】
中間転写ベルト21上の残留トナーTが多いときには、クリーニング部24に回収される残留トナーTの量も多くなり、回収ローラ52の表面521に存する残留トナーTの量も多くなるので、微視的に見ればスクレーパ54の先端541と回収ローラ52の表面521との間に介在するトナー粒子の量も多くなる。
両者間に介在するトナー粒子の量が多い場合、これが潤滑剤となって、スクレーパ54と回収ローラ52間に生じる摩擦による回収ローラ52の表面521の磨耗による研磨も少なくなり、両者の接触面積が増加し続けることが生じ難い。このような状況であれば、あえて研削部材55で回収ローラ52の表面521を研削しなくても両者間の摩擦力の増大によるスティックスリップ等が発生する蓋然性が低いといえる。
【0064】
一方で、中間転写ベルト21上の残留トナーTが少なくなったときには、回収される残留トナーTの量も少なくなり、回収ローラ52の表面521に存する残留トナーTの量も少なくなるので、スクレーパ54の先端541と回収ローラ52の表面521との間に介在するトナー粒子の量も少なくなる。潤滑剤となるべきトナー粒子の量が少なくなると、スクレーパ54と回収ローラ52間に生じる摩擦力が大きくなり、その摩擦による回収ローラ52の表面521の磨耗による研磨が進行して、両者の接触面積が増加し続けることが生じ易くなる。この状況では、研削部材55で回収ローラ52の表面521を研削しなければ両者間の摩擦力の増大によるスティックスリップ等の発生を抑えることができなくなる蓋然性が高くなる。
【0065】
そこで、中間転写ベルト21上に存する残留トナーTがある閾値より少なくなると研削部材55を回収ローラ52に当接させ、閾値以上のときには離間させる構成をとることが考えられる。このようにすれば、回収ローラ52の研削が不要と想定されるときに当該研削を禁止することができ、回収ローラ52と研削部材55の長寿命化を図れる。
中間転写ベルト21上に存する残留トナーTの量は、光学センサ等で直接、検出する構成、形成画像の印字率の大きさから指標する構成などをとることができる。
【0066】
ここで、印字率を用いるのは、次の理由による。すなわち、印字率が大きくなると、作像における単位面積当たりのトナー量が多くなるので、二次転写効率を略一定とすると残留トナーとして二次転写後に中間転写ベルト21上に残るトナーの量が多くなり、逆に印字率が小さくなると、中間転写ベルト21上に残るトナーの量が少なくなる。このように印字率の大きさと残留トナーTの量との間に一定の関係があるといえるからである。
【0067】
研削部材55を回収ローラ52に接離させる構成としては、例えば研削部材55を回収ローラ52に対して遠近方向にスライド自在に保持しつつ、ソレノイドなどのアクチュエータにより研削部材55を当該方向に沿ってスライドさせることにより接触位置と離間位置とを交互に切り換える構成などが考えられる。
また、上記の検出値、印字率等を残留トナーの量を指標する情報として取得して、取得した情報に基づいて研削部材55の回収ローラ52に対する接離を判断する構成をとることにより実現することができる。
【0068】
(3)上記実施の形態では、中間転写ベルト21上の残留トナーを取り込む第1の回転部材としてのクリーニングブラシ51、151、第3の回転部材としてのクリーニングブラシ158を用いた例を説明したが、その形状はブラシ状に限られない。例えば、周面が導電性かつ弾性を有する樹脂からなるスポンジ状または発泡状のローラ、ベルト状のものなどを用いるとしても良い。
【0069】
また、第1の回転部材に取り込まれた残留トナーTを回収する第2の回転部材としての回収ローラ52、152と、第3の回転部材に取り込まれた残留トナーTを回収する第4の回転部材としての回収ローラ159をそれぞれ金属ローラとした例を説明したが、これに限られない。例えば、導電性樹脂からなるローラを用いるとしても良い。さらに、ローラに限られず、例えばベルト状のものであっても適用できる。
【0070】
当接部材としてのスクレーパ54は、金属材料からなる板状の部材としたが、これに限られることはない。回収ローラ52上の残留トナーを掻き取ることができれば良く、装置構成によって例えば金属以外の素材を用いたり棒状としたりすることもできる。また、スクレーパ54を回収ローラ52に対してカウンター方向に当接させるとしたが、これに限られない。例えば、スクレーパ54の先端が回収ローラ52の回転方向に向く、いわゆるトレール方向に圧接する構成において回収ローラ52の駆動負荷が増加していくような場合に適用可能である。他のスクレーパ154、160についても同様である。
【0071】
さらに、中間転写ベルトとクリーニングブラシ間、クリーニングブラシと回収ローラ間のそれぞれの電位差により生じる電界による、残留トナーに作用する静電力(静電気力)を利用して、中間転写ベルト上の残留トナーを取り込み、回収するとしたが、静電力を利用する構成に限られない。例えば、中間転写ベルト上の残留トナーとの接触による機械的な付着力により残留トナーを取り込んで回収することが可能な2本の回転部材(ブラシやローラなど)の組を配置する構成にも適用可能である。
【0072】
(4)上記実施の形態では、正規の帯電極性が負(マイナス)のトナーを用いた例を説明したが、これに限られず、正(プラス)のトナーを用いる場合にも同様に適用できる。この場合、上記の構成において、トナーの極性、電圧の正負の関係が全て逆にされる。
(5)上記実施の形態では、本発明に係るクリーニング装置および画像形成装置をタンデム型カラーデジタルプリンタに適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成に関わらず、像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング装置およびこれを備える画像形成装置であれば、例えば複写機、FAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等に適用できる。
【0073】
また、像担持体の一例として中間転写ベルトを用いた構成を説明したが、これに限られず、像担持体が例えば感光体ドラムである構成にも適用できる。同様に像担持体が例えば感光体ベルトや中間転写ドラムである構成にも適用可能である。
さらに、中間転写ベルト、クリーニングブラシ、回収ローラ、スクレーパ、研削部材、筐体などの各部材の材料、形状、大きさ、クリーニングブラシや回収ローラなどの回転部材の回転方向、回収ローラに対する研削部材の押圧力の大きさなどが、上記の材料、形状等に限られないことはいうまでもなく、装置構成に応じて適した材料、形状、大きさ、方向などが予め決められる。
【0074】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、中間転写ベルトなどの像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング装置およびこれを備えた画像形成装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0076】
5 制御部
10 プリンタ
11Y、11M、11C、11K 感光体ドラム
21 中間転写ベルト
24、241 クリーニング部
51 クリーニングブラシ
52 回収ローラ
54 スクレーパ
55 研削部材
91、92 電圧出力部
151 第1クリーニングブラシ、
152 第1回収ローラ、
154 第1スクレーパ、
155 第1研削部材
158 第2クリーニングブラシ、
159 第2回収ローラ
160 第2スクレーパ
161 第2研削部材
521 回収ローラの表面
541 スクレーパの先端
T 残留トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動する像担持体上に残存する残留トナーを除去するクリーニング装置であって、
前記像担持体に接触した状態で回転して前記残留トナーを取り込む第1の回転部材と、
前記第1の回転部材に接触した状態で回転して、当該第1の回転部材により取り込まれた残留トナーを回収する第2の回転部材と、
前記第2の回転部材の表面に当接して、当該第2の回転部材の表面に存する残留トナーを掻き取る当接部材と、
前記第2の回転部材の回転方向に当該第2の回転部材と前記当接部材の当接位置より下流かつ前記第1の回転部材と当該第2の回転部材の接触位置より上流の位置に配され、当該第2の回転部材の表面に当接して前記第2の回転部材の表面を研削する研削部材と、
を備えることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記研削部材は、
前記第2の回転部材の表面と当接する部分の粗さの番手が、前記第2の回転部材の表面を研削したときの当該表面の、前記当接部材に対する摩擦係数が0.1以下になる大きさの番手に設定されてなることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記研削部材は、
前記第2の回転部材の表面と当接する部分の粗さの番手が、前記第2の回転部材の製造時に前記第2の回転部材の表面が研磨処理される際に用いられた研磨材の番手と同じ大きさに設定されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記研削部材は、
砥粒が合成繊維の表面に付着されてなる、または砥粒がゴム若しくは樹脂の表面に接着若しくは混入されてなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記当接部材と前記研削部材の、前記第2の回転部材の回転軸方向における長さが略等しいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記像担持体と前記第2の回転部材間に電圧を印加して、前記像担持体から前記第1の回転部材を介して前記第2の回転部材までの間に生じる電位差により、前記像担持体と前記第1の回転部材間に、前記像担持体上に存する正規帯電極性の残留トナーを前記第1の回転部材に移動させ前記第1の回転部材の表面に吸着させる力が作用すると共に、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材間に、前記第1の回転部材の表面に吸着された正規帯電極性の残留トナーを前記第2の回転部材に移動させ前記第2の回転部材の表面に吸着させる力が作用する向きの電界を発生させる正規極性用電圧印加手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記像担持体の回動方向に前記第1の回転部材より上流または下流の位置に配され、前記像担持体の表面に接触して回転し、前記残留トナーを取り込む第3の回転部材と、
前記第3の回転部材に接触して回転し、前記第3の回転部材が取り込んだ残留トナーを回収する第4の回転部材と、
前記第4の回転部材の表面に当接して、当該第4の回転部材の表面に存する残留トナーを掻き取る、前記当接部材とは別の当接部材と、
前記第4の回転部材の回転方向に当該第4の回転部材と前記別の当接部材の当接位置より下流かつ前記第3の回転部材と当該第4の回転部材の接触位置より上流の位置に配され、当該第4の回転部材の表面に当接して前記第4の回転部材の表面を研削する、前記研削部材とは別の研削部材と、
を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記像担持体と前記第4の回転部材間に電圧を印加して、前記像担持体から前記第3の回転部材を介して前記第4の回転部材までの間に生じる電位差により、前記像担持体と前記第3の回転部材間に、前記像担持体上に存する正規帯電極性とは逆極性の残留トナーを前記第3の回転部材に移動させ前記第3の回転部材の表面に吸着させる力が作用すると共に、前記第3の回転部材と前記第4の回転部材間に、前記第3の回転部材の表面に吸着された逆極性の残留トナーを前記第4の回転部材に移動させ前記第4の回転部材の表面に吸着させる力が作用する向きの電界を発生させる逆極性用電圧印加手段を備えることを特徴とする請求項7に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のクリーニング装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−141480(P2011−141480A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3017(P2010−3017)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】