説明

クレンジング化粧料

【課題】繰り返し加温しても安定して使用することができるとともに、一旦皮膚に塗布した場合、その効果を発揮できるまで、毛穴等に入り込んだ状態を保つことができるクレンジング化粧料、ことにメイクアップ化粧料を洗い落とすクレンジング化粧料を提供する。
【解決手段】パルミチン酸/オクタン酸デキストリンを含み、温度上昇に伴い粘度が下がり、35℃以下での粘度が85mPa・S以上で、40℃以上で粘度が45mPa・S以下であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料を洗い落とすには、一般的に、クレンジングオイル等のクレンジング化粧料(特許文献1参照)が用いられている。
一方、昨今、化粧料を塗布する皮膚温度(35〜37℃程度)〜火傷を負わない程度の温度(45〜46℃程度)まで加温してから使用することが女性の間で盛んに行われるようになっている。すなわち、使用時に化粧料を上記のように加温しておくことによって、塗布したときに皮膚温が上がることに伴い、血流が良くなり、皮膚が活性化する。また、皮膚温が上がることにより毛穴が開いて、化粧料が毛穴の奥まで入り込みやすくもなる。
【0003】
しかし、従来のクレンジングオイルは、低温でも使用できるように、粘度の低いものであるので、上記のように加温しても十分な効果を発揮することができない。
すなわち、浸透性のみを考えれば、化粧料の粘度を下げれば、十分なのであるが、粘度が低すぎると、一旦毛穴内に入り込んだ化粧料が容易に流れ出てしまって、肌をマッサージしながら、毛穴内の老廃物等を化粧料とともに取り除く効果が薄れてしまうという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2008−184415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、繰り返し加温しても安定して使用することができるとともに、一旦皮膚に塗布した場合、その効果を発揮できるまで、毛穴等に入り込んだ状態を保つことができるクレンジング化粧料を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる化粧料は、パルミチン酸/オクタン酸デキストリンを含み、温度上昇に伴い粘度が下がり、35℃以下での粘度が85mPa・S以上で、40℃以上で粘度が45mPa・S以下であることを特徴としている。
【0007】
本発明において、パルミチン酸/オクタン酸デキストリンは、粘度調整剤として使用されるが、パルミチン酸/オクタン酸デキストリンに限定される理由は、チクソトロピー性を有し、加温を繰り返してもクレンジング化粧料が変質しにくいためである。上記パルミチン酸/オクタン酸デキストリンとしては、特に限定されないが、市販のレオパールTT2(千葉製粉社製)を用いることができる。
【0008】
また、本発明のクレンジング化粧料は、40℃以上において、45mPa・S以下の粘度を示す必要があるが、その理由は、粘度が高すぎると、皮膚に塗布する際に硬く、伸びにくいとともに、ポンプ式の容器である場合、容器から出しにくくなるためである。
なお、粘度の下限は、特にないが、あまり粘度が低すぎると、塗布してもすぐに流れ落ちてしまうおそれがあるので、30mPa・S以上とすることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明のクレンジング化粧料は、35℃以下において、85mPa・S以上の粘度を示す必要があるが、その理由は、35℃以下において、粘度が85mPa・S未満であると、一旦毛穴内に入り込んだ化粧料が容易に流れ出てしまって、肌をマッサージしながら、毛穴内の老廃物等を化粧料とともに取り除く効果が薄れてしまうためである。
【0010】
なお、本発明において、粘度の測定は、例えば、TOKIMEC社製・B型粘度計、TOKIMEC社製・VISCOMETER TV-10型などの粘度計を用いて行うことができる。
【0011】
本発明のクレンジング化粧料の上記パルミチン酸/オクタン酸デキストリン以外の成分については、公知のクレンジング化粧料に用いられているものが適宜選択され、特に限定されない。また、製造方法もクレンジング化粧料に一般的に用いられているものでよく特に限定されない。
なお、混合にあたっては、パルミチン酸/オクタン酸デキストリンを、95℃で15分以上加熱溶解させる事が望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるクレンジング化粧料は、以上のように、パルミチン酸/オクタン酸デキストリンを含み、温度上昇に伴い粘度が下がり、35℃以下での粘度が85mPa・S以上で、40℃以上で粘度が45mPa・S以下であるあるので、40℃以上に加温すれば、温まったオイル(低粘度)の浸透作用で毛穴に入りこみやすくなり、皮膚に触れて温度が35℃以下に下がると配合されたパルミチン酸/オクタン酸デキストリンの特性により粘度が戻り、毛穴にオイル成分が埋まる。そして、この状態でマッサージを開始するとチキソトロピック性により毛穴から汚れと共に出てくる。そして、洗い流し時にはパルミチン酸/オクタン酸デキストリンの粘度により乳化性能が向上しているので洗い流しもスムーズになる。また、使用時には加温されて皮膚への浸透性がよいので、美容成分等が含まれていればより美容効果があがる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施例を説明する。
【0014】
(実施例1)
パルミチン酸/オクタン酸デキストリン (千葉製粉社製レオパールTT2)を8重量%含み、以下の表1に示す配合でクレンジング化粧料Aを得た。
得られたクレンジング化粧料Aを45℃まで加温し、試験者の腕に塗布したところ、チクソトロピー性があり、滑らかで、マッサージ性も良好であった。
【0015】
【表1】

【0016】
(実施例2)
パルミチン酸/オクタン酸デキストリン (千葉製粉社製レオパールTT2)を6重量%含み、以下の表2に示す配合でクレンジング化粧料Bを得た。
得られたクレンジング化粧料Bを45℃まで加温し、試験者の腕に塗布したところ、チクソトロピー性があり、滑らかで、マッサージ性も良好であった。
【0017】
【表2】

【0018】
(比較例1)
パルミチン酸/オクタン酸デキストリン((千葉製粉社製レオパールTT2)を4重量%含み、以下の表3に示す配合でクレンジング化粧料Cを得た。
得られたクレンジング化粧料Cを45℃まで加温し、試験者の腕に塗布したところ、流れ落ちやすく、マッサージ不可であった。
【0019】
【表3】

【0020】
(比較例2)
パルミチン酸/オクタン酸デキストリン((千葉製粉社製レオパールTT2)を含まず、以下の表4に示す配合でクレンジング化粧料Dを得た。
得られたクレンジング化粧料Dを45℃まで加温し、試験者の腕に塗布したところ、流れ落ちやすく、マッサージ不可であった。
【0021】
【表4】

【0022】
(比較例3)
パルミチン酸/オクタン酸デキストリンに代えてミツロウを6重量%含み、以下の表5に示す配合でクレンジング化粧料Eを得た。得られたクレンジング化粧料Eは、加温すると固化部と油部とに分離した。そして使用感はボソボソとした感じで、製品使用には不向きであった。
得られたクレンジング化粧料Eを45℃まで加温し、試験者の腕に塗布したところ、ボソボソとした感じで、マッサージ性が悪かった。
【0023】
【表5】

【0024】
(比較例4)
パルミチン酸/オクタン酸デキストリンに代えて(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル(日清オイリオグループ社製ノムコートHK−G)を6重量%含み、以下の表6に示す配合でクレンジング化粧料Fを得た。
得られたクレンジング化粧料Fを45℃まで加温し、試験者の腕に塗布したところ、クレンジング化粧料Aと同様チクソトロピー性はあるものの、質感がモソモソした感じで白濁をあった。
【0025】
【表6】

【0026】
上記実施例1,2及び比較例1〜4で得られたクレンジング化粧料A〜Fについて、それぞれ、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃のときの粘度を調べ、その結果を表7に示した。
【0027】
【表7】

【0028】
試験者の腕に口紅を線状に塗ったのち、上記実施例1,2及び比較例1〜4で得られたクレンジング化粧料A〜Fについて、メイク落ち率を以下のようにして調べ、その結果を表8に示した。
(メイク落ち率の測定方法)
試験者の腕に口紅を3〜4cmの長さの線状に3度塗布し、15分静置する。
ブランク:1.5cm幅のシールで皮膚に触れないようにして同じように口紅を塗布し、
塗布後シールを剥がす。これをブランクとする。
静置後、40℃まで温めたクレンジング化粧料A〜Fを中心1.5cm幅に乗せる。1分静置後、お湯(40℃)にて洗い流す。マッサージ等は行わない。
軽く水気を切り、500万画素デジタルカメラ(OLYMPUS:CAMEDIA C-5060)で洗浄部位を撮影し、撮影写真にてブランクと比較し、口紅の残量を目視にて確認し判定する。
【0029】
【表8】

【0030】
また、試験者の腕に口紅を線状に5本並べて塗布し、クレンジング化粧料A,B,D,E,Fを用いて線状の口紅の中央を直交方向にふき取った結果、図1に示す写真のように、
本発明のクレンジング化粧料であるクレンジング化粧料A,Bが良好にメイク落としできることが目視でもわかった。なお、図1中、TT2(8%)がクレンジング化粧料A、TT2(6%)がクレンジング化粧料B,無配合がクレンジング化粧料D、ミツロウがクレンジング化粧料E、HK−Gがクレンジング化粧料Fである。
【0031】
また、本発明の化粧料を加温する方法としては、特に限定されないが、例えば、図2及び図3に示すような加温装置1を用いることができる。
図2に示すように、この加温装置1は、装置本体2と、蓋3とを備えている。
【0032】
装置本体2は、図2及び図3に示すように、アルミニウム製の内容器21と、筐体22と、この筐体22内に設けられた電源ユニット23と、コントロールユニット24と、ペルチェ素子25と、サーモスタット26とを備える加温回路とを備えている。
また、筐体22は、上部開口の凹部22aを有するとともに、外壁面に加温回路に接続された、内容器21内の温度を表示する表示装置27を備えている。
【0033】
蓋3は、凹部22a上方を開閉自在に覆うように、ヒンジ28を介して筐体22に装着されていて、加温時は蓋3を閉じた状態にして加温効率を高めるようになっている。
【0034】
この加温装置1は、上記のようになっており、図2及び図3に示すように、内容器21に加温する化粧料が入った化粧料ビン4を収容するとともに、化粧料ビン4が水没しない程度に水を張り、ペルチェ素子25の働きによって内容器21を加熱して、水を加温し化粧料ビン4に入った化粧料を所定の温度(例えば、45,6℃)に加温した状態に保つことができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】メイク落としの効果をあらわす写真の写しである。
【図2】本発明の化粧料を加温するために使用する加温装置の1例をあらわす斜視図である。
【図3】図1の加温装置の加温回路のブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
1 加温装置
2 装置本体
21 内容器
22 筐体
22a 凹部
23 電源ユニット
24 コントロールユニット
25 ペルチェ素子
26 サーモスタット
27表示装置
3 蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルミチン酸/オクタン酸デキストリンを含み、温度上昇に伴い粘度が下がり、35℃以下での粘度が85mPa・S以上で、40℃以上で粘度が45mPa・S以下であることを特徴とするクレンジング化粧料。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−53088(P2010−53088A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220748(P2008−220748)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(593140587)株式会社セレスコムテツク (3)
【Fターム(参考)】