説明

クレータ検出装置

【課題】惑星表面のクレータの位置および大きさをクレータ特徴量として計測する際の計算負荷を軽減して処理時間を短縮したクレータ検出装置を得る。
【解決手段】第1の閾値よりも高い輝度値の画素のみを明部画像Gaとして入力画像Gから抽出する明部抽出部1と、第2の閾値以下の輝度値の画素のみを暗部画像Gbとして入力画像Gから抽出する暗部抽出部2と、明部画像Gaと暗部画像Gbの合成画像Gcを生成する画像合成部4と、画像合成部4に含まれる抽出領域の領域特徴量を計測して抽出領域がクレータか否かを判定するとともに、検出されたクレータのクレータ特徴量を出力するクレータ判定部6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、惑星表面を撮影した画像の中からクレータを自動的に検出して、クレータの位置や大きさなどの特徴を自動的に計測するクレータ検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、月を初めとする惑星には、隕石の衝突や火山の活動によって形成されたクレータが数多く存在し、その位置や密度、大きさなどから、その対象地域の形成年代が推定可能であることが知られている。したがって、惑星表面のクレータを調査することにより、惑星の進化過程を知ることができ、ひいては地球の深部を理解することにも繋がる。
【0003】
しかし、たとえば月の場合には、名称が付けられているクレータだけでも約8500個以上の存在が確認されており、惑星には無数にクレータが存在しているので、目視による検出方法では、非常に多くの労力を必要とすることになる。
【0004】
そこで、従来から、コンピュータによって自動検出する種々の手法が考案されている。
従来の自動検出手法としては、クレータは、その尾根の形状がほぼ円であることから、「ハフ変換」がよく用いられており、たとえば、数値地形図を用いたクレータの自動検出手法が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0005】
ハフ変換は、画像から直線や円などの幾何学図形を抽出する手法として知られており、通常の直交座標上の画像を、直線検出の場合には極座標の2次元空間に変換し、円検出の場合には3次元の空間に変換して、頻度の高い位置を求めた後、それを逆変換することにより、直線や円を検出する処理である。
【0006】
ここで、図14の説明図を参照しながら、ハフ変換により円を検出する場合の従来方法について具体的に説明する。
まず、クレータが含まれる画像にエッジ抽出処理を行い、クレータなどの輪郭を抽出して、この輪郭画像に対してハフ変換処理を施す。
【0007】
図14において、まず、検出したい半径rの1点鎖線円をテンプレート20とし、テンプレート20の中心を、テンプレート20の代表点Pとする。
続いて、観測点(輪郭の画素)を点A(x、y)とし、テンプレート20の輪郭が点Aの位置にくるようにテンプレート20を移動すると、点Aを輪郭点としてもち得る円の代表点Pの軌跡は、破線円21となる。
【0008】
すなわち、点Aに関しては、画像空間上の破線円21の輪郭の座標それぞれに対して、投票を行えばよいことになる。たとえば、実線円22の輪郭のすべての輪郭点において、この投票を実行した場合、点Bがピーク(最頻値)となる。
【0009】
以上の処理を、1点鎖線円の半径rを変えて繰り返し実行する。すなわち、観測点すべてを代表点Pの座標(x、y)と1点鎖線円の半径rとで表される3次元空間に投票し、そこでの頻度の高い値を求めることにより、撮像装置により撮影された入力画像から円を検出することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】原田、平田、出村、浅田「楕円モデルのハフ変換による数値地形図上のクレータ認識手法の開発」日本惑星学会会誌、Vol.17、No.1(2008)、pp69−76
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来のクレータ検出装置は、上記非特許文献1も含めて、ハフ変換を用いた演算処理に時間がかかるという課題があった。
また、複数存在する観測点のそれぞれに対して入力画面上のすべての点(画素)への距離(半径r)を求める必要があり、その際に2乗や平方根の計算が必要となるので、計算負荷が非常に高くなるという課題があった。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、惑星表面を撮影した画像からクレータを検出し、クレータの位置および大きさなどの特徴を計測するクレータ検出装置において、計算負荷を軽減して処理時間を短縮したクレータ検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係るクレータ検出装置は、第1の閾値よりも高い輝度値の画素のみを明部画像として入力画像から抽出する明部抽出部と、第2の閾値よりも低い輝度値の画素のみを暗部画像として入力画像から抽出する暗部抽出部と、明部画像と暗部画像との合成画像を生成する画像合成部と、合成画像から抽出された抽出領域の領域特徴量を計測して、抽出領域がクレータか否かを判定するとともに、検出されたクレータのクレータ特徴量を出力するクレータ判定部とを備え、第1の閾値は、第2の閾値よりも大きい値に設定されたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、明部画像および暗部画像を合成してクレータ候補となる領域を抽出し、抽出領域のみの領域特徴量を計測してクレータであるか否かを判定することにより、計算負荷を軽減して処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1に係るクレータ検出装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】月面を撮影した場合の入力画像を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1において図2の入力画像から抽出した明部画像を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1において図2の入力画像から抽出した暗部画像を示す説明図である。
【図5】図3の明部画像からノイズを抑制した画像を示す説明図である。
【図6】図4の暗部画像からノイズを抑制した画像を示す説明図である。
【図7】図5の明部画像と図6の暗部画像との合成画像を示す説明図である。
【図8】図7の合成画像内の明部および暗部を連結した領域連結画像を示す説明図である。
【図9】領域連結画像からなる抽出領域の最大幅および最小幅を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1によるクレータ判定結果画像の例を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態1によるクレータ判定結果の出力画像例を示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態2によるクレータ検出装置の機能構成を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態2における穴埋め画像を示す説明図である。
【図14】従来のクレータ検出装置におけるハフ変換処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るクレータ検出装置の機能構成を示すブロック図である。
図1において、クレータ検出装置は、撮像装置(図示せず)により撮影された入力画像Gから明部画像Gaを抽出する明部抽出部1と、入力画像Gから暗部画像Gbを抽出する暗部抽出部2と、明部画像Gaのノイズを抑制するノイズ抑制部3aと、暗部画像Gbのノイズを抑制するノイズ抑制部3bと、ノイズが抑制された明部画像および暗部画像の合成画像Gcを生成する画像合成部4と、合成画像Gcから抽出された抽出領域に含まれる明部領域および暗部領域を連結する領域連結部5と、合成画像Gcから検出されたクレータのクレータ特徴量を出力するクレータ判定部6とを備えている。
【0017】
明部抽出部1は、入力画像G内の各画素のうち、あらかじめ任意に設定された第1の閾値Th1よりも高い輝度値の画素のみを、明部画像Gaとして入力画像Gから抽出する。
暗部抽出部2は、入力画像G内の各画素のうち、第2の閾値Th2よりも低い輝度値の画素のみを暗部画像として入力画像から抽出する。
ここで、第1の閾値Th1は、第2の閾値Th2よりも大きい値に設定されている。
【0018】
画像合成部4は、ノイズが抑制された明部画像Gaと、ノイズが抑制された暗部画像Gbとを合成して合成画像Gcを生成する。
領域連結部5は、画像合成部4で合成された合成画像Gcに含まれる明部領域と暗部領域とを連結して領域連結画像Gccを生成する。
【0019】
クレータ判定部6は、合成画像Gcまたは領域連結画像Gccに含まれる抽出領域の領域特徴量を計測して、抽出領域がクレータであるか否かを判定するとともに、検出されたクレータのクレータ特徴量をクレータ判定結果Hとして出力する。
【0020】
次に、図2〜図11を参照しながら、図1に示したこの発明の実施の形態1による具体的な動作について説明する。
図2は月面を撮影した場合の入力画像G1を示す説明図であり、図3および図4は入力画像G1を2値化処理した明部画像Ga1および暗部画像Gb1を示す説明図である。
【0021】
また、図5および図6はノイズが抑制された明部画像Ga1’および暗部画像Gb1’を示す説明図であり、図7は明部画像Ga1’および暗部画像Gb1’の合成画像Gc1
を示す説明図であり、図8は領域連結後の合成画像Gcc1を示す説明図である。
さらに、図9はクレータ判定処理を示す説明図であり、図10はクレータ判定結果画像H1を示す説明図であり、図11はクレータ判定結果を示す説明図である。
【0022】
図2において、入力画像G1には大小様々なクレータが含まれていることが分かる。
入力画像G1内の各クレータは、ほぼ円形のくぼみであり、図2に示したように、斜め上方からの光を受けると、クレータの内部には、平地よりも明るい明部領域と、平地よりも暗い暗部領域とが生じる。
【0023】
したがって、図1のクレータ検出装置は、入力画像Gとして、たとえば月面の入力画像G1を取り込み、入力画像G1内の明部領域および暗部領域を抽出することにより、月面上のクレータを検出することができる。
【0024】
図2の入力画像G1が入力されると、まず、明部抽出部1は、入力画像G1の平均輝度値を求める。平均輝度は、月面の平地の輝度値に相当するので、平均輝度値よりも大きい値に(明るく)設定した第1の閾値Th1を比較基準として、入力画像G1の各画素について2値化処理を行う。
【0025】
すなわち、明部抽出部1は、第1の閾値Th1よりも大きい(明るい)輝度の画素を「白」に変換し、第1の閾値Th1以下の(暗い)輝度の画素を「黒」に変換して、図3のように、明部画像Ga1のみを抽出して出力する。
【0026】
一方、暗部抽出部2の処理動作は、明部抽出部1の上記処理動作とは逆であり、入力画像G1の平均輝度よりも小さい値に(暗く)設定した第2の閾値Th2を比較基準として、入力画像G1の各画素について2値化処理を行い、第2の閾値Th2よりも小さい(暗い)画素を「白」に変換し、第2の閾値Th2以上の(明るい)画素を「黒」に変換して、図4のように、暗部画像Gb1のみを抽出して出力する。
【0027】
続いて、ノイズ抑制部3a、3bは、明部画像Ga1および暗部画像Gb1に生じている「ゴマ塩状」のノイズを抑制するために、それぞれの画像Ga1、Gb1にオープニング処理を行う。
これにより、図5、図6のように、ノイズが抑制された明部画像Ga1’および暗部画像Gb1’が得られ、各画像Ga1’およびGb1’は、画像合成部4に入力される。
【0028】
画像合成部4は、ノイズが抑制された明部画像Ga1’および暗部画像Gb1’を合成し、明部画像Ga1’または暗部画像Gb1’のいずれかで「白」を示す画素を「白」とし、それ以外の画素を「黒」とする。
これにより、図7のように、明部画像Ga1’と暗部画像Gb1’との合成画像Gc1が得られ、合成画像Gc1は、領域連結部5に入力される。
【0029】
領域連結部5は、合成画像Gc1上で分離している明部と暗部とを連結するために、クロージング処理を行う。
これにより、図8のように、明部と暗部とが連結された領域連結画像Gcc1が得られ、領域連結画像Gcc1は、クレータ判定部6に入力される。
【0030】
最後に、クレータ判定部6は、領域連結画像Gcc1に含まれるクレータ候補(複数の白い領域)を検証してクレータを判定する。
すなわち、領域連結画像Gcc1に含まれる白い領域は、明部または暗部として抽出された抽出領域であり、明部と暗部とから構成されるクレータである可能性が高い。
また、クレータは、ほぼ円形形状を有するので、領域連結画像Gcc1内のクレータ候補のなかから、ほぼ円形形状のものクレータとして検出する。
【0031】
具体的には、クレータ判定部6は、図9に示すように、抽出されたクレータ候補(白い抽出領域)の最小幅および最大幅をクレータ判定用の領域特徴量とし、最大幅と最小幅との比(最小幅÷最大幅)が「1」に近い(抽出領域の形状が円に近い)場合には、抽出領域がクレータである可能性が高いと判定する。
【0032】
つまり、最大幅と最小幅との比(最小幅÷最大幅)が下限値および上限値(あらかじめ任意に設定した所定値)よりも「1」に近い値(「1」を中心とする所定範囲内)である場合に、クレータであると判定する。
逆に、最大幅と最小幅との比が下限値以下(「0」に近い)か上限値以上の場合(所定範囲から逸脱した場合)には、抽出領域がクレータである可能性が低いと判定する。
【0033】
これにより、図10のように、クレータと判定された領域のみを表示したクレータ判定結果画像H1が得られる。
クレータ判定結果画像H1で表示されている領域においては、それぞれ、各領域の重心位置と、最小幅および最大幅の平均値とが計算される。
【0034】
各算出値は、クレータの中心位置および直径を示すクレータ判定結果として、クレータ判定部6から出力される。
ずなわち、クレータ判定部6は、図11に示すように、月面の入力画像G1上に、検出されたクレータの中心位置および大きさ(白点、白線)を重畳させた画像を、クレータ判定結果として出力する。
【0035】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1〜図11)に係るクレータ検出装置は、第1の閾値Th1よりも高い輝度値の画素のみを明部画像Gaとして入力画像Gから抽出する明部抽出部1と、第2の閾値Th2よりも小さい輝度値の画素のみを暗部画像Gbとして入力画像Gから抽出する暗部抽出部2と、明部画像Gaと暗部画像Gbとの合成画像Gcを生成する画像合成部4と、合成画像Gcから抽出された抽出領域の領域特徴量を計測して、抽出領域がクレータか否かを判定するとともに、検出されたクレータのクレータ特徴量を出力するクレータ判定部6とを備えている。
【0036】
このように、明部画像Gaおよび暗部画像Gbを合成してクレータ候補となる領域を抽出して、抽出領域のみの領域特徴量を計測してクレータであるか否かを判定することにより、計算負荷を軽減して処理時間を短縮することができる。
【0037】
また、この発明の実施の形態1に係るクレータ検出装置は、明部画像Gaおよび暗部画像Gbのノイズを抑制するノイズ抑制部3a、3bを備え、画像合成部4は、ノイズ抑制部3a、3bによりノイズが抑制された明部画像Ga’および暗部画像Gb’を合成するので、ノイズが抑制された明部画像Ga’および暗部画像Gb’の合成画像Gcに基づくクレータ判定により、クレータの検出精度やクレータ特徴量の計測精度を向上させることができる。
【0038】
また、この発明の実施の形態1に係るクレータ検出装置は、合成画像Gcから抽出された抽出領域に含まれる明部領域および暗部領域を連結する領域連結部5を備え、領域連結部5は、明部領域と暗部領域とが完全に隣接していなくても近接領域同士を連結し、クレータ判定部6は、合成画像Gc内の明部領域および暗部領域の領域連結画像Gccに基づき、領域連結部5によって連結された連結領域がクレータであるか否かを判定するので、1つのクレータが2つに分離されることがなく、クレータの検出精度を向上させることができる。
【0039】
さらに、クレータ判定部6は、クレータがほぼ円形形状であることに着目し、クレータ判定用の領域特徴量として、抽出領域の最大幅と最小幅との比を用いたので、最大幅と最小幅とが近似した値(比がほぼ「1」)であるか否かにより、クレータであるか否かを正確に判定することができる。
【0040】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、特に言及しなかったが、図12のように、連結領域に生じた穴を埋める穴埋め処理部15を設けてもよい。
図12はこの発明の実施の形態2に係るクレータ検出装置の機能構成を示すブロック図であり、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「A」を付して詳述を省略する。
【0041】
図12において、穴埋め処理部15は、領域連結部5とクレータ判定部6Aとの間に挿入されており、領域連結画像Gcc上の抽出領域に生じた穴を埋めて、穴埋め画像Ghを生成してクレータ判定部6Aに入力する。
【0042】
次に、前述の図8とともに、図13を参照しながら、この発明の実施の形態2による穴埋め処理部15の動作について説明する。
図13は前述(図8)の領域連結画像Gcc1に対して穴埋め処理を施した穴埋め画像Gh1を示す説明図である。
【0043】
図8に示すように、領域連結部5から出力された領域連結画像Gcc1の抽出領域内には、虫食い状の穴が複数存在する。
したがって、穴埋め処理部15は、領域連結画像Gcc1に対して、抽出領域内の穴を埋めるための処理を施し、図13のように、穴埋め画像Gh1を生成する。
穴埋め処理部15からの穴埋め画像Gh1は、クレータ判定部6Aに入力される。
【0044】
このとき、クレータ判定部6Aにおけるクレータ判定用の領域特徴量としては、抽出領域の面積Saと、抽出領域の最大幅および最小幅の平均値を直径とする円の面積Sbとの面積比Sa/Sbが用いられる。
すなわち、クレータ判定部6Aは、面積比Sa/Sbの値が「1」に近い(「1」を中心とする所定範囲内の)場合には、抽出領域が円に近く、クレータである可能性が高いと判定する。
【0045】
一方、面積比Sa/Sbの値が「1」を中心とする所定範囲から逸脱した場合には、クレータ判定部6Aは、抽出領域がクレータである可能性が低いと判定する。
このように、クレータ判定部6Aは、穴埋め画像Gh1内の抽出領域において、|1−(Sa/Sb)|の値が任意に設定した閾値よりも小さい(「0」に近い)値である場合に、抽出領域がクレータであると判定する。
【0046】
以上のように、この発明の実施の形態2に係るクレータ検出装置は、領域連結部5からの連結領域画像Gcc内の連結領域(抽出領域)に生じた穴を埋める穴埋め処理部15を備えている。
この場合、クレータ判定部6Aは、クレータがほぼ円形形状であることに着目し、領域特徴量として、穴埋め処理後の抽出領域の面積Saと、抽出領域の最大幅および最小幅の平均値を直径とする円の面積Sbと、の面積比Sa/Sbを用いる。
【0047】
したがって、この発明の実施の形態2によれば、穴埋め処理後の抽出領域の面積と、抽出領域の最大幅および最小幅の平均値を直径とする円の面積と、が互いに近い値(面積比Sa/Sbがほぼ「1」)であるか否かにより、クレータを判定することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 明部抽出部、2 暗部抽出部、3a、3b ノイズ抑制部、4 画像合成部、5 領域連結部、6、6A クレータ判定部、15 穴埋め処理部、G、G1 入力画像、Ga、Ga1 明部画像、Gb、Gb1 暗部画像、Ga’ ノイズ抑制後の明部画像、Gb’ ノイズ抑制後の暗部画像、Gc、Gc1 合成画像、Gcc、Gcc1 領域連結画像、H クレータ判定結果、H1 クレータ判定結果画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の閾値よりも高い輝度値の画素のみを明部画像として入力画像から抽出する明部抽出部と、
第2の閾値以下の輝度値の画素のみを暗部画像として前記入力画像から抽出する暗部抽出部と、
前記明部画像と前記暗部画像との合成画像を生成する画像合成部と、
前記合成画像から抽出された抽出領域の領域特徴量を計測して、前記抽出領域がクレータか否かを判定するとともに、検出された前記クレータのクレータ特徴量を出力するクレータ判定部とを備え、
前記第1の閾値は、前記第2の閾値よりも大きい値に設定されたことを特徴とするクレータ検出装置。
【請求項2】
前記明部画像および前記暗部画像のノイズを抑制するノイズ抑制部を備え、
前記画像合成部は、前記ノイズ抑制部によりノイズが抑制された明部画像および暗部画像を合成することを特徴とする請求項1に記載のクレータ検出装置。
【請求項3】
前記クレータ判定部は、前記領域特徴量として、前記抽出領域の最大幅と最小幅との比を用いたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクレータ検出装置。
【請求項4】
前記抽出領域に含まれる明部領域および暗部領域を連結する領域連結部を備え、
前記クレータ判定部は、前記領域連結部によって連結された連結領域がクレータであるか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のクレータ検出装置。
【請求項5】
前記連結領域に生じた穴を埋める穴埋め処理部を備え、
前記クレータ判定部は、前記領域特徴量として、前記抽出領域の面積と、前記抽出領域の最大幅および最小幅の平均値を直径とする円の面積と、の面積比を用いたことを特徴とする請求項4に記載のクレータ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−257062(P2010−257062A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104142(P2009−104142)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】