説明

クレーンの免震・制振複合装置

【課題】大地震発生初期の対応に優れ且つ長周期の地震の対応にも優れ、大地震発生時にクレーンに作用する大きな外力を効率良く低減し得るクレーンの免震・制振複合装置を提供する。
【解決手段】コンテナクレーン3の支持脚部としての脚部5に、免震用水平方向変位吸収装置17を設けると共に、コンテナクレーン3の上部に、制振用マスダンパー装置30を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行レール上を走行可能なコンテナクレーンや走行式ジブクレーン、或いはビル等の構築物にマストが立設されるクライミングクレーンやタワークレーン等のクレーンの免震・制振複合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図23は一般的なコンテナクレーンの一例を示す概略図であって、図中、1は岸壁2に繋留されたコンテナ船であり、該コンテナ船1と岸壁2との間でコンテナクレーン3により吊荷としてのコンテナ4が荷役されるようになっている。
【0003】
図示するコンテナクレーン3においては、岸壁2に敷設された走行レール14上を転動する車輪15によって走行可能な脚部5の上方に、陸側に位置するガーダ6aと、海側に張り出すブーム6bとが設けられ、該ガーダ6aとブーム6bに沿ってトロリー7が、機械室11内の横行ドラム13によるロープ牽引方式により横行可能に設置されている。
【0004】
前記トロリー7には、コンテナ4を把持するための吊具としてのスプレッダ8がヘッドブロック9を介して巻上ロープ10により懸吊されており、該巻上ロープ10を機械室11内の巻上ドラム12により巻き上げたり巻き下げたりすることで前記スプレッダ8が昇降されるようになっている。
【0005】
そして、例えば、コンテナクレーン3を用いてコンテナ船1上からコンテナ4を荷揚げする場合には、コンテナ船1上に横行させたトロリー7からスプレッダ8を吊り降ろしてコンテナ4を把持せしめ、次いで、スプレッダ8を巻き上げてトロリー7を岸壁2上の吊り降ろし位置まで横行させ、その後、スプレッダ8を巻き下げてコンテナ4を岸壁2上の所定位置に吊り降ろすという一連の操作が行われることになる。
【0006】
一方、図24はビル等の構築物を建設する際に用いられる従来のクライミングクレーンの一例を示す概略図であって、クライミングクレーン50は、上方へマストブロック51aを順次継ぎ足し可能なマスト51の頂部に、昇降ユニット52を介して旋回体53を旋回自在に配置し、該旋回体53上にジブ54を起伏自在に取り付け、前記旋回体53に、後方へ延びるカウンタフレーム55を一体に設け、該カウンタフレーム55上に、吊荷用フック56を吊り下げるワイヤロープ57を巻上げ下げするための巻上装置58と、ジブ54の起伏用のワイヤロープ59を巻上げ下げするための起伏装置60とを設置してなる構成を有している。
【0007】
ところで、近年、日本各地において大きな地震が発生しており、なかでも、平成7年1月に発生した兵庫県南部地震の際には、工場や港湾施設において、クレーンの大きな被害が発生しており、又、近未来において、東海地震や関東地震の発生が心配されていることから、クレーンの耐震性を向上することが研究され、さまざまな制振構造や免震構造が開発されている。
【0008】
尚、最近のクライミングクレーンやタワークレーンにおいては、マストの基端部をバネ要素(積層ゴム等)で支持すると共に、全体の安定度を確保するために(前記バネ要素としての積層ゴム等に引張力を与えないようにするために)、非常に重いバラストを多く搭載することにより、免震を行うようにしたものがある。
【0009】
又、クレーンの制振構造の一例を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【特許文献1】特許第3565294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図23に示されるようなコンテナクレーン3や走行式ジブクレーン等のように背が高く且つ重心の高いクレーンの場合には、大きな地震が起こると、特に、クレーンの走行方向と直角な横行方向において、クレーンの脚部5が四股を踏むように左右交互に浮き上がる、いわゆるロッキング現象が発生し、浮き上がった側の脚部5が着地する際、元の位置に戻らずに少し内側にずれ、その結果、車輪15が走行レール14から離脱し、大掛かりな復旧作業が必要となることがあった。又、大地震発生時には、岸壁2におけるケーソン(図示せず)の移動に伴う走行レール14のスパンの広がりによる強制変位が発生し、クレーンの脚部5の股裂きを伴う脱輪や脚部5の座屈等が発生する虞もあった。
【0011】
一方、特許文献1に開示されているようなクレーンの制振構造は、地震が発生してクレーン自体がある程度揺れてから初めて効果が現れるものであり、長周期の地震の対応には優れているものの、大地震発生初期の対応が難しいという欠点を有していた。
【0012】
又、積層ゴム等を用いた免震構造の場合、大地震発生初期の対応には優れているものの、相対変位でおよそ500[mm]程度しか動かすことができず、コンテナクレーン3等に単に適用した場合、ロッキング現象の対応に無理があって、重心の移動量に限界があり、必ずしも充分であるとは言えなかった。
【0013】
更に又、今後の港湾法その他の法改正に伴い、大地震への対応はますます厳しくなっていくことは確実であり、コンテナクレーン3や走行式ジブクレーンのみならず、クライミングクレーン50やタワークレーンにおいても、大地震発生時にクレーンに作用する大きな外力を低減することは急務となっている。
【0014】
本発明は、斯かる実情に鑑み、大地震発生初期の対応に優れ且つ長周期の地震の対応にも優れ、大地震発生時にクレーンに作用する大きな外力を効率良く低減し得るクレーンの免震・制振複合装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、クレーンの支持脚部に、免震用水平方向変位吸収装置を設けると共に、クレーンの上部に、制振用マスダンパー装置を設けたことを特徴とするクレーンの免震・制振複合装置にかかるものである。
【0016】
前記クレーンの免震・制振複合装置においては、前記クレーンの支持脚部を、少なくとも片側二本ずつのレールとした走行レール上に走行車輪ユニットを介して走行可能となるよう立設し、片側のレール上に配置された走行車輪ユニットだけでも自立可能とすると共に、該走行車輪ユニットと前記支持脚部との連結部に水平方向変位吸収手段としての積層ゴム支承を介装することにより、前記免震用水平方向変位吸収装置を構成することができる。
【0017】
この場合、前記クレーンの前後方向へ作用する水平力が設定値を超えた際に、該クレーンの機械室をその前後方向へ移動可能となるよう配設することにより、前記制振用マスダンパー装置を構成することができる。
【0018】
又、前記クレーンの免震・制振複合装置においては、前記クレーンの支持脚部としてのマストの下端部に一体化されたマスト支持部材を、基礎となる固定設置部材に対し、マストの周方向に等間隔となる少なくとも三箇所以上の位置で且つマストの軸心からその半径方向へ等間隔となる位置において前記固定設置部材或いは前記マスト支持部材のいずれか一方を上下から挟み込むように配設される水平方向変位吸収手段を介して支持せしめ、前記マストに作用する荷重並びに転倒モーメントを前記水平方向変位吸収手段の圧縮で受けるよう構成し、前記上下に配設される水平方向変位吸収手段のうち、より大きな圧縮力が作用する上下いずれか一方の側の水平方向変位吸収手段を転がり支承又は滑り支承とし、該一方の側の水平方向変位吸収手段より小さな圧縮力が作用する上下いずれか他方の側の水平方向変位吸収手段を積層ゴム支承とすることにより、前記免震用水平方向変位吸収装置を構成することができる。
【0019】
この場合、前記クレーンの上部に設置されるカウンタフレーム下面に、該クレーンの前後方向へ揺動自在なスイング機構を配設し、該スイング機構に制振用ウエイトを設けることにより、前記制振用マスダンパー装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のクレーンの免震・制振複合装置によれば、大地震発生初期の対応に優れ且つ長周期の地震の対応にも優れ、大地震発生時にクレーンに作用する大きな外力を効率良く低減し得るという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0022】
図1〜図5は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図23と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図23に示す従来のコンテナクレーン3と同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図1〜図5に示す如く、コンテナクレーン3の支持脚部としての脚部5に、免震用水平方向変位吸収装置17を設けると共に、コンテナクレーン3の上部に、制振用マスダンパー装置30を設けた点にある。
【0023】
本図示例の場合、前記コンテナクレーン3の走行レール14を少なくとも片側二本ずつのレールとし、該各レール上に走行車輪ユニット16を介して脚部5を立設し、片側のレール上に配置された走行車輪ユニット16だけでも自立可能とすると共に、走行車輪ユニット16と脚部5との連結部に免震用水平方向変位吸収装置17を介装するようにしてある。
【0024】
前記走行車輪ユニット16は、脚部5を構成する四本の脚柱18の下端にそれぞれ、中ロッカービーム19を連結し、該中ロッカービーム19の走行レール14長手方向両端部にそれぞれ、走行レール14上方に配設される小ロッカービーム20を枢着し、該小ロッカービーム20にそれぞれ、前記走行レール14上を走行可能な二個ずつの走行車輪21を配設してなる構成を有している。尚、前記走行車輪ユニット16には、走行車輪21を回転駆動するためのモータ等の駆動装置22を装備してある。
【0025】
又、前記免震用水平方向変位吸収装置17は、水平方向変位吸収手段としての積層ゴム支承27によって構成してある。前記積層ゴム支承27は、多数のゴム板と鋼板とを交互に積層した積層ゴム本体27aを、上フランジ27bと下フランジ27cとで挟持してなる構成を有しており、走行車輪ユニット16の中ロッカービーム19の上面に凹設した円形の凹溝24内に、前記積層ゴム支承27の下フランジ27cを固定すると共に、脚柱18下端に連結された脚座部材26の底面に、前記積層ゴム支承27の上フランジ27bを固定するようにしてある。
【0026】
一方、前記制振用マスダンパー装置30は、機械室11自体を制振用のマスとして利用するものであって、図4に示す如く、機械室11の下部に、ガーダ6a上に敷設されたガイドレール31上を転動自在なガイド車輪32を設け、機械室11の一端をガーダ6aに固定された支持部材33に緩衝ブロック35を介して接合し、機械室11の他端をガーダ6aに固定された支持部材34に緩衝ブロック35を介して接合してなる構成を有している。
【0027】
又、前記緩衝ブロック35は、図5に示す如く、所要間隔をあけて対向配置される端板36間に、バネ37及びダンパ38を並列に掛け渡すよう配置すると共に、連結部材39を掛け渡すように設けて、該連結部材39と端板36とを、地震による水平力が設定値(例えば、0.2G)を超え且つガーダ6aの長手方向へ作用した場合に破断する破断ピン40を介してつないでなる構成を有しており、前記端板36の一方を前記機械室11側に固着し、前記端板36の他方を前記支持部材33,34側に固着するようにしてある。
【0028】
次に、上記図1〜図5に示す例の作用を説明する。
【0029】
図1〜図5に示す例の如く構成すると、大地震が起こったとしても、その発生初期段階には、前記走行車輪ユニット16の中ロッカービーム19の凹溝24と、脚座部材26との間に介装された免震用水平方向変位吸収装置17の水平方向変位吸収手段としての積層ゴム支承27によって、地震の揺れが効率良く吸収される。
【0030】
そして、地震が発生してコンテナクレーン3自体がある程度揺れ始めた次の段階において、地震による水平力が設定値(例えば、0.2G)以下のときは、破断ピン40は破断せず、制振用マスダンパー装置30としての機械室11はガーダ6aと一体となって振動するが、コンテナクレーン3は構造上、この水平力に耐えられるようになっているので特に問題はない。更に揺れが強まり地震による水平力が設定値(例えば、0.2G)を超え且つガーダ6aの長手方向へ作用した場合、前記破断ピン40が破断し連結部材39が外れ、端板36間のバネ37とダンパ38が動作するようになる。このとき、機械室11はガーダ6a側からの拘束力がなくなり殆ど移動しなくなるが、ガーダ6aは地震による水平力により水平方向へ激しく揺れる。これをガーダ6a側から見れば、機械室11はガイド車輪32を介してガイドレール31上をバネ37とダンパ38の許容範囲内で相対的にガーダ6aの揺れと反対方向に動き、バネ37とダンパ38はこの相対運動を吸収するように働くので、コンテナクレーン3の振動が吸収されて減衰される。
【0031】
しかも、本図示例の場合、少なくとも片側二本ずつの走行レール14上に走行車輪ユニット16を介して脚部5が立設され、片側のレール上に配置された走行車輪ユニット16だけでも自立可能となっていることから、コンテナクレーン3の安定性が高まっている。
【0032】
この結果、大地震発生初期の対応が前記免震用水平方向変位吸収装置17によって可能となると共に、長周期の地震の対応が前記制振用マスダンパー装置30によってなされるため、いかなる地震が発生しても、コンテナクレーン3の走行方向と直角な横行方向において、コンテナクレーン3の脚部5が四股を踏むように左右交互に浮き上がる、いわゆるロッキング現象が発生しにくくなり、走行車輪ユニット16の走行車輪21が走行レール14から離脱することが回避される一方、大地震発生時に、岸壁2におけるケーソン(図示せず)の移動に伴う走行レール14のスパンの広がりによる強制変位が発生したとしても、コンテナクレーン3の脚部5の股裂きを伴う脱輪や脚部5の座屈等が発生する心配もなくなる。
【0033】
こうして、簡単な構造で、大地震発生初期の対応に優れ且つ長周期の地震の対応にも優れ、コンテナクレーン3の安定性を高めつつ大地震発生時に該コンテナクレーン3に作用する大きな外力を効率良く低減し得、ロッキング現象の発生に伴う脱輪、並びに走行レール14のスパンの広がりによる脚部5の股裂きを伴う脱輪や脚部5の座屈等を防止し得る。
【0034】
図6〜図16は本発明を実施する形態の第二例であって、図中、図24と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図24に示す従来のクライミングクレーン50と同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図6〜図16に示す如く、クライミングクレーン50の支持脚部としてのマスト51の基端に、免震用水平方向変位吸収装置17を設けると共に、クライミングクレーン50の上部に、制振用マスダンパー装置30を設けた点にある。
【0035】
本図示例の場合、図7〜図10に示す如く、マスト51下端部からその半径方向へ放射状に張り出す四個のベースブロック61を、マスト51の下端部に一体化されるマスト支持部材とし、
該マスト支持部材としての各ベースブロック61の下方位置に固定設置される基礎フレーム62と、前記各ベースブロック61が挿入配置されるよう前記基礎フレーム62上に門形に立設される門形フレーム63とを、基礎となる固定設置部材とし、
該固定設置部材としての基礎フレーム62と門形フレーム63とに対しマスト支持部材としてのベースブロック61を、マスト51の軸心O(図8参照)からその半径方向へ等間隔となる位置において前記ベースブロック61を上下から挟み込むように配設される水平方向変位吸収手段としての積層ゴム支承64と転がり支承65又は滑り支承66とを介して支持せしめ、
前記マスト51に作用する荷重並びに転倒モーメントを前記水平方向変位吸収手段の圧縮で受けるよう構成し、
前記上下に配設される水平方向変位吸収手段のうち、より大きな圧縮力が作用する下側の水平方向変位吸収手段を転がり支承65又は滑り支承66とし、該下側の水平方向変位吸収手段より小さな圧縮力が作用する上側の水平方向変位吸収手段を積層ゴム支承64とし、これにより、前記免震用水平方向変位吸収装置17を構成してある。
【0036】
因みに、図9に示す如く、クライミングクレーン50の自重をW、転倒モーメントをM、支承間スパンをLとすると、前記ベースブロック61の下側に配設される転がり支承65又は滑り支承66に作用する圧縮力P1は、
P1=W/4+M/L
となり、前記ベースブロック61の上側に配設される積層ゴム支承64に作用する圧縮力P2は、
P2=−W/4+M/L
となり、
P1>P2
となる。
【0037】
前記免震用水平方向変位吸収装置17の水平方向変位吸収手段としての積層ゴム支承64は、図9に示す如く、多数のゴム板と鋼板とを交互に積層した積層ゴム本体64aを、上フランジ64bと下フランジ64cとで挟持してなる構成を有しており、前記マスト支持部材としてのベースブロック61の上面に、前記積層ゴム支承64の下フランジ64cを固定すると共に、前記固定設置部材としての門形フレーム63の内部上面に、前記積層ゴム支承64の上フランジ64bを固定するようにしてある。
【0038】
前記免震用水平方向変位吸収装置17の水平方向変位吸収手段としての転がり支承65は、図11に示す如く、下フランジプレート67表面に下ガイドレール68を取り付け、該下ガイドレール68に対し、リニアボールベアリングを介して下ガイドブロック69をスライド自在に嵌装すると共に、上フランジプレート70表面に、前記下ガイドレール68と直交する方向へ延びる上ガイドレール71を取り付け、該上ガイドレール71に対し、リニアボールベアリングを介して上ガイドブロック72をスライド自在に嵌装し、前記下ガイドブロック69と上ガイドブロック72の背面同士を、ゴムシム等の緩衝材73を介して一体に固着してなる構成を有しており、前記下フランジプレート67を前記固定設置部材としての基礎フレーム62上面に固定すると共に、前記上フランジプレート70を前記マスト支持部材としてのベースブロック61下面に固定するようにしてある。
【0039】
又、前記免震用水平方向変位吸収装置17の水平方向変位吸収手段としての滑り支承66は、図12に示す如く、鋼板からなる下フランジプレート74の表面に、樹脂コーティング層75が形成されたステンレス板76を一体化して支持材77を形成すると共に、鋼板からなる上フランジプレート78の表面に、フッ素樹脂層79が形成された鋼板80を天然ゴムシート等の振動吸収材81を介して一体化することにより滑り材82を形成し、前記支持材77上に滑り材82を、前記樹脂コーティング層75とフッ素樹脂層79とが当接するよう載置してなる構成を有しており、前記下フランジプレート74を前記固定設置部材としての基礎フレーム62上面に取り付けると共に、前記上フランジプレート78を前記マスト支持部材としてのベースブロック61下面に取り付けるようにしてある。
【0040】
尚、前記門形フレーム63はそれぞれ、図7に示す如く、基礎フレーム62上にピン83によって取り付けてあり、互いに隣接する門形フレーム63間はそれぞれ、連結アーム84によって連結してある。
【0041】
一方、前記制振用マスダンパー装置30は、図13〜図16に示す如く、前記クライミングクレーン50のカウンタフレーム55下面に、該クライミングクレーン50の前後方向へ揺動自在なスイング機構85を配設し、該スイング機構85に制振用ウエイト86を設け、更に、前記スイング機構85をクライミングクレーン50の前後方向へ強制駆動可能な制振駆動装置87を設けてなる構成を有している。
【0042】
前記スイング機構85は、前記クライミングクレーン50のカウンタフレーム55下面に、クライミングクレーン50の前後方向(図13の左右方向)へ水平に延びる一対の支持部材88,88を、クライミングクレーン50の幅方向(図13の図面に対して直交する方向)へ所要間隔をあけて配置し、前記各支持部材88,88の上面側に、クライミングクレーン50の幅方向へ延びる一対の軸89a,89bをクライミングクレーン50の前後方向へ所要間隔をあけて軸受90により回転自在に支持せしめ、該各軸89a,89bの長手方向の両端部付近に、夫々上下方向に延びる揺動アーム91a,91b及び91c,91dの上端を軸89a,89bと一体に回転し得るように固着し、前記各揺動アーム91a,91b及び91c,91dの下端部に、中央部に開口部92(図15参照)が穿設された揺動フレーム93をピン94を介して水平に吊り下げ支持し、更に、前記一方の揺動アーム91a,91bと他方の揺動アーム91c,91dとの間に伸縮自在なダンパ95,95を掛け渡すように配設してなる構成を有しており、前記揺動フレーム93上に前記制振用ウエイト86を搭載してある。
【0043】
前記制振駆動装置87は、前記支持部材88,88の下面から支柱96を垂下させ、該支柱96の下端部に、前記揺動フレーム93と所要間隔をあけて略水平に配設される固定フレーム97を取り付け、該固定フレーム97の幅方向(図13の図面に対して直交する方向)の略中央部に、断面コの字形状で且つクライミングクレーン50の前後方向へ延びる一対のガイドフレーム98を、断面コの字形状の開放端が互いに対向するよう配設すると共に、該各ガイドフレーム98の一端部を固定フレーム97に設けられたブラケット99にピン100を介して揺動自在に枢支せしめ、前記対向配置されるガイドフレーム98の内側に、所要長さを有するラック101を、その歯面が下向きとなるよう摺動自在に嵌入し、該ラック101の反歯面側の略中央部に係合片102を上方へ向けて突設し、該係合片102を前記揺動フレーム93に穿設された開口部92に挿通し、該開口部92の縁部における揺動フレーム93上面に、前記係合片102の側面が上下方向へ摺動自在に当接する受部材103を設け、前記固定フレーム97上に、サーボモータ104によりカップリング105及び減速機106を介して回転駆動される駆動軸107を前記ラック101と直交する方向へ延びるよう軸受108を介して回転自在に配置し、該駆動軸107に嵌着されたピニオン109を前記ラック101に噛合させてなる構成を有している。尚、前記制振駆動装置87は、クライミングクレーン50の振動の加速度、揺動フレーム93の変位並びに速度を検出器(図示せず)によって検出し、該検出器の出力信号に基づいて所定の演算処理を行い、その演算結果に基づいて制御装置(図示せず)から前記サーボモータ104に対して駆動指令を与え、ピニオン109を回転駆動させることによって、前記制振用ウエイト86が搭載された揺動フレーム93をクライミングクレーン50の振動方向と反対方向へ揺動させるようにしてあるが、停電時等においては、前記サーボモータ104をフリーとすることにより、前記揺動フレーム93を振り子のように自然に振らせて受動式の制振効果が得られるようにしてある。
【0044】
次に、上記図6〜図16に示す例の作用を説明する。
【0045】
図6〜図16に示す例の如く構成すると、クライミングクレーン50のマスト51に対し単なる鉛直下方への荷重が作用している状態では、免震用水平方向変位吸収装置17におけるマスト支持部材としての各ベースブロック61の下側に配設された四個の水平方向変位吸収手段としての転がり支承65又は滑り支承66が圧縮され、これにより、前記鉛直下方への荷重が支持される。
【0046】
一方、大地震の発生初期段階において、クライミングクレーン50のマスト51が水平方向へ横変位した場合には、該マスト51の転倒側のベースブロック61の下側に配設された前記転がり支承65又は滑り支承66が圧縮されると共に、前記マスト51の反転倒側のベースブロック61の上側に配設された免震用水平方向変位吸収装置17における水平方向変位吸収手段としての積層ゴム支承64が圧縮され、これにより、水平方向変位吸収手段としての転がり支承65又は滑り支承66と積層ゴム支承64とに引張力を全く作用させずに、地震の揺れを効率良く吸収することが可能となる。
【0047】
尚、前記免震用水平方向変位吸収装置17における水平方向変位吸収手段としての転がり支承65又は滑り支承66や積層ゴム支承64は引張力を支持することはできないが、本図示例の如き構造を採用することにより、どのような方向へ荷重や転倒モーメントが作用したとしても、その力を常に転がり支承65又は滑り支承66や積層ゴム支承64の圧縮によって受けることが可能となっている。
【0048】
しかも、前記水平方向変位吸収手段のうち、より大きな圧縮力が作用する下側の水平方向変位吸収手段を転がり支承65又は滑り支承66とし、該下側の水平方向変位吸収手段より小さな圧縮力が作用する上側の水平方向変位吸収手段を積層ゴム支承64としたことにより、全体の高さが高くなりすぎず、装置の大型化が避けられる。
【0049】
そして、地震が発生してクライミングクレーン50自体がある程度揺れ始めた次の段階においては、制振用マスダンパー装置30の検出器(図示せず)によってクライミングクレーン50の振動の加速度、揺動フレーム93の変位、揺動フレーム93の速度が検出され、該検出器の出力信号に基づいて制御装置(図示せず)により所定の演算処理が行われ、その演算結果に基づいてサーボモータ104に対して駆動指令が与えられ、ピニオン109を回転駆動させることによって、前記制振用ウエイト86が搭載された揺動フレーム93がクライミングクレーン50の振動方向と反対方向へ揺動し、前記水平力によるクライミングクレーン50の振動エネルギーが揺動フレーム93を連結するダンパ95の伸縮動作で吸収されてクライミングクレーン50の制振が行われる。
【0050】
尚、前記ダンパ95の両端部の揺動アーム91a,91b及び91c,91dに対する取付位置を変えてダンパ95の傾斜角度を変更し、該ダンパ95の伸縮量を変更することにより、揺動フレーム93の揺動の固有周期を調整し、制振用マスダンパー装置30の固有振動数を確実にクライミングクレーン50の固有振動数と一致するように調整することができる。又、停電時等においては、前記サーボモータ104をフリーとすることにより、前記揺動フレーム93を振り子のように自然に振らせて受動式の制振効果を得ることも可能となっている。
【0051】
この結果、大地震発生初期の対応が前記免震用水平方向変位吸収装置17によって可能となると共に、長周期の地震の対応が前記制振用マスダンパー装置30によってなされるため、いかなる地震が発生しても、クライミングクレーン50の倒壊等が発生する心配がなくなる。
【0052】
こうして、簡単な構造で且つバラスト等を一切搭載せずに、大地震発生初期の対応に優れ且つ長周期の地震の対応にも優れ、クライミングクレーン50の安定性を高めつつ大地震発生時に該クライミングクレーン50に作用する大きな外力を効率良く低減し得、クライミングクレーン50の倒壊等を防止し得、更に全体の高さ寸法を抑えてコンパクト化を図り得る。
【0053】
図17〜図20は本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置17の変形例であって、図中、図7〜図10と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、
固定設置される固定設置部材としての架台梁110に、該架台梁110を上下から挟み込むように配設される複数組(図の例では四組で合計八個)の水平方向変位吸収手段としての転がり支承65又は滑り支承66と積層ゴム支承64とを介して、マスト支持部材としてのベースフレーム111を支持せしめ、
該ベースフレーム111上にマスト51を、該マスト51の軸心Oと、前記各組の転がり支承65又は滑り支承66及び積層ゴム支承64の配設位置との間隔が等しくなるよう立設し、
前記マスト51に作用する荷重並びに転倒モーメントを前記水平方向変位吸収手段の圧縮で受けるよう構成し、
前記上下に配設される水平方向変位吸収手段のうち、より大きな圧縮力が作用する上側の水平方向変位吸収手段を転がり支承65又は滑り支承66とし、該上側の水平方向変位吸収手段より小さな圧縮力が作用する下側の水平方向変位吸収手段を積層ゴム支承64としたものである。
【0054】
図17〜図20に示す例の場合、図19に示す如く、クライミングクレーン50の自重をW、転倒モーメントをM、支承間スパンをLとすると、前記架台梁110の上側に配設される転がり支承65又は滑り支承66に作用する圧縮力P1は、
P1=W/4+M/L
となり、前記架台梁110の下側に配設される積層ゴム支承64に作用する圧縮力P2は、
P2=−W/4+M/L
となり、
P1>P2
となる。
【0055】
図17〜図20に示す例の場合、前記固定設置部材としての架台梁110は、十字状に組んだ梁によって構成し、基礎フレーム62上に固定設置するようにしてある。
【0056】
前記マスト支持部材としてのベースフレーム111は、前記マスト51を支持する円筒状の本体部111aと、該本体部111aの外周面からその円周方向へ90°ずつ位相を変えて放射状に張り出す四個の中空のアームブロック部111bとを備え、該ベースフレーム111の内部を前記架台梁110が貫通して、その先端部が各アームブロック部111bの開口端から突出するようにしてある。
【0057】
前記免震用水平方向変位吸収装置17の水平方向変位吸収手段としての積層ゴム支承64は、図19に示す如く、前記固定設置部材としての架台梁110の下面に、上フランジ64bを固定すると共に、前記マスト支持部材としてのベースフレーム111のアームブロック部111bの内部下面に、下フランジ64cを固定するようにしてある。
【0058】
前記免震用水平方向変位吸収装置17の水平方向変位吸収手段としての転がり支承65は、図11に示す前述と同様の構成を有しており、前記下フランジプレート67を前記固定設置部材としての架台梁110上面に固定すると共に、前記上フランジプレート70を前記マスト支持部材としてのベースフレーム111のアームブロック部111bの内部上面に固定するようにしてある。
【0059】
又、前記免震用水平方向変位吸収装置17の水平方向変位吸収手段としての滑り支承66は、図12に示す前述と同様の構成を有しており、前記下フランジプレート74を前記固定設置部材としての架台梁110上面に取り付けると共に、前記上フランジプレート78を前記マスト支持部材としてのベースフレーム111のアームブロック部111bの内部上面に取り付けるようにしてある。
【0060】
上記図17〜図20に示す例の如く構成すると、クライミングクレーン50のマスト51に対し単なる鉛直下方への荷重が作用している状態では、固定設置部材としての架台梁110の上側に配設された四個の水平方向変位吸収手段としての転がり支承65又は滑り支承66が圧縮され、これにより、前記鉛直下方への荷重が支持される。
【0061】
一方、大地震の発生初期段階において、マスト支持部材としてのベースフレーム111上に立設されたクライミングクレーン50のマスト51が水平方向へ横変位した場合には、該マスト51の転倒側の架台梁110の上側に配設された転がり支承65又は滑り支承66が圧縮されると共に、前記マスト51の反転倒側の架台梁110の下側に配設された積層ゴム支承64が圧縮され、これにより、水平方向変位吸収手段としての転がり支承65又は滑り支承66と積層ゴム支承64とに引張力を全く作用させずに、地震の揺れを効率良く吸収することが可能となる。
【0062】
尚、前記水平方向変位吸収手段としての転がり支承65又は滑り支承66や積層ゴム支承64は引張力を支持することはできないが、図17〜図20に示す例の如き構造を採用することにより、どのような方向へ荷重や転倒モーメントが作用したとしても、その力を常に転がり支承65又は滑り支承66や積層ゴム支承64の圧縮によって受けることが可能となっている。
【0063】
しかも、前記水平方向変位吸収手段のうち、より大きな圧縮力が作用する上側の水平方向変位吸収手段を転がり支承65又は滑り支承66とし、該上側の水平方向変位吸収手段より小さな圧縮力が作用する下側の水平方向変位吸収手段を積層ゴム支承64としたことにより、全体の高さが高くなりすぎず、装置の大型化が避けられる。
【0064】
そして、地震が発生してクライミングクレーン50自体がある程度揺れ始めた次の段階においては、図13〜図16に示す制振用マスダンパー装置30の前述と同様の作動により、クライミングクレーン50の制振が行われる。
【0065】
この結果、大地震発生初期の対応が前記免震用水平方向変位吸収装置17(図17〜図20参照)によって可能となると共に、長周期の地震の対応が前記制振用マスダンパー装置30(図13〜図16参照)によってなされるため、いかなる地震が発生しても、クライミングクレーン50の倒壊等が発生する心配がなくなる。
【0066】
こうして、図17〜図20に示す免震用水平方向変位吸収装置17を用いた例の場合も、図7〜図10に示す免震用水平方向変位吸収装置17を用い且つ図13〜図16に示す制振用マスダンパー装置30を用いた例の場合と同様、簡単な構造で且つバラスト等を一切搭載せずに、大地震発生初期の対応に優れ且つ長周期の地震の対応にも優れ、クライミングクレーン50の安定性を高めつつ大地震発生時に該クライミングクレーン50に作用する大きな外力を効率良く低減し得、クライミングクレーン50の倒壊等を防止し得、更に全体の高さ寸法を抑えてコンパクト化を図り得る。
【0067】
図21及び図22は本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置17の他の変形例であって、図中、図17〜図20と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図17〜図20に示すものと同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図21及び図22に示す如く、
二本の梁を水平方向へ所要間隔をあけて平行に配置することにより、固定設置部材としての架台梁110を構成する一方、
マスト支持部材としてのベースフレーム111を中空の箱状体とし、前記平行配置される二本の梁からなる架台梁110が前記ベースフレーム111の内部を貫通し、その各梁の両端部が前記ベースフレーム111の両側面から突出して基礎フレーム62上に固定配置されるようにし、
前記架台梁110に、該架台梁110を上下から挟み込むように配設される複数組(図の例では四組で合計八個)の水平方向変位吸収手段としての転がり支承65又は滑り支承66と積層ゴム支承64とを介して、マスト支持部材としてのベースフレーム111を支持せしめ、
該ベースフレーム111上にマスト51を、該マスト51の軸心Oと、前記各組の転がり支承65又は滑り支承66及び積層ゴム支承64の配設位置との間隔が等しくなるよう立設し、
前記マスト51に作用する荷重並びに転倒モーメントを前記水平方向変位吸収手段の圧縮で受けるよう構成し、
前記上下に配設される水平方向変位吸収手段のうち、より大きな圧縮力が作用する上側の水平方向変位吸収手段を転がり支承65又は滑り支承66とし、該上側の水平方向変位吸収手段より小さな圧縮力が作用する下側の水平方向変位吸収手段を積層ゴム支承64とした点にある。
【0068】
図21及び図22に示す例においても、クライミングクレーン50のマスト51に対し単なる鉛直下方への荷重が作用している状態では、固定設置部材としての架台梁110の上側に配設された四個の水平方向変位吸収手段としての転がり支承65又は滑り支承66が圧縮され、これにより、前記鉛直下方への荷重が支持される。
【0069】
一方、大地震の発生初期段階において、マスト支持部材としてのベースフレーム111上に立設されたクライミングクレーン50のマスト51が水平方向へ横変位した場合には、該マスト51の転倒側の架台梁110の上側に配設された転がり支承65又は滑り支承66が圧縮されると共に、前記マスト51の反転倒側の架台梁110の下側に配設された積層ゴム支承64が圧縮され、これにより、水平方向変位吸収手段としての転がり支承65又は滑り支承66と積層ゴム支承64とに引張力を全く作用させずに、地震の揺れを効率良く吸収することが可能となる。
【0070】
尚、前記水平方向変位吸収手段としての転がり支承65又は滑り支承66や積層ゴム支承64は引張力を支持することはできないが、図21及び図22に示す例の如き構造を採用することにより、どのような方向へ荷重や転倒モーメントが作用したとしても、その力を常に転がり支承65又は滑り支承66や積層ゴム支承64の圧縮によって受けることが可能となっている。
【0071】
しかも、前記水平方向変位吸収手段のうち、より大きな圧縮力が作用する上側の水平方向変位吸収手段を転がり支承65又は滑り支承66とし、該上側の水平方向変位吸収手段より小さな圧縮力が作用する下側の水平方向変位吸収手段を積層ゴム支承64としたことにより、全体の高さが高くなりすぎず、装置の大型化が避けられる。
【0072】
そして、地震が発生してクライミングクレーン50自体がある程度揺れ始めた次の段階においては、図13〜図16に示す制振用マスダンパー装置30の前述と同様の作動により、クライミングクレーン50の制振が行われる。
【0073】
この結果、大地震発生初期の対応が前記免震用水平方向変位吸収装置17(図21及び図22参照)によって可能となると共に、長周期の地震の対応が前記制振用マスダンパー装置30(図13〜図16参照)によってなされるため、いかなる地震が発生しても、クライミングクレーン50の倒壊等が発生する心配がなくなる。
【0074】
こうして、図21及び図22に示す免震用水平方向変位吸収装置17を用いた例の場合も、図7〜図10に示す免震用水平方向変位吸収装置17を用い且つ図13〜図16に示す制振用マスダンパー装置30を用いた例、或いは図17〜図20に示す免震用水平方向変位吸収装置17を用い且つ図13〜図16に示す制振用マスダンパー装置30を用いた例の場合と同様、簡単な構造で且つバラスト等を一切搭載せずに、大地震発生初期の対応に優れ且つ長周期の地震の対応にも優れ、クライミングクレーン50の安定性を高めつつ大地震発生時に該クライミングクレーン50に作用する大きな外力を効率良く低減し得、クライミングクレーン50の倒壊等を防止し得、更に全体の高さ寸法を抑えてコンパクト化を図り得る。
【0075】
尚、本発明のクレーンの免震・制振複合装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、図13〜図16に示す制振用マスダンパー装置30を図1に示すコンテナクレーン3に適用しても良いこと等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明を実施する形態の第一例を示す全体概要斜視図である。
【図2】本発明を実施する形態の第一例における免震用水平方向変位吸収装置を示す要部拡大平面図であって、図1のII部相当図である。
【図3】本発明を実施する形態の第一例における免震用水平方向変位吸収装置を示す要部拡大側面図であって、図2のIII−III矢視相当図である。
【図4】本発明を実施する形態の第一例における制振用マスダンパー装置としての機械室の支持構造を示す側面図である。
【図5】本発明を実施する形態の第一例における制振用マスダンパー装置としての機械室を支持する緩衝ブロックを示す拡大図である。
【図6】本発明を実施する形態の第二例を示す全体概要構成図である。
【図7】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置を示す斜視図である。
【図8】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置を示す平面図である。
【図9】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置を示す側断面図であって、図8のIX−IX断面相当図である。
【図10】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置を示す側面図であって、図8のX−X矢視相当図である。
【図11】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置の水平方向変位吸収手段としての転がり支承を示す図であって、(a)は平面図、(b)は図11(a)のb−b矢視相当図、(c)は図11(a)のc−c矢視相当図である。
【図12】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置の水平方向変位吸収手段としての滑り支承を示す側面図である。
【図13】本発明を実施する形態の第二例における制振用マスダンパー装置を示す側面図である。
【図14】本発明を実施する形態の第二例における制振用マスダンパー装置を示す正面図であって、図13のXIV−XIV矢視相当図である。
【図15】本発明を実施する形態の第二例における制振用マスダンパー装置を示す平面図であって、図13のXV−XV矢視相当図である。
【図16】本発明を実施する形態の第二例における制振用マスダンパー装置を示す平面図であって、図13のXVI−XVI矢視相当図である。
【図17】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置の変形例を示す斜視図である。
【図18】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置の変形例を示す平面図である。
【図19】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置の変形例を示す側断面図であって、図18のXIX−XIX断面相当図である。
【図20】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置の変形例を示す側面図であって、図18のXX−XX矢視相当図である。
【図21】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置の他の変形例を示す平面図である。
【図22】本発明を実施する形態の第二例における免震用水平方向変位吸収装置の他の変形例を示す側面図であって、図21のXXII−XXII矢視相当図である。
【図23】従来における一般的なコンテナクレーンの一例を示す全体概要構成図である。
【図24】従来における一般的なクライミングクレーンの一例を示す全体概要構成図である。
【符号の説明】
【0077】
3 コンテナクレーン(クレーン)
5 脚部(支持脚部)
6a ガーダ
6b ブーム
11 機械室
14 走行レール
16 走行車輪ユニット
17 免震用水平方向変位吸収装置
21 走行車輪
27 積層ゴム支承(水平方向変位吸収手段)
27a 積層ゴム本体
27b 上フランジ
27c 下フランジ
30 制振用マスダンパー装置
31 ガイドレール
32 ガイド車輪
33 支持部材
34 支持部材
35 緩衝ブロック
36 端板
37 バネ
38 ダンパ
39 連結部材
40 破断ピン
50 クライミングクレーン(クレーン)
51 マスト(支持脚部)
53 旋回体
54 ジブ
55 カウンタフレーム
61 ベースブロック(マスト支持部材)
62 基礎フレーム(固定設置部材)
63 門形フレーム(固定設置部材)
64 積層ゴム支承(水平方向変位吸収手段)
64a 積層ゴム本体
64b 上フランジ
64c 下フランジ
65 転がり支承(水平方向変位吸収手段)
66 滑り支承(水平方向変位吸収手段)
85 スイング機構
86 制振用ウエイト
87 制振駆動装置
88 支持部材
91a 揺動アーム
91b 揺動アーム
91c 揺動アーム
91d 揺動アーム
93 揺動フレーム
95 ダンパ
96 支柱
101 ラック
104 サーボモータ
109 ピニオン
110 架台梁(固定設置部材)
111 ベースフレーム(マスト支持部材)
111a 本体部
111b アームブロック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンの支持脚部に、免震用水平方向変位吸収装置を設けると共に、クレーンの上部に、制振用マスダンパー装置を設けたことを特徴とするクレーンの免震・制振複合装置。
【請求項2】
前記クレーンの支持脚部を、少なくとも片側二本ずつのレールとした走行レール上に走行車輪ユニットを介して走行可能となるよう立設し、片側のレール上に配置された走行車輪ユニットだけでも自立可能とすると共に、該走行車輪ユニットと前記支持脚部との連結部に水平方向変位吸収手段としての積層ゴム支承を介装することにより、前記免震用水平方向変位吸収装置を構成した請求項1記載のクレーンの免震・制振複合装置。
【請求項3】
前記クレーンの前後方向へ作用する水平力が設定値を超えた際に、該クレーンの機械室をその前後方向へ移動可能となるよう配設することにより、前記制振用マスダンパー装置を構成した請求項2記載のクレーンの免震・制振複合装置。
【請求項4】
前記クレーンの支持脚部としてのマストの下端部に一体化されたマスト支持部材を、基礎となる固定設置部材に対し、マストの周方向に等間隔となる少なくとも三箇所以上の位置で且つマストの軸心からその半径方向へ等間隔となる位置において前記固定設置部材或いは前記マスト支持部材のいずれか一方を上下から挟み込むように配設される水平方向変位吸収手段を介して支持せしめ、前記マストに作用する荷重並びに転倒モーメントを前記水平方向変位吸収手段の圧縮で受けるよう構成し、前記上下に配設される水平方向変位吸収手段のうち、より大きな圧縮力が作用する上下いずれか一方の側の水平方向変位吸収手段を転がり支承又は滑り支承とし、該一方の側の水平方向変位吸収手段より小さな圧縮力が作用する上下いずれか他方の側の水平方向変位吸収手段を積層ゴム支承とすることにより、前記免震用水平方向変位吸収装置を構成した請求項1記載のクレーンの免震・制振複合装置。
【請求項5】
前記クレーンの上部に設置されるカウンタフレーム下面に、該クレーンの前後方向へ揺動自在なスイング機構を配設し、該スイング機構に制振用ウエイトを設けることにより、前記制振用マスダンパー装置を構成した請求項4記載のクレーンの免震・制振複合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−242062(P2009−242062A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91046(P2008−91046)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000198363)石川島運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】