クレーン用アクセル開度変換装置
【課題】アクセル開度を変換することによりクレーンの燃費を低減するクレーン用アクセル開度変換装置を提供する。
【解決手段】アクセルペダルから入力されるアクセル入力開度と、エンジンコントロールユニットに出力するアクセル出力開度との関係を定めるアクセル開度特性を記憶する記憶手段30と、アクセル開度特性に従って、アクセル入力開度をアクセル出力開度に変換する変換手段20と備える。オペレータがアクセルペダルを踏みすぎても、エンジン回転数を低くすることができ、クレーンの燃費を低減できる。
【解決手段】アクセルペダルから入力されるアクセル入力開度と、エンジンコントロールユニットに出力するアクセル出力開度との関係を定めるアクセル開度特性を記憶する記憶手段30と、アクセル開度特性に従って、アクセル入力開度をアクセル出力開度に変換する変換手段20と備える。オペレータがアクセルペダルを踏みすぎても、エンジン回転数を低くすることができ、クレーンの燃費を低減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン用アクセル開度変換装置に関する。さらに詳しくは、エンジン回転数を低くしてクレーンの燃費を低減するクレーン用アクセル開度変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、一般的なクレーンは、エンジン110と、エンジン110の動力により駆動される油圧ポンプ120と、その油圧ポンプ120と油圧回路で接続された複数の油圧シリンダ121および油圧モータ122を備えている。そして、油圧シリンダ121の動作で、例えばブームを伸縮・起伏させたり、アウトリガを伸縮させたりすることができる。また、油圧モータ122の動作で、例えばウインチを巻き上げ・巻き下げしたり、旋回体を旋回させたりすることができる。
エンジン110は、燃料タンク111とインジェクタ112を介して接続されており、インジェクタ112は、クレーンの運転室に設けられたアクセルペダル130と、エンジンコントロールユニット131を介して接続されている。そのため、オペレータがアクセルペダル130を踏めば、アクセルペダル130に設けられたセンサがアクセル開度を検知し、エンジンコントロールユニット131がそのアクセル開度をもとにインジェクタ112を開け、エンジン111の回転数が上がる。
以上のような構成であるから、基本的には、オペレータがアクセルペダル130を踏めば、エンジン回転数が上がり、油圧ポンプの回転数が上がり、クレーンの各部の動作速度が上がる。また、オペレータがアクセルペダル130を緩めれば、エンジン回転数が下がり、油圧ポンプの回転数が下がり、クレーンの各部の動作速度が下がる。
【0003】
ところで、一般的なクレーンは、エンジン回転数を下げた方が、燃費を低減させることができる。特に、ブーム起伏下げやブーム縮小等のシリンダ縮小作業ではエンジン回転数を上げてもある一定以上速度は上がらないため、エンジン回転数を上げることにより燃料の無駄が大きくなる。これは、シリンダ縮小動作時の自重落下を防ぎオペレータのコントロール下におく等の目的で、油圧回路にカウンタバランスバルブ140が設けられており(図10参照)、作業速度が上がらないようになっているからである(非特許文献1)。
そのため、従来のクレーンは、オペレータの操作の仕方によって燃費が大きく左右されるという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】不二越油圧研究グループ著、「新版 知りたい油圧/応用編」ジャパンマシニスト社、1990年9月20日発行、p.145〜146
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、アクセル開度を変換することによりクレーンの燃費を低減するクレーン用アクセル開度変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明のクレーン用アクセル開度変換装置は、クレーンのアクセルペダルと、エンジンコントロールユニットとを接続するクレーン用アクセル開度変換装置であって、前記アクセルペダルから入力されるアクセル入力開度と、前記エンジンコントロールユニットに出力するアクセル出力開度との関係を定めるアクセル開度特性を記憶する記憶手段と、前記アクセル開度特性に従って、前記アクセル入力開度を前記アクセル出力開度に変換する変換手段と備えることを特徴とする。
第2発明のクレーン用アクセル開度変換装置は、第1発明において、前記記憶手段は、複数の前記アクセル開度特性を記憶するものであり、前記変換手段に前記複数のアクセル開度特性の内の一を指定する指定手段を備えることを特徴とする。
第3発明のクレーン用アクセル開度変換装置は、第2発明において、前記指定手段は、前記複数のアクセル開度特性の内の一を選択する選択手段と、前記変換手段に対して、前記選択手段で選択されたアクセル開度特性に従って前記アクセル入力開度を前記アクセル出力開度に変換するか、あるいは前記アクセル入力開度を変換せずに前記アクセル出力開度とするかを切り替えるスイッチとからなることを特徴とする。
第4発明のクレーンは、第1、第2または第3発明のクレーン用アクセル開度変換装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、アクセル開度特性に従ってアクセル入力開度をアクセル出力開度に変換するので、オペレータがアクセルペダルを踏みすぎても、エンジン回転数を低くすることができる。そのため、クレーンの燃費を低減できる。
第2発明によれば、複数のアクセル開度特性が記憶されているので、オペレータの好みに合ったアクセル開度特性を指定することができる。
第3発明によれば、選択手段でオペレータの好みに合ったアクセル開度特性を選択し、スイッチでアクセル開度を変換するかしないかを切り替えることができるので、作業の状況に合わせて即座にアクセル開度を変換することができる。
第4発明によれば、アクセル開度特性に従ってアクセル入力開度をアクセル出力開度に変換するので、オペレータがアクセルペダルを踏みすぎても、エンジン回転数を低くすることができる。そのため、クレーンの燃費を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るクレーン用アクセル開度変換装置のブロック図である。
【図2】同クレーン用アクセル開度変換装置が設けられたクレーンのブロック図である。
【図3】スイッチの説明図である。
【図4】モニタ表示の画面イメージである。
【図5】アクセル開度特性の一例のグラフである。
【図6】アクセル開度特性の他の一例のグラフである。
【図7】アクセル開度特性の他の一例のグラフである。
【図8】アクセル開度特性の他の一例のグラフである。
【図9】従来のクレーンのブロック図である。
【図10】クレーンに設けられる油圧回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図2に示すように、本発明の一実施形態に係るクレーン用アクセル開度変換装置Aは、従来技術のクレーン(図9参照)において、アクセルペダル130と、エンジンコントロールユニット131との間に接続されている。
アクセルペダル130には、オペレータがアクセルペダル130を踏み込んだ量を検知するセンサが設けられており、そのセンサは検知結果をアクセル入力開度としてクレーン用アクセル開度変換装置Aに入力する。クレーン用アクセル開度変換装置Aは、入力されたアクセル入力開度をアクセル出力開度に変換し、エンジンコントロールユニット131に出力する。そして、エンジンコントロールユニット131は、入力されたアクセル出力開度をもとにインジェクタ112を開け、エンジン111の回転数を制御する。
【0010】
図1に示すように、クレーン用アクセル開度変換装置Aは、アクセル入力開度とアクセル出力開度との関係を定めるアクセル開度特性を記憶する記憶手段10と、記憶手段10に記憶されたアクセル開度特性を参照し、そのアクセル開度特性に従って、アクセル入力開度をアクセル出力開度に変換する変換手段20とを備える。
【0011】
後述のごとく、記憶手段10には、複数のアクセル開度特性が記憶されている。また、記憶手段10には、複数のアクセル開度特性の内の一を選択する選択手段30がアクセス可能となっている。
より詳細には、選択手段30は、例えばクレーンの運転室内に設けられたモニタのスイッチであり、オペレータが記憶手段10に記憶された複数のアクセル開度特性の内の一を選択できるようになっている。そして、記憶手段10には、複数のアクセル開度特性のうち、選択手段30によって選択されたものがどれであるかを示す選択情報が記憶されており、選択手段30によって、その選択情報を更新できるようになっている。
【0012】
変換手段20には、手動のスイッチ40が接続されており、このスイッチ40によって、変換手段20がアクセル開度を変換するかしないかを切り替えることができる。
より詳細には、スイッチ40を入にすれば、変換手段20は、記憶手段10を参照し、選択情報に対応するアクセル開度特性に従ってアクセル入力開度をアクセル出力開度に変換して出力する。また、スイッチ40を切りにすれば、変換手段20は、アクセル入力開度を変換せずにそのままアクセル出力開度として出力する。
なお、図3に示すように、スイッチ40は、例えばクレーンの運転室内に設けられる。また、スイッチ40は、手動のスイッチに代えて、クレーンの運転室内に設けられたモニタのスイッチとしてもよい。
【0013】
記憶手段10には、例えば図5に示すようなアクセル開度特性が記憶されている。図5に示すアクセル開度特性は、アクセル入力開度とアクセル出力開度との関係が線形であり、アクセル入力開度に所定の定数を掛けたものがアクセル出力開度となるものである。また、3つのモードのアクセル開度特性が記憶されており、モード1が無変換に近く、モード3がアクセル出力開度を一番低くし、モード2がモード1とモード3の中間である。
【0014】
つぎに、クレーン用アクセル開度変換装置Aの動作について説明する。
まず、オペレータが、選択手段30としてのモニタのスイッチを操作し、モード1からモード3のアクセル開度特性の内の一つを選択する。そうすると、選択手段30は、選択したモードを示す情報で、記憶手段10の選択情報を更新する。
そのため、複数のアクセル開度特性から、オペレータのフィーリングやクレーンの動作速度、燃費効率等の好みに合ったアクセル開度特性を選択することができる。なお、オペレータのフィーリングは、オペレータがアクセルペダル130を踏んだ時に意図したエンジン回転数と実際のエンジン回転数とのマッチングが関係すると考えられる。
なお、このとき、図4に示すように、選択したアクセル開度特性を示すアイコンiを、クレーンの運転席に設けられたモニタに表示することが好ましい。このモニタはクレーンに備えられた過負荷防止装置のモニタと共通とすればよい。モニタを過負荷防止装置のモニタと共通とすることで、クレーンの運転室に複数のモニタを設ける必要がなく場所をとらないし、オペレータは一目で多くの情報を得ることができる。
【0015】
つぎに、オペレータが、クレーン作業中にスイッチ40を入に切り替えると、変換手段20は、記憶手段10を参照し、選択情報に対応するアクセル開度特性に従ってアクセル入力開度をアクセル出力開度に変換して出力する。
そのため、オペレータがアクセルペダル130を踏みすぎても、エンジン回転数を低くすることができ、クレーンの燃費を低減できる。また、エンジン回転数が低くなることから、騒音も低減することができる。さらに、スイッチ40を切り替えるだけで、オペレータの好みに合ったアクセル開度特性でアクセル開度を変換できるので、作業の状況に合わせて即座にアクセル開度を変換することができる。
【0016】
つぎに、オペレータが、スイッチ40を切に切り替えると、変換手段20は、アクセル入力開度を変換せずにそのままアクセル出力開度として出力する。
そのため、作業速度を上げたい時などに、エンジン回転数を上げることができる。
【0017】
(他の実施形態)
記憶手段10には、図5に示すような線形のアクセル開度特性の他、図6から図8に示すような非線形のアクセル開度特性を記憶しておいてもよい。
図6に示すアクセル開度特性は、アクセル入力開度が低い領域ではアクセル出力開度をあまり変えず、アクセル入力開度が高くなるにしたがいアクセル出力開度の低減を大きくする性質を有する。
図7に示すアクセル開度特性は、アクセル入力開度が低い領域でアクセル出力開度の低減を大きくし、アクセル入力開度が高くなるにしたがい無変換に近づく性質を有する。
図8に示すアクセル開度特性は、アクセル入力開度が低い領域でアクセル出力開度の低減を大きくし、アクセル入力開度が高い領域では線形となる性質を有する。
上記の図5から図8に示すアクセル開度特性を全て記憶手段10に記憶しておき、選択手30で、これら複数のアクセル入力開度の内から一つを選択するようにしてもよい。
【0018】
また、上記実施形態の選択手段30は、オペレータがアクセル開度特性を選択するものであったが、これを、クレーンの負荷状態や、ブーム等の姿勢に応じて、自動的に最適なアクセル開度特性を選択するものとしてもよい。
【0019】
さらに、ウインチの巻き上げ・巻き下げ操作においては、選択手段30を、ワイヤ掛け数に応じて、自動的に最適なアクセル開度特性を選択するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0020】
10 記憶手段
20 変換手段
30 選択手段
40 スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン用アクセル開度変換装置に関する。さらに詳しくは、エンジン回転数を低くしてクレーンの燃費を低減するクレーン用アクセル開度変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、一般的なクレーンは、エンジン110と、エンジン110の動力により駆動される油圧ポンプ120と、その油圧ポンプ120と油圧回路で接続された複数の油圧シリンダ121および油圧モータ122を備えている。そして、油圧シリンダ121の動作で、例えばブームを伸縮・起伏させたり、アウトリガを伸縮させたりすることができる。また、油圧モータ122の動作で、例えばウインチを巻き上げ・巻き下げしたり、旋回体を旋回させたりすることができる。
エンジン110は、燃料タンク111とインジェクタ112を介して接続されており、インジェクタ112は、クレーンの運転室に設けられたアクセルペダル130と、エンジンコントロールユニット131を介して接続されている。そのため、オペレータがアクセルペダル130を踏めば、アクセルペダル130に設けられたセンサがアクセル開度を検知し、エンジンコントロールユニット131がそのアクセル開度をもとにインジェクタ112を開け、エンジン111の回転数が上がる。
以上のような構成であるから、基本的には、オペレータがアクセルペダル130を踏めば、エンジン回転数が上がり、油圧ポンプの回転数が上がり、クレーンの各部の動作速度が上がる。また、オペレータがアクセルペダル130を緩めれば、エンジン回転数が下がり、油圧ポンプの回転数が下がり、クレーンの各部の動作速度が下がる。
【0003】
ところで、一般的なクレーンは、エンジン回転数を下げた方が、燃費を低減させることができる。特に、ブーム起伏下げやブーム縮小等のシリンダ縮小作業ではエンジン回転数を上げてもある一定以上速度は上がらないため、エンジン回転数を上げることにより燃料の無駄が大きくなる。これは、シリンダ縮小動作時の自重落下を防ぎオペレータのコントロール下におく等の目的で、油圧回路にカウンタバランスバルブ140が設けられており(図10参照)、作業速度が上がらないようになっているからである(非特許文献1)。
そのため、従来のクレーンは、オペレータの操作の仕方によって燃費が大きく左右されるという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】不二越油圧研究グループ著、「新版 知りたい油圧/応用編」ジャパンマシニスト社、1990年9月20日発行、p.145〜146
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、アクセル開度を変換することによりクレーンの燃費を低減するクレーン用アクセル開度変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明のクレーン用アクセル開度変換装置は、クレーンのアクセルペダルと、エンジンコントロールユニットとを接続するクレーン用アクセル開度変換装置であって、前記アクセルペダルから入力されるアクセル入力開度と、前記エンジンコントロールユニットに出力するアクセル出力開度との関係を定めるアクセル開度特性を記憶する記憶手段と、前記アクセル開度特性に従って、前記アクセル入力開度を前記アクセル出力開度に変換する変換手段と備えることを特徴とする。
第2発明のクレーン用アクセル開度変換装置は、第1発明において、前記記憶手段は、複数の前記アクセル開度特性を記憶するものであり、前記変換手段に前記複数のアクセル開度特性の内の一を指定する指定手段を備えることを特徴とする。
第3発明のクレーン用アクセル開度変換装置は、第2発明において、前記指定手段は、前記複数のアクセル開度特性の内の一を選択する選択手段と、前記変換手段に対して、前記選択手段で選択されたアクセル開度特性に従って前記アクセル入力開度を前記アクセル出力開度に変換するか、あるいは前記アクセル入力開度を変換せずに前記アクセル出力開度とするかを切り替えるスイッチとからなることを特徴とする。
第4発明のクレーンは、第1、第2または第3発明のクレーン用アクセル開度変換装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、アクセル開度特性に従ってアクセル入力開度をアクセル出力開度に変換するので、オペレータがアクセルペダルを踏みすぎても、エンジン回転数を低くすることができる。そのため、クレーンの燃費を低減できる。
第2発明によれば、複数のアクセル開度特性が記憶されているので、オペレータの好みに合ったアクセル開度特性を指定することができる。
第3発明によれば、選択手段でオペレータの好みに合ったアクセル開度特性を選択し、スイッチでアクセル開度を変換するかしないかを切り替えることができるので、作業の状況に合わせて即座にアクセル開度を変換することができる。
第4発明によれば、アクセル開度特性に従ってアクセル入力開度をアクセル出力開度に変換するので、オペレータがアクセルペダルを踏みすぎても、エンジン回転数を低くすることができる。そのため、クレーンの燃費を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るクレーン用アクセル開度変換装置のブロック図である。
【図2】同クレーン用アクセル開度変換装置が設けられたクレーンのブロック図である。
【図3】スイッチの説明図である。
【図4】モニタ表示の画面イメージである。
【図5】アクセル開度特性の一例のグラフである。
【図6】アクセル開度特性の他の一例のグラフである。
【図7】アクセル開度特性の他の一例のグラフである。
【図8】アクセル開度特性の他の一例のグラフである。
【図9】従来のクレーンのブロック図である。
【図10】クレーンに設けられる油圧回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図2に示すように、本発明の一実施形態に係るクレーン用アクセル開度変換装置Aは、従来技術のクレーン(図9参照)において、アクセルペダル130と、エンジンコントロールユニット131との間に接続されている。
アクセルペダル130には、オペレータがアクセルペダル130を踏み込んだ量を検知するセンサが設けられており、そのセンサは検知結果をアクセル入力開度としてクレーン用アクセル開度変換装置Aに入力する。クレーン用アクセル開度変換装置Aは、入力されたアクセル入力開度をアクセル出力開度に変換し、エンジンコントロールユニット131に出力する。そして、エンジンコントロールユニット131は、入力されたアクセル出力開度をもとにインジェクタ112を開け、エンジン111の回転数を制御する。
【0010】
図1に示すように、クレーン用アクセル開度変換装置Aは、アクセル入力開度とアクセル出力開度との関係を定めるアクセル開度特性を記憶する記憶手段10と、記憶手段10に記憶されたアクセル開度特性を参照し、そのアクセル開度特性に従って、アクセル入力開度をアクセル出力開度に変換する変換手段20とを備える。
【0011】
後述のごとく、記憶手段10には、複数のアクセル開度特性が記憶されている。また、記憶手段10には、複数のアクセル開度特性の内の一を選択する選択手段30がアクセス可能となっている。
より詳細には、選択手段30は、例えばクレーンの運転室内に設けられたモニタのスイッチであり、オペレータが記憶手段10に記憶された複数のアクセル開度特性の内の一を選択できるようになっている。そして、記憶手段10には、複数のアクセル開度特性のうち、選択手段30によって選択されたものがどれであるかを示す選択情報が記憶されており、選択手段30によって、その選択情報を更新できるようになっている。
【0012】
変換手段20には、手動のスイッチ40が接続されており、このスイッチ40によって、変換手段20がアクセル開度を変換するかしないかを切り替えることができる。
より詳細には、スイッチ40を入にすれば、変換手段20は、記憶手段10を参照し、選択情報に対応するアクセル開度特性に従ってアクセル入力開度をアクセル出力開度に変換して出力する。また、スイッチ40を切りにすれば、変換手段20は、アクセル入力開度を変換せずにそのままアクセル出力開度として出力する。
なお、図3に示すように、スイッチ40は、例えばクレーンの運転室内に設けられる。また、スイッチ40は、手動のスイッチに代えて、クレーンの運転室内に設けられたモニタのスイッチとしてもよい。
【0013】
記憶手段10には、例えば図5に示すようなアクセル開度特性が記憶されている。図5に示すアクセル開度特性は、アクセル入力開度とアクセル出力開度との関係が線形であり、アクセル入力開度に所定の定数を掛けたものがアクセル出力開度となるものである。また、3つのモードのアクセル開度特性が記憶されており、モード1が無変換に近く、モード3がアクセル出力開度を一番低くし、モード2がモード1とモード3の中間である。
【0014】
つぎに、クレーン用アクセル開度変換装置Aの動作について説明する。
まず、オペレータが、選択手段30としてのモニタのスイッチを操作し、モード1からモード3のアクセル開度特性の内の一つを選択する。そうすると、選択手段30は、選択したモードを示す情報で、記憶手段10の選択情報を更新する。
そのため、複数のアクセル開度特性から、オペレータのフィーリングやクレーンの動作速度、燃費効率等の好みに合ったアクセル開度特性を選択することができる。なお、オペレータのフィーリングは、オペレータがアクセルペダル130を踏んだ時に意図したエンジン回転数と実際のエンジン回転数とのマッチングが関係すると考えられる。
なお、このとき、図4に示すように、選択したアクセル開度特性を示すアイコンiを、クレーンの運転席に設けられたモニタに表示することが好ましい。このモニタはクレーンに備えられた過負荷防止装置のモニタと共通とすればよい。モニタを過負荷防止装置のモニタと共通とすることで、クレーンの運転室に複数のモニタを設ける必要がなく場所をとらないし、オペレータは一目で多くの情報を得ることができる。
【0015】
つぎに、オペレータが、クレーン作業中にスイッチ40を入に切り替えると、変換手段20は、記憶手段10を参照し、選択情報に対応するアクセル開度特性に従ってアクセル入力開度をアクセル出力開度に変換して出力する。
そのため、オペレータがアクセルペダル130を踏みすぎても、エンジン回転数を低くすることができ、クレーンの燃費を低減できる。また、エンジン回転数が低くなることから、騒音も低減することができる。さらに、スイッチ40を切り替えるだけで、オペレータの好みに合ったアクセル開度特性でアクセル開度を変換できるので、作業の状況に合わせて即座にアクセル開度を変換することができる。
【0016】
つぎに、オペレータが、スイッチ40を切に切り替えると、変換手段20は、アクセル入力開度を変換せずにそのままアクセル出力開度として出力する。
そのため、作業速度を上げたい時などに、エンジン回転数を上げることができる。
【0017】
(他の実施形態)
記憶手段10には、図5に示すような線形のアクセル開度特性の他、図6から図8に示すような非線形のアクセル開度特性を記憶しておいてもよい。
図6に示すアクセル開度特性は、アクセル入力開度が低い領域ではアクセル出力開度をあまり変えず、アクセル入力開度が高くなるにしたがいアクセル出力開度の低減を大きくする性質を有する。
図7に示すアクセル開度特性は、アクセル入力開度が低い領域でアクセル出力開度の低減を大きくし、アクセル入力開度が高くなるにしたがい無変換に近づく性質を有する。
図8に示すアクセル開度特性は、アクセル入力開度が低い領域でアクセル出力開度の低減を大きくし、アクセル入力開度が高い領域では線形となる性質を有する。
上記の図5から図8に示すアクセル開度特性を全て記憶手段10に記憶しておき、選択手30で、これら複数のアクセル入力開度の内から一つを選択するようにしてもよい。
【0018】
また、上記実施形態の選択手段30は、オペレータがアクセル開度特性を選択するものであったが、これを、クレーンの負荷状態や、ブーム等の姿勢に応じて、自動的に最適なアクセル開度特性を選択するものとしてもよい。
【0019】
さらに、ウインチの巻き上げ・巻き下げ操作においては、選択手段30を、ワイヤ掛け数に応じて、自動的に最適なアクセル開度特性を選択するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0020】
10 記憶手段
20 変換手段
30 選択手段
40 スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンのアクセルペダルと、エンジンコントロールユニットとを接続するクレーン用アクセル開度変換装置であって、
前記アクセルペダルから入力されるアクセル入力開度と、前記エンジンコントロールユニットに出力するアクセル出力開度との関係を定めるアクセル開度特性を記憶する記憶手段と、
前記アクセル開度特性に従って、前記アクセル入力開度を前記アクセル出力開度に変換する変換手段と備える
ことを特徴とするクレーン用アクセル開度変換装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、複数の前記アクセル開度特性を記憶するものであり、
前記変換手段に前記複数のアクセル開度特性の内の一を指定する指定手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載のクレーン用アクセル開度変換装置。
【請求項3】
前記指定手段は、
前記複数のアクセル開度特性の内の一を選択する選択手段と、
前記変換手段に対して、前記選択手段で選択されたアクセル開度特性に従って前記アクセル入力開度を前記アクセル出力開度に変換するか、あるいは前記アクセル入力開度を変換せずに前記アクセル出力開度とするかを切り替えるスイッチとからなる
ことを特徴とする請求項2記載のクレーン用アクセル開度変換装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のクレーン用アクセル開度変換装置を備える
ことを特徴とするクレーン。
【請求項1】
クレーンのアクセルペダルと、エンジンコントロールユニットとを接続するクレーン用アクセル開度変換装置であって、
前記アクセルペダルから入力されるアクセル入力開度と、前記エンジンコントロールユニットに出力するアクセル出力開度との関係を定めるアクセル開度特性を記憶する記憶手段と、
前記アクセル開度特性に従って、前記アクセル入力開度を前記アクセル出力開度に変換する変換手段と備える
ことを特徴とするクレーン用アクセル開度変換装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、複数の前記アクセル開度特性を記憶するものであり、
前記変換手段に前記複数のアクセル開度特性の内の一を指定する指定手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載のクレーン用アクセル開度変換装置。
【請求項3】
前記指定手段は、
前記複数のアクセル開度特性の内の一を選択する選択手段と、
前記変換手段に対して、前記選択手段で選択されたアクセル開度特性に従って前記アクセル入力開度を前記アクセル出力開度に変換するか、あるいは前記アクセル入力開度を変換せずに前記アクセル出力開度とするかを切り替えるスイッチとからなる
ことを特徴とする請求項2記載のクレーン用アクセル開度変換装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のクレーン用アクセル開度変換装置を備える
ことを特徴とするクレーン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−144368(P2012−144368A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6242(P2011−6242)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
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