クレーン
【課題】本発明は、クレーン組立作業の作業性を向上させることが可能なクレーンを提供することを目的とする。
【解決手段】クレーン1は、下部走行体2と、下部走行体2上に旋回自在に搭載された旋回フレーム30と、車両の前後方向に並ぶように旋回フレーム30に対してそれぞれ固定された2つのデッキ構成部材11,12と、デッキ構成部材11,12における旋回フレーム30側とは逆側を向く側面(側面板11c,12eの外面)に対し、当該側面に沿って位置調整可能に固定されるプレート13,14(調整部材)と、デッキ構成部材11,12上に搭載された機器を側方から覆うようにプレート13,14に固定されたガード部40と、を備えている。
【解決手段】クレーン1は、下部走行体2と、下部走行体2上に旋回自在に搭載された旋回フレーム30と、車両の前後方向に並ぶように旋回フレーム30に対してそれぞれ固定された2つのデッキ構成部材11,12と、デッキ構成部材11,12における旋回フレーム30側とは逆側を向く側面(側面板11c,12eの外面)に対し、当該側面に沿って位置調整可能に固定されるプレート13,14(調整部材)と、デッキ構成部材11,12上に搭載された機器を側方から覆うようにプレート13,14に固定されたガード部40と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドデッキ上に搭載された機器を保護するためのガード部を備えるクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サイドデッキ上に搭載された機器を保護するためのガード部を備えるクレーンとして、特許文献1に記載のものが知られている。
このクレーンにおいては、下部走行体上に上部旋回体が旋回ユニットを介して縦軸まわりに旋回自在に搭載されている。この上部旋回体には、ブーム、複数のウィンチ、及びガントリを含む吊り上げ設備のほか、キャビン、カウンタウェイト等、必要な各種の設備が搭載されている。また、上部旋回体は、ベースとしての旋回フレームを備え、この旋回フレームの左右両側に、デッキフレームが設けられている。左右のデッキフレームは、それぞれ異なる設備が搭載される複数のセクションに分割されており、セクションごとに旋回フレームに取付けられている。そして、各設備を覆う状態で各セクションに跨ってガードが取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−314106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたクレーンにおいては、デッキフレームが複数のセクションに分割されているので、当該デッキフレームにガードを取り付ける際には、分割した複数のセクションをそれぞれ適切な位置に揃える必要がある。
ここで、クレーンを組み立てる際、作業性の観点から、分割したセクション毎にサブ組み立てが行われる。即ち、各セクションを旋回フレームに取り付ける前に、各セクションに対して主要機器が搭載され、その後、主要機器が搭載された各セクションを、クレーン等で吊りながら旋回フレームに固定する。
したがって、特許文献1に記載のクレーンにおいて、サブ組み立てを行った場合は、主要機器が搭載されて重量が増加した各セクションをクレーン等で吊りながら、その位置を微調整しなければならず、作業効率が悪化するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、クレーン組立作業の作業性を向上させることが可能なクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るクレーンにおける第1の特徴は、下部走行体と、前記下部走行体上に旋回自在に搭載された旋回フレームと、車両の前後方向に並ぶように前記旋回フレームに対してそれぞれ固定された複数のデッキ構成部材と、前記デッキ構成部材における前記旋回フレーム側とは逆側を向く側面に対し、当該側面に沿って位置調整可能に固定される調整部材と、前記デッキ構成部材上に搭載された機器を側方から覆うように前記調整部材に固定されたガード部と、を備えることである。
【0007】
この構成によると、複数のデッキ構成部材を有することにより、当該デッキ構成部材に予め機器を搭載し、その後デッキ構成部材を旋回フレームに固定するサブ組み立てを行うことができる。
更に、ガード部が搭載される調整部材は、デッキ構成部材に対して位置調整可能であるので、デッキ構成部材の旋回フレームに対する位置がずれていたとしても、当該調整部材を旋回フレームに対して適切な位置に配置することが可能である。そのため、ガード部搭載のために、デッキ構成部材の位置を微調整することは不要になる。
これにより、クレーンを組み立てるための作業性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明に係るクレーンにおける第2の特徴は、前記調整部材には貫通穴が形成されており、ボルトの軸部を、当該貫通穴に通して前記デッキ構成部材の側面に開口するように設けられたネジ穴にねじ込むことにより前記調整部材が前記デッキ構成部材の側面に対して固定されており、前記貫通穴は、径が、前記ボルトの軸部の径よりも少なくとも1mm以上大きくなるように形成されていることである。
【0009】
この構成によると、調整部材をデッキ構成部材に対して位置調整する構成が、簡易な構成で実現できる。
また、クレーンの側方からボルトを差し込むことで、調整部材をデッキ構成部材の側面に固定することができるため、取り付け作業が容易である。
【0010】
また、本発明に係るクレーンにおける第3の特徴は、前記調整部材は、前記複数のデッキ構成部材の側面を全て覆うように、当該デッキ構成部材の側面に対して固定されたプレートであることである。
【0011】
この構成によると、デッキ構成部材の側面が調整部材としてのプレートに覆われるため、当該デッキ構成部材の側面が露出することでクレーンの美観を損なうことを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、クレーンを組み立てるための作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るクレーンを示す全体図。
【図2】図1に示すクレーンにおけるガード部及びデッキ部を示す側面図。
【図3】図2に示すガード部及びデッキ部を矢印X方向から見た図。
【図4】図2に示すデッキ部を示す側面図。
【図5】図4に示すデッキ部を矢印X方向から見た図。
【図6】図4に示すデッキ部を矢印Y方向から見た図。
【図7】図4に示すデッキ部からプレートを取り外した状態(デッキ構成部材)を示す側面図。
【図8】図7に示すデッキ構成部材を矢印X方向から見た図。
【図9】図2に示すガード部及びデッキ部のS−S断面模式図。
【図10】図9におけるデッキ部近傍の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、以下の実施形態においては、クローラクレーンを適用対象として例に挙げている。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るクレーン1を示す全体図である。
図1に示すように、本実施形態に係るクレーン1は、クローラ式の下部走行体2を有している。この下部走行体2上に上部旋回体3が旋回ユニットを介して縦軸まわりに旋回自在に搭載されている。この上部旋回体3にブーム4、複数のウィンチ5、及びガントリ6を含む吊り上げ設備のほか、キャビン7、カウンタウェイト8等、必要な各種の設備が搭載される。
【0016】
図2は、図1に示すクレーンにおけるガード部40及びデッキ部10を示す側面図である。また、図3は、図2に示すガード部40及びデッキ部10を矢印X方向から見た図である。
図3に示すように、上部旋回体3は、旋回フレーム30(二点差線で模式的に示す)を備えている。この旋回フレーム30は、主たる構成要素として底板31と、当該底板31の左右両側に立設された側板32を備え、全体として平面視で前後に長い長方形状に形成されている。
この旋回フレーム30の左右両側に、図2に示すように、デッキ部10が設けられ、当該デッキ部10の上にガード部40が設けられる。
尚、図2においては、旋回フレーム30の右側に配置されたデッキ部10及びガード部40のみを示しているが、旋回フレーム30の左側のデッキ部についても、ほぼ同様に構成することができるため、説明は省略する。
【0017】
このデッキ部10の上には、エンジンユニット、作動油タンクなどが搭載されており、図2及び図3に示すように、これらの搭載物を側方及び上方から覆うように、ガード部40が設けられている。
【0018】
図4は、図2に示すデッキ部10を示す側面図である。また、図5は、図4に示すデッキ部10を矢印X方向から見た図であり、図6は、図4に示すデッキ部10を矢印Y方向から見た図である。
図4〜図6に示すように、デッキ部10は、第1デッキ構成部材11と第2デッキ構成部材12とを備えている。そして、当該デッキ構成部材11,12の側面に第1プレート13と第2プレート14とが取り付けられている。また、デッキ部10上には、作動油タンク21、エンジンユニット22(二点差線で模式的に示す)などの機器が配置されている。
【0019】
図7は、図4に示すデッキ部10からプレート13,14を取り外した状態を示す側面図である。また、図8は、図7に示すデッキ構成部材を矢印X方向から見た図である。
図7及び図8に示すように、第1デッキ構成部材11は、底板11aと、当該底板11aの縁部に設けられて旋回フレーム30に対してボルトで固定されるブラケット11bと、当該底板11aにおける前記旋回フレーム30とは逆側の縁部に当該底板11aに対して垂直に設けられた側面板11cと、当該底板11aにおける車両前方側に当該底板11aに対して垂直に設けられた端面板11dとを有している。
【0020】
この第1デッキ構成部材11は、キャビン7の後部に近接するように、旋回フレーム30に対して固定されている。また、第1デッキ構成部材11の底板11aの上には、作動油タンク21などが搭載される。
【0021】
第2デッキ構成部材12は、エンジンユニット22を搭載可能に構成されている。具体的には、車両前後方向において所定の間隔を空けて並ぶ3つの梁部材12a,12b,12cを備えている。この3つの梁部材12a,12b,12cは、それぞれ、長手方向が車両幅方向に延びて両端を連結部材12d及び側面板12eで支持されており、長手方向の中間部にエンジンユニット22を固定するためのボルト穴が形成された一対の支持板12f,12g,12hが設けられている。3つの梁部材12a,12b,12cにおける旋回フレーム30側の端部は、車両前後方向に延びる連結部材12dに対して固定されている。当該連結部材12dに固定されたブラケット12jを旋回フレーム30にボルトで固定することで、第2デッキ構成部材12を旋回フレーム30に対して固定することができる。また、3つの梁部材12a,12b,12cの他端(旋回フレーム30側とは逆側の端部)には、当該梁部材12a,12b,12cの長手方向に対して垂直に配置されて車両前後方向に延びる側面板12eが固定されている。また、当該側面板12eの車両後方側の端部と、連結部材12dの車両後方側の端部とは、車両前後方向に直交するように配置される端面板12iで連結されている。
【0022】
クレーンの組み立てにおいて、サブ組み立てを行う場合、まず、当該第1デッキ構成部材11上に作動油タンク21が固定され、その後、当該第1デッキ構成部材11と作動油タンク21とのユニットが、旋回フレーム30に対して適宜位置に固定される。
第2デッキ構成部材12についても同様に、当該第2デッキ構成部材12上にエンジンユニット22が固定され、その後、当該第2デッキ構成部材12とエンジンユニット22とのユニットが、旋回フレーム30に対して適宜位置に固定される。
【0023】
図7及び図8において二点差線で示すように、第1プレート13及び第2プレート14は、両者で、旋回フレーム30に固定された第1デッキ構成部材11及び第2デッキ構成部材12の側面板11c,12e全体を、車両の側方から覆うように、当該側面板11c,12eに対してボルト(キャップスクリュー)で固定されている。
【0024】
第1プレート13は、第1デッキ構成部材11の側面板11cの全部と第2デッキ構成部材12の側面板12eの車両前方側の端部とを覆うように、一端側を第1デッキ構成部材11の側面板11cに、他端側を第2デッキ構成部材12の側面板12eに、ボルトで固定されている。
【0025】
第2プレート14は、第2デッキ構成部材12の側面板12eにおける第1プレート13で覆われていない部分を覆うように、第2デッキ構成部材12の側面板12eに、ボルトで固定されている。
【0026】
具体的には、図4に示すように、第1プレート13及び第2プレート14には、それぞれ、四隅にボルトの軸を貫通可能なボルト穴h1が形成されている(尚、図4においては、固定用のボルトは省略している)。本実施形態において、当該ボルト穴h1の径は約18mmであり、固定のために使用するボルトの軸径(約10mm)よりも大きくなるように形成されている。
【0027】
一方、図7に示すように、第1デッキ構成部材11及び第2デッキ構成部材12の側面板11c,12eには、両プレート13,14のボルト穴に対応する位置に、固定のために使用するボルトの軸を貫通可能なボルト穴h2が形成されているとともに、ボルトの軸をねじ込むことができるナットが設けられている(図10におけるナットn1、n2参照)。当該ナットは、側面板11c,12eに形成されたボルト穴h2と同軸となるように側面板11c,12eの内面(旋回フレーム30側を向く面)に溶接されている。
【0028】
そして、プレート13,14側から、ボルトの軸を、プレート13,14のボルト穴h1及びデッキ構成部材11,12のボルト穴h2に貫通させ、デッキ構成部材11,12のナットに当該ボルトの軸をねじ込むことで、ボルトヘッドとナットとの間で、プレート13,14及び側面板11c,12eを挟みこむ。尚、ボルトヘッドとプレート13,14との間に、外径がボルト穴h1よりも大きく内径がボルトヘッドの外径よりも小さいワッシャを介在させている(図10のボルトb1,b2、ワッシャw1,w2参照)。これにより、プレート13,14をデッキ構成部材11,12の側面に固定することができる。
【0029】
このとき、プレート13,14のボルト穴h1の径は、固定のためのボルトの軸径よりも大きいため、デッキ構成部材11,12の側面上をスライドさせるようにして、ボルト穴h1とボルト軸との隙間の範囲内で、位置を調整することができる。
【0030】
図9は、図2に示すガード部40及びデッキ部10のS−S断面模式図である。また、図10は、図9におけるデッキ部10近傍の拡大図である。
【0031】
図9に示すように、プレート14は、上端において、内側に屈曲している。即ち、図10に示すように、プレート14の上端は、デッキ構成部材12の側面板12eに対向して取り付けられる面に対して垂直な上面を形成するように、90度屈曲して、上側板部14aを構成している。また、プレート14は、下端においても同様に屈曲している。尚、プレート13についても同様に構成される。
本実施形態においては、当該プレート13,14は、デッキ構成部材11,12に固定された状態で、当該デッキ構成部材11,12の側面板11c,12eの側方、上方、及び下方を覆っている。
【0032】
また、プレート13,14の上側板部13a,14aには、ブラケット43がボルトで固定されている。当該ブラケット43は、車両前後方向に直線状に延び、長手方向垂直断面がコの字状の部材である。即ち、当該ブラケット43は、側面板部43aと、当該側面板部43aの上端から90度屈曲した上側板部43bと、当該側面板部43aの下端から90度屈曲して前記上側板部43bと同じ方向に延びる下側板部43cとを有している。そして、ブラケット43は、長手方向垂直断面において、開放側(上側板部43b及び下側板部43cが側面板部43aから屈曲して延びる方向)が、車両外側(旋回フレーム30とは逆側)に向くように、プレート13,14の上側板部13a,14aの上面に固定されている。
【0033】
具体的には、ブラケット43の下側板部43cにボルト穴が形成されている。そして、プレート13,14の上側板部13a,14aにボルト穴が形成されているとともに、ボルトの軸をねじ込むことができるナット(図10におけるナットn3参照)が上側板部13a,14aの下面に溶接されている。そして、ブラケット43の下側板部43cにおける下面を、ブラケット43の上側板部13a,14aにおける上面の所定位置に置き、ブラケット43の開放側から、ボルトの軸をボルト穴に貫通させ、プレート13,14側のナットにボルトの軸をねじ込むことで、ボルトヘッドとナットとで、下側板部43cと上側板部13a,14aとを挟みこんで、ブラケット43をプレート13,14に対して取り付けることができる。
【0034】
尚、直線状に延びるブラケット43をプレート13,14上に固定する際、プレート13の上側板部13aの上面と、プレート14の上側板部14aの上面とが、略水平な同一平面上に位置するように、適宜調整する必要があるが、デッキ構成部材11,12の位置を調整しなくても、プレート13,14の位置を調整すればよいため、ブラケット43の取り付け作業を効率よく行うことができる。
【0035】
また、図2、図9及び図10に示すように、ブラケット43の上側板部43bには、ガード板41を開閉可能に取り付けるための柱部材42が固定される。
柱部材42は、下端にフランジ部42aを備えており、当該フランジ部42aがボルトでブラケット43の上側板部43bに固定されることで、当該柱部材42の位置が固定される。
【0036】
図2に示すように、当該柱部材42は、車両前後方向において所定の間隔を空けて、5本設けられており、これらの柱部材42の間にガード板41(全部で4枚)が配置される。ガード板41は、車両前後方向における一端側が、柱部材42を支軸として回動可能となるように、隣接する柱部材42に対して取り付けられている。尚、ガード板41が閉じた状態で、当該ガード板41が開かないようロックできるように構成されている。
【0037】
このように、ブラケット43と、5本の柱部材42と、4枚のガード板41とで、デッキ部10に搭載されたエンジンユニット22、作動油タンク21などを、側方から全て覆うガード部40が構成されている。
尚、本実施形態においては、ガード部40は、図3に示すように、作動油タンク21及びエンジンユニット22の上方を覆う板状の屋根部材44を備えているが、この構成に限らず、屋根部材44を有さない構成であってもよい。
【0038】
また、クレーン1を組み立てる際、上記ガード部40を全て組み立てた状態で、当該ガード部40をプレート13,14に対して取り付けることで、効率よく作業を行うことが可能である。
【0039】
(実施形態の効果)
(1)以上説明したように、本実施形態に係るクレーン1は、下部走行体2と、下部走行体2上に旋回自在に搭載された旋回フレーム30と、車両の前後方向に並ぶように旋回フレーム30に対してそれぞれ固定された2つのデッキ構成部材11,12と、デッキ構成部材11,12における旋回フレーム30側とは逆側を向く側面(側面板11c,12eの外面)に対し、当該側面に沿って位置調整可能に固定されるプレート13,14(調整部材)と、デッキ構成部材11,12上に搭載された機器を側方から覆うようにプレート13,14に固定されたガード部40と、を備えている。
【0040】
この構成によると、2つのデッキ構成部材11,12を有することにより、当該デッキ構成部材11,12に予め機器を搭載し、その後、機器が搭載されたデッキ構成部材11,12をそれぞれ、旋回フレーム30に固定する組み立て方法(サブ組み立て)を行うことができる。
更に、プレート13,14にガード部40が固定されるため、ガード部40搭載のために、デッキ構成部材11,12の位置を微調整することは不要になる。つまり、当該プレート13,14は、デッキ構成部材11,12に対して位置調整可能であるので、組み立ての際に、デッキ構成部材11,12の位置がずれていたとしても、適切な位置に配置することが可能である。
これにより、クレーン1を組み立てるための作業性を向上させることができる。
【0041】
(2)プレート13,14にはボルト穴h1(貫通穴)が形成されており、ボルトの軸部を、当該ボルト穴h1、及び、デッキ構成部材11,12の側面板11c,12eに形成されたボルト穴h2に通して、デッキ構成部材11,12の側面板11c,12eに設けられたナットのネジ穴にねじ込むことにより、ボルトヘッドとナットとの間で、プレート13,14及び側面板11c,12eを挟みこんでいる。これにより、プレート13,14がデッキ構成部材11,12の側面に対して固定されている。
プレート13,14に形成されたボルト穴h1は、径(直径)が、ボルトの軸部の径(直径)よりも約8mm大きくなるように形成されている。
【0042】
この構成によると、プレート13,14をデッキ構成部材11,12に対して位置調整する構成が、簡易な構成で実現できる。
また、クレーン1の側方からボルトを差し込むことで、プレート13,14をデッキ構成部材11,12の側面に固定することができるため、取り付け作業が容易である。
【0043】
尚、本実施形態のように、プレート13,14に形成されたボルト穴h1の径を固定用のボルトの軸部の径よりも大きくすることで、固定用のボルトの軸部とボルト穴h1との間に隙間を設け、
プレート13,14を位置調整可能に構成する場合に限定されない。
例えば、デッキ構成部材11,12の側面板11c,12eに固定用のボルトの軸部よりも大きい径のボルト穴を形成し、側面板11c,12eの内面側(旋回フレーム30側)から当該ボルト穴にボルトの軸部を貫通させ、プレート13,14側で、当該ボルトの軸部を固定できる(ねじ込むことができる)構成であってもよい。
【0044】
(3)プレート13,14は、これらの2枚のプレートで、2つのデッキ構成部材11,12の側面を全て覆うように、当該デッキ構成部材11,12の側面に対して固定されている。
【0045】
この構成によると、デッキ構成部材11,12の側面がプレート13,14に覆われるため、当該デッキ構成部材11,12の側面が露出することでクレーン1の美観を損なうことを防止できる。
【0046】
尚、プレート13は、第1デッキ構成部材11と第2デッキ構成部材12とに跨って配置されており、第1デッキ構成部材11と第2デッキ構成部材12との間の空間についても側方から覆われている。これにより、クレーン内部の部材が側方に露出せず、より美観を高めることができ、かつ、デッキ部10の強度を向上させることができる。
【0047】
また、2枚のプレート13,14を用いる場合に限らず、1枚のプレートで、デッキ構成部材11,12の側面を全て覆うように構成することで、プレート間の位置調整を不要とすることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、クローラクレーン等のクレーンの組み立てを効率よく行うために利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 クレーン
2 下部走行体
30 旋回フレーム
10 デッキ部
11、12 デッキ構成部材
13、14 プレート(調整部材)
h1 ボルト穴(貫通穴)
40 ガード部
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドデッキ上に搭載された機器を保護するためのガード部を備えるクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サイドデッキ上に搭載された機器を保護するためのガード部を備えるクレーンとして、特許文献1に記載のものが知られている。
このクレーンにおいては、下部走行体上に上部旋回体が旋回ユニットを介して縦軸まわりに旋回自在に搭載されている。この上部旋回体には、ブーム、複数のウィンチ、及びガントリを含む吊り上げ設備のほか、キャビン、カウンタウェイト等、必要な各種の設備が搭載されている。また、上部旋回体は、ベースとしての旋回フレームを備え、この旋回フレームの左右両側に、デッキフレームが設けられている。左右のデッキフレームは、それぞれ異なる設備が搭載される複数のセクションに分割されており、セクションごとに旋回フレームに取付けられている。そして、各設備を覆う状態で各セクションに跨ってガードが取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−314106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたクレーンにおいては、デッキフレームが複数のセクションに分割されているので、当該デッキフレームにガードを取り付ける際には、分割した複数のセクションをそれぞれ適切な位置に揃える必要がある。
ここで、クレーンを組み立てる際、作業性の観点から、分割したセクション毎にサブ組み立てが行われる。即ち、各セクションを旋回フレームに取り付ける前に、各セクションに対して主要機器が搭載され、その後、主要機器が搭載された各セクションを、クレーン等で吊りながら旋回フレームに固定する。
したがって、特許文献1に記載のクレーンにおいて、サブ組み立てを行った場合は、主要機器が搭載されて重量が増加した各セクションをクレーン等で吊りながら、その位置を微調整しなければならず、作業効率が悪化するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、クレーン組立作業の作業性を向上させることが可能なクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るクレーンにおける第1の特徴は、下部走行体と、前記下部走行体上に旋回自在に搭載された旋回フレームと、車両の前後方向に並ぶように前記旋回フレームに対してそれぞれ固定された複数のデッキ構成部材と、前記デッキ構成部材における前記旋回フレーム側とは逆側を向く側面に対し、当該側面に沿って位置調整可能に固定される調整部材と、前記デッキ構成部材上に搭載された機器を側方から覆うように前記調整部材に固定されたガード部と、を備えることである。
【0007】
この構成によると、複数のデッキ構成部材を有することにより、当該デッキ構成部材に予め機器を搭載し、その後デッキ構成部材を旋回フレームに固定するサブ組み立てを行うことができる。
更に、ガード部が搭載される調整部材は、デッキ構成部材に対して位置調整可能であるので、デッキ構成部材の旋回フレームに対する位置がずれていたとしても、当該調整部材を旋回フレームに対して適切な位置に配置することが可能である。そのため、ガード部搭載のために、デッキ構成部材の位置を微調整することは不要になる。
これにより、クレーンを組み立てるための作業性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明に係るクレーンにおける第2の特徴は、前記調整部材には貫通穴が形成されており、ボルトの軸部を、当該貫通穴に通して前記デッキ構成部材の側面に開口するように設けられたネジ穴にねじ込むことにより前記調整部材が前記デッキ構成部材の側面に対して固定されており、前記貫通穴は、径が、前記ボルトの軸部の径よりも少なくとも1mm以上大きくなるように形成されていることである。
【0009】
この構成によると、調整部材をデッキ構成部材に対して位置調整する構成が、簡易な構成で実現できる。
また、クレーンの側方からボルトを差し込むことで、調整部材をデッキ構成部材の側面に固定することができるため、取り付け作業が容易である。
【0010】
また、本発明に係るクレーンにおける第3の特徴は、前記調整部材は、前記複数のデッキ構成部材の側面を全て覆うように、当該デッキ構成部材の側面に対して固定されたプレートであることである。
【0011】
この構成によると、デッキ構成部材の側面が調整部材としてのプレートに覆われるため、当該デッキ構成部材の側面が露出することでクレーンの美観を損なうことを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、クレーンを組み立てるための作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るクレーンを示す全体図。
【図2】図1に示すクレーンにおけるガード部及びデッキ部を示す側面図。
【図3】図2に示すガード部及びデッキ部を矢印X方向から見た図。
【図4】図2に示すデッキ部を示す側面図。
【図5】図4に示すデッキ部を矢印X方向から見た図。
【図6】図4に示すデッキ部を矢印Y方向から見た図。
【図7】図4に示すデッキ部からプレートを取り外した状態(デッキ構成部材)を示す側面図。
【図8】図7に示すデッキ構成部材を矢印X方向から見た図。
【図9】図2に示すガード部及びデッキ部のS−S断面模式図。
【図10】図9におけるデッキ部近傍の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、以下の実施形態においては、クローラクレーンを適用対象として例に挙げている。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るクレーン1を示す全体図である。
図1に示すように、本実施形態に係るクレーン1は、クローラ式の下部走行体2を有している。この下部走行体2上に上部旋回体3が旋回ユニットを介して縦軸まわりに旋回自在に搭載されている。この上部旋回体3にブーム4、複数のウィンチ5、及びガントリ6を含む吊り上げ設備のほか、キャビン7、カウンタウェイト8等、必要な各種の設備が搭載される。
【0016】
図2は、図1に示すクレーンにおけるガード部40及びデッキ部10を示す側面図である。また、図3は、図2に示すガード部40及びデッキ部10を矢印X方向から見た図である。
図3に示すように、上部旋回体3は、旋回フレーム30(二点差線で模式的に示す)を備えている。この旋回フレーム30は、主たる構成要素として底板31と、当該底板31の左右両側に立設された側板32を備え、全体として平面視で前後に長い長方形状に形成されている。
この旋回フレーム30の左右両側に、図2に示すように、デッキ部10が設けられ、当該デッキ部10の上にガード部40が設けられる。
尚、図2においては、旋回フレーム30の右側に配置されたデッキ部10及びガード部40のみを示しているが、旋回フレーム30の左側のデッキ部についても、ほぼ同様に構成することができるため、説明は省略する。
【0017】
このデッキ部10の上には、エンジンユニット、作動油タンクなどが搭載されており、図2及び図3に示すように、これらの搭載物を側方及び上方から覆うように、ガード部40が設けられている。
【0018】
図4は、図2に示すデッキ部10を示す側面図である。また、図5は、図4に示すデッキ部10を矢印X方向から見た図であり、図6は、図4に示すデッキ部10を矢印Y方向から見た図である。
図4〜図6に示すように、デッキ部10は、第1デッキ構成部材11と第2デッキ構成部材12とを備えている。そして、当該デッキ構成部材11,12の側面に第1プレート13と第2プレート14とが取り付けられている。また、デッキ部10上には、作動油タンク21、エンジンユニット22(二点差線で模式的に示す)などの機器が配置されている。
【0019】
図7は、図4に示すデッキ部10からプレート13,14を取り外した状態を示す側面図である。また、図8は、図7に示すデッキ構成部材を矢印X方向から見た図である。
図7及び図8に示すように、第1デッキ構成部材11は、底板11aと、当該底板11aの縁部に設けられて旋回フレーム30に対してボルトで固定されるブラケット11bと、当該底板11aにおける前記旋回フレーム30とは逆側の縁部に当該底板11aに対して垂直に設けられた側面板11cと、当該底板11aにおける車両前方側に当該底板11aに対して垂直に設けられた端面板11dとを有している。
【0020】
この第1デッキ構成部材11は、キャビン7の後部に近接するように、旋回フレーム30に対して固定されている。また、第1デッキ構成部材11の底板11aの上には、作動油タンク21などが搭載される。
【0021】
第2デッキ構成部材12は、エンジンユニット22を搭載可能に構成されている。具体的には、車両前後方向において所定の間隔を空けて並ぶ3つの梁部材12a,12b,12cを備えている。この3つの梁部材12a,12b,12cは、それぞれ、長手方向が車両幅方向に延びて両端を連結部材12d及び側面板12eで支持されており、長手方向の中間部にエンジンユニット22を固定するためのボルト穴が形成された一対の支持板12f,12g,12hが設けられている。3つの梁部材12a,12b,12cにおける旋回フレーム30側の端部は、車両前後方向に延びる連結部材12dに対して固定されている。当該連結部材12dに固定されたブラケット12jを旋回フレーム30にボルトで固定することで、第2デッキ構成部材12を旋回フレーム30に対して固定することができる。また、3つの梁部材12a,12b,12cの他端(旋回フレーム30側とは逆側の端部)には、当該梁部材12a,12b,12cの長手方向に対して垂直に配置されて車両前後方向に延びる側面板12eが固定されている。また、当該側面板12eの車両後方側の端部と、連結部材12dの車両後方側の端部とは、車両前後方向に直交するように配置される端面板12iで連結されている。
【0022】
クレーンの組み立てにおいて、サブ組み立てを行う場合、まず、当該第1デッキ構成部材11上に作動油タンク21が固定され、その後、当該第1デッキ構成部材11と作動油タンク21とのユニットが、旋回フレーム30に対して適宜位置に固定される。
第2デッキ構成部材12についても同様に、当該第2デッキ構成部材12上にエンジンユニット22が固定され、その後、当該第2デッキ構成部材12とエンジンユニット22とのユニットが、旋回フレーム30に対して適宜位置に固定される。
【0023】
図7及び図8において二点差線で示すように、第1プレート13及び第2プレート14は、両者で、旋回フレーム30に固定された第1デッキ構成部材11及び第2デッキ構成部材12の側面板11c,12e全体を、車両の側方から覆うように、当該側面板11c,12eに対してボルト(キャップスクリュー)で固定されている。
【0024】
第1プレート13は、第1デッキ構成部材11の側面板11cの全部と第2デッキ構成部材12の側面板12eの車両前方側の端部とを覆うように、一端側を第1デッキ構成部材11の側面板11cに、他端側を第2デッキ構成部材12の側面板12eに、ボルトで固定されている。
【0025】
第2プレート14は、第2デッキ構成部材12の側面板12eにおける第1プレート13で覆われていない部分を覆うように、第2デッキ構成部材12の側面板12eに、ボルトで固定されている。
【0026】
具体的には、図4に示すように、第1プレート13及び第2プレート14には、それぞれ、四隅にボルトの軸を貫通可能なボルト穴h1が形成されている(尚、図4においては、固定用のボルトは省略している)。本実施形態において、当該ボルト穴h1の径は約18mmであり、固定のために使用するボルトの軸径(約10mm)よりも大きくなるように形成されている。
【0027】
一方、図7に示すように、第1デッキ構成部材11及び第2デッキ構成部材12の側面板11c,12eには、両プレート13,14のボルト穴に対応する位置に、固定のために使用するボルトの軸を貫通可能なボルト穴h2が形成されているとともに、ボルトの軸をねじ込むことができるナットが設けられている(図10におけるナットn1、n2参照)。当該ナットは、側面板11c,12eに形成されたボルト穴h2と同軸となるように側面板11c,12eの内面(旋回フレーム30側を向く面)に溶接されている。
【0028】
そして、プレート13,14側から、ボルトの軸を、プレート13,14のボルト穴h1及びデッキ構成部材11,12のボルト穴h2に貫通させ、デッキ構成部材11,12のナットに当該ボルトの軸をねじ込むことで、ボルトヘッドとナットとの間で、プレート13,14及び側面板11c,12eを挟みこむ。尚、ボルトヘッドとプレート13,14との間に、外径がボルト穴h1よりも大きく内径がボルトヘッドの外径よりも小さいワッシャを介在させている(図10のボルトb1,b2、ワッシャw1,w2参照)。これにより、プレート13,14をデッキ構成部材11,12の側面に固定することができる。
【0029】
このとき、プレート13,14のボルト穴h1の径は、固定のためのボルトの軸径よりも大きいため、デッキ構成部材11,12の側面上をスライドさせるようにして、ボルト穴h1とボルト軸との隙間の範囲内で、位置を調整することができる。
【0030】
図9は、図2に示すガード部40及びデッキ部10のS−S断面模式図である。また、図10は、図9におけるデッキ部10近傍の拡大図である。
【0031】
図9に示すように、プレート14は、上端において、内側に屈曲している。即ち、図10に示すように、プレート14の上端は、デッキ構成部材12の側面板12eに対向して取り付けられる面に対して垂直な上面を形成するように、90度屈曲して、上側板部14aを構成している。また、プレート14は、下端においても同様に屈曲している。尚、プレート13についても同様に構成される。
本実施形態においては、当該プレート13,14は、デッキ構成部材11,12に固定された状態で、当該デッキ構成部材11,12の側面板11c,12eの側方、上方、及び下方を覆っている。
【0032】
また、プレート13,14の上側板部13a,14aには、ブラケット43がボルトで固定されている。当該ブラケット43は、車両前後方向に直線状に延び、長手方向垂直断面がコの字状の部材である。即ち、当該ブラケット43は、側面板部43aと、当該側面板部43aの上端から90度屈曲した上側板部43bと、当該側面板部43aの下端から90度屈曲して前記上側板部43bと同じ方向に延びる下側板部43cとを有している。そして、ブラケット43は、長手方向垂直断面において、開放側(上側板部43b及び下側板部43cが側面板部43aから屈曲して延びる方向)が、車両外側(旋回フレーム30とは逆側)に向くように、プレート13,14の上側板部13a,14aの上面に固定されている。
【0033】
具体的には、ブラケット43の下側板部43cにボルト穴が形成されている。そして、プレート13,14の上側板部13a,14aにボルト穴が形成されているとともに、ボルトの軸をねじ込むことができるナット(図10におけるナットn3参照)が上側板部13a,14aの下面に溶接されている。そして、ブラケット43の下側板部43cにおける下面を、ブラケット43の上側板部13a,14aにおける上面の所定位置に置き、ブラケット43の開放側から、ボルトの軸をボルト穴に貫通させ、プレート13,14側のナットにボルトの軸をねじ込むことで、ボルトヘッドとナットとで、下側板部43cと上側板部13a,14aとを挟みこんで、ブラケット43をプレート13,14に対して取り付けることができる。
【0034】
尚、直線状に延びるブラケット43をプレート13,14上に固定する際、プレート13の上側板部13aの上面と、プレート14の上側板部14aの上面とが、略水平な同一平面上に位置するように、適宜調整する必要があるが、デッキ構成部材11,12の位置を調整しなくても、プレート13,14の位置を調整すればよいため、ブラケット43の取り付け作業を効率よく行うことができる。
【0035】
また、図2、図9及び図10に示すように、ブラケット43の上側板部43bには、ガード板41を開閉可能に取り付けるための柱部材42が固定される。
柱部材42は、下端にフランジ部42aを備えており、当該フランジ部42aがボルトでブラケット43の上側板部43bに固定されることで、当該柱部材42の位置が固定される。
【0036】
図2に示すように、当該柱部材42は、車両前後方向において所定の間隔を空けて、5本設けられており、これらの柱部材42の間にガード板41(全部で4枚)が配置される。ガード板41は、車両前後方向における一端側が、柱部材42を支軸として回動可能となるように、隣接する柱部材42に対して取り付けられている。尚、ガード板41が閉じた状態で、当該ガード板41が開かないようロックできるように構成されている。
【0037】
このように、ブラケット43と、5本の柱部材42と、4枚のガード板41とで、デッキ部10に搭載されたエンジンユニット22、作動油タンク21などを、側方から全て覆うガード部40が構成されている。
尚、本実施形態においては、ガード部40は、図3に示すように、作動油タンク21及びエンジンユニット22の上方を覆う板状の屋根部材44を備えているが、この構成に限らず、屋根部材44を有さない構成であってもよい。
【0038】
また、クレーン1を組み立てる際、上記ガード部40を全て組み立てた状態で、当該ガード部40をプレート13,14に対して取り付けることで、効率よく作業を行うことが可能である。
【0039】
(実施形態の効果)
(1)以上説明したように、本実施形態に係るクレーン1は、下部走行体2と、下部走行体2上に旋回自在に搭載された旋回フレーム30と、車両の前後方向に並ぶように旋回フレーム30に対してそれぞれ固定された2つのデッキ構成部材11,12と、デッキ構成部材11,12における旋回フレーム30側とは逆側を向く側面(側面板11c,12eの外面)に対し、当該側面に沿って位置調整可能に固定されるプレート13,14(調整部材)と、デッキ構成部材11,12上に搭載された機器を側方から覆うようにプレート13,14に固定されたガード部40と、を備えている。
【0040】
この構成によると、2つのデッキ構成部材11,12を有することにより、当該デッキ構成部材11,12に予め機器を搭載し、その後、機器が搭載されたデッキ構成部材11,12をそれぞれ、旋回フレーム30に固定する組み立て方法(サブ組み立て)を行うことができる。
更に、プレート13,14にガード部40が固定されるため、ガード部40搭載のために、デッキ構成部材11,12の位置を微調整することは不要になる。つまり、当該プレート13,14は、デッキ構成部材11,12に対して位置調整可能であるので、組み立ての際に、デッキ構成部材11,12の位置がずれていたとしても、適切な位置に配置することが可能である。
これにより、クレーン1を組み立てるための作業性を向上させることができる。
【0041】
(2)プレート13,14にはボルト穴h1(貫通穴)が形成されており、ボルトの軸部を、当該ボルト穴h1、及び、デッキ構成部材11,12の側面板11c,12eに形成されたボルト穴h2に通して、デッキ構成部材11,12の側面板11c,12eに設けられたナットのネジ穴にねじ込むことにより、ボルトヘッドとナットとの間で、プレート13,14及び側面板11c,12eを挟みこんでいる。これにより、プレート13,14がデッキ構成部材11,12の側面に対して固定されている。
プレート13,14に形成されたボルト穴h1は、径(直径)が、ボルトの軸部の径(直径)よりも約8mm大きくなるように形成されている。
【0042】
この構成によると、プレート13,14をデッキ構成部材11,12に対して位置調整する構成が、簡易な構成で実現できる。
また、クレーン1の側方からボルトを差し込むことで、プレート13,14をデッキ構成部材11,12の側面に固定することができるため、取り付け作業が容易である。
【0043】
尚、本実施形態のように、プレート13,14に形成されたボルト穴h1の径を固定用のボルトの軸部の径よりも大きくすることで、固定用のボルトの軸部とボルト穴h1との間に隙間を設け、
プレート13,14を位置調整可能に構成する場合に限定されない。
例えば、デッキ構成部材11,12の側面板11c,12eに固定用のボルトの軸部よりも大きい径のボルト穴を形成し、側面板11c,12eの内面側(旋回フレーム30側)から当該ボルト穴にボルトの軸部を貫通させ、プレート13,14側で、当該ボルトの軸部を固定できる(ねじ込むことができる)構成であってもよい。
【0044】
(3)プレート13,14は、これらの2枚のプレートで、2つのデッキ構成部材11,12の側面を全て覆うように、当該デッキ構成部材11,12の側面に対して固定されている。
【0045】
この構成によると、デッキ構成部材11,12の側面がプレート13,14に覆われるため、当該デッキ構成部材11,12の側面が露出することでクレーン1の美観を損なうことを防止できる。
【0046】
尚、プレート13は、第1デッキ構成部材11と第2デッキ構成部材12とに跨って配置されており、第1デッキ構成部材11と第2デッキ構成部材12との間の空間についても側方から覆われている。これにより、クレーン内部の部材が側方に露出せず、より美観を高めることができ、かつ、デッキ部10の強度を向上させることができる。
【0047】
また、2枚のプレート13,14を用いる場合に限らず、1枚のプレートで、デッキ構成部材11,12の側面を全て覆うように構成することで、プレート間の位置調整を不要とすることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、クローラクレーン等のクレーンの組み立てを効率よく行うために利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 クレーン
2 下部走行体
30 旋回フレーム
10 デッキ部
11、12 デッキ構成部材
13、14 プレート(調整部材)
h1 ボルト穴(貫通穴)
40 ガード部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体上に旋回自在に搭載された旋回フレームと、
車両の前後方向に並ぶように前記旋回フレームに対してそれぞれ固定された複数のデッキ構成部材と、
前記デッキ構成部材における前記旋回フレーム側とは逆側を向く側面に対し、当該側面に沿って位置調整可能に固定される調整部材と、
前記デッキ構成部材上に搭載された機器を側方から覆うように前記調整部材に固定されたガード部と、
を備えるクレーン。
【請求項2】
前記調整部材には貫通穴が形成されており、ボルトの軸部を、当該貫通穴に通して前記デッキ構成部材の側面に開口するように設けられたネジ穴にねじ込むことにより前記調整部材が前記デッキ構成部材の側面に対して固定されており、
前記貫通穴は、径が、前記ボルトの軸部の径よりも少なくとも1mm以上大きくなるように形成されている
請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記調整部材は、前記複数のデッキ構成部材の側面を全て覆うように、当該デッキ構成部材の側面に対して固定されたプレートである
請求項1又は2に記載のクレーン。
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体上に旋回自在に搭載された旋回フレームと、
車両の前後方向に並ぶように前記旋回フレームに対してそれぞれ固定された複数のデッキ構成部材と、
前記デッキ構成部材における前記旋回フレーム側とは逆側を向く側面に対し、当該側面に沿って位置調整可能に固定される調整部材と、
前記デッキ構成部材上に搭載された機器を側方から覆うように前記調整部材に固定されたガード部と、
を備えるクレーン。
【請求項2】
前記調整部材には貫通穴が形成されており、ボルトの軸部を、当該貫通穴に通して前記デッキ構成部材の側面に開口するように設けられたネジ穴にねじ込むことにより前記調整部材が前記デッキ構成部材の側面に対して固定されており、
前記貫通穴は、径が、前記ボルトの軸部の径よりも少なくとも1mm以上大きくなるように形成されている
請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記調整部材は、前記複数のデッキ構成部材の側面を全て覆うように、当該デッキ構成部材の側面に対して固定されたプレートである
請求項1又は2に記載のクレーン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−1159(P2011−1159A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144929(P2009−144929)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
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