説明

クレーン

【課題】クレーン仕様とタワークレーン仕様とで仕様を変更する際の作業効率が良好なクレーンを提供する。
【解決手段】バックストップ50の端部521に着脱可能であって端部521に装着されるとバックストップ50の全長を延長するアダプタ54を設けるように構成した。そして、アダプタ54が、バックストップ50の端部521に回動可能に軸支されて、端部521に装着される第1の姿勢と、端部521から退避した第2の姿勢をとりうるように構成した。これにより、ブーム3およびバックストップ50をクレーン仕様とタワークレーン仕様で共用する場合に、バックストップ50の長さを容易に変更できるので、クレーン仕様とタワークレーン仕様とで仕様を変更する際の作業効率が向上する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックストップを有するクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばタワークレーン作業時とクレーン作業時とでブームとバックストップとを共用するクレーンでは、タワークレーン作業時とクレーン作業時の最大起伏角度(起伏自動停止角度)が異なる。そのため、クレーン作業の場合には、タワークレーン作業の場合に比べてバックストップの長さを長くする必要がある。そこで、バックストップの長さを切り替え可能な構造としたクレーンが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−290790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献に記載のクレーンでは、外筒に対して伸縮可能に挿通される長さ可変筒の突出量を変更することでバックストップの長さを切り替えている。しかし、上述した特許文献に記載のクレーンでは、ブームおよびバックストップを倒した状態でバックストップの長さを切り替えるが、このとき、外筒に対して長さ可変筒を主に横方向に移動させることとなる。この長さ可変筒の作業は、補助クレーン等で行われる。しかし、補助クレーン等、主として荷を上下方向に移動させる作業機械では、長さ可変筒を横方向に移動させ難い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明によるクレーンは、走行体と、走行体上に旋回可能に設けられる上部旋回体と、上部旋回体に起伏可能に支持されるブームと、上部旋回体およびブームのいずれか一方に一端が回動可能に軸支され、上部旋回体に対するブームの起立角度が所定の角度に達すると、上部旋回体およびブームのいずれか他方に設けられた当接部に他端が当接することで、上部旋回体に対するブームの回動範囲を規制するバックストップとを備え、バックストップは、他端に着脱可能であって他端に装着されるとバックストップの全長を延長するアダプタを有し、アダプタは、バックストップの他端に回動可能に軸支されて、他端に装着される第1の姿勢と、他端から退避した第2の姿勢をとりうることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載のクレーンにおいて、バックストップは、当接ピンと、他端に設けられて当接ピンが挿入される挿入孔とを有し、当接ピンは、挿入孔に挿入されて固定され、起立角度が所定の角度に達すると、当接部に当接して、上部旋回体に対するブームの回動範囲を規制し、挿入孔は、他端に装着されたアダプタを他端に固定するためのアダプタ固定ピンが挿入されることを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のクレーンにおいて、一端は、上部旋回体に回動可能に軸支され、当接部は、ブームに設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、他端に着脱可能であって他端に装着されるとバックストップの全長を延長するアダプタを備えるように構成した。そして、アダプタが、バックストップの他端に回動可能に軸支されて、他端に装着される第1の姿勢と、他端から退避した第2の姿勢をとりうるように構成した。これにより、バックストップの全長を容易に変更できるので、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態に係るクレーンをタワークレーンとしての使用する時の外観側面図である。
【図2】本実施の形態に係るクレーンをクレーンとしての使用する時の外観側面図である。
【図3】アダプタ54を外筒52の側方に退避させた状態におけるバックストップ50の外観図である。
【図4】外筒52の外観図である。
【図5】アダプタ54の外観図である。
【図6】外筒52の端部521近傍を拡大した外観図である。
【図7】外筒52の端部521近傍を拡大した外観図である。
【図8】アダプタ54を外筒52の端部521に装着した状態におけるバックストップ50の外観図である。
【図9】ブーム3に設けられたブラケット30の近傍を示す側面図である。
【図10】タワークレーン作業時の支持機構60の近傍を示す側面図である。
【図11】クレーン作業時におけるブーム3の起伏角度とバックストップ50の状態との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜11を参照して、本発明によるクレーンの一実施の形態について説明する。図1,2は、本実施の形態に係るクレーンの外観側面図である。図1は、タワークレーンとして使用する時の外観側面図であり、図2は、クレーンとして使用する時の外観側面図である。クレーンは、下部走行体1と、その上方に旋回可能に設置された上部旋回体2と、上部旋回体2に起伏動可能に軸支されているブーム3とを備えている。なお、以下の各図では、ブーム3については基端部分を示し、基端部分よりも先の部分についての図示を省略する。上部旋回体2には、運転室5と、カウンタウエイト6と、クレーン前後方向に並んで設置された第1ドラム7、第2ドラム8a、第3ドラム8b、起伏ドラム9とが設けられている。
【0009】
本実施の形態によるクレーンは、たとえば下部走行体1と、上部旋回体2と、ブーム3と、カウンタウエイト6とを分解して輸送するような大型クレーンである。また、タワークレーン作業(図1参照)とクレーン作業(図2参照)においてブーム3とバックストップ50とを共用する。バックストップ50は、一端(下端)50aが上部旋回体2のブラケット70に回動可能に軸支されている。バックストップ50は、ブーム3の起伏角度が所定角度以上になるとその他端(上端)50bがブーム3のブラケット30に係合してバックストップとしての機能を発揮する。すなわち、バックストップ50は、最大起伏角度以上に回動しないようにブーム3の回動範囲を機械的に制限する。なお、ブーム3が最大起伏角度まで起伏すると、図示しない起伏自動停止装置が働き、ブーム起伏が自動停止する。
【0010】
上部旋回体2の前部に取り付けられたブーム3の基端部後方には、回動可能にマスト4が軸支されている。マスト4の先端部とブーム3の上端部との間にはペンダントロープ12が張設されている。マスト4の先端部に設けたシーブ13と、起伏ドラム9の後方に設けたシーブ14との間には、起伏ドラム9に巻き回された起伏ロープ15が複数回掛け回されている。起伏ドラム9の駆動により起伏ロープ15が巻き取りまたは繰り出されてマスト4が回動し、ペンダントロープ12を介してブーム3が起伏する。
【0011】
クレーンとして使用する場合には、ブーム3の先端部からは不図示のワイヤロープを介して不図示のフックが吊り下げられる。ワイヤロープはフロントドラム7の駆動により巻き取りまたは繰り出され、これによりフックが昇降する。
【0012】
タワークレーンとして使用する場合には、ブーム3の上端部には回動可能に不図示のジブが軸支され、ジブ先端部から不図示のジブ吊り用フックが吊り下げられる。
【0013】
−−−バックストップ装置について−−−
バックストップ装置は、下端が上部旋回体2のブラケット70にピン連結される左右一対のバックストップ50と、それぞれのバックストップ50の上端をブーム3のブラケット35に連結して支持する支持機構60と、ブーム3に設けられ、ブーム3が所定角度以上になるとバックストップ上端を固定部に位置決めするブラケット30とを備える。
【0014】
上述したとおり、本実施の形態ではバックストップ50をクレーン仕様とタワークレーン仕様で共用する。しかし、タワークレーン作業時(図1)とクレーン作業時(図2)とではブーム3の最大起伏角度θ3およびθ13が異なる。そこで、本実施の形態では、以下に詳述するように、バックストップ50の長さを切り替え可能とした。そして、クレーン作業時にはタワークレーン作業時よりもバックストップ50の長さを長くするようにしている。
【0015】
図3はバックストップ50の外観図であり、図4は外筒52の外観図であり、図5はアダプタ54の外観図である。なお、図3(a)、図4(a)、図5(a)は側面図であり、図3(b)、図4(b)、図5(b)は上面図である。図3(a),(b)に示すように、バックストップ50は、内筒51と、内筒51が挿入される外筒52と、内筒51に巻き回されたばね53と、外筒52の上端に着脱可能なアダプタ54とを備える。内筒51の図示左側の端部511、すなわちバックストップ50の下端50aには、上部旋回体2のブラケット70とピン連結される際にピンが挿入されるピン孔512が設けられている。
【0016】
図3,4に示すように、外筒52には、支持機構60を介してバックストップ50をブーム3の基端側のブラケット35に装着する装着部525が設けられている。また、外筒52の図示右側の端部521、すなわち、バックストップ50の上端50bにはピン(当接ピン)56が回転可能に挿入されるピン孔522が設けられている。なお、ピン孔522に挿入されたピン56には、不図示の抜け止めが施されている。後述するように、タワークレーン作業時にブーム3の起伏角度が大きくなると、ピン孔522に挿入されたピン56がブラケット30と当接する。
【0017】
端部521には、後述するアダプタ54を回動可能に軸支するためにピン孔523と、端部521から外筒52の側方に退避させたアダプタ54を係止するための係止ブラケット524とが設けられている。係止ブラケット524には、アダプタ54をピンで係止するためのピン孔524aが設けられている。
【0018】
図6,7は外筒52の端部521近傍を拡大した外観図である。なお、図6はアダプタ54を外筒52の側方に退避させた状態を示す図であり、図6(a)は側面図であり、図6(b)は上面図である。図7はアダプタ54を外筒52の端部521に装着した状態を示す図であり、図7(a)は側面図であり、図7(b)は上面図である。
【0019】
図5に示すように、アダプタ54は、ピン孔541と、軸支孔542と、回動軸孔543と、係止孔545とを備えている。ピン孔541は、ピン56が回転可能に挿入される孔であり、アダプタ54の図示右側の端部近傍に設けられている。なお、ピン孔541に挿入されるピン56には、不図示の抜け止めが施される。図7(a),(b)に示すように、アダプタ54が外筒52の端部521に装着されている場合、すなわちクレーン作業時には、後述するように、ブーム3の起伏角度が大きくなると、ピン孔541に挿入されたピン56がブラケット30と当接する。
【0020】
軸支孔542は、図7(a),(b)に示すように、アダプタ54が外筒52の端部521に装着されたときにピン56が挿入される孔であり、ピン孔541よりも図5,7における図示左側に設けられている。なお、アダプタ54が外筒52の端部521に装着されると、クレーンを側方から見たときに、軸支孔542の位置が外筒52のピン孔522の位置と略一致する。回動軸孔543は、アダプタ54を外筒52に対して回動可能に軸支するための孔である。回動軸孔543と、外筒52のピン孔523とにピン57が挿通されることにより、アダプタ54は外筒52に対して回動可能に軸支される。
【0021】
係止孔545は、端部521から退避させたアダプタ54を外筒52の側方に係止するための孔である。アダプタ54を外筒52の側方に退避させると、クレーンを側方から見たときに、係止孔545の位置が外筒52の係止ブラケット524のピン孔524aの位置と略一致する。図6(a),(b)に示すように、係止孔545と、外筒52の係止ブラケット524のピン孔524aとにピン58が挿通されることにより、アダプタ54は外筒52の側方で保持される。このとき、バックストップ50の全長は、図3に示すように、内筒51の図示左側の端部511のピン孔512から外筒52の図示右側の端部521のピン孔522までの長さに等しい。
【0022】
外筒52の側方に退避させたアダプタ54を外筒52の端部521に装着するには、図6(a),(b)に示す、係止孔545とピン孔524aとに挿通されたピン58、および、端部521のピン孔522に挿入されたピン56をそれぞれ不図示の抜け止めを外して引き抜く。そして、ピン孔523(回動軸孔543)に挿通されたピン57を中心にアダプタ54を図示時計方向に回動させて、アダプタ54を外筒52の端部521に装着する。その後、ピン孔522および軸支孔542にピン56を挿通させてアダプタ54を外筒52の端部521に固定する。なお、ピン孔522および軸支孔542に挿通したピン56には、不図示の抜け止めを施す。
【0023】
アダプタ54を外筒52の端部521に装着した場合、バックストップ50の全長は、図8(a),(b)に示すように、内筒51の図示左側の端部511のピン孔512からアダプタ54のピン孔541までの長さに等しい。すなわち、アダプタ54を外筒52の端部521に装着すると、バックストップ50の全長は、アダプタ54を外筒52の側方に退避させているときと比べて、外筒52の端部521のピン孔522からアダプタ54のピン孔541までの長さLaの分だけ長くなる(図7(a)参照)。
【0024】
図9は、ブーム3に設けられたブラケット30の近傍を示す側面図である。ブラケット30は、案内部32と、固定部34とを有する。案内部32は、ブーム3が起立していく際に、離間していたバックストップ50のピン56を後述する固定部34へ導くための部位である。固定部34は、ブーム起伏角度が所定値になるとバックストップ50のピン56が当接して、これを係合する部位(当接部)である。
【0025】
図10は、タワークレーン作業時の支持機構60の近傍を示す側面図である。支持機構60は、一端がバックストップ50のブラケット525にピン連結される支持筒61と、ブーム基端のブラケット35にピン連結され、支持筒61の他端側を摺動可能に支持する筒支持具62とを備えている。このような支持機構60は、支持筒61が筒支持具62との間で伸縮する。
【0026】
以下、クレーン作業時およびタワークレーン作業時のバックストップ50の動作を説明する。
(1) クレーン作業時
上述したように、クレーン作業時のバックストップ50の長さは、タワークレーン作業時よりも長い。そこで、図7,8に示すように、アダプタ54を外筒52の端部521に装着しておく。図11は、クレーン作業時におけるブーム3の起伏角度とバックストップ50の状態との関係を説明する図である。図11は、矢印A、B、C、Dでそれぞれ指し示す異なる起伏角度におけるブーム3およびバックストップ50の状態を示す図であり、A,B,C,Dの順に起伏角度が大きくなる。
【0027】
矢印A、Bでそれぞれ指し示した、起伏角度が小さい場合には、アダプタ54の上端側のピン56はブラケット30と離間している。この状態からブーム3が起立すると、矢印Cで指し示す状態のように、アダプタ54の上端側のピン56がブラケット30の案内部32に当接する。この状態からブーム3がさらに起立すると、アダプタ54の上端側のピン56がブラケット30の案内部32で案内されて固定部34へ導かれる。
【0028】
アダプタ54の上端側のピン56が固定部34に当接して係合されて、その位置が固定されてもなお、ブーム3が起立すると、内筒51が外筒52に挿入され始め、ばね53が収縮を開始する。矢印Dで指し示した状態では、不図示の起伏自動停止装置が働いてブーム3が停止した状態を示している。このとき、ばね53の収縮量は最大となり、ばね力でブーム3を前方に付勢している。
【0029】
(2) タワークレーン作業時
上述したように、タワークレーン作業時のバックストップ50の長さは、クレーン作業時よりも短い。そこで、図3,6で図示するように、アダプタ54を外筒52の側方に退避させておく。
【0030】
図示はしないが、上述したクレーン作業時の場合と同様に、ブーム3の起伏角度が小さい場合には、外筒52の端部521のピン56はブラケット30と離間している。ブーム3が起立するにつれて、端部521のピン56がブラケット30の案内部32に当接し始める。この状態からブーム3がさらに起立すると、端部521のピン56がブラケット30の案内部32で案内されて固定部34へ導かれる。
【0031】
端部521のピン56が固定部34に当接して係合されて、その位置が固定されてもなお、ブーム3が起立すると、内筒51が外筒52に挿入され始め、ばね53が収縮を開始する。不図示の起伏自動停止装置が働いてブーム3が停止した状態では、ばね53の収縮量は最大となり、ばね力でブーム3を前方に付勢している。なお、不図示の起伏自動停止装置が働いてブーム3が停止した状態では、ばね53の収縮量は上述したクレーン作業時の場合と同じである。したがって、不図示の起伏自動停止装置が働いてブーム3が停止した状態におけるバックストップ50の全長は、上述したクレーン作業時の場合と比べて、アダプタ54がない分だけ、すなわち図7(a)における長さLaだけ短い。
【0032】
本実施の形態のクレーンでは、次の作用効果を奏する。
(1) バックストップ50の端部521に着脱可能であって端部521に装着されるとバックストップ50の全長を延長するアダプタ54を設けるように構成した。そして、アダプタ54が、バックストップ50の端部521に回動可能に軸支されて、端部521に装着される第1の姿勢と、端部521から退避した第2の姿勢をとりうるように構成した。これにより、ブーム3およびバックストップ50をクレーン仕様とタワークレーン仕様で共用する場合に、バックストップ50の長さを容易に変更できるので、クレーン仕様とタワークレーン仕様とで仕様を変更する際の作業効率が向上する。また、アダプタ54が、バックストップ50の端部521に回動可能に軸支されているので、補助クレーン等、主として荷を上下方向に移動させる作業機械で容易にアダプタ54の姿勢を変更できる。
【0033】
(2) 外筒52の端部521のピン孔522に挿通されたピン56が、クレーン作業時にはアダプタ54を固定し、タワークレーン作業時にはブラケット30の案内部32で案内されて固定部34に当接することでブーム3の回動範囲を制限するように構成した。これにより、クレーン仕様とタワークレーン仕様とでアダプタ54を着脱するための構造が簡単となり、コストアップを抑制できる。また、アダプタ54の着脱が容易となるので、作業効率が向上する。
【0034】
(3) バックストップ50の下端50aが上部旋回体2のブラケット70に回動可能に軸支されるように構成した。これにより、ブーム3のブラケット35または外筒52の装着部525から支持機構60を外すだけで、バックストップ50とブーム3とを切り離すことができるので、ブーム3の輸送高さを抑制でき、ブーム3の輸送が容易となる。
【0035】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、バックストップ50の下端50aが上部旋回体2のブラケット70に回動可能に軸支されるように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、バックストップ50の内筒51と外筒52の上下の位置を入れ替え、上端側をブーム3に設けたブラケットに回動可能に軸支されるように構成し、バックストップ50の下端に着脱可能なアダプタ54を備えるように構成してもよい。この場合、上部旋回体2からブーム3を分解すると、バックストップ50も上部旋回体2から分解される。また、ブーム3とバックストップ50を一体のまま輸送すれば、組立時にブーム3を上部旋回体2に取り付けるだけでよく、バックストップ組立作業が不要である。したがって、大型クレーンの輸送に伴う分解・組立性が向上する。
【0036】
(2) 上述の説明では、外筒52の端部521のピン孔522に挿通されたピン56が、クレーン作業時のアダプタ54を固定するとともに、タワークレーン作業時のバックストップ50の全長を規定するように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、クレーン作業時のアダプタ54を固定するピンが、タワークレーン作業時に固定部34に当接するピン(すなわち、バックストップ50の全長を規定するピン)と異なっていてもよい。
【0037】
(3) 上述の説明では、外筒52の端部521の上側に設けられたピン孔523に挿通されたピン57を中心にアダプタ54を地面と垂直な平面内で回動させるように構成したが、本発明はこれに限定されない。アダプタ54が、端部521に装着される第1の姿勢と、端部521から退避した第2の姿勢をとりうるように構成されていれば、ピン孔523の位置は外筒52の端部521の上側以外の位置(たとえば側方や下側)であってもよい。
(4) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、走行体と、走行体上に旋回可能に設けられる上部旋回体と、上部旋回体に起伏可能に支持されるブームと、上部旋回体およびブームのいずれか一方に一端が回動可能に軸支され、上部旋回体に対するブームの起立角度が所定の角度に達すると、上部旋回体およびブームのいずれか他方に設けられた当接部に他端が当接することで、上部旋回体に対するブームの回動範囲を規制するバックストップとを備え、バックストップは、他端に着脱可能であって他端に装着されるとバックストップの全長を延長するアダプタを有し、アダプタは、バックストップの他端に回動可能に軸支されて、他端に装着される第1の姿勢と、他端から退避した第2の姿勢をとりうることを特徴とする各種構造のクレーンを含むものである。
【符号の説明】
【0039】
1 下部走行体 2 上部旋回体
3 ブーム 30 ブラケット
34 固定部 35 ブラケット
50 バックストップ 51 内筒
52 外筒 54 アダプタ
56 ピン(当接ピン) 60 支持機構
70 ブラケット 521 端部
522 ピン孔 542 軸支孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体上に旋回可能に設けられる上部旋回体と、
前記上部旋回体に起伏可能に支持されるブームと、
前記上部旋回体および前記ブームのいずれか一方に一端が回動可能に軸支され、前記上部旋回体に対する前記ブームの起立角度が所定の角度に達すると、前記上部旋回体および前記ブームのいずれか他方に設けられた当接部に他端が当接することで、前記上部旋回体に対する前記ブームの回動範囲を規制するバックストップとを備え、
前記バックストップは、前記他端に着脱可能であって前記他端に装着されると前記バックストップの全長を延長するアダプタを有し、
前記アダプタは、前記バックストップの他端に回動可能に軸支されて、前記他端に装着される第1の姿勢と、前記他端から退避した第2の姿勢をとりうることを特徴とするクレーン。
【請求項2】
請求項1に記載のクレーンにおいて、
前記バックストップは、当接ピンと、前記他端に設けられて前記当接ピンが挿入される挿入孔とを有し、
前記当接ピンは、前記挿入孔に挿入されて固定され、前記起立角度が前記所定の角度に達すると、前記当接部に当接して、前記上部旋回体に対する前記ブームの回動範囲を規制し、
前記挿入孔は、前記他端に装着された前記アダプタを前記他端に固定するためのアダプタ固定ピンが挿入されることを特徴とするクレーン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のクレーンにおいて、
前記一端は、前記上部旋回体に回動可能に軸支され、
前記当接部は、前記ブームに設けられていることを特徴とするクレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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