説明

クロック周波数オフセットに起因する2つのトランシーバ間の双方向測距の誤差を低減するための方法

【課題】周波数オフセットに起因するトランシーバ間の双方向測距の誤差を低減する。
【解決手段】第1のトランシーバが、要求フレームを送信し応答フレームを受信する間の時間CA1と、応答フレームの最初の情報ビットを受信し応答フレームの最後の情報ビットを受信する間の時間CA2とを測定する。第2のトランシーバが、要求フレームを受信し応答フレームの最後の情報ビットを送信する間の時間CB2と、要求フレームの最初の情報ビットを受信し要求フレームの最後の情報ビットを受信する間の時間CB1とを測定する。補正係数





により適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的には無線通信システムに関し、より詳細には、無線測距として知られている双方向測距を用いてトランシーバ間の距離を求めることに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示されるように、無線ネットワークのための従来の通信フレーム100は、フィールドとして、プリアンブル110、フレーム開始デリミタ(SFD)120、物理層ヘッダ(PHY)130及び物理層サービスデータユニット(PSDU)140を含む。
【0003】
PSDUは典型的にはペイロードを含む。参照により援用されるIEEE802.15.4a−D7標準規格(2006年11月)を参照されたい。プリアンブル110は、捕捉及び測距のために用いることができる。SFD120はフレーム同期のために用いられる。SFDの検出は、PHY130及びPSDU140の先頭を指示する。フレーム100はT160の持続時間を有し、PHY及びPSDUの持続時間はT150である。
【0004】
図2は、従来の測距方法を示す。無線通信ネットワーク内の第1のトランシーバA210と第2のトランシーバB220との間の距離を推定するために、第1のトランシーバA210は、第2のトランシーバB220に要求フレームを送信する(201)。図2は、トランシーバAのための時間軸240及びトランシーバB220のための時間軸250も示す。トランシーバA210は、トランシーバA210のクロックに従って要求フレームが送信された時刻tを記録する。要求フレームを受信すると、トランシーバB220は、トランシーバA210に応答フレームを送信する(202)。トランシーバA210は、そのクロックに従って、応答フレームの到着時刻(TOA)tを測定する。
【0005】
要求フレームを受信してから応答フレームを送信するまでの間のトランシーバB220における遅延はTta250である。トランシーバB220は、タイムスタンプ報告において、トランシーバA210に遅延250を送信する(205)。トランシーバA210とトランシーバB220との間の距離Dの推定値は、以下(1)式のように、往復にかかる時間TroundA270からトランシーバB220における遅延を引いた値を2で割って、光の速度を掛けた値である。
【0006】
【数1】

【0007】
対応する一方向の飛行時間T260は以下の(2)式のとおりである。
【0008】
【数2】

【0009】
IEEE802.15.4a標準規格ドラフト7の方法において規定されるような従来の方法は、トランシーバのクロック間の周波数オフセットに起因する誤差を取り扱わない。実際には、実用的な用途では、TroundA及びTtaの測定値は、周波数オフセットに起因して、その真の値とは異なる。トランシーバA210のクロック許容偏差はeであり、トランシーバB220のクロック許容偏差はeである。
【0010】
クロック許容偏差を計算に入れた後、一方向の飛行時間Tハットは以下の(3)式のようになる。
【0011】
【数3】

【0012】
残留誤差etwは、理想的なクロックによる飛行時間推定値と、許容偏差e及びeを有するクロックによる飛行時間推定値との間の差である。その際、以下の(4)式が成り立つ。
【0013】
【数4】

【0014】
一般的には、Tta>>Tである。それゆえ、(4)式は以下の(5)式のように近似される。
【0015】
【数5】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
残留誤差etwを低減することが望ましい。それゆえ、クロック周波数オフセットが距離誤差に及ぼす影響を低減するための仕組みが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、無線トランシーバ間の双方向測距におけるクロック周波数オフセットに起因する測距誤差を低減するための方法を提供し、その方法は、双方向の到着時刻の測定値を用いて、クロック周波数オフセットが2つのデバイス間の距離推定値に及ぼす影響を最小限に抑える。
【0018】
第1のトランシーバが、要求フレームを送信すること及び応答フレームを受信することの間の時間CA1と、応答フレームの最初の情報ビットを受信すること及び応答フレームの最後の情報ビットを受信することの間の時間CA2とを測定する。
【0019】
第2のトランシーバが、要求フレームを受信すること及び応答フレームの最後の情報ビットを送信することの間の時間CB2と、要求フレームの最初の情報ビットを受信すること及び要求フレームの最後の情報ビットを受信することの間の時間CB1とを測定する。
【0020】
補正係数α=√(CB1/CA2)が、CB2ハット=CB2/αにより適用され、一方向への飛行時間は、Tハット=(CA1−CB2ハット)/2×Tであり、Tはトランシーバのクロックの理想的な周期である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態は、無線通信ネットワーク内の第1のトランシーバAと第2のトランシーバBとの間の距離を推定するための双方向測距方法を提供する。その方法は、トランシーバのクロック内の周波数オフセットに起因する誤差を低減する。
【0022】
図3に示されるように、要求フレーム300が、フィールドとして、プリアンブル301、フレーム開始デリミタ(SFD)302、物理層ヘッダ(PHY)303及び要求物理層サービスデータユニット(PSDUrequest)304を含む。PHY303及びPSDUrequest304は、要求フレーム300のデータ又は情報ビットを搬送することができる。データ又は情報ビットのフィールド303及び304の持続時間は、Tframe1350によって表される。
【0023】
図4に示されるように、応答フレーム400が、プリアンブル301、フレーム開始デリミタ(SFD)302、物理層ヘッダ(PHY)403及び応答物理層サービスデータユニット(PSDUreply)404を含む。応答フレームのデータ又は情報ビットのフィールド403及び404の持続時間は、Tframe2450である。
【0024】
情報ビットのための持続時間Tframe1350及びTframe2450は異なり得る。しかしながら、本明細書の説明を簡単にするために、Tframe1350及びTframe2450の両方のための持続時間はまとめて、Tframeによって表すことができる。
【0025】
図5は、本発明の一実施形態による測距方法のタイミング図である。その方法のブロック図が図6に示される。図7は、方法のステップを示す。トランシーバA510は送信クロック511を含み、トランシーバB520は受信クロックB512を含む。
【0026】
理想的なクロック周期(サイクル)はTである。クロック周期は、クロックの水晶振動子の周波数によって決定される。理想的なクロック周波数は製造業者によって指定される。しかしながら、実際のシステムでは、クロック周波数は、たとえば、製造時の不整合、又は環境条件に起因して、理想的な周波数からオフセットされることがある。それゆえ、トランシーバA510の実際のクロック周期はTであり、トランシーバB520の実際のクロック周期はTである。この周波数オフセットに起因する誤差を最小限に抑えることが望ましい。
【0027】
図6に示されるように、トランシーバA510は要求フレームをトランシーバB520に送信する。このとき、フレーム開始フィールド及びフレーム終了フィールドのための図6中の差込図300を参照されたい。要求フレーム300のSFD302が第1のトランシーバのアンテナ700によって放出されるときに、トランシーバA510は、第1の送信カウンタAを始動する(740)。
【0028】
要求フレームは第2のトランシーバB520において受信される。トランシーバB520は、第2のトランシーバB520のアンテナ720において要求フレーム300のSFD302の終了を検出するときに、第1の受信カウンタB及び第2の受信カウンタBを始動する(770)。
【0029】
トランシーバB520は、要求PSDU304の最後にある、要求フレーム300の最後の情報ビットを受信するときに、その第1の受信カウンタBを停止する(730)。
【0030】
トランシーバB520は、第1の受信カウンタBの開始値と停止値との間の差を求める。第1の受信カウンタBは、持続時間CB1703を測定する。ただし、以下の(6)式が成り立つ。
【0031】
【数6】

【0032】
トランシーバB520は応答フレーム400を準備し、応答フレームをトランシーバA510に送信する。
【0033】
トランシーバB520は、応答フレーム400のSFD302の終わりが、そのアンテナ720によって放出されるときに、第2の受信カウンタBを停止する(760)。第2の受信カウンタBの開始値と停止値との間の差はCB2704として表され、それは、以下の(7)式のように、ターンアラウンド時間を測定する。
【0034】
【数7】

【0035】
ただし、Ttaは、理想的なクロック周期による真のターンアラウンド時間である。
【0036】
ステップ750では、トランシーバA510は、受信した応答フレーム400のSFD302の終わりを検出するときに、その第1の送信カウンタAを停止し、第2の送信カウンタAを始動する。
【0037】
第1の受信カウンタAの開始値と停止値との間の差CA1701は以下の(8)式に対応する。
【0038】
【数8】

【0039】
ただし、TはトランシーバA510からトランシーバB520への一方向のフレーム飛行時間である。
【0040】
トランシーバA510は、アンテナ700において受信した応答フレーム400のPSDUreply404の最後のビットを受信するときに、第2の送信カウンタAを停止する(780)。第2の送信カウンタAの開始値と停止値との間の差はCA1702として表され、それは以下(9)式で示される時間を測定する。
【0041】
【数9】

【0042】
トランシーバB520は、タイムスタンプ報告500において、カウンタ値CB1703及びCB2704をトランシーバA510に送信する。
【0043】
トランシーバA510は、CB1及びCA2の比の平方根として補正係数
【0044】
【数10】

【0045】
705を求める。式(6)を式(9)で割った後に、以下の式が明らかになる。
【0046】
【数11】

【0047】
トランシーバA510は、CB2704を補正係数α705で割ることによって、推定値CB2ハット707を求める。
【0048】
飛行時間推定値Tハット708はトランシーバA510によって以下の(10)式のように求められる。
【0049】
【数12】

【0050】
理想的な時間周期T706は、両方のトランシーバがわかっていること、すなわち、それは製造業者によって規定された時間であることに留意されたい。
【0051】
測距例
測距システムは以下の値例を有する。
frame=100μs
理想的なクロック周波数は500MHzであり、すなわち理想的な周期T=1/500MHzである。
トランシーバA510のクロック周波数は495MHzであり、すなわち、T=1/495MHzである。
トランシーバB520のクロック周波数は495MHzであり、すなわち、T=1/495MHzである。
トランシーバAとBとの間の距離は10mであり、すなわち、
真の一方向への飛行時間はT=30nsであり、
真のターンアラウンド時間は、Tta=1msである。
【0052】
要求フレーム及び応答フレームを送信した後に、対応するカウンタ値例は、
【0053】
B1=トランシーバBのクロックに基づいて51515クロック周期
A2=トランシーバAのクロックに基づいて48529クロック周期
【0054】
【数13】

【0055】
B2=トランシーバBのクロックに基づいて510,000クロック周期
A1=トランシーバAのクロックに基づいて495,030クロック周期
【0056】
【数14】

【0057】
である。
【0058】
これは、トランシーバAとBとの間が10メートルだけ離れている場合の真の飛行時間に等しい。
【0059】
方法概説
図7に示されるように、本発明の実施形態は、2つのトランシーバのクロック間のクロック周波数オフセットの影響に起因する測距誤差を低減するための方法を提供する。実際には、トランシーバクロック周波数は、限定はしないが、制御できない製造工程及び環境条件を含む、多数の条件のうちのいずれかに起因して、製造業者によって規定されるような理想的なクロック周波数とは異なることがある。2つのトランシーバ510及び520が測距を実行している場合には、それらのトランシーバは、異なるクロック周期又は周波数を有することがある。
【0060】
たとえば、1ナノ秒のタイミング誤差によって、30cmの距離誤差が生じる。それゆえ、センチメートルの単位で正確に測距するためには、正確な時間測定が重要である。
【0061】
本発明の実施形態によれば、測距しているトランシーバが、その相対的なクロック周波数オフセットがわかっている場合には、周波数オフセットに関連する距離誤差を低減することができる。これを果たすために、以下に説明されるように、且つ図面に示されるように、各トランシーバは2つのカウンタ又は単一のカウンタの2つの瞬間を用いて、種々の時間周期を測定する。
【0062】
第1のトランシーバ510は、要求フレーム300の送信と応答フレーム400の受信との間のクロックサイクル又は周期の数を、すなわちタイミング情報CA1701を測定する。
【0063】
またトランシーバ510は、応答フレームの第1のデータ又は情報ビット、すなわちPHYヘッダの先頭の受信と、応答フレームの最後の情報ビット、すなわちPSDUreplyのデータペイロードの終わりの受信との間のクロックサイクルの数も測定する。このカウンタ値は、CA2702として表される。
【0064】
対応する第2のトランシーバ520は、要求フレームの受信と、応答フレームの送信の完了との間のクロックサイクルの数を測定する。このカウンタ値はCB2704として表される。
【0065】
第2のトランシーバ520は、要求フレームの最初の情報ビット、すなわちPHYヘッダの先頭の受信と、要求フレームの最後の情報ビット、すなわちPSDUrequestのデータペイロードの終わりの受信との間のクロックサイクルの数も測定する。このカウンタ値は、CB1703として表される。
【0066】
第2のトランシーバ520は、第1のトランシーバ510にCB1及びCB2を送信する。
【0067】
第1のトランシーバ510は、下式のように補正係数705を求める。
【0068】
【数15】

【0069】
その後、第1の受信機510は、その補正係数をCB2に適用して、以下のように最良の推定値707を求める。
【0070】
【数16】

【0071】
その後、第1のトランシーバは、以下のように、一方向への飛行時間708を求めることができる。
【0072】
【数17】

【0073】
この飛行時間は、2つのトランシーバ間のレンジ又は距離に対応する。
【0074】
第1のトランシーバがそのタイミング情報を第2の受信機に送信し、第2のトランシーバが測距を実行することができることに留意されたい。
【0075】
本発明は好ましい実施形態を例示することによって説明されてきたが、本発明の精神及び範囲内で、種々の他の適合及び変更を実施できることは理解されたい。それゆえ、添付の特許請求の範囲の目的は、本発明の真の精神及び範囲内に入るような全てのそのような変形及び変更を包含することである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】トランシーバ間の無線通信において用いられる従来のフレームのブロック図である。
【図2】従来の双方向到着時刻を基にする測距方法のタイミング図である。
【図3】本発明の一実施形態による要求フレーム300の構造のブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による応答フレーム400の構造のブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による双方向測距方法のブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による、トランシーバにあるタイミングカウンタの動作のブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態による方法の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック周波数オフセットに起因する2つのトランシーバ間の双方向測距の誤差を低減するための方法であって、
第1のトランシーバにおいて、要求フレームの送信と応答フレームの受信との間の時間CA1と、前記応答フレームの最初の情報ビットの受信と前記応答フレームの最後の情報ビットの受信との間の時間CA2とを測定すること、
第2のトランシーバにおいて、前記要求フレームの受信と前記応答フレームの前記最後の情報ビットの送信との間の時間CB2と、前記要求フレームの最初の情報ビットの受信と前記要求フレームの最後の情報ビットの受信との間の時間CB1とを測定すること、
前記時間CBに補正係数
【数1】

を適用して、推定された時間
【数2】

を求めること、及び
【数3】

に基づいて一方向への飛行時間を求めること
を含み、
は前記第1のトランシーバ及び前記第2のトランシーバの前記クロックの理想的な周期であり、前記一方向への飛行時間は、前記2つのトランシーバ間の距離に対応する、
ことを特徴とする、クロック周波数オフセットに起因する2つのトランシーバ間の双方向測距の誤差を低減するための方法。
【請求項2】
前記要求フレームは、プリアンブルと、フレーム開始デリミタ(SFD)と、物理層ヘッダ(PHY)と、要求物理層サービスデータユニット(PSDUrequest)とを含み、該SFD及び該PSDUrequestの持続時間はTframe1であり、前記応答フレームは、前記プリアンブルと、前記フレーム開始デリミタ(SFD)と、前記物理層ヘッダ(PHY)と、応答物理層サービスデータユニット(PSDUreply)とを含み、該SFD及び該PSDUreplyの持続時間はTframe2である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記理想的な時間周期Tは、前記第1のトランシーバ及び前記第2のトランシーバに認識されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記持続時間Tframe1及びTframe2は異なるものである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のトランシーバ及び前記第2のトランシーバの前記クロックは周波数オフセットを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記PHY及び前記PSDUは情報ビットを搬送する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
【数4】

であり、T及びTはそれぞれ、前記第1のトランシーバ及び前記第2のトランシーバ前記クロックの実際の周期である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
【数5】

であり、
taは、前記理想的なクロック周期による真のターンアラウンド時間である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
【数6】

であり、Tは前記一方向への飛行時間である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
【数7】

である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
タイムスタンプ報告においてCB1及びCB2を前記第1のトランシーバに送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
クロック周波数オフセットに起因する、2つのトランシーバ間の双方向測距における誤差を低減するための方法であって、
無線通信ネットワーク内の第1のトランシーバのクロックを用いて要求フレームを送信することに関連する送信タイミング情報を測定しながら、該第1のトランシーバから第2のトランシーバに該要求フレームを送信すること、
前記第2のトランシーバのクロックを用いて前記要求フレームを受信することに関連する受信タイミング情報を測定しながら、前記第2のトランシーバにおいて前記要求フレームを受信することであって、前記第1のトランシーバのクロック及び該第2のトランシーバのクロックは周波数オフセットを有する、受信すること、
前記要求フレームを受信するのに応答して、前記第2のトランシーバの前記クロックを用いて、応答フレームを送信することに関連する送信タイミング情報を測定しながら、前記第2のトランシーバから前記第1のトランシーバに該応答フレームを送信すること、
前記第1のトランシーバの前記クロックを用いて測定しながら、該第1のトランシーバにおいて前記応答フレームを受信すること、
前記要求フレームを受信することに関連する前記受信タイミング情報、及び前記応答フレームを送信することに関連する前記送信情報を前記第1のトランシーバに送信すること、及び
前記要求フレームを送信することに関連する前記送信タイミング情報と、前記要求フレームを受信することに関連する前記受信タイミング情報と、前記応答フレームを前記第1のトランシーバに送信することに関連する前記送信情報と、前記応答フレームを受信することに関連する前記受信タイミング情報とを用いて、前記第1のトランシーバ及び前記第2のトランシーバの前記クロックの前記周波数オフセットの比を求めて、前記周波数オフセットに起因する測距誤差を補正すること
を含む、クロック周波数オフセットに起因する、2つのトランシーバ間の双方向測距における誤差を低減するための方法。
【請求項13】
前記第1のトランシーバから前記第2のトランシーバに前記要求フレームを送信することであって、前記要求フレームは、プリアンブルと、フレーム開始デリミタ(SFD)と、物理層ヘッダ(PHY)と、要求物理層サービスデータユニット(PSDUrequest)とを含み、該SFD及び該PSDUrequestの持続時間はTframe1である、送信すること、
前記要求フレームの前記SFDが前記第1のトランシーバのアンテナによって放出されるときに、前記第1のトランシーバの第1の送信カウンタAを始動することであって、該第1の送信カウンタの周期は、周期Tを有する送信クロックに基づいて決定される、始動すること、
前記第2のトランシーバのアンテナにおいて前記要求フレームの前記SFDの終わりを検出するときに、前記第2のトランシーバの第1の受信カウンタB及び第2の受信カウンタBを始動することであって、該第1の受信カウンタ及び該第2の受信カウンタの周期は、周期Tを有する送信クロックに基づいて決定される、始動すること、
前記要求フレームの最後のビットを受信するときに、前記第1の受信カウンタBを停止すること、
前記第1の受信カウンタBの開始値と停止値との間の差を求めること、
持続時間
【数8】

を測定することであって、Tは理想的なクロック周期である、測定すること、
前記要求フレームを受信するのに応答して、前記第2のトランシーバから前記第1のトランシーバに前記応答フレームを送信することであって、該応答フレームは、前記プリアンブルと、前記フレーム開始デリミタ(SFD)と、前記物理層ヘッダ(PHY)と、応答物理層サービスデータユニット(PSDUreply)とを含み、該SFD及び該PSDUreplyの持続時間はTframe2である、送信すること、
前記応答フレームの前記SFDの終わりが前記第2のトランシーバの前記アンテナによって放出されるときに、前記第2の受信カウンタBを停止すること、
持続時間
【数9】

を測定することであって、
taは前記理想的なクロック周期Tに基づく真のターンアラウンド時間である、測定すること、
前記第1のトランシーバが前記応答フレームの前記SFDの終わりを検出するときに、第2の送信カウンタAを始動すると共に、前記第1の送信カウンタAを停止すること、
【数10】

に対応する前記第1の受信カウンタAの前記開始値と前記停止値との間の差を測定することであって、Tは、前記第1のトランシーバから前記第2のトランシーバまでの前記フレームの一方向への飛行時間である、測定すること、
前記第1のトランシーバの前記アンテナにおいて受信した前記応答フレームの前記PSDUreplyの最後のビットを検出するときに前記第2の送信カウンタAを停止すること、
【数11】

を測定すること、
前記第1の受信値CB1及び前記第2の受信値CB2を前記第1のトランシーバに送信すること、
前記第1のトランシーバにおいて、CB1及びCA2の比の平方根として補正係数α=T/Tを求めること、
B2を前記補正係数αで除算して、推定値CB2ハットを求めること、及び
前記第1のトランシーバにおいて、
【数12】

として、飛行時間推定値Tハットを推定することをさらに含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−286782(P2008−286782A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−34788(P2008−34788)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】