説明

クロロヒドリンの製造方法

液体反応媒体を含有する反応器でポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステル、またはそれらの混合物を塩素化剤と反応させることによるクロロヒドリンの製造方法であって、塩素化剤が少なくとも部分的にガス状の形態で使用され、かつ、前記反応器が、少なくとも1つの放射状流羽根車と少なくとも1つの軸流羽根車とを含む撹拌システムによって撹拌される方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2007年6月1日出願の欧州特許出願第07109461.9号明細書及び2007年12月14日出願の米国仮特許出願第61/013676号明細書の優先権を主張するものであり、それら両方の内容は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明はクロロヒドリンの製造方法に関する。より具体的には、撹拌反応器でのクロロヒドリンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
クロロヒドリンは、エポキシド及び誘導製品の製造における反応中間体である。ジクロロプロパノールは、例えば、エピクロロヒドリンの及びエポキシ樹脂の製造の反応中間体である((非特許文献1))。
【0004】
公知の方法によれば、特に塩化アリルを次亜塩素酸化することによって、アリルアルコールを塩素化することによって及びグリセロールをヒドロ塩素化することによってジクロロプロパノールを得ることは可能である。この後者の方法は、化石原料からまたは再生可能な原料から出発してジクロロプロパノールを得ることができる利点を有し、そして、例えば、石油、天然ガスまたは石炭などの、化石材料が得られる天然石油化学資源が地球的入手可能性の点で限定されていることは知られている。
【0005】
特許出願(特許文献1)は、液−気型反応器でグリセロールをガス状塩化水素と反応させることによるジクロロプロパノールの製造方法を記載している。ガス状塩化水素を分散させるために開示された分散デバイスは、ノズル、穿孔プレートまたはパイプ、微小孔性プレート及びエジェクタである。効率的であるためには、すなわち、微細気泡を生成するためには、かかるシステムは非常に小さい開口部を備えなければならず、開口部は液体反応媒体中の不溶性物質によってか、腐食性ガスによる分散デバイスの腐食生成物によってかのいずれかで容易に閉塞し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/021476号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、1992年、第2巻、156ページ、John Wiley & Sons,Inc.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目標は、かかる問題が発生しないクロロヒドリンの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はそれ故、液体反応媒体を含有する反応器でポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステル、またはそれらの混合物を塩素化剤と反応させることによるクロロヒドリンの製造方法であって、塩素化剤が少なくとも部分的にガス状の形態で使用され、かつ、前記反応器が、少なくとも1つの放射状流羽根車と少なくとも1つの軸流羽根車とを含む撹拌システムによって撹拌される方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
羽根車とは、流体を圧力下に所望の方向に押しやるために使用される回転デバイスとして、押し進めるものを指定することが意図される。平らなディスクは羽根車であるとは考えられない。
【0011】
撹拌システムは多くの場合1つの放射状流羽根車と2つの軸流羽根車とを含有し、高い頻度では2つの放射状流羽根車と1つの軸流羽根車とを含有する。
【0012】
かかる撹拌システムで:
a)ガス注入システムへの開口部サイズ制限が全くなしに、それによって注入デバイスの閉塞問題のリスクを排除して液体反応混合物中のガス状塩素化剤の高い分散を得ることができる、かつ
b)液体反応媒体で良好な混合を得ることができる
ことが意外にも分かった。
【0013】
いかなる理論にも制約されることなく、軸流羽根車が液体反応媒体の全体にわたって小さな気泡の均一分配と液体反応媒体それ自体の良好な均一化とを確実にしながら、放射状流羽根車は高いガス流量でさえも液体への小さな気泡の非常に効率的な分散を可能にすると考えられる。
【0014】
追加の利点は、塩素化剤に耐性がある材料で覆うのがまたは製造するのがより簡単である、ガス注入システムのより単純なジオメトリが好適であることである。
【0015】
かかる撹拌システムのさらなる追加の利点は、フラッディングなしに高いガス速度を取り扱うことができることである。フラッディングは、ガスが制御されているよりもむしろ、混合システムが液体中の流れパターンについて制御されていない状態である。
【0016】
かかる撹拌システムの別のさらなる利点は、それが、流れパターンを制限する、シュラウドまたはドラフトチューブなしに液体反応混合物へのガス状塩素化剤の高い分散を提供できることである。反応器の壁に沿った邪魔板の使用は、撹拌システムのシュラウディングを構成しない。
【0017】
用語「ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素」は、2個の異なる飽和炭素原子に結合した少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する炭化水素を意味する。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、2〜60個の炭素原子を含有してもよいが、それらに限定されない。
【0018】
ヒドロキシル官能基(OH)を持つポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素の炭素のそれぞれは、2個以上のOH基を有することができず、sp混成を持たなければならない。OH基を持っている炭素原子は、第一級、第二級または第三級であってもよい。本発明に使用されるポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、OH基を持っている少なくとも2個のsp混成炭素原子を含有しなければならない。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、これらの繰り返し単位のより高次の、ビシナルまたは連続配列をはじめとする、ビシナルジオール(1,2−ジオール)またはビシナルトリオール(1,2,3−トリオール)を含有する任意の炭化水素を含む。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素の定義はまた、例えば、1つ以上の1,3−、1,4−、1,5−、及び1,6−ジオール官能基を含む。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素はまた、ポリビニルアルコールなどのポリマーであってもよい。例えば、ジェミナルジオールは、このクラスのポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素から除外される。
【0019】
ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、芳香族部分または、例えば、ハロゲン、硫黄、リン、窒素、酸素、ケイ素、及びホウ素タイプのヘテロ原子、ならびにそれらの混合物をはじめとする、ヘテロ原子を含有してもよい。
【0020】
本発明に使用することができるポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、例えば、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1−クロロ−2,3−プロパンジオール(クロロプロパンジオール)、2−クロロ−1,3−プロパンジオール(クロロプロパンジオール)、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2,3−プロパントリオール(「グリセロール」または「グリセリン」としても知られる)、及びそれらの混合物を含む。好ましくは、本発明に使用されるポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、クロロプロパンジオール、及び1,2,3−プロパントリオール、ならびにそれらの少なくとも2つの混合物を含む。より好ましくは、本発明に使用されるポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、クロロプロパンジオール、及び1,2,3−プロパントリオール、ならびにそれらの少なくとも2つの混合物を含む。1,2,3−プロパントリオールすなわちグリセロールが最も好ましい。
【0021】
ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステルは、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素中に存在してもよいし、及び/またはクロロヒドリンの製造方法で製造されてもよいし、及び/またはクロロヒドリンの製造方法の前に製造されてもよい。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステルの例は、エチレングリコールモノアセテート、プロパンジオールモノアセテート、グリセロールモノアセテート、グリセロールモノステアレート、グリセロールジアセテート、及びそれらの混合物を含む。
【0022】
用語「クロロヒドリン」は、異なる飽和炭素原子に結合した少なくとも1個のヒドロキシル基と少なくとも1個の塩素原子とを含有する化合物を記載するために本明細書では用いられる。少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するクロロヒドリンもまた、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素である。従って、本反応の出発原料及び生成物は、それぞれクロロヒドリンであってもよい。この場合には「生成物」クロロヒドリンは、出発クロロヒドリンより多く塩素化されており、言い換えれば出発クロロヒドリンより多くの塩素原子及び少ないヒドロキシル基を有する。好ましいクロロヒドリンは、クロロエタノール、クロロプロパノール、クロロプロパンジオール、ジクロロプロパノール、及びそれらの少なくとも2つの混合物である。ジクロロプロパノールが特に好ましい。より特に好ましいクロロヒドリンは、2−クロロエタノール、1−クロロプロパン−2−オール、2−クロロプロパン−1−オール、1−クロロプロパン−2,3−ジオール、2−クロロプロパン−1,3−ジオール、1,3−ジクロロプロパン−2−オール、2,3−ジクロロプロパン−1−オール、及びそれらの少なくとも2つの混合物である。
【0023】
本発明による方法でのポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステル、またはそれらの混合物は、化石原料から出発してまたは再生可能な原料から出発して、好ましくは再生可能な原料から出発して得られてもよい。
【0024】
化石原料とは、例えば、石油、天然ガス、及び石炭などの、石油化学天然資源の処理から得られる材料を意味する。これらの材料の中で、2及び3個の炭素原子を含有する有機化合物が好ましい。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素がグリセロールであるとき、塩化アリル、アリルアルコール、及び「合成」グリセロールが特に好ましい。「合成」グリセロールとは、石油化学資源から一般に得られるグリセロールを意味する。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素がエチレングリコールであるとき、エチレン、及び「合成」エチレングリコールが特に好ましい。合成「エチレングリコール」とは、石油化学資源から一般に得られるエチレングリコールを意味する。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素がプロピレングリコールであるとき、プロピレン、及び「合成」プロピレングリコールが特に好ましい。「合成」プロピレングリコールとは、石油化学資源から一般に得られるプロピレングリコールを意味する。
【0025】
再生可能な原料とは、再生可能な材料資源の処理から得られる材料を意味する。これらの材料の中で、「天然」エチレングリコール、「天然」プロピレングリコール、及び「天然」グリセロールが好ましい。「天然」エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセロールは、例えば、熱化学プロセスによる糖類の変換によって得られ、これらの糖類は、U.S.Department of Energy,Office of Energy Efficiency and Renewable Energy,Office of the Biomass Program(米国エネルギー省、エネルギー効率及び再生可能エネルギー局、バイオマスプログラム部)のために組み込まれた、“Industrial Bioproducts:Today and Tomorrow”,Energetics(「工業的バイオ製品:今日及び明日」、エネルギー論),2003年7月,49,52〜56ページに記載されているように、バイオマスから出発して得ることが可能である。これらの方法の1つは、例えば、グルコースの熱化学変換によって得られるソルビトールの接触水素化分解である。別の方法は、例えば、キシロースの水素化によって得られるキシリトールの接触水素化分解である。キシロースは、例えば、トウモロコシ繊維中に存在するヘミセルロースの加水分解によって得られてもよい。「再生可能な原料から得られるグリセロール」とは、特に、バイオディーゼルの製造中に得られるグリセロールあるいは、鹸化、エステル交換または加水分解反応などの、一般に動物または植物油または脂肪の変換中に得られるグリセロールを意味する。
【0026】
本発明の方法に使用することができるオイルの中で、パーム油、パーム核油、コプラ油、ババス油、前または新(低いエルカ酸)セイヨウアブラナ油、ヒマワリ油、コーンオイル、ヒマシ油、及び綿実油、ピーナッツ油、大豆油、アマニ油、及びハマナ油などの、全ての一般油、ならびに、例えば、遺伝子組み換えまたは交配によって得られるヒマワリ植物またはセイヨウアブラナ植物から得られる全てのオイルが言及されてもよい。
【0027】
使用済みフライ油、様々な動物油、例えば魚油、牛脂、ラード、及びスクエアリンググリースさえも用いることがまた可能である。
【0028】
使用済み油の中で、例えば、アマニ油の、及びヒマワリ油の「スタンド油」、ならびにブローン植物油などの、例えば、重合またはオリゴマー化によって部分変性されたオイルもまた言及されてもよい。
【0029】
特に好適なグリセロールは、動物脂肪の変換中に得られてもよい。別の特に好適なグリセロールは、バイオディーゼルの製造中に得られてもよい。第3の非常に好適なグリセロールは、公文書仏国特許第2752242号明細書、仏国特許第2869612号明細書、及び仏国特許第2869613号明細書に記載されているように、不均一触媒の存在下にエステル交換による動物または植物油または脂肪の変換中に得られてもよい。より具体的には、この不均一触媒は、アルミニウムと亜鉛との混合酸化物、亜鉛とチタンとの混合酸化物、亜鉛と、チタンとアルミニウムとの混合酸化物、及びビスマスとアルミニウムとの混合酸化物から選択され、この不均一触媒は固定床の形態で用いられる。この後者の方法は、バイオディーゼルの製造方法であることができる。
【0030】
塩素化剤は一般に、その内容が参照により本明細書に援用される、国際公開第2005/054167号パンフレットの4ページ30行から6ページ2行までに記載されているように塩化水素を含む。
【0031】
本発明による方法では、塩素化剤は、少なくとも部分的にガス状形態で使用される。それは多くの場合、完全にガス状形態で使用される。高い頻度では、使用される塩素化剤は、ガス状塩化水素かまたはガス状塩化水素と塩化水素の溶液との混合物である。塩化水素の溶液は多くの場合水溶液である。
【0032】
本発明による方法では、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステル、またはそれらの混合物と塩素化剤との間の反応は、全てがSolvay SAの名前で出願された、そしてそれらの全ての内容が参照により本明細書に援用される、特許出願国際公開第2005/054167号パンフレット、国際公開第2006/100311号パンフレット、国際公開第2006/100312号パンフレット、国際公開第2006/100313号パンフレット、国際公開第2006/100314号パンフレット、国際公開第2006/100315号パンフレット、国際公開第2006/100316号パンフレット、国際公開第2006/100317号パンフレット、国際公開第2006/106153号パンフレット、国際公開第2007/054505号パンフレット、国際公開第2006/100318号パンフレット、国際公開第2006/100319号パンフレット、国際公開第2006/100320号パンフレット、国際公開第2006/106154号パンフレット、国際公開第2006/106155号パンフレット、国際公開第2007/054505号パンフレット、及び仏国出願公開第06/05325号明細書に記載されているように実施することができる。
【0033】
放射状流羽根車は、駆動シャフトの軸に一般に平行である翼を有する。放射状流羽根車の非限定的な例はとりわけ:
a)流体を放射状運動にまたは、より高い粘度では、接線運動に典型的には設定する有利には高速攪拌機である、幾つかの平らな翼をディスク上に含むRushtonタービン(図1の羽根車(A))などの、または幾つかの湾曲翼をディスク上に含むSmithタービン(図1の羽根車(G))などの、タービン攪拌機。このタイプの羽根車は、低粘度液体及び邪魔板付き容器で特に有効である。このタイプの羽根車については、直径比D/d(D=反応器容器直径;d=攪拌機直径)は有利には2〜5の範囲である。回転中に、タービン攪拌機は典型的には高レベルの剪断をもたらし、分散プロセスに一般に好適である;
b)エナメル被覆容器での使用のためにこれまでとりわけ開発された、そしてこのように丸みを帯びた撹拌アームを有する、羽根車攪拌機(図1の羽根車(B))。それは、底部から小さな隙間と併せて一般に使用される。このタイプの羽根車については、邪魔板ありか邪魔板なしかのいずれかで、直径比D/dは有利には約1.5(すなわち、1〜2、好ましくは1.2〜1.8)の範囲である。それは少量の液体でさえ混合することができるので、それはまた、(例えば、容器排出中に)強く変動する満杯レベルで運転することができる;
c)有利には低速攪拌機タイプの群に属し、そして典型的には1.5〜2のD/dで使用される、クロスビーム羽根車(図1の羽根車(C))、格子羽根車(図1の羽根車(E))、及び翼羽根車(図1の羽根車(D))。それらは、邪魔板ありで、または、特に粘稠な媒体については邪魔板なしで動作することができ、そして特に均質化に好適である;
d)壁からの非常に小さい隙間で、すなわち、1.005〜1.5、好ましくは1.005〜1.05の直径比D/dで一般に運転される、そして高度に粘稠な媒体で伝熱を高めるために特に適切である、低速アンカーアンカー攪拌機(図1の羽根車(F));
e)回転子が有利には邪魔板(固定子)(2)の輪によって囲まれた翼(1)またはパドル攪拌機(1)からなる、回転子−固定子攪拌機または回転子−固定子原理で動作する攪拌機(図2)。結果として、高レベルの剪断が一般に極めて小さい体積にかけられる。
f)鋸歯状のディスク(図4);この攪拌機を使用すると、液体は有利には、薄い輪になって中心から離れて放射状に加速され、次に素速く減速される。高レベルの剪断はこうして、固定子輪または邪魔板がなくてさえ、達成することができる。
【0034】
放射状流羽根車は多くの場合、タービン攪拌機、羽根車攪拌機、クロスビーム羽根車、格子羽根車、翼羽根車、低速アンカー攪拌機、回転子−固定子攪拌機、及び鋸歯状ディスクからなる群の中から選択される。放射状流羽根車は高い頻度では、タービン攪拌機、羽根車攪拌機、クロスビーム羽根車、格子羽根車、翼羽根車からなる群の中から選択される。
【0035】
放射状流羽根車はより多くの場合タービン攪拌機、高い頻度ではRushton型のタービン撹拌機またはSmith型のタービン攪拌機、より特にSmith型のタービン攪拌機である。かかるタービンは一般に、ディスク上に少なくとも2個の湾曲翼、好ましくは少なくとも3個の湾曲翼を含む。湾曲翼の数は一般には多くとも10の、好ましくは多くとも8のものである。ディスク上に6個の湾曲翼を持ったタービンは、Smith型の最も好ましいタービン攪拌機である。ディスク上に4個の湾曲翼を持ったタービンもまた非常に好適である。いかなる理論にも制約されることなく、選択された湾曲翼放射状流羽根車の別の追加の利点は、ガス流量が広い範囲内で変動するときに、それが一定のパワードローを確実にするのを可能にすることである。ガス化条件下に、このパワードローは、ガス注入が全くないときに達成されるパワードローに非常に近く、それ故それは(モーター、径違い継手、シャフト、及び機械シールをはじめとする)全体シネマチックチェーンの過大化を回避し、かなりの投資節約を可能にする。
【0036】
湾曲翼は、任意の形状のもの、好ましくは半円筒形、概ね偏平な半円筒形、及び放射線状、より好ましくは放射線状であることができる。
【0037】
2個の連続する翼の間の距離は等しいまたは異なるものであることができる。この距離は好ましくは等しい。
【0038】
ディスク面基準で、湾曲翼は対称または非対称、好ましくは非対称であることができる。
【0039】
一般に、非対称の放射状流羽根車は、複数の概して放射状に伸びる翼を含むであろう。翼のそれぞれは、翼の断面が概して放射線状またはu−形状であるように、最高点で交わる上方及び下方シート様部分を含むであろう。各翼の上方部分の幅は、下方部分の幅より長く、翼を非対称にするであろう。このように、翼の最先端に、上昇する気泡を捕らえ、分散させることができる上方部分突出部が存在するであろう。羽根車は、任意の数の翼を有することができるが、それは4〜12個の翼を有することが好ましく、6個が最も好ましい。上方シートは下方シートの幅より15〜50パーセントさらに伸びることができ、約25パーセントが最も好ましい。
【0040】
軸流及び混合流羽根車は、翼が回転の面と90°未満の角度を成す全ての羽根車を含む。前記羽根車の非限定的な例はとりわけ:
a)有利には軸流パターンを発生させる高速ミキサーの群に典型的には属する、勾配翼のパドル攪拌機(勾配翼タービンとしても知られる)[図1の羽根車(H)]及びプロペラ攪拌機(海洋型混合プロペラとしても知られる)[図1の羽根車(I)]。それらは有利には固形分の均質化及び懸濁に好適であり、典型的には2〜3のD/dで使用される。
b)軸流を高めるために特に好適であり及び/または高い液体レベル対直径比(H/D>1、ここで、D=反応器容器直径、H=反応器容器中の液体の高さ)が必要とされる、勾配ビームのクロスビーム攪拌機[図1の羽根車(J)]ならびにEkato company,Schopfheim,GermanyのMIG攪拌機[図1の羽根車(K)]及びINTERMIG攪拌機[図1の羽根車(L)]などの勾配撹拌面を持った多段攪拌機。これらの攪拌機は有利には低速で運転される。これらの攪拌機の直径比D/dは、それらが邪魔板と組み合わせて使用されるときは有利には1.5を超え、それらが邪魔板なしに使用されるときは約1.1(すなわち、1.005〜1.5)である。
c)小さい壁隙間(D/d>1.05)で一般に使用され、そしてそれが液体を壁に沿って下方へ駆動するような方法で典型的には運転される低速らせん状リボン攪拌機[図1の羽根車(M)]
d)典型的には中空ヘッドを有し、そして中空シャフトを通して液体媒体の上方のガス充満空間につながっている、従ってガスを液体に供給するのに一般に好適である、中空攪拌機(図3);回転中に攪拌機エッジの後方に発生する吸引作用は、ガスを反応容器に供給するために有利に利用することができる。
e)ターボホイル羽根車[図1の羽根車(N)].
【0041】
軸流羽根車は多くの場合、勾配翼のパドル攪拌機、プロペラ攪拌機(海洋タイプ混合プロペラ)、勾配ビームのクロスビーム攪拌機、MIG攪拌機、INTERMIG攪拌機、低速らせん状リボン攪拌機、ターボホイル羽根車、及び中空攪拌機からなる群の中から選択される。
【0042】
軸流羽根車は高い頻度で、勾配翼のパドル攪拌機、プロペラ攪拌機(海洋タイプ混合プロペラ)、MIG攪拌機、INTERMIG攪拌機、及びターボホイル羽根車からなる群の中から選択される。
【0043】
軸流羽根車はより多くの場合、勾配翼のパドル攪拌機、プロペラ攪拌機(海洋タイプ混合プロペラ)、及びターボホイル羽根車からなる群の中から選択される。軸流羽根車はより特に、勾配翼のパドル攪拌機またはターボホイル羽根車、より特にターボホイル羽根車である。
【0044】
翼の数は一般に、2以上、好ましくは3以上である。この数は通常8以下、好ましくは6以下である。4の数の翼が特に好適である。
【0045】
翼が回転の面と成す角度は好ましくは60°以下、より好ましくは55°以下、最も好ましくは50°以下である。この角度は一般に30°以上、好ましくは35°以上、より好ましくは40°以上である。45°の角度は特に好適である。
【0046】
水中翼羽根車は、より大きい送液容量を低下した電力消費と組み合わせた非常に重要なクラスの勾配翼タービンである。これらの性能は、最適化翼外形によって得られる。基本的には翼の後縁と水平面との角度は、飛行機プロペラのようにシャフトからの距離と共に変化する。実際には、この角度変化は、連続的かまたは非連続的であることができる。これは、羽根車からの放出時にほぼ一様な流れパターンを可能にし、後縁での渦を減少させる。水中翼羽根車の例は、Lightnin A310、A320、及びA340、Chemineer HE3、Philadelphia Mixers MHS & LS羽根車、Pfaudler TBF、Mixel TT、TTP、及びTTFである。
【0047】
2個の連続する翼の間の距離は等しいまたは異なるものであることができる。この距離は好ましくは等しい。
【0048】
翼の側面は独立して、平らである、湾曲しているまたは切子面のあるものであることができる。1つの平らな底部配向側面と2つの切子面のある最上部配向側面とがより好ましい。
【0049】
かかる羽根車の例は、勾配翼タービン(羽根車(H)、図1)及びターボホイル(羽根車(N)、図1)である。ターボホイルが最も好ましい軸流羽根車である。それは、ガラス内張りまたはエラメルコーティングが必要とされるときに特に、より容易にコートされる追加の利点を提供する。
【0050】
本発明の方法の撹拌システムでは、放射状流羽根車と軸流羽根車とは同じシャフト上にまたは異なるシャフト上に設置することができる。放射状流羽根車と軸流羽根車とは同じシャフト上に設置されることが好ましい。
【0051】
本発明の撹拌システムは、反応器の任意の場所に、垂直に、水平にまたは斜めに、好ましくは垂直に設置することができる。
【0052】
本発明の撹拌システムでは、軸流羽根車は、一般に下方へ向かうまたは上方へ向かう、高い頻度では下方へ向かう液体反応媒体の流れを提供する。
【0053】
本発明の方法の撹拌システムでは、放射状流羽根車は、軸流羽根車の下方にまたは上方に設置することができる。放射状流羽根車は軸流羽根車の下方に設置されることが好ましい。放射状流羽根車の及び軸流羽根車の直径は、反応器直径に依存する。
【0054】
放射状流羽根車の直径は、一般に反応器直径の33%以上、多くの場合反応器直径の40%以上、高い頻度では反応器直径の50%以上である。放射状流羽根車の直径は、一般に反応器直径の70%以下、多くの場合反応器直径の65%以下、高い頻度では反応器直径の55%以下である。
【0055】
軸流羽根車の直径は、一般に反応器直径の33%以上、多くの場合反応器直径の40%以上、高い頻度では反応器直径の50%以上である。軸流羽根車の直径は、一般に反応器直径の70%以下、多くの場合反応器直径の65%以下、高い頻度では反応器直径の55%以下である。
【0056】
それらの羽根車直径は、羽根車の外周上の2つの対点間で測定される。
【0057】
反応器直径は、おそらく存在する邪魔板のサイズをおそらく減じた反応器の内径である。
【0058】
放射状流羽根車の及び軸流羽根車の直径は等しいかまたは異なることができる。それらが異なるとき、放射状流羽根車の直径は、軸流羽根車の直径より高いかまたは低いことができる。放射状流羽根車の直径は多くの場合、軸流羽根車の直径より高い。放射状流羽根車の及び軸流羽根車の直径は高い頻度で等しい。
【0059】
放射状流羽根車と軸流羽根車との間の距離は、反応器高さに及び羽根車直径に依存する。
【0060】
放射状流羽根車と軸流羽根車とが同じ直径を有するとき、この距離は、一般に羽根車直径の1/4以上、好ましくは羽根車直径の1/3以上、より好ましくはこの直径の1/2以上である。この距離は一般に羽根車直径の2倍以下、好ましくは羽根車直径の1.5倍以下である。羽根車直径に等しい距離が特に好適である。
【0061】
放射状流羽根車と軸流羽根車とが同じ直径を持たないとき、この距離は一般に羽根車最高直径の1/4以上、好ましくはこの羽根車直径の1/3以上、より好ましくはこの直径の1/2以上である。この距離は一般に羽根車最高直径の2倍以下、好ましくは羽根車直径の1.5倍以下である。羽根車直径に等しい距離が特に好適である。
【0062】
本発明による方法では、撹拌システムは、1つの放射状流羽根車と2つの軸流羽根車とをまたは2つの放射状流羽根車と1つの軸流羽根車とを含有してもよい。
【0063】
撹拌システムが1つの放射状流羽根車と2つの軸流羽根車とを含有するとき、軸流羽根車は異なるかまたは同一であることができる。それらは多くの場合同一である。この撹拌システムについては、羽根車は多くの場合同じシャフト上に設置され、放射状流羽根車は高い頻度では2つの軸流羽根車の下方に設置される。
【0064】
撹拌システムが2つの放射状流羽根車と1つの軸流羽根車とを含有するとき、放射状流羽根車は異なるかまたは同一であることができる。それらは多くの場合同一である。この撹拌システムについては、羽根車は多くの場合同じシャフト上に設置され、放射状流羽根車は高い頻度では軸流羽根車の下方に設置される。
【0065】
本発明による方法では、塩素化剤は、放射状流羽根車及び/または軸流羽根車に関して反応器のどこにでも注入することができる。
【0066】
撹拌システムが1つの放射状流羽根車と1つの軸流羽根車とを含有するとき、放射状流羽根車は軸流羽根車の下方に設置され、塩素化剤は一般に放射状流羽根車のレベルの下方に、多くの場合放射状流羽根車のレベルに、時々放射状流羽根車のレベルと軸流羽根車のレベルとの間に注入される。
【0067】
撹拌システムが1つの放射状流羽根車と2つの軸流羽根車とを含有するとき、放射状流羽根車は軸流羽根車の下方に設置され、塩素化剤は一般に最低の放射状流羽根車のレベルの下方に、多くの場合放射状流羽根車のレベルに、時々放射状流羽根車のレベルと最低軸流羽根車のレベルとの間に注入される。
【0068】
撹拌システムが2つの放射状流羽根車と1つの軸流羽根車とを含有するとき、放射状流羽根車は軸流羽根車の下方に設置され、塩素化剤は一般に最低放射状流羽根車のレベルの下方に、多くの場合最低放射状流羽根車のレベルに、時々放射状流羽根車のレベルの間に、通常は最高放射状流羽根車のレベルに、普通には最高放射状流羽根車のレベルと軸流羽根車のレベルとの間に注入される。
【0069】
本発明による方法で、反応器への塩素化剤の注入は、一点注入かまたは多点注入であることができる。
【0070】
最低の放射状流羽根車のレベルより下の好ましい一点注入レベルが、より高い頻度で用いられる。
【0071】
塩素化剤の注入は、穿孔リングまたはセントラルチューブを通すような、任意の方法によって実施することができる。注入は多くの場合セントラルチューブによって実施される。
【0072】
本発明の方法に従った撹拌システムを含有する反応器のダイアグラム断正面図は、図5に提示され、ここで、(1)はシャフトであり、(2)は軸流羽根車であり、(3)は放射状流羽根車であり、(4)は反応器であり、(5)はシャフトの軸であり、そして(6)は塩素化剤を注入するためのパイプである。
【0073】
本撹拌システムの回転速度は、当業者に周知の実践規範に従って撹拌システムタイプ及び反応容器直径の関数として設定されるであろう。
【0074】
本撹拌システムで得られるエネルギー密度は有利には少なくとも0.5kW/mの液体反応媒体、好ましくは少なくとも1kW/m、より好ましくは少なくとも1.2kW/mのものであることが一般に好ましいであろう。
【0075】
一般に、本撹拌システムで得られるエネルギー密度は有利には多くとも2kW/mの液体反応媒体、好ましくは多くとも1.5kW/m、より好ましくは多くとも1.3kW/mのものである。
【0076】
撹拌デバイスの回転速度は広い領域で変わることができ;一般に、回転速度は有利には少なくとも30rpmのもの、好ましくは少なくとも50rpmのもの、より好ましくは少なくとも70rpmのものであり、そして有利には多くとも350rpmのもの、好ましくは多くとも300rpmのもの、より好ましくは多くとも250rpmのものである。
【0077】
特に、1000〜4000mmの直径を有する反応器については、羽根車の回転速度は有利には50〜200rpmから選択される。
【0078】
本発明による方法では、撹拌システムは、任意の材料製であることができる。このシステムは好ましくは、反応の条件下に、塩素化剤に耐性がある材料でできているかまたはそれで覆われている。
【0079】
反応の条件下に、塩素化剤に耐性がある材料は、エナメルスチール、ポリマー、樹脂によるコーティング、金属または合金、セラミック及びメタロセラミック、耐火材料ならびにグラファイトから選択される。
【0080】
これらの材料は、それらの内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの特許出願国際公開第2005/054167号パンフレット及び国際公開第2006/100317号パンフレットに記載されているようなものである。
【0081】
ポリマーは、ポリオレフィン、フッ素化ポリマー、及び硫黄含有ポリマーから選択することができる。ポリオレフィンは多くの場合、ポリエチレン及びポリプロピレンから選択される。ポリプロピレンが好ましい。フッ素化ポリマーは高い頻度では、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、及びポリ(パーフルオロビニルエーテル)から選択される。ポリテトラフルオロエチレン及びポリ(パーフルオロビニルエーテルがより高い頻度で使用される。硫黄含有ポリマーは多くの場合、芳香族または脂肪族のポリスルホン及びポリスルフィドから選択される。芳香族ポリスルホンまたはポリスルフィドがより多くの場合に使用される。
【0082】
樹脂によるコーティングは多くの場合、エポキシまたはフェノール樹脂によるコーティング、高い頻度ではフェノール樹脂によるコーティングである。
【0083】
金属は一般に、タンタル、チタン、ニッケル、銅、金、銀、及びモリブデンから選択され、多くの場合タンタル、ニッケル、銅、金、銀、及びモリブデンから選択され、高い頻度ではタンタル、金、銀、及びモリブデンから選択され、さらに高い頻度ではタンタル及びモリブデンから選択される。タンタルが特に都合のよい金属である。
【0084】
合金は通常、ニッケル及びモリブデンを含有する合金から選択される。Hastelloy Bは、都合のよいニッケル−モリブデン合金である。
【0085】
グラファイトは一般に、非含浸または含浸グラファイトであることができる。含浸グラファイトが特に都合がよい。グラファイトは、例えば、ポリテトラフルオロエチレンまたはフェノール樹脂のような任意の材料を含浸させることができる。
【0086】
撹拌システム用の好ましい材料は、エナメルスチールまたはガラス内張りスチールである。
【0087】
本発明はまた、少なくとも1つの放射状流羽根車と1つの軸流羽根車とを含む撹拌システムに関する。この撹拌システムは、本明細書で上に記載された特性を示す。
【0088】
本発明は最後に、ガスを液体に分散させるための少なくとも1つの放射状流羽根車と1つの軸流羽根車とを含む撹拌システムの使用に関する。
【実施例】
【0089】
下記の実施例は本発明を例示することを意図されるが、それにいかなる制限も課すものではない。
【0090】
実施例1(本発明に従う)
3000mmの直径T、(最上部及び底部のデシマル先端(decimal head)を含めて)9200mmの全高さならびに8000mmの円筒形部分の高さの容器に、6個の平らな翼を含み、かつ、1500mmの直径Dを有するRushton型の1つの放射状流羽根車と、4個の翼を含み、かつ、1500mmの直径Dを有するターボホイル型の軸流羽根車とを含む撹拌システムを備え付ける。両羽根車を同じシャフトに設置する。放射状流羽根車を軸流羽根車の下方に設置する。撹拌システムを、図5に提示されるように反応器中に垂直に設置する。軸流羽根車と液体の最高部との間の距離は、渦を回避するのに十分である。
【0091】
この容器を1000kg/mの密度及び2cpの粘度を有する33mの液体で満たす。2.5kg/mの密度のガスを、放射状流羽根車の下方で液体中に2000kg/時(0.222m/秒)の流量Qgで注入する。
【0092】
撹拌システムについて、以下の量:
1.フラッディングを回避するための最小速度であるフラッディング速度(Nf)
2.ガスの完全な分散を達成するための最小速度である完全分散速度(Ncd)
3.American Gear Manufacturers Associationによる完全分散速度より上の最も近い速度である実速度(N)
4.放射状流羽根車について無ガス条件下の実速度でのパワードロー(Pu)
5.放射状流羽根車について無ガス条件下の実速度での最小原動力(Pmu)
6.放射状流羽根車について実速度での実原動力(Pm)
7.放射状流羽根車についてガス条件下の実速度でのパワードロー(Pg)
8.軸流羽根車について無ガス条件下の実速度でのパワードロー(Pu)
9.放射状流及び軸流羽根車について無ガス条件下の実速度での最小原動力(Pmu)RA
10.放射状流及び軸流羽根車について実速度での実原動力(Pm)RA
を、以下の方程式:
1.Nf=(Qg9.81((T/D3.5)/(30(D)))0.3333(ここで、Nfはフラッディング速度(秒−1)であり、Qgは、Rushton放射状流羽根車についての、容積ガス流量(m/秒)である)
2.Ncd=(Qg((T9.81/D0.5)/(0.2(D3.5)))0.5(ここで、Ncdは完全分散速度(秒−1)である)
3.(P=Npoρ(N(D)(ここで、Npoは、(製造業者によって与えられた及び大体の場合オープン文献でアクセス可能な)羽根車の動力数:1500mmの直径のRushtonタービンについては5.5であり、Nは実羽根車速度(秒−1)であり、ρは液体密度(kg/m)であり、(Pは吸収される電力(W)である)
4.(Pm)=1.2(Pu)
5.ガス供給数F1及びFl3−3<Fl<0.1であるような別の非次元数F13−3について(Pg)=0.7(Pu)(ここで、
a.Fl=Qg/(N(D))
b.Fl3−3=0.0038((T/D0.5((Re)/Fr)0.07 であり、式中、
i.Re=N2*ρ/μは、μが液体粘度(Pa秒)であるReynolds数であり、
ii.Fr=(D)/9.81はFroude数である)
6.(P=Npoρ(N(D)(ここで、Npoは、(製造業者によって与えられた及び大体の場合オープン文献でアクセス可能な)羽根車の動力数:1500mmの直径のターボホイル羽根車については0.38であり、Nは実羽根車速度(秒−1)であり、ρは液体密度(kg/m)であり、(Pは吸収される電力(W)である)
7.(Pu)RA=(Pu)+(Pu)
8.(Pm)RA=1.2(Pu)RA
を用いて計算することができる。
【0093】
計算の結果を表1にまとめる。
【0094】
実施例2(本発明に従う)
条件は、放射状流羽根車がSmith型のものであり、そして6つの非対称の放物線湾曲翼を含み、かつ、使用される方程式が、
1.Nf=(Qg9.81((T/D3.5)/(70(D)))0.3333(ここで、Nfはフラッディング速度(秒−1)であり、Qgは、Smith放射状流羽根車についての、容積ガス流量(m/秒)である)
2.Ncd=(Qg((T9.81/D0.5)/(0.4(D3.5)))0.5(ここで、Ncdは完全分散速度(秒−1)である)
及びSmithタービンについてNpo=2.3であることを除いては、実施例1のものと同一である。
【0095】
計算の結果を表1にまとめる。
【0096】
【表1】

【0097】
実施例3(本発明に従った)
条件は、1500mmの等しい直径Dを有するRushton型の2つの放射状流羽根車と1500mmの直径Dを有するターボホイル型の軸流羽根車とを使用することを除いては、実施例1のものと同一である。3つの羽根車を同じシャフト上に設置する。放射状流羽根車を軸流羽根車の下方に設置する。撹拌システムを反応器中に垂直に設置する。軸流羽根車と液体の最上部との間の距離は、渦を回避するのに十分である。
【0098】
ガス流量を2つの放射状流羽根車の間に等しく分割し(それぞれについて100kg/時)、ガスを各放射状流羽根車の下方で液体中に注入する。
【0099】
計算の結果を表2にまとめる。
【0100】
【表2】

【0101】
実施例4(本発明に従う)
条件は、実施例2におけるようなSmith型の2つの放射状流羽根車を使用することを除いては、実施例3のものと同一である。計算の結果を表3にまとめる。
【0102】
【表3】

【0103】
実施例5(本発明に従わない)
単一の軸流羽根車、すなわち、翼が回転の面と45°の角度を成す4個の平らな翼を含む勾配翼タービンを使用することを除いては、実施例1の条件を用いた。軸流羽根車の直径Dは1500mmである。放射状流羽根車は全く存在しない。撹拌システムを反応器中に垂直に設置する。軸流羽根車と液体の最上部との間の距離は、渦を回避するのに十分である。ガスを軸流羽根車の下方に注入する。
【0104】
下方へ送液するこのタイプの軸流羽根車については、
Nf=11.7(Qg)0.5)/(D1.63
Nf=Ncd
がある。
【0105】
計算の結果を表4にまとめる。
【0106】
【表4】

【図1(A)】

【図1(B)】

【図1(C)】

【図1(D)】

【図1(E)】

【図1(F)】

【図1(G)】

【図1(H)】

【図1(I)】

【図1(J)】

【図1(K)】

【図1(L)】

【図1(M)】

【図1(N)】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体反応媒体を含有する反応器でポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステル、またはそれらの混合物を、塩素化剤と反応させることによるクロロヒドリンの製造方法であって、塩素化剤が少なくとも部分的にガス状の形態で使用され、かつ、前記反応器が、少なくとも1つの放射状流羽根車と少なくとも1つの軸流羽根車とを含む撹拌システムによって撹拌される、方法。
【請求項2】
放射状流羽根車が、タービン攪拌機、羽根車攪拌機、クロスビーム羽根車、格子羽根車、翼羽根車、低速アンカー攪拌機、回転子−固定子攪拌機、及び鋸歯状ディスクからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
軸流羽根車が、パドル攪拌機、プロペラ攪拌機(海洋タイプ混合プロペラ)、勾配撹拌面の多段階攪拌機、MIG攪拌機、INTERMIG攪拌機、低速らせん状リボン攪拌機、ターボホイル羽根車、及び中空攪拌機からなる群の中から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
放射状流羽根車が、ディスク上に2〜10個の湾曲翼を含むSmith型のタービン攪拌機である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
軸流羽根車が、回転の面と30〜60°の角度を成す2〜8個の翼を含む、パドル攪拌機またはターボホイル羽根車である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
タービン攪拌機の湾曲翼が半円筒形形態または放物線形態のものであり、かつ、ディスク面基準で非対称である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
放射状流羽根車と軸流羽根車とが同じシャフト上に設置される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
放射状流羽根車が軸流羽根車の下方に設置される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
軸流羽根車が液体反応媒体の流れを下方へ提供する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
撹拌システムが、反応の条件下に、塩素化剤に耐性がある材料でできているかまたはそれで覆われている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
反応の条件下に、塩素化剤に耐性がある材料が、エナメル(ガラス内張り)スチール、ポリマー、樹脂によるコーティング、金属または合金、セラミック及びメタロセラミック、耐火材料ならびにグラファイトから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
2つの軸流羽根車と1つの放射状流羽根車とが同じシャフト上に設置され、2つの軸流羽根車が放射状流羽根車の上方に設置される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
1つの軸流羽根車と2つの放射状流羽根車とが同じシャフト上に設置され、軸流羽根車が放射状流羽根車の上方に設置される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
塩素化剤が放射状流羽根車の下方で反応器中に注入される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
塩素化剤が塩化水素を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−529003(P2010−529003A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509833(P2010−509833)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056688
【国際公開番号】WO2008/145729
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】