説明

クロージャ

【課題】シール部材の脱落を防止する。
【解決手段】クロージャ1は、内部にケーブルA,Bの接続部Cを収納する箱形状のクロージャであって、接続部Cを挟んで互いに対向する向きで当接する二個一対の分割スリーブ2,3と、分割スリーブ2,3の当接部に介在されたシール部材10と、を備え、シール部材10は、分割スリーブ2に載置されたときに分割スリーブ2からの脱落を防止する脱落防止部12を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの接続部を密閉するためのクロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ファイバーや電線、その他各種のケーブルは、外部からの衝撃等による破損や雨水等による接続障害、長期間の設置に伴う風化その他の環境変化から回線又は電線を保護するために絶縁体及び保護皮膜を有する。しかしながら、ケーブルの接続部は当該絶縁体及び保護皮膜を剥がれた状態となる。このため、当該接続部を覆い密封するクロージャが従来より用いられている(例えば特許文献1)。
【0003】
クロージャは主に屋外に敷設されるケーブルの接続部を密閉して保護する。図7に示すように、一般に、クロージャ100は箱体を二つに分割した形状の分割スリーブ102、103を用いる。二つの分割スリーブ102、103は、ケーブルの接続部Cを挟んで対向して配接される。この状態で、分割スリーブを取り巻くように設けられたステンレスバンド等の押圧部材(図示略)によって二つの分割スリーブ102、103を当接するよう押圧してクロージャ100内に当該接続部を内包する。このとき、ケーブルA、Bをクロージャ100内から導出するケーブル導出口との当接部分は、弾性体Gで覆われて密閉される。さらに、二つの分割スリーブ102、103の当接する長手方向の側縁部の間にはシール部材110が挟みこまれ、当該側縁部の隙間を密閉する。
【特許文献1】特開平1−308118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、クロージャ100はケーブルの接続部を密封することで当該接続部を保護する。しかしながら、二つの分割スリーブ102、103を圧接する際にシール部材110が二つの分割スリーブ102,103の間から脱落することがあるといった問題点があった。すなわち、シール部材110を脱落した状態でクロージャを取り付けると、クロージャ100は密封されず、ケーブルの保護機能を損なうことになるからである。
【0005】
本発明は、シール部材の脱落を防止することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、内部にケーブルの接続部を収納するクロージャであって、前記ケーブルの接続部を挟んで互いに対向する向きで当接する二個一対の分割スリーブと、前記分割スリーブ同士の当接部に介在されたシール部材と、を備え、前記シール部材は、前記分割スリーブの一方に載置されたときに該分割スリーブからの脱落を防止する脱落防止部を有することを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記シール部材は長棒状の弾性体であり、前記分割スリーブは前記シール部材を案内する溝を有することを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記脱落防止部は、前記溝の側壁の外側と係合することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記脱落防止部は、少なくともその一部が外部に露出する第1の露出部を有することを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記第1の露出部は、少なくともその一部に、その周囲に対して視覚的に識別可能な第1の識別部を有することを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記脱落防止部は、前記シール部材と一体に形成されていることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記シール部材は、その長棒状の少なくともいずれか一端が外部に露出する第2の露出部を有することを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記第2の露出部は、少なくともその一部に、その周囲に対して視覚的に識別可能な第2の識別部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、脱落防止部が分割スリーブからのシール部材の脱落を防止する。これによって、クロージャの取り付け時にシール部材が脱落することがあるといった従来の問題点を解消でき、より信頼性の高いクロージャを提供可能となる。
また、脱落防止部はシール部材が一方の分割スリーブに載置されたときに該シール部材の脱落を防止する。つまり、脱落防止部がシール部材の脱落を防止するために載置される以外の要件を要しない。よって、クロージャの取り付け時に作業者はシール部材を一方の分割スリーブに載置して他方の分割スリーブを被せ、押圧部材によって二つの分割スリーブと該シール部材とを密接させるだけでよい。従って、クロージャ取り付け時における作業者の労力を大幅に軽減し、非常に容易に該取り付けを行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1から図6を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、以下の形態はあくまで一例であり、本発明の実施の形態はこれに限定されないことは言うまでもない。
図1は本発明の実施の形態によるクロージャ1を示す斜視図である。図2は分割スリーブ3(後述)を外した状態を示す上面図である。クロージャ1は中が空洞の箱体であり、該箱体内にケーブルAとケーブルBとの接続部C(以下、単に「接続部C」とする)を収めて密封する。なお、以下の記載においてケーブルA,Bの延設方向に沿った方向をX軸方向とする。
クロージャ1は少なくとも、クロージャ1の箱体を形成する二つの分割スリーブ2、3と、二つの分割スリーブ2、3を外側から押圧して固定保持する三つのステンレスバンド20と、分割スリーブ2,3の間に介在する「シール部材」としての二つのスリーブシールパッキン10と、を備える。
【0016】
二つの分割スリーブ2、3はそれぞれ、箱体をその長手方向の平面に沿って二つに等分した形状である。二つの分割スリーブ2、3の形状はほぼ同一である。ただし、分割スリーブ3は、側圧バルブ3a(後述)を有しており、分割スリーブ2は側圧バルブを有しない。
【0017】
なお、以下の記載において、分割スリーブ2,3の分割ラインLを有するクロージャ1の面部のうち、ケーブルA,Bを導出する導出口Eが設けられた側を導出面部、ケーブルA,Bの延設方向に沿う側を側面部とする。該導出面部は分割スリーブ2,3の導出面部2b、3bによって構成され、該側面部は分割スリーブ2,3の側面部2c、3cによって構成される。
【0018】
ステンレスバンド20は、分割スリーブ2,3によって形成される箱体の外周を取り巻くことが可能な形状のステンレス製の金具である。ステンレスバンド20は、ネジ21を締めることで分割スリーブ2,3を互いに近付くよう押圧する。また、該ステンレスバンド20を箱体の外側で固定保持するように働く止め具である。図1に示すように、ステンレスバンド20は、X軸方向に直行する向きで該箱体の外周の3箇所に設けられ、それぞれのネジ21を締めることで分割スリーブ2,3による箱体形状を固定保持する。
【0019】
図3に、クロージャ1の側面部の密閉構造を示す。この図3は、図1のP−P断面図である。クロージャ1の取り付け時、二つの分割スリーブ2,3は、接続部Cを挟んで対向して設けられ、二つの分割スリーブ2,3によって形成される箱体内に接続部Cを収める。このとき、二つの分割スリーブ2,3の両側面部2c,3cの間すなわち分割スリーブ2,3の当接部にそれぞれスリーブシールパッキン10を介在させる。この状態でステンレスバンド20を取り付けてネジ21を締めると、スリーブシールパッキン10は二つの分割スリーブ2,3によって挟みこまれて双方の分割スリーブと密接する。当該密接により、スリーブシールパッキン10は側面部2cと側面部3cとの間の分割ラインLの隙間を密閉する。
【0020】
一方、図1,2に示すように、ケーブルA,Bはクロージャ1の導出口Eから導出する。導出口Eは分割スリーブ2、3の導出面部2b、3bに形成された半円状の切欠部が合わさって形成される。
図4に、導出口Eの密閉構造を示す。この図4は、図1のQ−Q部分断面図である。ケーブルA,Bと導出口Eとの間の隙間は導出口Eの内側の段差Fに合わせて各ケーブルに巻き回された弾性体Gによって塞がれる。この状態でステンレスバンド20を取り付けてネジ21を締めると、弾性体Gは二つの分割スリーブ2,3によって挟みこまれて双方の分割スリーブと密接する。当該密接により、スリーブシールパッキン10はケーブルA,Bと導出口Eとの間の隙間を密閉する。
なお、図1に示すように、本実施の形態のクロージャ1は、両導出面部に二つの導出口Eを有し、各導出面部からそれぞれ二本のケーブルを導出可能な構成である。また、図1に示すように、各導出面部から導出されるケーブルが一本の場合には、使用しない導出口Eに弾性体の蓋Hを嵌め込むようにする。
【0021】
クロージャ3の側圧バルブ3aは、箱体内の空間と繋がる通気口である。クロージャ1の取り付け後、クロージャ1の取り付け作業者によって側圧バルブ3aにガスポンプ(図示略)が接続され、クロージャ1の箱体内に不活性ガスが送り込まれる。クロージャ1の取り付け作業者は、当該ガスがクロージャ1から漏れ出さないことを確認することでクロージャ1の密閉を確認する検査を行う。側圧バルブ3aは、当該検査のときを除いて蓋ネジ30によって塞がれる。
【0022】
なお、一般にクロージャ1の取り付け時には側圧バルブを有しない分割スリーブ2を接続部Cの下方に置き、接続部Cの上方から側圧バルブ3aを有する分割スリーブ3を被せる方法を採る。以下は当該取り付け方法に基づいて記載する。
また、二つのスリーブシールパッキン1020はそれぞれ二つの分割スリーブ2、3の両側面部に挟まれるよう設けられるが、各スリーブシールパッキンと各側縁部との関係は同様であるので、以下ひとつのスリーブシールパッキン10と一方の側面部について記載する。
【0023】
図5に分割スリーブ2の側面部2cに載置されたスリーブシールパッキン10及び脱落防止部12(後述)を示す。この図5は、図2のR−R部分断面図である。スリーブシールパッキン10は、各分割スリーブの側面部2c、3cのX軸方向の長さよりも長い丸棒状の弾性体である。分割スリーブ2の側面部2cは、スリーブシールパッキン10との当接面に溝2dを有する。溝2dは、スリーブシールパッキン10を側面部2c上に案内する。
【0024】
スリーブシールパッキン10は、溝2dからの脱落を防止する脱落防止部12を有する。脱落防止部12は、スリーブシールパッキン10の軸方向に沿って設けられ、その断面形状がコの字形である。また、該コの字の3辺の中央の辺12aにスリーブシールパッキン10が位置し、その丸棒形状がほぼ半分ずつ辺12aの両面に盛り上がる。
スリーブシールパッキン10を溝2dに載置する際には、該コの字の内側に溝2dの側壁2eが位置するよう載置される。このとき、脱落防止部12は溝2dの側壁2eの外側と係合し、スリーブシールパッキン10の載置位置を溝2d上で安定させる。
【0025】
図6にクロージャ1取り付け時の脱落防止部12付近の構成を示す。この図6は、図1のP−P部分断面図である。図6に示すように、溝2dの深さT1は、スリーブシールパッキン10の外周と脱落防止部12の辺12aの外周部との段差T2以下であることが望ましく、本実施の形態ではそのように設けられている。なお、段差T2は脱落防止部12のコの字の内側の段差である。
また、図6に示すように、分割スリーブ3も分割スリーブ2と同様に、側面部3cのスリーブシールパッキン10との当接面に溝3dを有する。溝3dの深さT3は、脱落防止部12の丸棒状の外周と辺12aの外周部との段差T4以下であることが望ましく、本実施の形態ではそのように設けられている。なお、段差T4は脱落防止部12のコの字の外側の段差である。
さらに、段差T2、T4の合計値は、深さT1、T3の合計値よりも大きいことが望ましく、本実施の形態ではそのように設けられている。
【0026】
また、上述のような溝2dの深さT1と段差T2との関係及び溝3dと段差T3との関係により、クロージャ1の取り付け時に分割スリーブ2,3に挟まれるスリーブシールパッキン10は、溝2d、3dの底部2f、3fに好適に押圧されて底部2f、3fとの接点を密閉する。また、このとき脱落防止部12は溝2d、3dの側壁2e,3eに押圧されず、その接点は密閉されない。
なお、本実施の形態では、上述のように脱落防止部12は溝2d、3dの側壁2e,3eに押圧されず、その接点は密閉されないが、脱落防止部と側壁とが当接してもよい。また、脱落防止部と側壁との間の隙間が密閉されるよう設けてもよい。その場合、側壁によって脱落防止部が挟まれるが、その挟みこみによって溝の底部とスリーブシールパッキンとの密着が阻害されることがなく、かつ、脱落防止部が切断されないよう設けることが望ましい。また、二つの分割クロージャの溝部の側壁のうち、脱落防止部が間に介在しない部分については側壁が互いに当接してもよい。
【0027】
なお、脱落防止部12はスリーブシールパッキン10と一体に形成されている。脱落防止部とスリーブシールパッキンとを一体成型にて製造する場合には、その全体が同一の材質で構成されるようにしてもよいし、脱落防止部が別部材の芯を少なくともその一部に含むよう設けてもよい。当該芯としては、例えばその断面形状がL字形状又はコの字状等の部材や、脱落防止部の形状に沿うよう配置した板状の部材等が挙げられる。また、スリーブシールパッキンに別部材の芯を少なくともその一部に含むよう設けてもよい。また、スリーブシールパッキン及び脱落防止部に設けられる別部材の芯が一体に形成されていてもよい。
また、図1に示すように、本実施の形態においては、脱落防止部12はクロージャ1の取り付け時にステンレスバンド20が固定される位置と重ならないよう設けられているが、脱落防止部の配接位置については本実施の形態に限定されることは言うまでもなく、スリーブシールパッキンの脱落を防止できればよい。
【0028】
ところで、図7に示す従来のスリーブシールパッキン110の場合、取り付け後のクロージャ100の外見は、スリーブシールパッキン110の有無によっては変化しない。このため、クロージャ100を取り付ける作業者はクロージャの取り付け後にクロージャ100の外観からスリーブシールパッキン110の有無を判別できない。よって、スリーブシールパッキン110の脱落があった場合でも気付きにくい。特に、スリープシールパッキン110がクロージャ100の内側に脱落してしまった場合、その脱落に気付きにくい。
【0029】
さらに、一般的にクロージャの取り付け作業は各種ケーブルの敷設や整備等に伴う作業であるので、当該敷設や整備等によって影響を受ける事業活動が行われていない時間帯、即ち夜間にその取り付け作業が行われることもある。この場合、クロージャの取り付け作業は夜間の屋外で行われることなる。従って作業環境は暗く、従来のクロージャ100を用いた場合、スリーブシールパッキン110の脱落があった場合であってもその脱落に気付きにくい。
【0030】
そこで、本発明の実施の形態のクロージャ1は、図1及び図2に示すように、脱落防止部12のコの字形の一片である第1の露出部12bをクロージャ1の取り付け後に外部に露出させ、クロージャ1の取り付け後に外部からスリーブシールパッキン10の介在を視認可能としている。
【0031】
なお、第1の露出部12bの少なくとも一部に、その周囲の露出面に対して視覚的に識別可能な第1の識別部を設けてもよい。第1の識別部として、例えば当該一片全体を分割スリーブ2,3の色と異なる色で着色したり、当該一片の一部に視認性の高いマークを付加したりするものが考えられる。無論、視覚的に識別可能であればその実施の形態は上述に限らず、限定されない。
【0032】
また、図1に示すように、クロージャ1の取り付け後、スリーブシールパッキン10のX軸方向の両側の端部10aは外部に露出する。なお、図示されていないが、ケーブルBが導出される側のスリーブシールパッキン10の端部も端部10aと同様に露出している。よって、端部10aは「第2の露出部」として機能する。
【0033】
また、端部10aにはその周囲に対して視覚的に識別可能な第2の識別部11が設けられている。例えば、第2の識別部11は両端10a、10aを黄色のキャップで覆ったものであり、分割スリーブ2,3の外周面を黒色にすることで、色のコントラストを明確にすることができる。よって、スリーブシールパッキン10の介在を視覚的に容易に確認することができる。
【0034】
なお、クロージャ1は主として屋外の接続部Cを密閉保護するため、耐水性、耐候性その他の化学変化に対する耐性を有することが望ましい。このため、本実施の形態では、分割スリーブ2,3には繊維強化プラスチック(FRP)を、弾性体G、弾性体の蓋Hにはポリイソブチレン(ブチルゴムともいう)やエチレンプロピレンジエンゴム(以下、EPDMとする)を用いる。また、スリーブシールパッキン10及び脱落防止部12にはEDPMを用いる。上述の素材を用いることで、クロージャ1は良好な耐水性、耐候性その他の化学変化に対する耐性を有する。
また、キャップ11にはプラスチック等の樹脂を用いているが、例えば両端10a,10aにテープを巻き回す等の方法で第2の識別部を設けてもよい。この場合、テープは視認性の高い色(例えば分割スリーブの外周部が黒色の場合には黄色等)を有することが望ましい。
【0035】
(本発明の実施の形態による作用効果)
上述の実施の形態によれば、脱落防止部12が分割スリーブ2からのスリーブシールパッキン10の脱落を防止する。これによって、クロージャの取り付け時にスリーブシールパッキンが脱落することがあるといった従来の問題点を解消でき、より信頼性の高いクロージャを提供可能となる。
また、脱落防止部12はスリーブシールパッキン10が分割スリーブ2に載置されたときにスリーブシールパッキン10の脱落を防止する。つまり、脱落防止部12がスリーブシールパッキン10の脱落を防止するために、スリーブシールパッキン10が載置される以外の要件を要しない。よって、クロージャ1の取り付け時に、作業者はスリーブシールパッキン10を分割スリーブ2に載置して分割スリーブ3を被せ、ステンレスバンド20によって二つの分割スリーブ2,3とスリーブシールパッキン10とを密接させるだけでよい。従って、クロージャ1の取り付け時における作業者の労力を大幅に軽減し、非常に容易に該取り付けを行うことが可能となる。
【0036】
さらに、分割スリーブ2の側面部2cは、スリーブシールパッキン10との当接面に溝2dを有する。よって、分割スリーブ2にスリーブシールパッキン10を載置したときに、溝2dは長棒状のスリーブシールパッキン10を好適に案内し、その載置位置を一層安定させる。
【0037】
さらに、脱落防止部12は溝2dの側壁2e,2eと係合する。よって、脱落防止部12は溝部2dに案内されたスリーブシールパッキン10の脱落を好適に防止する。
【0038】
さらに、脱落防止部12のコの字形の一片である第1の露出部12bはクロージャ1の取り付け後に外部に露出する。よって、クロージャ1の取付を行う作業者は、第1の露出部12bの露出を確認することで、クロージャ1の側面部を見た際にスリーブシールパッキン10が分割スリーブ2,3の溝2d,3dに沿って正しく介在するかどうかを容易に確認可能となる。
【0039】
さらに、第1の識別部を設けることで、脱落防止部12の外部への露出を容易に視認できる。従って、クロージャ1の側面部を見た際にスリーブシールパッキン10が分割スリーブ2,3の溝2d,3dに沿って正しく介在するかどうかを一層容易に確認可能となる。
【0040】
さらに、脱落防止部12はスリーブシールパッキン10と一体に形成されている。よって、スリーブシールパッキン10を製造する際に脱落防止部12を有する形状で製造できる。従って、事後にスリーブシールパッキンに脱落防止部を設けるといった手間を要せず脱落防止の機能を有するスリープシールパッキンを得られる。
【0041】
さらに、両端10a,10aが外部に露出することで、クロージャ1の取り付けを行う作業者は該取り付け後に当該両端の露出を確認することでスリーブシールパッキン10の分割スリーブ2、3の間の介在を確認できる。
【0042】
さらに、本実施の形態の第2の識別部11は黄色である。よって、夜間の屋外等暗い作業環境でも僅かな光で明確な視認性を得ることができる。従って、そのような環境でもクロージャ1の取り付け後にスリーブシールパッキン10が分割スリーブ2、3の間に介在することを容易に視認できる。
【0043】
(その他)
なお、本発明の特徴を逸脱しない範囲で上述とは異なる実施の形態をとってもよい。例えば、スリーブシールパッキンは丸棒状に限らず、その断面形状がラグビーボール形や楕円形、方形等の長棒状の弾性体であってもよい。また、各部の素材や色、形状等はあくまで一例であり、使用環境に応じて変更可能であることは言うまでもない。例えば、クロージャの形状は上述の実施の形態に限らず、多面体(例えば六面体等)や円筒形でもよい。また、二つの分割スリーブはクロージャの形状を二等分するものに限らず、不等分でもよい。また、上述の実施の形態ではスリーブシールパッキンの両端を覆うキャップを第2の識別部としているが、第2の識別部は視覚的に識別可能となればよく、例えば両端に何らかの着色を施すようにしてもよい。また、スリーブシールパッキン全体が分割スリーブに対して視覚的に識別可能な色を有していてもよい。この場合、脱落防止部及び両端も当該色となるので、当該色を有する第1の露出部は第1の識別部を、第2の露出部は第2の識別部を有することとなる。
【0044】
また、脱落防止部の少なくとも一部を別部材とし、当該別部材をスリーブシールパッキンに固定装備する構成としてもよい。例えば、第1の露出部となる側の脱落防止部を別部材(例えば断面形状がL字形の部材)とし、そのL字の一方の端部をスリーブシールパッキンに固定するよう設ける構成が挙げられる。このとき、別部材のスリーブシールパッキンに固定する側の端部をより好適にスリーブシールパッキンに固定し、別部材のスリーブシールパッキンからの脱落を防止するため、当該端部に係止部を設けるようにしてもよい。係止部としては、例えばスリーブシールパッキンの内側に係止される突起や、当該端部がスリーブシールパッキンから抜け落ちることを防止する返し形状等が挙げられる。また、当該別部材は耐水性、耐候性その他の化学変化に対する耐性を有することが望ましい。別部材の素材としては、例えばステンレス等が挙げられる。この場合、ステンレスの金属光沢が第1の識別部として機能する効果も同時に生じる。無論、別部材の素材はステンレスに限らず、脱落防止部として機能するものであれば何でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態によるクロージャを示す。
【図2】分割スリーブ3を外した状態を示す。
【図3】クロージャの側面部の密閉構造を示す。
【図4】導出口の密閉構造を示す。
【図5】分割スリーブ2の側面部に載置されたスリーブシールパッキン及び脱落防止部を示す。
【図6】クロージャ取り付け時の脱落防止部付近の構成を示す。
【図7】従来のクロージャの構成を示す。
【符号の説明】
【0046】
2、3 分割スリーブ
2d,3d 溝
2e、3e 側壁
10 スリーブシールパッキン
10a 端部
11 第2の識別部
12 脱落防止部
12b 第1の露出部
20 ステンレスバンド
A,B ケーブル
C 接続部
E 導出口
G 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にケーブルの接続部を収納するクロージャであって、
前記ケーブルの接続部を挟んで互いに対向する向きで当接する二個一対の分割スリーブと、
前記分割スリーブ同士の当接部に介在されたシール部材と、を備え、
前記シール部材は、前記分割スリーブの一方に載置されたときに該分割スリーブからの脱落を防止する脱落防止部を有することを特徴とするクロージャ。
【請求項2】
前記シール部材は長棒状の弾性体であり、
前記分割スリーブは前記シール部材を案内する溝を有することを特徴とする請求項1に記載のクロージャ。
【請求項3】
前記脱落防止部は、前記溝の側壁の外側と係合することを特徴とする請求項2に記載のクロージャ。
【請求項4】
前記脱落防止部は、少なくともその一部が外部に露出する第1の露出部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のクロージャ。
【請求項5】
前記第1の露出部は、少なくともその一部に、その周囲に対して視覚的に識別可能な第1の識別部を有することを特徴とする請求項4に記載のクロージャ。
【請求項6】
前記脱落防止部は、前記シール部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のクロージャ。
【請求項7】
前記シール部材は、その長棒状の少なくともいずれか一端が外部に露出する第2の露出部を有することを特徴とする請求項2又は3に記載のクロージャ。
【請求項8】
前記第2の露出部は、少なくともその一部に、その周囲に対して視覚的に識別可能な第2の識別部を有することを特徴とする請求項7に記載のクロージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−225575(P2009−225575A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67896(P2008−67896)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】