説明

クローラ作業機械

【課題】クレーン作業では吊り荷の荷重が鉛直線に真下に働き、長尺ブームでは僅かな旋回体の傾斜でブームの幅より外側に荷重とフックの鉛直線が働き、傾いた片側に許容以上の圧縮力が作用し、他方は引っ張る力が作用する、この不安定な時、更に旋回動作でブームに横方向の負担が掛かると危険が増す。事故要因を無くすには水平レベルの調整が適時に可能で、滑らかな旋回をするクローラ作業機械が求められている。
【解決手段】上記目的を達成するために、旋回体を旋回可能に配置するセンターフレームの前後左右にジャッキシリンダを具備したジャッキ箱を設け、クローラを備えた一対のクローラフレームに貫通部を設け、ジャッキ箱を貫通部に挿入し走行体を構成し、ジャッキシリンダの伸縮でジャッキ箱を上下に摺動し、旋回体の水平レベルを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回体の水平レベルを適時に調整するクローラ作業機械の走行体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クローラの走行体を持つ作業機械は不整地走行が出来るのが特徴だが、クローラフレームをジャッキアップして傾斜角度に合わせた傾斜板を敷き込み、旋回体の水平を調整する技術が有る。(例えば特許文献1参照)
【0003】
図10の様なクローラ作業機械は水平に整地された設置場所でも埋め戻し時期、作業等の条件により、路盤の不都合で水平レベルが維持出来ない時、長尺ブーム16を備えたクローラ作業機械は危険要因を抱えて作業をしている。図5で示すようにホイールで移動するクレーンはアウトリガ21,22を使い旋回体3を水平に調整、維持され滑らかな旋回動作が出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2005−263406号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた、クローラフレームをジャッキアップして傾斜板を敷き込む作業は危険な作業であり、現場の角度に合わせた傾斜板を用意するには制作コストが掛かり、敏速に対応出来る作業機械が無かった。
【0006】
図10に示すように、クレーン作業では吊り荷の荷重が鉛直線に真下に働き、長尺ブームでは僅かな旋回体3の傾斜でブーム16の幅より外側に荷重とフック24の鉛直線が働き、傾いた片側に許容以上の圧縮力が作用し、他方は引っ張る力が作用する、この不安定な時、更に旋回動作でブームに横方向の負担が掛かると危険が増す。事故要因を無くすには水平レベルの調整が適時に可能で、滑らかな旋回をするクローラ作業機械が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、旋回体を旋回可能に配置するセンターフレームの前後左右にジャッキシリンダを具備したジャッキ箱を設け、クローラを備えた一対のクローラフレームに貫通部を設け、ジャッキ箱を貫通部に挿入し走行体を構成し、ジャッキシリンダの伸縮でジャッキ箱を上下に摺動し、旋回体の水平レベルを調整する。
【0008】
上記、請求項1記載のクローラ作業機械においてジャッキシリンダが押し上げたジャッキ箱とクローラフレームの貫通部に出来た隙間に調整シムプレートを挿入し、調整シムプレートで荷重を受ける走行体。
【0009】
上記、請求項2記載のクローラ作業機械において、センターフレームの前後に、脱着可能としたアクスルの両端部にジャッキ箱を設け、クローラフレームの貫通部に挿入した走行体。
【0010】
上記、請求項2記載クローラ作業機械において、クローラフレームに連結部を備えたジャッキ箱を設け、センターフレームの前後左右に設けた連結部と結合した走行体。
【発明の効果】
【0011】
上述したように本発明のクローラ作業機械は、設置場所の水平が不都合であっても、適時にジャッキシリンダの伸縮で旋回体の水平レベルを調整し、滑らかな旋回で作業効率の良い、クローラ作業機械を提供できる。
【0012】
またこのクローラ作業機械は、旋回体の水平レベルを維持する事で長尺ブームを設けたクローラクレーンに於いて、ブーム幅の中に吊り荷重とフックの鉛直線が収まる事で、過度な力がブームに偏らず、安全が確保出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態を示す外観図で一部カット図
【図2】同走行体の一部を示す外観図
【図3】同走行体の一部を示す外観図
【図4】同ジャッキ箱の1図におけるA−A、線の断面図
【図5】従来のホイールクレーンの外観図で一部カット図
【図6】同ジャッキ箱の2図におけるB−B、線の断面図
【図7】同ジャッキ箱の3図におけるC−C、線の断面図
【図8】同クローラ作業機械の外観図で一部カット図
【図9】同クローラ作業機械の外観図で一部想像図
【図10】クローラクレーンの立面の比較図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明は、図1,4,8に示すように、旋回体3を旋回ベアリング15を用い旋回可能に配置するセンターフレーム1の前後左右に、ジャッキシリンダ6を具備したジャッキ箱5を設け、クローラ11を備えた一対のクローラフレーム8に貫通部7を設け、ジャッキ箱5を貫通部7に挿入し走行体を構成したもので、ジャッキシリンダ6の伸縮でジャッキ箱5を上下に摺動し、上側のスペースシリンダ10でジャッキ箱5と貫通部7との隙間を無くし、センターフレーム1に搭載されている旋回体3の水平レベルを調整するクローラ作業機械。
【実施例2】
【0016】
図6,7に示すように、請求項2記載のクローラ作業機械において、ジャッキシリンダ6が押し上げたジャッキ箱5の下面とクローラフレーム8の貫通部7に出来た隙間に調整シムプレート12を挿入し、旋回体3と作業時に作用する荷重を調整シムプレート12が受け、ジャッキシリンダ6の負担を軽減し、上側のスペースシリンダ10でジャッキ箱5と貫通部7の上面の隙間を無くしたクローラ作業機械。
【実施例3】
【0017】
図2,6,9に示すように、請求項3記載のクローラ作業機械において、組立用ジャッキ23で押し上げたセンターフレーム1の前後に、連結部4を備え脱着可能としたアクスル2の両端部にジャッキ箱5を具備し、ジャッキ箱5を貫通部7に挿入し走行体を構成したもので輸送時は、通行可能なサイズに分解し、重量を軽量化するのを特徴としたクローラ作業機械。
【実施例4】
【0018】
図3,6,7に示すように、請求項4記載クローラ作業機械において、組立用ジャッキ23でセンターフレーム1を押し上げ、クローラフレーム8の貫通部7に結合部9Aを設けたジャッキ箱5を具備し、センターフレーム1の前後左右に連結部9を設け、連結部9Aと結合し走行体を構成したもので、組立、解体を容易としたクローラ作業機械。
【付号の説明】
【0019】
1・・・・センターフレーム
2・・・・アクスル
3・・・・旋回体
4・・・・連結部
5・・・・ジャッキ箱
6・・・・ジャッキシリンダ
7・・・・貫通部
8・・・・クローラフレーム
9,9A・・連結部
10・・・スペースシリンダ
11・・・クローラ
12・・・調整シムプレート
15・・・旋回ベアリング
16・・・ブーム
21,22・アウトリガ
23・・・組立用ジャッキ
24・・・フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回体を旋回可能に配置するセンターフレームの前後左右に、ジャッキシリンダを具備したジャッキ箱を設け、クローラを備えたクローラフレームに貫通部を設け、前記ジャッキ箱を前記貫通部に挿入し走行体を構成したもので、前記ジャッキシリンダの伸縮で前記ジャッキ箱を上下に摺動し、前記旋回体の水平レベルを調整するのを特徴とするクローラ作業機械。
【請求項2】
前記ジャッキシリンダが押し上げた前記ジャッキ箱と前記クローラフレームの前記貫通部に出来た隙間に調整シムプレートを挿入し、前記調整シムプレートが荷重を受け、前記ジャッキシリンダの負担を軽減する、請求項1記載のクローラ作業機械。
【請求項3】
センターフレームの前後に、脱着可能としたアクスルの両端部に前記ジャッキ箱を具備し、前記ジャッキ箱を前記クローラフレームの前記貫通部に差し込み走行体を構成した、請求項2記載のクローラ作業機械。
【請求項4】
前記クローラフレームに連結部を備えたジャッキ箱を設け、センターフレームの前後左右に設けた連結部と結合し走行体を構成した、請求項2記載のクローラ作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−153026(P2011−153026A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28137(P2010−28137)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(598093576)
【Fターム(参考)】