クーリングモジュール
【課題】コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音を低減することができるクーリングモジュールを提供する。
【解決手段】車両に搭載され、冷却水と空気とを熱交換して冷却水を冷却するラジエータ1と、冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して冷媒を凝縮させるコンデンサ2とを備え、ラジエータ1が車両に固定されるクーリングモジュールであって、コンデンサ2を、弾性変形可能なゴムブッシュ3を介してラジエータ1に固定する。
【解決手段】車両に搭載され、冷却水と空気とを熱交換して冷却水を冷却するラジエータ1と、冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して冷媒を凝縮させるコンデンサ2とを備え、ラジエータ1が車両に固定されるクーリングモジュールであって、コンデンサ2を、弾性変形可能なゴムブッシュ3を介してラジエータ1に固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱交換器を一体に組み付けたクーリングモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のラジエータやコンデンサ等の熱交換器は、個別に車体に搭載されていた。特にコンデンサは、冷凍サイクルにおけるコンプレッサからの冷媒の吐出脈動が車両ボディに伝達するのを抑制するために、弾性部材(ゴムブッシュ)を介して車体に搭載されており、これにより車室内騒音を低減していた。
【0003】
近年、熱交換器や車体前周りの部品を一体に組み付けてモジュールを構成して、車体に一括搭載する組立て方法が考案され、主流になりつつある。この中には、ラジエータとコンデンサを一体に組み付けたクーリングモジュールがあり、種々の構造が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなクーリングモジュールにおいては、ラジエータにコンデンサを固定した後、コンデンサが固定されたラジエータを車体に直接組み付ける方法が知られている。
【特許文献1】特開2001−301474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法では、コンデンサを直接ラジエータに固定するため、コンプレッサからの冷媒の吐出脈動がラジエータを介して車体に伝達し、車室内の振動騒音が悪化するという問題がある。なお、コンデンサが固定されたラジエータを、防振ゴムを介して車体に搭載しているものもあるが、車室内の振動騒音を十分に抑制できないことが多い。
【0006】
そこで、本発明者等がその原因について調査したところ、コンプレッサの冷媒の吐出脈動による振動がコンデンサと共振することにより増幅されて、ラジエータを介して車両ボディに伝達していることが分かった。
【0007】
また、通常、クーリングモジュールの防振構造は、クーリングモジュールをエンジンの振動を抑制するダイナミックダンパ(動吸振器)の錘として作用するように設計され、アイドリング時のエンジンの燃焼爆発成分が主体となる振動が車両全体およびステアリングに伝達して乗員に不快感を与えることを抑制している。このとき、防振ゴム上下方向の固有振動数がエンジン振動と略同一の振動数(17〜20Hz程度)となるように、バネ定数をチューニングしている。
【0008】
しかしながら、前後方向と左右方向のバネ定数は規定されておらず、通常成り行きで硬く設定されている。このため、コンプレッサの冷媒の吐出脈動による振動がコンデンサで増幅され、ラジエータを介して車両ボディに伝達することで、エアコン作動時の車室内騒音が上昇し、乗員に不快感を与えるという問題が発生する。
【0009】
本発明は、上記点に鑑み、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音を低減することができるクーリングモジュールを提供することを目的とする。
【0010】
また、アイドリング時のエンジン振動が車両ボディおよびステアリングに伝達されることを低減することができるクーリングモジュールを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明では、車両に搭載され、冷却水と空気とを熱交換して冷却水を冷却するラジエータ(1)と、冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して冷媒を凝縮させるコンデンサ(2)とを備え、ラジエータ(1)が車両に固定されるクーリングモジュールであって、コンデンサ(2)は、弾性変形可能な弾性部材(3、30)を介してラジエータ(1)に固定されていることを第1の特徴としている。
【0012】
これにより、冷凍サイクルにおけるコンプレッサの吐出脈動が弾性部材(3、30)によって吸収されるため、コンデンサ(2)からラジエータ(1)、そして車両ボディに伝達することを抑制できる。このため、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音を低減することが可能となる。
【0013】
この場合、ラジエータ(1)にコンデンサ(2)を固定する取付部材(4)を設け、コンデンサ(2)の外周縁部に、突起部(2c)を設け、弾性部材(3、30)を、突起部(2c)を覆うように設け、取付部材(4)を、弾性部材(3、30)を介して突起部(2c)に固定することができる。
【0014】
また、ラジエータ(1)にコンデンサ(2)を固定する取付部材(6)を設け、取付部材(6)に、コンデンサ(2)の外周縁部が入り込んで嵌合することができる凹形状の受部(61)を設け、弾性部材(30)を、受部(61)におけるコンデンサ(2)の外周縁部が嵌合する部位に設けることができる。
また、ラジエータ(1)を、冷却水が流れる複数のチューブを有するラジエータコア(1a)と、チューブの長手方向両端部にてチューブの長手方向と直交する方向に延びてチューブと連通するラジエータタンク(1b)とを備え、ラジエータタンク(1b)がラジエータコア(1a)の鉛直方向両端部に配置されるとともに、冷却水が鉛直方向に流れるダウンフロー型の熱交換器にて構成し、取付部材(4、6)を、ラジエータタンク(1b)に固定することができる。
【0015】
また、本発明では、ラジエータ(1)は、弾性変形可能な弾性支持部材(7)を介して車両ボディ(8)に固定されており、弾性支持部材(7)および弾性部材(3、30)のうち、一方の固有振動数が他方の固有振動数の2倍以上に設定されていることを第2の特徴としている。
【0016】
通常、ラジエータ(1)はエンジンの振動を抑制する動吸振器(ダイナミックダンパ)の錘として作用するように設計されている。しかし、ラジエータ(1)とコンデンサ(2)とを一体に組み付けるクーリングモジュール化により、ラジエータ(1)の動吸振器としての作用を阻害してしまう場合があることが分かった。
【0017】
そこで、本発明者等の検討の結果(後述の図17(a)〜(c)参照)、弾性支持部材(7)および弾性部材(3、30)のうち、一方の固有振動数を他方の固有振動数の2倍以上とすることで、ラジエータ(1)を動吸振器の錘としての作用させることを阻害しないことが明らかになった。これにより、アイドリング時のエンジン振動が車両ボディ(8)およびステアリングに伝達されることを低減することが可能となる。
【0018】
また、本発明では、弾性部材(3、30)の固有振動数が、弾性支持部材(7)の固有振動数の2倍以上に設定されていることを第3の特徴としている。
【0019】
これにより、弾性部材(3、30)の固有振動数を、危険周波数域(通常走行中の車両に発生しうる振動の周波数)に含まれないようにすることができるため、コンデンサ(2)が車両の振動と共振することを防止しつつ、アイドリング時のエンジン振動が車両ボディ(8)およびステアリングに伝達されることを低減することが可能となる。
【0020】
また、本発明では、冷凍サイクルには、冷媒を圧縮して吐出するコンプレッサが設けられており、コンプレッサの冷媒の吐出脈動により発生する振動の振動周波数全域にわたって弾性部材(3、30)が振動を減衰するように、弾性部材(3、30)の固有振動数が振動周波数より低く設定されていることを第4の特徴としている。
【0021】
これによると、コンデンサ(2)とラジエータ(1)との間に弾性部材(3、30)を介在しているから、コンデンサ(2)に発生するコンプレッサの冷媒の吐出脈動による振動が、ラジエータ(1)を介して車両ボディ(8)側へ伝達することを弾性部材(3、30)によって抑制できる。
【0022】
また、弾性部材(3、30)のような防振材は、固有振動数の√2倍より大きい振動周波数に対して振動伝達率が1未満となり、振動を減衰することが理論的に知られている。
【0023】
このため、コンプレッサの冷媒の吐出脈動により発生する振動の振動周波数全域にわたって弾性部材(3、30)が振動を減衰するように、弾性部材(3、30)の固有振動数を振動周波数より低く設定すれば、コンデンサ(2)の振動が車両ボディ(8)側へ伝達することを抑制できる。このため、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音を低減することが可能となる。
【0024】
この場合、弾性部材(3、30)の固有振動数を、振動周波数の1/√2倍より低く設定することができる。
【0025】
また、弾性部材(3、30)の固有振動数を、振動周波数の1/2倍より低く設定してもよい。これにより、コンデンサ(2)の振動が車両ボディ(8)側へ伝達することをより確実に抑制できる。このため、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音をより一層低減することが可能となる。
【0026】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態のクーリングモジュールは車両用であり、このクーリングモジュールは、通常、エンジン(内燃機関)を走行用駆動源とする車両の前端部に搭載される。
【0028】
図1は本第1実施形態に係るクーリングモジュールを車両前方側からみた状態を示す斜視図で、図2は図1のA−A断面図である。
【0029】
図1および図2に示すように、クーリングモジュールは、図示しないエンジンの冷却水と外気とを熱交換させて冷却水を冷却するラジエータ1と、図示しない車両用冷凍サイクル(空調装置)内を循環する冷媒と外気とを熱交換させて冷媒を冷却するコンデンサ2と、ラジエータ1およびコンデンサ2に冷却風を送風する電動送風機(図示せず)と、電動送風機を保持するとともに、電動送風機により誘起される空気流がラジエータ1およびコンデンサ2に流れるように空気流をガイドするシュラウド(図示せず)とを備えている。
【0030】
ちなみに、コンデンサ2は、ラジエータ1よりも空気流れ上流側、換言すると、車両前方側に配置されている。シュラウドは、ラジエータ1の空気流れ下流側(車両後方側)に配置されており、ラジエータ1の背面(車両後方側の面)を覆うようになっている。
【0031】
ラジエータ1は、エンジン冷却水と外気とを熱交換してエンジン冷却水を冷却する熱交換器である。ラジエータ1は、冷却水が流通する複数本のラジエータチューブからなるラジエータコア1a、およびラジエータチューブの長手方向両端側に配設されて各ラジエータチューブに連通するラジエータタンク1bを有している。
【0032】
本実施形態のラジエータ1は、冷却水が上下方向に流れるダウンフロー型の熱交換器であって、ラジエータチューブの長手方向は鉛直方向に延びており、ラジエータタンク1bはラジエータコア1aの鉛直方向上下端部に配置されている。
【0033】
ラジエータタンク1bの長手方向両端部には、貫通孔10がそれぞれ設けられている。貫通孔10は、ラジエータタンク1b内を貫通するように形成されている。また、ラジエータタンク1bにおいて、貫通孔10の一方の開口部はコンデンサ2が固定される側の面(車両前方側)に形成され、他方の開口部はコンデンサ2が固定される側と反対の面(車両後方側)に形成されている。すなわち、貫通孔10は、車両前方側から車両後方側に貫通している。
【0034】
また、ラジエータタンク1bには、ラジエータ1を車両ボディ(図示せず)に固定するための突出部11がそれぞれ設けられている。突出部11は、ジエータタンク1bの長手方向両端部に配置されており、鉛直方向に突出している。
【0035】
コンデンサ2は、冷凍サイクル(図示せず)内を循環する冷媒と外気とを熱交換して冷媒を冷却する熱交換器である。コンデンサ2もラジエータ1と同様に、冷媒が流通する複数本のコンデンサチューブからなるコンデンサコア2a、およびコンデンサチューブの長手方向両端側に配設されて各コンデンサチューブに連通するコンデンサタンク2bとを有している。
【0036】
本実施形態のコンデンサ2は、冷媒が水平方向に流れるクロスフロー型の熱交換器であって、コンデンサチューブの長手方向は水平方向に延びており、コンデンサタンク2bはコンデンサコア2aの水平方向両端部に配置されている。
【0037】
コンデンサ2の外周縁部における鉛直方向上面および下面には、鉛直方向に突出するピン2cが設けられている。ピン2cには、弾性変形可能なゴム製のゴムブッシュ3が取り付けられている。ゴムブッシュ3は、ピン2cを覆うように設けられている。なお、ピン2cが本発明の突起部に相当し、ゴムブッシュ3が弾性部材に相当している。
【0038】
図3は、本第1実施形態におけるゴムブッシュ3を示す斜視図である。図3に示すように、ゴムブッシュ3は、円柱状の部位3aと略円錐状の部位3bとを有している。また、ゴムブッシュ3には、円柱状の部位3aおよび略円錐状の部位3bの軸方向に貫通孔3cが形成されている。そして、この貫通孔3cがコンデンサ2のピン2cに嵌合されることによって、ゴムブッシュ3はピン2cに固定されている。
【0039】
図1および図2に戻り、コンデンサ2の鉛直方向上面および下面には、樹脂製のブラケット4が組み付けられている。本実施形態では、ゴムブッシュ3が取り付けられたピン2cを、ブラケット4の後述する貫通穴部40に挿入することにより、ブラケット4はコンデンサ2に組み付けられている。なお、ブラケット4が、本発明の取付部材に相当している。
【0040】
図4は、本第1実施形態におけるブラケット4を示す斜視図である。図4に示すように、ブラケット4におけるピン2cと対応する部位には、貫通穴部40が形成されている。また、ブラケット4には、ラジエータ1側(車両後方側)に向かって突出する弾性変形可能な爪部41が設けられている。
【0041】
爪部41は、ラジエータ1の貫通孔10に嵌合するように構成されており、貫通孔10の一方の開口部から挿入し、他方の開口部の角部に係合するようになっている。爪部41は、弾性変形可能な一対の係合片41a、41bから構成されている。一対の係合片41a、41bには、貫通孔10の他方の開口部の角部に係合する突起部が形成されている。
【0042】
爪部41は、貫通孔10の内壁により押圧されて一対の係合片41a、41bが弾性変形して互いに接近した状態で貫通孔10に挿入される。爪部41が貫通孔10を貫通した後には、一対の係合片41a、41bの弾性変形が戻り、突起部が他方の開口部の角部に係合するようになっている。このように爪部41が貫通孔10に係合することにより、ブラケット4はラジエータ1に固定されている。
【0043】
次に、本実施形態のクーリングモジュールの組み付けおよび車両への搭載手順について説明する。
【0044】
まず、鉛直方向下側のラジエータタンク1bに鉛直方向下側のブラケット4を取り付ける。別工程で、コンデンサ2のピン2cにゴムブッシュ3を取り付けておく。そして、鉛直方向下側のピン2cを、下側のブラケット4における貫通穴部40に挿入する。次に、コンデンサ2の鉛直方向上側のピン2cに、鉛直方向上側のブラケット4における貫通穴部40を嵌合し、このブラケット4を鉛直方向上側のラジエータタンク1bにおける貫通孔10に係合させる。また、別工程にて、送風機(図示せず)をシュラウド(図示せず)に結合して、シュラウドと送風機を一体化する。
【0045】
次いで、一体化されたラジエータ1とコンデンサ2にシュラウドを組み付ける。これにより、ラジエータ1、コンデンサ2、シュラウドおよび送風機を一体化したクーリングモジュールが完成する。
【0046】
次いで、このクーリングモジュールを車両に搭載する。具体的には、ラジエータ1の突出部11を、車両ボディ(図示せず)の一部と嵌合させる。これにより、クーリングモジュールの組み付け、およびクーリングモジュールの車両への搭載が完了する。
【0047】
以上説明したように、弾性変形可能なゴムブッシュ3を介してラジエータ1とコンデンサ2とを固定することで、コンプレッサの吐出脈動がゴムブッシュ3によって吸収され、コンデンサ2からラジエータ1、そして車両ボディに伝達することを抑制できる。このため、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音を低減することができる。
【0048】
また、貫通孔10に爪部41を係合させることでブラケット4をラジエータ1に固定しているので、ボルト等の別の締結部材を新たに設ける必要がない。このため、部品点数を削減してコスト低減を図ることが可能となる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図5〜図8に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
図5は本第2実施形態に係るクーリングモジュールを示す斜視図で、図6は図5のB−B断面図である。図5および図6に示すように、コンデンサ2の鉛直方向上面および下面には、鉛直方向に突出するピン部5aを有するピン付ブラケット5が配設されている。以下、コンデンサ2の鉛直方向上面に配設されるピン付ブラケット5を上側ピン付ブラケット51といい、鉛直方向下面に配設されるピン付ブラケット5を下側ピン付ブラケット52という。なお、ピン部5aが本発明の突起部に相当している。
【0051】
図7は、本第2実施形態における上側ピン付ブラケット51近傍を示す斜視図である。図7に示すように、上側ピン付ブラケット51のピン部5aには、ゴムブッシュ3が取り付けられており、このゴムブッシュ3を介して締結ブラケット4が取り付けられている。なお、締結ブラケット4が、本発明の取付部材に相当している。
【0052】
締結ブラケット4におけるゴムブッシュ3と対向する部位には、貫通穴部40が形成されている。貫通穴部40には、ゴムブッシュ3が挿通されて、締結ブラケット4は上側ピン付ブラケット51に固定されている。これにより、締結ブラケット4は、コンデンサ2に固定されている。
【0053】
また、締結ブラケット4におけるラジエータタンク1bと対向する部位には、ボルト用穴部42が形成されている。ボルト用穴部42には、ボルト43が挿通されて(図5参照)、締結ブラケット4はラジエータタンク1bに固定されている。
【0054】
図8は、本第2実施形態における下側ピン付ブラケット5近傍を示す斜視図である。下側ピン付ブラケット5は、上側ピン付ブラケット5と形状は異なるものの同一の機能を有しているため、ここでは上側ピン付ブラケット5と同様の部分に同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
以上説明したように、コンデンサ2にピン付ブラケット5を設け、このピン付ブラケット5のピン部5aと締結ブラケット4とを弾性変形可能なゴムブッシュ3を介して嵌合させることにより、ラジエータ1にコンデンサ2を固定することができる。これにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、ピン付ブラケット5を用いることで、ピン部5a(突起部)をコンデンサ2の外周縁部における任意の位置に設定することができる。本実施形態では、ピン部5aをコンデンサ2におけるラジエータ1から遠い側の面上に配設しているため、ラジエータ1とコンデンサ2との隙間S(図6参照)を小さくすることができる。これにより、コンデンサ2の熱交換性能を向上させることが可能となる。同時に、クーリングモジュールを小型化できるため、車両搭載性を向上させることが可能となる。
【0057】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図9〜図11に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第2実施形態と比較して、上側ピン付ブラケット51を廃止するとともに、締結ブラケット4をゴム付ブラケット6に変更した点が異なるものである。上記第2実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図9は本第3実施形態に係るクーリングモジュールを示す斜視図で、図10は図9のC−C断面図である。図9および図10に示すように、コンデンサ2の鉛直方向上面には、ゴム付ブラケット6が取り付けられている。なお、ゴム付ブラケット6が、本発明の取付部材に相当している。
【0059】
図11は、本第3実施形態におけるゴム付ブラケット6を示す斜視図である。図11に示すように、ゴム付ブラケット6におけるコンデンサ2の鉛直方向上端部と対向する面には、コンデンサ2の鉛直方向上端部が入り込む略コの字形状の受部61が形成されている。ゴム付ブラケット6における受部61の内側には、弾性変形可能な(本実施形態ではゴム製)ゴムブッシュ部30が配設されている。本実施形態では、ゴムブッシュ部30は、コンデンサ2の鉛直方向上端部と嵌合するような形状に形成されている。なお、ゴムブッシュ部30が、本発明の弾性部材に相当している。
【0060】
また、ゴム付ブラケット6におけるラジエータタンク1bと対向する部位には、ラジエータ取り付け穴62が形成されている。ラジエータ取り付け穴62にはボルト63が挿通されて(図10参照)、ゴム付ブラケット6はラジエータタンク1bに固定されている。
【0061】
以上説明したように、コンデンサ2の鉛直方向上面に、ゴムブッシュ部30およびラジエータ取り付け穴62を有するゴム付ブラケット6を配設することで、ラジエータ1とコンデンサ2とを固定することができる。このとき、ラジエータ1とコンデンサ2との間の締結用部品を、ゴム付ブラケット6のみにすることができる、すなわち、上記第2実施形態における上側ピン付ブラケット51をなくすことができる。このため、上記第2実施形態と同様の効果を得つつ、部品点数を削減してコスト低減を図ることが可能となる。
【0062】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図12〜図14に基づいて説明する。本第4実施形態は、上記第3実施形態と比較して、ゴム付ブラケット6および締結ブラケット4の形状が異なるものである。上記第3実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図12は、本第4実施形態に係るクーリングモジュールを示す断面図である。図12に示すように、ラジエータタンク1bの長手方向両端部には、貫通孔10がそれぞれ設けられている。貫通孔10は、ラジエータタンク1b内を貫通するように形成されている。また、ラジエータタンク1bにおいて、貫通孔10の一方の開口部はコンデンサ2が固定される側の面(車両前方側)に形成され、他方の開口部はコンデンサ2が固定される側と反対の面(車両後方側)に形成されている。すなわち、貫通孔10は、車両前方側から車両後方側に貫通している。
【0064】
図13は、本第4実施形態におけるゴム付ブラケット6を示す斜視図である。図12および図13に示すように、ゴム付ブラケット6には、ラジエータタンク1b側(車両後方側)に向かって突出する弾性変形可能な第1の爪部64が設けられている。
【0065】
第1の爪部64は、鉛直方向上側のラジエータタンク1bの貫通孔10に嵌合するように構成されており、貫通孔10の一方の開口部から挿入し、他方の開口部の角部に係合するようになっている。第1の爪部64は、弾性変形可能な一対の係合片64a、64bから構成されている。一対の係合片64a、64bには、貫通孔10の他方の開口部の角部に係合する突起部が形成されている。
【0066】
爪部61は、貫通孔10の内壁により押圧されて一対の係合片64a、64bが弾性変形して互いに接近した状態で貫通孔10に挿入される。第1の爪部64が貫通孔10を貫通した後には、一対の係合片64a、64bの弾性変形が戻り、突起部が他方の開口部の角部に係合するようになっている。このように第1の爪部64が貫通孔10に係合することにより、コンデンサ2はラジエータ1に固定されている。
【0067】
図14は、本第4実施形態における締結ブラケット4を示す斜視図である。図12および図14に示すように、締結ブラケット4には、ラジエータタンク1b側(車両後方側)に向かって突出する弾性変形可能な第2の爪部41が設けられている。第2の爪部41は、第1の爪部と同様に、一対の係合片41a、41bを有している。第2の爪部41と貫通孔10との係合構造は、上述した第1の爪部64と貫通孔10との嵌合構造と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0068】
以上説明したように、ラジエータタンク1bの貫通孔10に爪部41、64をそれぞれ係合させることで、ラジエータ1にコンデンサ2を固定することができる。このとき、ボルト等の別の締結部材を新たに設ける必要がないため、部品点数をさらに削減して、コスト低減をより一層図ることが可能となる。
【0069】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図15〜図18に基づいて説明する。上記第3実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
図15は、本第5実施形態に係るクーリングモジュールを示す断面図である。図15に示すように、本実施形態のラジエータ1は、弾性変形可能な防振ゴム7を介して車両ボディ8に固定されている。これにより、クーリングモジュールが車両ボディ8に固定されている。
【0071】
続いて、上記構成になる本実施形態のクーリングモジュールについて、弾性部材3、30の固有振動数の検討を行った。
【0072】
図16は、車両ボディ8に発生する振動を示す特性図であり、横軸は振動周波数であり、縦軸は振動倍率である。
【0073】
本実施形態のエンジンは4気筒であり、アイドリング時の回転数が600rpmである。このとき、図16中の実線aに示すように、アイドリング時のエンジンの燃焼爆発成分が主体となる一次振動の固有振動数が20Hzとなる。そこで、防振ゴム7の固有振動数を、エンジンの一次振動の固有振動数と略同一(17〜20Hz)となるようにバネ定数をチューニングすると、ラジエータ1を動吸振器の錘として作用させることができる。これにより、図16中の破線bに示すように、エンジンの振動が車両ボディ8に伝達することを抑制できる。
【0074】
図17は、防振ゴム7の固有振動数を20Hzに設定したときにラジエータ1に発生する振動を示す特性図であり、(a)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1.5倍に設定した場合を、(b)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の2倍に設定した場合を、(c)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の3倍に設定した場合を示している。図17(a)〜(c)において、横軸は振動周波数であり、縦軸は振動倍率である。図17(a)〜(c)中、実線cは、ラジエータ1単体(ラジエータ1にコンデンサ2が固定されていない)の場合を示しており、破線d、e、fは、ラジエータ1に弾性部材3、30を介してコンデンサ2が固定されている場合を示している。
【0075】
図17(a)に示すように、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1.5倍(本実施形態では30Hz)に設定すると、弾性部材3、30と防振ゴム7との固有振動数の差が小さくなる。このため、コンデンサ2自体がラジエータ1の振動を吸収する動吸振器の錘として作用し、図17(a)中の破線dに示すように、ラジエータ1の振動がコンデンサ2によって吸収される。これにより、ラジエータ1のエンジン振動を吸収する動吸振器の錘としての作用を阻害してしまう。したがって、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1.5倍に設定すると、コンデンサ2はラジエータ1の動吸振器の錘としての作用に大きな影響を与えてしまう。
【0076】
一方、図17(b)に示すように、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の2倍(本実施形態では40Hz)に設定すると、弾性部材3、30と防振ゴム7との固有振動数の差が大きくなる。このため、図17(b)中の破線eに示すように、コンデンサ2自体がラジエータ1の振動を吸収する動吸振器の錘として作用することはないので、コンデンサ2がラジエータ1の動吸振器の錘としての作用に与える影響は小さくなる。
【0077】
さらに、図17(c)に示すように、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の3倍(本実施形態では60Hz)に設定すると、弾性部材3、30と防振ゴム7との固有振動数の差がより大きくなる。このため、図17(c)中の破線fに示すように、コンデンサ2がラジエータ1の動吸振器の錘としての作用に与える影響はさらに小さくなる。
【0078】
以上のような発明者等の実験検討により、防振ゴム7と弾性部材3、30との固有振動数の分離が2倍以上、すなわち防振ゴム7および弾性部材3、30のうち、一方の固有振動数が他方の固有振動数の2倍以上であれば、ラジエータ1の動吸振器の錘としての作用を阻害しないことが分かった。したがって、防振ゴム7の固有振動数と弾性部材3、30の固有振動数との関係は、「弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の2倍以上」とする場合と「弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1/2倍以下」とする場合の2通りが考えられる。
【0079】
ところで、車両ボディ8に組み付ける部品のなかでも、重量の大きいラジエータ1やコンデンサ2等は、通常走行中の車両に発生しうる振動(例えば、悪路を走行した場合等)と共振しないように設計されなければならない。このような通常走行中の車両に発生しうる振動の周波数を危険周波数域といい、車両ボディ8に搭載される部品は、その部品の固有振動数が危険周波数域外の値を取るように設計される必要がある。危険周波数域は通常15Hz以下の低い周波数であるため、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1/2倍以下にしてしまうと、15Hz以下に設定することになり、危険周波数域内に弾性部材3、30の固有振動数を含むことになってしまう。したがって、「弾性部材3、30の固有振動数を、防振ゴム7の固有振動数の2倍以上」とすれば、弾性部材3、30の固有振動数は40Hz以上となり、危険周波数域内の値を含むことはない。したがって、本実施形態では、弾性部材3、30の固有振動数の下限値を、防振ゴム7の固有振動数の2倍に規定している。具体的には、本実施形態のようにアイドリング時の回転数が600rpmである4気筒エンジンを用いた場合においては、弾性部材3、30の固有振動数の下限値を40Hzに規定している。
【0080】
図18は、弾性部材3、30の振動吸収作用を示すグラフであり、横軸はコンデンサ2からの発生振動周波数であり、縦軸はコンデンサ2で発生した振動加速度と車両ボディ8で測定された振動加速度との比(振動伝達率)である。すなわち、振動伝達率が1未満であれば、弾性部材3、30により振動が吸収されたことを意味する。なお、コンデンサ2で発生する振動とは、図示しない車両用冷凍サイクル(空調装置)内を循環する冷媒を圧縮して吐出するコンプレッサの冷媒の吐出脈動に起因するものである。
【0081】
図18中の実線gは、本実施形態における測定結果である。矢印hに示すように、本実施形態のコンデンサ2で発生する振動の周波数域が100Hz〜1000Hzとなっているが、本測定では、コンデンサ2にこの周波数域の振動を発生させて測定を行っている。
コンデンサ2で発生する振動の全周波数域において振動を減衰するためには、弾性部材3、30の固有振動数を、コンデンサ2で発生する振動の周波数域内の最低値(本実施形態では、100Hz)より低くする必要がある。
【0082】
また、理論上、弾性部材3、30は、その固有振動数の√2倍より大きい周波数の領域で振動伝達率が1未満となって振動を減衰することができる。よって、コンデンサ2で発生する振動の全周波数域において振動を減衰するためには、弾性部材3の固有振動数を、コンデンサ2で発生する振動周波数域内の最低値の1/√2倍未満にする必要がある。具体的には、本実施形態のように、コンプレッサの冷媒の吐出脈動により発生する振動の振動周波数が100Hz以上の場合においては、弾性部材3、30の固有振動数を約71Hz未満に規定している。
【0083】
さらに、弾性部材3の固有振動数を、コンデンサ2で発生する振動周波数域内の最低値の1/2倍(本実施形態では50Hz)未満にすると、より高い振動減衰効果を得ることができる。
【0084】
以上により、アイドリング時のエンジン振動が車両ボディ8およびステアリングに伝達されることを低減するために、防振ゴム7および弾性部材3、30のうち、一方の固有振動数が他方の固有振動数の2倍以上に設定している。
【0085】
さらに、弾性部材3、30の固有振動数を、危険周波数域に含まれないようにするために、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の2倍以上に設定している。具体的には、上述したように弾性部材3、30の固有振動数の下限値を40Hzとすることができる。
【0086】
また、コンデンサ2の振動が車両ボディ8側へ伝達することを抑制するために、弾性部材3、30の固有振動数を振動周波数の1/√2倍より低く設定している。具体的には、上述したように弾性部材3、30の固有振動数を71Hz未満とすることができる。さらに、弾性部材3、30の固有振動数を、60Hz未満とするとより好ましい。
【0087】
さらに、コンデンサ2の振動が車両ボディ8側へ伝達することをより確実に抑制するために、弾性部材3、30の固有振動数を振動周波数の1/2倍より低く設定している。具体的には、上述したように弾性部材3、30の固有振動数を50Hz未満とすることができる。
【0088】
以上により、弾性部材3、30の固有振動数を、40Hz以上71Hz未満の範囲とすることで、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音を低減するとともに、アイドリング時のエンジン振動が車両ボディ8およびステアリングに伝達されることを低減することが可能となる。また、弾性部材3、30の固有振動数を、より好ましくは40Hz以上60Hz未満の範囲、さらに好ましくは40Hz以上50Hz未満の範囲とすることが望ましい。
【0089】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、冷却水が上下方向に流れるダウンフロー型のラジエータ1に本発明を適用した実施形態について述べたが、冷却水が水平方向に流れるクロスフロー型のラジエータに本発明を適用することもできる。
【0090】
また、上記各実施形態では、弾性部材としてゴム製のゴムブッシュ3(ゴムブッシュ部30)を用いたが、ゴム製に限らず、コンプレッサの冷媒の吐出脈動による振動を吸収できるものであれば、例えばエラストマー等のその他の材料にて形成してもよい。
【0091】
また、上記各実施形態では、各種ブラケットを樹脂にて形成したが、これに限らず、例えばアルミニウム等の金属製としてもよい。
【0092】
また、上記各実施形態は、適宜組み合わせて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】第1実施形態に係るクーリングモジュールを車両前方側からみた状態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第1実施形態におけるゴムブッシュ3を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態におけるブラケット4を示す斜視図である。
【図5】第2実施形態に係るクーリングモジュールを示す斜視図である。
【図6】図5のB−B断面図である。
【図7】第2実施形態における上側ピン付ブラケット51近傍を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態における下側ピン付ブラケット5近傍を示す斜視図である。
【図9】第3実施形態に係るクーリングモジュールを示す斜視図である。
【図10】図9のC−C断面図である。
【図11】第3実施形態におけるゴム付ブラケット6を示す斜視図である。
【図12】第4実施形態に係るクーリングモジュールを示す断面図である。
【図13】第4実施形態におけるゴム付ブラケット6を示す斜視図である。
【図14】第4実施形態における締結ブラケット4を示す斜視図である。
【図15】第5実施形態に係るクーリングモジュールを示す断面図である。
【図16】第5実施形態における車両ボディ8に発生する振動を示す特性図である。
【図17】第5実施形態におけるラジエータ1に発生する振動を示す特性図であり、(a)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1.5倍に設定した場合を、(b)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の2倍に設定した場合を、(c)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の3倍に設定した場合を示している。
【図18】第5実施形態における弾性部材3、30の振動吸収作用を示すグラフである。
【符号の説明】
【0094】
1…ラジエータ、1a…ラジエータコア、1b…ラジエータタンク、2…コンデンサ、2c…ピン(突起部)3…ゴムブッシュ(弾性部材)、4、6…ブラケット(取付部材)、7…防振ゴム(弾性支持部材)、8…車両ボディ、30…ゴムブッシュ部(弾性部材)、61…受部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱交換器を一体に組み付けたクーリングモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のラジエータやコンデンサ等の熱交換器は、個別に車体に搭載されていた。特にコンデンサは、冷凍サイクルにおけるコンプレッサからの冷媒の吐出脈動が車両ボディに伝達するのを抑制するために、弾性部材(ゴムブッシュ)を介して車体に搭載されており、これにより車室内騒音を低減していた。
【0003】
近年、熱交換器や車体前周りの部品を一体に組み付けてモジュールを構成して、車体に一括搭載する組立て方法が考案され、主流になりつつある。この中には、ラジエータとコンデンサを一体に組み付けたクーリングモジュールがあり、種々の構造が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなクーリングモジュールにおいては、ラジエータにコンデンサを固定した後、コンデンサが固定されたラジエータを車体に直接組み付ける方法が知られている。
【特許文献1】特開2001−301474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法では、コンデンサを直接ラジエータに固定するため、コンプレッサからの冷媒の吐出脈動がラジエータを介して車体に伝達し、車室内の振動騒音が悪化するという問題がある。なお、コンデンサが固定されたラジエータを、防振ゴムを介して車体に搭載しているものもあるが、車室内の振動騒音を十分に抑制できないことが多い。
【0006】
そこで、本発明者等がその原因について調査したところ、コンプレッサの冷媒の吐出脈動による振動がコンデンサと共振することにより増幅されて、ラジエータを介して車両ボディに伝達していることが分かった。
【0007】
また、通常、クーリングモジュールの防振構造は、クーリングモジュールをエンジンの振動を抑制するダイナミックダンパ(動吸振器)の錘として作用するように設計され、アイドリング時のエンジンの燃焼爆発成分が主体となる振動が車両全体およびステアリングに伝達して乗員に不快感を与えることを抑制している。このとき、防振ゴム上下方向の固有振動数がエンジン振動と略同一の振動数(17〜20Hz程度)となるように、バネ定数をチューニングしている。
【0008】
しかしながら、前後方向と左右方向のバネ定数は規定されておらず、通常成り行きで硬く設定されている。このため、コンプレッサの冷媒の吐出脈動による振動がコンデンサで増幅され、ラジエータを介して車両ボディに伝達することで、エアコン作動時の車室内騒音が上昇し、乗員に不快感を与えるという問題が発生する。
【0009】
本発明は、上記点に鑑み、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音を低減することができるクーリングモジュールを提供することを目的とする。
【0010】
また、アイドリング時のエンジン振動が車両ボディおよびステアリングに伝達されることを低減することができるクーリングモジュールを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明では、車両に搭載され、冷却水と空気とを熱交換して冷却水を冷却するラジエータ(1)と、冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して冷媒を凝縮させるコンデンサ(2)とを備え、ラジエータ(1)が車両に固定されるクーリングモジュールであって、コンデンサ(2)は、弾性変形可能な弾性部材(3、30)を介してラジエータ(1)に固定されていることを第1の特徴としている。
【0012】
これにより、冷凍サイクルにおけるコンプレッサの吐出脈動が弾性部材(3、30)によって吸収されるため、コンデンサ(2)からラジエータ(1)、そして車両ボディに伝達することを抑制できる。このため、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音を低減することが可能となる。
【0013】
この場合、ラジエータ(1)にコンデンサ(2)を固定する取付部材(4)を設け、コンデンサ(2)の外周縁部に、突起部(2c)を設け、弾性部材(3、30)を、突起部(2c)を覆うように設け、取付部材(4)を、弾性部材(3、30)を介して突起部(2c)に固定することができる。
【0014】
また、ラジエータ(1)にコンデンサ(2)を固定する取付部材(6)を設け、取付部材(6)に、コンデンサ(2)の外周縁部が入り込んで嵌合することができる凹形状の受部(61)を設け、弾性部材(30)を、受部(61)におけるコンデンサ(2)の外周縁部が嵌合する部位に設けることができる。
また、ラジエータ(1)を、冷却水が流れる複数のチューブを有するラジエータコア(1a)と、チューブの長手方向両端部にてチューブの長手方向と直交する方向に延びてチューブと連通するラジエータタンク(1b)とを備え、ラジエータタンク(1b)がラジエータコア(1a)の鉛直方向両端部に配置されるとともに、冷却水が鉛直方向に流れるダウンフロー型の熱交換器にて構成し、取付部材(4、6)を、ラジエータタンク(1b)に固定することができる。
【0015】
また、本発明では、ラジエータ(1)は、弾性変形可能な弾性支持部材(7)を介して車両ボディ(8)に固定されており、弾性支持部材(7)および弾性部材(3、30)のうち、一方の固有振動数が他方の固有振動数の2倍以上に設定されていることを第2の特徴としている。
【0016】
通常、ラジエータ(1)はエンジンの振動を抑制する動吸振器(ダイナミックダンパ)の錘として作用するように設計されている。しかし、ラジエータ(1)とコンデンサ(2)とを一体に組み付けるクーリングモジュール化により、ラジエータ(1)の動吸振器としての作用を阻害してしまう場合があることが分かった。
【0017】
そこで、本発明者等の検討の結果(後述の図17(a)〜(c)参照)、弾性支持部材(7)および弾性部材(3、30)のうち、一方の固有振動数を他方の固有振動数の2倍以上とすることで、ラジエータ(1)を動吸振器の錘としての作用させることを阻害しないことが明らかになった。これにより、アイドリング時のエンジン振動が車両ボディ(8)およびステアリングに伝達されることを低減することが可能となる。
【0018】
また、本発明では、弾性部材(3、30)の固有振動数が、弾性支持部材(7)の固有振動数の2倍以上に設定されていることを第3の特徴としている。
【0019】
これにより、弾性部材(3、30)の固有振動数を、危険周波数域(通常走行中の車両に発生しうる振動の周波数)に含まれないようにすることができるため、コンデンサ(2)が車両の振動と共振することを防止しつつ、アイドリング時のエンジン振動が車両ボディ(8)およびステアリングに伝達されることを低減することが可能となる。
【0020】
また、本発明では、冷凍サイクルには、冷媒を圧縮して吐出するコンプレッサが設けられており、コンプレッサの冷媒の吐出脈動により発生する振動の振動周波数全域にわたって弾性部材(3、30)が振動を減衰するように、弾性部材(3、30)の固有振動数が振動周波数より低く設定されていることを第4の特徴としている。
【0021】
これによると、コンデンサ(2)とラジエータ(1)との間に弾性部材(3、30)を介在しているから、コンデンサ(2)に発生するコンプレッサの冷媒の吐出脈動による振動が、ラジエータ(1)を介して車両ボディ(8)側へ伝達することを弾性部材(3、30)によって抑制できる。
【0022】
また、弾性部材(3、30)のような防振材は、固有振動数の√2倍より大きい振動周波数に対して振動伝達率が1未満となり、振動を減衰することが理論的に知られている。
【0023】
このため、コンプレッサの冷媒の吐出脈動により発生する振動の振動周波数全域にわたって弾性部材(3、30)が振動を減衰するように、弾性部材(3、30)の固有振動数を振動周波数より低く設定すれば、コンデンサ(2)の振動が車両ボディ(8)側へ伝達することを抑制できる。このため、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音を低減することが可能となる。
【0024】
この場合、弾性部材(3、30)の固有振動数を、振動周波数の1/√2倍より低く設定することができる。
【0025】
また、弾性部材(3、30)の固有振動数を、振動周波数の1/2倍より低く設定してもよい。これにより、コンデンサ(2)の振動が車両ボディ(8)側へ伝達することをより確実に抑制できる。このため、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音をより一層低減することが可能となる。
【0026】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態のクーリングモジュールは車両用であり、このクーリングモジュールは、通常、エンジン(内燃機関)を走行用駆動源とする車両の前端部に搭載される。
【0028】
図1は本第1実施形態に係るクーリングモジュールを車両前方側からみた状態を示す斜視図で、図2は図1のA−A断面図である。
【0029】
図1および図2に示すように、クーリングモジュールは、図示しないエンジンの冷却水と外気とを熱交換させて冷却水を冷却するラジエータ1と、図示しない車両用冷凍サイクル(空調装置)内を循環する冷媒と外気とを熱交換させて冷媒を冷却するコンデンサ2と、ラジエータ1およびコンデンサ2に冷却風を送風する電動送風機(図示せず)と、電動送風機を保持するとともに、電動送風機により誘起される空気流がラジエータ1およびコンデンサ2に流れるように空気流をガイドするシュラウド(図示せず)とを備えている。
【0030】
ちなみに、コンデンサ2は、ラジエータ1よりも空気流れ上流側、換言すると、車両前方側に配置されている。シュラウドは、ラジエータ1の空気流れ下流側(車両後方側)に配置されており、ラジエータ1の背面(車両後方側の面)を覆うようになっている。
【0031】
ラジエータ1は、エンジン冷却水と外気とを熱交換してエンジン冷却水を冷却する熱交換器である。ラジエータ1は、冷却水が流通する複数本のラジエータチューブからなるラジエータコア1a、およびラジエータチューブの長手方向両端側に配設されて各ラジエータチューブに連通するラジエータタンク1bを有している。
【0032】
本実施形態のラジエータ1は、冷却水が上下方向に流れるダウンフロー型の熱交換器であって、ラジエータチューブの長手方向は鉛直方向に延びており、ラジエータタンク1bはラジエータコア1aの鉛直方向上下端部に配置されている。
【0033】
ラジエータタンク1bの長手方向両端部には、貫通孔10がそれぞれ設けられている。貫通孔10は、ラジエータタンク1b内を貫通するように形成されている。また、ラジエータタンク1bにおいて、貫通孔10の一方の開口部はコンデンサ2が固定される側の面(車両前方側)に形成され、他方の開口部はコンデンサ2が固定される側と反対の面(車両後方側)に形成されている。すなわち、貫通孔10は、車両前方側から車両後方側に貫通している。
【0034】
また、ラジエータタンク1bには、ラジエータ1を車両ボディ(図示せず)に固定するための突出部11がそれぞれ設けられている。突出部11は、ジエータタンク1bの長手方向両端部に配置されており、鉛直方向に突出している。
【0035】
コンデンサ2は、冷凍サイクル(図示せず)内を循環する冷媒と外気とを熱交換して冷媒を冷却する熱交換器である。コンデンサ2もラジエータ1と同様に、冷媒が流通する複数本のコンデンサチューブからなるコンデンサコア2a、およびコンデンサチューブの長手方向両端側に配設されて各コンデンサチューブに連通するコンデンサタンク2bとを有している。
【0036】
本実施形態のコンデンサ2は、冷媒が水平方向に流れるクロスフロー型の熱交換器であって、コンデンサチューブの長手方向は水平方向に延びており、コンデンサタンク2bはコンデンサコア2aの水平方向両端部に配置されている。
【0037】
コンデンサ2の外周縁部における鉛直方向上面および下面には、鉛直方向に突出するピン2cが設けられている。ピン2cには、弾性変形可能なゴム製のゴムブッシュ3が取り付けられている。ゴムブッシュ3は、ピン2cを覆うように設けられている。なお、ピン2cが本発明の突起部に相当し、ゴムブッシュ3が弾性部材に相当している。
【0038】
図3は、本第1実施形態におけるゴムブッシュ3を示す斜視図である。図3に示すように、ゴムブッシュ3は、円柱状の部位3aと略円錐状の部位3bとを有している。また、ゴムブッシュ3には、円柱状の部位3aおよび略円錐状の部位3bの軸方向に貫通孔3cが形成されている。そして、この貫通孔3cがコンデンサ2のピン2cに嵌合されることによって、ゴムブッシュ3はピン2cに固定されている。
【0039】
図1および図2に戻り、コンデンサ2の鉛直方向上面および下面には、樹脂製のブラケット4が組み付けられている。本実施形態では、ゴムブッシュ3が取り付けられたピン2cを、ブラケット4の後述する貫通穴部40に挿入することにより、ブラケット4はコンデンサ2に組み付けられている。なお、ブラケット4が、本発明の取付部材に相当している。
【0040】
図4は、本第1実施形態におけるブラケット4を示す斜視図である。図4に示すように、ブラケット4におけるピン2cと対応する部位には、貫通穴部40が形成されている。また、ブラケット4には、ラジエータ1側(車両後方側)に向かって突出する弾性変形可能な爪部41が設けられている。
【0041】
爪部41は、ラジエータ1の貫通孔10に嵌合するように構成されており、貫通孔10の一方の開口部から挿入し、他方の開口部の角部に係合するようになっている。爪部41は、弾性変形可能な一対の係合片41a、41bから構成されている。一対の係合片41a、41bには、貫通孔10の他方の開口部の角部に係合する突起部が形成されている。
【0042】
爪部41は、貫通孔10の内壁により押圧されて一対の係合片41a、41bが弾性変形して互いに接近した状態で貫通孔10に挿入される。爪部41が貫通孔10を貫通した後には、一対の係合片41a、41bの弾性変形が戻り、突起部が他方の開口部の角部に係合するようになっている。このように爪部41が貫通孔10に係合することにより、ブラケット4はラジエータ1に固定されている。
【0043】
次に、本実施形態のクーリングモジュールの組み付けおよび車両への搭載手順について説明する。
【0044】
まず、鉛直方向下側のラジエータタンク1bに鉛直方向下側のブラケット4を取り付ける。別工程で、コンデンサ2のピン2cにゴムブッシュ3を取り付けておく。そして、鉛直方向下側のピン2cを、下側のブラケット4における貫通穴部40に挿入する。次に、コンデンサ2の鉛直方向上側のピン2cに、鉛直方向上側のブラケット4における貫通穴部40を嵌合し、このブラケット4を鉛直方向上側のラジエータタンク1bにおける貫通孔10に係合させる。また、別工程にて、送風機(図示せず)をシュラウド(図示せず)に結合して、シュラウドと送風機を一体化する。
【0045】
次いで、一体化されたラジエータ1とコンデンサ2にシュラウドを組み付ける。これにより、ラジエータ1、コンデンサ2、シュラウドおよび送風機を一体化したクーリングモジュールが完成する。
【0046】
次いで、このクーリングモジュールを車両に搭載する。具体的には、ラジエータ1の突出部11を、車両ボディ(図示せず)の一部と嵌合させる。これにより、クーリングモジュールの組み付け、およびクーリングモジュールの車両への搭載が完了する。
【0047】
以上説明したように、弾性変形可能なゴムブッシュ3を介してラジエータ1とコンデンサ2とを固定することで、コンプレッサの吐出脈動がゴムブッシュ3によって吸収され、コンデンサ2からラジエータ1、そして車両ボディに伝達することを抑制できる。このため、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音を低減することができる。
【0048】
また、貫通孔10に爪部41を係合させることでブラケット4をラジエータ1に固定しているので、ボルト等の別の締結部材を新たに設ける必要がない。このため、部品点数を削減してコスト低減を図ることが可能となる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図5〜図8に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
図5は本第2実施形態に係るクーリングモジュールを示す斜視図で、図6は図5のB−B断面図である。図5および図6に示すように、コンデンサ2の鉛直方向上面および下面には、鉛直方向に突出するピン部5aを有するピン付ブラケット5が配設されている。以下、コンデンサ2の鉛直方向上面に配設されるピン付ブラケット5を上側ピン付ブラケット51といい、鉛直方向下面に配設されるピン付ブラケット5を下側ピン付ブラケット52という。なお、ピン部5aが本発明の突起部に相当している。
【0051】
図7は、本第2実施形態における上側ピン付ブラケット51近傍を示す斜視図である。図7に示すように、上側ピン付ブラケット51のピン部5aには、ゴムブッシュ3が取り付けられており、このゴムブッシュ3を介して締結ブラケット4が取り付けられている。なお、締結ブラケット4が、本発明の取付部材に相当している。
【0052】
締結ブラケット4におけるゴムブッシュ3と対向する部位には、貫通穴部40が形成されている。貫通穴部40には、ゴムブッシュ3が挿通されて、締結ブラケット4は上側ピン付ブラケット51に固定されている。これにより、締結ブラケット4は、コンデンサ2に固定されている。
【0053】
また、締結ブラケット4におけるラジエータタンク1bと対向する部位には、ボルト用穴部42が形成されている。ボルト用穴部42には、ボルト43が挿通されて(図5参照)、締結ブラケット4はラジエータタンク1bに固定されている。
【0054】
図8は、本第2実施形態における下側ピン付ブラケット5近傍を示す斜視図である。下側ピン付ブラケット5は、上側ピン付ブラケット5と形状は異なるものの同一の機能を有しているため、ここでは上側ピン付ブラケット5と同様の部分に同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
以上説明したように、コンデンサ2にピン付ブラケット5を設け、このピン付ブラケット5のピン部5aと締結ブラケット4とを弾性変形可能なゴムブッシュ3を介して嵌合させることにより、ラジエータ1にコンデンサ2を固定することができる。これにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、ピン付ブラケット5を用いることで、ピン部5a(突起部)をコンデンサ2の外周縁部における任意の位置に設定することができる。本実施形態では、ピン部5aをコンデンサ2におけるラジエータ1から遠い側の面上に配設しているため、ラジエータ1とコンデンサ2との隙間S(図6参照)を小さくすることができる。これにより、コンデンサ2の熱交換性能を向上させることが可能となる。同時に、クーリングモジュールを小型化できるため、車両搭載性を向上させることが可能となる。
【0057】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図9〜図11に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第2実施形態と比較して、上側ピン付ブラケット51を廃止するとともに、締結ブラケット4をゴム付ブラケット6に変更した点が異なるものである。上記第2実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図9は本第3実施形態に係るクーリングモジュールを示す斜視図で、図10は図9のC−C断面図である。図9および図10に示すように、コンデンサ2の鉛直方向上面には、ゴム付ブラケット6が取り付けられている。なお、ゴム付ブラケット6が、本発明の取付部材に相当している。
【0059】
図11は、本第3実施形態におけるゴム付ブラケット6を示す斜視図である。図11に示すように、ゴム付ブラケット6におけるコンデンサ2の鉛直方向上端部と対向する面には、コンデンサ2の鉛直方向上端部が入り込む略コの字形状の受部61が形成されている。ゴム付ブラケット6における受部61の内側には、弾性変形可能な(本実施形態ではゴム製)ゴムブッシュ部30が配設されている。本実施形態では、ゴムブッシュ部30は、コンデンサ2の鉛直方向上端部と嵌合するような形状に形成されている。なお、ゴムブッシュ部30が、本発明の弾性部材に相当している。
【0060】
また、ゴム付ブラケット6におけるラジエータタンク1bと対向する部位には、ラジエータ取り付け穴62が形成されている。ラジエータ取り付け穴62にはボルト63が挿通されて(図10参照)、ゴム付ブラケット6はラジエータタンク1bに固定されている。
【0061】
以上説明したように、コンデンサ2の鉛直方向上面に、ゴムブッシュ部30およびラジエータ取り付け穴62を有するゴム付ブラケット6を配設することで、ラジエータ1とコンデンサ2とを固定することができる。このとき、ラジエータ1とコンデンサ2との間の締結用部品を、ゴム付ブラケット6のみにすることができる、すなわち、上記第2実施形態における上側ピン付ブラケット51をなくすことができる。このため、上記第2実施形態と同様の効果を得つつ、部品点数を削減してコスト低減を図ることが可能となる。
【0062】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図12〜図14に基づいて説明する。本第4実施形態は、上記第3実施形態と比較して、ゴム付ブラケット6および締結ブラケット4の形状が異なるものである。上記第3実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図12は、本第4実施形態に係るクーリングモジュールを示す断面図である。図12に示すように、ラジエータタンク1bの長手方向両端部には、貫通孔10がそれぞれ設けられている。貫通孔10は、ラジエータタンク1b内を貫通するように形成されている。また、ラジエータタンク1bにおいて、貫通孔10の一方の開口部はコンデンサ2が固定される側の面(車両前方側)に形成され、他方の開口部はコンデンサ2が固定される側と反対の面(車両後方側)に形成されている。すなわち、貫通孔10は、車両前方側から車両後方側に貫通している。
【0064】
図13は、本第4実施形態におけるゴム付ブラケット6を示す斜視図である。図12および図13に示すように、ゴム付ブラケット6には、ラジエータタンク1b側(車両後方側)に向かって突出する弾性変形可能な第1の爪部64が設けられている。
【0065】
第1の爪部64は、鉛直方向上側のラジエータタンク1bの貫通孔10に嵌合するように構成されており、貫通孔10の一方の開口部から挿入し、他方の開口部の角部に係合するようになっている。第1の爪部64は、弾性変形可能な一対の係合片64a、64bから構成されている。一対の係合片64a、64bには、貫通孔10の他方の開口部の角部に係合する突起部が形成されている。
【0066】
爪部61は、貫通孔10の内壁により押圧されて一対の係合片64a、64bが弾性変形して互いに接近した状態で貫通孔10に挿入される。第1の爪部64が貫通孔10を貫通した後には、一対の係合片64a、64bの弾性変形が戻り、突起部が他方の開口部の角部に係合するようになっている。このように第1の爪部64が貫通孔10に係合することにより、コンデンサ2はラジエータ1に固定されている。
【0067】
図14は、本第4実施形態における締結ブラケット4を示す斜視図である。図12および図14に示すように、締結ブラケット4には、ラジエータタンク1b側(車両後方側)に向かって突出する弾性変形可能な第2の爪部41が設けられている。第2の爪部41は、第1の爪部と同様に、一対の係合片41a、41bを有している。第2の爪部41と貫通孔10との係合構造は、上述した第1の爪部64と貫通孔10との嵌合構造と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0068】
以上説明したように、ラジエータタンク1bの貫通孔10に爪部41、64をそれぞれ係合させることで、ラジエータ1にコンデンサ2を固定することができる。このとき、ボルト等の別の締結部材を新たに設ける必要がないため、部品点数をさらに削減して、コスト低減をより一層図ることが可能となる。
【0069】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図15〜図18に基づいて説明する。上記第3実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
図15は、本第5実施形態に係るクーリングモジュールを示す断面図である。図15に示すように、本実施形態のラジエータ1は、弾性変形可能な防振ゴム7を介して車両ボディ8に固定されている。これにより、クーリングモジュールが車両ボディ8に固定されている。
【0071】
続いて、上記構成になる本実施形態のクーリングモジュールについて、弾性部材3、30の固有振動数の検討を行った。
【0072】
図16は、車両ボディ8に発生する振動を示す特性図であり、横軸は振動周波数であり、縦軸は振動倍率である。
【0073】
本実施形態のエンジンは4気筒であり、アイドリング時の回転数が600rpmである。このとき、図16中の実線aに示すように、アイドリング時のエンジンの燃焼爆発成分が主体となる一次振動の固有振動数が20Hzとなる。そこで、防振ゴム7の固有振動数を、エンジンの一次振動の固有振動数と略同一(17〜20Hz)となるようにバネ定数をチューニングすると、ラジエータ1を動吸振器の錘として作用させることができる。これにより、図16中の破線bに示すように、エンジンの振動が車両ボディ8に伝達することを抑制できる。
【0074】
図17は、防振ゴム7の固有振動数を20Hzに設定したときにラジエータ1に発生する振動を示す特性図であり、(a)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1.5倍に設定した場合を、(b)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の2倍に設定した場合を、(c)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の3倍に設定した場合を示している。図17(a)〜(c)において、横軸は振動周波数であり、縦軸は振動倍率である。図17(a)〜(c)中、実線cは、ラジエータ1単体(ラジエータ1にコンデンサ2が固定されていない)の場合を示しており、破線d、e、fは、ラジエータ1に弾性部材3、30を介してコンデンサ2が固定されている場合を示している。
【0075】
図17(a)に示すように、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1.5倍(本実施形態では30Hz)に設定すると、弾性部材3、30と防振ゴム7との固有振動数の差が小さくなる。このため、コンデンサ2自体がラジエータ1の振動を吸収する動吸振器の錘として作用し、図17(a)中の破線dに示すように、ラジエータ1の振動がコンデンサ2によって吸収される。これにより、ラジエータ1のエンジン振動を吸収する動吸振器の錘としての作用を阻害してしまう。したがって、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1.5倍に設定すると、コンデンサ2はラジエータ1の動吸振器の錘としての作用に大きな影響を与えてしまう。
【0076】
一方、図17(b)に示すように、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の2倍(本実施形態では40Hz)に設定すると、弾性部材3、30と防振ゴム7との固有振動数の差が大きくなる。このため、図17(b)中の破線eに示すように、コンデンサ2自体がラジエータ1の振動を吸収する動吸振器の錘として作用することはないので、コンデンサ2がラジエータ1の動吸振器の錘としての作用に与える影響は小さくなる。
【0077】
さらに、図17(c)に示すように、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の3倍(本実施形態では60Hz)に設定すると、弾性部材3、30と防振ゴム7との固有振動数の差がより大きくなる。このため、図17(c)中の破線fに示すように、コンデンサ2がラジエータ1の動吸振器の錘としての作用に与える影響はさらに小さくなる。
【0078】
以上のような発明者等の実験検討により、防振ゴム7と弾性部材3、30との固有振動数の分離が2倍以上、すなわち防振ゴム7および弾性部材3、30のうち、一方の固有振動数が他方の固有振動数の2倍以上であれば、ラジエータ1の動吸振器の錘としての作用を阻害しないことが分かった。したがって、防振ゴム7の固有振動数と弾性部材3、30の固有振動数との関係は、「弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の2倍以上」とする場合と「弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1/2倍以下」とする場合の2通りが考えられる。
【0079】
ところで、車両ボディ8に組み付ける部品のなかでも、重量の大きいラジエータ1やコンデンサ2等は、通常走行中の車両に発生しうる振動(例えば、悪路を走行した場合等)と共振しないように設計されなければならない。このような通常走行中の車両に発生しうる振動の周波数を危険周波数域といい、車両ボディ8に搭載される部品は、その部品の固有振動数が危険周波数域外の値を取るように設計される必要がある。危険周波数域は通常15Hz以下の低い周波数であるため、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1/2倍以下にしてしまうと、15Hz以下に設定することになり、危険周波数域内に弾性部材3、30の固有振動数を含むことになってしまう。したがって、「弾性部材3、30の固有振動数を、防振ゴム7の固有振動数の2倍以上」とすれば、弾性部材3、30の固有振動数は40Hz以上となり、危険周波数域内の値を含むことはない。したがって、本実施形態では、弾性部材3、30の固有振動数の下限値を、防振ゴム7の固有振動数の2倍に規定している。具体的には、本実施形態のようにアイドリング時の回転数が600rpmである4気筒エンジンを用いた場合においては、弾性部材3、30の固有振動数の下限値を40Hzに規定している。
【0080】
図18は、弾性部材3、30の振動吸収作用を示すグラフであり、横軸はコンデンサ2からの発生振動周波数であり、縦軸はコンデンサ2で発生した振動加速度と車両ボディ8で測定された振動加速度との比(振動伝達率)である。すなわち、振動伝達率が1未満であれば、弾性部材3、30により振動が吸収されたことを意味する。なお、コンデンサ2で発生する振動とは、図示しない車両用冷凍サイクル(空調装置)内を循環する冷媒を圧縮して吐出するコンプレッサの冷媒の吐出脈動に起因するものである。
【0081】
図18中の実線gは、本実施形態における測定結果である。矢印hに示すように、本実施形態のコンデンサ2で発生する振動の周波数域が100Hz〜1000Hzとなっているが、本測定では、コンデンサ2にこの周波数域の振動を発生させて測定を行っている。
コンデンサ2で発生する振動の全周波数域において振動を減衰するためには、弾性部材3、30の固有振動数を、コンデンサ2で発生する振動の周波数域内の最低値(本実施形態では、100Hz)より低くする必要がある。
【0082】
また、理論上、弾性部材3、30は、その固有振動数の√2倍より大きい周波数の領域で振動伝達率が1未満となって振動を減衰することができる。よって、コンデンサ2で発生する振動の全周波数域において振動を減衰するためには、弾性部材3の固有振動数を、コンデンサ2で発生する振動周波数域内の最低値の1/√2倍未満にする必要がある。具体的には、本実施形態のように、コンプレッサの冷媒の吐出脈動により発生する振動の振動周波数が100Hz以上の場合においては、弾性部材3、30の固有振動数を約71Hz未満に規定している。
【0083】
さらに、弾性部材3の固有振動数を、コンデンサ2で発生する振動周波数域内の最低値の1/2倍(本実施形態では50Hz)未満にすると、より高い振動減衰効果を得ることができる。
【0084】
以上により、アイドリング時のエンジン振動が車両ボディ8およびステアリングに伝達されることを低減するために、防振ゴム7および弾性部材3、30のうち、一方の固有振動数が他方の固有振動数の2倍以上に設定している。
【0085】
さらに、弾性部材3、30の固有振動数を、危険周波数域に含まれないようにするために、弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の2倍以上に設定している。具体的には、上述したように弾性部材3、30の固有振動数の下限値を40Hzとすることができる。
【0086】
また、コンデンサ2の振動が車両ボディ8側へ伝達することを抑制するために、弾性部材3、30の固有振動数を振動周波数の1/√2倍より低く設定している。具体的には、上述したように弾性部材3、30の固有振動数を71Hz未満とすることができる。さらに、弾性部材3、30の固有振動数を、60Hz未満とするとより好ましい。
【0087】
さらに、コンデンサ2の振動が車両ボディ8側へ伝達することをより確実に抑制するために、弾性部材3、30の固有振動数を振動周波数の1/2倍より低く設定している。具体的には、上述したように弾性部材3、30の固有振動数を50Hz未満とすることができる。
【0088】
以上により、弾性部材3、30の固有振動数を、40Hz以上71Hz未満の範囲とすることで、コンプレッサの吐出脈動に起因する車室内の振動騒音を低減するとともに、アイドリング時のエンジン振動が車両ボディ8およびステアリングに伝達されることを低減することが可能となる。また、弾性部材3、30の固有振動数を、より好ましくは40Hz以上60Hz未満の範囲、さらに好ましくは40Hz以上50Hz未満の範囲とすることが望ましい。
【0089】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、冷却水が上下方向に流れるダウンフロー型のラジエータ1に本発明を適用した実施形態について述べたが、冷却水が水平方向に流れるクロスフロー型のラジエータに本発明を適用することもできる。
【0090】
また、上記各実施形態では、弾性部材としてゴム製のゴムブッシュ3(ゴムブッシュ部30)を用いたが、ゴム製に限らず、コンプレッサの冷媒の吐出脈動による振動を吸収できるものであれば、例えばエラストマー等のその他の材料にて形成してもよい。
【0091】
また、上記各実施形態では、各種ブラケットを樹脂にて形成したが、これに限らず、例えばアルミニウム等の金属製としてもよい。
【0092】
また、上記各実施形態は、適宜組み合わせて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】第1実施形態に係るクーリングモジュールを車両前方側からみた状態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第1実施形態におけるゴムブッシュ3を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態におけるブラケット4を示す斜視図である。
【図5】第2実施形態に係るクーリングモジュールを示す斜視図である。
【図6】図5のB−B断面図である。
【図7】第2実施形態における上側ピン付ブラケット51近傍を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態における下側ピン付ブラケット5近傍を示す斜視図である。
【図9】第3実施形態に係るクーリングモジュールを示す斜視図である。
【図10】図9のC−C断面図である。
【図11】第3実施形態におけるゴム付ブラケット6を示す斜視図である。
【図12】第4実施形態に係るクーリングモジュールを示す断面図である。
【図13】第4実施形態におけるゴム付ブラケット6を示す斜視図である。
【図14】第4実施形態における締結ブラケット4を示す斜視図である。
【図15】第5実施形態に係るクーリングモジュールを示す断面図である。
【図16】第5実施形態における車両ボディ8に発生する振動を示す特性図である。
【図17】第5実施形態におけるラジエータ1に発生する振動を示す特性図であり、(a)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の1.5倍に設定した場合を、(b)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の2倍に設定した場合を、(c)は弾性部材3、30の固有振動数を防振ゴム7の固有振動数の3倍に設定した場合を示している。
【図18】第5実施形態における弾性部材3、30の振動吸収作用を示すグラフである。
【符号の説明】
【0094】
1…ラジエータ、1a…ラジエータコア、1b…ラジエータタンク、2…コンデンサ、2c…ピン(突起部)3…ゴムブッシュ(弾性部材)、4、6…ブラケット(取付部材)、7…防振ゴム(弾性支持部材)、8…車両ボディ、30…ゴムブッシュ部(弾性部材)、61…受部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、冷却水と空気とを熱交換して前記冷却水を冷却するラジエータ(1)と、冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して前記冷媒を凝縮させるコンデンサ(2)とを備え、前記ラジエータ(1)が車両に固定されるクーリングモジュールであって、
前記コンデンサ(2)は、弾性変形可能な弾性部材(3、30)を介して前記ラジエータ(1)に固定されていることを特徴とするクーリングモジュール。
【請求項2】
前記ラジエータ(1)に前記コンデンサ(2)を固定する取付部材(4)を備え、
前記コンデンサ(2)の外周縁部には、突起部(2c)が設けられており、
前記弾性部材(3、30)は、前記突起部(2c)を覆うように設けられており、
前記取付部材(4)は、前記弾性部材(3、30)を介して前記突起部(2c)に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のクーリングモジュール。
【請求項3】
前記ラジエータ(1)に前記コンデンサ(2)を固定する取付部材(6)を備え、
前記取付部材(6)は、前記コンデンサ(2)の外周縁部が入り込んで嵌合することができる凹形状の受部(61)を有しており、
前記弾性部材(30)は、前記受部(61)における前記コンデンサ(2)の外周縁部が嵌合する部位に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクーリングモジュール。
【請求項4】
前記ラジエータ(1)は、前記冷却水が流れる複数のチューブを有するラジエータコア(1a)と、前記チューブの長手方向両端部にて前記チューブの長手方向と直交する方向に延びて前記チューブと連通するラジエータタンク(1b)とを備え、前記ラジエータタンク(1b)が前記ラジエータコア(1a)の鉛直方向両端部に配置されるとともに、前記冷却水が鉛直方向に流れるダウンフロー型の熱交換器であり、
前記取付部材(4、6)は、前記ラジエータタンク(1b)に固定されていることを特徴とする請求項2または3に記載のクーリングモジュール。
【請求項5】
前記ラジエータ(1)は、弾性変形可能な弾性支持部材(7)を介して車両ボディ(8)に固定されており、
前記弾性部材(3、30)の固有振動数が、前記弾性支持部材(7)の固有振動数の2倍以上もしくは1/2倍以下に設定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
【請求項6】
前記弾性部材(3、30)の固有振動数が、前記弾性支持部材(7)の固有振動数の2倍以上に設定されていることを特徴とする請求項5に記載のクーリングモジュール。
【請求項7】
前記冷凍サイクルには、前記冷媒を圧縮して吐出するコンプレッサが設けられており、
前記コンプレッサの前記冷媒の吐出脈動により発生する振動の振動周波数全域にわたって前記弾性部材(3、30)が前記振動を減衰するように、前記弾性部材(3、30)の固有振動数が前記振動周波数より低く設定されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
【請求項8】
前記弾性部材(3、30)の固有振動数が、前記振動周波数の1/√2倍より低く設定されていることを特徴とする請求項7に記載のクーリングモジュール。
【請求項9】
前記弾性部材(3、30)の固有振動数が、前記振動周波数の1/2倍より低く設定されていることを特徴とする請求項7に記載のクーリングモジュール。
【請求項1】
車両に搭載され、冷却水と空気とを熱交換して前記冷却水を冷却するラジエータ(1)と、冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して前記冷媒を凝縮させるコンデンサ(2)とを備え、前記ラジエータ(1)が車両に固定されるクーリングモジュールであって、
前記コンデンサ(2)は、弾性変形可能な弾性部材(3、30)を介して前記ラジエータ(1)に固定されていることを特徴とするクーリングモジュール。
【請求項2】
前記ラジエータ(1)に前記コンデンサ(2)を固定する取付部材(4)を備え、
前記コンデンサ(2)の外周縁部には、突起部(2c)が設けられており、
前記弾性部材(3、30)は、前記突起部(2c)を覆うように設けられており、
前記取付部材(4)は、前記弾性部材(3、30)を介して前記突起部(2c)に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のクーリングモジュール。
【請求項3】
前記ラジエータ(1)に前記コンデンサ(2)を固定する取付部材(6)を備え、
前記取付部材(6)は、前記コンデンサ(2)の外周縁部が入り込んで嵌合することができる凹形状の受部(61)を有しており、
前記弾性部材(30)は、前記受部(61)における前記コンデンサ(2)の外周縁部が嵌合する部位に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクーリングモジュール。
【請求項4】
前記ラジエータ(1)は、前記冷却水が流れる複数のチューブを有するラジエータコア(1a)と、前記チューブの長手方向両端部にて前記チューブの長手方向と直交する方向に延びて前記チューブと連通するラジエータタンク(1b)とを備え、前記ラジエータタンク(1b)が前記ラジエータコア(1a)の鉛直方向両端部に配置されるとともに、前記冷却水が鉛直方向に流れるダウンフロー型の熱交換器であり、
前記取付部材(4、6)は、前記ラジエータタンク(1b)に固定されていることを特徴とする請求項2または3に記載のクーリングモジュール。
【請求項5】
前記ラジエータ(1)は、弾性変形可能な弾性支持部材(7)を介して車両ボディ(8)に固定されており、
前記弾性部材(3、30)の固有振動数が、前記弾性支持部材(7)の固有振動数の2倍以上もしくは1/2倍以下に設定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
【請求項6】
前記弾性部材(3、30)の固有振動数が、前記弾性支持部材(7)の固有振動数の2倍以上に設定されていることを特徴とする請求項5に記載のクーリングモジュール。
【請求項7】
前記冷凍サイクルには、前記冷媒を圧縮して吐出するコンプレッサが設けられており、
前記コンプレッサの前記冷媒の吐出脈動により発生する振動の振動周波数全域にわたって前記弾性部材(3、30)が前記振動を減衰するように、前記弾性部材(3、30)の固有振動数が前記振動周波数より低く設定されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
【請求項8】
前記弾性部材(3、30)の固有振動数が、前記振動周波数の1/√2倍より低く設定されていることを特徴とする請求項7に記載のクーリングモジュール。
【請求項9】
前記弾性部材(3、30)の固有振動数が、前記振動周波数の1/2倍より低く設定されていることを特徴とする請求項7に記載のクーリングモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−308132(P2007−308132A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212042(P2006−212042)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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