説明

グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を保有する複素環式アミド誘導体

式(1)の化合物又は医薬的に受容可能な塩、或いはこれらのプロドラッグ;ここにおいて、例えば:R及びRは、いっしょに−S−C(R=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−いずれかであり;R及びRは、水素及びハロから独立に選択され;Aは、フェニレン又はヘテロアリーレンであり;nは、0、1又は2であり;Rは、ハロ、シアノ又はカルボキシであり;Rは、例えばメチルであり;Rは、例えばハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により置換されていてもよい)、(1−4C)アルコキシ(1−4Cアルキル)、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキルから選択され;グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を有し、そして従って、増加したグリコーゲンホスホリラーゼ活性に伴う疾病状態の治療において価値を有する。化合物及びこれらを含有する医薬的組成物の製造のための方法が記載される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環式アミド誘導体、医薬的に受容可能な塩及びそのin−vivoで加水分解可能なエステルに関する。これらの複素環式アミドは、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を保有し、そして従って増加したグリコーゲンホスホリラーゼ活性に伴う疾病状態の治療において価値を有し、そして従ってヒトのような温血動物の治療の方法において潜在的に有用である。本発明は、更に前記の複素環式アミド誘導体の製造のための方法、これらを含有する医薬組成物及びヒトのような温血動物中のグリコーゲンホスホリラーゼ活性を阻害するための医薬の製造におけるその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓は、吸収後の状態における糖血症を制御する主要な器官である。更に、食事後の血液グルコース水準に対する寄与においては小さい役割を有するが、血漿グルコースの外因的供給源に対する肝臓の反応は、正常血糖を維持する能力に対する鍵である。増加した肝臓グルコース産出量(HGO)は、2型糖尿病において見られる上昇した空腹時血漿グルコース(FPG)水準を維持すること;特にFPG>140mg/dl(7.8mM)を持つものにおいて重要な役割を演じていると考えられる。(Weyer et al,(1999),J Clin Invest 104:787−794;Clore & Blackgard(1994),Diabetes 43:256−262;De Fronzo,R.A.,et al,(1992)Diabetes Care 15;318−355;Reaven,G.M.(1995)Diabetologia 38;3−13)。
【0003】
現時点の経口的抗糖尿病療法が、FPG水準を正常な非糖尿病性の範囲にすることが達成できないために、そして上昇したFPG(及びglycHbA1c)水準が、大(Charles,M.A.et al(1996)Lancet 348,1657−1658;Coutinho,M.et al(1999)Diabates Care 22;233−240;Shaw,J.E.et al(2000)Diabetes Care 23,34−39)及び微小血管性疾病(DCCT Research Group(1993)New.Eng.J.Med.329;977−986)の両方の危険因子であるために;上昇したFPG水準の減少及び正常化が、2型DMの治療の目的として残る。
【0004】
一晩の絶食後、HGOの75%がグリコーゲン分解から誘導され、残りが糖新生の前駆体から誘導されることが推定されている(Hellerstein et al(1997)Am J Physiol,272:E163)。グリコーゲンホスホリラーゼは、グルコース−1−リン酸、そして従って肝臓、そして更に筋肉及び神経細胞組織のような他の組織中のグルコースのグリコーゲン分解による生成における鍵となる酵素である。
【0005】
肝臓のグリコーゲンホスホリラーゼ活性は、db/dbマウス及びfa/faラットを含む糖尿病の動物モデル中で上昇する(Aiston S et al(2000)Diabetalogia 43,589−597)。
【0006】
肝臓のグリコーゲンホスホリラーゼの、クロロインドール阻害剤による阻害(CP91149及びCP320626)は、グルカゴン刺激性グリコーゲン分解及び肝細胞中のグルコース産出量の両方が減少することを示している(Hoover et al(1998)J Med Chem 41,2934−8;Martin et al(1998)PNAS 95,1776−81)。更に、血漿グルコース濃度は、これらの化合物による治療後、db/db及びob/obマウスで投与量に関連した様式で減少する。
【0007】
意識のあるイヌにおける、もう一つのグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、Bay K3401の非存在及び存在中のグルカゴン攻撃による研究は、更にこのような薬剤の潜在的用途を示し、1型及び2型の両方の糖尿病におけるように上昇したグルカゴンの循環水準が存在する。Bay R3401の存在中で、グルカゴン攻撃後の肝臓のグルコース産出量及び動脈の血漿グルコースは有意に減少した(Shiota et al,(1997),Am J Physiol,273:E868)。
【発明の開示】
【0008】
本発明の複素環式アミドは、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を保有し、そして従って2型糖尿病、インスリン抵抗性、シンドロームX、高インスリン血症、高グルカゴン血症、心臓虚血及び肥満症、特に2型糖尿病の治療における使用が期待される。
【0009】
本出願人等の特許出願WO02/20530は、活性なグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤の一つの範囲を開示し、その中に非常に限られた数のアミノ−インダンを含有する化合物がある。
【0010】
本出願人等の同時系属中の特許出願PCT/GB03/00883及びPCT/GB03/00875は、いくつかは二置換され、そしてN−アシル基を一つの置換基として含有しているが、一般的にアミノ−インダン分子中の窒素上に一つのみの置換基を含有する各種の置換されたアミノ−インダングリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を開示している。
【0011】
驚くべきことに、本出願人等は、N−二置換されたアミノ−インダンの一つの群が、従来開示された化合物と比較して、改良された物理的特性(例えば溶解度、血漿タンパク質結合)を有し、これが医薬として特に利益があることを見出した。
【0012】
本発明の一つの側面によれば、以下の式(1):
【0013】
【化1】

【0014】
[式中:
いっしょになったR及びRは、−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−のいずれかであり;
及びRは、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルバモイル、(1−4C)アルキル、(2−4C)アルケニル、(2−4C)アルキニル、(1−4C)アルコキシ及び(1−4C)アルカノイルから独立に選択され;
Aは、フェニレン又はヘテロアリーレンであり;
nは、0、1又は2であり;
は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、N−(1−4C)アルキルカルバモイル、N,N−((1−4C)アルキル)カルバモイル、スルファモイル、N−(1−4C)アルキルスルファモイル、N,N−((1−4C)アルキル)スルファモイル、−S(O)(1−4C)アルキル(ここにおいてbは0、1、又は2である)、−OS(O)(1−4C)アルキル、(1−4C)アルキル、(2−4C)アルケニル、(2−4C)アルキニル、(1−4C)アルコキシ、(1−4C)アルカノイル、(1−4C)アルカノイルオキシ、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及び−NHSO(1−4C)アルキルから独立に選択され;
或いはnが2である場合、二つのR基は、これらが接続しているAの炭素原子といっしょに、O、S及びNから独立に選択される1又は2個の異種原子を所望により含有していてもよく、そして一つ又は二つのメチル基によって所望により置換されていてもよい4ないし7員の飽和環を形成することができ;
及びRの一つは、Raから選択され、そして他方はRbから選択され;
a:(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により治安されていてもよい)、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、(ヒドロキシ)(メトキシ)エチル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(メチルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(ジメチルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(メチルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(メチルS(O)−)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である);
b:(1−4C)アルキル、ハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により置換されていてもよい)、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(ジ(1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルS(O)−)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である);
ここにおいてRa及びRb中のいずれもの基内のいずれものアルキル又はアルコキシ基は、更に利用可能な炭素原子においてヒドロキシ基で所望により置換されていることもでき(但し、前記の炭素原子が、異種原子によって連結された基によって既に置換されていないことを条件とする);
但し、Rが、(1−3C)アルキル又は(1−4C)アルキルである場合、Rは、(1−4C)アルキル又は(1−3C)アルキルではないことを条件とする]
の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのプロドラッグが提供される。
【0015】
本発明のもう一つの側面において、R及びRの一つが、Raから選択され、そして他方がRbから選択され;そしてRa及びRbが:
a:(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、(ヒドロキシ)(メトキシ)エチル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体;
b:(1−4C)アルキル、ハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択され;
そしてここにおいてR、R、A、m及びnが、本明細書中で先に定義したとおりである;
式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのプロドラッグが提供される。
【0016】
Aがヘテロアリーレンである場合、環Aを環に接続している橋頭原子が異種原子であることができることは理解されることである。従って、例えば、以下の式:
【0017】
【化2】

【0018】
の定義は、Aがヘテロアリーレンである場合、以下の式:
【0019】
【化3】

【0020】
の構造を包含する。
置換基がアルキル鎖上に二つの置換基を含有し、その両方が異種原子によって連結されている場合(例えば二つのアルコキシ置換基、又は一つのアミノ及び一つのヒドロキシ置換基)、これらの二つの置換基は、アルキル鎖の同じ炭素原子上の置換基ではないことは理解されることである。
【0021】
もう一つの側面において、本発明は、本明細書中で先に定義したとおりの式(1)の化合物又は医薬的に受容可能な塩に関する。
もう一つの側面において、本発明は、本明細書中で先に定義したとおりの式(1)の化合物又はこれらのプロドラッグに関する。式(1)の化合物のプロドラッグの適した例は、式(1)の化合物のin−vivoで加水分解可能なエステルである。従ってもう一つの側面において、本発明は、本明細書中で先に定義したとおりの式(1)の化合物又はそのin−vivoで加水分解可能なエステルに関する。
【0022】
上記で定義された式(1)の化合物のあるものが、一つ又はそれより多い不斉炭素原子の力によって、光学的に活性な又はラセミの形態で存在することができる限り、本発明は、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を保有するいずれものこのような光学的に活性な又はラセミの形態を、その定義中に含むことは理解されることである。光学的に活性な形態の合成は、当技術において公知の有機化学の標準的な技術によって、例えば光学的に活性な出発物質からの合成、又はラセミの形態の分割によって行うことができる。同様に、上述の活性は、本明細書中で以下で言及される標準的な実験室の技術を使用して評価することができる。
【0023】
本発明内で、式(1)の化合物又はその塩が、互変異性の現象を示すことができ、そして本明細書内の式の図面が、可能な互変異性の形態の一つのみを表すことができることは理解されることである。本発明が、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を有するいずれもの互変異性の形態を包含し、そして単に式の図面内で使用されたいずれか一つの互変異性の形態に制約されないことは理解されることである。本明細書内の式の図面は、可能な互変異性の形態の一つのみを表すことができ、そして本明細書が、本明細書中に略図的に示すことが可能である描かれたこれらの形態のみではなく、化合物の全ての可能な互変異性の形態を包含することは理解されることである。
【0024】
式(1)のある種の化合物及びその塩が、溶媒和された、例えば水和された形態並びに溶媒和されていない形態で存在することができることも更に理解されることである。本発明が、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を有する全てのこのような溶媒和された形態を包含することは理解されることである。
【0025】
式(1)のある種の化合物が、多形を示すことができ、そして本発明が、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を保有する全てのこのような形態を包含することも更に理解されることである。
【0026】
本発明は、本明細書中で先に定義したとおりの式(1)の化合物、並びにその塩に関する。医薬組成物中で使用するための塩は、医薬的に受容可能な塩であるものであるが、しかし他の塩は、式(1)の化合物及びその医薬的に受容可能な塩の製造において有用であることができる。本発明の医薬的に受容可能な塩は、例えば、このような塩を形成するために十分に塩基性である本明細書中で先に定義したとおりの式(1)の化合物の酸付加塩を含む。このような酸付加塩は、例えばハロゲン化水素(特に塩酸又は臭化水素酸、このうち塩酸が特別に好ましい)との、或いは硫酸又はリン酸との、或いはトリフルオロ酢酸、クエン酸又はマレイン酸との塩のような医薬的に受容可能なアニオンを与える無機又は有機酸との塩を含む。適した塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩及び酒石酸塩を含む。更に、式(1)の化合物が十分に酸性である場合、医薬的に受容可能な塩は、医薬的に受容可能なカチオンを与える無機又は有機塩基と形成することができる。このような無機又は有機塩基との塩は、例えばナトリウム又はカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム又はマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩或いは例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリン又はトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンとの塩を含む。
【0027】
本発明の化合物は、ヒト又は動物の身体で分解して、本発明の化合物を与えるプロドラッグの形態で投与することができる。プロドラッグは、母体化合物の物理的及び/又は薬物動力学的特性を変更又は改良するために使用することができ、そして母体化合物がプロドラッグを形成するために誘導することができる適した基又は置換基を含有する場合に形成することができる。プロドラッグの例は、本発明の化合物又は医薬的に受容可能なその塩のin−vivoで加水分解可能なエステルを含む。
【0028】
各種のプロドラッグの形態が当技術において既知であり、例えば:
a)Design of Prodrugs,edited by H.Bundgaard,(Elsevier,1985)及びMethods in Enzymology.Vol.42:p.309−396,edited by K.Widder,et al.(Academic Press,1985);
b)A Textbook of Drug Design and Development,edited by Krogsgaard−Larsen and H.Bundgaard,Chapter 5“Design and Application of Prodrugs”,by H.Bundgaard p.113−191(1991);
c)H.Bundgaard,Advanced Drug Delivery Reviews,:1−38(1992);
d)H.Bundgaard,et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences,77:285(1988);及び
e)N.Kakeya,et al.,Chem Pharm Bull,32:692(1984);
を参照されたい。
【0029】
カルボキシ又はヒドロキシ基を含有する式(1)の化合物のin−vivoで加水分解可能なエステルは、例えば、ヒト又は動物の身体中で開裂して、母体酸又はアルコールを生じる医薬的に受容可能なエステルである。
【0030】
カルボキシに対する適した医薬的に受容可能なエステルは、アルキル、(1−6C)アルコキシメチルエステル例えばメトキシメチル、(1−6C)アルカノイルオキシメチルエステル例えばピバロイルオキシメチル、フタリジルエステル、(3−8C)シクロアルコキシカルボニルオキシ(1−6C)アルキルエステル例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソレン−2−オニルメチルエステル例えば5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オニルメチル;及び(1−6C)アルコキシカルボニルオキシエチルエステル例えば1−メトキシカルボニルオキシエチルを含み、そして本発明の化合物中のいずれものカルボキシ基において形成することができる。
【0031】
ヒドロキシに対する適した医薬的に受容可能なエステルは、リン酸エステル(ホスホルアミド酸環式エステルを含む)のような無機エステル及びα−アシルオキシアルキルエーテル並びに母体ヒドロキシ基/複数のヒドロキシ基を与えるためのエステル分解のin−vivoの加水分解の結果として関連する化合物を含む。α−アシルオキシアルキルエーテルの例は、アセトキシメトキシ及び2,2−ジメチルプロピオニルオキシメトキシを含む。ヒドロキシに対するin−vivoで加水分解可能なエステル形成基の選択は、(1−10C)アルカノイル、例えばアセチル;ベンゾイル;フェニルアセチル;置換されたベンゾイル及びフェニルアセチル、(1−10C)アルコキシカルボニル(カルボン酸アルキルエステルを与える)、例えばエトキシカルボニル;ジ−((1−4C))アルキルカルバモイル及びN−(ジ−((1−4C))アルキルアミノエチル)−N−((1−4C))アルキルカルバモイル(カルバミン酸エステルを与える);ジ−((1−4C))アルキルアミノアセチル並びにカルボキシアセチルを含む。フェニルアセチル及びベンゾイル上の環の置換基の例は、アミノメチル、((1−4C))アルキルアミノメチル及びジ−(((1−4C))アルキル)アミノメチル、及び環の窒素原子原子からメチレン連結基を経由してベンゾイル環の3−又は4−位に連結されたモルホリノ或いはピペラジノを含む。他の興味あるin−vivoで加水分解可能なエステルは、例えばRC(O)O((1−6C))アルキル−CO−を含み、ここにおいてRは、例えばベンゾイルオキシ−((1−4C))アルキル、又はフェニルである)。このようなエステル中のフェニル基上の適した置換基は、例えば4−((1−4C))ピペラジノ((1−4C))アルキル、ピペラジノ−((1−4C))アルキル及びモルホリノ(1−4C)アルキルを含む。
【0032】
本明細書中で、包括的用語“アルキル”は、直鎖及び分枝鎖アルキル基の両方を含む。然しながら“プロピル”のような個々のアルキル基に対する言及は、直鎖変種のみに対して特定的であり、そしてt−ブチルのような個々の分枝鎖アルキル基に対する言及は、分枝鎖変種に対してのみ特定的である。例えば、“(1−3C)アルキル”は、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルを含み、“(1−4C)アルキル”は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びt−ブチルを含み、そして“(1−6C)アルキル”の例は、“(1−4C)アルキル”の例及び更にペンチル、2,3−ジメチルプロピル、3−メチルブチル及びヘキシルを含む。類似の慣例は、他に包括的用語に適用され、例えば“(2−4C)アルケニル”は、ビニル、アリル及び1−プロペニルを含み、そして“(2−6C)アルケニル”の例は、“(2−4C)アルケニル”の例及び更に1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチルブタ−2−エニル、3−メチルブタ−1−エニル、1−ペンテニル、3−ペンテニル及び4−ペンテニルを含む。“(2−4C)アルキニル”の例は、エチニル、1−プロピニル及び2−プロピニルを含み、そして“(C2−6)アルキニル”の例は、“(2−4C)アルキニル”の例及び更に3−ブチニル、2−ペンチニル及び1−メチルペンタ−2−イニルを含む。
【0033】
用語“ヒドロキシ(1−3C)アルキル”は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシイソプロピルを含む。用語“ヒドロキシ(2−3C)アルキル”は、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシイソプロピルを含む。用語“ヒドロキシ(1−4C)アルキル”は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソプロピル及びヒドロキシブチルを含む。用語“ヒドロキシ(1−4C)アルキル”は、更にヒドロキシシクロプロピル及びヒドロキシシクロブチルをも含む。用語“ヒドロキシエチル”は、1-ヒドロキシエチル及び2-ヒドロキシエチルを含む。用語“ヒドロキシプロピル”は、1−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル及び3−ヒドロキシプロピルを含み、そして類似の慣例は、ヒドロキシブチルのような用語に適用される。用語“ジヒドロキシ(2−3C)アルキル”は、ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル及びジヒドロキシイソプロピルを含む。用語“ジヒドロキシ(2−4C)アルキル”は、ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル、ジヒドロキシイソプロピル及びジヒドロキシブチルを含む。用語“ジヒドロキシプロピル”は、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル及び1,3−ジヒドロキシプロピルを含む。類似の慣例は、ジヒドロキシイソプロピル及びジヒドロキシブチルのような用語に適用される。用語ジヒドロキシ(2−4C)アルキルは、ジェミナルに二置換され、そしてそれによって不安定な構造を含むことは意図していない。
【0034】
用語“トリヒドロキシ(3−4C)アルキル”は、1,2,3−トリヒドロキシプロピル及び1,2,3−トリヒドロキシブチルを含む。用語トリヒドロキシ(3−4C)アルキルは、ジェミナルに二−又は三−置換され、そしてそれによって不安定な構造を含むことは意図していない。
【0035】
用語“ハロ”は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。用語“ハロ(1−3C)アルキル”は、フルオロメチル、クロロメチル、フルオロエチル、フルオロプロピル及びクロロプロピルを含む。用語“ハロ(1−4C)アルキル”は、“ハロ(1−3C)アルキル”及び更にフルオロブチルを含む。用語“ジハロ(1−4C)アルキル”は、ジフルオロメチル及びジクロロメチルを含む。用語“ジハロ(1−3C)アルキル”は、ジフルオロメチル及びジクロロメチルを含む。用語“トリハロ(1−4C)アルキル”は、トリフルオロメチルを含む。
【0036】
“5−及び6−員の環式アセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体”の例は:
1,3−ジオキソラン−4−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル;1,3−ジオキサン−2−イル;である。
【0037】
“(1−4C)アルコキシ”の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びイソプロポキシを含む。“(1−6C)アルコキシ”の例は、“(1−4C)アルコキシ”の例並びに更にブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペントキシ及び1,2−(メチル)プロポキシを含む。“(1−4C)アルカノイル”の例は、ホルミル、アセチル及びプロピオニルを含む。“(1−6C)アルカノイル”の例は、“(1−4C)アルカノイル”の例並びに更にブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル及び1,2−(メチル)プロピオニルを含む。“(1−4C)アルカノイルオキシ”の例は、ホルミルオキシ、アセトキシ及びプロピオンオキシを含む。“(1−6C)アルカノイルオキシ”の例は、“(1−4C)アルカノイルオキシ”の例並びに更にブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ及び1,2−(メチル)プロピオニルオキシを含む。“N−((1−4C)アルキル)アミノ”の例は、メチルアミノ及びエチルアミノを含む。“N−((1−6C)アルキル)アミノ”の例は、“N−((1−4C)アルキル)アミノ”の例並びに更にペンチルアミノ、ヘキシルアミノ及び3−メチルブチルアミノを含む。“N,N−((1−4C)アルキル)アミノ”の例は、N−N−(メチル)アミノ、N−N−(エチル)アミノ及びN−エチル−N−メチルアミノを含む。“N,N−((1−6C)アルキル)アミノ”の例は、“N,N−((1−4C)アルキル)アミノ”の例並びに更にN−メチル−N−ペンチルアミノ及びN,N−(ペンチル)アミノを含む。“N−((1−4C)アルキル)カルバモイル”の例は、メチルカルバモイル及びエチルカルバモイルである。“N−((1−6C)アルキル)カルバモイル”の例は、“N−((1−4C)アルキル)カルバモイル”の例並びに更にペンチルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル及び1,2−(メチル)プロピルカルバモイルである。“N,N−((1−4C)アルキル)カルバモイル”の例は、N,N−(メチル)カルバモイル、N,N−(エチル)カルバモイル及びN−メチル−N−エチルカルバモイルである。“N,N−((1−6C)アルキル)カルバモイル”の例は、“N,N−((1−4C)アルキル)カルバモイル”の例並びに更にN,N−(ペンチル)カルバモイル、N−メチル−N−ペンチルカルバモイル及びN−エチル−N−ヘキシルカルバモイルである。“N−((1−4C)アルキル)スルファモイル”の例は、N−(メチル)スルファモイル及びN−(エチル)スルファモイルである。“N−((1−6C)アルキル)スルファモイル”の例は、“N−((1−4C)アルキル)スルファモイル”の例並びに更にN−ペンチルスルファモイル、N−ヘキシルスルファモイル及び1,2−(メチル)プロピルスルファモイルである。“N,N−((1−4C)アルキル)スルファモイル”の例は、N,N−(メチル)スルファモイル、N,N−(エチル)スルファモイル及びN−(メチル)−N−(エチル)スルファモイルである。“N,N−((1−6C)アルキル)スルファモイル”の例は、“N,N−((1−4C)アルキル)スルファモイル”の例並びに更にN,N−(ペンチル)スルファモイル、N−メチル−N−ペンチルスルファモイル及びN−エチル−N−ヘキシルスルファモイルである。
【0038】
“シアノ(1−3C)アルキル”及び“シアノ(1−4C)アルキル”の例は、シアノメチル、シアノエチル及びシアノプロピルである。“(3−6C)シクロアルキル”の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを含む。“(3−6C)シクロアルキル(1−4C)アルキル”の例は、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル及びシクロヘキシルメチルを含む。ヒドロキシで置換された“シアノ(1−3C)アルキル”及び“シアノ(1−4C)アルキル”の例は、1−(ヒドロキシ)−2−(シアノ)エチルを含む。
【0039】
用語“アミノ(1−4C)アルキル”は、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノイソプロピル及びアミノブチルを含む。“アミノエチル”は、1−アミノエチル及び2−アミノエチルを含む。用語“アミノプロピル”は、1−アミノプロピル、2−アミノプロピル及び3−アミノプロピルを含み、そして類似の慣例は、アミノエチル及びアミノブチルのような用語に適用される。
【0040】
“(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ”の例は、メトキシメトキシ、エトキシメトキシ、エトキシエトキシ及びメトキシエトキシである。“ヒドロキシ(1−4C)アルコキシ”の例は、ヒドロキシエトキシ及びヒドロキシプロポキシである。“ヒドロキシプロポキシ”の例は、2−ヒドロキシプロポキシ及び3−ヒドロキシプロポキシである。“(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル”の例は、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、エトキシプロピル及びプロポキシメチルを含む。“(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル”の例は、メトキシメトキシメチル、エトキシエトキシエチル、エトキシメトキシメチル、メトキシエトキシメチル、メトキシメトキシエチル、メトキシエトキシエチル及びエトキシメトキシメチルを含む。“ジ[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル”の例は、1,2−ジメトキシエチル、2,3,ジメトキシプロピル及び1−メトキシ−2−エトキシ−エチルを含む。
“(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル”の例は、1−ヒドロキシ−2−メトキシエチル及び1−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルを含む。
【0041】
“−S(O)(1−4C)アルキル(ここにおいてbは0、1又は2である)”の例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロパンスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル及びイソプロピルスルホニルを含む。
【0042】
“(1−6C)アルコキシカルボニル”の例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−及びt−ブトキシカルボニルを含む。
“(アミノ)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル”及び“(アミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル”の例は、1−アミノ−2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシ−2−アミノエチル、1−ヒドロキシ−2−アミノプロピル及び1−アミノ−2−ヒドロキシプロピルを含む。“(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル”及び“(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル”の例は、1−(ヒドロキシ)−2−(アミノカルボニル)エチル及び1−(ヒドロキシ)−3−(アミノカルボニル)プロピルを含む。“((1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル”及び(メチルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル”の例は、1−(ヒドロキシ)−2−(N−メチルアミノカルボニル)エチルを含む。(ジ(1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル”及び(ジメチルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル”の例は、1−(ヒドロキシ)−2−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)エチルを含む。((1−4C)アルキルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル及び(メチルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル”の例は、1−ヒドロキシ−2−(メチルカルボニルアミノ)エチル及び1−(メチルカルボニルアミノ)−2−(ヒドロキシ)エチルを含む。
【0043】
“((1−4C)アルキルS(O)p−)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル”及び“(メチルS(O)p−)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル”(ここにおいてpは0、1又は2である)の例は、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルチオ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルスルフィニル)エチル及び1−(ヒドロキシ)−2−(メチルスルホニル)エチルを含む。
【0044】
ヒドロキシによるRA及びRBの定義内のアルキル又はアルコキシ基上の追加の置換の例は、例えば、1−ヒドロキシ−2,2−ジフルオロメチルのような基を与えるジ(ハロ)(1−4C)アルキル中のヒドロキシの置換;又は例えば、1,2−ジヒドロキシ−3−アミノプロピルのような基を与える(アミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル基へのヒドロキシの置換;或いは例えば、例えばHOCHCHS(O)CHCH(OH)−、又はCS(O)CHCH(OH)CH(OH)−を与える“((1−4C)アルキルS(O)p−)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキルへのヒドロキシの置換を意味すると理解されるべきである。
【0045】
本明細書内で、−(1−4C)アルキルSO(1−4C)アルキルのような一つより多い官能基をを含んでなる基を説明するために、複合用語が使用される。このような用語は、それぞれの成分の部分で、当業者によって理解される意味によって解釈されるべきである。例えば−(1−4C)アルキルSO(1−4C)アルキルは、−メチルスルホニルメチル、−メチルスルホニルエチル、−エチルスルホニルメチル、及び−プロピルスルホニルブチルを含む。
【0046】
所望による置換基が、“0、1、2又は3”基から選択される場合、この定義が、規定された基の一つから選択される全ての置換基、或いは規定された基の二つ又はそれより多くから選択される置換基を含むことは理解されることである。類似の慣例は、“0、1又は2”基及び“1又は2”基から選択される置換基に適用される。
【0047】
“ヘテロアリーレン”は、ヘテロアリール基のジラジカルである。ヘテロアリール基は、5ないし7個の原子を含有し、その1、2、3又は4個が窒素、硫黄又は酸素から選択される単環式環のアリールである。ヘテロアリーレンの例は、オキサゾリレン、オキサジアゾリレン、ピリジレン、ピリミジニレン、イミダゾリレン、トリアゾリレン、テトラゾリレン、ピラジニレン、ピリダジニレン、ピロリレン、チエニレン及びフリレンである。
【0048】
ヘテロアリール基に対する適した所望による置換基は、他に定義しない限り、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ、(1−4C)アルキルS(O)(ここにおいてbは0、1又は2である)、N−((1−4C)アルキル)アミノ及びN,N−((1−4C)アルキル)アミノから独立に選択される1、2又は3個の置換基である。“ヘテロアリール”基に対する更なる適した所望による置換基は、フルオロ、クロロ、シアノ、ニトロ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ヒドロキシ、メチル、エチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル及びメチルスルホニルから独立に選択される1、2又は3個の置換基である。
【0049】
A、RないしR及びnの好ましい意義は、以下のとおりである。このような意義は、本明細書中で先に、又は以下に定義される定義、特許請求の範囲、側面又は態様のいずれにおいても適宜使用されることができる。
【0050】
本発明の一つの態様において、式(1)の化合物が提供され、別の態様において、式(1)の化合物の医薬的に受容可能な塩が提供され、更なる別の態様において、式(1)の化合物のin−vivoで加水分解可能なエステルが提供され、そして更なる別の態様において、式(1)の化合物のin−vivoで加水分解可能なエステルの医薬的に受容可能な塩が提供される。
【0051】
本発明の一つの側面において、R及びRがいっしょに−S−C(R)=C(R)−である上記に描写した式(1)の化合物が提供される。
本発明のもう一つの側面において、R及びRは、いっしょに−C(R)=(R)−S−である。
【0052】
本発明の更なる側面において、R及びRは、水素、ハロ又は(1−6C)アルキルから独立に選択される。
好ましくはR及びRは、水素、クロロ、ブロモ又はメチルから独立に選択される。
【0053】
特別にR及びRは、水素又はクロロから独立に選択される。
更に特別にR及びRの一つはクロロである。
一つの態様において、R及びRの一つはクロロであり、そして他方は水素である。
【0054】
もう一つの態様において、R及びRの両方はクロロである。
本発明の一つの側面において、Aは、フェニレンである。
本発明のもう一つの側面において、Aは、ヘテロアリーレンである。
【0055】
好ましくはAは、フェニレン、ピリジレン、ピリミジニレン、ピロリレン、イミダゾリレン、トリアゾリレン、テトラゾリレン、オキサゾリレン、オキサジアゾリレン、チエニレン及びフリレンから選択される。
【0056】
Aに対する更なる適した意義は、フェニレン、ピリジレン、ピリミジニレン、ピロリレン及びイミダゾリレンである。
Aに対する更なる適した意義は、フェニレン、ピリジレン及びピリミジニレンである。
【0057】
Aに対する更なる適した意義は、フェニレン及びピリジレンである。
一つの態様において、Aがヘテロアリーレンである場合、橋頭位には窒素が存在する。もう一つの態様において、Aがヘテロアリールである場合、異種原子は橋頭位には無い。好ましい(更に安定な)橋頭位は、以下の式:
【0058】
【化4】

【0059】
に示すとおりであることは認識されるものである。
本発明の一つの側面において、nは0又は1である。
一つの側面において、好ましくはnは1である。
【0060】
もう一つの側面において、好ましくはnは0である。
nが2であり、そして二つのR基が、これらが接続しているAの炭素原子といっしょに、O、S及びNから独立に選択される1又は2個の異種原子を所望により含有していてもよい4ないし7員の飽和環を形成している場合、都合よくはこのような環は、5又は6員の環である。一つの態様において、このような5又は6員の環は、二つのO原子を含有する(即ち環式アセタール)。いっしょの二つのR基が、このような環式アセタールを形成する場合、好ましくはこれは置換されていない。最も好ましくはいっしょの二つのR基は、−O−CH−O−である。
【0061】
本発明のもう一つの側面において、Rは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル及び(1−4C)アルコキシから選択される。
【0062】
更なる側面において、Rは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、−S(O)(1−4C)アルキル(ここにおいてbは0、1又は2である)、−OS(O)(1−4C)アルキル、(1−4C)アルキル及び(1−4C)アルコキシから選択される。
【0063】
更なる側面において、Rは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、−S(O)Me(ここにおいてbは0、1又は2である)、−OS(O)Me、メチル及びメトキシから選択される。
【0064】
更なる側面において、Rは、(1−4C)アルキルである。
好ましくはRは、ハロ及び(1−4C)アルコキシから選択される。
もう一つの態様において、好ましくはRは、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ及び−O−CH−O−から選択される。
【0065】
一つの側面において、Rは、Raから選択され、ここでRaは:
a:(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により治安されていてもよい)、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、(ヒドロキシ)(メトキシ)エチル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(メチルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(ジメチルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(メチルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(メチルS(O)−)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である)から選択され;
そしてRは、Rbから選択され、ここにおいてRbは:
b:(1−4C)アルキル、ハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により置換されていてもよい)、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(ジ(1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルS(O)−)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である)から選択され;
但し、Raが(1−3C)アルキルである場合、Rbは(1−4C)アルキルではないことを条件とする。
【0066】
もう一つの側面において、Rは、Raから選択され、ここでRaは:
a:(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(2−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、(ヒドロキシ)(メトキシ)エチル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択され;
そしてRは、Rbから選択され、ここでRbは:
b:(1−4C)アルキル、ハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択され;
但し、Raが(1−3C)アルキルである場合、Rbは(1−4C)アルキルではないことを条件とする。
【0067】
もう一つの側面において、Rは、Raから選択され、ここでRaは:
a:(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、(ヒドロキシ)(メトキシ)エチル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択され;
そしてRは、Rbから選択され、ここでRbは:
b:(1−4C)アルキル、ハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(2−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択され;
但し、Raが(1−3C)アルキルである場合、Rbは(1−4C)アルキルではないことを条件とする。
【0068】
もう一つの側面において、Rは、Raから選択され、そしてRは、Rbから選択され、ここにおいてRa及びRbは、本明細書中で先に又は以下に定義されるこれらの基のための意義のいずれかから選択される。
【0069】
一つの態様において、RA及びRB中のいずれもの基内のいずれものアルキル及びアルコキシ基は、利用可能な炭素原子においてヒドロキシ基で更に置換されている(但し、前記の炭素原子が、異種原子によって連結された基によって既に置換されていないことを条件とする)。
【0070】
もう一つの態様において、RA及びRB中のいずれもの基内のいずれものアルキル及びアルコキシ基は、利用可能な炭素原子においてヒドロキシ基で更には置換されていない。
【0071】
一つの側面において、Raは、(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル及びシアノ(1−3C)アルキルから選択される。
【0072】
一つの態様において、Raは、メチル、エチル、フルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル及びシアノメチルから選択される。
【0073】
もう一つの側面において、Raは、(1−4C)アルキル、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、及び(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキルから選択される。
もう一つの態様において、Raは:
(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル及び(ヒドロキシ)(メトキシ)エチルから選択される。
【0074】
もう一つの態様において、Raは:
メチル、エチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル、メトキシメチル、メトキシエチル及びジメトキシエチルから選択される。
【0075】
もう一つの態様において、Raは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ジヒドロキシエチル、及びジヒドロキシプロピルから選択される。
もう一つの態様において、Raは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルから選択される。
【0076】
もう一つの態様において、Raは、メチル及びヒドロキシエチルから選択される。
もう一つの態様において、Raは、メチル及びエチルから選択される。
もう一つの態様において、Raは、メチルである。
【0077】
一つの態様において、Rbは、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により置換されていてもよい)、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(1−4C)アルキル、((1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(ジ(1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(1−4C)アルキル、及び((1−4C)アルキルS(O)−)(ヒドロキシ)(1−4C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である)から選択される。
【0078】
もう一つの態様において、Rbは、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択される。
【0079】
もう一つの態様において、Rbは、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により置換されていてもよい)、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、(アミノ)(ヒドロキシ)(1−4C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(1−4C)アルキル、((1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(ジ(1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(1−4C)アルキル、及び((1−4C)アルキルS(O)−)(ヒドロキシ)(1−4C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である)から選択される。
【0080】
もう一つの態様において、Rbは、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択される。
【0081】
もう一つの態様において、Rbは、ヒドロキシ(1−4C)アルキル及びジヒドロキシ(2−4C)アルキルから選択される。
もう一つの態様において、Rbは、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル及び(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキルから選択される。
【0082】
一つの側面において、Rbは、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル、1,2,3−トリヒドロキシプロピル、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、ヒドロキシエトキシエチル、,3−ジオキソラン−4−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル;1,3−ジオキサン−2−イルから選択される。
【0083】
もう一つの側面において、Rbは、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル、,3−ジオキソラン−4−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル及び1,3−ジオキサン−2−イルから選択される。
【0084】
もう一つの側面において、Rbは、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル及び1,3−ジヒドロキシプロピルから選択される。
【0085】
更なる側面において、Rbは、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソブチル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシ)−2−(メトキシ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルチオ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルスルホニル)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(シアノ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(アミノ)エチル、1−(アミノ)−2−(ヒドロキシ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(アミノカルボニル)エチル、1−(ヒドロキシ)−3−(アミノカルボニル)プロピル、1−(ヒドロキシ)−2−(N−メチルアミノカルボニル)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)エチル及び1−(メチルカルボニルアミノ)−2−(ヒドロキシ)エチルから選択される。
【0086】
更なる側面において、Rbは、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソブチル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシ)−2−(メトキシ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルチオ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルスルホニル)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(シアノ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(アミノ)エチル及び1−(アミノ)−2−(ヒドロキシ)エチルから選択される。
【0087】
更なる側面において、Rbは、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソブチル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシ)−2−(メトキシ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルチオ)エチル及び1−(ヒドロキシ)−2−(メチルスルホニル)エチルから選択される。
【0088】
更なる側面において、Rbは、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソブチル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル及び1−(ヒドロキシ)−2−(メトキシ)エチルから選択される。
【0089】
更なる側面において、Rbは、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル及び1−(ヒドロキシ)−2−(メトキシ)エチルから選択される。
【0090】
本発明の一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0、1又は2であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素、クロロ、ブロモ又はメチルから独立に選択され;
は、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ及び−O−CH−O−から選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、
a:(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(2−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、(ヒドロキシ)(メトキシ)エチル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択され;
そしてRは、Rbから選択され、ここでRbは、
b:(1−4C)アルキル、ハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択され;
但し、Raが(1−3C)アルキルである場合、Rbは(1−4C)アルキルではないことを条件とする;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0091】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、ヘテロアリーレンであり;
nは、0、1又は2であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素、クロロ、ブロモ又はメチルから独立に選択され;
は、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ及び−O−CH−O−から選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、
a:(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(2−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、(ヒドロキシ)(メトキシ)エチル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択され;
そしてRは、Rbから選択され、ここでRbは:
b:(1−4C)アルキル、ハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0092】
本発明の一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0、1又は2であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素、クロロ、ブロモ又はメチルから独立に選択され;
は、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ及び−O−CH−O−から選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、
a:(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、(ヒドロキシ)(メトキシ)エチル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択され;
そしてRは、Rbから選択され、ここでRbは:
b:(1−4C)アルキル、ハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(2−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択され;
但し、Raが(1−3C)アルキルである場合、Rbは(1−4C)アルキルではないことを条件とする;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0093】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、ヘテロアリーレンであり;
nは、0、1又は2であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素、クロロ、ブロモ又はメチルから独立に選択され;
は、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ及び−O−CH−O−から選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、
a:(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、(ヒドロキシ)(メトキシ)エチル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択され;
そしてRは、Rbから選択され、ここでRbは:
b:(1−4C)アルキル、ハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(2−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0094】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0、1又は2であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素、クロロ、ブロモ又はメチルから独立に選択され;
は、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ及び−O−CH−O−から選択され;
及びRの一つは、Raから選択され、そして他方は、Rbから選択され;
aは:(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル及び(ヒドロキシ)(メトキシ)エチルから選択され;
bは:ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](1−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体から選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0095】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0、1又は2であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素、クロロ、ブロモ又はメチルから独立に選択され;
は、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ及び−O−CH−O−から選択され;
及びRの一つは、Raから選択され、そして他方は、Rbから選択され;
aは:メチル、エチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル、メトキシメチル、メトキシエチル及びジメトキシエチルから選択され;
bは:ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル、1,2,3−トリヒドロキシプロピル、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、ヒドロキシエトキシエチル、,3−ジオキソラン−4−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル;1,3−ジオキサン−2−イルから選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0096】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0、1又は2であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素、クロロ、ブロモ又はメチルから独立に選択され;
は、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ及び−O−CH−O−から選択され;
及びRの一つは、Raから選択され、そして他方は、Rbから選択され;
aは:メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ジヒドロキシエチル、及びジヒドロキシプロピルから選択され;
bは:ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル、,3−ジオキソラン−4−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル及び1,3−ジオキサン−2−イルから選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0097】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素又はクロロから独立に選択され;
は、(1−4C)アルキルであり;
及びRの一つは、Raから選択され、そして他方は、Rbから選択され;
aは:メチル及びエチルから選択され;
bは、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、及び1,3−ジヒドロキシプロピルから選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0098】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0、1又は2であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素、クロロ、ブロモ又はメチルから独立に選択され;
は、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ及び−O−CH−O−から選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルから選択され;
は、Rbから選択され、ここでRbは、ハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により置換されていてもよい)、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(ジ(1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルS(O)−)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である)から選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0099】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0、1又は2であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素、クロロ、ブロモ又はメチルから独立に選択され;
は、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ及び−O−CH−O−から選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルから選択され;
は、Rbから選択され、ここでRbは、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により置換されていてもよい)、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(ジ(1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、及び((1−4C)アルキルS(O)−)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である)から選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0100】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0、1又は2であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素、クロロ、ブロモ又はメチルから独立に選択され;
は、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ及び−O−CH−O−から選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルから選択され;
は、Rbから選択され、ここでRbは、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により置換されていてもよい)、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(ジ(1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、及び((1−4C)アルキルS(O)−)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である)から選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0101】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素及びクロロから独立に選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルから選択され;
は、Rbから選択され、ここでRbは、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により置換されていてもよい)、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(ジ(1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、及び((1−4C)アルキルS(O)−)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である)から選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0102】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素及びクロロから独立に選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルから選択され;
は、Rbから選択され、ここでRbは、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により置換されていてもよい)、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル及び((1−4C)アルキルS(O)−)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である)から選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0103】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素及びクロロから独立に選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルから選択され;
は、Rbから選択され、ここでRbは、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソブチル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシ)−2−(メトキシ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルチオ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルスルホニル)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(シアノ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(アミノ)エチル、1−(アミノ)−2−(ヒドロキシ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(アミノカルボニル)エチル、1−(ヒドロキシ)−3−(アミノカルボニル)プロピル、1−(ヒドロキシ)−2−(N−メチルアミノカルボニル)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)エチル、1−(メチルカルボニルアミノ)−2−(ヒドロキシ)エチルから選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0104】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素及びクロロから独立に選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルから選択され;
は、Rbから選択され、ここでRbは、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソブチル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシ)−2−(メトキシ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルチオ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルスルホニル)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(シアノ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(アミノ)エチル及び1−(アミノ)−2−(ヒドロキシ)エチルから選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0105】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素及びクロロから独立に選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルから選択され;
は、Rbから選択され、ここでRbは、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソブチル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシ)−2−(メトキシ)エチル、1−(ヒドロキシ)−2−(メチルチオ)エチル及び1−(ヒドロキシ)−2−(メチルスルホニル)エチルから選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0106】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素及びクロロから独立に選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルから選択され;
は、Rbから選択され、ここでRbは、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソブチル、ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル及び1−(ヒドロキシ)−2−(メトキシ)エチルから選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0107】
本発明のもう一つの側面において、
Aが、フェニレンであり;
nは、0であり;
及びRは、いっしょに−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−であり;
及びRは、水素及びクロロから独立に選択され;
は、Raから選択され、ここでRaは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルから選択され;
は、Rbから選択され、ここでRbは、1,2−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピル及び1−(ヒドロキシ)−2−(メトキシ)エチルから選択される;
式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにそのin−vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0108】
本発明の好ましい化合物は、以下の式(1A):
【0109】
【化5】

【0110】
のものであり、式中、RないしR及びnは、本明細書中で先に又は以下に記載されるいずれかの側面或いは態様中で定義されるとおりである。
一つの側面において、本発明の好ましい化合物は、Rが、カルボニル基に隣接する炭素上に一つのヒドロキシ基を含有する、本明細書中で先に又は以下に定義されるとおりの式(1)或いは(1A)の化合物である。本発明の更なる好ましい化合物は、Rが、カルボニル基に隣接する炭素上に一つのアミノ基を含有する、本明細書中で先に又は以下に定義されるとおりの式(1)或いは(1A)の化合物である。
【0111】
本発明の特別な化合物は、実施例のそれぞれであり、これらのそれぞれは、本発明の更なる独立の側面を提供する。本発明の更なる側面において、実施例のいずれもの二つ若しくはそれより多く、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのプロドラッグが提供される。
【0112】
本発明のもう一つの側面は、式(1)の化合物又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのin−vivoで加水分解可能なエステルを調製するための方法を提供し、この方法(ここにおいてA、RないしR及びnは、他に規定しない限り、式(1)中で定義したとおりである)は:
a)以下の式(2):
【0113】
【化6】

【0114】
の酸又はその活性化された誘導体を;以下の式(3):
【0115】
【化7】

【0116】
のアミンと反応させ、そしてその後、必要な場合:
i)式(1)の化合物を、もう一つの式(1)の化合物に転換し;
ii)いずれもの保護基を除去し;
iii)医薬的に受容可能な塩又はin−vivoで加水分解可能なエステルを形成すること;
を含んでなる。
【0117】
上記の反応のための具体的な反応条件は、以下のとおりである。
方法a) 式(2)の酸及び式(3)のアミンは、適したカップリング試薬の存在中でいっしょにカップリングすることができる。当技術において既知の標準的なペプチドカップリング試薬、或いは、例えばカルボニルジイミダゾール、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ−イミド塩酸塩(EDCI)及びジシクロヘキシル−カルボジイミド(DCCI)を、所望により1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジメチルアミノピリジン又は4−ピロリジノピリジンのような触媒の存在中で、所望により塩基、例えばトリエチルアミン、ジ−イソプロピルエチルアミン、ピリジン或いは2,6−ルチジン又は2,6−tert−ブチルピリジンのような2,6−ジ−アルキル−ピリジンの存在中で、適したカップリング剤として使用することができる。適した溶媒は、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、ベンゼン、テトラヒドロフラン及びジメチルホルムアミドを含む。カップリング反応は、都合よくは−40ないし40℃の範囲の温度で行うことができる。
【0118】
適した活性化された酸誘導体は、酸ハロゲン化物、例えば酸塩化物、及び活性なエステル、例えばペンタフルオロフェニルエステルを含む。これらの種類の化合物のアミンとの反応は、当技術において公知であり、例えばこれらは、先に記載したもののような塩基の存在中で、そして先に記載したもののような適した溶媒中で反応させることができる。反応は、都合よくは−40ないし40℃の範囲の温度で行うことができる。
【0119】
式(2)の化合物は、以下のスキーム1:
【0120】
【化8】

【0121】
によって調製することができる。
式(2a)の化合物は、商業的に入手可能であるか、又はこれらは既知の化合物であるか、或いは当技術において既知の方法によって調製される。
【0122】
式(2b)の化合物は、更に以下のスキーム2:
【0123】
【化9】

【0124】
に例示するように調製することもできる。式(4)の化合物の式(5)の化合物への転換は、配向的オルトリチオ反応(J.Org.Chem,2001,volume 66,3662−3670)によって、例えばn−ブチルリチウム及び(CHO)N(アルキル)で行うことができる。式(4)の化合物中の保護基P’は、この反応のために適当に配向する基でなければならず、例えば−COtBuであることができる。式(5)の化合物の、Lが脱離基であるLCHCORとの反応、及び標準的方法による保護基P’の別のP’’(例えば−COアルキル)による置換は、式(6)の化合物を与える。これは、塩基、例えば炭酸カリウム又はナトリウムメトキシドを使用して環化することができる。
【0125】
式(3)の化合物は、以下のスキーム3:
【0126】
【化10】

【0127】
によって調製することができる。
式(3a)の化合物は、商業的に入手可能であるか、又はこれらは既知の化合物であるか、或いは当技術において既知の方法によって調製される。例えば、RがH又は適した保護基である以下の式(7):
【0128】
【化11】

【0129】
の第一アミンから出発して、R及び/又はRの一つ又は両方は、アシル化、(例えばアセトキシ酢酸及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩−EDACと反応させる)、アルキル化、還元的アルキル化、スルホン化又は関連する方法、適当な場合それに続くOの脱保護によって導入することができる。別の方法として、R及び/又はRの一つ又は両方は、先に上記のように導入された基中の官能基の、還元、酸化、加水分解(例えばアセトキシ基のヒドロキシ基への転換)、求核的置換、アミド化、又は関連する方法による改変、或いはこれらの方法の組合せによって、適当な場合それに続くOの脱保護によって得ることができる。このような改変が、式(1)の一つの化合物を式(1)のもう一つの化合物へ転換する改変を含むことができることは認識されるものである。
【0130】
式(3)のアミンは、別の方法として、式(3a)の化合物の調製のために記載した方法を、Wが、NH又は一つ又は二つの適した保護基を持つ窒素原子である以下の式(8):
【0131】
【化12】

【0132】
の化合物に適用することによって得ることができる。
別の方法として、式(3)のアミンは、更に以下のスキーム3A:
【0133】
【化13】

【0134】
によっても調製することができる。式Aの化合物は、商業的に入手可能であるか、又はこれらは既知の化合物であるか、或いは当技術において既知の方法によって調製される。例えば化合物Aは、フタルアミドで保護された中間体Cに標準的な条件下(工程1)で転換することができる。次いでアルキル化は、標準的な条件(工程2:NaH、MeI、DMA)下で行うことができる。次いでフタルアミドの除去は、アミンDを与える(工程3;ヒドラジン水和物、EtOH)。
【0135】
r=1であり、そしてここにおいてAがヘテロアリーレンである式(3)の化合物は、適当に官能化されたシクロアルキルが縮合した複素環から調製することができる。例えば、Aがピリジンである以下の式(3a)及び(3b):
【0136】
【化14】

【0137】
の化合物は、対応するアザインダノン位置異性体から、以下のスキーム4:
【0138】
【化15】

【0139】
によって調製することができる。
工程1は、文献(日本公開特許公報、1995,14.特開平07−070136号)中で既知の化合物に対して行われる。工程2、3、4、5、6、7及び8は、当技術において既知の標準的技術を使用して行われる。
【0140】
以下の式:
【0141】
【化16】

【0142】
のブロモアザインダノン異性体(21a、21b及び21c)が、スキーム4に記載された手段によって、(3)の対応する複素環式変種に転換することができることは認識されるものである。ブロモアザインダノンは、当技術において既知の標準的技術によって対応するアザインダノンから調製することができる。以下の式:
【0143】
【化17】

【0144】
のアザインダノン(22a、22b、22c)は、文献中で既知であるか、又はこれらは当技術において既知の方法によって調製される。
先に記載し、そしてスキーム4に示した方法は、更に一つより多い窒素を含有する他の6員の複素環にも適用することができる。
【0145】
同様な方法で、Aが、橋頭窒素を含有するヘテロアリーレンである式(3)の化合物を、適当に官能化されたシクロアルキルと縮合した適当な複素環から調製することができることは認識されるものである。
【0146】
−NRC(O)Rの形成及び改変のために先に記載した方法が、式(2)の酸にカップリングする前の式(3)の化合物を製造するためであるか、又はこのようなカップリングの生成物に対してであるかに関わらず、同様に適用することができることは認識されるものである。
【0147】
本発明の化合物中の各種の環の置換基のあるもの、例えばRを、標準的な芳香族置換反応によって導入し、或いは上述の方法の前に又は直後のいずれかに慣用的な官能基改変によって生成することができ、そしてこのようなことは、本発明の方法の側面に含まれることは認識されるものである。このような反応は、式(1)の一つの化合物を、式(1)のもう一つの化合物に転換することができる。このような反応及び改変は、例えば芳香族置換反応による置換基の導入、置換基の還元、置換基のアルキル化及び置換基の酸化を含む。このような手順のための試薬及び反応条件は、化学技術において公知である。芳香族置換反応の特別な例は、濃硝酸を使用するニトロ基の導入、例えばアシルハロゲン化物及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)を使用するフリーデルクラフツ条件下のアシル基の導入;アルキルハロゲン化物及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)を使用するフリーデルクラフツ条件下のアルキル基の導入;及びハロゲン基の導入を含む。改変の特別な例は、例えばニッケル触媒による接触水素化又は塩酸の存在中の加熱を伴う鉄による処理によるニトロ基のアミノ基への還元;アルキルチオのアルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルへの酸化を含む。
【0148】
本明細書中で記述した反応のいくつかにおいて、化合物中のいずれもの敏感な基を保護することが必要/好ましいことであることができることも更に認識されるものである。保護が必要又は好ましい事例及び保護のための適した方法は、当業者にとって既知である。慣用的な保護基は、標準的な慣例(例示に対して、T.W.Green,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,1991を参照されたい)によって使用することができる。従って、反応物が、アミノ、カルボキシ又はヒドロキシのような基を含む場合、本明細書中で記述した反応のいくつかにおいて、これらの基を保護することが好ましいことであることができる。
【0149】
アミノ及びアルキルアミノ基のために適した保護基は、例えばアシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はt−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、或いはアロイル基、例えばベンゾイルである。上記の保護基のための脱保護条件は、保護基の選択によって必然的に変化する。従って、例えばアルカノイルのようなアシル基、又はアルコキシカルボニル基、或いはアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような適した塩基による加水分解によって除去することができる。別の方法として、t−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば、塩酸、硫酸又はリン酸或いはトリフルオロ酢酸のような適した酸による処理によって除去することができ、そしてベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば、炭素上のパラジウムのような触媒上の水素化によって、又はルイス酸例えばトリス(トリフルオロ酢酸)ホウ素による処理によって除去することができる。第一アミノ基のための適した別の保護基は、例えば、フタロイル基であり、これは、アルキルアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミン、又はヒドラジンによる処理によって除去することができる。
【0150】
ヒドロキシ基のための適した保護基は、例えば、アシル基、例えば、アセチルのようなアシル基、アロイル基、例えばベンゾイル、或いはアリールメチル基、例えばベンジルである。上記の保護基のための脱保護条件は、保護基の選択によって必然的に変化するものである。従って、例えば、アルカノイルのようなアシル基又はアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような適した塩基による加水分解によって除去することができる。別の方法として、ベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、炭素上のパラジウムのような触媒上の水素化によって除去することができる。
【0151】
カルボキシ基のための適した保護基は、例えば、エステル化基、例えば、例えば水酸化ナトリウムのような塩基による加水分解によって除去することができるメチル又はエチル基、又は例えば、例えば酸、例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸による処理によって除去することができるt−ブチル基、或いは例えば、例えば炭素上のパラジウムのような触媒上の水素化によって除去することができるベンジル基である。
【0152】
保護基は、合成中のいずれもの都合のよい段階で、化学技術において公知の慣用的な技術を使用して除去することができる。
式(1)の化合物の調製におけるある種の中間体は新規であり、そして本発明のもう一つの側面を形成する。
【0153】
本発明の化合物は、一般的に、従来開示された化合物のそれと比較して、改良された物理的特性(例えば溶解度及び/又は血漿タンパク質結合)を保有し、これは医薬のために特別な利益のあることである。グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性との組合せにおいて、このような物理的特性は、本発明の化合物を医薬として特別に有用にする。
【0154】
例えば、本発明の化合物は、一般的に、RがHである均等の化合物と比較して、改良された溶解度を示す。この効果は、以下の表に示す実施例8及び17、並びに参照実施例1の熱力学的溶解度によって例示される。
【0155】
【化18】

【0156】
上記に与えたような本発明の化合物の熱力学的溶解度のデータは、化合物をpH7.4の0.1Mのリン酸塩中で24時間撹拌し、それに続く既知の濃度の溶液(例えばDMSO中)をキャリブラントとして使用する上清の分析(例えばLCUV/MS)によって測定することができる。
【0157】
血漿タンパク質結合は、平衡透析技術を使用して測定することができ、これによって化合物が20μMの濃度を与えるように10%の血漿に加えられ、そして等張の緩衝液により18時間37℃で透析される。血漿及び緩衝溶液をLCUVMSを使用して分析し、そして一次見掛け結合定数を化合物に対して誘導する。次いで結合定数は、100%血漿中の遊離%を決定するために使用される。
【0158】
透析実験から誘導される結合定数は、化合物及びアルブミン間の1:1の結合のモデルに基づいている。
【0159】
【化19】

【0160】
式中、P=遊離タンパク質、D=遊離薬物、PD=薬物タンパク質複合体、K1=一次見掛け結合定数である。
本明細書中で先に記述したように、本発明において定義される化合物は、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を保有する。この特性は、例えば、以下に記述する手順を使用することによって評価することができる。
【0161】
アッセイ
化合物の活性は、グリコーゲン分解に対する化合物の阻害効果を測定することによって決定され、グリコーゲンからのグルコース−1−リン酸の産出は、EP 0 846 464 A2のPesce等の一般的方法(Pesca,M A,Bodourian,S H,Harris,R C,and Nicholson,J F(1977)Clinical Chemistry 23,1171−1717)に記載されているような多酵素共役アッセイによってモニターされる。反応は、384ウェルのマイクロプレート形式中の50μlの体積であった。補助因子NADのNADHへの転換による蛍光の変化を、340nMの励起、465nmの放射において、Tecan Ultra Multifunctional Microplate Readerで測定する。反応は、50mMのHEPES、3.5mMのKHPO、2.5mMのMgCl、2.5mMのエチレングリコール−ビス(b−アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’−四酢酸、100mMのKCl、8mMのD−(+)−グルコースのpH7.2の、0.5mMのジチオトレイトールを含有する緩衝溶液中である。20nMのヒト組替え肝臓グリコーゲンホスホリラーゼa(hrl GPa)を、試薬緩衝液である6.25mMのNAD、1.25mg ml−1の1.25mgのIII型グリコーゲンを伴うアッセイ緩衝溶液中で30分間プレインキュベートする。カップリング酵素のホスホグルコムターゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(Sigma)を、試薬緩衝液中で、ウェル当り0.25単位の最終濃度で調製する。20μlのhrl GPa溶液を、10μlの化合物溶液に加え、そして反応を、20ulの共役酵素溶液の添加によって開始する。試験される化合物は、アッセイ緩衝液中の10μlの5%DMSO中で、アッセイ中の1%DMSOの最終濃度で調製する。GPaの阻害されない活性は、10μlの、アッセイ緩衝溶液中の5%DMSOの存在中で測定し、そして最大阻害は、5mgs ml−1のN−エチルマレイミドの存在中で測定する。30℃で6時間後、相対蛍光単位(RFU)を、340nMの励起、465nmの放射で測定する。
【0162】
アッセイを、10μM又は100μMの阻害剤の試験濃度で行う。これらの濃度の一つ又は両方で有意な阻害を証明した化合物は、酵素反応を50%阻害すると予測される濃度であるIC50を決定するための阻害剤の試験濃度の範囲を使用して、更に評価することができる。
【0163】
活性は、以下のように:
阻害%=(1−(化合物のRFU−換算に阻害されたRFU)/(阻害されない率のRFU−完全に阻害されたRFU))×100
で計算された。
【0164】
上記のアッセイで試験された場合、本発明の化合物に対する典型的なIC50値は、100μMないし1nMの範囲である。例えば、実施例1は、265nMのIC50を有し、そして実施例8は、176nmのIC50を有することが見出された。
【0165】
化合物の阻害活性を、更にラットの初代肝細胞で試験した。ラットの肝細胞を、Seglenの一般的方法(P.O.Seglen,Methods Cell Biology(1976)13 29−83)のコラゲナーゼ潅流技術によって単離した。細胞を、Nunclonの6ウェル培養プレートで、10%のウシ胎児血清を含有する高水準のグルコース、NEAA(非必須アミノ酸)、グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン((100単位/100ug)/ml)を伴うDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)中で4ないし6時間培養した。次いで肝細胞を、ウシ胎児血清を含まず、そして10nMのインスリン及び10nMのデキサメタゾンを含むDMEM溶液中で培養した。実験は、18−20時間の培養後、細胞を洗浄し、そして2.5mMのCaCl及び1%のゼラチンを含有するKrebs−Hensaleit重炭酸緩衝液を添加することによって開始した。試験化合物を加え、そして5分後、細胞を25nMのグルカゴンで攻撃した。Krebs−Hensaleit溶液を、37℃の95%O/5%COで60分間のインキュベーション後除去し、そしてKrebs−Hensaleit溶液のグルコース濃度を測定した。
【0166】
本発明の更なる側面によれば、本明細書中で先に定義した式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはin vivoで加水分解可能なこれらのエステルを、医薬的に受容可能な希釈剤又は担体と共に含んでなる医薬組成物が提供される。
【0167】
本発明の組成物は、経口使用(例えば錠剤、ロザンジ、硬質又は軟質カプセル、水性又は油性懸濁液、乳液、分散性粉末又は顆粒、シロップ又はエリキシルとして)、局所使用(例えばクリーム、軟膏、ゲル、或いは水性又は油性溶液若しくは懸濁液として)、吸入による投与(例えば微細に分割された粉末又は液体エアゾールとして)、通気による投与(例えば微細に分割された粉末として)又は非経口投与(例えば静脈内、皮下、筋肉内又は筋肉内投与のための滅菌水性若しくは油性溶液、或いは直腸投与のための座薬として)のために適した形態であることができる。
【0168】
本発明の組成物は、当技術において公知の慣用的な手順によって、慣用的な医薬的賦形剤を使用して得ることができる。従って、経口使用を意図する組成物は、例えば一つ又はそれより多い着色剤、甘味剤、芳香剤及び/又は保存剤を含むことができる。一つの側面において、本発明の組成物は、経口投与のために適した形態である。
【0169】
錠剤の製剤のために適した医薬的に受容可能な賦形剤は、例えばラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム又は炭酸カルシウムのような不活性な希釈剤、コーンスターチ又はアルギン酸のような顆粒化及び崩壊剤;デンプンのような結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクのような潤滑剤;−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピルのような保存剤、並びにアスコルビン酸のような抗酸化剤を含む。錠剤の製剤は、被覆されていないか、或いはその崩壊及びその後の胃腸管内の活性成分の吸収の改変又はその安定性及び/又は外観の改良のいずれかのために、いずれの場合も慣用的な被覆剤及び当技術において公知の手順を使用して被覆されていることができる。
【0170】
経口使用のための組成物は、その中で、活性成分が、不活性の固体の希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合されている硬質カプセルの形態、或いはその中で、活性成分が、水又は落花生油、液体パラフィン、或いはオリーブ油のような油と混合されている軟質カプセルであることができる。
【0171】
水性懸濁液は、一般的に活性成分を、微細に粉末化された形態で、カルボキシセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムのような一つ又はそれより多い懸濁剤;レシチン、或いはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、或いはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、或いはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのようなエチレンオキシドの、脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、或いはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、或いはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのようなエチレンオキシドの、脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、或いはエチレンオキシドの、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートのような分散又は湿潤剤といっしょに含有する。水性懸濁液は、更に一つ又はそれより多い保存剤(−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピルのような、抗酸化剤(アスコルビン酸のような)、着色剤、芳香剤、及び/又は甘味剤(スクロース、サッカリン又はアスパルタームのような)を含有することもできる。
【0172】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油(落花生油、オリーブ油、ゴマ油又はヤシ油のような)又は鉱油(液体パラフィンのような)中に懸濁することによって処方することができる。油性懸濁液は、更に蜜蝋、硬質パラフィン又はセチルアルコールのような増濃剤を含有することもできる。上述したもののような甘味剤、及び芳香剤を加えて、口当たりのよい経口製剤を得ることができる。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存することができる。
【0173】
水の添加による水性懸濁液の調製のために適した分散性粉末及び顆粒は、一般的に活性成分を、分散又は湿潤剤、懸濁剤及び一つ又はそれより多い保存剤といっしょに含有する。適した分散又は湿潤剤及び懸濁剤は、先に既に記述したものによって例示されている。甘味剤、芳香剤及び着色剤のような更なる賦形剤も更に存在することができる。
【0174】
本発明の医薬組成物は、更に水中油乳剤の形態であることもできる。油相は、オリーブ油又は落花生油のような植物油、又は例えば液体パラフィンのような鉱油或いはこれらのいずれもの混合物であることができる。適した乳化剤は、例えばアラビアゴム又はトラガカントゴムのような天然に存在するゴム、ダイズのような天然に存在するリン脂質、レシチン、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導されたエステル又は部分エステル(例えばソルビタンモノオレエート)及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートのような前記の部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物であることができる。乳液は、更に甘味剤、芳香剤及び保存剤を含有することもできる。
【0175】
シロップ及びエリキシルは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルターム又はスクロースのような甘味剤と処方することができ、そして更に粘滑剤、保存剤、芳香剤及び/又は着色剤を含有することもできる。
【0176】
医薬組成物は、更に滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形態であることもでき、これらは、既知の手順によって、先に記述した一つ又はそれより多い適当な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して処方することができる。滅菌注射用製剤は、更に非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤又は溶媒中の、滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であることもできる。
【0177】
吸入による投与のための組成物は、活性成分を、微細に分割された固体を含有するエアゾール、又は液滴のいずれかとして投与するために計画された、慣用的な加圧されたエアゾールの形態であることができる。揮発性フッ化炭化水素又は炭化水素のような慣用的なエアゾール噴射剤を使用することができ、そしてエアゾール装置は、計量された量の活性成分を投与するために都合よく計画される。
【0178】
処方の更なる情報に対しては、読者は、Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of)Editorial Board)Pergamon Press 1990の5巻中の25.2章を参照されたい。
【0179】
一つ又はそれより多い賦形剤と組合わせて、単一剤形を製造する活性成分の量は、治療される宿主及び投与の特定の経路によって必然的に変化するものである。例えば、ヒトへの経口投与を意図した処方は、一般的に、例えば0.5mgないし2gの活性剤を、全組成物の約5ないし約98重量パーセントで変化することができる適当な、そして都合のよい量の賦形剤と配合されて含有するものである。投与単位の形態は、一般的に約1mgないし約500mgの活性成分を含有するものである。投与の経路及び投与管理の更なる情報に対しては、読者は、Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of)Editorial Board)Pergamon Press 1990の5巻中の25.3章を参照されたい。
【0180】
式(1)の化合物は、通常、動物の身体面積の平方メートル当り5−5000mg、即ち概略0.1−100mg/kgの範囲内の単位投与量で温血動物に投与されるものであり、そしてこれは、治療的に有効な投与量を与える。錠剤又はカプセルのような単位剤形は、通常、例えば1−250mgの活性成分を含有するものである。好ましくは1−50mg/kgの範囲の日量が使用される。然しながら、日量は、治療される宿主、特定の投与の経路、及び治療される病気の重度によって必然的に変化するものである。従って、最適な投与量は、いずれもの特定の患者を治療する医師によって決定されることができる。
【0181】
本明細書中で記載されたグリコーゲンホスホリラーゼ活性の阻害は、単独の療法として適用することができ、或いは本発明の主題に加えて、一つ又はそれより多い他の物質及び/又は治療と関連することができる。このような連合治療は、治療の個々の成分の同時、連続又は別個投与によって達成することができる。同時投与は、単一の錠剤又は別個の錠剤であることができる。例えば、2型糖尿病を、予防、遅延又は治療するために、本発明の化合物又はその医薬的に受容可能な塩は、一つ又はそれより多い以下の薬剤(類):
1)インスリン及びインスリン類似体;
2)スルホニル尿素(例えばグリベンクラミド、グリピジド)、食事性グルコース制御剤(例えばレパグリニド、ナテグリニド)、及びグルコキナーゼ活性化剤を含むインスリン分泌促進物質
3)インクレチン作用を改良する薬剤(例えばジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1アゴニスト)
4)PPARガンマアゴニスト(例えばピオグリタゾン及びロシグリタゾン);及び組合せたPPARアルファ及びガンマ活性を持つ薬剤を含むインスリン感受性改善剤
5)肝臓のグルコースの均衡を調節する薬剤(例えばメトホルミン、フルクトース1,6ビスホスファターゼ阻害剤、グリコーゲンシンターゼキナーゼ阻害剤、グルコキナーゼ活性化剤)
6)腸からのグルコースの吸収を減少するために設計された薬剤(例えばアカルボーズ);
7)腎臓によるグルコースの再吸収を防止する薬剤(SGLT阻害剤)
8)長期の高グリセリン血症の合併症の治療にために設計された薬剤(例えばアルドースレダクターゼ阻害剤)
9)抗肥満症剤(例えばシブトラミン及びオーリスタット);
10)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(スタチン、例えばプラバスタチン);PPARαアゴニスト(フィブラート、例えばゲムフィブロジル);胆汁酸捕捉剤(コレスチラミン);コレステロール吸収阻害剤(植物性スタノール、合成阻害剤);胆汁酸吸収阻害剤(IBATi)並びにニコチン酸及び類似体(ナイアシン及び徐放製剤)のような抗異脂肪血症剤;
11)β遮断剤(例えばアテノロール、インデラル);ACE阻害剤(例えばリシノプリル);カルシウムアンタゴニスト(例えばニフェジピン);アンジオテンシン受容体アンタゴニスト(例えばカンデサルタン)、αアンタゴニスト及び利尿剤(例えばフロセミド、ベンズチアジド)のような抗高血圧剤;
12)抗血栓剤、線維素溶解の活性化剤及び抗血小板剤;トロンビンアンタゴニスト;第Xa因子阻害剤;第VII因子阻害剤);抗血小板剤(例えばアスピリン、クロピドグレル);抗凝結剤(ヘパリン及び低分子量類似体、ヒルジン)及びワルファリンのような止血調節剤;
13)グルカゴンの作用と拮抗する薬剤;及び
14)非ステロイド系抗炎症性薬物(例えばアスピリン)及びステロイド系抗炎症剤(例えばコルチゾン)のような抗炎症剤;
との組合せで投与することができる。
【0182】
本発明の更なる側面によれば、療法によるヒトのような温血動物の治療の方法において使用するための、本明細書中で先に定義したとおりの式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのin vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0183】
本発明の更なる側面によれば、医薬として使用するための、本明細書中で先に定義したとおりの式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのin vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0184】
本発明の更なる側面によれば、ヒトのような温血動物の、2型糖尿病、インスリン抵抗性、シンドロームX、高インスリン血症、高グルカゴン血症、心臓虚血又は肥満症の治療における医薬として使用するための、本明細書中で先に定義したとおりの式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのin vivoで加水分解可能なエステルが提供される。
【0185】
本発明のこのもう一つの側面によれば、ヒトのような温血動物の、2型糖尿病、インスリン抵抗性、シンドロームX、高インスリン血症、高グルカゴン血症、心臓虚血又は肥満症の治療における使用のための医薬の製造における、本明細書中で先に定義したとおりの式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのin vivoで加水分解可能なエステルの使用が提供される。
【0186】
本発明のこのもう一つの側面によれば、ヒトのような温血動物の、2型糖尿病の治療における使用のための医薬の製造における、本明細書中で先に定義したとおりの式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのin vivoで加水分解可能なエステルの使用が提供される。
【0187】
本発明のこの側面の更なる特徴によれば、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、前記の動物に有効な量の式(1)の化合物を投与することを含んでなる、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害効果を生じる方法が提供される。
【0188】
本発明のこの側面のこの更なる特徴によれば、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、前記の動物に有効な量の式(1)の化合物を投与することを含んでなる、2型糖尿病、インスリン抵抗性、シンドロームX、高インスリン血症、高グルカゴン血症、心臓虚血又は肥満症の治療の方法が提供される。
【0189】
本発明のこの側面のこの更なる特徴によれば、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、前記の動物に有効な量の式(1)の化合物を投与することを含んでなる、2型糖尿病の治療の方法が提供される。
【0190】
先に記述したように、特定の細胞増殖性疾病の療法的又は予防的治療のために必要な投与量の大きさは、治療される宿主、投与の経路及び治療される病気の重度によって、必然的に変化するものである。例えば、1−100mg/kg、好ましくは1−50mgの範囲の単位投与量が予想される。
【0191】
治療的医薬におけるその使用に加えて、式(1)の化合物及びその医薬的に受容可能な塩は、更に新しい治療剤の探求の一部としてのネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラット及びマウスのような研究室動物における細胞周期活性の阻害剤の効果の評価のための、in vitro及びin vivoの試験系の開発並びに標準化における薬理学的な道具としても有用である。
【0192】
上記において、本明細書中に記載された本発明の化合物の、他の医薬組成物、過程、方法、使用及び医薬製造の特徴、別の及び好ましい態様も更に適用する。
【実施例】
【0193】
本発明は、ここに以下の実施例によって例示されるものであり、その中で、他に記述されない限り:
(i)温度は摂氏度(℃)で与えられる;操作は室温又は周囲温度、即ち18−25℃の範囲の温度で、そしてアルゴンのような不活性ガスの雰囲気下で行われた;
(ii)有機溶液は、無水の硫酸マグネシウムで乾燥された;溶媒の蒸発は、回転蒸発機を使用して、減圧下(600−4000パスカル;4.5−30mmHg)で、60℃までの浴温で行われた;
(iii)クロマトグラフィーは、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを意味する;薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲルプレート上で行われた;
(iv)一般的に、反応の進行はTLCによって追跡され、そして反応時間は例示のみのために与えられている;
(v)収率は例示のみのために与えられ、そして必然的に入念な過程の開発によって得ることができるものではない;更なる物質が必要な場合、調製を繰返した;
(vi)与えられた場合、NMRデータは、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対するパーツパーミリオン(ppm)で与えられる主要診断プロトンに対するデルタ値の形態であり、300MHzで、他に示さない限り、溶媒としてペルジューテリオジメチルスルホキシド(DMSO−δ)を使用して決定され、他の溶媒(本文中で示され場合)ジューテリウム化クロロホルムCDClを含む;
(vii)化学記号はその通常の意味を有する;SI単位及び記号が使用される;
(viii)減圧はパスカル(Pa)の絶対圧力で与えられる;上昇した圧力はバールのゲージ圧力で与えられる;
(ix)溶媒比は容量:容量(v/v)項で与えられる;
(x)質量スペクトル(MS)は、70電子ボルトの電子エネルギーで化学イオン化(CI)モードで、直接暴露プローブを使用して行った;示された場合、イオン化は電子衝撃(EI)、高速原子衝撃(FAB)又はエレクロトスプレー(ESP)によって行った;m/zに対する値が与えられる;一般的に、母体質量を示すイオンのみが報告され、そして他に記述しない限り、引用される値は(M−H)である;
(xi)以下の略語:
SM 出発物質;
EtOAc 酢酸エチル;
MeOH メタノール;
EtOH エタノール;
DCM ジクロロメタン;
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;
DIPEA ジ−イソプロピルエチルアミン;
EDCI 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
塩酸塩;
EDAC 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
塩酸塩;
EtO/エーテル ジエチルエーテル;
THF テトラヒドロフラン;
DMF N,N−ジメチルホルムアミド;
HATU ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)
−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム
EDAC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド
塩酸塩
TFA トリフルオロ酢酸
DMTMM 塩化4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)
−4−メチルモルホリニウム
DMA N,N−ジメチルアセトアミド
を使用することができる。
【0194】
実施例1:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[(メトキシアセチル)(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0195】
【化20】

【0196】
DIPEA(171μL、1.0mmol)、HOBT(54mg、0.4mmol)、メトキシ酢酸(31μL、0.4mmol)及びEDAC(96mg、0.5mmol)を、2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体1、150mg、0.4mmol)の無水のDCM(5mL)中の懸濁液に加えた。反応物を周囲温度で概略6時間撹拌した。揮発性物質を減圧下の蒸発によって除去し、残留物をEtOAc(20mL)中に溶解し、飽和NaHCO水溶液(20mL)、水(20mL)次いで食塩水(10mL)で洗浄し、そして乾燥(MgSO)した。揮発性物質を減圧下の蒸発によって除去し、そして残留物を摩砕(EtOAc:ヘキサン、1:10)し、濾過によって収集し、ヘキサン(2×5mL)で洗浄し、そして乾燥して、表題化合物(126mg、75%)を、褐色の固体として得た。
H NMR(300MHz,d−DMSO)d:2.61(s,1.5H),2.74(s,1.5H),2.98(m,1H),3.18(dd,1H),3.19(s,1.5H),3.22(s,1.5H),3.99(d,0.5H),4.13(q,1H),4.31(d,0.5H),4.79(m,1H),5.41(d,0.5H),6.09(d,0.5H),7.12(m,6H),8.52(ap t,1H),11.81(br s,0.5H),11.89(brs,0.5H); MS m/z 418,420。
【0197】
以下の実施例を、実施例1と同様な様式で、2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体1)をアミンとして、そして適当な商業的に入手可能なカルボン酸をカップリングの相手として使用して調製した:
実施例番号2を持つ実施例は無い。
【0198】
実施例3:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
実施例4:3−[((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)(メチル)アミノ]−3−オキソプロパン酸エチル
実施例5:酢酸2−[((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)(メチル)アミノ]−2−オキソエチル
実施例6:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[グリコロイル(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
実施例7:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[グリセロイル(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
実施例8:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
実施例9:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
注記:実施例4は、カルボン酸基を含有する化合物のプロドラッグの例であり、そして実施例5は、ヒドロキシ基を含有する化合物のプロドラッグの例である。
【0199】
【化21】

【0200】
【化22】

【0201】
実施例番号10を持つ実施例は無い。
【0202】
実施例11:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[(3−ヒドロキシプロパノイル)(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0203】
【化23】

【0204】
LiBH(14mg、0.67mmol)を、3−[((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)(メチル)アミノ]−3−オキソプロパン酸エチル(実施例4;103mg、0.22mmol)の0℃の溶液に加えた。反応物を温め、そして周囲温度で3時間撹拌した。飽和NHCl水溶液(10mL)を加え、そして水相をEtOAc(3×20mL)で抽出した。混合した有機相をHCl(2N、20mL)、飽和NaHCO水溶液(20mL)、水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄し、次いで乾燥(MgSO)し、そして溶媒を減圧下で除去した。粗製の生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、溶出剤EtOAc)によって精製して、表題化合物(62mg、67%)を固体として得た。
H NMR(300MHz,d−DMSO)d:2.43(m,1H,),2.60(s,1.5H),2.70(m,1H),2.80(s,1.5H),2.97(dd,1H),3.19(dd,1H),3.62(m,2H),4.46(t,0.5H),4.52(t,0.5H),4.78(m,1H),5.55(d,0.5H),6.14(d,0.5H),7.12(m,6H),8.49(d,0.5H),8.54(d,0.5H),11.82(brs,0.5H),11.89(brs,0.5H);MS m/z 418,420。
【0205】
実施例12:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[グリコロイル(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0206】
【化24】

【0207】
LiBH(3.0mL、THF中の2M、6.0mmol)を、N−[(アセチルオキシ)アセチル]−N−((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)グリシン酸エチル(中間体11;620mg、1.2mmol)の乾燥THF(25ml)中の5℃の溶液に加え、そして30分間撹拌した。反応物を周囲温度まで温まらせ、20時間撹拌し、HCl(1N、10ml)を加え、そして水相をEtOAc(50ml)で抽出した。混合した有機相を水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄し、次いで乾燥(MgSO)し、そして溶媒を減圧下で除去した。粗製の生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、溶出剤EtOAc:ヘキサン)によって精製して、表題化合物(230mg、44%)を泡状物として得た。
H NMR(300MHz,d−DMSO)d:2.9(m,2H),3.37(m,3H),4.25(m,3H),4.75(m,3H),5.35(d,0.6H),5.59(m,0.4H),7.0(s,1H),7.2(m,5H),8.54(m,1H),11.84(m,1H);MS m/z 432,434。
【0208】
実施例13:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2R)−2−ヒドロキシプロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0209】
【化25】

【0210】
2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体1;191mg、0.5mmol)、(R)−乳酸(45mg、0.5mmol)及びDIPEA(171μL、1.0mmol)の無水のDMA(5mL)中の溶液に、HOBT(68mg、0.5mmol)及びEDCI(120mg、0.625mmol)を加えた。反応物を周囲温度で概略24時間撹拌し、水(25mL)を加え、そして得られた沈殿物を濾過した。固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:1)によって精製して、表題化合物(110mg、52%)を得た。
H NMR(ロータマーの混合物)δ:1.1(d,1.5H),1.22(d,1.5H),2.64(s,1.5H),2.83(s,1.5H),3.0(m,1H),3.2(m,1H),4.5(m,1H),4.8(m,2H),5.8(d,0.5H),6.1(d,0.5H),7.2(m,6H),8.55(m,1H),11.85(m,1H);MS m/z 416,418(M−H)。
【0211】
以下の実施例を、実施例13の方法によって、2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体1)をアミン塩として、そして(S)−乳酸をカルボン酸として使用して製造した。
【0212】
実施例14:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2S)−2−ヒドロキシプロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0213】
【化26】

【0214】
H NMR(ロータマーの混合物)δ:1.1(d,1.5H),1.22(d,1.5H),2.64(s,1.5H),2.83(s,1.5H),3.0(m,1H),3.2(m,1H),4.5(m,1H),4.8(m,2H),5.7(d,0.5H),6.15(d,0.5H),7.2(m,6H),8.55(m,1H),11.85(m,1H);MS m/z 416,418(M−H)
【0215】
実施例15:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0216】
【化27】

【0217】
2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[{[(4R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド(中間体20;285mg、0.56mmol)を、酢酸(4mL、20%水溶液)中に溶解し、そして70℃で3時間温めた。反応物を冷却し、水(20mL)を加え、そして混合物を濾過し、固体を水で洗浄し、そして真空中で乾燥して、表題化合物(200mg、76%)を粉末として得た。
H NMR(ロータマーの混合物)δ:2.65(s,1.5H),2.9(s,1.5H),3.0(m,1H),3.25(m,1H),3.5(m,2H),4.65(m,4H),5.65(d,0.5H),6.1(d,0.5H),7.05(m,2H),7.25(m,3H),8.63(m,1H),12.4(m,1H);MS m/z 466,468(M−H)。
【0218】
以下の実施例を、実施例15の方法によって、2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[{[(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド(中間体21)をアセトニドとして使用して製造した。
【0219】
実施例16:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0220】
【化28】

【0221】
H NMR(ロータマーの混合物)δ:2.62(s,1.5H),2.87(s,1.5H),2.98(m,1H),3.2(m,1H),3.5(m,2H),4.4(m,1.5H),4.8(m,2H),5.3(m,0.5H),5.75(d,0.5H),6.2(d,0.5H),7.2(m,5H),8.65(d,1H),12.4(m,1H);MS m/z 466,468(M−H)。
【0222】
実施例17:(2S)−N−((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−2−ヒドロキシ−N−メチルスクシンアミド
【0223】
【化29】

【0224】
(2S)−4−アミノ−2−ヒドロキシ−4−オキソブタン酸(CAS登録番号:57229−74−0、109mg、0.82mmol)、2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体1;284mg、0.74mmol)、HOBT(111mg、0.82mmol)及びトリエチルアミン(0.46mL、3.3mmol)を、DMF(5mL)中に懸濁し、そして周囲温度で撹拌した。EDCI(157mg、0.82mmol)を加え、そして攪拌を周囲温度で更に18時間継続した。反応混合物を逆相HPLC(5−95%アセトニトリル/水の勾配、0.2%のTFAを含有)によって精製して、表題化合物(34mg、10%)を、白色の固体として得た。
H NMR δ:2.43(m,2H),2.75(d,3H),2.97(m,1H),3.22(m,1H),4.77(m,2H),5.90(dd,1H),6.81(d,1H),7.16(m,7H),8.58(dd,1H),11.85(s,1H);MS m/z 461.1。
【0225】
以下の実施例を、実施例17の方法によって、2,3−ジクロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−4,6a−ジヒドロ−3aH−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体16)をアミン源として、そして適当な商業的に入手可能なカルボン酸を使用して製造した。
【0226】
実施例18:(2S)−N−((1R,2R)−2−{[(2,3−ジクロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−2−ヒドロキシ−N−メチルスクシンアミド
実施例19:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2S)−2−ヒドロキシブタノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
実施例20:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2S)−2−ヒドロキシ−3−メチルブタノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
実施例21:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2S)−4−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−2−ヒドロキシブタノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
実施例22:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2R)−2−ヒドロキシ−3−(メチルチオ)プロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
実施例23:{(2S)−3−[((1R,2R)−2−{[(2,3−ジクロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)(メチル)アミノ]−2−ヒドロキシ−3−オキソプロピル}カルバミン酸tert−ブチル
実施例24:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2S)−3−シアノ−2−ヒドロキシプロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0227】
【化30】

【0228】
実施例25:N−{(1R,2R)−1−[(N−アセチルセリル)(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0229】
【化31】

【0230】
DIPEA(307μL、1.8mmol)、HOBT(74mg、0.55mmol)、N−アセチルセリン(74mg、0.5mmol)及びEDAC(115mg、0.6mmol)を、2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体1;191mg、0.5mmol)の無水のDMF(4mL)中の懸濁液に加えた。反応物を周囲温度で概略16時間撹拌し、そして次いで水(20mL)で希釈した。得られた粗製の生成物を濾過によって回収し、そして逆相分離用HPLC(C18 ODSカラム、アセトニトリル/水の勾配、5−95%、0.2%のTFAを含有する溶出剤)によって精製して、表題化合物(35mg、8%)を得た。
H NMR δ:1.8(m,3H),3.0(m,7H),4.9(m,2H),5.7(dd,0.5H),6.15(dd,0.5H),7.1(m,6H),8.25(m,2H),11.8(m,1H);MS m/z 473,475。
【0231】
以下の化合物を、実施例25の方法によって、2,3−ジクロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体16)をアミンとして、そしてN−アセチルセリンをカルボン酸として使用して調製した。
【0232】
実施例26:N−{(1R,2R)−1−[(N−アセチルセリル)(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2,3−ジクロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0233】
【化32】

【0234】
H NMR δ:1.75(m,3H),3.0(m,7H),4.8(m,2H),5.7(dd,0.5H),6.11(dd,0.5H),7.2(m,5H),8.3(m,2H),12.35(m,1H);MS m/z 507,509。
【0235】
実施例27:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[メチル(L−セリル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩
【0236】
【化33】

【0237】
DIPEA(266μL、1.53mmol)、HOBT(101mg、0.75mmol)、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−セリン(103mg、0.5mmol)及びEDAC(119mg、0.62mmol)を、2,3−ジクロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体16;208mg、0.5mmol)の無水のDMF(4mL)中の懸濁液に加えた。反応物を周囲温度で概略16時間撹拌し、次いで水(20mL)で希釈し、そして沈殿した固体を濾過によって回収し、そして真空下で乾燥した。粗製の物質をシリカゲルのクロマトグラフィーによって、イソヘキサン/EtOAcの勾配(0−80%)で溶出して精製し、そして次いで4MのHCl/ジオキサン中に溶解し、そして1時間周囲温度で静置したままにした。揮発性物質を減圧下の蒸発によって除去し、そして得られたゴム状物をエーテルで摩砕して、表題化合物(119mg、51%)を、白色の固体として得た。
H NMR δ:2.7(s,1.5H),2.9(s,1.5H),3.1(m,1H),3.25(m,1H),3.8(m,2H),4.4(m,1H),5.0(m,1H),5.6(m,1H),5.75(d,0.5H),6.15(d,0.5H),7.1(m,5H),8.1(m,3H),8.8(d,0.5H),9.3(d,0.5H),12.52(d,1H);MS m/z 467。
【0238】
以下の実施例を、実施例27の方法によって、2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体1)をアミンとして、そしてN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−セリンをカルボン酸として使用して調製した。
【0239】
実施例28:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[メチル(L−セリル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩
【0240】
【化34】

【0241】
H NMR δ:2.7(s,1.5H),2.9(s,1.5H),3.1(m,1H),3.25(m,1H),3.8(m,2H),4.4(m,1H),5.0(m,1H),5.6(m,1H),5.8(d,0.5H),6.2(d,0.5H),7.25(m,6H),8.1(m,3H),8.7(d,0.5H),9.1(d,0.5H),11.9(d,1H);MS m/z 433。
【0242】
実施例29:(2S)−N−((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−2−ヒドロキシ−N−メチルペンタンジアミド
【0243】
【化35】

【0244】
2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチル{[(2S)−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル]カルボニル}アミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド(中間体22;100mg、0.22mmol)を、アンモニア(5mL、イソプロパノール中の2M、2.5mmol)中に懸濁し、そして混合物をマイクロ波照射によって150℃で30分間加熱した。反応混合物の蒸発後、粗製の生成物を逆相分離用HPLC(C18 ODSカラム、アセトニトリル/水の勾配、5−95%、0.2%のTFAを含有する溶出剤)によって精製して、表題化合物(52mg、49%)を得た。
H NMR δ:1.65(m,1H),2.0(m,1H),2.2(m,2.0H),2.65(s,1.5H),2.9(s,1.5H),3.0(m,1H),3.3(m,1H),4.35(m,1H),4.7(d,0.5H),4.9(m,1H),5.3(d,0.5H),5.7(d,0.5H),6.2(d,0.5H),6.8(d,1H),7.0(m,1.5H),7.1(m,0.5H),7.2(s,1H),7.35(m,4H),8.65(m,1H),11.9(s,1H);MS m/z 475。
【0245】
以下の実施例を、実施例29の方法によって、2,3−ジクロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチル{[(2S)−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル]カルボニル}アミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド(中間体23)をラクトンとして使用して調製した。
【0246】
実施例30:(2S)−N−((1R,2R)−2−{[(2,3−ジクロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−2−ヒドロキシ−N−メチルペンタンジアミド
【0247】
【化36】

【0248】
H NMR δ:1.6(m,1H),2.1(m,2H),2.45(m,1H),2.65(s,1.5H),2.85(s,1.5H),3.0(m,1H),3.3(m,1H),4.3(m,1H),4.65(d,0.5H),4.9(m,1H),5.25(d,0.5H),5.7(d,0.5H),6.1(d,0.5H),6.7(m,1H),6.9(m,0.5H),7.1(m,1.5H),7.25(m,4H),8.7(m,1H),12.4(s,1H);MS m/z 509。
【0249】
実施例31:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2S)−2−ヒドロキシ−3−メトキシプロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0250】
【化37】

【0251】
2−クロロ−N−((1R,2R)−1−{メチル[(2S)−オキシラン−2−イルカルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド(中間体24;100mg、0.24mmol)を、ナトリウムメトキシド(5mL、メタノール中の0.5M)中に懸濁し、そしてマイクロ波照射下で100℃で5分間加熱した。次いで酢酸(0.5mL)を加え、そして反応混合物を蒸発した。次いで残留物を逆相分離用HPLC(C18 ODSカラム、アセトニトリル/水の勾配、5−95%、0.2%のTFAを含有する溶出剤)によって精製して、表題化合物(33mg、32%)を得た。
H NMR δ:2.6(s,1.5H),2.8(s,1.5H),3.0(m,1H),3.05(s,1.5H),3.2(m,1H),3.3(s,1.5H),3.45(m,2H),4.5(t,1H),4.85(m,1H),5.7(d,0.5H),6.15(d,0.5H),7.0(m,1.5H),7.1(m,0.5H),7.2(s,1H),7.25(m,3H),8.6(t,1H),11.86(d,1H);MS m/z 448。
【0252】
以下の実施例を、実施例31の方法によって、2,3−ジクロロ−N−((1R,2R)−1−{メチル[(2S)−オキシラン−2−イルカルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド(中間体25)をオキシランとして使用して調製した。
【0253】
実施例32:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2S)−2−ヒドロキシ−3−メトキシプロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0254】
【化38】

【0255】
H NMR δ:2.6(s,1.5H),2.8(s,1.5H),3.0(m,1H),3.05(s,1.5H),3.2(m,1H),3.3(s,1.5H),3.45(m,2H),4.55(t,1H),4.9(m,1H),5.75(d,0.5H),6.2(d,0.5H),6.95(m,0.5H),7.1(m,1.5H),7.3(m,3H),8.7(t,1H),12.42(d,1H);MS m/z 482。
【0256】
実施例33:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2R)−2−ヒドロキシ−3−(メチルスルホニル)プロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0257】
【化39】

【0258】
2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2R)−2−ヒドロキシ−3−(メチルチオ)プロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド(実施例22;200mg、0.40mmol)を、DMF(5mL)中に0℃で溶解し、そしてm−CPBA(218mg、70%濃度、0.88mmol)を加えた。反応物を3時間周囲温度で撹拌してから、逆相HPLC(C18 ODSカラム、5−95%アセトニトリル/水の勾配、0.2%のTFAを含有)によって精製して、表題化合物(150mg、70%)を、白色の固体として得た。
H NMR δ:2.80(d,3H),2.89(d,3H),2.97(m,1H),3.22(m,1H),3.41(dd,2H),4.88(m,2H),5.90(dd,1H),7.18(m,5H),8.70(dd,1H),12.39(d,1H);MS m/z 530.1。
【0259】
実施例34:N−{(1R,2R)−1−[[(2S)−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパノイル](メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2,3−ジクロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩
【0260】
【化40】

【0261】
{(2S)−3−[((1R,2R)−2−{[(2,3−ジクロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)(メチル)アミノ]−2−ヒドロキシ−3−オキソプロピル}カルバミン酸tert−ブチル(中間体30;291mg、0.51mmol)を、DCM(15mL)中に溶解し、4MのHCl/ジオキサン(15mL)を加え、そして反応混合物を1時間撹拌した。溶媒を蒸発し、残留物をエーテル(30mL)中でスラリーにし、そして濾過して、表題化合物(190mg、74%)を、白色の固体として得た。
H NMR δ:2.77(d,3H),3.03(m,2H),3.25(m,1H),4.76(m,2H),5.79(d,1H),6.08(d,1H),7.18(m,5H),7.90(s,3H),8.90(dd,1H),12.48(d,1H);MS m/z 466.9。
【0262】
実施例35:(2S)−N−((1R,2R)−2−{[(2,3−ジクロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−2−ヒドロキシ−N,N−ジメチルスクシンアミド
【0263】
【化41】

【0264】
メチルアミン(11mL、THF中の2M、22mmol)、HOBT(1.49g、11mmol)、[(4S)−2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル]酢酸(1.74g、10mmol)及びEDAC(2.11g、11mmol)を、DCM(50mL)中に溶解した。反応物を周囲温度で概略16時間撹拌してから、蒸発し、そしてシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって、6−10%のMeOH/DCMで溶出して精製した。得られたゴム状物を4MのHCl/ジオキサン(30mL)中に溶解してから、水(1.5ml)を加え、そして1時間撹拌した。溶媒を蒸発して、粗製の酸を得た。この酸(448mg、3.0mmol)、2,3−ジクロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−4,6a−ジヒドロ−3aH−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体16;423mg、1.0mmol)、HOBT(205mg、1.5mmol)、及びトリエチルアミン(0.62ml、4.5mmol)を、DMF(15mL)中に懸濁し、そして室温で撹拌した。EDCI(292mg、1.5mmol)を加え、そして攪拌を更に18時間継続した。反応混合物を逆相HPLC(C18 ODSカラム、5−95%のアセトニトリル/水の勾配、0.2%のTFAを含有)によって精製して、表題化合物(30mg、6%)を、白色の固体として得た。
H NMR δ:2.71(m,9H),3.50(m,1H),4.91(m,2H),5.95(dd,1H),6.85(m,2H),7.24(m,5H),8.10(d,1H),10.36(d,1H);MS m/z 508.9。
【0265】
以下の実施例を、実施例35の方法によって、ジメチルアミンをアミンとして使用して製造した。
【0266】
実施例36:(2S)−N−((1R,2R)−2−{[(2,3−ジクロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−2−ヒドロキシ−N,N,N−トリメチルスクシンアミド
【0267】
【化42】

【0268】
H NMR δ:2.93(m,9H),3.49(s,3H),3.58(m,1H),4.99(m,2H),6.03(dd,1H),7.00(m,7H),8.39(d,1H),10.17(s,1H);MS m/z 522.9。
【0269】
実施例37:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[グリセロイル(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0270】
【化43】

【0271】
2−クロロ−N−((1R,2R)−1−{[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)カルボニル][2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド(中間体26;250mg、0.472mmol)を、酢酸(6mL、20%水溶液)中に溶解し、そして60℃で4時間温めた。反応物を冷却し、そして揮発性物質を減圧下で蒸発した。残留物をEtOAc(15mL)中に溶解し、飽和NaHCO(5mL)、水(5mL)及び食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして揮発性物質を減圧下で除去した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc)によって精製して、表題化合物(110mg、56%)を、泡状物として得た。
H NMR(ロータマー及びジアステレオ異性体の混合物)δ:2.8(m,2H),3.4(m,6H),4.8(m,5H),5.68(d,0.5H),5.8(d,0.5H),7.2(m,6H),8.55(m,1H),11.9(s,1H);MS m/z462,464(M−H)。
【0272】
以下の実施例を、実施例37の方法によって、2−クロロ−N−((1R,2R)−1−{[((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)カルボニル][2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド(中間体27)又は2−クロロ−N−((1R,2R)−1−{[((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)カルボニル][2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド(中間体28)を保護されたトリオールとして使用して製造した。
【0273】
実施例38:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロパノイル](2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
実施例39:2−クロロ−N−{(1R,2R)−1−[[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロパノイル](2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0274】
【化44】

【0275】
中間体:
中間体1:2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩
【0276】
【化45】

【0277】
((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)メチルカルバミン酸tert−ブチル(中間体2;5.8g、13.0mmol)を、HCL溶液(ジオキサン中の4N、40ml)中に溶解し、そして周囲温度で24時間撹拌した。揮発性物質を減圧下の蒸発によって除去し、そして残留物を真空中で乾燥して、表題化合物(3.0g、60%)を粉末として得た。
H NMR δ:2.7(s,3H),3.05(dd,1H),3.5(dd,1H),4.82(m,2H),7.09(s,1H),7.15(s,1H),7.35(m,3H),7.78(d,1H),8.9(d,1H),9.55(幅広d,2H),11.95(s,1H);MS m/z 346,348。
【0278】
中間体2:((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)メチルカルバミン酸tert−ブチル
【0279】
【化46】

【0280】
2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボン酸(中間体3;3.5g、17.16mmol)、[(1R,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]メチルカルバミン酸tert−ブチル(中間体5;4.5g、17.16mmol)、DIPEA(2.9ml、17.16mmol)及びHOBT(2.32g、17.16mmol)を、DCM(60ml)中に溶解し、5分間撹拌し、EDCI(4.11g、21.45mmol)を加え、そして混合物を周囲温度で24時間撹拌した。揮発性物質を減圧下の蒸発によって除去し、そしてEtOAc(200mL)を加えた。有機相を水(100mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、そして乾燥(MgSO)し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc:ヘキサン)によって精製して、表題化合物(5.8g、76%)を、油状物として得た。
H NMR δ:1.3(s,9H),2.63(s,3H),3.1(m,2H),4.75(m,1H),5.63(m,1H),7.0(m,2H),7.16(s,1H),7.25(m,3H),8.48(m,1H),11.83(s,1H)。
【0281】
中間体3:2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボン酸
【0282】
【化47】

【0283】
水酸化ナトリウム(2N、15mL)を、2−クロロ−5−メトキシカルボニル−6H−チエノ[2,3−b]ピロール(中間体4、777mg、3.6mmol)のメタノール(50mL)溶液に加え、そして混合物を還流で5時間加熱した。反応物を周囲温度まで冷却し、水(250mL)を加え、そして水相をEtO(2×50mL)で洗浄し、HCl(2N)でpH2に酸性化し、そしてEtOAc(3×50mL)で抽出した。混合した有機相を水(2×50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして溶媒を減圧下で除去して、表題化合物(705mg、97%)を、淡いピンク色の固体として得た。
H NMR(CDCl)δ:12.6−12.7(1H,b),12.0−12.1(1H,b),7.15(1H,s),6.9(1H,s);m/z 183,185。
【0284】
中間体4:2−クロロ−5−メトキシカルボニル−6H−チエノ[2,3−b]ピロール
【0285】
【化48】

【0286】
ナトリウム(659mg、28.7mL)を、乾燥メタノール(20mL)に加え、そして混合物を周囲温度で30分間撹拌してから、−20℃に冷却した。2−クロロチオフェン−3−カルボキシアルデヒド(Gronowitz et al,.Tetrahedron Vol.32 1976 p.1403;1.17g、7.2mmol)及びアジド酢酸メチル(3.3g、28.7mmol)をメタノール(10mL)溶液として加え、そして反応物を−20℃ないし10℃で16時間かけて撹拌した。反応物を飽和NHCl(300mL)に注ぎ、そしてDCM(3×100mL)で抽出した。混合した有機相を水(2×100mL)、食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして溶媒を減圧下で除去した。粗製の生成物をキシレン(50mL)中に再溶解し、そして還流しているキシレン(150mL)中に滴下により加え、そして添加の完了後、更に30分間還流で撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、黄色の固体を得て、これを再結晶化(25:75、EtOAc:イソヘキサン)して、表題化合物(1.06g、69%)を、固体として得た。
H NMR(CDCl)δ:9.4−9.2(1H,br),7.0(1H,s), 6.9(1H,s),3.9(3H,s);m/z 214,216。
【0287】
中間体5:[(1R,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]メチルカルバミン酸tert−ブチル
【0288】
【化49】

【0289】
乾燥DMA(30mL)中の、メタンスルホン酸(1R,2S)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル(中間体6;3.0g、8.8mmol)及びアジ化ナトリウム(2.3g、35.2mmol)を、90℃で7時間加熱した。反応物を冷却し、そして酢酸エチル(100mL)を加えた。混合物を水(6×25mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、そして乾燥(MgSO)した。炭素上の10%パラジウム(400mg)を有機溶液に加え、これを水素雰囲気下で4時間撹拌し、セライトを通して濾過し、そして蒸発した。残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc、そして次いでDCM:MeOH、9:1)によって精製して、表題化合物(1.2g、55%)を、淡褐色の油状物として得た。
H NMR δ:1.45(m,9H),2.6(s,3H),2.8(m,1H),3.3(m,1H),4.45(m,1H),5.55(dd,1H),7.26(m,4H);MS m/z 264。
【0290】
中間体6:メタンスルホン酸(1R,2S)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル
【0291】
【化50】

【0292】
[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]メチルカルバミン酸tert−ブチル(中間体7;3.0g、11.4mmol)を、乾燥THF(40mL)中に10℃で溶解した。塩化メタンスルホニル(1.44g、12.55mmol)の乾燥THF(10mL)中の溶液を加え、反応物を周囲温度まで温まらせ、そして30分撹拌した。揮発性物質を減圧下の蒸発によって除去し、そして酢酸エチル(100mL)を加えた。混合物を水(2×50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、そして有機相を乾燥(MgSO)し、濾過し、そして蒸発した。残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン)によって精製して、表題化合物(3.1g、80%)を、無色のシロップ状物として得た。
H NMR δ:1.46(s,9H),2.61(s,3H),3.12(m,1H),3.18(s,3H),3.32(m,1H),5.45(m,1H),5.68(m,1H),7.28(m,4H);MS m/z 342。
【0293】
中間体7:[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]メチルカルバミン酸tert−ブチル
【0294】
【化51】

【0295】
メチル[(1R,2S)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]カルバミン酸tert−ブチル(中間体8;4.0g、11.5mmol)を、メタノール(50mL)中に溶解し、4−トルエンスルホン酸を加え、そして反応物を周囲温度で2時間撹拌した。飽和NaHCO(50mL)、水(100mL)を加え、そして酢酸エチル(100mL)を加え、そして混合物を30分間撹拌した。有機相を分離し、水(50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、そして乾燥(MgSO)した。揮発性物質を減圧下の蒸発によって除去して、表題化合物(3.0g、99%)を、油状物として得た。
H NMR δ:1.45(s,9H),2.6(s,3H),2.75(m,1H),3.05(m,1H),4.5(m,1H),5.05(m,1H),5.34(m,1H),7.03−7.3(m,4H)。
【0296】
中間体8:メチル[(1R,2S)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]カルバミン酸tert−ブチル
【0297】
【化52】

【0298】
[(1R,2S)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]カルバミン酸tert−ブチル(中間体9;4.0g、12.0mmol)を、乾燥DMA(25mL)中に5℃で溶解した。60%水素化ナトリウム(575mg、14.4mmol)を加え、反応物を5℃で30分間撹拌し、周囲温度まで温まらせ、そして更に30分間撹拌した。ヨウ化メチル(896μL、14.4mmol)を加え、そして反応物を周囲温度で3時間撹拌した。反応物を水(100mL)中に注ぎ、そして酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機抽出物を水(6×25mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、そして乾燥(MgSO)した。揮発性物質を減圧下の蒸発によって除去して、表題化合物(4.1g、97%)を、油状物として得た。
H NMR δ:1.4−1.9(m,6H),1.5(s,9H),2.7(dd,3H),2.85−3.3(m,2H),3.5(m,1H),3.7−4.0(m,1H),4.6−4.9(m,2H),5.5−5.85(m,1H),7.2(s,4H)。
【0299】
中間体9:[(1R,2S)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]カルバミン酸tert−ブチル
【0300】
【化53】

【0301】
[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]カルバミン酸tert−ブチル(中間体10;7.0g、28.1mmol)及び3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(4.7g、56.2mmol)を、DCM(50mL)中に溶解した。4−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩(100mg)を加え、そして反応物を4時間周囲温度で撹拌した。反応物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(2×50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、そして乾燥(MgSO)した。揮発性物質を減圧下の蒸発によって除去して、表題化合物(8.9g、95%)を油状物として得た。
H NMR δ:1.25−1.85(m,6H),1.45(s,9H),2.85−3.1(m,2H),3.4(m,1H),3.8(m,1H),4.35−5.1(m,3H),6.8(dd,1H),7.2(s,1H)。
【0302】
中間体10:[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]カルバミン酸tert−ブチル
【0303】
【化54】

【0304】
(1R,2S)−1−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−オール(CAS登録番号136030−00−7;10g、67.1mmol)を、DCM(550mL)及びEtN(18.7mL、134.2mmol)中に溶解した。DCM(50mL)中の二炭酸ジ−tert−ブチル(18.3g、83.9mmol)を加え、そして混合物を周囲温度で20時間撹拌し、そして次いで蒸発した。EtOAc(200mL)を加え、溶液を水(200mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして揮発性成分を減圧下で除去した。粗製の生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、4:1のイソ−ヘキサン:EtOAcの溶出剤)によって精製して、表題化合物(16.1g、96%)を、白色の固体として得た。
H NMR δ:1.42(m,9H),2.78(dd,1H),3.00(dd,1H),4.36(m,1H),4.84(m,1H),4.95(m,1H),6.3(d,1H),7.13(m,4H)。
【0305】
中間体11:N−[(アセチルオキシ)アセチル]−N−((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)グリシン酸エチル
【0306】
【化55】

【0307】
N−((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)グリシン酸エチル(中間体12;820mg、2.0mmol)、アセトキシ酢酸(236mg、2.0mmol)及びHOBT(270mg、2.0mmol)を、DCM(20ml)中に溶解し、5分間撹拌し、EDCI(480mg、2.5mmol)を加え、そして混合物を周囲温度で4時間撹拌した。揮発性物質を減圧下の蒸発によって除去し、そしてEtOAc(25mL)を加えた。混合物を水(2×10mL)、食塩水(10mL)で洗浄し、そして乾燥(MgSO)し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc:ヘキサン)で精製して、表題化合物(750mg、75%)を、泡状物として得た。
H NMR δ:1.1(t,3H),2.02(s,1.5H),2.08(s,1.5H),2.9(m,1H),3.25(m,1H),3.68(m,1H),4.0(m,3H),4.68(m,1H),5.0(m,2H),5.45(d,0.7H),5.9(d,0.3H),7.2(m,6H),8.45(d,0.3H),8.55(d,0.7H),11.8(s,0.3H),11.84(s,0.7H)。
【0308】
中間体12:N−((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)グリシン酸エチル
【0309】
【化56】

【0310】
N−[(1R,2R)−1−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体13;1.8g、5.0mmol)、DIPEA(856μl、5.0mmol)、グリオキサル酸エチル(1.02ml、トルエン中の50%溶液、5.0mmol)及び酢酸(300μl、5.0mmol)を、無水のTHF(40ml)中に溶解し、そして周囲温度で1時間撹拌した。水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(1.6g、7.5mmol)を加え、反応物を周囲温度で4時間撹拌した。HCl(1N、10ml)及びEtOAc(75ml)を加え、そして相を分離した。有機相を飽和NaHCO(25ml)、水(25ml)、食塩水(25ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc:ヘキサン)によって精製して、表題化合物(1.7g、81%)を固体として得た。
H NMR δ:1.27(t,3H),1.80(brs,1H),2.82(dd,1H),3.7(m,3H),4.22(m,3H),4.5(m,1H),6.78(m,2H0,6.85(s,1H),7.25(m,3H),7.37(m,1H),10.68(s,1H)。
【0311】
中間体13:N−[(1R,2R)−1−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩
【0312】
【化57】

【0313】
((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチル(中間体14;3.5g、8.1mmol)を、DCM(10mL)中に懸濁した。HCl(20mL、ジオキサン中の4N、80mmol)を加え、そして反応物を周囲温度で48時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し;得られた固体をEtOAc(4×50mL)と共沸し、そして真空中で乾燥して、表題化合物(2.91g、97%)を、褐色の固体として得た。
H NMR δ:3.04(dd,1H),3.87(dd,1H),4.65(m,1H),4.83(brs,1H),7.15(m,2H),7.33(m,3H),7.69(d,1H),8.80(brs,3H),8.96(d,1H),12.00(s,1H)。m/z 330,332[M−H]
【0314】
中間体14:((1R,2R)−2−{[(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチル
【0315】
【化58】

【0316】
(1R,2R)−2−アミノ−1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニルアミノ]インダン(中間体15;3.7g、15mmol)、2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボン酸(中間体3;3.0g、15mmol)、HOBT(2.03g、15mmol)及びDIPEA(2.83mL、16.5mmol)を、DCM(60mL)中に懸濁し、そして周囲温度で5分間撹拌した。EDAC(3.57g、18.75mmol)を加え、そして混合物を周囲温度で20時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、DCM(2×20mL)で洗浄し、そして乾燥して、表題化合物(5.35g、67%)を、黄色の固体として得た。
H NMR δ:1.38(s,9H),2.81(dd,1H),3.17(dd,1H),4.56(m,1H),5.14(m,1H),7.01(s,1H),7.16(m,5H),7.32(d,1H),8.47(d,1H),11.82(s,1H)。
【0317】
中間体15:(1R,2R)−2−アミノ−1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニルアミノ]インダン
【0318】
【化59】

【0319】
Cis−1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニルアミノ]−2−ヒドロキシインダン(中間体10;14.0g、56.2mmol)を、DCM(200ml)及びトリエチルアミン(11.8ml、84.3mmol)中に溶解した。DCM(20ml)中に溶解した塩化メタンスルホニル(7.1g、61.9mmol)を加え、そして混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を蒸発し、そしてEtOAc(250ml)を加えた。水で洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥した後、有機溶液を蒸発して、cis−1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニルアミノ]−2−メタンスルホニルオキシインダン(9.7g、98%)を、白色の固体として得た。
H NMR δ:1.45(s,9H),3.15(m,2H),3.18(s,3H),5.20(m,1H),5.35(m,1H),7.15(m,4H),7.45(d,1H)。
【0320】
Cis−1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニルアミノ]−2−メタンスルホニルオキシインダン(18.1g、55.3mmol)を、乾燥ジメチルアセトアミド(100ml)中に溶解した。アジ化ナトリウム(5.4g、83.0mmol)を加え、そして混合物を90℃で6時間加熱した。反応物を冷却し、酢酸エチル(150ml)で希釈し、水(6×200ml)で洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥した。活性炭素上の10%パラジウムを加え、そして混合物を水素雰囲気下で24時間撹拌した。セライトを通した濾過、それに続く蒸発により、表題化合物(2.6g、98%)を、白色の固体として得た。
H NMR:1.45(s,9H),2.50(dd,1H),3.05(dd,1H),3.30(m,3H),4.55(m,1H),7.1(m,5H)。
【0321】
中間体16:2,3−ジクロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−4,6a−ジヒドロ−3aH−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩
【0322】
【化60】

【0323】
この中間体を、中間体1の方法によって:((1R,2R)−2−{[(2,3−ジクロロ−4,6a−ジヒドロ−3aH−チエノ[3,2−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)メチルカルバミン酸tert−ブチル(中間体17)をカルバミン酸として使用して調製した。
H NMR δ:2.69(m,3H),3.04(dd,1H),3.51(m,1H),4.85(m,2H),7.19(s,2H),7.35(m,3H),7.75(d,1H),9.10(d,1H)9.55(d,2H),12.58(s,1H);MS m/z 378.2。
【0324】
中間体17:((1R,2R)−2−{[(2,3−ジクロロ−4,6a−ジヒドロ−3aH−チエノ[3,2−b]ピロール−5−イル)カルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)メチルカルバミン酸tert−ブチル
【0325】
【化61】

【0326】
この中間体を、中間体2の方法によって、[(1R,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]メチルカルバミン酸tert−ブチル(中間体5)をアミンとして、そして5−カルボキシ−2,3−ジクロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール(中間体18)をカルボン酸として使用して製造した。
H NMR δ:1.28(d,9H),2.65(s,3H),3.09(m,2H),4.79(m,1H),5.62(dd,1H),7.05(m,2H),7.24(m,3H),8.59(m,1H),12.42(d,1H);MS m/z 478.2。
【0327】
中間体18:5−カルボキシ−2,3−ジクロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール
【0328】
【化62】

【0329】
2,3−ジクロロ−5−メトキシカルボニル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール(中間体19;1.22g、5.66mmol)を、MeOH(10mL)中に取込み、そして還流下で加熱した。水酸化リチウム水溶液(3.0mL、2.0M、6.0mmol)45分かけて分割して加えた。混合物を還流で1時間加熱してから、冷却し、そして濃縮した。水(15mL)を加え、そして溶液を2MのHCl水溶液(5.66mL)を使用して中和した。溶液をEtOAc(3×20mL)を使用して抽出し、そして混合した有機層を濃縮して、表題化合物(1.18g、100%)を、黄色の固体として得た。
H NMR(CDCl)δ:7.0(1H,s);MS m/z 234。
【0330】
中間体19:2,3−ジクロロ−5−メトキシカルボニル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール
【0331】
【化63】

【0332】
ナトリウムメトキシド溶液(5mL、28重量/容量%溶液、25.9mmol)を、MeOH(10mL)で希釈し、そして窒素下で−25℃に冷却した。3,4−ジクロロ−5−カルボニル−4H−チエノ[3,2、b]ピロール(DE 2814798;1,2g.6.63mmol)及びアジド酢酸メチル(3.0g、26.09mmol)のMeOH(15mL)中の溶液を、温度を−25℃に維持しながら滴下により加えた。添加の完了後、溶液を5℃まで概略16時間かけて温まらせた。溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液(250mL)に加え、そして混合物をDCMを使用して抽出した。混合した有機層を周囲温度で濃縮した。残留物をキシレン(30mL)中に取込み、そしてこの溶液を還流下のキシレン(120mL)に滴下により加えた。溶液を還流下で30分間加熱してから、冷却し、そして濃縮した。表題化合物を再結晶化(EtOAc/イソヘキサン)によって精製して、表題化合物(1.08g、65%)を固体として得た。
H NMR(CDCl)δ:9.2(1H,br),7.0(1H,s),3.9(3H,s);MS m/z 248。
【0333】
中間体20:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[{[(4R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0334】
【化64】

【0335】
無水のDMA(5ml)中の、2,3−ジクロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体16;320mg、0.768mmol)、(4R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸カリウム塩(212mg、1.15mmol)及びDIPEA(131μL、0.768mmol)に、HOBT(104mg、0.768mmol)及びEDCI(184mg、0.96mmol)を加えた。反応物を周囲温度で1.5時間撹拌し、水(25ml)を加え、そして混合物を濾過した。固体を水(2×20ml)で洗浄し、真空中で乾燥し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:1)によって精製して、表題化合物(285mg、73%)を粉末として得た。
【0336】
1H NMR(ロータマーの混合物)δ:1.2(m,6H),2.65(s,1.5H),2.85(m,1.5H),3.05(m,1H),3.2(m,1H),4.1(m,2H),4.9(m,2H),5.55(d,0.5H),6.1(d,0.5H),7.1(m,2H),7.25(m,3H),8.5(d,0.5H),8.6(d,0.5H),12.4(m,1H);MS m/z 506,508(M−H)。
【0337】
以下の中間体を、中間体20の方法によって、2,3−ジクロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体16)をアミンとして、そして(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸カリウム塩をカルボン酸塩源として使用して製造した。
【0338】
中間体21:2,3−ジクロロ−N−{(1R,2R)−1−[{[(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}(メチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0339】
【化65】

【0340】
H NMR(ロータマーの混合物):1.2(m,6H),2.65(s,1.5H),2.85(s,1.5H),3.0(m,1H),3.25(m,1H),4.1(m,1H),4.25(m,1H),4.9(m,2H),5.73(d,0.5H),6.1(d,0.5H),7.1 (m,2H),7.25(m,3H),8.62(d,0.5H),8.75(d,0.5H),12.42(m,1H);MS m/z 506,508 (M−H)。
【0341】
中間体22:2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチル{[(2S)−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル]カルボニル}アミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0342】
【化66】

【0343】
DIPEA(173μL、1.0mmol)、(2S)−5−オキソテトラヒドロフラン−2−カルボン酸(260mg、2mmol)及びEDAC(328mg、2.0mmol)を、2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体1;381.5mg、1.0mmol)の無水のDMF(5mL)中の懸濁液の加えた。反応物を周囲温度で3時間撹拌し、そして次いでEtOAc(50mL)で希釈した。溶液を水(4×20mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発して、ゴム状物を得て、これをエーテルで摩砕して、表題化合物(330mg、72%)を、白色の固体として得た。
H NMR δ:2.2(m,2H),2.5(,2H),2.7(s,1.5H),2.8(s,1.5H),3.0(m,1H),3.3(m,1H),4.85(m,1H),5.5(m,1.5H),6.0(d,0.5H),7.0(m,1.5H),7.1(m,0.5H),7.2(d,1H),7.3(m,3H),8.6(m,1.0H),11.9(d,1H);MS m/z 456,458。
【0344】
以下の化合物を、中間体22の方法によって、2,3−ジクロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体16)をアミンとして、そして(2S)−5−オキソテトラヒドロフラン−2−カルボン酸を酸として使用して調製した。
【0345】
中間体23:2,3−ジクロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチル{[(2S)−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル]カルボニル}アミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0346】
【化67】

【0347】
H NMR δ:2.2(m,2H),2.5(m,2H),2.7(s,1.5H),3.0(s,1.0H),3.3(m,1H),4.9(m,1H),5.5(m,1.5H),6.05(d,0.5H),7.0(m,0.5H),7.1(m,1.5H),7.3(m,3H),8.7(m,1H),12.44(d,1.0H);MS m/z 490,492。
【0348】
中間体24:2−クロロ−N−((1R,2R)−1−{メチル[(2S)−オキシラン−2−イルカルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0349】
【化68】

【0350】
EDAC(573mg、3mmol)を、2−クロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体1;381.5mg、1.0mmol)及び(2S)−オキシラン−2−カルボン酸カリウム(378mg、3mmol)のDMF(5mL)中の攪拌された懸濁液に加えた。2時間周囲温度で撹拌した後、水(20mL)を加え、そして得られた固体の沈殿物を濾過によって収集し、水で洗浄し、そして真空下で乾燥した。MS m/z 416。
【0351】
以下の中間体を、中間体24の方法によって、2,3−ジクロロ−N−[(1R,2R)−1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(中間体16)をアミンとして、そして(2S)−オキシラン−2−カルボン酸カリウムをカルボン酸として使用して調製した。
【0352】
中間体25:2,3−ジクロロ−N−((1R,2R)−1−{メチル[(2S)−オキシラン−2−イルカルボニル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0353】
【化69】

【0354】
MS m/z 482。
【0355】
中間体26:2−クロロ−N−((1R,2R)−1−{[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)カルボニル][2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0356】
【化70】

【0357】
2−クロロ−N−((1R,2R)−1−{[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド(230mg、0.5mmol)2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸カリウム塩(92mg、0.5mmol)の無水のDMA(5ml)中の溶液に、HOBT(68mg、0.5mmol)及びEDCI(120mg、0.625mmol)を加えた。反応物を周囲温度で概略24時間撹拌し、水(30ml)を加え、そして混合物を濾過し、そして真空中で乾燥して、表題化合物(270mg、91%)を粉末として得た。
MS m/z 586,588(M−H)。
【0358】
以下の中間体を、中間体26の方法によって、2−クロロ−N−((1R,2R)−1−{[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド(中間体29)をアミンとして、そして(R)又は(S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸カリウム塩をカルボン酸塩源として使用して製造した。
【0359】
中間体27:2−クロロ−N−((1R,2R)−1−{[((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)カルボニル][2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
中間体28:2−クロロ−N−((1R,2R)−1−{[((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)カルボニル][2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0360】
【化71】

【0361】
中間体29:2−クロロ−N−((1R,2R)−1−{[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチル]アミノ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド
【0362】
【化72】

【0363】
無水のDMA(10ml)中の、N−[(1R,2R)−1−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロール−5−カルボキシアミド塩酸塩(6.6g、20mmol)、2−(2−ヨードエトキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(5.12g、20mmol)及びDIPEA(6.85ml、40mmol)を、60℃で概略24時間加熱した。反応物を冷却し、EtOAc(150ml)を加え、そして水(6×50ml)、食塩水(50ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして揮発性物質を減圧下で除去した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc)によって精製して、表題化合物(3.65g、40%)を泡状物として得た。
H NMR δ:1.5(m,6H),2.15(m,1H),2.8(m,3H),3.3(m,3H),3.65(m,2H),4.25(d,1H),4.5(m,2H),7.0(s,1H),7.15(s,1H),7.2(m,3H),7.3(m,1H),8.4(d,1H),11.82(m,1H);MS m/z 458,460(M−H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(1):
【化1】

[式中:
いっしょになったR及びRは、−S−C(R)=C(R)−又は−C(R)=C(R)−S−のいずれかであり;
及びRは、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルバモイル、(1−4C)アルキル、(2−4C)アルケニル、(2−4C)アルキニル、(1−4C)アルコキシ及び(1−4C)アルカノイルから独立に選択され;
Aは、フェニレン又はヘテロアリーレンであり;
nは、0、1又は2であり;
は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、N−(1−4C)アルキルカルバモイル、N,N−((1−4C)アルキル)カルバモイル、スルファモイル、N−(1−4C)アルキルスルファモイル、N,N−((1−4C)アルキル)スルファモイル、−S(O)(1−4C)アルキル(ここにおいてbは0、1、又は2である)、−OS(O)(1−4C)アルキル、(1−4C)アルキル、(2−4C)アルケニル、(2−4C)アルキニル、(1−4C)アルコキシ、(1−4C)アルカノイル、(1−4C)アルカノイルオキシ、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及び−NHSO(1−4C)アルキルから独立に選択され;
或いはnが2である場合、二つのR基は、これらが接続しているAの炭素原子といっしょに、O、S及びNから独立に選択される1又は2個の異種原子を所望により含有していてもよく、そして一つ又は二つのメチル基によって所望により置換されていてもよい4ないし7員の飽和環を形成することができ;
及びRの一つは、Raから選択され、そして他方はRbから選択され;
a:(1−3C)アルキル、ハロ(1−3C)アルキル、ジハロ(1−3)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−3C)アルキル、ジヒドロキシ(2−3C)アルキル、シアノ(1−3C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により治安されていてもよい)、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシメトキシメチル、ジメトキシエチル、(ヒドロキシ)(メトキシ)エチル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(メチルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(ジメチルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(メチルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル、(メチルS(O)−)(ヒドロキシ)(2−3C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である);
b:(1−4C)アルキル、ハロ(1−4C)アルキル、ジハロ(1−4C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ジヒドロキシ(2−4C)アルキル、トリヒドロキシ(3−4C)アルキル、シアノ(1−4C)アルキル(アルキルにおいてヒドロキシで所望により置換されていてもよい)、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル、ジ[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、(ヒドロキシ)[(1−4C)アルコキシ](2−4C)アルキル、5−及び6−員のアセタール並びにそのモノ−及びジ−メチル誘導体、(アミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(アミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、(ジ(1−4C)アルキルアミノカルボニル)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルカルボニルアミノ)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル、((1−4C)アルキルS(O)−)(ヒドロキシ)(2−4C)アルキル(ここにおいてpは0、1又は2である);
ここにおいてRa及びRb中のいずれもの基内のいずれものアルキル又はアルコキシ基は、更に利用可能な炭素原子においてヒドロキシ基で所望により置換されていることもでき(但し、前記炭素原子が、異種原子によって連結された基によって既に置換されていないことを条件とする);
但し、Rが、(1−3C)アルキル又は(1−4C)アルキルである場合、Rは、(1−4C)アルキル又は(1−3C)アルキルではないことを条件とする]
の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのプロドラッグ。
【請求項2】
が、Raから選択され、そしてRが、Rbから選択され、ここにおいてRa及びRbは、請求項1において定義されたとおりである、請求項1に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのプロドラッグ。
【請求項3】
Aがフェニレンである、請求項1又は2のいずれか1項に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのプロドラッグ。
【請求項4】
nが0である、請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのプロドラッグ。
【請求項5】
及びRが、水素及びハロから独立に選択される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのプロドラッグ。
【請求項6】
及びRが、水素及びクロロから独立に選択される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのプロドラッグ。
【請求項7】
aが、(1−4C)アルキル、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、及び(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキルから選択される、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのプロドラッグ。
【請求項8】
以下の式(1A):
【化2】

の化合物であり、式中、RないしR及びnが、請求項1ないし7のいずれか1項において定義されたとおりである、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはこれらのプロドラッグ。
【請求項9】
プロドラッグが、in−vivoで加水分解可能なエステルである、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の式(1)の化合物のプロドラッグ。
【請求項10】
請求項1に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはそのin−vivoで加水分解可能なプロドラッグを、医薬的に受容可能な希釈剤又は担体と共に含んでなる、医薬組成物。
【請求項11】
療法によるヒトのような温血動物の治療の方法において使用するための、請求項1に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはそのin−vivoで加水分解可能なプロドラッグ。
【請求項12】
医薬として使用するための、請求項1に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはそのin−vivoで加水分解可能なプロドラッグ。
【請求項13】
ヒトのような温血動物の、2型糖尿病、インスリン抵抗性、シンドロームX、高インスリン血症、高グルカゴン血症、心臓虚血又は肥満症の治療における医薬として使用するための、請求項1に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはそのin−vivoで加水分解可能なプロドラッグ。
【請求項14】
ヒトのような温血動物の、2型糖尿病、インスリン抵抗性、シンドロームX、高インスリン血症、高グルカゴン血症、心臓虚血又は肥満症の治療における使用のための医薬の製造における、請求項1に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはそのin−vivoで加水分解可能なプロドラッグの使用。
【請求項15】
ヒトのような温血動物の、2型糖尿病の治療において使用するための医薬の製造における、請求項1に記載の式(1)の化合物、又は医薬的に受容可能な塩或いはそのin−vivoで加水分解可能なプロドラッグの使用。
【請求項16】
以下の式(2):
【化3】

の酸又はその活性化された誘導体を;以下の式(3):
【化4】

のアミンと反応させ、そしてその後必要な場合:
i)式(1)の化合物を、もう一つの式(1)の化合物に転換し;
ii)いずれもの保護基を除去し;
iii)医薬的に受容可能な塩又はin vivoで加水分解可能なエステルを形成すること;
を含んでなる、請求項1に記載の式(1)の化合物の調製のための方法。

【公表番号】特表2007−503420(P2007−503420A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524408(P2006−524408)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003546
【国際公開番号】WO2005/018637
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】