説明

グリストラップの排液処理方法とその排液処理装置

【課題】 建物内への搬入が容易で、油水分離を効率よく行なえるグリストラップの排液処理方法その処理装置を提供すること。
【解決手段】グリストラップ内の塵芥及び排液の汚れを除去した排液を分離タンク内に汲み上げ、排液を上昇させて油水分離し、油水分離された排液中の油分をフィルタで除去し、油分が除去された排液をグリストラップ内に戻すか又はグリストラップ外に送り出すようにした。グリストラップ内の塵芥、排液の汚れを除去する除去具と、除去具を通して排液を汲上げる汲み上げ機と、汲み上げ機から送り込まれる排液を油水分離する分離タンクと、分離タンクから排出される分離済み排液を濾過するフィルタを備え、分離タンクはその内部に二枚以上の邪魔板が配置され、邪魔板は供給される排液が下方から上方に上昇できる上昇通路を設けて上下方向に内側斜め上向きに配置されたものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば、給食センター、レストラン、ホテル、食物加工所、スーパー、デパート、病院、公共施設等の厨房内又は屋外に設置されているグリストラップ内排液の塵芥を除去したり油水分離したりする排液処理方法と、その処理に使用されるグリストラップ排液処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グリストラップには厨房から出る料理油、生ゴミ、食べ残しの食物類、箸、爪楊枝、紙屑、ビニール屑、汚泥、その他の塵芥等々が廃棄されている。現在、我が国ではこれら排液を厨房から下水管、排液管に直接排出することは禁止されているため、それら廃棄物を厨房内又は屋外に設置したグリストラップ内に留め、随時バキューム車で汲み取って処分している。
【0003】
グリストラップ内排液を処理すべく、本件出願人は先に特許文献1に示すグリストラップの排液処理車を開発した。この排液処理車は図4に示すように、グリストラップGから排液を吸引する吸引装置Aと、吸引装置Aで吸引した排液を貯留する貯留室Bと、貯留室Bから送り出された排液中の固液を分離する固液分離機Cと、固液分離機Cで固液分離されて送り出された排液を管内に通し、管を加熱することにより排液を加熱する加熱器Dと、加熱器Dから送り出された排液を油分と水分とに分離する油水分離タンクEとを備える排液処理装置が車輌Fに搭載されたものであり、前記固液分離機Cは貯留室Bから送り出された排液を搬送しながら固形物と排液に分離する搬送体Hと、搬送体Hでの搬送中に落下する排液を収容するタンクIとを備え、前記油水分離タンクEの内部に前記加熱器Dから送り込まれる排液中の油分と水分を上下に分離する分離室Jとを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−301498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1記載の排液処理車には排液処理の面では特に課題はないが、建物内への搬入が難しいという課題がある。本願発明の課題は、建物内への搬入、移動が容易で、排液中の固液分離及び油水分離をこれまで以上に効率よく確実に行うことができるようにしたグリストラップ排液処理方法及び排液処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明のグリストラップの排液処理方法は、グリストラップ内の排液の塵芥、汚れを除去し、その排液を汲み上げて分離タンク内に送り、その排液を分離タンク内で上昇させて上昇中に油水分離し、前記油水分離された分離排液中の油分をフィルタで除去し、前記油分除去された排液をそのまま又は他のフィルタを通して濾過してグリストラップ内に戻すか又はグリストラップの外の排出管に送り出す方法である。
【0007】
本願発明のグリストラップ排液処理装置は、グリストラップ内の排液の塵芥、汚れを除去する除去具と、前記除去具を通して前記排液を汲上げる汲み上げ機と、汲み上げ機から送り込まれる排液を油水分離する分離タンクと、分離タンクから排出される分離済み排液を濾過するフィルタを備え、前記分離タンクはその内部に二枚以上の邪魔板が配置され、前記邪魔板は供給される排液が下方から上方に上昇できる上昇通路を設けて上下方向に内側斜め上向きに配置されたものである。この排液処理装置の分離タンクの下方に、フィルタで濾過された濾過済み排液と分離タンク内で油水分離された分離水分を貯留可能であり、内部に前記濾過済み排液、分離水分を濾過する受タンクフィルタを備えた受タンクを配置することができる。また、分離タンクの内部で油水分離された水分を外部に排出する排出通路を設けることもできる。更に、これら廃棄物処理装置の分離タンク又は分離タンク及び受タンクを移動車に搭載して移動可能とすることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本願発明のグリストラップ排液処理方法は次のような効果がある。
1.グリストラップ内の排液の塵芥、汚れを除去してグリストラップ内の排液を汲み上 げるので、その後の処理がし易くなる。
2.汲み上げた排液を上昇させて、その上昇中に油水分離させるので、油水分離が容易 になる。
3.油水分離された分離排液中の油分をフィルタで除去し、その後の排液をグリストラ ップ内に戻せばグリストラップ内がきれいになり、グリストラップの外の排出管に 送り出しても排出管が詰るとか排液で公害になるといったことがない。
【0009】
本願発明のグリストラップ排液処理装置は次のような効果がある。
1.グリストラップ内の排液の塵芥、汚れを除去する除去具があるため、排液中の塵芥や汚れによる汲み上げ機の詰りが解消され、排液の汲上げが容易且つ確実になり、小型ポンプでも汲上げ可能となる。
2.汲み上げ機から送り込まれる排液を油水分離する分離タンクがあるため、排液をタンク内に送り込んで上昇させるだけで、上昇中に油水分離される。
3.分離タンクから排出される分離済み排液を濾過するフィルタがあるため、分離済み排液から油分が更に除去された水分がグリストラップに戻されるか、グリストラップの外部に排出されるのでグリストラップ内がきれいになり、排液が公害になって環境破壊の一因になることもない。
4.分離タンクの内部に、二枚以上の邪魔板が配置され、邪魔板は供給される排液が下方から上方に上昇できる上昇通路を設けて上下方向に配置されているので、送り込まれる排液が上昇し易くなり、排液の流通経路が長くなるので油水分離効率がよい。また、二枚以上の邪魔板が内側斜め上向きに配置されているので、排液の上昇が阻害されにくく、また、排液中の汚れが邪魔板に付着しにくくなり、邪魔板が汚れにくくなる。
5.分離タンクの下方に、フィルタで濾過された濾過済み排液と分離タンク内で油水分離された分離水分を貯留可能な受タンクがあり、受タンク内に濾過済み排液、分離水分を濾過する受タンクフィルタが内蔵されているため、分離タンクを出た排液が更に濾過されて排出されるので、グリストラップ内がきれいになり、排液が公害の一因になることもない。
6.分離タンクの内部で油水分離された水分を外部に排出する排出通路があるため、分離タンク内の水分を排出通路から抜けば、分離された水分が分離タンク内に充満することがなく、分離タンク内で連続して油水分離することができる。
7.排液処理装置の分離タンク又は分離タンク及び受タンクを移動車に搭載したので、排液処理装置の移動が容易になり、建物内への搬入も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明のグリストラップ排液処理装置の一例を示す斜視説明図。
【図2】本願発明のグリストラップ排液処理装置の汲み上げ機の一例を示す分解斜視図。
【図3】本願発明の排液処理方法の一例を示すもので、(a)はグリストラップ内の排液を分離タンク内に汲み上げる様子を示す断面図、(b)は分離した油分をフィルタに送り出す様子を示す断面図、(c)は分離した水分を受けタンクに排出する様子を示す断面図。
【図4】従来のグリストラップ排液処理装置の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願発明のグリストラップ排液処理方法とグリストラップ排液処理装置の実施形態について説明する。グリストラップ排液処理方法の実施形態に先立って、グリストラップ排液処理装置の実施形態の一例を図1〜図3を参照して説明する。
【0012】
(グリストラップ排液処理装置の実施形態)
図1〜図3のグリストラップ排液処理装置は、排液の塵芥、汚れを除去する除去具1と、グリストラップG内の排液を吸引して汲み上げる汲み上げ機2と、排液中の油と水を分離するための分離タンク3と、分離タンク3で油水分離された水分を濾過するフィルタ4と、フィルタ4を通過した濾過済み水分を貯留できる受タンク5とを備え、前記油水分離タンク3と受タンク5が移動車6に搭載されて移動可能としてある。
【0013】
前記除去具1と汲み上げ機2は一つのケース7内に収容されている。ケース7は錆びにくい材質製、例えばステンレス製としてあり、グリストラップGの排液内に入れることができるサイズにしてある。入り口側の側板10に孔開き板(例えばパンチングメタルやメッシュ)が使用され、ケース7内に仕切り板11が設けられ、その仕切り板11にも孔開き板(例えばパンチングメタルやメッシュ)が使用され、両板10、11の間にフィルタ収容室12が形成され、仕切り板11と側方板の間に汲み上げ機収容室13が形成されている。側板10の排液通過孔10aはグリストラップ内の排液中に浮遊する生ゴミ、食べ残しの食物類、箸、爪楊枝、紙屑、ビニール屑、汚泥などが通過できない程度のサイズとし、その孔数はグリストラップG内の排液が入り易い数がよい。仕切り板11の孔11aのサイズはフィルタ収容室12内の排液中の塵芥が通過しにくい程度が適し、穴数はフィルタ収容室12内の排液が汲み上げ機収容室13内に入り易い程度がよい。
【0014】
除去具1にはフィルタ8が使用され、所望枚数(図2では3枚)のフィルタ8が横に積層してフィルタ収容室12内に収容されている。フィルタ8はフィルタ収容室12内に侵入する排液中の塵芥を除去し、排液を濾過するものであるため、その材料、厚さ、枚数等は塵芥除去、排液濾過に適する適宜のものを選択でき、例えば、材料としては不織布とか排液中の塵芥を吸着し易い目の細かい布などが適する。厚さは数mm〜数cm程度にするとフィルタ収容室12内に出し入れし易く、掃除もし易くなり、扱いに便利である。枚数も厚いもの一枚よりも数枚にすると汚れ落とし(洗浄)などがし易く、既存の不織布などの材料を使うことができて便利である。フィルタ8には不織布以外の既存の又は新規なフィルタを使用することもできる。
【0015】
汲み上げ機2はグリストラップG内の排液をフィルタ収容室12内に吸引し、分離タンク3内に送り込む(汲み上げる)ものであり、水中ポンプ、陸上ポンプ、その他の各種ポンプを使用することができる。汲み上げ機2はケース7の汲み上げ機収容室13内に収容されている。汲み上げ機2の入口側は孔開き材(例えばパンチングメタル)15で被覆して汲み上げ機2への塵芥や異物の混入を阻止できるようにしてある。汲み上げ機収容室13の天井は汲み上げ機2の収容後に蓋14をして汲み上げ機収容室13内を閉塞して、ケース7をグリストラップG内の排液中に沈めたときに、グリストラップG内の排液が汲み上げ機収納部13の上方からその内部に浸入しないようにしてある。汲み上げ機2から引き出されたホース9は前記蓋14を貫通して分離タンク3に引き込まれている。
【0016】
前記分離タンク3は前記汲み上げ機2から送り込まれる排液を油分と水分に分離(油水分離)するためのものであり、周壁下方部に排液導入口16があり、その排液導入口16に差し込まれたホース9により、汲み上げ機2で汲み上げられたグリストラップG内の排液が送りこまれるようにしてある。
【0017】
分離タンク3内には、送り込まれた排液の油分と水分との分離を促進するための邪魔板17が上下方向に複数枚設けられている。邪魔板17にも腐食しにくい材質の平板が使用されている。邪魔板17の横幅は分離タンク3の横幅と同程度であり、前後幅を分離タンク3の前後幅の3分の2程度として(図3(a)〜(c))、分離タンク3内に上下に間隔をあけて配置された邪魔板17間に排液通路18が形成され、分離タンク3の対向する二方の内壁面から内側に斜め上向きに配置されている。このような構造とすることにより、分離タンク3内に取り込まれた排液は、分離タンク3内の下方から前記邪魔板17間の排液通路18を蛇行しながら上昇し、この間に、比重が水よりも軽い油分が上になり比重の重い水分が下になって油水分離される。この場合、邪魔板17が前記のように斜め上向きに配置されているので、排液が上昇し易くなって油水分離がスムースに行なわれ、排液中の塵芥や汚れが邪魔板17の裏面に付着しにくく、邪魔板17の付け根部分17aに溜まりにくくなる。邪魔板17の寸法、形状、材質等は前記以外にすることもできる。
【0018】
分離タンク3の外側には縦長のフィルタ4が配置されており、分離タンク3内を上昇中に油水分離された油分が分離タンク3の上部の排液出口21から前記フィルタ4に流れ出すようにしてある。このフィルタ4は排液出口21から流れ込んだ油分を濾過するものであり、容器4a内にフィルタ材4bが収容されている。このフィルタ材4bの分量は任意に調整することができる。フィルタ材4bは油中の塵芥を除去でき油の異臭を脱臭、脱色できるものが望ましい。その一例として椰子の実のチップ、活性炭、木炭、サンゴといった各種材質のものがある。椰子の実には除菌・脱臭・洗浄作用があるので油分の除去・脱臭のみならず排液の除菌・洗浄効果も期待でき、衛生上も好ましい。排液出口21には開閉バルブ22があり、それの開閉操作により排液出口21を開閉して、分離タンク3で分離された油分の流出を制御できるようにしてある。フィルタ4の容器4aの下部には排液排出口23があり、フィルタ4を通過した排液は排液排出口23から外部に排出されるようにしてある。
【0019】
分離タンク3の排液出口21よりやや下方には上方水分出口20が設けられている。この上方水分出口20は分離タンク3内で分離されて分離タンク3の上部まで押し上げられてきた水分を分離タンク3の外部に排出するためのものであり、上方水分出口20から流出した水分はそれに連結された上方水分流路24に流れ込こむようにしてある。上方水分出口20にも開閉バルブ25が設けられて、その開閉操作により分離タンク3の上方に溜まった水分の上方水分流路24への流出を制御できるようにし、その水分より上の油分が上方水分出口20から上方水分流路24に流れ込まないようにしてある。上方水分出口20は分離タンク3の他の面に設けることもでき、その場合は上方水分流路24も、上方水分出口20と同じ面に配管する。
【0020】
前記油水分離タンク3にはその内部で分離されて分離タンク3の高さ方向中間部に溜まった水分を分離タンク3の外に排出するための中間水出口26が開口されており、その中間水出口26から流出した水分は中間水排出パイプ27を流下するようにしてある。中間水出口26はそこから流出する水分の上の油が流出しないように分離タンク3内の中間位置の邪魔板17の直ぐ上に配置してある。この中間水排出パイプ27は図1に示すように、分離タンク3の中間水出口26に連結された連結部27aと、連結部27aから立ち上げた上向き管部27bと、上向き管部27bから横向きに伸ばした横管部27cと、横管部27cから下げた下向き管部27dを備え、中間水出口26―連結部27a―上向き管部27b―横管部27c―下向き管部27dの順に流れて外部に排出されるようにしてある。このように排液を一旦上昇させることによって分離タンク3内の中間部の油分が中間水排出パイプ27内に流れ込まないようにしてある。中間水出口26には開閉バルブ(図示しない)があり、それの開閉操作により中間水出口26を開閉して、分離タンク3で分離された水分の流出を制御できるようにしてある。
【0021】
分離タンク3はその底にドレイン28を設けて、分離タンク3内の下方に溜まった水分を外部に排出できるようにしてある。ドレイン28にも開閉バルブ29が設けられており、その開閉操作により分離タンク3の下方の水分の排出を制御できるようにしてある。
【0022】
分離タンク3の下の受タンク5は前記フィルタ4を通過した排液、ドレイン28、上方水分流路24、中間水排出パイプ27から排出された水分(以下、これらをまとめて「一次処理排液」という。)を貯蓄するためのタンクである。受タンク5は上面開口の箱形であり、その内部に受タンクフィルタ30が配置されている。受タンクフィルタ30も前記ケース7内のフィルタ8と同じもの又は異なるものを使用することができる。このフィルタの材質、構造、配置等は任意に選択することができる。一次処理排液は受タンク5内に送り込まれ、受タンクフィルタ30を通過して受タンク5の下方空間に溜まる。
【0023】
受タンク5の下部には、受タンクフィルタ30を通過して受タンク5の下方空間に溜まった排液(以下、「二次処理排液」という。)をグリストラップG内へ戻すための排液帰還路31が設けられている。排液帰還路31にも開閉バルブ32が設けられ、その開閉操作で二次処理排液の排出を制御できるようにしてある。
【0024】
図1に示したグリストラップ廃棄物処理装置は、前記分離タンク3と受タンク5とを移動車6に搭載して移動可能としてある。移動車6は移動可能であれば二輪車、三輪車、四輪車といった任意のものを使用できる。
【0025】
(グリストラップ排液の処理方法の実施形態)
本願発明のグリストラップ排液処理方法は前記したグリストラップ排液処理装置を使用しなくとも実施可能であるが、ここでは前記処理装置を使用して処理する場合を一例として図3(a)〜(c)を参照して説明する。なお、フィルタ4の内部構造を見やすくするため、図3(a)〜(c)には上方水分流路24を記載していない。
【0026】
グリストラップG内の排液内にフィルタ8と汲み上げ機2が収容されているケース7を収用する。汲み上げ機2のモータMを動作させて、グリストラップG内の排液を汲み上げる。このとき、グリストラップG内の排液中の生ゴミ、食べ残しの食物類、箸、爪楊枝、紙屑、ビニール屑、汚泥などの固形物は、ケース7の側板(例えばパンチングメタル)10によって排除されて排液と分離される。
【0027】
固形物と分離された排液は汲み上げ機2からホース9を通って分離タンク3内へ送り込まれる(図3(a))。このとき、分離タンク3のドレイン28、上方水分出口20、中間水出口26及び排液出口21は閉じておく。分離タンク3内へ送り込まれた排液は分離タンク3内の邪魔板17に沿って蛇行しながら上昇する。分離タンク3内の上方まで排液が送り込まれたらモータMの動作を一旦停止させて、分離タンク3内で油水が充分に分離するまで放置する。この間、水よりも比重の軽い油分は分離タンク3の上方に溜まり、比重の重い水分は下方に溜まる。
【0028】
分離タンク3内の排液が水分と油分とに分離したら、分離タンク3の排液出口21の開閉バルブ22を開いて排液をフィルタ4に送り出す(図3(b))。排液中の油分はフィルタ4内を通過することによりフィルタ材4bで除去される。フィルタ材4bの材質によっては脱臭、脱色等もされる。フィルタ4を出た排液はフィルタ4の下方に設けられた排液排出口23を通して受タンク5内に排出される。この時、分離タンク3内の水分は上方水分流路24、中間水排出パイプ27、ドレイン28から受タンク5内に排出することができる。
【0029】
受タンク5内に送り込まれた排液は受タンク5内で更に濾過されて受タンク5内に溜まる。溜まった排液は排液帰還路31の開閉バルブ32の開閉操作によりグリストラップG内に戻す。
【0030】
前記工程を数回繰り返すことによって、グリストラップG内の廃棄物の塵芥が除去され、排液が濾過され、グリストラップが浄化される。前記繰り返し回数はグリストラップGや排液の汚れ具合等に応じて任意に選択することができる。
【0031】
汲み上げ機2とケース7は別々にすることもできる。汲み上げ機2は地上に設置することも、移動車に搭載することもできる。その場合の汲み上げ機2には水中ポンプではなく陸上用のポンプが適する。
【符号の説明】
【0032】
1 除去具
2 汲み上げ機
3 分離タンク
4 フィルタ
4a 容器
4b フィルタ材
5 受タンク
6 移動車
7 ケース
8 フィルタ
9 ホース
10 (ケース入り口側の)側板
10a 排液通過孔
11 仕切り板
11a 孔
12 フィルタ収容室
13 汲み上げ機収容室
14 蓋
15 孔開き材
16 排液導入口
17 邪魔板
17a (邪魔板の)付け根部分
18 排液通路
20 上方水分出口
21 排液出口
22 開閉バルブ
23 排液排出口
24 上方水分流路
25 開閉バルブ
26 中間水出口
27 中間水排出パイプ
27a 連結部
27b 上向き管部
27c 横管部
27d 下向き管部
28 ドレイン
29 開閉弁
30 受タンクフィルタ
31 排液帰還路
32 開閉バルブ
A 吸引装置
B 貯蓄室
C 固液分離機
D 加熱器
E 油水分離タンク
F 車輌
G グリストラップ
H 搬送体
I タンク
J 分離室
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリストラップ内の排液を汲み上げて処理するグリストラップ排液処理方法において、
グリストラップ内の塵芥を除去し、排液の汚れを除去して、当該排液を分離タンク内に汲み上げ、
前記排液を上昇させてその上昇中に油水分離し、
前記油水分離された分離排液中の油分をフィルタで除去し、
前記油分除去された排液をそのまま又は他のフィルタを通して濾過してグリストラップ内に戻すか又はグリストラップの外の排出管に送り出す、ことを特徴とするグリストラップ排液処理方法。
【請求項2】
グリストラップ内の排液を汲み上げて浄化するグリストラップ排液処理装置において、
前記排液処理装置はグリストラップ内の排液の汚れを除去する除去具と、
前記除去具を通して前記排液を吸引する汲み上げ機と、
汲み上げ機から送り込まれる排液を油水分離する分離タンクと、
分離タンクから排出される分離済み排液を濾過するフィルタを備え、
前記分離タンクはその内部に二枚以上の邪魔板が配置され、
前記邪魔板は供給される排液が下方から上方に上昇できる上昇通路を設けて上下方向に内側斜め上向きに配置された、ことを特徴とするグリストラップ排液処理装置。
【請求項3】
請求項2記載のグリストラップ排液処理装置において、
分離タンクの下方に受タンクが配置され、前記受タンクは、フィルタで濾過された濾過済み排液と分離タンク内で油水分離された分離水分を貯留可能であり、内部に前記濾過済み排液、分離水分を濾過する受タンクフィルタを備えた、ことを特徴とするグリストラップ排液処理装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載のグリストラップ排液処理装置において、
分離タンクの内部で油水分離された水分を外部に排出する排出通路を備えた、ことを特徴とするグリストラップ排液処理装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のグリストラップ排液処理装置において、
分離タンク又は、分離タンク及び受タンクが移動車に搭載された、ことを特徴とするグリストラップ排液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−184205(P2010−184205A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30462(P2009−30462)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(304025954)有限会社群馬環境衛生管理センター (4)
【出願人】(509042301)有限会社▲高▼▲柳▼工業 (1)
【Fターム(参考)】