説明

グリル

【課題】焼き網の載置安定性を向上させると共に、焼き網の取付け及び取外し時にグリル皿を傷付けるおそれが低減可能となるグリルを提供する。
【解決手段】グリル4は、グリル皿44及びグリル皿44の上方に配置される焼き網43を支持した状態でグリル庫41内に出し入れ自在に収容される支持枠45を備える。焼き網本体431aに被支持部432が設けられ、被支持部432を支持する台座451が支持枠45に設けられ、台座451に支持された被支持部432の支持位置が、支持枠45に支持されるグリル皿44の前後フランジ442の上面より上方に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル庫に出し入れ自在な焼き網を備えるグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グリル皿の前後フランジにそれぞれ形成された爪穴に、焼き網の前後端部にそれぞれ固定された平板状の脚の下端に形成された爪を嵌合させて、焼き網をグリル皿の上方に配置させるようにしたグリルが知られている(例えば、特許文献1参照)。尚、グリル皿は、グリル扉に取付けられた支持枠に支持される。グリル扉の把手を手前に引いたり後方に押すことにより、支持枠が前後動して、グリル皿及びグリル皿に支持される焼き網がグリル庫に出し入れされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−328038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、焼き網には、食材や油がこびり付くので、頻繁に洗浄を行う必要がある。しかし、焼き網は、脚(爪を含む)の高さが高いので、洗浄時にシンクに載置したときなどに、安定性が非常に劣り、洗い難い。
【0005】
また、焼き網の取付け時及び取外し時に、焼き網の爪がグリル皿に接触して、グリル皿表面に施した仕上げ塗装を傷付けることがある。
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、焼き網の載置安定性を向上させると共に、焼き網の取付け及び取外し時にグリル皿を傷付けるおそれが低減可能となるグリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、グリル皿及び該グリル皿の上方に配置される焼き網を支持した状態でグリル庫内に出し入れ自在に収容される支持枠を備えたグリルであって、前記焼き網の本体に被支持部が設けられ、該被支持部を支持する支持部が前記支持枠に設けられ、前記支持部に支持された前記被支持部の支持位置が、前記支持枠に支持される前記グリル皿の前後フランジの上面より上方に位置することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、支持部に支持された焼き網の被支持部の支持位置が、支持枠に支持されるグリル皿の前後フランジの上面より上方に位置する。そのため、上記従来の焼き網の脚の高さに比べて、焼き網の被支持部の高さを低くすることが可能となる。従って、焼き網は、洗浄時にシンクに載置したときなどにおける安定性が向上し、洗い易くなる。
【0009】
更に、焼き網の被支持部を支持する支持部が、グリル皿ではなく支持枠に設けられている。そのため、上記従来に比べて、焼き網がグリル皿に接触する機会が減少する。従って、焼き網によりグリル皿を傷付けるおそれが低減可能となる。
【0010】
また、本発明において、前記支持部は、前記被支持部が載置される載置面を上部に有する台座であり、前記被支持部の前記載置面との当接部が平らに形成されていることが好ましい。
【0011】
これによれば、被支持部の載置面との当接部が爪先などの突起状でなく平らに形成されているので、焼き網をシンク表面に載置したり摺動させたりしても、シンクは傷付かない。よって、焼き網を洗浄する際に、上記従来の焼き網に比べてシンクを傷付けるおそれが低減可能となる。更に、グリル皿を傷付けるおそれもより低減する。
【0012】
また、前記台座は、前記被支持部の前後方向端部と当接して該焼き網の前後位置を規制する前後位置規制部を有し、該前後位置規制部の上部に前後方向外側上方に向って傾斜し、前記焼き網をガイドする焼き網ガイド部が形成されていることが好ましい。これによれば、焼き網ガイド部により焼き網を支持枠に脱着させることが容易となる。
【0013】
また、前記台座の前記載置面の下方に前後方向外側下方に向って傾斜し、前記グリル皿をガイドする皿ガイド部が形成されていることが好ましい。これによれば、皿ガイド部によりグリル皿を支持枠から取外すことが容易となる。
【0014】
また、本発明において、前記被支持部は前記焼き網の前部と後部にそれぞれ設けられ、前記焼き網の前部に設けられた被支持部を支持する前記支持部が前記支持枠の前部に設けられ、前記焼き網の後部に設けられた被支持部を支持する前記支持部が前記支持枠の後部に設けられることが好ましい。これによれば、被支持部及び支持部を前後に設けたので、焼き網を支持枠に安定させて支持することが可能となる。
【0015】
また、本発明の一態様として、前記支持枠は、前記グリル庫の前面開口を閉じるグリル扉に連結されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るグリルを具備するコンロの斜視図。
【図2】グリルの斜視図。
【図3】グリルの切断正面図。
【図4】(a)は焼き網を、(b)はグリル皿を、(c)は支持枠を示す斜視図。
【図5】焼き網及びグリル皿が支持枠に支持された状態を示す斜視図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るグリルの切断正面図。
【図7】(a)は焼き網を、(b)はグリル皿を、(c)は支持枠を示す斜視図。
【図8】焼き網及びグリル皿が支持枠に支持された状態を示す斜視図。
【図9】焼き網ガイド部及び皿ガイド部の周囲を示す切断図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のグリル4は、システムキッチンのカウンタトップ(図示せず)に組み込むビルトイン式コンロに内蔵されている。このコンロは、カウンタトップに開設した開口に落とし込むようにして設置するコンロ本体1と、コンロ本体1の上面を覆うようにしてカウンタトップに載置する天板2とを備えている。
【0018】
コンロ本体1には、前側の左右2個と後側の1個の計3個のコンロバーナ3が配置されている。そして、天板2に、これら各コンロバーナ3を臨ませる開口を形成して、各開口を囲うように五徳5を載置している。また、天板2の後部にはグリル4用の排気口が開設され、この排気口を覆う排気カバー2aが載置されている。尚、各コンロバーナ3には、その内周空間に位置させて、五徳5上の調理容器の底面に当接してその温度を検出する鍋底温度センサ3aが付設されている。
【0019】
カウンタトップの下で前方に露出するコンロ本体1の前面部分には、グリル庫41の前面開口を閉じるグリル扉42とその左右の前面パネル6,6とが設けられている。各前面パネル6には、コンロバーナ3用とグリル4用の各操作盤7が組み込まれている。
【0020】
グリル4は、図2に示すように、コンロ本体1内に設置されるグリル庫41を備えている。グリル庫41の後部には排気ダクト411が取付けられている。また、グリル庫41には、図3に示すように、焼き網43と、グリル庫41内の調理物から垂れ落ちる煮汁や油等の汚れを受けるグリル皿44と、焼き網43及びグリル皿44を支持する支持枠45とが収納されている。焼き網43は、グリル皿44の上方に位置するように支持枠45に支持される。そのため、焼き網43を配置する際に、上記従来に比べて焼き網43がグリル皿44に接触する可能性が減少するので、グリル皿44が傷付くおそれが低減される。
【0021】
グリル庫41の天井部には、上火バーナ46が装着され、更に、上火バーナ46を覆うようにして遮熱カバー412が設けられている。また、グリル庫41の左右方向両側の側壁部に、焼き網43とグリル皿44との間に位置させて、左右方向内方に凹入する第1の凹入部413を形成し、この凹入部413内に、凹入部413の左右方向内側面に設けた窓部413aに臨ませて下火バーナ47を配置している。これにより、焼き網43上の調理物を上火バーナ46と下火バーナ47とで上下から焼成する両面焼きグリルが構成される。尚、図2で46a,47aは上火バーナ46と下火バーナ47の混合管である。
【0022】
グリル庫41の左右方向両側の外側には、前後方向に長手の固定レール48と、固定レール48に前後方向に移動自在に支持される可動レール49とが配置されている。ここで、グリル庫41の下方には、グリル庫41の底壁部との間に空隙を存して遮熱板414が設置されている。そして、遮熱板414の左右方向両側部をグリル庫41の左右方向外側で上方に屈曲させて、起立状態の取付板481を形成し、この取付板481の左右方向外方を向く面に固定レール48を取付けている。
【0023】
固定レール48には、中間レール482がボール482aを介して前後方向に移動自在に係合しており、この中間レール482にボール482bを介して可動レール49が前後方向に移動自在に係合している。従って、可動レール49は中間レール482を介して固定レール48に前後方向に移動自在に支持される。
【0024】
グリル庫41の左右方向両外側の一対の可動レール49,49は、その前端においてレール連結枠(図示せず)を介して連結される。レール連結枠には、支持枠45の前端部が係止されると共に、グリル扉42が着脱自在に連結される。これにより、グリル扉42の前面下部の把手421に指を掛けて手前に引いたり後方に押してグリル扉42を開閉することにより可動レール49が固定レール48に案内されて前後動し、これに連動して支持枠45も前後動して、支持枠45に共に支持される焼き網43及びグリル皿44がグリル庫41に出し入れされる。そのため、グリル皿に焼き網が支持される上記従来の場合と比べて、焼き網43の取出し及び位置決めが容易であり、焼き網43のガタが減少する利点がある。
【0025】
図4及び図5に示すように、焼き網43は、魚等の食材が載置され、焼き付け防止加工が施された焼き網本体431を備えている。焼き網本体431は、金属製の丸棒材を平面視略矩形に折り曲げて形成した枠体431aと、枠体431aの左右方向に対向する辺を連結する複数の金属製の細丸棒材が平行に配置された中央網体431bとから構成される。更に、焼き網43は、枠体431aの前後辺にそれぞれ固定された左右一対の被支持部432,432を備えている。これにより、焼き網43は合計4個の被支持部432を有している。
【0026】
被支持部432は、金属製の丸棒材を同一平面状で折り曲げ加工して、平面視コの字状に形成されており、左右方向に隣接する被支持部432との間が所定距離隔てられ、焼き網本体431から前後方向に突出するように設けられている。被支持部432を構成する棒材の厚さは、焼き網本体431の枠体431aを構成する棒材の厚さ以下である。
【0027】
尚、被支持部432は、その下端が同一平面上に位置するように形成されることが好ましく、例えば、金属棒材を折り曲げ加工して平面視でロの字、N字状、円状、台形状など適宜な形状に形成されたものや、金属平板を切断加工して平面視で矩形状、円状、台形状など適宜な形状に形成されたものであってもよい。更に、被支持部432は、水平面に載置された際に、その下面によって水平面が容易に傷付かないものであればよく、例えば、その下面が波状であってもよい。
【0028】
グリル皿44は、平面視略矩形の浅い皿部441と、皿部441の上端外周縁に形成された略水平のフランジ442と、左右のフランジ442の外縁から一旦上方に延出して左右方向外方に張り出す上部フランジ443とから構成されている。グリル皿44は、金属薄板を成型加工した後、耐熱クリア塗装やホーロー等の仕上げ塗装が施されている。尚、ホーローはガラス質であり蓄熱性を有するため、省エネルギーの観点から耐熱クリア塗装を施すことが好ましい。
【0029】
支持枠45には、その前後部にそれぞれ、焼き網43の被支持部を支持する台座451,451が設けられている。支持枠45は、前辺を上方に突出させ、平面視略コの字状となるように棒材を折り曲げて形成した第1折曲体452と、第1折曲体452の前部に取付けられ、グリル皿44の前部のフランジ442を支持する前支持板453と、第1折曲体452の後部に取付けられ、グリル皿44の後部のフランジ442を支持する後支持板454と、後支持体454に取付けられ、上方に凸状に突出するように棒材を折り曲げて形成した第2折曲体455とから構成される。
【0030】
尚、前後の台座451,451は前後対称であり、前側の台座451は第1折曲体452の前辺から、後側の台座451は第2折曲体455からそれぞれ構成されている。
【0031】
各台座451は、上方に延びる左右一対の第1上延部451a,451aと、左右の第1上延部451a,451aの上端部からそれぞれ左右方向内方に下向きに傾斜して延びる左右一対の傾斜延部451b,451bと、左右の傾斜延部451b,451bの内側端部からそれぞれ上方に延びる左右一対の第2上延部451c,451cと、左右の第2上延部451c,451cの上端部を連結して形成される水平部451dとから構成される。
【0032】
左右一対の傾斜延部451bは、焼き網43が支持枠45に載置されたとき、焼き網43の被支持部432を支持する支持部として機能する。傾斜延部451bは、支持枠45に支持されたグリル皿44の前後のフランジ442の上面より上方に位置している。
【0033】
第2上延部451cは、焼き網43が支持枠45に載置されたとき、被支持部432の左右方向内側をガイドしながら当接して焼き網43の左右位置を規制する左右位置規制部として機能する。また、第2上延部451cは、焼き網43が支持枠45に載置されたとき、枠体431aの前後端部をガイドしながら当接して焼き網43の前後位置を規制する前後位置規制部として機能する。
【0034】
尚、焼き網43のガタつきを抑制するために、また、第2上延部451cの高さ方向の長さを確保するために、傾斜延部451bは左右方向内方に下向きに傾斜するように形成されている。しかし、傾斜延部451bを水平となるように形成してもよい。
【0035】
また、支持枠45の前後方向に出し入れする際の動きの円滑性を確保するため、グリル庫41の底壁部には、第1折曲体452の左右各側の側辺部を滑動自在に支持する支持部415が左右一対形成されている。グリル扉42を開閉する際に、第1折曲体452の左右の側辺部が支持部415と当接することにより、支持枠45が前後方向に滑らかに摺動可能となる。そして、グリル皿44を脱着する際にグリル皿44の皿部441との接触が少なくなるように、第1折曲体452の左右間隔は皿部441の幅より若干広くなっている。
【0036】
尚、後側の第2上延部451cは前側の第2上延部451cよりも長くなっている、即ち、後側の水平部451dは前側の水平部451dよりも高く位置している。これにより、焼き網43に魚等を載せたときに後方にずれることを防止することができ、また、後側の水平部451dがガイドとして機能し、焼き網43を支持枠45に支持させ易い。
【0037】
前支持板453はグリル皿44の前部のフランジ442を支持し、後支持板454はグリル皿44の後部のフランジ442を支持する。
【0038】
前支持板453は、金属薄板を成型加工したものであり、その中央部に、後方に向って隆起する隆起部453aが形成されている。隆起部453aの平坦な上面には、グリル皿44の前部のフランジ442の平坦な下面が載置される。また、前支持板453には、隆起部453aの左右両側後端に下向き垂直のフランジが形成されており、このフランジがグリル皿44の前側の前後方向の位置合わせを行う前後位置決め部として機能する。また、前支持板453には、第1折曲体452との溶接時の補強のために突出片453bが左右一対形成されている。
【0039】
更に、前支持板453には、支持枠45をグリル扉42に連結するための爪片453cが左右一対形成されている。爪片453cをレール連結枠の係合孔(図示せず)に挿入係止することにより、レール連結枠に支持枠45が連結される。尚、グリル扉42の背面には、レール連結枠にグリル扉42を連結した状態で係合孔に挿入される抜け止め部(図示せず)が設けられている。
【0040】
後支持板454は、金属薄板を成型加工したものであり、その後部に、垂直上方に突出する後突出部454aが形成されている。後突出部454aは、第1折曲体452の左右後端部を固定するためと補強のために設けられている。更に、後支持板454には左右一対の低隆起部454bが形成されており、低隆起部454bの上面にグリル皿44の後部のフランジ442の下面が当接される。
【0041】
また、後支持板454の前端には左右に亘って下向き垂直のフランジが形成されており、このフランジがグリル皿44の前側の前後方向の位置合わせを行う前後位置決め部として機能する。更に、後支持板454には、補強のために左右一対の外側下向き垂直片454cが形成されている。
【0042】
以上のように構成された本実施形態のグリル4によれば、支持枠45の台座451に支持された焼き網43の被支持部432の支持位置、すなわち被支持部432の下端面が、支持枠45に支持されるグリル皿44の前後のフランジ442の上面より上方に位置する。そのため、上記従来の焼き網の脚の高さに比べて、焼き網43の被支持部432の高さを低くすることが可能となる。従って、洗浄時にシンクに載置したときなどにおける焼き網43の安定性が向上すると共に、容易に洗浄することが可能となる。特に、被支持部43の厚さが、焼き網本体431の枠体431aを構成する棒材の厚さ以下であるので、焼き網43は非常に載置安定性に優れる。
【0043】
また、焼き網43の被支持部432を支持する台座451が、グリル皿44ではなく支持枠45に設けられている。そのため、上記従来に比べて、焼き網43がグリル皿44に接触する機会が減少する。従って、焼き網43によりグリル皿44を傷付けるおそれが低減する。
【0044】
また、被支持部432の下端部が爪先などの突起状でなく丸みを帯びて同一面上に形成されているので、焼き網43をシンク表面に載置したり摺動させたりしても、シンクは傷付かない。よって、焼き網43を洗浄する際に、上記従来の焼き網に比べてシンクを傷付けるおそれが低減される。更に、グリル皿44を傷付けるおそれもより低減する。
【0045】
また、台座451を構成する第1折曲体452及び第2折曲体455は丸棒で構成されているので、焼き網43及びグリル皿44は、台座451と干渉することなく、支持枠45に対して滑らかに脱着することができる。すなわち、焼き網43を支持枠45に取付ける際、第2上延部451cにより焼き網43の前後、左右方向が自動的に位置調整されるので、焼き網43の取付けが容易となる。また、グリル皿44を支持枠45から取外す際、グリル皿44は第1上延部451aと当接して前後位置が規制されるので、グリル皿44を真っ直ぐに持ち上げ、容易に取外すことが可能となる。
【0046】
以下、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は上述した第1の実施形態と類似するので、相違点についてのみ説明する。第1の実施形態に係るグリルのグリル庫41には、焼き網43と、グリル皿44と、焼き網43及びグリル皿44を支持する支持枠45とが収納されていた。図6に示すように、本実施形態に係るグリルのグリル庫51には、焼き網53と、グリル皿44と、焼き網53及びグリル皿44を支持する支持枠55とが収納されている。
【0047】
図7及び図8に示すように、焼き網53は、魚等の食材が載置され、焼き付け防止加工が施された焼き網本体531を備えている。焼き網本体531は、金属製の丸棒材を平面視略矩形に折り曲げて形成した枠体531aと、枠体531aの左右方向に対向する辺を連結する複数の金属製の細丸棒材が平行に配置された中央網体531bとから構成される。更に、焼き網53は、枠体531aの前後辺にそれぞれ固定された2つの支持台532,532を備えている。支持台532が本発明の被支持部に相当する。
【0048】
各支持台532は、金属薄板を成型加工したものであり、左右方向に長辺を有する矩形状であり、下面に枠体531aの上部が溶接等により固定された上板532aと、上板532aの前後方向外縁から垂下して延出する垂下板532bと、垂下板532bの下縁から前後方向内方に延出する下板532cとから構成される。下板532cの下面は、水平に形成されており、本発明における載置面との当接部に相当する。ただし、尚、下面532cの下面は、略平らに形成されていればよく、傾斜、又は部分的に凹部があってもよい。
【0049】
支持枠55には、焼き網53の前後の支持台532,532を支持する台座551,551がそれぞれ前後部に設けられている。支持枠55は、前辺及び後辺を上方に突出させ、平面視略矩形となるように金属製の丸棒材を折り曲げて形成した枠体552と、枠体552の前部に取付けられ、グリル皿44の前部のフランジ442を支持する前支持板553と、枠体552の後部に取付けられ、グリル皿44の後部のフランジ442を支持する後支持板554とを備えている。
【0050】
そして、各台座551は、それぞれ枠体552の前部又は後部にて上方に延びる左右一対の上延部552a,552aと、左右の上延部552a,552aの上端部を連結する連結部552bと、連結部552bに固定された載置座555とから構成される。尚、前後の台座551,551は前後対称となっている。
【0051】
各載置座555は、それぞれ、焼き網53の前後の支持台532がその上面に載置される載置板555aと、載置板555aの左右方向外縁から上方に延出し、焼き網53の前後方向の位置規制をする前後位置規制片555bと、載置板555aの前後方向外縁の左右両端部からそれぞれ上方に延出し、焼き網53の左右方向の位置規制をする左右一対の左右位置規制片555c,555cと、載置板555aの前後方向内縁から下方に延出し、グリル皿44をガイドするための皿ガイド片555dとから構成される。尚、載置板555aの上面は、水平に形成されており、本発明における載置面に相当する。
【0052】
載置板555a及び皿ガイド片555dに、枠体552の前辺、後辺が溶接等により固定されている。前後位置規制片555b及び左右位置規制片555c,555cは、焼き網53の支持台532の下面が前後の載置座555と載置されると当接して、焼き網53が所定位置にて載置板555aの上面に載置されるように位置決めする。載置座555の焼き網53の載置面(載置板555aの上面)は、支持枠55に支持されたグリル皿44のフランジ442の上面より上方に位置している。
【0053】
前後位置規制片555bは、各支持台532の垂下板532bをガイドしながら当接して、焼き網53の前後位置を規制する前後位置規制部として機能する。また、左右位置規制片555c,555cは、各支持台532の垂下板532b及び下板532cの左右端とガイドしながら当接して、焼き網53の左右位置を規制する左右位置規制部として機能する。
【0054】
グリル皿44を開閉する際に、枠体552の左右の側辺部が支持部415と当接することにより、支持枠55が前後方向に滑らかに摺動する。そして、グリル皿44を脱着する際にグリル皿44の皿部441との接触が少なくなるように、枠体552の左右間隔は皿部441の幅より若干広くなっている。
【0055】
前支持板553は、金属薄板を成型加工したものであり、その中央部に、後方に向って隆起する隆起部553aが形成されている。隆起部553aの平坦な上面には、グリル皿44の前部のフランジ442の平坦な下面が載置される。また、隆起部553aは、グリル皿44の前側の前後方向の位置合わせを行う前後位置決め部として機能する。また、前支持板553には、グリル皿44の上部フランジ443の垂直部分と当接して、グリル皿44の左右方向の位置合わせを行うための突出片553bが形成されている。
【0056】
更に、前支持板553には、支持枠55をグリル扉42に連結するための爪片553cが形成されている。爪片553cをレール連結枠の係合孔(図示せず)に挿入係止することにより、レール連結枠に支持枠55が連結される。尚、グリル扉42の背面には、レール連結枠にグリル扉42を連結した状態で係合孔に挿入される抜け止め部(図示せず)が設けられている。
【0057】
後支持板554は、金属薄板を成型加工したものであり、その中央部に、垂直上方に突出する中央突出部554aが形成されている。中央突出部554aは、グリル皿44の後部のフランジ442の後端面と当接してグリル皿44の後方向への移動を規制する。更に、後支持板554には、その補強のために低隆起部554bが左右一対形成されている。
【0058】
更に、後支持板554には、グリル皿44の左右の垂直部分と当接して、グリル皿44の左右方向の位置合わせを行うための外側突出片554cが左右一対形成されている。後支持板554には角部突出片554dが左右一対形成されており、この角部突出片554dにフランジ442の後部の左右角部の下面が当接して、グリル皿44が支持枠55に載置される。
【0059】
以上のように構成された本実施形態のグリルによれば、支持枠55の台座551に支持された焼き網53の支持台532の支持位置、すなわち下板532cの下面(載置板555aの上面)が、支持枠55に支持されるグリル皿44の前後のフランジ442の上面より上方に位置する。そのため、上記従来の焼き網の脚の高さに比べて、焼き網53の支持台532の高さを低くすることが可能となる。従って、洗浄時にシンクに載置したときなどにおける焼き網53の安定性が向上すると共に、容易に洗浄することが可能となる。尚、焼き網53の載置安定性と洗浄容易性を考慮すると、支持台532の高さは低いほど好ましい。尚、台座551の載置面は、必ずしも支持枠55に支持されるグリル皿44の上部フランジ443の上面より上方に位置している必要はない。
【0060】
また、焼き網53の支持台532を支持する台座551が、グリル皿44ではなく支持枠55に設けられている。そのため、上記従来に比べて、焼き網53がグリル皿44に接触する機会が減少する。従って、焼き網53によりグリル皿44を傷付けるおそれが低減する。
【0061】
また、支持台532の下端部が爪先などの突起状でなく水平な面状に形成されているので、焼き網53をシンク表面に載置したり摺動させたりしても、シンクは傷付かない。よって、焼き網53を洗浄する際に、上記従来の焼き網に比べてシンクを傷付けるおそれが低減される。更に、グリル皿44を傷付けるおそれもより低減する。
【0062】
また、焼き網53を支持枠55に取付ける際、前後位置規制片555b及び左右位置規制片555cにより焼き網53の前後、左右方向が自動的に位置調整されるので、焼き網53の取付けが容易となる。
【0063】
ところで、焼き網53及びグリル皿44が台座551と干渉して支持枠55に対して滑らかに脱着できないことがある。そこで、図9に示すように、各台座551の載置座555には、焼き網53をガイドする焼き網ガイド部555eとグリル皿44をガイドする皿ガイド部555fとが形成されている。
【0064】
焼き網ガイド部555eは、前後位置規制片555bの上部に斜め前上方に向って傾斜する傾斜部として形成されている。そして、皿ガイド部555fは、皿ガイド片555dの下部に斜め前下方に向って傾斜する傾斜部として形成されている。
【0065】
これによれば、焼き網53を支持枠55に取付ける際、焼き網ガイド部554eにより焼き網53の前後方向が自動的に位置調整されるので、焼き網53の取付けが容易となる。また、焼き網53を支持枠55から取外す際、焼き網53を前後方向にずらして持ち上げても焼き網ガイド部555eによりガイドされるので、焼き網53の取外しが容易となる。グリル皿44を支持枠55から取外す際、グリル皿44を前後方向にずらして持ち上げても皿ガイド部555fによりガイドされるので、グリル皿44の取外しが容易となる。
【0066】
以上、ドロップイン式コンロに組み込むグリルに本発明を適用した実施形態について説明したが、卓上式コンロに組み込むグリル、更にはコンロに組み込まずに独立して設けられるグリルにも同様に本発明を適用できる。また、上記実施形態は両面焼きグリルであるが、下火バーナ47を具備しない片面焼きグリルにも同様に本発明を適用できる。また、熱源がガスであるグリルに限定されず、熱源が電気であるグリルにも適用できる。
【0067】
また、上記実施形態は支持枠45,55がグリル扉42に固定されているが、グリル扉42に対して支持枠45,55を揺動可能に取付けてもよい。
【符号の説明】
【0068】
4…グリル、 41,51…グリル庫、 42…グリル扉、 43,53…焼き網、 431,531…焼き網本体(本体)、 431a,531a…枠体、 432…被支持部、 44…グリル皿、 442…フランジ、 45,55…支持枠、 451,551…台座(支持部)、 532…支持台(被支持部)、 532c…下板、 555a…載置板、 555b…前後位置規制片(前後位置規部)、 555e…焼き網ガイド部、 555f…皿ガイド部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル皿及び該グリル皿の上方に配置される焼き網を支持した状態でグリル庫内に出し入れ自在に収容される支持枠を備えたグリルであって、
前記焼き網の本体に被支持部が設けられ、該被支持部を支持する支持部が前記支持枠に設けられ、前記支持部に支持された前記被支持部の支持位置が、前記支持枠に支持される前記グリル皿の前後フランジの上面より上方に位置することを特徴とするグリル。
【請求項2】
前記支持部は、前記被支持部が載置される載置面を上部に有する台座であり、前記被支持部の前記載置面との当接部が平らに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のグリル。
【請求項3】
前記台座は、前記被支持部の前後方向端部と当接して該焼き網の前後位置を規制する前後位置規制部を有し、該前後位置規制部の上部に前後方向外側上方に向って傾斜し、前記焼き網をガイドする焼き網ガイド部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のグリル。
【請求項4】
前記台座の前記載置面の下方に前後方向外側下方に向って傾斜し、前記グリル皿をガイドする皿ガイド部が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のグリル。
【請求項5】
前記被支持部は前記焼き網の前部と後部にそれぞれ設けられ、前記焼き網の前部に設けられた被支持部を支持する前記支持部が前記支持枠の前部に設けられ、前記焼き網の後部に設けられた被支持部を支持する前記支持部が前記支持枠の後部に設けられることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のグリル。
【請求項6】
前記支持枠は、前記グリル庫の前面開口を閉じるグリル扉に連結されていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のグリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−254955(P2011−254955A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131177(P2010−131177)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】