説明

グリル

【課題】グリル運転情報を使用者に認識し易いように報知し得るグリルを提供する。
【解決手段】引出部Hが、前部開口部8を扉70にて閉じる状態でグリル庫内に収納される収納位置とグリル庫の前方に引き出された引出位置とに出退移動自在に設けられたグリルGであって、扉70に、外部から光を入射可能な入光部16iと、その入光部16iから入射した光を放射する放射面16rとを備える導光部材16が設けられ、入光部16iが、引出部Hが収納位置に位置する状態で、前部開口部8の内面部に近接し、且つ、引出部Hの出退移動方向に交差する方向から光が入射可能なように、導光部材16に備えられ、放射面16rが、前方側から視認可能なように、導光部材16に備えられ、引出部Hが収納位置に位置する状態で入光部16iに光を入射可能なように、発光手段17が前部開口部8に設けられ、その発光手段17の作動を制御する発光制御手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル庫と、取手を有する扉を有して被加熱物を載置自在な引出部とを備え、その引出部が、前記グリル庫の前部開口部を前記扉にて閉じる状態でそのグリル庫内に収納される収納位置と前記グリル庫の前方に引き出された引出位置とに出退移動自在に設けられたグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるグリルは、被加熱物を引出部に載置した状態でその引出部をグリル庫内に収納して、被加熱物を加熱調理するものである。
つまり、扉の取手を把持して引出部をグリル庫内に押し込んでグリル庫内に収納すると、グリル庫の前部開口部が扉にて閉じられた状態となり、そのように扉にて閉じられたグリル庫内で被加熱物を加熱調理することになる。又、加熱調理が終了すると、扉の取手を把持して引出部をグリル庫から引き出して、被加熱物を取り出すことになる。
【0003】
このようなグリルでは、引出部に載置された被加熱物を加熱する加熱手段が加熱作動していることや、その加熱手段による被加熱物の加熱において加熱異常が発生したこと等のグリル運転情報を使用者に報知する必要がある。
従来では、加熱手段による加熱作動の開始や停止等の操作用としてグリル本体に設けられている手動操作式のグリル操作部に、LEDランプが設けられて、このLEDランプを点灯させることにより、グリル運転情報を使用者に報知するように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−193248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のグリルでは、グリル運転情報はグリル操作部に設けられたLEDランプの点灯により報知するものであるため、使用者に視認させる部分が小さく、使用者にとってグリル運転情報を認識し難いものであった。
又、このようなグリルは、トッププレートに載置された加熱用容器を加熱するコンロ用加熱手段が設けられたコンロに組み込まれる場合がある。このような場合、コンロの前面等には、グリル操作部に加えて、コンロ用加熱手段の操作用としてコンロ操作部も複数設けられ、これら複数のコンロ操作部にも、コンロ運転情報報知用としてLEDランプが設けられることになるので、グリル操作部とコンロ操作部との複数の操作部のうちのグリル操作部に設けられたLEDランプが点灯しても、使用者にとっては、グリル操作部に設けられたLEDランプの点灯がグリルに関連するものであるかが判別し難く、使用者にとってグリル運転情報を認識し難いものであった。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、グリル運転情報を使用者に認識し易いように報知し得るグリルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のグリルは、グリル庫と、取手を有する扉を有して被加熱物を載置自在な引出部とを備え、その引出部が、前記グリル庫の前部開口部を前記扉にて閉じる状態でそのグリル庫内に収納される収納位置と前記グリル庫の前方に引き出された引出位置とに出退移動自在に設けられたものであって、
第1特徴構成は、前記扉に、外部から光を入射可能な入光部と、その入光部から入射した光を放射する放射面とを備える導光部材が設けられ、
前記入光部が、前記引出部が前記収納位置に位置する状態で、前記前部開口部の内面部に近接し、且つ、前記引出部の出退移動方向に交差する方向から光が入射可能なように、前記導光部材に備えられ、
前記放射面が、前方側から視認可能なように、前記導光部材に備えられ、
前記引出部が前記収納位置に位置する状態で前記入光部に光を入射可能なように、発光手段が前記前部開口部に設けられ、
その発光手段の作動を制御する発光制御手段が設けられている点にある。
【0008】
即ち、引出部が収納位置に収納されている状態で、発光制御手段により発光手段が発光作動されると、その発光手段からの光が導光部材の入光部に入射し、その入射した光が導光部材内を進行して放射面から放射されるので、その放射面が光ることになる。
このような放射面は、入光部から入射した光を全面にわたって放射させることができる条件で広くすることが可能であり、そして、このような放射面を備えた導光部材が、放射面が前方側から視認可能なようにグリルの扉に設けられているので、その放射面が光ることにより報知されるグリル運転情報は、使用者にとって認識し易いものである。
又、このようなグリルがコンロに組み込まれる場合に、コンロの前面等にグリル用やコンロ用の操作部が複数設けられる場合でも、グリルの扉に設けられた導光部材の放射面が光ることによりグリル運転情報が報知されるので、使用者にとっては、放射面が光ることにより報知される情報がグリルに関連するものであることを判別し易く、グリル運転情報が使用者にとって認識し易い。
【0009】
ところで、引出部には被加熱物を載置自在な焼き網が備えられ、通常、引出部は、焼き網等の洗浄のために、グリル庫から取り外し自在に設けられるものである。
本発明では、引出部には導光部材を設け、発光手段及び発光制御手段等の電気部品は、グリル本体に設けて引出部には設ける必要がないので、このように引出部がグリル庫から取り外し自在に設けられる場合でも、本発明を適用することができる。
しかも、引出部には電気部品が設けられていないので、引出部の洗浄も可能である。
従って、グリル運転情報を使用者に認識し易いように報知し得るグリルを提供することができる。
【0010】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記取手が、細長状に構成され、
その細長状の取手が、その長手方向を横向きにした姿勢で、前記扉にその横幅方向の全長又は略全長にわたるように備えられ、
前記導光部材が、前記取手の横幅方向の略全長にわたって前記放射面を露出させた形態で、前記取手に一体的に組み付けられ、
前記入光部が、前記導光部材の長手方向の両端に振り分けて一対備えられ、
前記発光手段が、前記一対の入光部に対応して一対設けられている点にある。
【0011】
即ち、細長状の取手が、扉の横幅方向の全長又は略全長にわたるように備えられ、導光部材が、取手の横幅方向の略全長にわたって放射面を露出させた形態で、取手に一体的に組み付けられているので、取手の横幅方向の略全長にわたる細長い放射面が光ることによりグリル運転情報が報知されることになり、使用者はグリル運転情報をより一層認識し易い。
しかも、入光部が導光部材の長手方向の両端に振り分けて一対備えられると共に、発光手段が一対の入光部に対応して一対設けられていて、細長状の導光部材にその長手方向の両端から光を入射させて細長状の放射面から放射させるので、細長状の放射面を全面にわたって極力均等に光らせることができる。
従って、取手の横幅方向の略全長にわたる細長状の放射面が均等に光ってグリル運転情報が報知されるので、グリル運転情報を使用者に一層認識し易いように報知することができる。
【0012】
第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記引出部に載置されている被加熱物を加熱する加熱手段の作動を制御する加熱制御手段が、設けられ、
その加熱制御手段が、前記加熱手段による被加熱物の加熱を終了すべきタイミングになると前記加熱手段の加熱作動を停止する自動モードを実行可能に構成され、
前記加熱制御手段に前記自動モードの実行を指令する指令手段が設けられ、
前記発光手段が、発光色を互いに異なる第1発光色と第2発光色とに切り換え自在に構成され、
前記発光制御手段が、前記指令手段により前記自動モードが指令されている状態において、前記加熱制御手段が前記加熱手段の加熱作動を開始する前では、前記発光手段を前記第1発光色で発光させ、前記加熱制御手段が前記加熱手段の加熱作動を開始した後では、前記発光手段を前記第2発光色で発光させるように構成されている点にある。
【0013】
即ち、指令手段により自動モードを指令すると、導光部材の放射面が第1発光色で光り、加熱制御手段により加熱手段が加熱作動されて自動モードが実行されると、その実行中は、導光部材の放射面が第2発光色で光る。
従って、自動モードが指令されていること及びその自動モードが実行中であることの2種類のグリル運転情報を、使用者に認識し易いように報知することができる。
【0014】
第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、
前記加熱手段による被加熱物の加熱における異常である加熱異常が発生したことを検知する加熱異常検知手段が設けられ、
前記発光制御手段が、前記加熱異常検知手段により加熱異常が検知されることなく前記自動モードが終了したときは、前記発光手段を前記第1発光色で点滅させ、前記自動モードの実行中に前記加熱異常検知手段により加熱異常が検知されたときは、前記発光手段を前記第2発光色で点滅させるように構成されている点にある。
【0015】
即ち、自動モードが正常に終了すると、導光部材の放射面が第1発光色で点滅し、自動モードの実行中に加熱異常が発生すると、導光部材の放射面が第2発光色で点滅する。
従って、自動モードが正常に終了したこと及びその自動モードの実行中に加熱異常が発生したことの2種類のグリル運転情報を、使用者に認識し易いように報知することができる。
【0016】
第5特徴構成は、上記第1〜第4特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記引出部が前記収納位置に位置しているか否かを検知する扉開閉検知手段が設けられ、
前記発光制御手段が、前記扉開閉検知手段により前記引出部が前記収納位置に位置していないことが検知されると、前記発光手段を消灯させるように構成されている点にある。
【0017】
即ち、引出部をグリル庫内に押し込んで収納位置に位置させると、扉開閉検知手段により引出部が収納位置に位置していることが検知される。そして、そのように扉開閉検知手段により引出部が収納位置に位置していることが検知される状態で、放射面が光っているときに、引出部を引き出すと、扉開閉検知手段により引出部が収納位置に位置していないことが検知され、それに伴って発光手段が消灯されるので、放射面が光らなくなる。
従って、引出部が収納位置に適正に位置していないことを示すグリル運転情報を、使用者に認識し易いように報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】グリルを備えたガスコンロの斜視図
【図2】トッププレートを省略し、引出部を引き出した状態でのガスコンロの斜視図
【図3】ガスコンロの前方側要部の斜視図
【図4】ガスコンロの前方側要部の斜視図
【図5】扉の右側面図及び縦断右側面図
【図6】扉、取手の分解斜視図
【図7】グリル用導光部材とグリル用発光部の配置形態を示す前方上側からの斜視図
【図8】グリル用導光部材とグリル用発光部の配置形態を示す後方上側からの斜視図
【図9】グリル用発光部を示すガスコンロの前方側要部の切り欠き斜視図
【図10】扉開閉検出スイッチを示すガスコンロの後方側要部の切り欠き平面図
【図11】ガスコンロの制御構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態をガスコンロのグリルに適用した場合について説明する。
図1は、本発明に係るグリルGを備えたガスコンロを示し、このガスコンロは、コンロ本体1の上部に3つのコンロバーナ2が配置され、コンロ本体1の内部に、加熱手段としてのグリルバーナ3(図2参照)を備えるグリルGが配置されて、ビルトインタイプのガスコンロに構成されている。
コンロ本体1の上部後方側に、グリルバーナ3の燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4が設けられ、コンロ本体1の上部は、トッププレート5にて覆われ、このトッププレート5の上部に、3つのコンロバーナ2の夫々に対応して、加熱用容器(鍋など)を載置する五徳6が載置支持されるように構成されている。
設置状態の図示は省略するが、コンロ本体1の内部には、マイクロコンピュータを用いてガスコンロの運転を制御するための各種制御を実行するように構成されたコンロコントローラC(図11参照)が設けられている。
【0020】
図1及び図2に示すように、コンロ本体1の前面部の略中央は、コンロ本体1に内蔵したグリルGにおけるグリル庫7の前部開口部8にて開口されている。尚、図2は、トッププレート5を省略した状態でのガスコンロの斜視図である。
コンロ本体1の前面部におけるグリル庫7の前部開口部8の左側には、グリルバーナ3を操作するためのグリル操作部30が設けられている。
図1〜図4に示すように、コンロ本体1の前面部におけるグリル庫7の前部開口部8の右側には、コンロバーナ2の点火、 消火や火力の調整等の操作を行うコンロ操作つまみ40が3つのコンロバーナ2夫々に対応して設けられ、コンロバーナ2の火力を表示する火力表示部9が3つのコンロ操作つまみ40夫々に対応して設けられている。更に、各コンロバーナ2を操作するためのコンロ操作部50、及び、電源スイッチ10も設けられている。
【0021】
図1〜図4に示すように、グリル用操作部30及びコンロ操作部50は、押し操作する毎に、前倒れ状態となってパネルスイッチにて構成される操作面が露呈する開き状態と操作面が収納される閉じ状態とに切り換え自在に構成されている。
図1に示すように、グリル操作部30には、グリルバーナ3の点火及び消火を行うグリル運転スイッチ31、グリルバーナ3の火力の調整を行う火力調整スイッチ32、自動焼きモードを設定する自動焼きモードスイッチ33、及び、タイマ運転モードを設定するタイマ運転スイッチ34等が設けられている。
自動焼きモードは、グリル運転スイッチ31によるグリルバーナ3の点火後、所定の燃焼条件でグリルバーナ3を燃焼させ、被調理物の焼き調理の終了が予測されるタイミングで自動的にグリルバーナ3を消火するモードである。
タイマ運転スイッチ34は、タイマ時間を設定自在であり、タイマ運転モードは、グリル運転スイッチ31によるグリルバーナ3の点火後、火力調整スイッチ32にて設定された火力でグリルバーナ3を燃焼させ、タイマ運転スイッチ34にて設定されたタイマ時間が経過すると自動的にグリルバーナ3を消火するモードである。
【0022】
つまり、自動焼きモード及びタイマ運転モード夫々は、グリルバーナ3による被加熱物の加熱を終了すべきタイミングになるとグリルバーナ3を消火する(加熱手段の加熱作動を停止する)自動モードに相当する。
そして、図11に示すように、3つのコンロバーナ2及びグリルバーナ3の作動を制御する加熱制御手段としての燃焼制御手段C2が、コンロコントローラCを用いて構成され、この燃焼制御手段C2が自動焼きモードやタイマ運転モードの自動モードを実行可能に構成され、自動焼きモードスイッチ33及びタイマ運転スイッチ34夫々は、燃焼制御手段C2に自動モードの実行を指令する指令手段として機能する。
【0023】
図1、図2及び図9に示すように、コンロ操作部50には、各コンロバーナ2に対応して、自動調理メニューを設定する自動調理メニュー設定パネル51が設けられている。
自動調理メニュー設定パネル51では、タイマ運転モード、炊飯モード、湯沸しモード等の複数の自動調理モードから任意のものを択一的に設定自在である。
炊飯モードや湯沸しモードは、コンロ操作つまみ40によるコンロバーナ2の点火後、所定の燃焼条件でコンロバーナ2を燃焼させ、炊飯や湯沸しの完了が予測されるタイミングで自動的にコンロバーナ2を消火するモードである。
自動調理メニュー設定パネル51はタイマ時間を設定自在であり、タイマ運転モードは、コンロ操作つまみ40によるコンロバーナ2の点火後、そのコンロ操作つまみ40にて設定された火力でコンロバーナ2を燃焼させ、自動調理メニュー設定パネル51にて設定されたタイマ時間が経過すると自動的にコンロバーナ2を消火するモードである。
【0024】
図3、図4及び図9に示すように、各コンロ操作つまみ40は、自動復帰型の押し操作式に構成されると共に、所定の角度範囲で回動自在に構成されている。そして、コンロ操作つまみ40を引っ込み状態から押し操作して出っ張り状態にすることにより、コンロバーナ2の点火が指令され、コンロ操作つまみ40を出っ張り状態から押し操作して引っ込み状態にすることにより、コンロバーナ2の消火が指令され、更に、出っ張り状態のコンロ操作つまみ40を回動操作することにより、コンロバーナ2の火力が設定される構成となっている。
つまり、設置状態の図示を省略するが、ガスコンロの前面パネルの内部には、コンロ操作つまみ40の押し込み操作によりオンオフが切り換えられて点火指令及び消火指令を指令する押し操作式の点消火スイッチ44(図11参照)、及び、コンロ操作つまみ40の回動操作に伴ってパルス信号を発生させて火力を指令するロータリーエンコーダ45(図11参照)が設けられている。
【0025】
図3、図4及び図9に示すように、各コンロ操作つまみ40は、筒状のつまみ本体41に、筒状のコンロ用導光部材42を内嵌すると共に、そのコンロ用導光部材42の前端開口部を蓋体43にて閉塞して構成されている。
コンロ用導光部材42は、図示を省略するが、その後端面が、前後方向(コンロ用導光部材42の軸心方向)の後方側から光を入射可能な入光部となり、そのリング状の前端面が、光を放射する放射面42rとなって、入光部に入射した光を導いて放射面42rから放射するように構成されている。
【0026】
図示を省略するが、各コンロ操作つまみ40の後方側には、発光に指向性を有するコンロ用発光部11(図11参照)が、コンロ用導光部材42の入光部に光を入射させるべく発光方向を前方向きにして設けられている。このコンロ用発光部11は、白色発光体11wと橙色発光体11oとにより構成されて、発光色を白色と橙色とに切り換え自在に構成されている。ちなみに、白色発光体11w及び橙色発光体11oは、夫々、LEDランプにて構成されている。
そして、白色発光体11wを発光させると、コンロ用導光部材42の放射面42rにより、コンロ操作つまみ40の外周がリング状で白色に光り(図4参照)、橙色発光体11oを発光させると、コンロ用導光部材42の放射面42rにより、コンロ操作つまみ40の外周がリング状で橙色に光る(図4参照)。
【0027】
以下、グリルGについて説明を加える。
図1〜図4に示すように、このグリルGは、グリル庫7と、そのグリル庫7の内部を加熱するグリルバーナ3と、取手60を有する扉70を有して被加熱物(図示省略)を載置自在な引出部Hとを備えて構成されている。そして、その引出部Hが、グリル庫7の前部開口部8を扉70にて閉じる状態でそのグリル庫7内に収納される収納位置(図1及び図4参照)とグリル庫7の前方に引き出された引出位置(図2参照)とに出退移動自在で、且つ、グリル庫7から取り外し自在に設けられている。ちなみに、引出位置とは、引出部Hがその大部分がグリル庫7から引き出された状態でコンロ本体1に支持される状態である。尚、図3は、引出部Hが引出位置の手前の位置までグリル庫7から引き出された状態を示す。
又、グリル庫7は、前部が前部開口部8にて開口された直方体形状の箱状に構成されている。
ちなみに、図示を省略するが、引出部Hには焼き網が載置自在に備えられ、被加熱物はその焼き網に載置されることにより、引出部Hに載置されることになる。
【0028】
グリルバーナ3は、図2及び図11に示すように、グリル庫7内の上部に位置して、焼き網に載置された被加熱物を上側から加熱する上側バーナ3aと、グリル庫7内の下部両側方に離れて位置して(設置状態の図示は省略する)、焼き網に載置された被加熱物を下側両側方から加熱する一対の下側バーナ3b(図11参照)とを備えて構成してある。
【0029】
図2に示すように、引出部Hは、グリル庫7内の左右両側の下部に設けられた一対の案内レール(図示省略)にてガスコンロ本体1の前後方向に移動案内される一対のアーム部材14を備え、その一対のアーム部材14の前端に扉70が立ち姿勢で取り付けられて構成されている。一対のアーム部材14には、汁受皿15が載置自在に構成され、更に、その汁受皿15に焼き網(図示省略)が載置自在に構成されている。尚、設置状態の図示を省略するが、焼き網は、図2に示される汁受皿15上に載置されることになる。
そして、引出部Hが左右一対の案内レールの案内にて収納位置と引出位置とに出退移動自在な構成とされている。又、引出部Hを引出位置において持ち上げて更に引き出すと、引出部Hを一対の案内レールから取り外すことができ、逆の操作で引出部Hを一対の案内レールに装着することができる構成とされている。
【0030】
図3〜図6に示すように、本発明では、扉70に、外部から光を入射可能な入光部16iと、その入光部16iから入射した光を放射する放射面16rとを備えるグリル用導光部材16が設けられている。
そして、入光部16iが、引出部Hが収納位置に位置する状態で、前部開口部8の内面部に近接し、且つ、引出部Hの出退移動方向(前後方向に相当する)に交差する方向から光が入射可能なように、導光部材16に備えられている。
又、放射面16rが、前方側から視認可能なように、導光部材16に備えられている。
ちなみに、入光部16iは、グリル用導光部材16における前面視での周部の一部、即ち、前面視において、例えば、右向きの側面、左向きの側面、上面及び下面等に備えられる。
又、図7〜図9にも示すように、引出部Hが収納位置に位置する状態で入光部16iに光を入射可能なように、発光手段としてのグリル用発光部17が前部開口部8に設けられている。
そして、そのグリル用発光部17の作動を制御する発光制御手段C1(図11参照)が、グリル庫7を備えたコンロ本体1(グリル本体に相当する)に設けられている。つまり、この実施形態では、図11に示すように、発光制御手段C1は、グリル用発光部17の作動に加えて、コンロ用発光部11の作動も制御するように、コンロコントローラCを用いて構成されている。そして、グリルGがガスコンロに備えられているので、コンロ本体1がグリル本体に相当する。
【0031】
尚、図3は、グリル用導光部材16の放射面16rが光っていない状態を示し、図4は、グリル用導光部材16の放射面16rが光っている状態を示す。
又、図5の(a)は、扉70の右側面図であり、(b)は、扉70の横幅方向略中央での縦断右側面図である。
又、図7は、グリル用導光部材16とグリル用発光部17との配置形態を示す前方上側から見た斜視図であり、図8は、グリル用導光部材16とグリル用発光部17との配置形態を示す後方上側から見た斜視図である。
【0032】
次に、扉70について説明を加える。
図3〜図6に示すように、扉70は、前部開口部8を閉じる扉本体71と、その扉本体71の前面の上方側に装着されるガラス板72と、その扉本体71の前面の下方側に装着される扉化粧板73とを備えて構成されている。
扉本体71の上方側には、横長の窓71wが形成され、ガラス板72には、扉本体71の窓71wに合わせて、横長状の透明部分が備えられている。
又、扉化粧板73には、後述するグリル用導光部材16を挿通させるためのスリット73sが水平方向に沿わせて形成されている。
【0033】
次に、取手60及びグリル用導光部材16について説明を加える。
図3〜図6に示すように、グリル用導光部材16は、全体的には、取手60の横幅方向全長にわたる細長状に構成されている。
具体的には、図7及び図8にも示すように、グリル用導光部材16は、頂点を対向させて横幅方向に並ぶ一対の四角錐状部16wと、その一対の四角錐状部16wから板面が水平方向に沿う状態で前方に張り出す細長板状の板状放射部16pとを有する形状に、透光性を有する材料(例えば、ポリカーボネイト等の樹脂材料)にて成形されている。
【0034】
グリル用導光部材16の板状放射部16pは、平面視の形状が弧状の縁部を前向きにした概ね弓形状であり、その前面が上向きの傾斜状(換言すれば、斜め上前方向き)に形成されて、斜め上前方向きの放射面16rに構成されている。
グリル用導光部材16の一対の四角錐状部16w夫々は、前後方向に沿う横断面形状が矩形状であり、その矩形状の底面がグリル用導光部材16の横幅方向に直交する横向き状に構成され、その横向きの底面(グリル用導光部材16の右向きの側面、左向きの側面に相当する)を入光部16iとして機能させるように構成されている。
【0035】
図3〜図6に示すように、取手60は細長状に構成されて、その細長状の取手60が、長手方向を横向きにした姿勢で、扉70にその横幅方向の全長にわたるように備えられている。
この取手60は、扉70の横幅方向全長にわたる細長状に構成されて、扉本体71と扉化粧板73との間に配設されるカバー体61と、扉化粧板73の前方に配設される取手体62とを備えて構成されている。
カバー体61には、グリル用導光部材16の一対の四角錐状部16wを嵌め込み可能なように前面に開口する一対の四角錐状凹部61d(図6参照)が、夫々の扉70の横幅方向の端部を開口させた状態で形成されている。このカバー体61は、遮光性を有する材料(例えば、樹脂や金属)にて、一対の四角錐状凹部61dの内面が光の反射が可能な反射面となるように形成されている。
取手体62は、平面視の形状が弧状の縁部を前向きにした概ね弓形状であり、その取手体62には、前後方向に貫通して、グリル用導光部材16の板状放射部16pを挿通可能なスリット62sが形成されている。このスリット62sの前方の開口は、取手体62の上面の前方側の部分に弧状の縁部の略全長に沿って形成されている。この取手体62も、遮光性を有する材料にて、スリット62sの内面が反射面となるように形成されている。
【0036】
そして、カバー体61を扉本体71の前面に配設し、グリル用導光部材16を、その一対の四角錐状部16wをカバー体61の一対の四角錐状凹部61dに嵌め込んだ状態でカバー体61の前方に装着し、続いて、扉化粧板73を、そのスリット73sにグリル用導光部材16の板状放射部16pを挿通させた状態でカバー体61の前方に配設し、更に、取手体62を、そのスリット62sにグリル用導光部材16の板状放射部16pを挿通させた状態で扉化粧板73の前方に配設した状態で、カバー体61、グリル用導光部材16、扉化粧板73及び取手体62を一体的に組み付けて、図示しないボルト等により扉本体71に固定することにより、扉70に取手60が取り付けられると共に、その取手60にグリル用導光部材16が一体的に組み付けられる。
【0037】
このようにグリル用導光部材16が取手60に組み付けられた状態では、グリル用導光部材16の各入光部16i(各四角錐状部16wの底面に相当する)は、各カバー体61の四角錐状凹部61dの横外向き開口によって、取手60の横側部から露出する状態となり、グリル用導光部材16の長手方向に沿う方向(即ち、前後方向に直交する方向)から光の入射が可能になっている。
【0038】
図3〜図5に示すように、このようにグリル用導光部材16が取手60に一体的に組み付けられた状態では、グリル用導光部材16の放射面16rが、取手60の上面の前端部において、その前端縁の略全長にわたって沿う弧状にて斜め上前方向きに露出されることになる。
そして、グリル用導光部材16の各四角錐状部16wの底面の入光部16iに入射した光は、各四角錐状部16wの内部で散乱し且つカバー体61の各四角錐状凹部61dの内面で反射しながら各四角錐状部16wの頂点に向かって進むと共に、板状放射部16pの内部で散乱し且つ取手体62のスリット62sの内面で反射しながら板状放射部16pの先端に向けて進むことになるので、一対の入光部16iから入射した光を長尺弧状の放射面16rの全面から均等に放射させることができ、図4に示すように、長尺弧状の放射面16rを全面にわたって均等に光らせることができる。
【0039】
図2〜図4、図6及び図9に示すように、グリル用発光部17は、グリル庫7の前部開口部8における左右の内面を形成する一対の開口側板18夫々に、引出部Hが収納位置に位置する状態でグリル用導光部材16の各入光部16iに対向するように取り付けられている。
図6〜図9に示すように、各グリル用発光部17は、発光に指向性を有する白色発光体17wと橙色発光体17oとにより構成されて、発光色を白色(第1発光色に相当する)と橙色(第2発光色に相当する)とに切り換え自在に構成されている。ちなみに、白色発光体17w及び橙色発光体17oは、夫々、LEDランプにて構成されている。
各グリル用発光部17の白色発光体17w及び橙色発光体17o夫々は、その発光方向をグリル庫7の前部開口部8の内側向きの水平方向に向けて設けられている。
【0040】
そして、上述のように、扉70に取手60が取り付けられると共に、その取手60にグリル用導光部材16が一体的に組み付けられることにより、細長状の取手60が、長手方向を横向きにした姿勢で、扉70にその横幅方向の全長又は略全長にわたるように備えられ、グリル用導光部材16が、取手60の横幅方向の略全長にわたって放射面16rを露出させた形態で、取手60に一体的に組み付けられることになる。尚、この実施形態では、放射面16rを露出させる向きが、斜め上前方向きに設定されている。
又、入光部16iが、グリル用導光部材16の長手方向の両端に振り分けて一対備えられ、グリル用発光部17が、一対の入光部16iに対応して一対設けられていることになる。
【0041】
次に、図11に基づいて、3つのコンロバーナ2及びグリルバーナ3へのガス供給構成について説明する。
元ガス供給路19から4系統の分岐路19bが分岐されて、3つのコンロバーナ2及びグリルバーナ3夫々に接続され、元ガス供給路19には、元電磁弁20が設けられ、各分岐路19bには、ステッピングモータ(図示省略)の駆動によって燃料ガスの流量を調整して加熱量を調整するための流量制御弁21が備えられている。グリルバーナ3への分岐路19bは、2系統に分岐されて、上側バーナ3aと下側バーナ3b夫々に接続されている。
【0042】
図11に示すように、3つのコンロバーナ2夫々の近傍には、点火プラグ22及び着火状態を検出する熱電対23が設けられ、グリルバーナ3の上側バーナ3a及び下側バーナ3b夫々の近傍にも、点火プラグ22及び熱電対23が設けられている。
更に、3つのコンロバーナ2の夫々には、上下方向に伸縮自在な伸縮機構24が、伸び方向に復帰付勢された状態で下端側が固定されて設けられている。
この伸縮機構24は、五徳6に載置される加熱用容器の底部が当接するのに伴って押し下げられ、加熱用容器が外されると上方に復帰するように構成されている。
そして、各伸縮機構24に対して、加熱用容器が五徳6に載置されて伸縮機構24が押し下げられるのに伴ってオン操作され、五徳6上に載置された加熱用容器が外されて伸縮機構24が上方に復帰するのに伴ってオフ操作されるように、容器検出スイッチ25が設けられている。
【0043】
各伸縮機構24の上端部内には、加熱用容器の温度を検出する容器温度センサ26が設けられ、五徳6上に載置された加熱用容器の底部が伸縮機構24の上端に当接した状態で、この容器温度センサ26により加熱用容器の温度が検出されるように構成されている。又、設置場所の図示は省略するが、グリル部Gには、グリル庫7内の温度を検出するグリル温度センサ29が設けられている。
【0044】
更に、図10に示すように、グリルGには、引出部Hが収納位置に位置しているか否かを検知する扉開閉検知手段としての扉開閉検出スイッチ27が設けられている。
この扉開閉検出スイッチ27は、平面視で、グリル庫7の後方における右側方に設けられている。又、引出部Hの右側のアーム部材14の後端(引出部Hの後部の右角部に相当する位置)には、引出部Hの出退移動に伴って扉開閉検出スイッチ27をオンオフ操作する押圧部材28が設けられている。
つまり、引出部Hが引き出し状態から後方に移動されて収納位置に位置されるのに伴って、押圧部材28により扉開閉検出スイッチ27の操作レバー27rを押圧して扉開閉検出スイッチ27をオンし(図10の(a))、引出部Hが収納位置から前方に引き出されるのに伴って、押圧部材28が扉開閉検出スイッチ27の操作レバー27rから離れて、扉開閉検出スイッチ27をオフにする(図10の(b))ように構成されている。
【0045】
次に、図11に基づいて、このガスコンロの制御構成について説明する。
尚、本願はグリルGに関する発明であるので、3つのコンロバーナ2及びコンロ用発光部11に関する制御の図示や説明は、主要なものに止め、グリルバーナ3及びグリル用発光部17に関する制御について、詳細に説明する。尚、電源スイッチ10がオンされることにより各種の制御の実行が可能となるので、この電源スイッチ10の操作については、記載を省略する。
【0046】
先ず、燃焼制御手段C2におけるグリルバーナ3の制御について、説明する。
燃焼制御手段C2は、自動焼きモード及びタイマ運転モードのいずれも設定されることなく、グリル運転スイッチ31によりグリルGの運転が指令されると、グリルバーナ3を点火する点火処理を実行する。この点火処理では、元電磁弁20を開弁すると共に、グリルバーナ3の火力が予め設定された点火時火力となるように流量制御弁21を制御する状態で、点火プラグ22に駆動信号を与えて点火作動させ、熱電対23により点火が確認されると点火プラグ22の駆動を停止する。
点火処理の終了後は、グリルバーナ3の火力が火力調整スイッチ32にて設定された火力になるように流量制御弁21を制御し、グリル運転スイッチ31によりグリルGの停止が指令されると、元電磁弁20及び流量制御弁21を閉弁してグリルバーナ3を消火する。
【0047】
燃焼制御手段C2は、タイマ運転スイッチ34によりタイマ運転モードが指令された状態で、グリル運転スイッチ31によりグリルGの運転が指令されると、上述のように点火処理を実行した後、グリルバーナ3の火力が火力調整スイッチ32にて設定された火力になるように流量制御弁21を制御し、タイマ運転スイッチ34にて設定されたタイマ時間が経過すると、元電磁弁20及び流量制御弁21を閉弁してグリルバーナ3を消火する。
燃焼制御手段C2は、自動焼きモードスイッチ33により自動焼きモードが指令された状態で、グリル運転スイッチ31によりグリルGの運転が指令されると、上述のように点火処理を実行した後、予め設定された燃焼条件でグリルバーナ3を燃焼させるべく流量制御弁21を制御し、被調理物の焼き調理の終了が予測されるタイミングになると、元電磁弁20及び流量制御弁21を閉弁してグリルバーナ3を消火する。
【0048】
又、燃焼制御手段C2は、自動焼きモード及びタイマ運転モードのいずれも設定されていない場合、タイマ運転スイッチ34によりタイマ運転モードが設定されている場合、並びに、自動焼きモードスイッチ33により自動焼きモードが設定されている場合のいずれの場合でも、熱電対23によりグリルバーナ3の消火が検出されると、あるいは、グリル温度センサ29の検出温度が過熱防止用設定温度以上になってグリルGの過熱が検出されると、元電磁弁20及び流量制御弁21を閉弁する。
【0049】
つまり、グリルバーナ3が立ち消えする状態や、グリル庫7内が過熱防止用設定温度以上に加熱される状態は、加熱手段としてのグリルバーナ3による被加熱物の加熱における異常である。
従って、熱電対23及びグリル温度センサ29は、グリルバーナ3による被加熱物の加熱において加熱異常が発生したことを検知する加熱異常検知手段として機能する。
【0050】
次に、発光制御手段C1におけるグリル用発光部17の制御について、説明する。
発光制御手段C1は、グリル運転スイッチ31によりグリルGの運転が指令されていない状態で、扉開閉検出スイッチ27により引出部Hが収納位置に位置している状態が検出されると、白色発光体17wを発光させる。
発光制御手段C1は、このように扉開閉検出スイッチ27により引出部Hが収納位置に位置している状態が検出されることに基づいて白色発光体17wを発光させると、タイマ運転スイッチ34によりタイマ運転モードが設定されたり、自動焼きモードスイッチ33により自動焼きモードが設定されても、この白色発光体17wの発光状態を維持する。
【0051】
続いて、発光制御手段C1は、自動焼きモード及びタイマ運転モードのいずれも設定されていない場合、タイマ運転スイッチ34によりタイマ運転モードが設定されている場合、並びに、自動焼きモードスイッチ33により自動焼きモードが設定されている場合のいずれの場合でも、グリル運転スイッチ31によりグリルGの運転が指令されて、点火処理が実行された後、熱電対23により点火が確認されると、白色発光体17wを消灯して、橙色発光体17oを発光させる。
【0052】
そして、発光制御手段C1は、グリル運転スイッチ31によりグリルGの停止が指令されてグリルバーナ3が消火されるのに伴って、熱電対23によりグリルバーナ3の消火が確認されると、橙色発光体17oを消灯して、白色発光体17wを発光させる。
又、発光制御手段C1は、タイマ運転モードの実行中に、タイマ運転スイッチ34にて設定されたタイマ時間が経過してグリルバーナ3が消火されるのに伴って、熱電対23によりグリルバーナ3の消火が確認されると、橙色発光体17oを消灯して、白色発光体17wを点滅させる。
又、発光制御手段C1は、自動焼きモードの実行中に、焼き調理の終了が予測されるタイミングになってグリルバーナ3が消火されるのに伴って、熱電対23によりグリルバーナ3の消火が確認されると、橙色発光体17oを消灯して、白色発光体17wを点滅させる。
【0053】
又、発光制御手段C1は、自動焼きモード及びタイマ運転モードのいずれも設定されていない場合、タイマ運転スイッチ34によりタイマ運転モードが設定されている場合、並びに、自動焼きモードスイッチ33により自動焼きモードが設定されている場合のいずれの場合でも、熱電対23によりグリルバーナ3の消火が検出される、あるいは、グリル温度センサ29の検出温度が過熱防止用設定温度以上になるのに伴って、橙色発光体17oを点滅させる。
【0054】
つまり、発光制御手段C1が、自動焼きモードスイッチ33やタイマ運転スイッチ34(指令手段に相当する)により自動焼きモードやタイマ運転モード(自動モードに相当する)が指令されている状態において、燃焼加熱制御手段C2がグリルバーナ3の加熱作動を開始する前では、グリル発光部17を白色(第1発光色に相当する)で発光させ、燃焼制御手段C2がグリルバーナ3の加熱作動を開始した後では、グリル発光部17を橙色(第2発光色に相当する)で発光させるように構成されていることになる。
【0055】
又、発光制御手段C1が、熱電対23やグリル温度センサ29(いずれも加熱異常検知手段に相当する)により加熱異常が検知されることなく自動焼きモードやタイマ運転モードが終了したときは、グリル用発光部17を白色(第1発光色に相当する)で点滅させ、自動焼きモードやタイマ運転モードの実行中に熱電対23やグリル温度センサ29により加熱異常が検知されたときは、グリル用発光部17を橙色(第2発光色に相当する)で点滅させるように構成されていることになる。
【0056】
更に、燃焼制御手段C2は、上述のように白色発光体17w及び橙色発光体17oの作動を制御して、白色発光体17w及び橙色発光体17oのいずれかを点灯又は点滅させている状態で、扉開閉検出スイッチ27がオフして引出部Hが収納位置に位置していない状態が検出されると、点灯または点滅させている白色発光体17w又は橙色発光体17oを消灯する。
つまり、発光制御手段C2が、扉開閉検知スイッチ27により引出部Hが収納位置に位置していないことが検知されると、グリル発光部17を消灯させるように構成されていることになる。
【0057】
次に、使用者によるグリル操作部30の操作や引出部Hの出退操作に伴うグリル用導光部材16の放射面16rの発光状態について、説明する。尚、下記の説明において、グリル用導光部材16の放射面16rが光ったり点滅したりする状態は、図4に示されている。
使用者が引出部Hを押し込み操作して引出部Hを収納位置に位置させると、扉開閉検出スイッチ27がオンして白色発光体17wが発光するのに伴って、取手60に設けられたグリル用導光部材16の放射面16rが扉70の横幅方向の略全長にわたって細長く白色に光る。これにより、使用者は、引出部Hが適正に収納位置に収納されたことを明確に認識することができる。
尚、グリル用導光部材16の放射面16rが光ったり点滅したりする形態は、上述のように扉70の横幅方向の略全長にわたる細長い形態となるが、以下の説明では、グリル用導光部材16の放射面16rが光ったり点滅したりするときの形態の記載は省略する。
【0058】
そして、自動焼きモード及びタイマ運転モードのいずれも設定していない場合、タイマ運転スイッチ34によりタイマ運転モードを設定した場合、並びに、自動焼きモードスイッチ33により自動焼きモードを設定した場合のいずれの場合でも、使用者は、グリル運転スイッチ31によりグリルGの運転を指令すると、グリルバーナ3が点火して橙色発光体17oが発光するのに伴って、取手60に設けられたグリル用導光部材16の放射面16rが橙色に光る。これにより、使用者は、グリルバーナ3が燃焼していることを明確に認識することができる。
【0059】
又、使用者は、グリル運転スイッチ31によりグリルGの停止を指令すると、グリルバーナ3が消火して橙色発光体17oが消灯すると共に白色発光体17wが発光するのに伴って、橙色に光っていたグリル用導光部材16の放射面16rが白色に光る。これにより、使用者は、正常にグリルバーナ3が消火したことを明確に認識することができる。
又、タイマ運転モードの実行中にタイマ時間が経過してタイマ運転モードが正常に終了すると、又は、自動焼きモードの実行中に焼き調理の終了が予測されるタイミングになって自動焼きモードが正常に終了すると、グリルバーナ3が消火して橙色発光体17oが消灯すると共に白色発光体17wが点滅するのに伴って、橙色に光っていたグリル用導光部材16の放射面16rが白色で点滅する。これにより、使用者は、タイマ運転モード又は自動焼きモードが正常に終了したことを明確に認識することができる。
【0060】
又、自動焼きモード及びタイマ運転モードのいずれも設定していない場合、タイマ運転スイッチ34によりタイマ運転モードを設定している場合、並びに、自動焼きモードスイッチ33により自動焼きモードを設定している場合のいずれの場合でも、グリルバーナ3が燃焼しているときに、グリルバーナ3が立ち消えしたり、グリル庫7内の温度が異常に高くなってグリルバーナ3が消火されたりして、発光していた橙色発光体17oが点滅するのに伴って、橙色に光っていたグリル用導光部材16の放射面16rが橙色で点滅する。これにより、使用者は、グリルGの運転中に異常が起こってグリルバーナ3が消火したことを明確に認識することができる。
【0061】
更に、引出部Hが収納位置に位置していないと、取手60の放射面16rが光りも点滅もしないので、使用者は引出部Hが適正位置に収納されていないことを明確に認識することができる。
又、取手60の放射面16rが白色又は橙色のいずれかで光っている又は点滅しているときに、引出部Hを引き出すと、取手60の放射面16rの発光や点滅が停止するので、使用者は引出部Hを引き出したことを明確に認識することができる。
【0062】
次に、燃焼制御手段C2における3つのコンロバーナ2の制御について、簡単に説明する。尚、3つのコンロバーナ2夫々の制御構成は同様であるので、以下では、1個のコンロバーナ2を対象にして説明する。
燃焼制御手段C2は、点消火スイッチ44がオフ状態からオン状態に切り換えられて点火指令が指令されると、コンロバーナ2を点火する点火処理を実行する。この点火処理では、元電磁弁20を開弁すると共に、コンロバーナ2の火力が点火時火力となるように流量制御弁21を制御する状態で、点火プラグ22に駆動信号を与えて点火作動させ、熱電対23により点火が確認されると点火プラグ22の駆動を停止する。
【0063】
燃焼制御手段C2は、点火処理の後は、自動調理メニュー設定パネル51により自動調理メニューが設定されていない場合は、ロータリーエンコーダ45により指令される火力になるように流量制御弁21を制御し、点消火スイッチ44がオン状態からオフ状態に切り換えられて消火指令が指令されると、元電磁弁20及び流量制御弁21を閉弁してコンロバーナ2を消火する。
又、燃焼制御手段C2は、自動調理メニュー設定パネル51により自動調理メニューが設定されている場合は、点火処理の後、設定された自動メニューを実行し、その自動メニューを終了するタイミングになると、元電磁弁20及び流量制御弁21を閉弁してコンロバーナ2を消火する。
【0064】
又、燃焼制御手段C2は、コンロバーナ2の燃焼中に、熱電対23によりコンロバーナ2の消火が検出されると、あるいは、容器温度センサ26の検出温度が過熱防止用設定温度以上になって被加熱物の過熱が検出されると、元電磁弁20及び流量制御弁21を閉弁する。
【0065】
次に、発光制御手段C1におけるコンロ用発光部11の制御について、説明する。
発光制御手段C1は、点消火スイッチ44により点火が指令されていない状態で、五徳6上に加熱用容器が載置されて、容器検出スイッチ25がオンすると、白色発光体11wを発光させ、そのように白色発光体11wを発光させている状態で、容器検出スイッチ25がオフすると、白色発光体11wを消灯する。
つまり、使用者が加熱用容器を五徳6上に載置すると、コンロ操作つまみ40に設けられたコンロ用導光部材42の放射面42rがコンロ操作つまみ40の外周に沿うリング状で白色に光り、加熱用容器を持ち上げると光らなくなるので、使用者は、加熱用容器を五徳6上に適正に載置しているか否かを明確に認識することができる。尚、コンロ用導光部材42の放射面42rが光ったり点滅したりする形態は、上述のようにコンロ操作つまみ40の外周に沿うリング状の形態となるが、以下の説明では、コンロ用導光部材42の放射面42rが光ったり点滅したりするときの形態の記載は省略する。
【0066】

発光制御手段C1は、容器検出スイッチ25がオンすることに基づいて白色発光体11wを発光させている状態で、自動調理メニュー設定パネル51により自動調理メニューが設定されても、この白色発光体11wの発光状態を維持する。つまり、コンロ操作つまみ40に設けられたコンロ用導光部材42の放射面42rが白色に光る状態が続く。
続いて、点消火スイッチ44により点火が指令されて、点火処理が実行された後、熱電対23により点火が確認されると、自動調理メニュー設定パネル51により自動調理メニューが設定されているか否かにかかわらず、白色発光体11wを消灯して、橙色発光体11oを発光させる。
つまり、使用者が引っ込み状態のコンロ操作つまみ40を押して出っ張り状態にすると、コンロバーナ2が点火すれば、白色に光っていたコンロ用導光部材42の放射面42rが橙色に光るので、使用者は、コンロバーナ2が燃焼していることを明確に認識することができる。
【0067】
そして、燃焼制御手段C2は、点消火スイッチ44によりコンロバーナ2の消火がされるのに伴って、熱電対23によりコンロバーナ2の消火が確認されると、橙色発光体11oを消灯して、白色発光体11wを発光させる。
つまり、使用者が出っ張り状態のコンロ操作つまみ40を押して引っ込み状態にすると、橙色に光っていたコンロ用導光部材42の放射面42rが白色に光るので、使用者は、コンロバーナ2が消火したのを明確に認識することができる。
又、燃焼制御手段C2は、自動調理メニューの実行中に、自動メニューを終了するタイミングになるのに伴って、熱電対23によりコンロバーナ2の消火が確認されると、橙色発光体11oを消灯して、白色発光体11wを点滅させる。
つまり、橙色に光っていたコンロ用導光部材42の放射面42rが白色で点滅するので、使用者は、自動調理メニューが終了したのを明確に認識することができる。
【0068】
燃焼制御手段C2は、自動調理メニュー設定パネル51により自動調理メニューが設定されているか否かにかかわらず、コンロバーナ2の燃焼中に、熱電対23によりコンロバーナ2の消火が検出される、あるいは、容器温度センサ26の検出温度が過熱防止用設定温度以上になると、橙色発光体11oを点滅させる。
つまり、橙色に光っていたコンロ用導光部材42の放射面42rが橙色で点滅するので、使用者は、コンロバーナ2が非常消火されたことを明確に認識することができる。
【0069】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 扉70に対するグリル用導光部材16の設置形態は、上記の実施形態において説明した形態、即ち、扉70の取手60に一体的に組み付ける形態に限定されるものではない。
例えば、扉70の前面における取手60以外の箇所に設けても良い。
又、グリル用導光部材16の設置個数は、上記の実施形態の如き1個に限定されるものではなく、複数個設けても良い。グリル用導光部材16を複数個設ける場合は、各グリル用導光部材16の入光部16iに対応して、グリル用発光部17を設けることになる。
【0070】
(ロ) グリル用導光部材16の放射面16rの形状は、上記の実施形態の如き細長形状に限定されるものではなく、例えば、魚等、グリルの印象付けが可能な形を図柄化した形状や四角枠状の形状でも良い。この場合、入光部16iは、放射面16rを略全面にわたって極力均等に光らせることができるように、放射面16rの形状に応じて複数個所に設け、グリル用発光部17も、複数の入光部16i夫々に対応して設けることになる。
【0071】
(ハ) グリル用導光部材16に備える放射面16rの向きは、上記の実施形態において例示した斜め上前方向きに限定されるものではなく、例えば、正面前向きでも良い。
又、グリル用導光部材16に、正面前向きの前面と垂直上向きの上面とを備えて、その前面と上面の両面を放射面16rとするように構成しても良い。
【0072】
(ニ) グリル用導光部材16の放射面16rをシボ加工等により梨地状に加工すると、光を乱反射させて、放射面16rをより一層均等に光らせることができる。
【0073】
(ホ) 上記の実施形態では、グリル用発光部17の発光色を白色と橙色との2色で切り換え自在に構成したが、グリル用発光部17の発光色は、1色のみでも良く、3色以上で切り換え自在に構成しても良い。
【0074】
(ヘ) グリル用発光部17を点滅させる場合、点滅パターンを複数種設定して、報知する情報を異ならせるように構成しても良い。
【0075】
(ト) 上記の実施形態においては、本発明をガスコンロに内蔵されたグリルGに適用する場合について例示したが、本発明は、グリルGのみを備えたものにも適用することができる。
又、ハロゲンランプ、電気抵抗線を内蔵したシーズヒータ、又は、電磁誘導加熱(通常、「IH」と呼ばれる)を行う磁界発生コイル等の電気式加熱手段を備えたコンロに内蔵されたグリルGにも適用することができる。
この場合、グリル庫7内を加熱する加熱手段としては、上記の実施形態において例示したグリルバーナ3に代えて、シーズヒータ等の電気式加熱手段を設けることになる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、グリル運転情報を使用者に認識し易いように報知し得るグリルを提供することができる。
【符号の説明】
【0077】
3 グリルバーナ(加熱手段)
7 グリル庫
8 前部開口部
16 グリル用導光部材(導光部材)
16i 入光部
16r 放射面
17 グリル用発光部(発光手段)
23 熱電対(加熱異常検知手段)
27 扉開閉検出スイッチ(扉開閉検知手段)
29 グリル温度センサ(加熱異常検知手段)
33 自動焼きモードスイッチ(指令手段)
34 タイマ運転スイッチ(指令手段)
60 取手
70 扉
C1 発光制御手段
C2 燃焼制御手段(加熱制御手段)
G グリル
H 引出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル庫と、取手を有する扉を有して被加熱物を載置自在な引出部とを備え、その引出部が、前記グリル庫の前部開口部を前記扉にて閉じる状態でそのグリル庫内に収納される収納位置と前記グリル庫の前方に引き出された引出位置とに出退移動自在に設けられたグリルであって、
前記扉に、外部から光を入射可能な入光部と、その入光部から入射した光を放射する放射面とを備える導光部材が設けられ、
前記入光部が、前記引出部が前記収納位置に位置する状態で、前記前部開口部の内面部に近接し、且つ、前記引出部の出退移動方向に交差する方向から光が入射可能なように、前記導光部材に備えられ、
前記放射面が、前方側から視認可能なように、前記導光部材に備えられ、
前記引出部が前記収納位置に位置する状態で前記入光部に光を入射可能なように、発光手段が前記前部開口部に設けられ、
その発光手段の作動を制御する発光制御手段が設けられているグリル。
【請求項2】
前記取手が、細長状に構成され、
その細長状の取手が、その長手方向を横向きにした姿勢で、前記扉にその横幅方向の全長又は略全長にわたるように備えられ、
前記導光部材が、前記取手の横幅方向の略全長にわたって前記放射面を露出させた形態で、前記取手に一体的に組み付けられ、
前記入光部が、前記導光部材の長手方向の両端に振り分けて一対備えられ、
前記発光手段が、前記一対の入光部に対応して一対設けられている請求項1に記載のグリル。
【請求項3】
前記引出部に載置されている被加熱物を加熱する加熱手段の作動を制御する加熱制御手段が、設けられ、
その加熱制御手段が、前記加熱手段による被加熱物の加熱を終了すべきタイミングになると前記加熱手段の加熱作動を停止する自動モードを実行可能に構成され、
前記加熱制御手段に前記自動モードの実行を指令する指令手段が設けられ、
前記発光手段が、発光色を互いに異なる第1発光色と第2発光色とに切り換え自在に構成され、
前記発光制御手段が、前記指令手段により前記自動モードが指令されている状態において、前記加熱制御手段が前記加熱手段の加熱作動を開始する前では、前記発光手段を前記第1発光色で発光させ、前記加熱制御手段が前記加熱手段の加熱作動を開始した後では、前記発光手段を前記第2発光色で発光させるように構成されている請求項1又は2に記載のグリル。
【請求項4】
前記加熱手段による被加熱物の加熱における異常である加熱異常が発生したことを検知する加熱異常検知手段が設けられ、
前記発光制御手段が、前記加熱異常検知手段により加熱異常が検知されることなく前記自動モードが終了したときは、前記発光手段を前記第1発光色で点滅させ、前記自動モードの実行中に前記加熱異常検知手段により加熱異常が検知されたときは、前記発光手段を前記第2発光色で点滅させるように構成されている請求項3に記載のグリル。
【請求項5】
前記引出部が前記収納位置に位置しているか否かを検知する扉開閉検知手段が設けられ、
前記発光制御手段が、前記扉開閉検知手段により前記引出部が前記収納位置に位置していないことが検知されると、前記発光手段を消灯させるように構成されている1〜4のいずれか1項に記載のグリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−215327(P2012−215327A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79821(P2011−79821)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】