説明

グルココルチコイドの部位時間制御胃腸放出作用を有する錠剤

【課題】グルココルチコイドの部位−及び時間制御放出作用を有する製薬的剤形を提供することであったが、これは患者の食物摂取と無関係に腸の特に所望部位で再現可能な生体内放出を可能にするものである。
【解決手段】グルココルチコイドの部位−及び時間制御放出作用を有する製薬的剤形により解決されるが、これは、(a)少なくとも1種のグルココルチコイドを有しかつコアが胃腸液と接触する際にグルココルチコイドがこの剤形から迅速に放出されるような、少なくとも1種の膨潤性佐剤を有するコア;及び(b)コア上に圧縮成形された不活性コーティングから成るが、このコーティングは剤形摂取の後の一定時間の間グルココルチコイドの実質的な放出を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルココルチコイドの部位−及び時間制御の胃腸放出作用を有する製薬的剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
胃における非ステロイド抗炎症薬の放出によって屡々胃粘膜の潰瘍が生じる。このため、現在ほぼ専ら耐胃液性コーティングを有する錠剤が使用される。この欠点は、活性成分が腸への入口で非常に早く放出されることが多いことである。従ってこの技術を用いては、活性成分放出の部位の制御だけは可能であるが、放出のタイミングの制御はできない。
【0003】
活性成分の中には吸収が胃腸管の特定場所(absorption window)でしか可能でないものがある。血漿中への活性成分進入/移動は、病理的状態が一日の特定時間に特に現れる(サーカディアンリズム)場合にだけ望まれることが多い。例えば早朝の喘息又は虚血、朝の関節痛などがそうである。他方では、薬剤の効果が炎症(例えば潰瘍性大腸炎又はクローン病)又は胃腸管の感染用のように、胃腸管で局所的にだけ望まれることが多い薬剤もある。
【0004】
コーティング錠剤が、特に活性成分の遅延放出目的で、屡々記載されてきたが、この場合には活性成分が放出されない初期相(遅滞相)の後に、活性成分が錠剤から放出される。
【0005】
例えば、WO02/072033には、コーティング材料の塗布量が遅滞相を決定すると記載されている。コーティングは膨潤性材料から成り、その孔を通って活性成分が放出される。この場合にコーティングの膨潤性マトリックスを通る拡散が放出決定因子となる。しかし孔を通る放出が所望の遅滞相の後に自発的に起こらないことも多く、反対に程度の差はあれ急速な放出の発現がある。更にコーティングの膨潤及び浸食に対する食物の影響が非常に重大である。
【0006】
US5464633には、活性物質の遅延放出用の錠剤が記載されている。この錠剤は、活性成分及びポリマーから成るコアとポリマー含有コーティングから成る。
【0007】
EP0463877には、活性成分の制御放出用の製剤が記載されているが、これはコア及びコーティング層から成り、このコーティング層は撥水性塩及びコポリマーから成る。
【0008】
コア及び活性成分を胃腸管下部(結腸)で放出させるための多層コーティングから成る製剤が、例えばEP0366621から公知である。結腸でのみそこに存在する細菌によって分解されるフィルムコーティングは、しかしながら活性成分を腸上部で放出させるためには不適当である。
【0009】
WO01/80824(Eurand)には、活性成分の他に親水性の膨潤性ポリマーも含むコア及び少なくとも1種の水に不溶性のポリマーから成る周囲のコーティングを有する、製薬的剤形が記載されている。
【0010】
EP0939623B1及びUS6183780(Duphar)には、コア及びコーティングから成る遅延放出作用を有する経口剤形が記載されているが、ここではコーティングは1種以上のポリマー、水溶性可塑剤及びコーティングの脆性を増す物質から成る。この形式の欠点は、特に食物の影響が危惧されることである。
【0011】
EP1067910(Bar−Shalom)には、少なくとも1種の浸食性表面を有する経口剤形が記載されている。EP1275381(Yamanouchi)には同じくコーティングを有するコア錠剤が記載されているが、コーティングは膨潤性の親水性ポリマーから成る。これらの場合にも食物の影響は大きい。
【0012】
複数の層を有する生物学的不活性ペレット形のジリチアゼムの投与がUS6620439(Elite Labs)に記載されている。この場合に活性成分は朝の動脈性閉塞を治療するために摂取数時間後に放出される。
【0013】
US特許5792476には、慢性関節リウマチ用に経口投与するための医薬組成物が記載されているが、これは活性成分としてのグルココルチコイドを含み、小腸で放出させる。この組成物は、pH6.8に対しては耐性である内部層及びpH1.0に対して耐性である外部層をラミネートしてある顆粒である。
【0014】
US特許6488960には、US特許5792476に記載されている製法を参照にして、コルチコイロドの制御放出用の製薬的剤形が記載されている。
【0015】
WO01/08421には、その中の1層が他の層により完全に封入されている少なくとも2層の層によってコーティングされた錠剤が記載されている。このコーティング層は噴霧塗布及び/又は圧縮成形によって製造することができる。
【0016】
WO01/68056には、時間遅延の放出プロフィールを有する製剤が開示されているが、これはコア及びこのコアを取り巻く少なくとも1種の親水性又は親油性コーティングから成り、ここでコーティングは、放出媒体中に存在する水によりゆっくりと膨潤し、溶解し、浸食されるか又はその構造が変えられるので、コア又はコアの一部が放出媒体と接触可能になる。コーティングは例えば圧縮コーティングとして成形することができる。
【0017】
WO02/072034には、活性成分としてグルココルチコイドを含むコア及び遅延放出をもたらし、少なくとも1種の天然又は合成ガムを含む物質を有する、遅延放出用の製薬的剤形が記載されている。
【0018】
WO2004/093843には、特異的な遅延放出法で活性成分を放出するための特異的なコア形状を有する錠剤が開示されているが、これは参照までに本明細書に組込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】WO02/072033
【特許文献2】US5464633
【特許文献3】EP0463877
【特許文献4】EP0366621
【特許文献5】WO01/80824
【特許文献6】EP0939623B1
【特許文献7】US6183780
【特許文献8】EP1067910
【特許文献9】EP1275381
【特許文献10】US6620439
【特許文献11】US5792476
【特許文献12】US6488960
【特許文献13】WO01/08421
【特許文献14】WO01/68056
【特許文献15】WO02/072034
【特許文献16】WO2004/093843
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の根底をなす課題は、グルココルチコイドの部位−及び時間制御放出作用を有する製薬的剤形を提供することであったが、これは患者の食物摂取と無関係に腸の特に所望部位で再現可能な生体内放出を可能にするものである。更に、グルココルチコイド放出過程自体が適切な医療指示を基にできるかぎり最適に制御可能なものであることも課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この課題は、グルココルチコイドの部位−及び時間制御放出作用を有する製薬的剤形により解決されるが、これは、
(a)少なくとも1種のグルココルチコイドを有しかつコアが胃腸液と接触する際にグルココルチコイドがこの剤形から迅速に放出されるような、少なくとも1種の膨潤性佐剤を有するコア;及び
(b)コア上に圧縮成形された不活性コーティングから成るが、このコーティングは剤形摂取の後の一定時間の間グルココルチコイドの実質的な放出を抑制することができる。
【0022】
もう一つの態様では、本発明は、部位−及び時間制御剤形でグルココルチコイドを用いる治療の必要がある患者の治療法に関するが、この方法は前記患者の本明細書に記載の製薬的剤形を投与することから成る。
【0023】
もう一つの態様では、本発明は、グルココルチコイドの部位−及び時間制御胃腸放出作用を有する本明細書に記載の剤形の少なくとも1回服用量調剤から成るキットに関する。キットは場合により1回服用量調剤の使用指針を含む。
【0024】
もう一つの態様では、本発明は、胃腸管の前もって定めた種々の場所でグルココルチコイド活性成分を放出する錠剤の製法に関するが、この方法は、グルココルチコイドを送達することが望まれる胃腸管の場所を定め;グルココルチコイド及び膨潤性佐剤から成るコア及び不活性外部コーティングを有するコーティング錠剤を製造し;この錠剤のコーティングを前記の前もって定めた場所でグルココルチコイドを放出するために選択した圧力で圧縮成形することから成る。
【0025】
もう一つの態様では、本発明は、胃腸管の前もって定めた種々の場所でグルココルチコイドを放出することができる、グルココルチコイド活性成分のコア及びコーティングを有するコーティング錠剤に関するが、このコーティングはこの前もって定めた場所でグルココルチコイドを放出するような程度に圧縮成形してある。
【0026】
もう一つの態様では、本発明は、胃腸管の前もって定めた種々の場所でグルココルチコイド活性成分を放出する錠剤の製法に関するが、この方法は、グルココルチコイドを送達することが望まれる胃腸管の場所を定め、グルココルチコイド及び膨潤性佐剤から成るコア及び不活性外部コーティングを有するコーティング錠剤を製造し、この錠剤のコーティングをこの前もって定めた場所でグルココルチコイドを放出するために選択した圧力で圧縮成形し、特異的な遅滞時間でグルココルチコイドを確実に放出するために試験管内での放出特性を溶出装置中で試験することから成る。
【0027】
もう一つの態様では、本発明は、腸下部の局所腸障害の治療法に関し、これは治療が必要な患者に、グルココルチコイド活性成分のコア及びコーティングを有し、このコーティングが腸下部でグルココルチコイドの放出を生じさせる程度に圧縮してある、コーティング錠剤を投与することから成る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】遅滞相約4時間を有するプレドニゾン5mgを含有する新規錠剤("Prednisone TR")の試験管内放出を表す(水500ml、パドル、USP)。
【図2】(A)プレドニゾン5mgを有する標準"Prednisone IR"(=即時放出)錠剤(摂取2am)、(B)プレドニゾン5mgを有する新規"Prednisone TR"錠剤、"半絶食"(摂取8pm)、(C)プレドニゾン5mgを有する新規"Prednisone TR"錠剤、食物摂取済み状態(摂取8pm)の投与後のプレドニゾンの生体内血漿濃度を表す。
【図3】(A)プレドニゾン5mgを有する標準"Prednisone IR"錠剤(摂取2am)、(B)プレドニゾン5mgを有する新規"Prednisone TR"錠剤、"半絶食"(摂取8pm)、(C)プレドニゾン5mgを有する新規"Prednisone TR"錠剤、食物摂取済み状態(摂取8pm)の投与後のプレドニゾンの生体内血漿濃度を表す。
【図4】遅滞相6時間を有するプレドニゾン5mgを含有する"Prednisone TR"錠剤の試験管内放出を表す(水500ml、パドル、USP)。
【図5】プレドニゾン錠剤投与後の生体内血漿濃度プロフィールを表す。(1)"Prednisone IR"標準錠剤(摂取8am)(2)"Prednisone IR"標準錠剤(摂取2am)(3)6時間の遅滞相を有する新規"Prednisone TR"錠剤("半絶食")(摂取8am)(4)6時間の遅滞相を有する新規"Prednisone TR"錠剤(食物摂取済み状態)(摂取8am)
【0029】
発明の詳細な説明
グルココルチコイドの部位−及び時間連関胃腸放出は二つの有利な態様に区別することができる:
(1)下記目的を有する腸上部における放出:
−胃液との接触におけるグルココルチコイドの不安定性の回避、
−胃におけるグルココルチコイド放出の副作用、例えば潰瘍の回避、
−グルココルチコイドの吸収の最適部位及びタイミング及び小腸部分上部におけるグルココルチコイド放出後の血漿中への進入、
−最適時間での全身効果の達成、
−腸上部での局所効果の発現。
(2)下記目的を有する腸下部における放出:
−グルココルチコイドの局所及び標的胃腸放出、
−(不所望な)吸収が行われた後のグルココルチコイドによる副作用の回避。
【0030】
二つの態様の共通点は、医薬効果が著しく増加し、その副作用が減少することである。
【0031】
従って最初の有利な態様は、2〜6時間の時間内で腸上部でのグルココルチコイドの放出作用を有する製薬的剤形を提供する。第2の有利な態様は、摂取後6〜10時間の時間内で腸下部でのグルココルチコイドの部位−及び時間−制御放出作用を有する製薬的剤形を提供する。
【0032】
本明細書に記載の発明は、グルココルチコイド又はグルココルチコイドの組合せを組成、形状及び製造条件によって特定部位及び/又は特定時間で放出し、それによって副作用を減らして最適効果が確実に得られるようにする、新規時限放出("TR")剤形に関する。
【0033】
例えば実験は、モデル物質としてプレドニゾン("Prednisone TR")を用いて既に実施済みであり、同等の特性によりその他のグルココルチコイドにも適用することができる。
【0034】
本明細書に記載の新規"TR"剤形は、先行技術の製剤とは異なる。意外にも不活性佐剤を有する圧縮成形コーティングの特異的形状及び正確に適合させた製法パラメーターによって、再現可能な遅滞相及びその後のグルココルチコイド又はグルココルチコイド組合せの迅速な放出(薬剤放出相)が実証される。
【0035】
不活性コーティングは最初グルココルチコイド又はグルココルチコイド組合せの放出を正確に定めた時間の間中抑制するので、吸収は起こりえない。胃腸管に存在する水はコーティングを通ってゆっくりと浸透し、圧縮成形用の圧力により前もって定めた時間後にコアに達する。コーティング成分はコーティング部分の膨潤も浸食も生じない。コアに到達したら、中を浸透する水がコアの親水性成分により非常に急速に吸収されるので、コアの容量は著しく増大し、その結果コーティングは完全に崩壊して砕け、グルココルチコイド及びグルココルチコイド組合せが各々非常に急速に放出される。
【0036】
この圧縮成形コーティング"TR"錠剤の特に有利な態様は、前もって圧縮したコア錠剤が引き続いて多層錠剤プレスで圧縮されて圧縮コーティング錠剤にする場合に得られる。
【0037】
錠剤コーティングは、遅延放出プロフィールを得るために、例えば下記材料から成る:
−アクリル酸、メタクリル酸等のポリマー又はコポリマー(例えばEudragits又はCrbopol)、
−セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、
−ポリビニルアルコール、
−ポリエチレングリコール、
−高級脂肪酸の塩、一価又は多価アルコールの短鎖、中鎖又は長鎖の、飽和又は不飽和脂肪酸のエステル。特に、ステアリン酸トリグリセリド(例えばDynersan)又はベヘン酸グリセロール(例えばCompritol)を使用する。
【0038】
更に、その他の佐剤をこれらの材料に加えて、錠剤コーティングを圧縮することができるようにする。ここで代表的に使用されるものは、充填剤、例えば、乳糖、種々の澱粉、セルロース及び燐酸水素カルシウムである。使用される流動促進剤は通常、ステアリン酸マグネシウムであり、例外的場合に滑石及びベヘン酸グリセロールである。可塑剤、有利にはポリエチレングリコール、ジブチルフタレート、ジエチルシトレート又はトリアセチンの群からの可塑剤をコーティング材料に加えることも多い。
【0039】
最適な放出プロフィールを得るために、錠剤コアはまた特定の働きをなし、特定の特性を発揮すべきである。従って、遅滞相経過後、代表的崩壊剤を内部コアに添加する場合には急速な放出プロフィールが得られるが、これは例えば下記の群:セルロース誘導体、澱粉誘導体、架橋ポリビニルピロリドンから誘導される。例えば弱酸及び炭酸塩又は重炭酸塩の組合せから生じる発泡剤の使用も急速な放出を促進させることができる。錠剤コアは例えば付加的にマトリックス又は充填成分(例えば乳糖、セルロース誘導体、燐酸水素カルシウム又は文献から公知のその他の物質)及び潤滑剤又は流動促進剤(大抵は燐酸マグネシウム、例外的場合に滑石及びベヘン酸グリセロール)から成る。
【0040】
コア錠剤の大きさは、有利には直径6mm(有利には5mm)を超えてはならない。そうでないと圧縮成形コーティング錠剤がうまく摂取するためには大きすぎるようになるからである。その結果として、グルココルチコイドの用量は、0.1〜50mg、極めて特には1〜20mgの範囲である。
【0041】
本発明による"TR"剤形の試験管内放出プロフィールは、有利には5%より少ないグルココルチコイドが遅滞相の間に放出されるようなものである。放出相開始後に、有利には≧80%、特に有利には≧90%のグルココルチコイドが1時間以内に放出される。試験管内放出は有利には水中でUSPパドル溶出モデルを使用して測定する。
【0042】
使用されるグルココルチコイドは次の群から誘導され、全て同等の物理化学的特性を示す;コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ブデソニド、デキサメサゾン、フルドロコルチゾン、フルオコルトロン、クロプレドノール、デフラザコート、トリアムシノロン及び相応する塩及びそのエステルが含まれる。これは特にプレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ブデソニド、デキサメサゾン、フルオコルトロン、クロプレドノール及びデフラザコート及び相応する塩及びそのエステルに当てはまる。
【0043】
この場合の"TR"錠剤で、下記組合せのコア材料及びコーティング材料が、pH及び食物の影響を排除して時間−及び部位−制御放出を達成するために、特に好適であると実証された:
コーティングは有利には下記から成る:
−約5より少ない、有利には約2のHLB値を有する疎水性ワックス物質。カルナウバワックス、パラフィン、セチルエステルワックスがこのために有利に使用される。ベヘン酸グリセロールが特に好適であると実証された。コーティング中の約20〜60%、特に約30〜50%の使用が非常に有利であると実証された;
−非脂肪性疎水性充填剤、例えば燐酸カルシウム塩、例えば第2燐酸カルシウム。コーティング中の約25〜75%、特に約40〜60%のこれら充填剤の使用がここで非常に有利であると実証された;
−更に、錠剤コーティングは有利には、例えば約4〜12%、特に約7〜10%の濃度の結合剤、例えばポリビニルピロリドン(PVP)及び約0.1〜2%、特別な場合には約0.5〜1.5%の濃度の流動促進剤、例えば燐酸マグネシウムからも成る。コロイド二酸化珪素を例えば流動調整剤として、通常約0.25〜1%の濃度で使用することができる。更に用量を区別するために、錠剤コーティングに着色剤、有利には酸化鉄顔料を約0.001〜1%の濃度で添加することができる。
【0044】
コア錠剤は有利には下記から成る:
−プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ブデソニド、デキサメサゾン、フルドロコルチゾン、フルオコルトロン、クロプレドノール、デフラザコート及びトリアムシノロンから選択されるグルココルチコイド及び相応する塩及びそのエステル。グルココルチコイドの用量は、約0.1〜50mg、極めて特には約1〜20mgの範囲である;
−更にコア錠剤は有利には充填剤、例えば乳糖、澱粉誘導体又はセルロース誘導体を含む。乳糖を使用するのが有利である。充填剤は例えば約50〜90%、特には約60〜80%の濃度で存在する。付加的に崩壊剤が存在し、これは例えば架橋PVP又はナトリウムカルボキシメチルセルロースであり、例えば約10〜20%の濃度である。更に結合剤、例えばPVPが例えば約2〜10%、特に約5.5〜9%の濃度で及び潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムが約0.1〜2%、特別な場合に約0.5〜1.5%の濃度で存在してもよい。コロイド二酸化珪素は通常流動調整剤として、通常約0.25〜1%の濃度で使用する。更にコアをコーティングから肉眼で区別するために、着色剤、有利には酸化鉄顔料を約0.01〜1%の濃度で添加することができる。
【0045】
本発明による製薬的剤形の有利な特徴は、グルココルチコイドの試験管内放出及び生体内放出(経口摂取で)が約1時間より、特に有利には約30分より大きくは異ならないことである。更に試験管内放出が、高脂肪及び低脂肪食をシュミレートする放出媒体中で放出媒体又は/及び添加物のpHと実質的に無関係であり、即ち約±20%より大きくは変わらないことが有利である。更に生体内放出で、食物摂取と実質的に無関係であり、最高血漿濃度に達する時間(tmax)が約±20%より大きく変わらないのが有利である。生体内放出で到達する血漿濃度は有利には胃腸pH及び食物摂取に無関係である。
【0046】
腸上部での生体内放出で、有利には同等のパラメーター、特に到達最高血漿濃度(Cmax)及び/又は血漿曲線下面積(AUC)が急速な放出剤形に関して得られる。特に、急速放出剤形のCmaxの少なくとも約70%、有利には少なくとも約80%のCmaxが有利であり、約±25%より大きく変わらないAUCが達成されるのが有利である。腸下部での放出では到達生体内血漿濃度は遙かに低く、これは同じく胃腸pH及び食物摂取と実質的に無関係である。従って、本発明の後者の態様は、全身作用は必要とされない、局所炎症性腸疾患、例えばクローン病又は潰瘍性大腸炎の治療に特に好適である。これとは反対に、吸収が腸上部で行われる最初に記載の態様は、全身作用が望まれる、痛みを伴う関節の炎症性疾患、例えば慢性関節リウマチ、アレルギー及び夜間の重い喘息発作の治療に特に好適である。
【0047】
錠剤の製造方法は、製薬工業の通常の条件下で行われる。従ってコア錠剤の製造で標準的な方法、例えば秤量、篩い分け、混合、高速ミキサー中での水性造粒、顆粒の流動床乾燥、混合及び圧縮が使用される。類似の方法がコーティングを製造するために使用され、即ち、秤量、篩い分け、混合、高速ミキサー中での水性造粒、顆粒の流動床乾燥、混合及び圧縮して圧縮コーティング錠剤にする。
【0048】
組成の他に、圧縮コーティング錠剤の形状が非常に重要である。これは圧縮コーティング錠剤製造用の錠剤機を使用してのみ達成することができ、噴霧被覆は不適当である。
【0049】
錠剤側の圧縮被覆の厚さ対上側又は下側の比は、有利には約2.2〜2.6mm(側端に関して):錠剤の上側に関して約1.2〜1.6mm及び約1.0〜1.4mm(錠剤の下側に関して)、特に有利には約2.35〜2.45mm:約1.35〜1.45mm(錠剤の上側)及び約1.15〜1.25mm(下側)である。この形状は飲み込みの問題を回避するために十分に小さい錠剤を生じる。
【0050】
こうして、欧州薬局方4、2.9.8に記載されているようにして測定して、約60〜90Nの硬度を有する錠剤が得られる。
【0051】
グルココルチコイドの時限放出("TR")は錠剤コアにコーティングを塗布する間に圧縮力を調節することによって制御することができる。従って、腸上部で放出するために使用される圧縮力は有利には約600kgまで、特に有利には約250〜600kgであり、一方腸下部でのグルココルチコイドを放出するために使用される圧縮力は、有利には約600kgより上、特に有利には約600〜800kgである。
【0052】
製薬的剤形は、特に有利には錠剤の形であるが、剤形をカプセルとして製造することもできる。
【0053】
次に本発明を実施例につき詳説する。
【0054】
実施例
例1:処方
コア錠剤の組成:
グルココルチコイド 1mg
乳糖 42.80mg
ポビドン 4mg
カルボキシメチルセルロース、Na 11mg
酸化鉄、赤 0.3mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
二酸化珪素 0.3mg
又は
グルココルチコイド 5mg
乳糖 38.80mg
ポビドン 4mg
カルボキシメチルセルロース、Na 11mg
酸化鉄、赤 0.3mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
二酸化珪素 0.3mg
又は
グルココルチコイド 10mg
乳糖 33.80mg
ポビドン 4mg
カルボキシメチルセルロース、Na 11mg
酸化鉄、赤 0.3mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
二酸化珪素 0.3mg
コーティングの組成:
燐酸カルシウム 50%
ベヘン酸グリセロール 40%
酸化鉄、黄色 0.1%
ステアリン酸マグネシウム 1.0%
二酸化珪素 0.5%
【0055】
グルココルチコイドは、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ブデソニド、デキサメサゾン、フルドコルチゾン、フルオコルトロン、クロプレドノール、デフラザコート、トリアムシノロン及び相応する塩及びそのエステルを含む物質の群から成る。
【0056】
錠剤の組成により、食物、pH及び胃腸管の運動の影響は何ら影響を及ぼさずかつグルココルチコイドは遅滞相完了後に錠剤から非常に迅速に放出されることが保証される。
【0057】
例2:製造法及び試験管内放出
固定された錠剤形状により、グルココルチコイド放出の遅滞相は、様々に調整可能な圧縮力によってのみ決定される。この場合にグルココルチコイドとしてプレドニゾンを使用した。
【0058】
従って、圧縮用に400kgの平均圧力によって例えば4時間の遅滞相が生じる。第1表に圧縮力の関数として遅滞相をまとめる:
第1表:平均圧縮力[kg]に対する遅滞相[h]の依存関係
【表1】

【0059】
遅滞相は、温度37℃で水中で100ppmでUSPパドル溶出モデルによって測定する。図1は、代表的放出挙動を表す(バッチG360)。
【0060】
意外にも遅滞相及び薬剤放出相(時間)は、一定の形状及び同一の圧縮圧でこの処方に関して異なる放出媒体で同等である。これは第2表から明らかである(バッチ:G360)。
【0061】
第2表:試験管内溶出放出、500ml、パドル、USPにおける、異なる放出媒体における活性成分プレドニゾンを有する新規"Predonisone TR"の遅滞相及び薬剤放出相[時間]
【表2】

【0062】
この意外な発見は、食物の影響なしに部位−及び時間−制御放出を実現することが目的であるので、非常に重要である。
【0063】
更に、圧縮力と遅滞相を相関させるために、グルココルチコイドとしてプレドニゾンを含有する1mg及び5mg錠剤に関して、更に実験を行った。結果を下記にまとめる:
【表3】

【0064】
意外にも、異なる強度のTR錠剤間で必要とされる圧縮力に若干の相違がある。従って溶出装置中での各バッチの試験管内特性の試験が、特異的な遅滞時間でのグルココルチコイドを確認するために有利である。これは溶出媒体の色変化により簡単にモニターすることができる。色は着色したコア錠剤から放出される。
【0065】
例3:生体内放出
意外にも、生体内で測定して、プレドニゾロン放出の正確な遅滞を生体内で確認することができた。
【0066】
薬物動態論的試験で、試験管内のグルココルチコイド放出で遅延は4時間であり、生体内の遅延と正確に同じであり、次いで濃度が非常に急速に上昇することが示された。新規"Prednisone TR"の投与後に生じるプレドニゾンの血漿濃度を図2に表す。これは時間に関して試験管内放出プロフィールと極めてよく一致する。更に食物の同時摂取が明らかに生体内で何の影響も有さないと判明し、同等の血漿濃度が"半絶食"状態で判明する。これは食物が通常胃腸管の運動、pH、管腔内代謝に影響を及ぼし、通常剤形と相互作用するので、意外である。工業用案内書"Food Effect Bioavailability and Fed Bioequivalence Studies"of the FDA、Department of Health of December 2002は、到達tmaxの相違は臨床上意味はないと述べている。
【0067】
従って試験管内でのこの"PrednisoneTR"錠剤に関する遅滞相が4時間であり、これが生体内でも食物と一緒及び食物なしで判明したことは非常に有意義である。更に、食物は明らかに到達最高血漿濃度(Cmax)及び血漿曲線下面積(AUC)のどちらに対しても影響を及ぼさない。最高血漿濃度が達成されるまでの時間(tmax)も同じく食物摂取と無関係である。
【0068】
半絶食状態と同時食物摂取と比較した錠剤間のtmaxの相違は最高±20%であり、従って臨床的に有意でない。
【0069】
新規"時限放出"剤形からのグルココルチコイド放出に対する食物の影響を実証するために、出願者は27人の被験者に対して薬物動態学的試験を行った。3種を比較した:夕方(8pm)新規"Prednisone TR"錠剤を標準夕食と一緒に投与(食物摂取済み状態)、夕方(8pm)新規"Prednisone TR"錠剤を17時30分頃軽い夕食を摂取させて投与(半絶食状態)、夜(2am)に標準Prednisone Immediate Release(Decortin、Merck、ドイツ)を投与。試験は無作為に、交差法で単一用量投与として行い、従って通常の規定条件に従う。
【0070】
動態学試験の目的は、新規錠剤"Prednisone TR"を"半絶食"と"食物摂取済み状態"を標準 "Prednisone IR"錠剤(活性成分の急速放出作用を有する)と関連させて、Cmax及びAUCに関して同等の血漿濃度プロフィールを得ることであった。活性成分プレドニゾンを有する本明細書に記載の新規錠剤は、同等の血漿濃度プロフィールを得ることができることを実証した。
【0071】
血漿試料は0.5時間間隔及び後で1時間間隔で採取した。
【0072】
判明したプレドニゾン血漿濃度を図2に図示し、主な薬物動態学的特性を第3表にまとめる。
【0073】
第3表:27人の健康な男性有志者における"Prednisone IR"又は"Prednisone TR"錠剤としてプレドニゾン5mgの単一用量を投与後のプレドニゾンに関する薬物動態学的パラメーター
【表4】

max及びtlag値は平均(範囲)である。その他の値は、ANOVAから得た幾何学的平均(90%Cl)である。
【0074】
:処方間に相違がないという仮説と関連した確率(ANOVA、tmax及びtlag値フリードマン試験を除く)。
【0075】
プレドニゾンの代謝産物であるプレドニゾロンに関して、新規"Prednisone TR"の投与後に、これらの結果を確認することもできた。
【0076】
従って、プレドニゾロンに関して新規"Prednisone TR"錠剤"半絶食"と"食物摂取状態"のCmax及びAUC間の同等性を表すことも可能であった。従って、代謝産物プレドニゾロンの血漿濃度プロフィールは食物摂取と無関係である。
【0077】
プレドニゾロンを測定するための血漿試料は0.5時間間隔及び後で1時間間隔で採取した。
【0078】
プレドニゾロンに関して判明した血漿濃度を図3に図示し、主な薬物動態学的特性を第4表にまとめる。
【0079】
第4表:27人の健康な男性有志者における"Prednisone IR"又は"Prednisone TR"錠剤としてプレドニゾン5mgの単一用量を投与後のプレドニゾロンに関する薬物動態学的パラメーター
【表5】

max及びtlag値は平均(範囲)である。その他の値は、ANOVAから得た幾何学的平均(90%Cl)である。
【0080】
:処方間に相違がないという仮説と関連した確率(ANOVA、tmax及びtlag値フリードマン試験を除く)。
【0081】
摂取後のプレドニゾン錠剤5mgの代表的到達Cmax値は約15〜約25ng/mlの範囲であり、プレドニゾンのAUCは約75〜約150hng/mLである。プレドニゾロン代謝産物の到達Cmax値は約100〜約160ng/mlの範囲であり、プレドニゾロンのAUCは約500〜約700hng/mLである。
【0082】
更に、食物と一緒又は食物なしの標準錠剤"Prednisone IR"(2amで)及び新規錠剤"Prednisone TR"(8pmで)の投与後のCmax、tmax及びAUCの変動係数はほぼ同じであることを付言する。これはグルココルチコイドの放出調節錠剤に関してこれまで記載されていなかった。第5表にプレドニゾンの変動係数をまとめる。
【0083】
第5表:"半絶食"及び"食物摂取済状態"の標準錠剤"Prednisone IR"及び新規錠剤"Prednisone TR"の投与後のプレドニゾン血漿濃度のCmax、tmax及びAUCの変動係数
【表6】

【0084】
代謝産物プレドニゾロンに関する薬物動態学的パラメーターの変動係数も、標準錠剤と新規錠剤を比較する場合に、極めて僅かにしか違わない。
【0085】
第6表:
"半絶食"及び"食物摂取済状態"の標準錠剤"Prednisone IR"及び新規錠剤"Prednisone TR"の投与後のプレドニゾロン血漿濃度のCmax、tmax及びAUCの変動係数
【表7】

【0086】
比較的長い遅延相(試験管内6時間)を有する錠剤を投与する場合には、状況は非常に異なる。確かに6時間後の放出はこの場合にも試験管内で観察された。しかし同時に吸収は著しく減少する。それは放出が明らかに腸下部で行われ、吸収は僅かな程度でしか行われないからである。これは第2の薬物動態論的試験で実証された。図5は圧縮用により高い圧力を使用して製造することができる、6時間の遅延相を有する新規"Prednisone TR"を表す。
【0087】
摂取後にこのような5mgプレドニゾン錠剤の代表的到達Cmax値は15ng/mlより少ない範囲であり、プレドニゾンのAUCは75hng/mLより少ない。プレドニゾン代謝産物の到達Cmax値は100ng/mlより少ない範囲であり、プレドニゾンのAUCは500hng/mLより少ない。
【0088】
これから非常に有利な新規治療法が導き出され、本発明はこれに関する。従って、錠剤の組成、その特異的形状及び様々に調整することができる圧縮力によって、錠剤のコーティングは正確に定めた時間後にコア錠剤からグルココルチコイドを非常に迅速に放出することが可能になる。これは、放出部位もこの正確な前調節により正確に定めることができるので非常に有利である。
【0089】
一方では放出部位によって胃腸管の局所障害を局所的に治療することができる。例えば潰瘍性大腸炎、腸の炎症性障害は腸の異なる部位が罹患する。この新規時限放出("TR")錠剤は、腸下部の障害用に特に有利である。それはグルココルチコイドが主として局所放出され、その吸収はごく僅かにすぎないか又は非常に限定的であるからである。それによって、グルココルチコイドの血液中への摂取後に通常起こる作用を回避することができる。
【0090】
しかし正確に定めた遅滞相後の正確に制御されたグルココルチコイド放出によって、急速放出錠剤の投与後に相応する血漿濃度プロフィールを得ることもできる。しかし、この前提条件は、新規時限放出("TR")錠剤のコーティングが6時間より短い時間後にグルココルチコイド含有コアを露出させ、次いでグルココルチコイドが非常に迅速に溶解し、吸収されることである。その適用の1つは、例えば関節への炎症性疾患治療用のグルココルチコイドの投与であり、この疾患では前炎症性サイトカインが朝の早い時間に放出され、これが朝の痛み及び朝の指のこわばりの原因と考えられる。今やこの新規錠剤によって、10pmに摂取して2amで放出させることができ、従ってArvidsonその他が記載(Annals of Rheumatic Diseases 1997;56:27〜31)、慢性関節リウマチに対するコルチゾンの最適効果が確実に得られ、更に、患者のコンプライアンスの劇的な増加に寄与することができる。従って本発明の錠剤は1日1回就寝時に、例えば約8pmから約12amの間に、更に有利には約9pmから約11pmの間に摂取することができる。
【0091】
本発明は、グルココルチコイドを胃腸管の前もって定めた様々な部位で放出する錠剤の製法を提供するが、これは:グルココルチコイドを送達する必要がある胃腸管の部位を定め;グルココルチコイド及び膨潤性佐剤から成るコア及び不活性外部コーティングを有するコーティング錠剤を製造し;前記錠剤のコーティングを前記の前もって定めた部位でグルココルチコイドを放出するように選択した圧力で圧縮し:特有の遅滞時間でグルココルチコイドの放出を確認するために溶出装置中で試験管内放出特性を試験することから成る。ここで試験管内放出特性は好適な生体内放出遅滞時間に相関させることができる。
【0092】
有利な態様では、錠剤コアは着色材料から成り、グルココルチコイドの試験管内放出を色変化により測定する。溶出装置は全ての工業の標準装置であってよく、有利にはUSP XXVIIIである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルココルチコイドを送達する必要がある胃腸管の部位を定め;グルココルチコイド及び膨潤性佐剤から成るコア及び不活性外部コーティングを有するコーティング錠剤を製造し;かつ前記錠剤のコーティングを前記の前もって定めた部位でグルココルチコイドを放出するように選択した圧力で圧縮することから成る、グルココルチコイドを胃腸管の前もって定めた様々な部位で放出する錠剤の製法。
【請求項2】
グルココルチコイドが腸上部の局所炎症性腸疾患の治療に有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
グルココルチコイドが腸下部の局所炎症性腸疾患の治療に有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
疾患がクローン病及び潰瘍性大腸炎から成る群から選択される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
コーティングを約600kgまでの圧縮力によって製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コーティングを約600kgより上の圧縮力によって製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
グルココルチコイドのコア及びコーティングを有し、グルココルチコイドを前もって定めた種々の胃腸管部位で放出することができ、コーティングがこの前もって定めた部位でグルココルチコイドを放出するような程度に圧縮してある、コーティング錠剤。
【請求項8】
コアが胃腸液と接触する際にグルココルチコイドが迅速に放出されかつ前記コーティングが剤形摂取の後の一定時間の間グルココルチコイドの実質的な放出を抑制することができる、請求項7に記載の錠剤。
【請求項9】
グルココルチコイドが摂取後約2〜約6時間の時間内に腸上部で放出される、請求項7に記載の錠剤。
【請求項10】
グルココルチコイドが摂取後約6〜約10時間の時間内に腸下部で放出される、請求項7に記載の錠剤。
【請求項11】
プレドニゾン約5mgを含有する、請求項7に記載の錠剤。
【請求項12】
グルココルチコイドが腸下部の局所炎症性腸疾患の治療に有効である、請求項7に記載の錠剤。
【請求項13】
疾患がクローン病及び潰瘍性大腸炎から成る群から選択される、請求項12に記載の錠剤。
【請求項14】
グルココルチコイドのコア及びコーティングを有し、コーティングを約600kgより大きい圧縮力によって製造する、コーティング錠剤。
【請求項15】
コアが、コアの全質量に対して、コルチコステロイド、充填剤約50〜約90%、崩壊剤約10〜約20%、結合剤約2〜約10%、流動促進剤約0.1〜約2%、流動調整剤約0.25〜約1%及び顔料0〜約1%から成る、請求項7又は請求項14に記載の錠剤。
【請求項16】
充填剤が乳糖から成り、崩壊剤が架橋ポリビニルピロリドン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はその混合物から成り、結合剤が非架橋ポリビニルピロリドンから成り、潤滑剤がステアリン酸マグネシウムから成り、流動調整剤がコロイド二酸化珪素から成りかつ顔料が酸化鉄から成る、請求項15に記載の錠剤。
【請求項17】
コーティングが、コーティングの全質量に対して、疎水性ワックス物質約20〜約60%、非脂肪性疎水性充填剤約25〜約75%、結合剤約4〜約12%、流動促進剤約0.1〜約2%、流動調整剤約0.25〜約1%及び顔料約0〜約1%から成る、請求項7又は請求項14に記載の錠剤。
【請求項18】
疎水性ワックス物質がベヘン酸グリセロールから成り、非脂肪性疎水性充填剤が燐酸カルシウムから成る、請求項17に記載の錠剤。
【請求項19】
非脂肪性疎水性充填剤が第2燐酸カルシウム又は塩基性燐酸カルシウムから成る、請求項18に記載の錠剤。
【請求項20】
グルココルチコイドが1種以上のグルココルチコイドから成る、請求項7又は請求項14に記載の錠剤。
【請求項21】
グルココルチコイドをコルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ブデソニド、デキサメサゾン、フルドロコルチゾン、フルオコルトロン、クロプレドノール、デフラザコート、トリアムシノロン及び製薬的に認容性の塩及びそのエステル及びその混合物から成る群から選択する、請求項7又は請求項14に記載の錠剤。
【請求項22】
グルココルチコイドをプレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン及びブデソニドから成る群から選択する、請求項21に記載の錠剤。
【請求項23】
グルココルチコイドの量が約0.1〜約20mgである、請求項7又は請求項14に記載の錠剤。
【請求項24】
グルココルチコイドを送達する必要がある胃腸管の部位を定め;グルココルチコイド及び膨潤性佐剤から成るコア及び不活性外部コーティングを有するコーティング錠剤を製造し;前記錠剤のコーティングを前記の前もって定めた部位でグルココルチコイドを放出するように選択した圧力で圧縮し:かつ特有の遅滞時間でのグルココルチコイドの放出を確認するために溶出装置中で試験管内放出特性を試験することから成る、グルココルチコイドを胃腸管の前もって定めた様々な部位で放出する錠剤の製法。
【請求項25】
コアが着色材料を含み、グルココルチコイドの放出を色変化により測定する、請求項24に記載の製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−47607(P2010−47607A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269373(P2009−269373)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【分割の表示】特願2007−530659(P2007−530659)の分割
【原出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(507077835)ニテック ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】Nitec Pharma AG
【住所又は居所原語表記】Kaegenstrasse 17, CH−4153 Reinach, Switzerland
【Fターム(参考)】