グロメット
【課題】車体への車両部品の連結を容易に行うことができるグロメットを提供する。
【解決手段】マウント11に設けた取付筒12の取付凹部12aに装着される本体ケース14の下面に連結された連結ロッド21の外周面21aにグロメット22を嵌合する。前記グロメット22のグロメット本体25の外周面25cに環状シール部26を一体に形成する。前記グロメット本体25の底板部25dに連通孔25eを形成し、連結ロッド21の外周面21a及び底面21bに連通溝21cを形成し、該連通溝21cと前記連通孔25eを連通する。前記グロメット本体25の内周面25bに前記連通溝21cと対応するように閉鎖弁27を一体に形成する。図1(a)に示す分離状態から連結ロッド21及びグロメット22を下方に移動して、図1(b)に示す取付筒12の取付凹部12aにグロメット22を挿入する。
【解決手段】マウント11に設けた取付筒12の取付凹部12aに装着される本体ケース14の下面に連結された連結ロッド21の外周面21aにグロメット22を嵌合する。前記グロメット22のグロメット本体25の外周面25cに環状シール部26を一体に形成する。前記グロメット本体25の底板部25dに連通孔25eを形成し、連結ロッド21の外周面21a及び底面21bに連通溝21cを形成し、該連通溝21cと前記連通孔25eを連通する。前記グロメット本体25の内周面25bに前記連通溝21cと対応するように閉鎖弁27を一体に形成する。図1(a)に示す分離状態から連結ロッド21及びグロメット22を下方に移動して、図1(b)に示す取付筒12の取付凹部12aにグロメット22を挿入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の車両部品としてのエアクリーナ等を車体に装着するために、あるいは車両部品の二つの構成部材を連結するために使用されるグロメットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のグロメットとしては、例えば車両部品であるエアクリーナの装着部に使用された筒状のものが知られている。このグロメットはゴム製でその胴部内にはボルト等が挿通される。そして、胴部の外周にはくびれ部が形成され、該くびれ部に車体の一部が押し込まれている。しかし、この場合にはくびれ部に車体の一部が押し込まれているため、車両振動等でグロメットに摩耗が生じたり、破れが発生したりするおそれがあった。しかも、グロメットを車両部品に取付けるためにボルト等の締結具を必要とし、構成が複雑であると共に、取付操作が面倒であった。又、例えばポリプロピレン製の車両部品にゴム製のグロメットが一体成形(アロイ化)された構造のものが知られている。しかしながら、一体成形には手間を要し、製造コストも嵩む上に、分離できないためリサイクルが困難であった。
【0003】
このようなグロメットに類似するシールパッキンとして特許文献1に記載されているような構造のものが知られている。該シールパッキンは、一方の部材のパッキン取付溝内に配置され、他方の部材に形成されたシール壁部が圧接することで該一方の部材とシール壁部との間をシールするものである。そして、シールパッキンは、シール壁部を受ける中央壁部と該中央壁部の両側に連結された一対の脚部とを有する断面略U字状をなし、パッキン取付溝内に挿入した状態で一対の脚部の先端が相互に圧接されるように脚部の先端側に厚肉部を有すると共に、中央壁部側に薄肉部を有している。該薄肉部により、脚部の先端部を圧接させた状態で、中央壁部の脚部間に中空部が形成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−222244号公報(第2頁及び第3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、従来のグロメットでは、構成が複雑で車両部品への取付けが面倒であった。さらに、特許文献1に記載されているシールパッキンでは、中央壁部の表面にシール壁部が圧接されて中央壁部が変形し、さらにそれが繰り返されることから、その圧接部分が摩耗や損傷を受けやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構成が簡単で、車両部品への装着が容易であるとともに、摩耗や損傷を抑制することができるグロメットを提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、車両部品の二つの構成部材の連結を容易に行うことができるとともに、摩耗や損傷を抑制することができるグロメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車体又は前記車体に取り付けられる車両部品に凹設された取付凹部に挿入され、かつ前記車両部品又は車体に設けられた凸状体が挿入されるように構成されたグロメットであって、弾性材料よりなるグロメット本体に前記凸状体を圧入する挿入穴を設け、グロメット本体の外周面に、前記取付凹部の内周面に押圧接触される弾性変形可能な環状のシール部を設け、前記グロメット本体、前記シール部及び前記凸状体の少なくともいずれか一つの部材には、前記取付凹部の底部、グロメット本体及び前記シール部によって形成された空間と、大気とを連通する連通路を設け、前記連通路を閉鎖可能な閉鎖弁を設けたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記閉鎖弁はグロメット本体又はシール部に弾性変形可能に設けられ、該閉鎖弁は前記取付凹部にグロメット本体を挿入する際に前記空間から連通路を通して外部に排出される空気の圧力により弾性変形されて連通路を開放し、グロメット本体の挿入完了後に弾性復元力により連通路を閉鎖するように構成されていることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記シール部には前記連通路がスリット状に切り込み形成され、前記閉鎖弁は前記連通路を形成する際にシール部に形成されたものであることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3において、前記閉鎖弁には、該閉鎖弁を前記連通路の閉鎖位置から開放位置に弾性的に変形させるための操作部が設けられていることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1において、前記グロメット本体には、前記空間と大気とを連通するように前記挿入穴が貫通形成され、該挿入穴の内周面には、前記凸状体の外周面と協働して前記連通路を形成する凹状溝が形成され、前記凸状体の外周面には前記連通路を閉鎖可能な前記閉鎖弁が設けられ、該閉鎖弁は、前記凸状体を前記挿入穴内において、該挿入穴の軸線の周りで回動することにより閉鎖位置と開放位置との間で切り換えられるように構成されていることを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記凸状体の外周面には、前記閉鎖弁と対応するように位置規制用の突起が設けられ、前記突起が凹状溝に係合されたとき、前記閉鎖弁が連通路を閉鎖する位置に移動されて、該閉鎖弁が閉鎖位置に保持されるように構成されていることを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、車体に取り付けられる車両部品の二つの構成部材のうち、一方の構成部材に凹設された取付凹部に挿入されると共に、他方の構成部材に設けられた凸状体が挿入されて車両部品の構成部材が連結されるように構成されたグロメットであって、グロメット本体の内部に前記凸状体を圧入する挿入穴を設け、グロメット本体の外周面に、前記取付凹部の内周面に圧接される弾性変形可能なシール部を設け、グロメット本体、前記シール部及び前記凸状体の少なくともいずれか一つの部材には、前記取付凹部の底部、グロメット本体及びシール部によって形成された空間と、大気とを連通する連通路を設け、前記連通路を常には閉鎖する閉鎖弁を設けたことを要旨とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7において、前記車両部品は、エアクリーナであって、前記取付凹部は、該エアクリーナの一方の構成部材である本体ケース又は他方の構成部材である蓋体ケースに設けられ、前記蓋体ケース又は本体ケースには、前記取付凹部と対応するように凸状体が設けられていることを要旨とする。
【0016】
(作用)
請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明は、車体又は車両部品に設けた取付凹部に対し、車両部品又は車体に設けた前記凸状体に嵌合されたグロメットのシール部が圧入されると、シール部が弾性変形して、取付凹部の内周面に圧接され、取付凹部とグロメットとの間に空間が形成される。グロメットの挿入過程においては、前記空間の圧力が高くなるので、該空間内の空気は連通路を通して外部に排出される。前記グロメットの挿入完了後に前記閉鎖弁により連通路が閉鎖されると、前記空間が密閉状態となる。このため、車体に対する車両部品の装着作業を容易に行うことができる。又、グロメットには車両部品の荷重が作用しないので、グロメットが磨耗したり、損傷したりすることが抑制される。
【0017】
請求項7又は8に記載の発明は、車両部品の二つの構成部材のいずれか一方に設けた取付凹部に他方に設けた凸状体に嵌合されたグロメットのシール部が圧入されると、シール部が弾性変形して、取付凹部の内周面に圧接され、取付凹部とグロメットとの間に空間が形成される。グロメットの挿入過程においては、前記空間の圧力が高くなるので、該空間内の空気は連通路を通して外部に排出される。前記グロメットの挿入完了後に前記閉鎖弁により連通路が閉鎖されると、前記空間が密閉状態となる。このため、車両部品の両構成部材の連結をワンタッチで容易に行うことができる。又、グロメットには車両部品の二つの構成部材のクランプ力が作用しないので、グロメットが磨耗したり、損傷したりすることが抑制される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明によれば、車体への車両部品の連結を容易に行うことができるとともに、磨耗や損傷を抑制することができる。
請求項7又は8に記載の発明によれば、車両部品の二つの構成部材の連結を容易に行うことができるとともに、磨耗や損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は第1の実施形態におけるグロメットをマウントの取付凹部に装着する前の状態を示す縦断面図、(b)はグロメットを取付凹部に挿入する過程を示す縦断面図。
【図2】(a)はグロメットを取付凹部に挿入した状態を示す縦断面図、(b)はエアクリーナが振動により上昇して取付凹部から凸状体及びグロメットが抜け出ようとする際の作用を説明する縦断面図。
【図3】車体に対するエアクリーナの取付状態を示す正断面図。
【図4】クリーナーの取付状態を示す斜視図。
【図5】この発明の第2の実施形態を示す取付筒、連結ロッド及びグロメットの縦断面図。
【図6】(a),(b)は第2の実施形態の連通路及び閉鎖弁の変更例を示す部分拡大断面図。
【図7】(a)はこの発明の第3の実施形態を示す取付筒にグロメットを挿入する前の状態を示す縦断面図、(b)は取付筒にグロメットを挿入した状態を示す縦断面図、(c)は連通路が閉鎖弁によって閉鎖された状態を示す縦断面図。
【図8】(a)は第3の実施形態において、閉鎖弁が連通路を閉鎖する前の状態を示す平断面図、(b)は閉鎖弁が連通路を閉鎖した状態を示す平断面図。
【図9】第3の実施形態のグロメット及び凸状体の分離斜視図。
【図10】(a)〜(f)は第3の実施形態の連通路及び閉鎖弁の変更例を示す平断面図。
【図11】この発明の第4の実施形態を示すエアクリーナの本体ケースと蓋体ケースとの連結構造を示す縦断面図。
【図12】第4の実施形態の取付筒の斜視図。
【図13】(a)は第4の実施形態のグロメットの変更例を示す正面図、(b)は同じくグロメットの左側面図。
【図14】(a)は第4の実施形態のグロメットの変更例を示す正断面図、(b)は同じくグロメットの左側断面図。
【図15】(a)〜(d)は、第4の実施形態の取付筒及びグロメットの変更例を示す平断面図。
【図16】第4の実施形態のグロメットの環状シール部の変更例を示す正面図。
【図17】第4の実施形態の取付筒及びグロメットの環状シール部の変更例を示す正断面図。
【図18】この発明の別の実施形態の正断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化したグロメットの第1の実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
【0021】
図3及び図4に示すように、エンジンルーム内の車体としてのマウント11の上面には、取付凹部12aを備えた取付筒12が一体に形成されている。前記取付筒12には車両部品としてのエアクリーナ13が取り外し可能に装着されている。該エアクリーナ13は、エアクリーナエレメント(図示略)を収容する本体ケース14と、該本体ケース14の上端開口縁に取り外し可能に嵌合された蓋体ケース15とを備え、前記本体ケース14と蓋体ケース15は図示しない複数のクランプ機構によって閉鎖状態に保持されている。
【0022】
次に、前記マウント11の取付筒12にエアクリーナ13を連結する連結構造について説明する。
図3及び図4に示すように、前記本体ケース14の底面には凸状体としての円柱状をなす連結ロッド21が下方に指向するように一体に連結されている。図2(a)に示すように、前記取付筒12の取付凹部12aの内周面12bと、前記ロッド21の外周面21aとの間には、弾性変形可能な弾性材料としての例えばアクリルゴム等の合成ゴムあるいは合成樹脂よりなるグロメット22が介在されている。前記本体ケース14の下面には複数箇所に支持ロッド23が一体に連結され、各支持ロッド23の下端面は、前記マウント11の上面に配設されたゴム製の支持板24の上面に支持されている。
【0023】
図1(a)に示すように、前記グロメット22の有底円筒状をなすグロメット本体25の内部に形成された挿入穴25aには、前記連結ロッド21の下部が圧入嵌合されている。前記グロメット22から連結ロッド21が分離された状態(図示略)において、前記連結ロッド21の直径寸法は、前記グロメット本体25の挿入穴25aの内径寸法よりも大きく設定されている。そして、前記グロメット本体25の挿入穴25aに前記連結ロッド21を圧入することにより、グロメット本体25の挿入穴25aを弾性変形させて拡径し、その内周面25bを連結ロッド21の外周面21aに弾性復元力により圧接する。このため、グロメット本体25の挿入穴25aから連結ロッド21が容易に抜け出ないようになっている。図1(a)に示すように、前記本体25の外周面25cには、前記取付筒12の取付凹部12aの内周面12bに接触される横断面がリップ状の環状シール部26が上下方向に所定のピッチで複数(この実施形態では三)箇所に一体形成されている。
【0024】
前記グロメット本体25の底板部25dの中心部には、挿入穴25aと外部とを連通するための連通孔25eが形成されている。前記ロッド21の外周面21a及び底面21bには、前記連通孔25eに連通し、かつ大気と連通する連通溝21cが形成されている。前記連通孔25e、連通溝21c及び挿入穴25aの内周面25bによって、大気と後述する空間R(図2参照)とを連通する連通路Tが形成されている。前記挿入穴25aの内周面25bには、前記ロッド21の連通溝21cと対応するように、弾性変形可能な舌片状の閉鎖弁27がグロメット本体25と一体に形成されている。この閉鎖弁27が連通溝21cの内面に弾性的に押しつけられることによって、前記連通路T(連通溝21c)が常には閉鎖されるようにしている。
【0025】
前記本体25の挿入穴25aの内周面25bには、上下方向に所定の間隔をおいて、環状溝25fが複数(この実施形態では二)箇所に形成されている。この環状溝25fによって内周面25bが変形し易くなり、連結ロッド21が挿入穴25aに容易に挿入されるようになっている。
【0026】
図1(a)に示すように、前記取付筒12からエアクリーナ13側のロッド21に嵌合されたグロメット22が分離された状態においては、前記取付筒12の取付凹部12aの直径寸法よりも、前記グロメット22の環状シール部26の直径寸法が大きくなるように形成されている。
【0027】
図1(a)に示すマウント11の取付筒12からグロメット22が上方向に離隔された状態で、エアクリーナ13を下方に移動して、グロメット22を前記取付筒12の取付凹部12aに押し込むようにして挿入する。このグロメット22の挿入行程においては、図1(b)に示すように、取付筒12の取付凹部12aの内周面12bにグロメット22の環状シール部26の先端縁が弾性変形して接触された状態で下方に案内移動される。図1(b)に示すように、前記取付筒12の取付凹部12aの底部、グロメット本体25及び環状シール部26によって空間Rが形成されている。この空間R内の空気は、圧縮されて前記連通路Tを通して大気側に逃れようとする。このため、前記閉鎖弁27が弾性変形されて連通路T(連通溝21c)が開放され、空間R内の空気が外部に排出される。前記ロッド21及びグロメット22の下方への移動が停止されると、空間R内の空気の排出が停止されるので、図2(a)に示すように前記閉鎖弁27はその弾性復元力によってロッド21の連通路T(連通溝21c)を閉鎖する位置に変位される。
【0028】
一方、前記取付筒12に対するロッド21及びグロメット22の嵌合動作が終了すると、図3に示すように、本体ケース14の下面に設けられた複数の支持ロッド23の下端面もマウント11側の支持板24に接触される。このためエアクリーナ13は、前記マウント11の取付筒12に対しロッド21及びグロメット22によって連結されるとともに、複数の支持ロッド23によって安定して支持される。
【0029】
前記閉鎖弁27には、該閉鎖弁27を図2(a)に示す閉鎖位置から弾性変形させて、連通路Tの開放位置(図1(b)参照)に変位させるための操作部としての操作紐28が接続されている。
【0030】
次に、前記のように構成されたグロメット22の作用について説明する。
図2(a)は車両が停止されて、取付筒12及びエアクリーナ13が静止された状態を示す。車両が走行されると、マウント11及び取付筒12が振動され、前記マウント11を介して前記エアクリーナ13に振動が伝達される。この振動の振幅が小さい場合には、図2(a)において、取付筒12の内部でグロメット22が上下方向に往復動されると、前記環状シール部26が上下方向に弾性変形されて振動が許容される。
【0031】
一方、前述した振動の振幅が大きい場合には、図2(b)に示すように、マウント11からエアクリーナ13が上方向に離隔される大きい外力を受け、環状シール部26が上下方向に反転される。そして、前記ロッド21及びグロメット22が前記取付筒12の取付凹部12aから抜け出ようとし、前記空間Rの容積が増大する。このため、空間R内の圧力が低下し負圧となり、前記連通路Tから大気中の空気を空間Rの内部に取り込もうとする。しかし、前記閉鎖弁27は前記負圧によって図2(b)に示すように連通路Tを形成する連通溝21cの内面に押し付けられて前記連通路Tが閉鎖状態に保持される。このように、前記連通路T(連通溝21c)が閉鎖されたままとなり、空気が空間R内に吸い込まれることはない。さらに、密閉状態の空間Rは負圧となっているので、この負圧により、グロメット22が下方への外力(大気圧)を受けることになる。従って、前記ロッド21及びグロメット22は取付筒12の内部に収容された状態に保持され、エアクリーナ13が取付筒12から離脱されることはない。
【0032】
前記エアクリーナ13の点検や交換作業を行うため、前記マウント11の取付筒12からエアクリーナ13を取り外す場合には、前記操作紐28を操作して、閉鎖弁27を連通路Tの閉鎖位置から開放位置に切り換える。この動作により、前記空間Rが連通路Tを介して大気側と連通されるので、取付凹部12aからグロメット22を引き抜く際の抵抗は、内周面12bに対する環状シール部26の摩擦抵抗のみとなる。従って、前記連結ロッド21とともにグロメット22を取付筒12の取付凹部12aから比較的容易に引き抜くことができる。
【0033】
上記実施形態のグロメット22によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、前記エアクリーナ13のロッド21にグロメット22を嵌合し、このグロメット22をマウント11に形成された取付筒12の取付凹部12aに嵌入するようにした。又、この嵌入動作時に閉鎖弁27が開放されて連通路Tにより空間Rが大気と連通されるようにした。このため、マウント11側の取付筒12に対するエアクリーナ13側の連結ロッド21及びグロメット22の取付作業を、取付凹部12aの内周面12bに環状シール部26を弾性変形させてグロメット22を該シール部26のゴム摩擦抵抗に抗して、押し込むことにより容易に行うことができる。前記取付筒12の取付凹部12aへのグロメット22の挿入に先立って、グロメット22の環状シール部26の表面又は取付凹部12aの内周面12bに水を付着させて湿潤させることにより、グロメット22の取付凹部12aへの挿入作業をさらに容易に行うことができる。なお、この水は後で蒸発するので、取付筒12とグロメット22の結合力は低下することはない。
【0034】
(2)上記実施形態では、図3に示すように、エアクリーナ13が複数本の支持ロッド23によってマウント11の上面に支持されるとともに、図2(a)に示すように、取付筒12の内周面12bに対し、グロメット22の環状シール部26が接触され、取付凹部12aの底部に密閉状態の空間Rが形成されるようにしている。このため、グロメット22にはエアクリーナ13の荷重が作用することはなく、グロメット22の磨耗や損傷を抑制することができる。
【0035】
(3)上記実施形態では、図2(a)に示す状態において、エアクリーナ13に大きな振動が作用すると、図2(b)に示すように、密閉状態の空間Rが負圧となり、この負圧により、グロメット22が下方への外力を受けることになる。従って、前記ロッド21及びグロメット22は取付筒12の内部に収容された状態に保持され、エアクリーナ13が取付筒12から離脱されることはない。このため、マウント11にエアクリーナ13を連結するボルト等の部材が不要となり、連結構造を簡素化して、製造を容易に行い、コストを低減することができる。
【0036】
(4)上記実施形態では、前記閉鎖弁27に操作紐28を接続したので、操作紐28を引っ張り操作することにより、前記閉鎖弁27が連通路Tの閉鎖位置から開放位置に容易に切り換えられて、空間Rが連通路Tを通して大気と連通された状態となる。このため、取付筒12からエアクリーナ13のロッド21及びグロメット22を容易に分離することができ、エアクリーナ13の交換作業や保守点検作業を容易に行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、図5及び図6に基づいて、この発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態において、前記第1実施形態の構成と同様の構成については、同1の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0037】
図5に示すように、この実施形態においては、前記グロメット本体25の底板部25dの前記連通孔25e、ロッド21の連通溝21c及びグロメット本体25の挿入穴25aの内周面の閉鎖弁27がともに省略されている。そして、前記環状シール部26に前記空間Rと大気とを連通する連通路26aが形成されるとともに、この連通路26aに対応して、一対の閉鎖弁26b,26cがグロメット22の成形時に同時に一体成形されている。前記閉鎖弁26b,26cは、環状シール部26の大気側の表面から上方に盛り上がるように、かつ先端縁が互いに弾性的に押圧されて、連通路26aを常には閉鎖するように構成されている。
【0038】
この実施形態では、前記取付筒12の取付凹部12a内において連結ロッド21のグロメット22が下方向へ移動する際に、空間R内の圧力が高くなることにより前記環状シール部26に設けられた両閉鎖弁26b,26cが開放されて連通路26aから空間R内の空気が外部に排出される。グロメット22の下方への移動が停止されると、前記閉鎖弁26b,26cが弾性復元力によって連通路26aを閉鎖する位置に復元されて、空間Rが閉鎖状態に保持される。
【0039】
前記環状シール部26の連通路26a及び閉鎖弁26b,26cを、図6(a)に示すように形成してもよい。前記連通路26aは、グロメット22のシール部26が一体成形された後、該シール部26にカッター等で切り込みを形成することにより形成される。前記操作紐28を引っ張ると、図6(b)に示すように閉鎖弁26bが弾性変形されて連通路26aが開放される。
【0040】
第2の実施形態においては、前記ロッド21の連通溝21c及びグロメット本体25の連通孔25eを形成する必要がないので、製造を容易に行ないコストを低減することができる。その他の効果は、第1の実施形態の効果と同様である。
(第3の実施形態)
次に、この発明の第3の実施形態を図7〜図10に基づいて説明する。
【0041】
この実施形態においては、図7(a)及び図9に示すように、グロメット本体25の挿入穴25aが上下方向に貫通形成され、内周面25bに凹状溝25gが互いに平行に複数(実施形態では二)箇所に形成されている。図7(a)に示すように、前記凹状溝25gと前記連結ロッド21の外周面21aとによって前記連通路Tが形成されている。前記連結ロッド21の外周面21aには両連通路Tと対応するように、閉鎖弁21dが複数(実施形態では二)箇所に形成されている。前記閉鎖弁21dの下面には、前記閉鎖弁21dによって前記連通路Tが閉鎖された状態において、前記凹状溝25gに係合されて、閉鎖弁21dを閉鎖位置に安定して保持するための位置決め用の突起21eが設けられている。
【0042】
図7(a)は、取付筒12からグロメット22が離隔され、連結ロッド21の閉鎖弁21dが凹状溝25gから離隔され、閉鎖弁21dの下面がグロメット本体25の上面に接触されている。又、図8(a)に示すように、突起21eが凹状溝25gから離れた位置において、挿入穴25aの内周面25bを弾性変形させて押し込まれ、連通路T(凹状溝25g)が開放された状態を示す。この状態において、図7(b)に示すように、取付筒12の取付凹部12aに連結ロッド21のグロメット22を押し込むようにして挿入する。この挿入動作は、空間Rが連通路Tを通して大気と連通されているので、円滑に行われる。次に、前記挿入穴25aの軸線を中心にエアクリーナ13及び連結ロッド21を水平方向に回動すると、図7(c)及び図8(b)に示すように、前記連結ロッド21の閉鎖弁21dが回動されて、両閉鎖弁21dによって、二つの連通路Tがともに閉鎖される。このとき、前記突起21eは挿入穴25aの内周面25bに押し込まれた状態で旋回された後、凹状溝25gに係合されるので、旋回抵抗が変化する。この旋回抵抗を感知することにより、閉鎖弁21dが目視できない状態であっても連通路Tが閉鎖弁21dにより閉鎖されたことを知ることができる。そして、閉鎖弁21dによる連通路Tの閉鎖位置が凹状溝25gと突起21eの係合によって安定して保持される。
【0043】
図7(c)に示す状態において、車両の振動によりマウント11が振動すると、取付筒12の取付凹部12aから連結ロッド21及びグロメット22が抜け出る方向への外力を受ける。しかし、前記連通路Tが閉鎖弁21dによって閉鎖されているので、空間Rが負圧となって、グロメット22が取付凹部12aから簡単に抜け出なくなる。
【0044】
第3の実施形態においては、前記取付筒12からエアクリーナ13を取り外す場合
に、前記エアクリーナ13を図7(c)及び図8(b)に示す状態から図7(b)及び図8(a)に示す状態に回動することにより、連結ロッド21の閉鎖弁21dによる連通路Tの閉鎖状態が解除される。このため、空間Rが大気側と連通されるので、エアクリーナ13を上方向に移動することにより取付筒12から連結ロッド21及びグロメット22を容易に取り外すことができる。
【0045】
第3の実施形態においては、連結ロッド21に閉鎖弁21dを設けたので、グロメット22自体の構成を簡素化することができるとともに、連通路Tを開放するための前記操作紐28が不要となり、構成を簡素化することができる。その他の効果は、第1の実施形態と同様である。
【0046】
前記グロメット本体25の凹状溝25g及び閉鎖弁21dの形成数を、図10(a)に示すように四箇所にしたり、平面形状を、図10(b)に示すように半楕円形状にしたり、図10(c)に示すように山形状にしたり、図10(d)に示すように三角形状にしたり、図10(e)に示すように二つの閉鎖弁21dを隣接したり、図10(f)に示すように閉鎖弁21dを一つにしたりしてもよい。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を図11及び図12に基づいて説明する。
【0047】
この実施形態においては、図11に示すように、エアクリーナ13の一方の構成部材としての本体ケース14の上端外側面に前記取付筒12と同様の機能を有する有底円筒状の取付筒32が複数(一箇所のみ図示)箇所に一体に成形されている。エアクリーナ13の他方の構成部材としての蓋体ケース15の下端外側面にブラケット33が前記各取付筒32と対応するように複数(一箇所のみ図示)箇所に一体に成形されている。前記ブラケット33には第1の実施形態で述べた連結ロッド21が一体に連結され、該連結ロッド21にグロメット22が嵌合されている。そして、前記取付筒32の取付凹部32aに前記連結ロッド21のグロメット22を挿入することにより、本体ケース14の上端開口縁に蓋体ケース15の下端開口縁を接合した状態で、本体ケース14と蓋体ケース15が連結されるようになっている。前記取付筒32の上端部には、前記操作紐28を外部に導出するための窓32cが形成されている(図12参照)。
【0048】
図12に示すように、前記本体ケース14の上端開口縁14aには、本体ケース14と蓋体ケース15の接合界面のシールを図るためのシールリング34を収容する収容溝14bが形成されている。
【0049】
本体ケース14に設けた取付筒32の取付凹部32aに、連結ロッド21に嵌合されたグロメット22のシール部26が圧入される。すると、シール部26が弾性変形して、取付凹部32aの内周面に圧接され、取付凹部32aとグロメット22との間に空間Rが形成される。グロメット22の挿入過程においては、前記空間Rの圧力が高くなるので、該空間R内の空気は連通路Tを通して外部に排出される。前記グロメット22の挿入完了後に前記閉鎖弁27により連通路Tが閉鎖されると、前記空間Rが密閉状態となる。この状態において、本体ケース14の上端開口縁14aと蓋体ケース15の下端開口縁15aは接触され、前記シールリング34が圧縮された状態となりシール性が保たれる。
【0050】
第4の実施形態の作用、効果を以下に説明する。
(1)第4の実施形態では、取付筒32の取付凹部32aに対し、連結ロッド21に嵌合したグロメット22を挿入することにより、本体ケース14に対し蓋体ケース15をワンタッチで容易に連結することができる。
【0051】
(2)第4の実施形態では、図11に示すように、取付筒12の内周面12bに対し、グロメット22の環状シール部26が接触され、取付凹部12aの底部に密閉状態の空間Rが形成されるようにしている。このため、グロメット22にはエアクリーナ13の蓋体ケース15の荷重が作用することはなく、グロメット22の磨耗や損傷を抑制することができる。
【0052】
(3)第4の実施形態では、前記操作紐28を操作することによって、連通路Tを開放し、空間Rを連通路Tにより大気と連通させて、本体ケース14から蓋体ケース15を容易に取り外すことができる。
【0053】
(4)第4の実施形態では、本体ケース14の上方から蓋体ケース15を下方に移動させて、取付筒32にグロメット22を挿入することにより、ケース14,15を連結することができる。一方、従来は、本体ケース14の外表面に金属製のクランプ金具を回動可能に装着し、該クランブ金具の先端の係止爪を、蓋体ケース15の外表面に設けた係合凹部に係止するようになっていた。従って、前記クランプ金具の回動用の広いスペースが必要であったが、この実施形態の本体ケース14と蓋体ケース15の連結構造は、クランプ金具の回動用スペースが不要となるので、省スペース化を図ることができる。
【0054】
(5)第4の実施形態では、樹脂製の取付筒32にゴム製のグロメット22を挿入する構造のため、上述した従来の金属製のクランプ金具を用いなくても済むので、腐蝕が抑制され、本体ケース14と蓋体ケース15の連結構造の耐久性を向上することができる。
【0055】
(6)第4の実施形態では、エアクリーナ13の内部の圧力がバックファイヤ(瞬間圧力)によって高くなると、図11において、本体ケース14と蓋体ケース15が互いに離隔する方向への外力を受けて、取付筒32から連結ロッド21及びグロメット22が上方に移動する外力を受け、環状シール部26が弾性変形する。しかし、環状シール部26の弾性復元力によりグロメット22が元の状態に復元され、環状シール部26が塑性変形されることはない。このため、本体ケース14と蓋体ケース15の接合界面に介在されたシールリング34のクランプ力が低下することはなく、エアクリーナ13のシール性を保持することができる。
【0056】
一方、従来のエアクリーナの金属製のクランプ金具は、バックファイア等によって、引張り力を受けて塑性変形される虞があるため、クランプ力が低下し、シール性が低下する。
【0057】
(7)第4の実施形態では、グロメット22によって、本体ケース14に蓋体ケース15が押し付けられる構成ではないので、エンジンの排熱によりグロメット22が加熱されてもその熱変形がなく、シールリング34のシール性の低下が抑制される。
(変更例)
なお、前記各実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
【0058】
・第4の実施形態において、図13(a)及び図13(b)に示すように、前記連結ロッド21及びグロメット22を水平方向の厚さが小さくなるように扁平状に形成してもよい。この場合には、エアクリーナ13の横方向への張り出し寸法を低減して、エアクリーナ13をコンパクト化することができる。
【0059】
・第4の実施形態において、図14(a)及び図14(b)に示すように、前記取付筒12、連結ロッド21及びグロメット22を下端側ほど外径の小さい寸法となるように構成してもよい。
【0060】
・第4の実施形態において、グロメット本体25及び取付筒32の横断面形状を、図15(a)に示すように隅丸三角形状にしたり、図15(b)に示すように楕円形状にしたり、図15(c)に示すうに一端部を半円形にし、他端部を半楕円状に大きくなるように形成したり、図15(d)に示すように円弧状に湾曲するようにしたりしてもよい。
【0061】
・第4の実施形態において、図16に示すように、前記グロメット22のシール部26の外周縁の形状を、四角形状、先細り形状、半円形状、複数枚を積層した形状、あるいは図示しないが楕円形状にしてもよい。これらのうち、取付筒12の取付凹部12aに対するグロメット22の押し込み動作を円滑に行うとともに、環状シール部26のシール性を向上する観点から、環状シール部26の先端は、先細り形状が望ましい。
【0062】
・第4の実施形態において、図17に示すように、前記グロメット本体25の複数のシール部26を張り出し寸法が異なるように形成してもよい。そして、取付筒32の取付凹部32aの内周面32bの形状が例えば熱歪で滑らかな面になっていない場合に、該内周面32bの形状に適するようにシール部26の張り出し寸法を設定する。この構成によって、環状シール部26のシール性能を向上することができる。
【0063】
・図18に示すように、マウント11側に連結ロッド21及び支持ロッド23を設け、エアクリーナ13の本体ケース14の底部に凹部14c,14dを形成する。前記支持ロッド23にゴム製のキャップ状のグロメット35を嵌合し、グロメット35を前記凹部14cに挿入する。連結ロッド21の上端部にグロメット22を嵌合し、このグロメット22を前記凹部14dに挿入するようにしてもよい。
【0064】
上記実施形態においては、マウント11側に連結ロッド21、グロメット22、支持ロッド23及びグロメット35を配設したので、エアクリーナ13の本体ケース14は、凹部14c,14dを形成するのみの簡素な構成となる。
【0065】
・第4の実施形態において、蓋体ケース15側に取付筒32を設け、本体ケース14側にブラケット33、連結ロッド21及びグロメット22を設けるようにしてもよい。
・前記各実施形態において、前記グロメット22の閉鎖弁27に設けられた操作紐28を省略することも可能である。この場合には、例えば、工具を用いて前記閉鎖弁27を閉鎖位置から開放位置に移動させることができる。
【0066】
・車両部品として、例えばサイドブランチ(消音器)、レゾネータ(消音器)、インレットダクト、インレットダクトとレゾネータの一体成形品等があり、これらを例えば図1に示す連結構造によりマウント11に連結するようにしてもよい。
【0067】
・本発明を、マウント11等の車体に連結ロッド21等の凸状体が設けられ、車体に取り付けられるエアクリーナ等の車両部品に取付筒12等の取付凹部が設けられ、前記凸状体にグロメットが嵌合された車両部品の連結構造に適用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
R…空間、T,26a…連通路、12a,32a…取付凹部、12b,25b,32b…内周面、13…エアクリーナ、14…本体ケース、15…蓋体ケース、21a,25c…外周面、21d,26b,26c,27…閉鎖弁、21e…突起、22,35…グロメット、25…グロメット本体、25a…挿入穴、25g…凹状溝、26…シール部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の車両部品としてのエアクリーナ等を車体に装着するために、あるいは車両部品の二つの構成部材を連結するために使用されるグロメットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のグロメットとしては、例えば車両部品であるエアクリーナの装着部に使用された筒状のものが知られている。このグロメットはゴム製でその胴部内にはボルト等が挿通される。そして、胴部の外周にはくびれ部が形成され、該くびれ部に車体の一部が押し込まれている。しかし、この場合にはくびれ部に車体の一部が押し込まれているため、車両振動等でグロメットに摩耗が生じたり、破れが発生したりするおそれがあった。しかも、グロメットを車両部品に取付けるためにボルト等の締結具を必要とし、構成が複雑であると共に、取付操作が面倒であった。又、例えばポリプロピレン製の車両部品にゴム製のグロメットが一体成形(アロイ化)された構造のものが知られている。しかしながら、一体成形には手間を要し、製造コストも嵩む上に、分離できないためリサイクルが困難であった。
【0003】
このようなグロメットに類似するシールパッキンとして特許文献1に記載されているような構造のものが知られている。該シールパッキンは、一方の部材のパッキン取付溝内に配置され、他方の部材に形成されたシール壁部が圧接することで該一方の部材とシール壁部との間をシールするものである。そして、シールパッキンは、シール壁部を受ける中央壁部と該中央壁部の両側に連結された一対の脚部とを有する断面略U字状をなし、パッキン取付溝内に挿入した状態で一対の脚部の先端が相互に圧接されるように脚部の先端側に厚肉部を有すると共に、中央壁部側に薄肉部を有している。該薄肉部により、脚部の先端部を圧接させた状態で、中央壁部の脚部間に中空部が形成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−222244号公報(第2頁及び第3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、従来のグロメットでは、構成が複雑で車両部品への取付けが面倒であった。さらに、特許文献1に記載されているシールパッキンでは、中央壁部の表面にシール壁部が圧接されて中央壁部が変形し、さらにそれが繰り返されることから、その圧接部分が摩耗や損傷を受けやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構成が簡単で、車両部品への装着が容易であるとともに、摩耗や損傷を抑制することができるグロメットを提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、車両部品の二つの構成部材の連結を容易に行うことができるとともに、摩耗や損傷を抑制することができるグロメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車体又は前記車体に取り付けられる車両部品に凹設された取付凹部に挿入され、かつ前記車両部品又は車体に設けられた凸状体が挿入されるように構成されたグロメットであって、弾性材料よりなるグロメット本体に前記凸状体を圧入する挿入穴を設け、グロメット本体の外周面に、前記取付凹部の内周面に押圧接触される弾性変形可能な環状のシール部を設け、前記グロメット本体、前記シール部及び前記凸状体の少なくともいずれか一つの部材には、前記取付凹部の底部、グロメット本体及び前記シール部によって形成された空間と、大気とを連通する連通路を設け、前記連通路を閉鎖可能な閉鎖弁を設けたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記閉鎖弁はグロメット本体又はシール部に弾性変形可能に設けられ、該閉鎖弁は前記取付凹部にグロメット本体を挿入する際に前記空間から連通路を通して外部に排出される空気の圧力により弾性変形されて連通路を開放し、グロメット本体の挿入完了後に弾性復元力により連通路を閉鎖するように構成されていることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記シール部には前記連通路がスリット状に切り込み形成され、前記閉鎖弁は前記連通路を形成する際にシール部に形成されたものであることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3において、前記閉鎖弁には、該閉鎖弁を前記連通路の閉鎖位置から開放位置に弾性的に変形させるための操作部が設けられていることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1において、前記グロメット本体には、前記空間と大気とを連通するように前記挿入穴が貫通形成され、該挿入穴の内周面には、前記凸状体の外周面と協働して前記連通路を形成する凹状溝が形成され、前記凸状体の外周面には前記連通路を閉鎖可能な前記閉鎖弁が設けられ、該閉鎖弁は、前記凸状体を前記挿入穴内において、該挿入穴の軸線の周りで回動することにより閉鎖位置と開放位置との間で切り換えられるように構成されていることを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記凸状体の外周面には、前記閉鎖弁と対応するように位置規制用の突起が設けられ、前記突起が凹状溝に係合されたとき、前記閉鎖弁が連通路を閉鎖する位置に移動されて、該閉鎖弁が閉鎖位置に保持されるように構成されていることを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、車体に取り付けられる車両部品の二つの構成部材のうち、一方の構成部材に凹設された取付凹部に挿入されると共に、他方の構成部材に設けられた凸状体が挿入されて車両部品の構成部材が連結されるように構成されたグロメットであって、グロメット本体の内部に前記凸状体を圧入する挿入穴を設け、グロメット本体の外周面に、前記取付凹部の内周面に圧接される弾性変形可能なシール部を設け、グロメット本体、前記シール部及び前記凸状体の少なくともいずれか一つの部材には、前記取付凹部の底部、グロメット本体及びシール部によって形成された空間と、大気とを連通する連通路を設け、前記連通路を常には閉鎖する閉鎖弁を設けたことを要旨とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7において、前記車両部品は、エアクリーナであって、前記取付凹部は、該エアクリーナの一方の構成部材である本体ケース又は他方の構成部材である蓋体ケースに設けられ、前記蓋体ケース又は本体ケースには、前記取付凹部と対応するように凸状体が設けられていることを要旨とする。
【0016】
(作用)
請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明は、車体又は車両部品に設けた取付凹部に対し、車両部品又は車体に設けた前記凸状体に嵌合されたグロメットのシール部が圧入されると、シール部が弾性変形して、取付凹部の内周面に圧接され、取付凹部とグロメットとの間に空間が形成される。グロメットの挿入過程においては、前記空間の圧力が高くなるので、該空間内の空気は連通路を通して外部に排出される。前記グロメットの挿入完了後に前記閉鎖弁により連通路が閉鎖されると、前記空間が密閉状態となる。このため、車体に対する車両部品の装着作業を容易に行うことができる。又、グロメットには車両部品の荷重が作用しないので、グロメットが磨耗したり、損傷したりすることが抑制される。
【0017】
請求項7又は8に記載の発明は、車両部品の二つの構成部材のいずれか一方に設けた取付凹部に他方に設けた凸状体に嵌合されたグロメットのシール部が圧入されると、シール部が弾性変形して、取付凹部の内周面に圧接され、取付凹部とグロメットとの間に空間が形成される。グロメットの挿入過程においては、前記空間の圧力が高くなるので、該空間内の空気は連通路を通して外部に排出される。前記グロメットの挿入完了後に前記閉鎖弁により連通路が閉鎖されると、前記空間が密閉状態となる。このため、車両部品の両構成部材の連結をワンタッチで容易に行うことができる。又、グロメットには車両部品の二つの構成部材のクランプ力が作用しないので、グロメットが磨耗したり、損傷したりすることが抑制される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明によれば、車体への車両部品の連結を容易に行うことができるとともに、磨耗や損傷を抑制することができる。
請求項7又は8に記載の発明によれば、車両部品の二つの構成部材の連結を容易に行うことができるとともに、磨耗や損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は第1の実施形態におけるグロメットをマウントの取付凹部に装着する前の状態を示す縦断面図、(b)はグロメットを取付凹部に挿入する過程を示す縦断面図。
【図2】(a)はグロメットを取付凹部に挿入した状態を示す縦断面図、(b)はエアクリーナが振動により上昇して取付凹部から凸状体及びグロメットが抜け出ようとする際の作用を説明する縦断面図。
【図3】車体に対するエアクリーナの取付状態を示す正断面図。
【図4】クリーナーの取付状態を示す斜視図。
【図5】この発明の第2の実施形態を示す取付筒、連結ロッド及びグロメットの縦断面図。
【図6】(a),(b)は第2の実施形態の連通路及び閉鎖弁の変更例を示す部分拡大断面図。
【図7】(a)はこの発明の第3の実施形態を示す取付筒にグロメットを挿入する前の状態を示す縦断面図、(b)は取付筒にグロメットを挿入した状態を示す縦断面図、(c)は連通路が閉鎖弁によって閉鎖された状態を示す縦断面図。
【図8】(a)は第3の実施形態において、閉鎖弁が連通路を閉鎖する前の状態を示す平断面図、(b)は閉鎖弁が連通路を閉鎖した状態を示す平断面図。
【図9】第3の実施形態のグロメット及び凸状体の分離斜視図。
【図10】(a)〜(f)は第3の実施形態の連通路及び閉鎖弁の変更例を示す平断面図。
【図11】この発明の第4の実施形態を示すエアクリーナの本体ケースと蓋体ケースとの連結構造を示す縦断面図。
【図12】第4の実施形態の取付筒の斜視図。
【図13】(a)は第4の実施形態のグロメットの変更例を示す正面図、(b)は同じくグロメットの左側面図。
【図14】(a)は第4の実施形態のグロメットの変更例を示す正断面図、(b)は同じくグロメットの左側断面図。
【図15】(a)〜(d)は、第4の実施形態の取付筒及びグロメットの変更例を示す平断面図。
【図16】第4の実施形態のグロメットの環状シール部の変更例を示す正面図。
【図17】第4の実施形態の取付筒及びグロメットの環状シール部の変更例を示す正断面図。
【図18】この発明の別の実施形態の正断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化したグロメットの第1の実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
【0021】
図3及び図4に示すように、エンジンルーム内の車体としてのマウント11の上面には、取付凹部12aを備えた取付筒12が一体に形成されている。前記取付筒12には車両部品としてのエアクリーナ13が取り外し可能に装着されている。該エアクリーナ13は、エアクリーナエレメント(図示略)を収容する本体ケース14と、該本体ケース14の上端開口縁に取り外し可能に嵌合された蓋体ケース15とを備え、前記本体ケース14と蓋体ケース15は図示しない複数のクランプ機構によって閉鎖状態に保持されている。
【0022】
次に、前記マウント11の取付筒12にエアクリーナ13を連結する連結構造について説明する。
図3及び図4に示すように、前記本体ケース14の底面には凸状体としての円柱状をなす連結ロッド21が下方に指向するように一体に連結されている。図2(a)に示すように、前記取付筒12の取付凹部12aの内周面12bと、前記ロッド21の外周面21aとの間には、弾性変形可能な弾性材料としての例えばアクリルゴム等の合成ゴムあるいは合成樹脂よりなるグロメット22が介在されている。前記本体ケース14の下面には複数箇所に支持ロッド23が一体に連結され、各支持ロッド23の下端面は、前記マウント11の上面に配設されたゴム製の支持板24の上面に支持されている。
【0023】
図1(a)に示すように、前記グロメット22の有底円筒状をなすグロメット本体25の内部に形成された挿入穴25aには、前記連結ロッド21の下部が圧入嵌合されている。前記グロメット22から連結ロッド21が分離された状態(図示略)において、前記連結ロッド21の直径寸法は、前記グロメット本体25の挿入穴25aの内径寸法よりも大きく設定されている。そして、前記グロメット本体25の挿入穴25aに前記連結ロッド21を圧入することにより、グロメット本体25の挿入穴25aを弾性変形させて拡径し、その内周面25bを連結ロッド21の外周面21aに弾性復元力により圧接する。このため、グロメット本体25の挿入穴25aから連結ロッド21が容易に抜け出ないようになっている。図1(a)に示すように、前記本体25の外周面25cには、前記取付筒12の取付凹部12aの内周面12bに接触される横断面がリップ状の環状シール部26が上下方向に所定のピッチで複数(この実施形態では三)箇所に一体形成されている。
【0024】
前記グロメット本体25の底板部25dの中心部には、挿入穴25aと外部とを連通するための連通孔25eが形成されている。前記ロッド21の外周面21a及び底面21bには、前記連通孔25eに連通し、かつ大気と連通する連通溝21cが形成されている。前記連通孔25e、連通溝21c及び挿入穴25aの内周面25bによって、大気と後述する空間R(図2参照)とを連通する連通路Tが形成されている。前記挿入穴25aの内周面25bには、前記ロッド21の連通溝21cと対応するように、弾性変形可能な舌片状の閉鎖弁27がグロメット本体25と一体に形成されている。この閉鎖弁27が連通溝21cの内面に弾性的に押しつけられることによって、前記連通路T(連通溝21c)が常には閉鎖されるようにしている。
【0025】
前記本体25の挿入穴25aの内周面25bには、上下方向に所定の間隔をおいて、環状溝25fが複数(この実施形態では二)箇所に形成されている。この環状溝25fによって内周面25bが変形し易くなり、連結ロッド21が挿入穴25aに容易に挿入されるようになっている。
【0026】
図1(a)に示すように、前記取付筒12からエアクリーナ13側のロッド21に嵌合されたグロメット22が分離された状態においては、前記取付筒12の取付凹部12aの直径寸法よりも、前記グロメット22の環状シール部26の直径寸法が大きくなるように形成されている。
【0027】
図1(a)に示すマウント11の取付筒12からグロメット22が上方向に離隔された状態で、エアクリーナ13を下方に移動して、グロメット22を前記取付筒12の取付凹部12aに押し込むようにして挿入する。このグロメット22の挿入行程においては、図1(b)に示すように、取付筒12の取付凹部12aの内周面12bにグロメット22の環状シール部26の先端縁が弾性変形して接触された状態で下方に案内移動される。図1(b)に示すように、前記取付筒12の取付凹部12aの底部、グロメット本体25及び環状シール部26によって空間Rが形成されている。この空間R内の空気は、圧縮されて前記連通路Tを通して大気側に逃れようとする。このため、前記閉鎖弁27が弾性変形されて連通路T(連通溝21c)が開放され、空間R内の空気が外部に排出される。前記ロッド21及びグロメット22の下方への移動が停止されると、空間R内の空気の排出が停止されるので、図2(a)に示すように前記閉鎖弁27はその弾性復元力によってロッド21の連通路T(連通溝21c)を閉鎖する位置に変位される。
【0028】
一方、前記取付筒12に対するロッド21及びグロメット22の嵌合動作が終了すると、図3に示すように、本体ケース14の下面に設けられた複数の支持ロッド23の下端面もマウント11側の支持板24に接触される。このためエアクリーナ13は、前記マウント11の取付筒12に対しロッド21及びグロメット22によって連結されるとともに、複数の支持ロッド23によって安定して支持される。
【0029】
前記閉鎖弁27には、該閉鎖弁27を図2(a)に示す閉鎖位置から弾性変形させて、連通路Tの開放位置(図1(b)参照)に変位させるための操作部としての操作紐28が接続されている。
【0030】
次に、前記のように構成されたグロメット22の作用について説明する。
図2(a)は車両が停止されて、取付筒12及びエアクリーナ13が静止された状態を示す。車両が走行されると、マウント11及び取付筒12が振動され、前記マウント11を介して前記エアクリーナ13に振動が伝達される。この振動の振幅が小さい場合には、図2(a)において、取付筒12の内部でグロメット22が上下方向に往復動されると、前記環状シール部26が上下方向に弾性変形されて振動が許容される。
【0031】
一方、前述した振動の振幅が大きい場合には、図2(b)に示すように、マウント11からエアクリーナ13が上方向に離隔される大きい外力を受け、環状シール部26が上下方向に反転される。そして、前記ロッド21及びグロメット22が前記取付筒12の取付凹部12aから抜け出ようとし、前記空間Rの容積が増大する。このため、空間R内の圧力が低下し負圧となり、前記連通路Tから大気中の空気を空間Rの内部に取り込もうとする。しかし、前記閉鎖弁27は前記負圧によって図2(b)に示すように連通路Tを形成する連通溝21cの内面に押し付けられて前記連通路Tが閉鎖状態に保持される。このように、前記連通路T(連通溝21c)が閉鎖されたままとなり、空気が空間R内に吸い込まれることはない。さらに、密閉状態の空間Rは負圧となっているので、この負圧により、グロメット22が下方への外力(大気圧)を受けることになる。従って、前記ロッド21及びグロメット22は取付筒12の内部に収容された状態に保持され、エアクリーナ13が取付筒12から離脱されることはない。
【0032】
前記エアクリーナ13の点検や交換作業を行うため、前記マウント11の取付筒12からエアクリーナ13を取り外す場合には、前記操作紐28を操作して、閉鎖弁27を連通路Tの閉鎖位置から開放位置に切り換える。この動作により、前記空間Rが連通路Tを介して大気側と連通されるので、取付凹部12aからグロメット22を引き抜く際の抵抗は、内周面12bに対する環状シール部26の摩擦抵抗のみとなる。従って、前記連結ロッド21とともにグロメット22を取付筒12の取付凹部12aから比較的容易に引き抜くことができる。
【0033】
上記実施形態のグロメット22によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、前記エアクリーナ13のロッド21にグロメット22を嵌合し、このグロメット22をマウント11に形成された取付筒12の取付凹部12aに嵌入するようにした。又、この嵌入動作時に閉鎖弁27が開放されて連通路Tにより空間Rが大気と連通されるようにした。このため、マウント11側の取付筒12に対するエアクリーナ13側の連結ロッド21及びグロメット22の取付作業を、取付凹部12aの内周面12bに環状シール部26を弾性変形させてグロメット22を該シール部26のゴム摩擦抵抗に抗して、押し込むことにより容易に行うことができる。前記取付筒12の取付凹部12aへのグロメット22の挿入に先立って、グロメット22の環状シール部26の表面又は取付凹部12aの内周面12bに水を付着させて湿潤させることにより、グロメット22の取付凹部12aへの挿入作業をさらに容易に行うことができる。なお、この水は後で蒸発するので、取付筒12とグロメット22の結合力は低下することはない。
【0034】
(2)上記実施形態では、図3に示すように、エアクリーナ13が複数本の支持ロッド23によってマウント11の上面に支持されるとともに、図2(a)に示すように、取付筒12の内周面12bに対し、グロメット22の環状シール部26が接触され、取付凹部12aの底部に密閉状態の空間Rが形成されるようにしている。このため、グロメット22にはエアクリーナ13の荷重が作用することはなく、グロメット22の磨耗や損傷を抑制することができる。
【0035】
(3)上記実施形態では、図2(a)に示す状態において、エアクリーナ13に大きな振動が作用すると、図2(b)に示すように、密閉状態の空間Rが負圧となり、この負圧により、グロメット22が下方への外力を受けることになる。従って、前記ロッド21及びグロメット22は取付筒12の内部に収容された状態に保持され、エアクリーナ13が取付筒12から離脱されることはない。このため、マウント11にエアクリーナ13を連結するボルト等の部材が不要となり、連結構造を簡素化して、製造を容易に行い、コストを低減することができる。
【0036】
(4)上記実施形態では、前記閉鎖弁27に操作紐28を接続したので、操作紐28を引っ張り操作することにより、前記閉鎖弁27が連通路Tの閉鎖位置から開放位置に容易に切り換えられて、空間Rが連通路Tを通して大気と連通された状態となる。このため、取付筒12からエアクリーナ13のロッド21及びグロメット22を容易に分離することができ、エアクリーナ13の交換作業や保守点検作業を容易に行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、図5及び図6に基づいて、この発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態において、前記第1実施形態の構成と同様の構成については、同1の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0037】
図5に示すように、この実施形態においては、前記グロメット本体25の底板部25dの前記連通孔25e、ロッド21の連通溝21c及びグロメット本体25の挿入穴25aの内周面の閉鎖弁27がともに省略されている。そして、前記環状シール部26に前記空間Rと大気とを連通する連通路26aが形成されるとともに、この連通路26aに対応して、一対の閉鎖弁26b,26cがグロメット22の成形時に同時に一体成形されている。前記閉鎖弁26b,26cは、環状シール部26の大気側の表面から上方に盛り上がるように、かつ先端縁が互いに弾性的に押圧されて、連通路26aを常には閉鎖するように構成されている。
【0038】
この実施形態では、前記取付筒12の取付凹部12a内において連結ロッド21のグロメット22が下方向へ移動する際に、空間R内の圧力が高くなることにより前記環状シール部26に設けられた両閉鎖弁26b,26cが開放されて連通路26aから空間R内の空気が外部に排出される。グロメット22の下方への移動が停止されると、前記閉鎖弁26b,26cが弾性復元力によって連通路26aを閉鎖する位置に復元されて、空間Rが閉鎖状態に保持される。
【0039】
前記環状シール部26の連通路26a及び閉鎖弁26b,26cを、図6(a)に示すように形成してもよい。前記連通路26aは、グロメット22のシール部26が一体成形された後、該シール部26にカッター等で切り込みを形成することにより形成される。前記操作紐28を引っ張ると、図6(b)に示すように閉鎖弁26bが弾性変形されて連通路26aが開放される。
【0040】
第2の実施形態においては、前記ロッド21の連通溝21c及びグロメット本体25の連通孔25eを形成する必要がないので、製造を容易に行ないコストを低減することができる。その他の効果は、第1の実施形態の効果と同様である。
(第3の実施形態)
次に、この発明の第3の実施形態を図7〜図10に基づいて説明する。
【0041】
この実施形態においては、図7(a)及び図9に示すように、グロメット本体25の挿入穴25aが上下方向に貫通形成され、内周面25bに凹状溝25gが互いに平行に複数(実施形態では二)箇所に形成されている。図7(a)に示すように、前記凹状溝25gと前記連結ロッド21の外周面21aとによって前記連通路Tが形成されている。前記連結ロッド21の外周面21aには両連通路Tと対応するように、閉鎖弁21dが複数(実施形態では二)箇所に形成されている。前記閉鎖弁21dの下面には、前記閉鎖弁21dによって前記連通路Tが閉鎖された状態において、前記凹状溝25gに係合されて、閉鎖弁21dを閉鎖位置に安定して保持するための位置決め用の突起21eが設けられている。
【0042】
図7(a)は、取付筒12からグロメット22が離隔され、連結ロッド21の閉鎖弁21dが凹状溝25gから離隔され、閉鎖弁21dの下面がグロメット本体25の上面に接触されている。又、図8(a)に示すように、突起21eが凹状溝25gから離れた位置において、挿入穴25aの内周面25bを弾性変形させて押し込まれ、連通路T(凹状溝25g)が開放された状態を示す。この状態において、図7(b)に示すように、取付筒12の取付凹部12aに連結ロッド21のグロメット22を押し込むようにして挿入する。この挿入動作は、空間Rが連通路Tを通して大気と連通されているので、円滑に行われる。次に、前記挿入穴25aの軸線を中心にエアクリーナ13及び連結ロッド21を水平方向に回動すると、図7(c)及び図8(b)に示すように、前記連結ロッド21の閉鎖弁21dが回動されて、両閉鎖弁21dによって、二つの連通路Tがともに閉鎖される。このとき、前記突起21eは挿入穴25aの内周面25bに押し込まれた状態で旋回された後、凹状溝25gに係合されるので、旋回抵抗が変化する。この旋回抵抗を感知することにより、閉鎖弁21dが目視できない状態であっても連通路Tが閉鎖弁21dにより閉鎖されたことを知ることができる。そして、閉鎖弁21dによる連通路Tの閉鎖位置が凹状溝25gと突起21eの係合によって安定して保持される。
【0043】
図7(c)に示す状態において、車両の振動によりマウント11が振動すると、取付筒12の取付凹部12aから連結ロッド21及びグロメット22が抜け出る方向への外力を受ける。しかし、前記連通路Tが閉鎖弁21dによって閉鎖されているので、空間Rが負圧となって、グロメット22が取付凹部12aから簡単に抜け出なくなる。
【0044】
第3の実施形態においては、前記取付筒12からエアクリーナ13を取り外す場合
に、前記エアクリーナ13を図7(c)及び図8(b)に示す状態から図7(b)及び図8(a)に示す状態に回動することにより、連結ロッド21の閉鎖弁21dによる連通路Tの閉鎖状態が解除される。このため、空間Rが大気側と連通されるので、エアクリーナ13を上方向に移動することにより取付筒12から連結ロッド21及びグロメット22を容易に取り外すことができる。
【0045】
第3の実施形態においては、連結ロッド21に閉鎖弁21dを設けたので、グロメット22自体の構成を簡素化することができるとともに、連通路Tを開放するための前記操作紐28が不要となり、構成を簡素化することができる。その他の効果は、第1の実施形態と同様である。
【0046】
前記グロメット本体25の凹状溝25g及び閉鎖弁21dの形成数を、図10(a)に示すように四箇所にしたり、平面形状を、図10(b)に示すように半楕円形状にしたり、図10(c)に示すように山形状にしたり、図10(d)に示すように三角形状にしたり、図10(e)に示すように二つの閉鎖弁21dを隣接したり、図10(f)に示すように閉鎖弁21dを一つにしたりしてもよい。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を図11及び図12に基づいて説明する。
【0047】
この実施形態においては、図11に示すように、エアクリーナ13の一方の構成部材としての本体ケース14の上端外側面に前記取付筒12と同様の機能を有する有底円筒状の取付筒32が複数(一箇所のみ図示)箇所に一体に成形されている。エアクリーナ13の他方の構成部材としての蓋体ケース15の下端外側面にブラケット33が前記各取付筒32と対応するように複数(一箇所のみ図示)箇所に一体に成形されている。前記ブラケット33には第1の実施形態で述べた連結ロッド21が一体に連結され、該連結ロッド21にグロメット22が嵌合されている。そして、前記取付筒32の取付凹部32aに前記連結ロッド21のグロメット22を挿入することにより、本体ケース14の上端開口縁に蓋体ケース15の下端開口縁を接合した状態で、本体ケース14と蓋体ケース15が連結されるようになっている。前記取付筒32の上端部には、前記操作紐28を外部に導出するための窓32cが形成されている(図12参照)。
【0048】
図12に示すように、前記本体ケース14の上端開口縁14aには、本体ケース14と蓋体ケース15の接合界面のシールを図るためのシールリング34を収容する収容溝14bが形成されている。
【0049】
本体ケース14に設けた取付筒32の取付凹部32aに、連結ロッド21に嵌合されたグロメット22のシール部26が圧入される。すると、シール部26が弾性変形して、取付凹部32aの内周面に圧接され、取付凹部32aとグロメット22との間に空間Rが形成される。グロメット22の挿入過程においては、前記空間Rの圧力が高くなるので、該空間R内の空気は連通路Tを通して外部に排出される。前記グロメット22の挿入完了後に前記閉鎖弁27により連通路Tが閉鎖されると、前記空間Rが密閉状態となる。この状態において、本体ケース14の上端開口縁14aと蓋体ケース15の下端開口縁15aは接触され、前記シールリング34が圧縮された状態となりシール性が保たれる。
【0050】
第4の実施形態の作用、効果を以下に説明する。
(1)第4の実施形態では、取付筒32の取付凹部32aに対し、連結ロッド21に嵌合したグロメット22を挿入することにより、本体ケース14に対し蓋体ケース15をワンタッチで容易に連結することができる。
【0051】
(2)第4の実施形態では、図11に示すように、取付筒12の内周面12bに対し、グロメット22の環状シール部26が接触され、取付凹部12aの底部に密閉状態の空間Rが形成されるようにしている。このため、グロメット22にはエアクリーナ13の蓋体ケース15の荷重が作用することはなく、グロメット22の磨耗や損傷を抑制することができる。
【0052】
(3)第4の実施形態では、前記操作紐28を操作することによって、連通路Tを開放し、空間Rを連通路Tにより大気と連通させて、本体ケース14から蓋体ケース15を容易に取り外すことができる。
【0053】
(4)第4の実施形態では、本体ケース14の上方から蓋体ケース15を下方に移動させて、取付筒32にグロメット22を挿入することにより、ケース14,15を連結することができる。一方、従来は、本体ケース14の外表面に金属製のクランプ金具を回動可能に装着し、該クランブ金具の先端の係止爪を、蓋体ケース15の外表面に設けた係合凹部に係止するようになっていた。従って、前記クランプ金具の回動用の広いスペースが必要であったが、この実施形態の本体ケース14と蓋体ケース15の連結構造は、クランプ金具の回動用スペースが不要となるので、省スペース化を図ることができる。
【0054】
(5)第4の実施形態では、樹脂製の取付筒32にゴム製のグロメット22を挿入する構造のため、上述した従来の金属製のクランプ金具を用いなくても済むので、腐蝕が抑制され、本体ケース14と蓋体ケース15の連結構造の耐久性を向上することができる。
【0055】
(6)第4の実施形態では、エアクリーナ13の内部の圧力がバックファイヤ(瞬間圧力)によって高くなると、図11において、本体ケース14と蓋体ケース15が互いに離隔する方向への外力を受けて、取付筒32から連結ロッド21及びグロメット22が上方に移動する外力を受け、環状シール部26が弾性変形する。しかし、環状シール部26の弾性復元力によりグロメット22が元の状態に復元され、環状シール部26が塑性変形されることはない。このため、本体ケース14と蓋体ケース15の接合界面に介在されたシールリング34のクランプ力が低下することはなく、エアクリーナ13のシール性を保持することができる。
【0056】
一方、従来のエアクリーナの金属製のクランプ金具は、バックファイア等によって、引張り力を受けて塑性変形される虞があるため、クランプ力が低下し、シール性が低下する。
【0057】
(7)第4の実施形態では、グロメット22によって、本体ケース14に蓋体ケース15が押し付けられる構成ではないので、エンジンの排熱によりグロメット22が加熱されてもその熱変形がなく、シールリング34のシール性の低下が抑制される。
(変更例)
なお、前記各実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
【0058】
・第4の実施形態において、図13(a)及び図13(b)に示すように、前記連結ロッド21及びグロメット22を水平方向の厚さが小さくなるように扁平状に形成してもよい。この場合には、エアクリーナ13の横方向への張り出し寸法を低減して、エアクリーナ13をコンパクト化することができる。
【0059】
・第4の実施形態において、図14(a)及び図14(b)に示すように、前記取付筒12、連結ロッド21及びグロメット22を下端側ほど外径の小さい寸法となるように構成してもよい。
【0060】
・第4の実施形態において、グロメット本体25及び取付筒32の横断面形状を、図15(a)に示すように隅丸三角形状にしたり、図15(b)に示すように楕円形状にしたり、図15(c)に示すうに一端部を半円形にし、他端部を半楕円状に大きくなるように形成したり、図15(d)に示すように円弧状に湾曲するようにしたりしてもよい。
【0061】
・第4の実施形態において、図16に示すように、前記グロメット22のシール部26の外周縁の形状を、四角形状、先細り形状、半円形状、複数枚を積層した形状、あるいは図示しないが楕円形状にしてもよい。これらのうち、取付筒12の取付凹部12aに対するグロメット22の押し込み動作を円滑に行うとともに、環状シール部26のシール性を向上する観点から、環状シール部26の先端は、先細り形状が望ましい。
【0062】
・第4の実施形態において、図17に示すように、前記グロメット本体25の複数のシール部26を張り出し寸法が異なるように形成してもよい。そして、取付筒32の取付凹部32aの内周面32bの形状が例えば熱歪で滑らかな面になっていない場合に、該内周面32bの形状に適するようにシール部26の張り出し寸法を設定する。この構成によって、環状シール部26のシール性能を向上することができる。
【0063】
・図18に示すように、マウント11側に連結ロッド21及び支持ロッド23を設け、エアクリーナ13の本体ケース14の底部に凹部14c,14dを形成する。前記支持ロッド23にゴム製のキャップ状のグロメット35を嵌合し、グロメット35を前記凹部14cに挿入する。連結ロッド21の上端部にグロメット22を嵌合し、このグロメット22を前記凹部14dに挿入するようにしてもよい。
【0064】
上記実施形態においては、マウント11側に連結ロッド21、グロメット22、支持ロッド23及びグロメット35を配設したので、エアクリーナ13の本体ケース14は、凹部14c,14dを形成するのみの簡素な構成となる。
【0065】
・第4の実施形態において、蓋体ケース15側に取付筒32を設け、本体ケース14側にブラケット33、連結ロッド21及びグロメット22を設けるようにしてもよい。
・前記各実施形態において、前記グロメット22の閉鎖弁27に設けられた操作紐28を省略することも可能である。この場合には、例えば、工具を用いて前記閉鎖弁27を閉鎖位置から開放位置に移動させることができる。
【0066】
・車両部品として、例えばサイドブランチ(消音器)、レゾネータ(消音器)、インレットダクト、インレットダクトとレゾネータの一体成形品等があり、これらを例えば図1に示す連結構造によりマウント11に連結するようにしてもよい。
【0067】
・本発明を、マウント11等の車体に連結ロッド21等の凸状体が設けられ、車体に取り付けられるエアクリーナ等の車両部品に取付筒12等の取付凹部が設けられ、前記凸状体にグロメットが嵌合された車両部品の連結構造に適用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
R…空間、T,26a…連通路、12a,32a…取付凹部、12b,25b,32b…内周面、13…エアクリーナ、14…本体ケース、15…蓋体ケース、21a,25c…外周面、21d,26b,26c,27…閉鎖弁、21e…突起、22,35…グロメット、25…グロメット本体、25a…挿入穴、25g…凹状溝、26…シール部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体又は前記車体に取り付けられる車両部品に凹設された取付凹部に挿入され、かつ前記車両部品又は車体に設けられた凸状体が挿入されるように構成されたグロメットであって、
弾性材料よりなるグロメット本体に前記凸状体を圧入する挿入穴を設け、グロメット本体の外周面に、前記取付凹部の内周面に押圧接触される弾性変形可能な環状のシール部を設け、前記グロメット本体、前記シール部及び前記凸状体の少なくともいずれか一つの部材には、前記取付凹部の底部、グロメット本体及び前記シール部によって形成された空間と、大気とを連通する連通路を設け、前記連通路を閉鎖可能な閉鎖弁を設けたことを特徴とするグロメット。
【請求項2】
請求項1において、前記閉鎖弁はグロメット本体又はシール部に弾性変形可能に設けられ、該閉鎖弁は前記取付凹部にグロメット本体を挿入する際に前記空間から連通路を通して外部に排出される空気の圧力により弾性変形されて連通路を開放し、グロメット本体の挿入完了後に弾性復元力により連通路を閉鎖するように構成されていることを特徴とするグロメット。
【請求項3】
請求項1において、前記シール部には前記連通路がスリット状に切り込み形成され、前記閉鎖弁は前記連通路を形成する際にシール部に形成されたものであることを特徴とするグロメット。
【請求項4】
請求項2又は3において、前記閉鎖弁には、該閉鎖弁を前記連通路の閉鎖位置から開放位置に弾性的に変形させるための操作部が設けられていることを特徴とするグロメット。
【請求項5】
請求項1において、前記グロメット本体には、前記空間と大気とを連通するように前記挿入穴が貫通形成され、該挿入穴の内周面には、前記凸状体の外周面と協働して前記連通路を形成する凹状溝が形成され、前記凸状体の外周面には前記連通路を閉鎖可能な前記閉鎖弁が設けられ、該閉鎖弁は、前記凸状体を前記挿入穴内において、該挿入穴の軸線の周りで回動することにより閉鎖位置と開放位置との間で切り換えられるように構成されていることを特徴とするグロメット。
【請求項6】
請求項5において、前記凸状体の外周面には、前記閉鎖弁と対応するように位置規制用の突起が設けられ、前記突起が凹状溝に係合されたとき、前記閉鎖弁が連通路を閉鎖する位置に移動されて、該閉鎖弁が閉鎖位置に保持されるように構成されていることを特徴とするグロメット。
【請求項7】
車体に取り付けられる車両部品の二つの構成部材のうち、一方の構成部材に凹設された取付凹部に挿入されると共に、他方の構成部材に設けられた凸状体が挿入されて車両部品の構成部材が連結されるように構成されたグロメットであって、
グロメット本体の内部に前記凸状体を圧入する挿入穴を設け、グロメット本体の外周面に、前記取付凹部の内周面に圧接される弾性変形可能なシール部を設け、グロメット本体、前記シール部及び前記凸状体の少なくともいずれか一つの部材には、前記取付凹部の底部、グロメット本体及びシール部によって形成された空間と、大気とを連通する連通路を設け、前記連通路を常には閉鎖する閉鎖弁を設けたことを特徴とするグロメット。
【請求項8】
請求項7において、前記車両部品は、エアクリーナであって、前記取付凹部は、該エアクリーナの一方の構成部材である本体ケース又は他方の構成部材である蓋体ケースに設けられ、前記蓋体ケース又は本体ケースには、前記取付凹部と対応するように凸状体が設けられていることを特徴とするグロメット。
【請求項1】
車体又は前記車体に取り付けられる車両部品に凹設された取付凹部に挿入され、かつ前記車両部品又は車体に設けられた凸状体が挿入されるように構成されたグロメットであって、
弾性材料よりなるグロメット本体に前記凸状体を圧入する挿入穴を設け、グロメット本体の外周面に、前記取付凹部の内周面に押圧接触される弾性変形可能な環状のシール部を設け、前記グロメット本体、前記シール部及び前記凸状体の少なくともいずれか一つの部材には、前記取付凹部の底部、グロメット本体及び前記シール部によって形成された空間と、大気とを連通する連通路を設け、前記連通路を閉鎖可能な閉鎖弁を設けたことを特徴とするグロメット。
【請求項2】
請求項1において、前記閉鎖弁はグロメット本体又はシール部に弾性変形可能に設けられ、該閉鎖弁は前記取付凹部にグロメット本体を挿入する際に前記空間から連通路を通して外部に排出される空気の圧力により弾性変形されて連通路を開放し、グロメット本体の挿入完了後に弾性復元力により連通路を閉鎖するように構成されていることを特徴とするグロメット。
【請求項3】
請求項1において、前記シール部には前記連通路がスリット状に切り込み形成され、前記閉鎖弁は前記連通路を形成する際にシール部に形成されたものであることを特徴とするグロメット。
【請求項4】
請求項2又は3において、前記閉鎖弁には、該閉鎖弁を前記連通路の閉鎖位置から開放位置に弾性的に変形させるための操作部が設けられていることを特徴とするグロメット。
【請求項5】
請求項1において、前記グロメット本体には、前記空間と大気とを連通するように前記挿入穴が貫通形成され、該挿入穴の内周面には、前記凸状体の外周面と協働して前記連通路を形成する凹状溝が形成され、前記凸状体の外周面には前記連通路を閉鎖可能な前記閉鎖弁が設けられ、該閉鎖弁は、前記凸状体を前記挿入穴内において、該挿入穴の軸線の周りで回動することにより閉鎖位置と開放位置との間で切り換えられるように構成されていることを特徴とするグロメット。
【請求項6】
請求項5において、前記凸状体の外周面には、前記閉鎖弁と対応するように位置規制用の突起が設けられ、前記突起が凹状溝に係合されたとき、前記閉鎖弁が連通路を閉鎖する位置に移動されて、該閉鎖弁が閉鎖位置に保持されるように構成されていることを特徴とするグロメット。
【請求項7】
車体に取り付けられる車両部品の二つの構成部材のうち、一方の構成部材に凹設された取付凹部に挿入されると共に、他方の構成部材に設けられた凸状体が挿入されて車両部品の構成部材が連結されるように構成されたグロメットであって、
グロメット本体の内部に前記凸状体を圧入する挿入穴を設け、グロメット本体の外周面に、前記取付凹部の内周面に圧接される弾性変形可能なシール部を設け、グロメット本体、前記シール部及び前記凸状体の少なくともいずれか一つの部材には、前記取付凹部の底部、グロメット本体及びシール部によって形成された空間と、大気とを連通する連通路を設け、前記連通路を常には閉鎖する閉鎖弁を設けたことを特徴とするグロメット。
【請求項8】
請求項7において、前記車両部品は、エアクリーナであって、前記取付凹部は、該エアクリーナの一方の構成部材である本体ケース又は他方の構成部材である蓋体ケースに設けられ、前記蓋体ケース又は本体ケースには、前記取付凹部と対応するように凸状体が設けられていることを特徴とするグロメット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−261368(P2010−261368A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112869(P2009−112869)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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