説明

グロメット

【課題】左右ハンドル車等に共用できるグロメットを提供する。
【解決手段】車体パネルの貫通穴に内嵌係止する車体係止部を設けた車体係止用筒部材と、ワイヤハーネスを挿通させるワイヤハーネス挿通用筒部材と、前記車体係止用筒部材とワイヤハーネス挿通用筒部材とを連結する連結筒部材とを組み合わせてなり、前記車体係止用筒部材とワイヤハーネス挿通用筒部材はゴムまたはエラストマーからなる弾性材からなり、前記連結筒部材は樹脂成形品からなり、前記連結筒部材は長さ方向の両端に周方向に複数の係止爪を備え、前記車体係止用筒部材およびワイヤハーネス挿通用筒部材には、前記連結筒部材との連結側の内周面に前記係止爪を挿入係止する係止溝を設け、かつ、前記ワイヤハーネス挿通用筒部材は、前記連結筒部材との連結筒部に一方側に屈曲させた屈曲筒部を連続させ、前記ワイヤハーネス挿通用筒部材の屈曲筒部の屈曲方向が所定方向となるように前記係止溝に前記連結筒部材の係止爪を係止して連結する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に配索するワイヤハーネスに外装して車体パネルの貫通穴に装着するグロメットに関し、詳しくは、右ハンドル車と左ハンドル車とでグロメットに貫通させるワイヤハーネスの屈曲方向が右向きと左向きとに相違しても共用可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
この種のグロメットは、図6に示すように、ゴムまたはエラストマーからなる弾性体で成形され、車体パネルPに設けた貫通穴Hの内周面を通す位置でワイヤハーネスW/Hの外周面に装着される。該グロメット100はワイヤハーネスW/Hを密着して挿通する小径筒部101の一端から傾斜筒部102が突出し、該傾斜筒部102の外周面に設けた環状の車体係止凹部103に貫通穴Hの周縁を落とし込んで係止している。
ワイヤハーネスを配索する自動車が、右ハンドル車と左ハンドル車と相違すると、ワイヤハーネスに外装するグロメット100の小径筒部101の曲げ方向が図6(A)(B)に示すように左右対称方向になる場合が多い。また、右ハンドル車同士であっても車種の相違によって、同一箇所に配索するワイヤハーネスでグロメットの筒部の曲げ方向が相違する場合もある。
【0003】
グロメットを装着する貫通穴が同一の大きさであっても、グロメットのワイヤハーネスを密着して挿通する筒部の方向が30度以上相違すると同一のグロメットを用いることはできず、筒部の曲げ方向を相違させたグロメットを製造している。そのため、グロメットの品番が多くなり、製造コストが高くなると共に管理コストも増大する問題がある。
【0004】
前記問題に鑑みて、曲げ方向が左右相違する場合にも共用で用いることができるグロメットが提案されている。例えば、本出願人の先願に係わる特開平8−106831号公報で提案したグロメット120は図7(A)(B)に示すように、車体係止凹部103を設けた傾斜筒部102に蛇腹筒部121を介して小径筒部101を同一軸線上に設け、該小径筒部101に係止片122を突設し、該係止片122に係止穴124を設けると共に、傾斜筒部102の外周面に係止突起125を設けている。該グロメットでは、小径筒部101を所要方向に曲げ、該小径筒部101から突設した係止片122の係止穴124を係止突起125に挿入係止して小径筒部101を所要の曲げ姿勢に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−106831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記図7に示すグロメットでは、小径筒部101を傾斜筒部102に対して所要方向に曲げるために蛇腹筒部121を介在させる必要がある。よって、車体パネルPの貫通穴Hに装着した位置から小径筒部101を曲げる位置までに、蛇腹筒部121の長さ以上の寸法が必要となる。そのため、車体パネルPに近接して外部干渉材があり、小径筒部101を車体パネルPに近接させて急激に曲げる必要がある場合には、採用できない問題がある。また、係止片122の係止穴124に係止突起125を挿入係止するだけであるため、ワイヤハーネスに引っ張り負荷が作用すると、係止が外れ、小径筒部を曲げ方向に保持できなくなるおそれもある。
【0007】
本発明は車体パネルに装着する拡径筒部とワイヤハーネスを密着して挿通する小径筒部との間に蛇腹筒部を必要とせず、かつ、小径筒部を所要方向へ安定して曲げることができるグロメットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、車体パネルの貫通穴に内嵌係止する車体係止部を設けた車体係止用筒部材と、ワイヤハーネスを挿通させるワイヤハーネス挿通用筒部材と、前記車体係止用筒部材とワイヤハーネス挿通用筒部材とを連結する連結筒部材とを組み合わせてなり、前記車体係止用筒部材とワイヤハーネス挿通用筒部材はゴムまたはエラストマーからなる弾性材からなり、前記連結筒部材は樹脂成形品からなり、
前記連結筒部材は長さ方向の両端に周方向に複数の係止爪を備え、
前記車体係止用筒部材およびワイヤハーネス挿通用筒部材には、前記連結筒部材との連結側の内周面に前記係止爪を挿入係止する係止溝を設け、かつ、
前記ワイヤハーネス挿通用筒部材は、前記連結筒部材との連結筒部に一方側に屈曲させた屈曲筒部を連続させ、
前記ワイヤハーネス挿通用筒部材の屈曲筒部の屈曲方向が所定方向となるように前記係止溝に前記連結筒部材の係止爪を係止して連結することを特徴とするグロメットを提供している。
【0009】
前記本発明のグロメットでは、3部材を組み合わせて形成し、ワイヤハーネス挿通用筒部材の屈曲筒部が所要方向に向くように、該ワイヤハーネス挿通用筒部材に設けた係止溝を連結筒部材に突設した係止爪に係止して連結するだけで、ワイヤハーネスの曲げ方向に応じた方向にワイヤハーネス挿通用筒部材の屈曲筒部が屈曲したグロメットとすることができる。
よって、左右対称方向に屈曲筒部を屈曲させた右ハンドル車と左ハンドル車に共用できるグロメットとすることができ、さらに、例えば、曲げ方向が左右対称に限定されず、30度の所定間隔相違する場合にも共用で用いることができる。
【0010】
また、前記のように、車体係止用筒部材とワイヤハーネス挿通用筒部材はゴムまたはエラストマーからなる弾性素材で成形し、連結筒部材は樹脂成形品としている。
これは、弾性部材同士を係止するより、樹脂成形品からなる連結筒部材を介して連結する方が係止位置を明確に特定でき、かつ、結合部分に位置ずれを発生させにくくできることに因る。
【0011】
前記車体係止用筒部材およびワイヤハーネス挿通用筒部材は、前記連結筒部材との連結部分は対称形状とし、先端面を互いに接触させた状態で、前記連結筒部材の半側部が前記車体取付用筒部材に内嵌すると共に他半側部をワイヤハーネス挿通用筒部材に内嵌する構成としていることが好ましい。
このように、車体係止用筒部材とワイヤハーネス挿通用筒部材との連結端面を直接接触させ、連結筒部材を内嵌すると、屈曲筒部を車体係止部に近接した位置に設けることができ、車体パネルの貫通穴に装着したグロメットのワイヤハーネス挿通用筒部材を急激に曲げることができる。
【0012】
具体的には車体係止用筒部材とワイヤハーネス挿通用筒部材との連結部先端には厚肉とした大径筒部を段状に設け、該大径筒部の中空部は断面三角形、四角形、五角形、六角形あるいは八角形の多角形穴とし、該多角形穴の開口に近接した位置に相似形状の多角形状の係止溝を設ける一方、
前記連結筒部材を対応する多角形の筒部材とし、複数の辺から前記係止爪を突設し、対応する前記係止溝の辺に係止する構成とすることが好ましい。
【0013】
前記のように多角形状とした係止溝の複数の各辺に、多角形枠から突設した係止爪を係止すると、連結部分を回転不可とすることができる。前記係止爪を各辺から突設し、対応する前記係止溝の辺に係止する構成としてもよい。
【0014】
また、前記車体係止用筒部材およびワイヤハーネス挿通用筒部材の連結筒部材を内嵌する部分は円筒とし、周方向に間隔をあけて係止溝を2個以上8個以下で設けてもよい。
即ち、周方向に45度間隔をあけて8個設けると、ワイヤハーネス挿通用筒部材の曲げ方向を45度づつ相違させることができる。また、周方向に180度間隔をあけて2個設けると、ワイヤハーネス挿通用筒部材の曲げ方向を180度相違でき、右向き、左向きに変えることができる。
一方、車体係止用筒部材とワイヤハーネス挿通用筒部材との間に介在させて着脱自在に連結する連結筒部材に設ける係止爪は係止溝と同数とし、各係止溝にそれぞれ係止爪を係止させることが好ましい。該構成とすると、周方向全体に安定して連結することができる。
【0015】
前記連結筒部材は、前記車体係止用筒部材またはワイヤハーネス挿通用筒部材と予め一体的に成形しておいてもよい。その場合、樹脂製の連結筒部材と、ゴムまたはエラストマー製の車体係止用筒部材あるいはワイヤハーネス挿通用筒部材は2色成形している。
たとえば、連結筒部材を車体係止用筒部材と予め一体的に成形しておくと、組み立て作業は2部材を組み立てれば良いため、作業性を高めることができる。
【0016】
前記車体係止用筒部材はゴムまたはエラストマーのみからなる筒部材とし、前記ワイヤハーネス挿通用筒部材と連結する側と反対側に拡径筒部を設け、その大径側の外周面に環状の車体係止凹部を設けた形状としている。あるいは、前記大径側に環状の樹脂インナーを内嵌固定し、前記大径部分の先端から突出させた樹脂インナーの外周に車体係止爪を突設した形状としてもよい。また、ワイヤハーネス挿通用筒部材の屈曲筒部の先端は2分割してテープ巻き舌片を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
前記のように、本発明のグロメットは、ワイヤハーネス挿通用筒部材の屈曲筒部をワイヤハーネスの屈曲方向に応じて屈曲させることができ、屈曲方向が相違しても共用することができる。よって、ワイヤハーネスの屈曲方向に応じた専用のグロメットを設ける必要はなく、グロメットの製造コストの低減、グロメットの部品点数を大幅削減およびグロメットの管理コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態のグロメットの断面図である。
【図2】第1実施形態のグロメットのワイヤハーネス挿通用筒部材を示し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図3】第1実施形態のグロメットの連結筒部材の斜視図である。
【図4】第2実施形態を示し、(A)はワイヤハーネス挿通用筒部材の正面図、(B)は連結する部材の側面図である。
【図5】第3実施形態を示す断面図である。
【図6】(A)(B)は従来例を示す断面図である。
【図7】(A)(B)は他の従来例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態のグロメットを図面を参照して説明する。
図1乃至図3に示す第1実施形態のグロメットは、同一車種で、右ハンドル車と左ハンドル車とに共用するものである。
グロメット1は車体係止用筒部材2と、ワイヤハーネス挿通用筒部材3と、連結筒部材4との3部材を連結して形成している。
車体係止用筒部材2とワイヤハーネス挿通用筒部材3とはゴムまたはエラストマーからなる弾性素材で成形している。連結筒部材4は樹脂成形品としている。
【0020】
図2に示すように、ワイヤハーネス挿通用筒部材3は連結筒部30と、該連結筒部30に対して90度屈曲させて連続した屈曲筒部31とからなる。右ハンドル車用では屈曲筒部31を右向きに屈曲させる必要があり、左ハンドル車用では屈曲筒部31の向きを180度変えて左向きに屈曲させるものとしている。ワイヤハーネス挿通用筒部材3の内径は挿通するワイヤハーネスW/Hの外径より小さくし、拡げ治具(図示せず)で拡げてワイヤハーネスを挿通し、挿通後に屈曲筒部31の先端からワイヤハーネスの外周面にかけて粘着テープを巻き付けて固定するようにしている。
【0021】
前記連結筒部30の先端には、厚肉で四角筒部からなる大径筒部33を段状に突出させている。該大径筒部33の先端開口33aおよび該先端開口33aに連続する内周面33bは四角形状としている。また、該四角形状の内周面33bに囲まれた部分は前記連結筒部材4の半側部の内嵌部34としている。該内嵌部34の奥側には相似形状の四角形状に窪ませた係止溝35を設けている。
【0022】
前記車体係止用筒部材2は一端側は、前記ワイヤハーネス挿通用筒部材3の連結筒部30と対象形状の連結筒部20としている。即ち、連結筒部20の先端には厚肉で四角筒部からなる大径筒部23を段状に突出させている。該大径筒部23の先端開口23aおよび該先端開口23aに連続する内周面23bは四角形状としている。また、該四角形状の内周面23bに囲まれた部分は前記連結筒部材4の他半側部の内嵌部24としている。該内嵌部24の奥側には相似形状の四角形状に窪ませた係止溝25を設けている。
【0023】
前記連結筒部20に厚肉部26を連続させ、その外周面に環状の車体係止凹部27を設け、さらに、縮径筒部28を連続させている。該縮径筒部28から車体パネルPの貫通穴Hに挿入し、車体係止凹部27に貫通穴Hの周縁を落としこんで車体パネルPに固定するようにしている。
【0024】
図3に示す連結筒部材4は、車体係止用筒部材2の大径筒部23の端面とワイヤハーネス挿通用筒部材3の大径筒部33の端面とを突き合わせて当接した状態で、連通する内嵌部24、34に跨いだ状態で内嵌するものとしている。
該樹脂成形品からなる連結筒部材4は四角筒形状であり、本体10の両端の各4辺から軸線方向に突出する係止片11、12を設け、各係止片の先端に係止爪11a、12aを設けている。
該連結筒部材4の一方の4つの係止片11の係止爪11aは車体係止用筒部材2の4角形状の係止溝25の各辺にそれぞれ係止し、他方の4つの係止片12の係止爪12aはワイヤハーネス挿通用筒部材3の係止溝35の各辺にそれぞれ係止する寸法設定としている。
【0025】
前記のように、車体係止用筒部材2と、ワイヤハーネス挿通用筒部材3と、連結筒部材4を組み合わせ、連結筒部材4の係止爪12aを係止するワイヤハーネス挿通用筒部材3の係止溝35の辺を選択するだけで、ワイヤハーネス挿通用筒部材3の屈曲筒部31の曲がり方向を所要の方向へと曲げたグロメットとすることができる。
また、該連結筒部材4の他端の4個の係止爪11aを車体係止用筒部材2の4角形の係止溝25の各辺に係止しているため、連結筒部材4を介した車体係止用筒部材2とワイヤハーネス挿通用筒部材3とを回転不可に結合することができる。
【0026】
グロメット1はワイヤハーネス挿通用筒部材3にワイヤハーネスW/Hを通した後に該ワイヤハーネス挿通用筒部材3と車体係止用筒部材2とを前記のように連結筒部材4を介して連結係止してもよいし、ワイヤハーネス挿通前にワイヤハーネス挿通用筒部材3と車体係止用筒部材2とを連結筒部材4を介して連結しておいてもよい。そのさい、車体係止用筒部材2の連結筒部20に連結筒部材4の一端側を挿入し、係止溝25に係止爪11aを係止した後に、ワイヤハーネス挿通用筒部材3の連結筒部30を撓ませて連結筒部材4の他端側に外嵌し、その係止溝35に係止爪12aを係止する。
【0027】
前記グロメット1を取り付けたワイヤハーネスW/Hを自動車に配索し、車体パネルPの貫通穴Hに装着する際は、車体係止用筒部材2の先端の縮径筒部28を貫通穴Hに挿入し、車体係止凹部27に貫通穴Hの周縁部を落とし込んで係止している。
このように、車体パネルPにグロメット1を取り付けた状態で、車体パネルPに近接した位置で屈曲筒部31を右方向または左方向に屈曲させることができる。
【0028】
前記のように、本発明のグロメット1では、ワイヤハーネス挿通用筒部材3を連結筒部材4に連結する際に、屈曲筒部31の曲げ方向が所要方向となるように、4本の係止爪12aと係止する係止溝25の各辺を選択するだけで右ハンドル車用とできる。また、係止爪12aを係止する辺を180度かえて係止溝25の各辺に係止するだけで、図1に一点鎖線で示すように、左ハンドル車用のグロメットとすることができる。
さらに、左右ハンドル車に限定されず、本実施形態のグロメットでは、車体係止位置を中心としてワイヤハーネスの曲げ方向が90度づつ相違する場合にも用いることができる。
【0029】
図4(A)(B)に第2実施形態を示す。
第2実施形態では、連結筒部材4を六角筒形状とし、長さ方向の両端には6個の各辺から軸線方向に突出させた係止片50、51を設け、各係止片50、51の先端に係止爪50a、51aを突設している。
一方、弾性材からなる車体係止用筒部材2とワイヤハーネス挿通用筒部材3の連結筒部の先端の大径筒部60(61)は六角筒形状とし、開口60a(61a)および内周面も六角形とし、かつ、車体係止用筒部材2の係止溝60b、ワイヤハーネス挿通用筒部材3の係止溝61bも六角形としている。この係止溝60bと61bに連結筒部材4の両側の係止爪50a、51aを係止するようにしている。
【0030】
前記のように六角形とすると、ワイヤハーネス挿通用筒部材3の屈曲筒部31の屈曲方向を60度づつ変えることができる。
なお、第1実施形態の4角形、第2実施形態の六角形に限定されず、八角形等の多角形としてもよい。
【0031】
図5に第3実施形態を示す。
樹脂製の連結筒部材70をゴム製の車体係止用筒部材71と2色成形で一体的に設けた一体部材80を設けている。即ち、車体係止用筒部材71の大径部71aの先端面に連結筒部材70の筒状本体72を連続して突設し、その先端に90度間隔をあけて係止片75を突設し、先端に係止爪75aを設けている。該樹脂製の連結筒部材70とゴム製の車体係止用筒部材71とは、連結筒部材70の樹脂成形品をゴム成形金型内にモールドして2色成形で一体化している。
ゴム製のワイヤハーネス挿通用筒部材3は第1実施形態と同様としているため、同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
前記のように、第1実施形態では別体としていた車体係止用筒部材と連結筒部材とを予め一体的に成形した一体部材80を設けておくと、ワイヤハーネス挿通用筒部材3を連結筒部材に対して第1実施形態と同様に係止するだけでよく、グロメットの組み立て作業性を高めることができる。
これにより、前記係止溝35に係止爪を設けた係止片75を嵌合係止した時に、連結筒部材70の樹脂材を車体係止用筒部材71およびワイヤハーネス挿通用筒部材3の弾性材に密着させることができ、止水性能を高めることができる。他の構成及び作用は第1、第2実施形態と同様であるため説明を省略する。
また、第3実施形態では、連結筒部材を車体係止用筒部材と一体的に設けているが、連結筒部材をワイヤハーネス挿通用筒部材と一体的に設けてもよい。
【0033】
本発明は前記実施形態に限定されず、例えば、車体係止用筒部材は、ゴムまたはエラストマーからなる弾性材からなる本体に、樹脂成形品からなる樹脂インナーを組み合わせ、該樹脂インナーの貫通穴の周縁に係止する係止爪を設けた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 グロメット
2 車体係止用筒部材
3 ワイヤハーネス挿通用筒部材
4 連結筒部材
11、12 係止片
11a、12a 係止爪
23、33 大径筒部
25、35 係止溝
30 連結筒部
31 屈曲筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルの貫通穴に内嵌係止する車体係止部を設けた車体係止用筒部材と、ワイヤハーネスを挿通させるワイヤハーネス挿通用筒部材と、前記車体係止用筒部材とワイヤハーネス挿通用筒部材とを連結する連結筒部材とを組み合わせてなり、前記車体係止用筒部材とワイヤハーネス挿通用筒部材はゴムまたはエラストマーからなる弾性材からなり、前記連結筒部材は樹脂成形品からなり、
前記連結筒部材は長さ方向の両端に周方向に複数の係止爪を備え、
前記車体係止用筒部材およびワイヤハーネス挿通用筒部材には、前記連結筒部材との連結側の内周面に前記係止爪を挿入係止する係止溝を設け、かつ、
前記ワイヤハーネス挿通用筒部材は、前記連結筒部材との連結筒部に一方側に屈曲させた屈曲筒部を連続させ、
前記ワイヤハーネス挿通用筒部材の屈曲筒部の屈曲方向が所定方向となるように前記係止溝に前記連結筒部材の係止爪を係止して連結する構成としていることを特徴とするグロメット。
【請求項2】
前記車体係止用筒部材およびワイヤハーネス挿通用筒部材は、前記連結筒部材との連結部分は対称形状とし、先端面を互いに接触させた状態で、前記連結筒部材の半側部が前記車体係止用筒部材に内嵌すると共に他半側部をワイヤハーネス挿通用筒部材に内嵌する構成としている請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記車体係止用筒部材とワイヤハーネス挿通用筒部材との連結部先端には厚肉とした大径筒部を段状に設け、該大径筒部の中空部は断面三角形、四角形、五角形、六角形あるいは八角形の多角形穴とし、該多角形穴の開口に近接した位置に相似形状の多角形状の係止溝を設ける一方、
前記連結筒部材を対応する多角形の筒部材とし、複数の辺から前記係止爪を突設し、対応する前記係止溝の辺に係止する構成としている請求項1または請求項2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記連結筒部材は、前記車体係止用筒部材またはワイヤハーネス挿通用筒部材と予め一体的に成形している請求項1に記載のグロメット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−39770(P2012−39770A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178028(P2010−178028)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】