説明

グローブボックス構造

【課題】脱着が容易で、且つ、全開時の開口面を最大限に確保することができるグローブボックスを提供する。
【解決手段】容器状のグローブボックス1と、グローブボックス1を開閉可能に取付ける車体側のグローブボックス設置部材と、グローブボックス1の側壁又は奥壁に取付けられ、グローブボックス設置部材に当接しグローブボックス1の開度を規制する規制状態と、グローブボックス設置部材に当接せずにグローブボックス1の開度を規制しない解除状態とを回転することで切り換えることが可能なスットパー3とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車の車室内には、小物等を収納するためのグローブボックスが設置されている。このグローブボックスは、車両の車室内の前面に設置されるインストルメントパネルに設けられた開口部に嵌め込むように設置される。グローブボックスとインストルメントパネルは、グローブボックスの下部に設置された回動可能な取付部をインストルメントパネルにネジ止めすることで結合している。このため、グローブボックスはインストルメントパネルに対して開閉可能となっている。グローブボックスの奥壁側の左右側壁には、開口部が形成されており、この開口部にストッパー部材をグローブボックス内部から嵌め込んで外側に突出させることで、グローブボックスの全開時にはこの嵌め込み型ストッパーがインストルメントパネルに引っ掛かるようになっている。これにより、グローブボックスは所定の開度以上には開かないように制限されている。このようなグローブボックスの一例が下記特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−192894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるグローブボックスでは、全開時のグローブボックスの開度を嵌め込み型ストッパーにより制限しており、グローブボックスの裏に設置されているヒューズの交換等の際にグローブボックスを取り外す場合には嵌め込んだ嵌め込み型ストッパーを引き抜いて取り外さなくてはならないため作業性が悪く、容易にグローブボックスを取り外すことができない。
【0005】
また、嵌め込み型ストッパーによりグローブボックスの開度を制限する構造では、嵌め込み型ストッパーを設置するための開口部を設けなければならないが、この開口部はグローブボックスの側壁に設けられる関係上、グローブボックスの奥壁よりも車両前方側に嵌め込み型ストッパーを位置させることができず、さらに、嵌め込み型ストッパーの強度を確保するため嵌め込み型ストッパーにある程度の厚みを持たせる必要があるため、グローブボックスの全開時にグローブボックスの上部の開口面を最大限に利用することができない。
【0006】
これらのことから、本発明は、脱着が容易で、且つ、全開時の開口面を最大限に確保することができるグローブボックス構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための第1の発明(請求項1に対応)に係るグローブボックス構造は、
容器状のグローブボックスと、
前記グローブボックスを開閉可能に取付ける車体側のグローブボックス設置部材と、
前記グローブボックスの側壁又は奥壁に取付けられ、前記グローブボックス設置部材に当接し前記グローブボックスの開度を規制する規制状態と、前記グローブボックス設置部材に当接せずに前記グローブボックスの開度を規制しない解除状態とを回転することで切り換えることが可能なスットパーと
を備える
ことを特徴とする。
【0008】
上記の課題を解決するための第2の発明(請求項2に対応)に係るグローブボックス構造は、第1の発明に係るグローブボックスにおいて、前記ストッパーは、該ストッパーの回転軸が前記側壁と奥壁とで形成される角部近傍に位置することを特徴とする。
好ましくは、ストッパーの回転軸を角部に設けるとよい。
この構成によれば、グローブボックスの全開時の開口面を更に確保することができ、またストッパーの解除状態での突出量を抑えることができグローブボックスの容量を確保できる。
【0009】
上記の課題を解決するための第3の発明(請求項3に対応)に係るグローブボックス構造は、第1の発明又は第2の発明に係るグローブボックスにおいてグローブボックスの側壁又は奥壁に該グローブボックスの内外を連通する連通口を有し、ストッパーは、連通口に回動自在に取付けられ、連通口からグローブボックス外に延出してグローブボックス設置部材と係合可能な掛かり部と、連通口からグローブボックス内に延出してストッパーの規制状態で側壁又は奥壁に係合可能なレバー部とを備えることを特徴とする。
好ましくは、ストッパーの回転軸をグローブボックスの内側に設けると良い。
この構成によれば、ストッパーの解除状態での突出量を抑えることができグローブボックスの容量を確保できる。
【0010】
上記の課題を解決するための第4の発明(請求項4に対応)に係るグローブボックス構造は、第3の発明に係るグローブボックスにおいて、レバー部はストッパーの規制状態でグローブボックスの側壁に沿ってグローブボックスの奥壁と反対方向に延出していることを特徴とする。
好ましくは、ストッパーの回転軸を角部に設けるとよい。
この構成によれば、グローブボックスの全開時の開口面を更に確保することができ、またストッパーの解除状態での突出量を抑えることができグローブボックスの容量を確保できる。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、容器状のグローブボックスと、グローブボックスを開閉可能に取付ける車体側のグローブボックス設置部材と、グローブボックスの側壁又は奥壁に取付けられ、グローブボックス設置部材に当接しグローブボックスの開度を規制する規制状態と、グローブボックス設置部材に当接せずにグローブボックスの開度を規制しない解除状態とを回転することで切り換えることが可能なスットパーとを備えることにより、容易にグローブボックスを脱着することができる。
【0012】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加え、ストッパーは、このストッパーの回転軸がグローブボックスの側壁と奥壁とで形成される角部近傍に位置することにより、グローブボックス全開時の開口面を最大限に確保することができる。
【0013】
第3の発明によれば、第1の発明又は第2の発明の効果に加え、ストッパーがグローブボックス内外に連通することにより、グローブボックス内側からストッパーの規制状態と解除状態を切り換えられ、さらにグローブボックスの脱着を容易にすることができる。
【0014】
第4の発明によれば、第3の発明の効果に加え、レバー部がストッパーの規制状態でグローブボックスの側壁に沿ってグローブボックスの奥壁と反対方向に延出しているため、ストッパーの規制状態で掛かり部とグローブボックス設置部材とが当接したとき、レバー部には側壁と係合する方向に力が働きストッパーが解除状態となることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係るグローブボックスの一実施形態について、図1から図12を用いて説明する。図1は本発明に係るグローブボックスの全開時の斜視図、図2は本発明に係るグローブボックスケースを奥壁側から見た斜視図、図3は本発明に係るグローブボックスを奥壁側から見た斜視図、図4は本発明に係るグローブボックスケースの掛かり部を奥壁側から見た斜視図、図5は本発明に係るグローブボックスのストッパー取付け部をグローブボックスの外側から見た斜視図、図6は本発明に係るグローブボックスのストッパー取付け部をグローブボックスの内側から見た斜視図、図7は本発明に係るグローブボックスの側面図、図8は図7中A−Aで示す断面における断面図、図9は図7中B−Bで示す断面における断面図、図10は本発明に係るストッパー規制状態時のストッパーの斜視図、図11は本発明に係るストッパー解除状態時のストッパーの斜視図、図12は本発明に係る車室内前面の側面図である。
【0016】
始めに、本実施形態に係るグローブボックス構造の概要について説明する。図12に示すように、車室内の前方にはインストルメントパネル2が設置されている。このインストルメントパネル2の運転席側(図12中、右側)には、ステアリングホイール10やコンビネーションメータ11等が設置されている。インストルメントパネル2の車幅方向中央部(図12中、中央部)には、カーナビゲーション12やエアコンコンソール13等が設置されている。インストルメントパネル2の助手席側(図12中、左側)には、小物や車検証等を収納できる樹脂製のグローブボックス1が設置されている。
【0017】
このグローブボックス1は、通常時は図12に示すように閉じた状態となっており、レバー14を手前側に引くことで、図1に示すようにロック機構15が解除されグローブボックス1を開くことが可能となっている。グローブボックス1は、図2に示すように形状が枠状の樹脂製のグローブボックスケース16(グローブボックス設置部材)を介してインストルメントパネル2に取付けられている。
【0018】
グローブボックスケース16の下部にはグローブボックス1が取付く軸部17が形成されており、この軸部17に図3に示すようにグローブボックス1の奥壁1b(車両前方側の面)下部に形成された結合部18を図4に示すように嵌め込むことにより結合することで開閉動作が可能となっている。
【0019】
次に、本実施形態に係るグローブボックス1の要部の構成について説明する。図4に示すように、グローブボックス1の奥壁1b側の側壁には、グローブボックス1全開時にグローブボックスケース16の掛かり部(グローブボックスケース掛かり部19)に引っ掛かることで所定の開度以上にグローブボックス1が開かないよう規制する回転式のストッパー3が設置されている。
【0020】
図3に示すように、ストッパー3(図4参照)はグローブボックス1の奥壁1bの中央部近傍の角部に設けられたストッパー取付け部20(連通口)に取付けられる。ストッパー取付け部20には、図5(b)に示すようにストッパー3の回転軸Pの上下方向の中央部と接する中央回転軸受21が形成されている。また、ストッパー取付け部20には、図6(b)に示すようにストッパー3の回転軸Pの上下の部分と接する上下回転軸受22が形成されている。
【0021】
ストッパー3は、ストッパー取付け部20に設置されたとき、図5(a),(b)に矢印付きの破線で示すようにストッパー3の中央部回転軸23とグローブボックス1の中央回転軸受21とが接し、図6(a),(b)に矢印付きの破線で示すようにストッパー3の上下回転軸24とグローブボックス1の上下回転軸受22とが接することで、ストッパー3はストッパー取付け部20に取付けられる。
【0022】
図7のA−Aで示す図8の断面図のように、ストッパー3の回転軸Pは、グローブボックス1の側壁と奥壁で形成される角部の内側に位置し、ストッパー3の中央部回転軸23とグローブボックス1の中央回転軸受21とが接している。ストッパー3は回転中心Aを中心として図8中に2点鎖線で示すように回転可能となっている。
【0023】
ストッパー3の規制状態時には、ストッパー3の掛かり部(以下、ストッパー掛かり部25)がグローブボックスケース掛かり部19に掛かり代Lの分だけ掛かるようにグローブボックス外側へ延出している。このとき、ストッパー3のレバー部26は、側壁に沿って奥壁と反対方向に延出し、レバー部26の先端に形成した固定爪部27がグローブボックス1の側壁側に形成される固定爪部挿入孔28に引っ掛かることでストッパー3の規制状態を確実に維持している。
【0024】
このように、グローブボックスケース掛かり部19にストッパー掛かり部25が掛かることでグローブボックス1の開度を規制する構造となっているため、ストッパー掛かり部25が勢いよくグローブボックスケース掛かり部19に当接したとしてもレバー部26は固定爪部挿入孔28と係合する方向に力を受けるため、レバー部26と固定爪部挿入孔28との係合が外れることを抑制し、ストッパー3の規制状態を確実に維持している。さらにストッパー掛かり部25が規制状態になっていない半掛かりの状態であっても、自動的にストッパー3が規制状態となって掛かるため、グローブボックス1の取付けに要する労力を軽減することができる。
【0025】
また、図8中にストッパー3’として示す解除状態時には、ストッパー3’の掛かり部25’とグローブボックスケース掛かり部19との間にはクリアランスCがあるため、グローブボックス1をグローブボックスケース16から取り外す際等に、ストッパー3’の掛かり部25’とグローブボックスケース掛かり部19とが干渉しないようになっている。
【0026】
図7のB−Bで示す図9の断面図のように、ストッパー3の回転軸Pは、グローブボックスの内側の角部に位置し、ストッパー3の上下回転軸24とグローブボックス1の上下回転軸受22とが接している。ストッパー3は回転中心Aを中心として回転可能となっている。ストッパー3の規制状態時には、ストッパー3は、レバー部26に形成された支持部29がグローブボックス1の側壁1sの内側の面と面で接する。また、ストッパー3’の解除状態時には、ストッパー掛かり部25’はグローブボックス1の側壁1s近傍に位置する。したがって、回転軸Pがグローブボックス1の内側に位置しているため、ストッパー3’の解除状態において掛かり部25’の突出量を抑えることができ、このことによりグローブボックス1の容量を大きくすることができる。
【0027】
ここで、ストッパー3自体の形状について説明する。図5(a)及び図6(a)に示すように、このストッパー3は、形状が略L字状となっている。ストッパー掛かり部24は、グローブボックスケース16と接する部分Tが曲面になっている。また、この反対側の面には、上下の側端部に補強のためのリブ30が設けられている。これらの構造によりストッパー掛かり部25は、十分な剛性が確保されている。
【0028】
ストッパー3のレバー部26の中央部には、ストッパー3の規制状態時にグローブボックス1の中央回転軸受21が干渉しないように開口部31が設けられており、上下の側端部にはストッパー3の規制状態時にグローブボックス1の側壁1sの内部の面と面で接する支持部29が形成されている。また、ストッパー3のレバー部26の端部には、固定爪部27が形成されている。
【0029】
図10(a)に示すように、ストッパー3の規制状態時には、ストッパー3の掛かり部25がグローブボックス1の側壁1sに対して略垂直でグローブボックス1の奥壁1bに対して略平行な状態になっている。また、図10(b)に示すように、ストッパー3の規制状態時には、ストッパー3の支持部29はグローブボックス1の側壁1sに面で接し、固定爪部27がグローブボックス1の固定爪部挿入孔28に挿入されて掛かっている。
【0030】
図11(a)に示すように、ストッパー3の解除状態時には、ストッパー3の掛かり部25はグローブボックス1の外側の側壁1s近傍に位置している。また、図11(b)に示すように、ストッパー3の解除状態時には、ストッパー3のレバー部26はグローブボックスと接しない状態となっている。
【0031】
このように、本実施形態に係るグローブボックス構造によれば、容易にグローブボックスを脱着することができる。また、グローブボックスケース16に回転式のストッパー3が掛かることでグローブボックス1の開度を規制する構造となっているため、ストッパー3が規制状態時の状態になっていない半掛かりの状態であっても、グローブボックス1の全開時に自動的にストッパー3が規制状態時の状態となってグローブボックスケース16に掛かるため、グローブボックス1の取付けにかかる労力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るグローブボックスの全開時の斜視図である。
【図2】本発明に係るグローブボックスケースを奥壁側から見た斜視図である。
【図3】本発明に係るグローブボックスを奥壁側から見た斜視図である。
【図4】本発明に係るグローブボックスケースの掛かり部を奥壁側から見た斜視図である。
【図5】本発明に係るグローブボックスのストッパー取付け部をグローブボックスの外側から見た斜視図である。
【図6】本発明に係るグローブボックスのストッパー取付け部をグローブボックスの内側から見た斜視図である。
【図7】本発明に係るグローブボックスの側面図である。
【図8】図7中A−Aで示す断面における断面図である。
【図9】図7中B−Bで示す断面における断面図である。
【図10】本発明に係るストッパー規制状態時のストッパーの斜視図である。
【図11】本発明に係るストッパー解除状態時のストッパーの斜視図である。
【図12】本発明に係る車室内前面の側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 グローブボックス
2 インストルメントパネル
3 ストッパー
10 ステアリングホイール
11 コンビネーションメータ
12 カーナビゲーション
13 エアコンコンソール
14 レバー
15 ロック機構
16 グローブボックスケース(グローブボックス設置部材)
17 軸部
18 結合部
19 グローブボックスケース掛かり部
20 ストッパー取付け部(連通口)
21 中央回転軸受
22 上下回転軸受
23 中央部回転軸
24 上下回転軸
25 ストッパー掛かり部
26 レバー部
27 固定爪部
28 固定爪部挿入孔
29 支持部
30 リブ
31 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器状のグローブボックスと、
前記グローブボックスを開閉可能に取付ける車体側のグローブボックス設置部材と、
前記グローブボックスの側壁又は奥壁に取付けられ、前記グローブボックス設置部材に当接し前記グローブボックスの開度を規制する規制状態と、前記グローブボックス設置部材に当接せずに前記グローブボックスの開度を規制しない解除状態とを回転することで切り換えることが可能なスットパーと
を備える
ことを特徴とするグローブボックス構造。
【請求項2】
前記ストッパーは、該ストッパーの回転軸が前記側壁と奥壁とで形成される角部近傍に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のグローブボックス構造。
【請求項3】
前記グローブボックスの側壁又は奥壁に該グローブボックスの内外を連通する連通口を有し、
前記ストッパーは、前記連通口に回動自在に取付けられ、該連通口から前記グローブボックス外に延出して前記ストッパーの規制状態で前記グローブボックス設置部材と係合可能な掛かり部と、該連通口から前記グローブボックス内に延出して前記ストッパーの規制状態で前記側壁又は奥壁に係合可能なレバー部とを備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のグローブボックス構造。
【請求項4】
前記レバー部は前記ストッパーの規制状態で前記グローブボックスの側壁に沿って該グローブボックスの奥壁と反対方向に延出している
ことを特徴とする請求項3に記載のグローブボックス構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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