ケラチノサイト収縮剤
【課題】ケラチノサイトに作用し、毛穴を目立たなくさせることのできるケラチノサイト収縮剤を提供すること。
【解決手段】 下記式で表わされる化合物又はその塩を含有するケラチノサイト収縮剤、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤。
〔Rは、炭素数8〜20のアルキル基であり、炭素数8〜18のものが好ましく、炭素数8〜12のものがより好ましい。また、炭素鎖は、直鎖又は分岐の何れでもよいが、好ましくは直鎖である。当該Rで示されるアルキル基の好適な具体例としては、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、等が挙げられる。〕
【解決手段】 下記式で表わされる化合物又はその塩を含有するケラチノサイト収縮剤、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤。
〔Rは、炭素数8〜20のアルキル基であり、炭素数8〜18のものが好ましく、炭素数8〜12のものがより好ましい。また、炭素鎖は、直鎖又は分岐の何れでもよいが、好ましくは直鎖である。当該Rで示されるアルキル基の好適な具体例としては、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、等が挙げられる。〕
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチノサイト収縮剤、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
スキンケアは老若男女を問わず高い関心を持たれている。このスキンケアの際に改善したい肌のトラブルとして毛穴の目立ちが上位を占めている。
この毛穴の目立ちの原因としては、毛穴に形成された角栓、色素沈着、毛穴開口部の広がり等が挙げられる。このうち角栓については、種々の角栓除去剤が開発され、広く用いられている。しかし、単に角栓を除去しただけでは毛穴が開いたままであり、毛穴が目立ったままの状態であるという欠点がある。
【0003】
毛穴を目立たなくさせるために、ヒバマタ等天然由来の多糖(特許文献1参照。)や炭素数8〜32のアルキル基を有するリン酸化グリセリルエーテル誘導体(特許文献2参照。)等種々の毛穴収縮剤が提案されている。しかしながら、体調によって肌状態が変化したり、また個人差もあるため、さらなる様々な要望に応えるべく毛穴収縮剤の探索が望まれている。
【0004】
一方、水素、メトオキシ又はプロピオキシが4位に置換するリン酸化アルコキシフェノールを抗菌剤樹脂の熱変色抑制として使用されていることが知られているが(特許文献3参照。)、ヒト皮膚への応用は全く知られていない。
【特許文献1】特開2000−169322号公報
【特許文献2】特開2002−187817号公報
【特許文献3】特開平11−293122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、毛穴を目立たなくさせることができるケラチノサイト収縮剤、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、表皮細胞の収縮と毛穴の収縮関係について検討してきたところ、下記式(1)で表わされるリン酸化アルコキシフェノール又はその塩がケラチノサイト収縮作用に優れ、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤として有用であることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記式(1)で表わされる化合物又はその塩を含有するケラチノサイト収縮剤、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤を提供するものである。
【0008】
【化1】
【0009】
〔Rは、炭素数8〜20のアルキル基〕
【発明の効果】
【0010】
本発明のケラチノサイト収縮剤、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤によれば、ケラチノサイトを収縮して毛穴を収縮し、毛穴を目立たなくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
式(1)中、Rで示される炭素数8〜20のアルキル基としては、炭素数8〜18のものが好ましく、炭素数8〜12のものがより好ましい。また、炭素鎖は、直鎖又は分岐の何れでもよいが、好ましくは直鎖である。
当該Rで表されるアルキル基の好適な具体例としては、炭素数8〜20の直鎖又は分岐のアルキル基であり、例えば、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、2−エチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、3,7−ジメチルオクチル、3,7−ジメチルオクタン−3−イル、2−ヘキシルデシル、2−ヘプチルウンデシル、2−オクチルドデシル、3,7,11−トリメチルドデシル、3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル、3,5,5−トリメチルへキシル、2,3,4−トリメチルペンタン−3−イル、2,3,4,6−ペンタメチルヘプタン−3−イル、イソステアリル等が挙げられる。
【0012】
また、式(1)で表わされる化合物の塩は、薬学上許容しうる塩であればよく、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩類、カルシウム、マグネシウム等アルカリ土類金属類が挙げられる。
【0013】
本発明における式(1)で表わされる化合物は、何れも公知化合物であり、公知の方法により製造することができる。例えばアルコキシフェノールをリン酸エステル化し、必要に応じて適宜上記の塩を形成するようなアルカリで中和することにより得ることができる。リン酸エステル化試薬としては、例えばオキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、ポリリン酸、水と無水リン酸、リン酸と無水リン酸等を用いることができる(実験化学講座1,有機化合物の合成I,p206−210,化学同人社)。得られた化合物は、適宜公知の方法により分離精製を行ってもよい。尚、アルコキシフェノールは、公知化合物であり、例えば、ベンジルオキシフェノール及びハロゲン化アルキルとの反応後、脱ベンジル化することにより得ることができる。
【0014】
後記実施例のように、本発明の式(1)で表わされる化合物又はその塩は、ヒト表皮ケラチノサイトを接着させたコラーゲンゲルに対して収縮作用を示すことから、ケラチノサイト収縮作用があるといえる。
従って、当該化合物又はその塩は、ケラチノサイト収縮剤、ケラチノサイトを収縮させて毛穴を収縮させる毛穴収縮剤として使用することができ、ケラチノサイト収縮剤及び毛穴収縮剤の製造ために使用できる。そして、ケラチノサイト収縮剤及び毛穴収縮剤及は、毛穴を目立たなくさせる効果を発揮する医薬部外品、化粧品として使用可能である。
【0015】
本発明のケラチノサイト収縮剤又は毛穴収縮剤を医薬部外品や化粧料として用いる場合は、皮膚外用剤、洗浄剤、メイクアップ化粧料等とすることができ、使用方法に応じて、ローション、乳液、ゲル、クリーム、軟膏剤、粉末、顆粒等の種々の剤型で提供することができる。このような種々の剤型の医薬部外品や化粧料は、本発明の式(1)で表わされる化合物又はその塩を単独で、又は医薬部外品、皮膚化粧料及び洗浄料に配合される、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬剤(例えば、抗炎症剤、殺菌剤、酸化防止剤、ビタミン類等)、香料、樹脂、防腐剤、植物抽出物、アルコール類等を適宜組み合わせることにより調製することができる。
当該医薬部外品、化粧料中の本発明の式(1)で表わされる化合物又はその塩の含有量は、一般的に0.001〜20質量%とするのが好ましく、0.01〜5質量%とするのがより好ましい
【実施例】
【0016】
製造例1:4−オクチルオキシフェニルリン酸ナトリウム塩(化合物1)の製造
4-ベンジルオキシフェノール10.0g(49.9mmol)(関東化学社製)をメタノールに溶解し、1-ブロモオクタン19.9g、炭酸カリウム7.62gを加え、還流下、24時間攪拌した。放冷後、クロロホルムで抽出し、水洗後、溶媒を留去し、エタノールで再結晶して、1-オクチルオキシ-4-ベンジルオキシベンゼン16.77g(収率91.2%)を得た。このうち10.0g(27.1mmol)をメタノール/クロロホルム混合溶媒に溶解し、30℃にて、10%パラジウムカーボンを加え、水素気流下、3時間攪拌した。その後、パラジウムカーボンをろ別し、溶媒を減圧留去し、4-オクチルオキシフェノール7.59g(収率100%)を得た。
無水テトラヒドロフラン10mLにオキシ塩化リン1.74g(11.3mmol)を溶解し、窒素雰囲気下、5℃以下に冷却したのち、4-オクチルオキシフェノール2.30g(10.3mmol)、トリエチルアミン1.05g(10.3mmol)及び無水テトラヒドロフラン10mLの混合溶液を30分間かけて滴下した。その後、更に4時間攪拌し、析出する塩を除去し、水1gを加え、50℃にて4時間攪拌した。溶媒留去後、残渣をエーテル30mLに溶解し、水10gを加え、振とう後、水層を分離し、溶媒を留去した。残渣に水を加え、重曹を投入し、40℃にて溶解した後、凍結乾燥して4−オクチルオキシフェニルリン酸ナトリウム塩1.01g(化合物1)を得た。
【0017】
IR(cm-1,ATR法):2920,2853,1507,1223,1114,1000
1H-NMR(D2O,ppm):0.62(t,3H,J=6.4Hz),1.04-1.67(m,12H),3.79(t,2H,J=6.6Hz),6.69(d,2H,J=9Hz),6.89(d,2H,J=9Hz)
【0018】
製造例2:4−ドデシルオキシフェニルリン酸ナトリウム塩(化合物2)の製造
4-オクチルオキシフェノールを4-ドデシルオキシフェノール2.0g(7.18mmol)に代えた以外は製造例1と同様に製造を行い、4−ドデシルオキシフェニルリン酸ナトリウム塩2.17g(化合物2)を得た。尚、4−ドデシルオキシフェノールは、4-ベンジルオキシフェノール及び1-ブロモドデカンを用いて製造例1と同様に合成した。
【0019】
IR(cm-1,ATR法):2920,2848,1505,1211,1112,996
1H-NMR(D2O,ppm):0.63(t,3H,J=6.4Hz),1.00-1.67(m,20H),3.79(t,2H,J=6.6Hz),6.70(d,2H,J=9Hz),6.90(d,2H,J=9Hz)
【0020】
実施例1:ケラチノサイト収縮能
I型コラーゲン(セルマトリックスType-IA:新田ゼラチン)、MCDB153
培地(SIGMA:5倍濃度)、20mM HEPES(DOJINDO)及び精製水を氷冷しながらよく混合した後、24穴プレート(ファルコン)に各ウェル500μLずつ注入し、インキュベーターで37℃に加温しゲル化させた。得られたコラーゲンゲルにケラチノサイト用培地(Epi Life:クラボウ)を用いてケラチノサイト(HEKn:Cascade Biologics)を2×104 cells/cm2で1mLずつ播種し、24時間培養した後、スクレーパーを用いてコラーゲンゲルを培養皿から剥離した。
その直後、10mM水溶液に調製した各被験物質(化合物1〜2)を1μLずつ添加した。添加1時間後、ミノルタ707-siカメラ、50Macroレンズを用い、収縮の様子を撮影した。写真現像後、収縮環をOHP用紙に写し取り、画像解析ソフトImage-Pro PLUS(Media Cybanetics社)により収縮環内の面積を求め、コントロール(ゲル剥離のみ)を100として収縮率(%)を求めた。
【0021】
【表1】
【0022】
表1から明らかなように化合物1〜2は優れたケラチノサイト収縮作用を有し、優れた毛穴収縮作用を有していると考えられる。
【0023】
式(1)で表わされる化合物のうち化合物1を用いて常法により調製した処方例1を下記に示す。
処方例1
化合物1 2.0%
グリセリン 5.0%
ジプロピレングリコール 4.0%
ポリオキシエチレンイソセチルエーテル
(20EO) 1.0%
チョウジエキス 1.0%
エタノール 8.0%
防腐剤 適量
香料 適量
緩衝剤 適量
精製水 バランス
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチノサイト収縮剤、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
スキンケアは老若男女を問わず高い関心を持たれている。このスキンケアの際に改善したい肌のトラブルとして毛穴の目立ちが上位を占めている。
この毛穴の目立ちの原因としては、毛穴に形成された角栓、色素沈着、毛穴開口部の広がり等が挙げられる。このうち角栓については、種々の角栓除去剤が開発され、広く用いられている。しかし、単に角栓を除去しただけでは毛穴が開いたままであり、毛穴が目立ったままの状態であるという欠点がある。
【0003】
毛穴を目立たなくさせるために、ヒバマタ等天然由来の多糖(特許文献1参照。)や炭素数8〜32のアルキル基を有するリン酸化グリセリルエーテル誘導体(特許文献2参照。)等種々の毛穴収縮剤が提案されている。しかしながら、体調によって肌状態が変化したり、また個人差もあるため、さらなる様々な要望に応えるべく毛穴収縮剤の探索が望まれている。
【0004】
一方、水素、メトオキシ又はプロピオキシが4位に置換するリン酸化アルコキシフェノールを抗菌剤樹脂の熱変色抑制として使用されていることが知られているが(特許文献3参照。)、ヒト皮膚への応用は全く知られていない。
【特許文献1】特開2000−169322号公報
【特許文献2】特開2002−187817号公報
【特許文献3】特開平11−293122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、毛穴を目立たなくさせることができるケラチノサイト収縮剤、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、表皮細胞の収縮と毛穴の収縮関係について検討してきたところ、下記式(1)で表わされるリン酸化アルコキシフェノール又はその塩がケラチノサイト収縮作用に優れ、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤として有用であることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記式(1)で表わされる化合物又はその塩を含有するケラチノサイト収縮剤、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤を提供するものである。
【0008】
【化1】
【0009】
〔Rは、炭素数8〜20のアルキル基〕
【発明の効果】
【0010】
本発明のケラチノサイト収縮剤、毛穴収縮剤及び皮膚外用剤によれば、ケラチノサイトを収縮して毛穴を収縮し、毛穴を目立たなくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
式(1)中、Rで示される炭素数8〜20のアルキル基としては、炭素数8〜18のものが好ましく、炭素数8〜12のものがより好ましい。また、炭素鎖は、直鎖又は分岐の何れでもよいが、好ましくは直鎖である。
当該Rで表されるアルキル基の好適な具体例としては、炭素数8〜20の直鎖又は分岐のアルキル基であり、例えば、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、2−エチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、3,7−ジメチルオクチル、3,7−ジメチルオクタン−3−イル、2−ヘキシルデシル、2−ヘプチルウンデシル、2−オクチルドデシル、3,7,11−トリメチルドデシル、3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル、3,5,5−トリメチルへキシル、2,3,4−トリメチルペンタン−3−イル、2,3,4,6−ペンタメチルヘプタン−3−イル、イソステアリル等が挙げられる。
【0012】
また、式(1)で表わされる化合物の塩は、薬学上許容しうる塩であればよく、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩類、カルシウム、マグネシウム等アルカリ土類金属類が挙げられる。
【0013】
本発明における式(1)で表わされる化合物は、何れも公知化合物であり、公知の方法により製造することができる。例えばアルコキシフェノールをリン酸エステル化し、必要に応じて適宜上記の塩を形成するようなアルカリで中和することにより得ることができる。リン酸エステル化試薬としては、例えばオキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、ポリリン酸、水と無水リン酸、リン酸と無水リン酸等を用いることができる(実験化学講座1,有機化合物の合成I,p206−210,化学同人社)。得られた化合物は、適宜公知の方法により分離精製を行ってもよい。尚、アルコキシフェノールは、公知化合物であり、例えば、ベンジルオキシフェノール及びハロゲン化アルキルとの反応後、脱ベンジル化することにより得ることができる。
【0014】
後記実施例のように、本発明の式(1)で表わされる化合物又はその塩は、ヒト表皮ケラチノサイトを接着させたコラーゲンゲルに対して収縮作用を示すことから、ケラチノサイト収縮作用があるといえる。
従って、当該化合物又はその塩は、ケラチノサイト収縮剤、ケラチノサイトを収縮させて毛穴を収縮させる毛穴収縮剤として使用することができ、ケラチノサイト収縮剤及び毛穴収縮剤の製造ために使用できる。そして、ケラチノサイト収縮剤及び毛穴収縮剤及は、毛穴を目立たなくさせる効果を発揮する医薬部外品、化粧品として使用可能である。
【0015】
本発明のケラチノサイト収縮剤又は毛穴収縮剤を医薬部外品や化粧料として用いる場合は、皮膚外用剤、洗浄剤、メイクアップ化粧料等とすることができ、使用方法に応じて、ローション、乳液、ゲル、クリーム、軟膏剤、粉末、顆粒等の種々の剤型で提供することができる。このような種々の剤型の医薬部外品や化粧料は、本発明の式(1)で表わされる化合物又はその塩を単独で、又は医薬部外品、皮膚化粧料及び洗浄料に配合される、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬剤(例えば、抗炎症剤、殺菌剤、酸化防止剤、ビタミン類等)、香料、樹脂、防腐剤、植物抽出物、アルコール類等を適宜組み合わせることにより調製することができる。
当該医薬部外品、化粧料中の本発明の式(1)で表わされる化合物又はその塩の含有量は、一般的に0.001〜20質量%とするのが好ましく、0.01〜5質量%とするのがより好ましい
【実施例】
【0016】
製造例1:4−オクチルオキシフェニルリン酸ナトリウム塩(化合物1)の製造
4-ベンジルオキシフェノール10.0g(49.9mmol)(関東化学社製)をメタノールに溶解し、1-ブロモオクタン19.9g、炭酸カリウム7.62gを加え、還流下、24時間攪拌した。放冷後、クロロホルムで抽出し、水洗後、溶媒を留去し、エタノールで再結晶して、1-オクチルオキシ-4-ベンジルオキシベンゼン16.77g(収率91.2%)を得た。このうち10.0g(27.1mmol)をメタノール/クロロホルム混合溶媒に溶解し、30℃にて、10%パラジウムカーボンを加え、水素気流下、3時間攪拌した。その後、パラジウムカーボンをろ別し、溶媒を減圧留去し、4-オクチルオキシフェノール7.59g(収率100%)を得た。
無水テトラヒドロフラン10mLにオキシ塩化リン1.74g(11.3mmol)を溶解し、窒素雰囲気下、5℃以下に冷却したのち、4-オクチルオキシフェノール2.30g(10.3mmol)、トリエチルアミン1.05g(10.3mmol)及び無水テトラヒドロフラン10mLの混合溶液を30分間かけて滴下した。その後、更に4時間攪拌し、析出する塩を除去し、水1gを加え、50℃にて4時間攪拌した。溶媒留去後、残渣をエーテル30mLに溶解し、水10gを加え、振とう後、水層を分離し、溶媒を留去した。残渣に水を加え、重曹を投入し、40℃にて溶解した後、凍結乾燥して4−オクチルオキシフェニルリン酸ナトリウム塩1.01g(化合物1)を得た。
【0017】
IR(cm-1,ATR法):2920,2853,1507,1223,1114,1000
1H-NMR(D2O,ppm):0.62(t,3H,J=6.4Hz),1.04-1.67(m,12H),3.79(t,2H,J=6.6Hz),6.69(d,2H,J=9Hz),6.89(d,2H,J=9Hz)
【0018】
製造例2:4−ドデシルオキシフェニルリン酸ナトリウム塩(化合物2)の製造
4-オクチルオキシフェノールを4-ドデシルオキシフェノール2.0g(7.18mmol)に代えた以外は製造例1と同様に製造を行い、4−ドデシルオキシフェニルリン酸ナトリウム塩2.17g(化合物2)を得た。尚、4−ドデシルオキシフェノールは、4-ベンジルオキシフェノール及び1-ブロモドデカンを用いて製造例1と同様に合成した。
【0019】
IR(cm-1,ATR法):2920,2848,1505,1211,1112,996
1H-NMR(D2O,ppm):0.63(t,3H,J=6.4Hz),1.00-1.67(m,20H),3.79(t,2H,J=6.6Hz),6.70(d,2H,J=9Hz),6.90(d,2H,J=9Hz)
【0020】
実施例1:ケラチノサイト収縮能
I型コラーゲン(セルマトリックスType-IA:新田ゼラチン)、MCDB153
培地(SIGMA:5倍濃度)、20mM HEPES(DOJINDO)及び精製水を氷冷しながらよく混合した後、24穴プレート(ファルコン)に各ウェル500μLずつ注入し、インキュベーターで37℃に加温しゲル化させた。得られたコラーゲンゲルにケラチノサイト用培地(Epi Life:クラボウ)を用いてケラチノサイト(HEKn:Cascade Biologics)を2×104 cells/cm2で1mLずつ播種し、24時間培養した後、スクレーパーを用いてコラーゲンゲルを培養皿から剥離した。
その直後、10mM水溶液に調製した各被験物質(化合物1〜2)を1μLずつ添加した。添加1時間後、ミノルタ707-siカメラ、50Macroレンズを用い、収縮の様子を撮影した。写真現像後、収縮環をOHP用紙に写し取り、画像解析ソフトImage-Pro PLUS(Media Cybanetics社)により収縮環内の面積を求め、コントロール(ゲル剥離のみ)を100として収縮率(%)を求めた。
【0021】
【表1】
【0022】
表1から明らかなように化合物1〜2は優れたケラチノサイト収縮作用を有し、優れた毛穴収縮作用を有していると考えられる。
【0023】
式(1)で表わされる化合物のうち化合物1を用いて常法により調製した処方例1を下記に示す。
処方例1
化合物1 2.0%
グリセリン 5.0%
ジプロピレングリコール 4.0%
ポリオキシエチレンイソセチルエーテル
(20EO) 1.0%
チョウジエキス 1.0%
エタノール 8.0%
防腐剤 適量
香料 適量
緩衝剤 適量
精製水 バランス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表わされる化合物又はその塩を含有するケラチノサイト収縮剤。
【化1】
〔Rは、炭素数8〜20のアルキル基〕
【請求項2】
下記式(1)で表わされる化合物又はその塩を含有する毛穴収縮剤。
【化2】
〔Rは、炭素数8〜20のアルキル基〕
【請求項3】
下記式(1)で表わされる化合物又はその塩を含有する皮膚外用剤。
【化3】
〔Rは、炭素数8〜20のアルキル基〕
【請求項1】
下記式(1)で表わされる化合物又はその塩を含有するケラチノサイト収縮剤。
【化1】
〔Rは、炭素数8〜20のアルキル基〕
【請求項2】
下記式(1)で表わされる化合物又はその塩を含有する毛穴収縮剤。
【化2】
〔Rは、炭素数8〜20のアルキル基〕
【請求項3】
下記式(1)で表わされる化合物又はその塩を含有する皮膚外用剤。
【化3】
〔Rは、炭素数8〜20のアルキル基〕
【公開番号】特開2008−105974(P2008−105974A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288879(P2006−288879)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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