説明

ケーブルとコネクタとの接続装置および接続方法

【課題】ケーブルとコネクタとを簡便に接続可能な、ケーブルとコネクタとの接続装置と接続方法を提供する。
【解決手段】本発明の接続装置は、コネクタ11と、コネクタ11内部に挿入される基台20とを有する。コネクタ11には、ピン13が設けられた外部接続部12と、一方の端部が開口した中空の円筒状をしており、他方の端部には、他方の端部から一方の端部に向かって突出し、ピン13とは接続線19によって接続されており、ケーブルの芯線36と接続される結合端子16が円周上に設けられている受け入れ部15とが設けられている。基台20には、一方の端部から他方の端部まで連通する円筒状の固定部21が設けられており、基台20は固定部21側から受け入れ部15に挿入され、固定部21には、受け入れ部15に挿入される側の端面に、放射状に、結合端子16と対応する位置に芯線36を位置決めして保持するガイド25が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルとコネクタとの接続装置および接続方法に関し、特にLANケーブルとコネクタとの接続に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータや周辺機器などの端末機器同士の接続には、LAN(Local Area Network)ケーブルが使用されている。そして、LANケーブルの端部には、端末機器と接続するためのコネクタ、一般的にはRJ45コネクタ(FCC:連邦通信委員会の規格)が設けられている。
【0003】
LANケーブルとコネクタとの接続は、一般的に以下の方法で行われる(例えば特許文献1)。LANケーブルの被覆を剥き、LANケーブル内の2本の芯線が撚られた4組のツイストペア線を剥き出して、撚りを戻す。撚りを戻したツイストペア線の8本の芯線を、コネクタ内に1列に並べて設けられた挿入路に挿入する。そして、コネクタに設けられており、挿入路に対して垂直方向上方に配置されている金属薄板からなるピンを芯線に押し込み、すなわち芯線の被覆を破ってその内部まで挿入することで、ピンの一方の端部が芯線と圧着され、芯線とピンとが接続される。このようにして、コネクタとLANケーブルとが接続される。また、ピンの他方の端部は、コネクタとコンピュータや周辺機器の端末との接触部となる。この後に、コネクタとLANケーブルとの接続部をブーツで覆い、接続部を保護する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−134912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LANケーブルとコネクタとの接続においては、ノイズ混入防止などのためにツイストペア線の撚り戻し長さをできるだけ短い長さにし、かつツイストペア線を撚り戻した芯線の長さを均一にする、芯線は無理に曲げないようにする、などの必要がある。しかしながら、上述した方法では、図13に示すように、ツイストペア線51の撚り戻し長さが長い(A)、撚り戻し長さが不均一(B)、芯線52の無理な曲げ(C)、あるいは挿入路53への差込み不良(D)などの問題が生じる場合があった。このようなLANケーブル54とコネクタ55との接続不良は、例えば伝送速度が低くなる、または、ノイズ干渉が大きくなる、などの伝送品質の低下を招く。また、芯線52とピン56とを圧着するときには圧着工具が必要であり、均一に圧着するのが難しく、また、圧着しすぎると、ピン56の他方の端部が芯線52側に押し込まれすぎてしまい、ピン56の他方の端部とコンピュータや周辺機器の端末との間に隙間ができ、接触しなくなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、上記課題である、ツイストペア線の撚り戻し長さを短く均一にした状態で、簡便にLANケーブルとコネクタとを接続するのは困難であるという問題を解決する、ケーブルとコネクタとの接続装置と接続方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のケーブルとコネクタとの接続装置は、ケーブルの芯線が接続されるコネクタと、芯線が配置され、コネクタ内部に挿入される基台とを少なくとも有する。コネクタには、ピンが設けられた外部接続部と受け入れ部とが設けられている。コネクタの受け入れ部は、一方の端部が開口している中空の円筒状をしており、他方の端部には、他方の端部から一方の端部に向かって突出し、ピンとは接続線によって接続されており、ケーブルの芯線と接続される結合端子が円周上に設けられている。基台には、一方の端部から他方の端部まで連通する中空部が設けられた円筒状の固定部が設けられている。基台は固定部側から受け入れ部に挿入され、基台の固定部は、コネクタの受け入れ部に挿入される側の端面に、放射状に、結合端子と対応する位置に芯線を位置決めして保持するためのガイドが設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、ツイストペア線の撚り戻し長さを短く均一にできるため、伝送品質の低下を防止でき、LANケーブルとコネクタとを簡便に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る接続装置の一部であるコネクタの一実施形態を示す概略図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)の下方からの透視図、(c)は(a)のX方向から見た概略図である。
【図2】本発明に係る接続装置の一部である基台の一実施形態を示す概略図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)のY方向から見た概略図、(c)は基台の断面の概略図である。
【図3】本発明に係る接続装置の一部であるブーツの一実施形態を示す概略図であり、(a)は外観斜視図、(b)はブーツの断面の概略図である。
【図4】ストレートケーブルと接続する場合のコネクタのピンアサイン図である。
【図5】各芯線をガイドのどの位置に配置するかを示した図であり、(a)は、LANケーブルを図4のX方向に見たときの配置図であり、(b)はLANケーブルを図4のX’方向に見たときの配置図である。
【図6】基台の挿入部がLANケーブルの被覆の中に挿入され、基台のガイドに芯線が配置された状態の概略斜視図である。
【図7】コネクタの向きを示す概略図であり、(a)は芯線が図5(a)の配置になっているとき、(b)は芯線が図5(b)の配置になっているときである。
【図8】基台の固定部のガイドとコネクタの結合端子との結合部の拡大概略図である。
【図9】コネクタの下方から見たときの接続装置全体の透視図である。
【図10】クロスケーブルと接続する場合のコネクタのピンアサイン図である。
【図11】、各芯線をガイドのどの位置に配置するかを示した図であり、(a)は、LANケーブルを図10のX方向に見たときの配置図であり、(b)はLANケーブルを図10のX’方向に見たときの配置図である。
【図12】コネクタの向きを示す概略図であり、(a)は芯線が図11(a)の配置になっているとき、(b)は芯線が図11(b)の配置になっているときである。
【図13】関連技術の一例のコネクタとケーブルを接続する方法でコネクタとLANケーブルとを接続したときの様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0011】
本発明に係る接続装置は、コネクタ、基台、およびブーツから構成される。
【0012】
図1は、本発明に係る接続装置の一部であるコネクタの一実施形態を示す概略図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)の下方からの透視図、(c)は(a)のX方向から見た概略図である。
【0013】
コネクタ11は、外部接続部12と、後述する基台20を受け入れる受け入れ部15とを有し、外部接続部12と受け入れ部15とは接続されている。
【0014】
外部接続部12は、コンピュータや周辺機器の端末と接続し、信号の受け渡しを行う。外部接続部12は、メス側のコネクタ(図示せず)の形状と対応した形状をしており、例えば、国際規格であるIEC60603−7規格に準拠した外形形状およびピン13の配列がなされている。ピン13には、コネクタ11を、ピン13を下側(後述するツメ14を上側)に向けて配置してX方向(図1(a)参照)から見たときに左から1番、2番、3番、・・・8番となるようにそれぞれ番号が振り分けられている。また、コンピュータや周辺機器の端末との接続を維持するロック用のツメ14が設けられている。
【0015】
受け入れ部15は中空の円筒形状をしており、受け入れ部15の内周は、図2に示す基台20の固定部21の外周と同じ、または少し大きくなっている。受け入れ部15の外部接続部12とは反対側(一方の端部側)は、基台20を受け入れるために開口部17となっている。受け入れ部15の開口部17より内側、つまり外部接続部12側の内壁には、後述するブーツ30の凹部31と嵌め合い、コネクタ11と基台20とが離れないようにする凸部18が突出して設けられている。また、受け入れ部15の外部接続部12側(他方の端部側)には、一方の端部に向かって突出する、12本の結合端子16が、基台20の端面24の内周と外周との間に設けられている同心円状の挿入溝26と対応する円周上に等間隔に配置されている(図1、2、5〜8参照)。ピン13と結合端子16とは接続線19を介して接続されている。便宜上、コネクタ11を、ピン13を下側に向けて配置して1番のピン13から8番のピン13までが水平に1列に並ぶように配置した状態において、X方向から見た場合の結合端子16の位置を、360°を12等分した時計の文字盤の表示を用いて表現したときに、1時の位置にある結合端子16を161、2時の位置にある結合端子16を162、3時の位置にある結合端子16を163というように、12本の結合端子16をそれぞれ161〜1612と表す。このようにすると、各ピン13と、そのピン13に接続線19を介して接続される結合端子16との関係は、(1番、168)、(2番、169)、(3番、167と1610)、(4番、166と1611)、(5番、165と1612)、(6番、161と164)、(7番、162)、(8番、163)となっている。3番、4番、5番、6番のピン13は、接続線19を介してそれぞれ2つの結合端子16に接続されている。なお、念のために補足すると、X方向と反対の方向から見ると、1番のピン13が4時の位置の結合端子16、2番のピン13が3時の位置の結合端子16、3番のピン13が2時と5時の位置の結合端子16、4番のピン13が1時と6時の位置の結合端子16、5番のピン13が7時と12時の位置の結合端子16、6番のピン13が8時と11時の位置の結合端子16、7番のピン13が8時の位置の結合端子16、8番のピン13が9時の位置の結合端子16とそれぞれ接続されると言える。これらの表現は、X方向の視点で表すか、X方向と反対の方向の視点で表すかによって異なるが、実質的な内容は同じである。
【0016】
図2は、本発明に係る接続装置の一部である基台20の一実施形態を示す概略図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)のX方向から見た概略図、(c)は基台20の断面の概略図である。
【0017】
基台20は固定部21と挿入部22とが接続して一体的に設けられており、また、基台20は、一方の端部から他方の端部まで連通する中空部23が設けられている。
【0018】
固定部21は、内部に中空部23を有する、中空の短い円筒形状をしている。上述のとおり、固定部21の外周は、コネクタ11の受け入れ部15の内周と同じ、または少し小さくなっている。そして、固定部21の受け入れ部15に挿入される側の端面24には、端面24の中心から放射状に、結合端子16と対応する位置に12個の溝が設けられ、この溝が芯線36(図5参照)を位置決めして保持するためのガイド25となる。また、端面24の内周と外周との間にはコネクタ11の結合端子16が挿入される挿入溝26が同心円状に設けられている。
【0019】
ガイド25が設けられている端面24とは反対側の端面に挿入部22が接続されている。挿入部22の一方の端部は固定部21に接続されている。挿入部22は、固定部21と同様の中空部23が設けられ、固定部21側では外周が大きく、固定部21とは反対側に向かうにつれて外周が小さくなる、円錐の頂部を切り取った形状をしている。挿入部22の固定部21側の端部の外周は、LANケーブル35(図4参照)の被覆の内周よりも大きくなっている。また、挿入部22の、固定部21とは反対側の端部の外周は、LANケーブル35の被覆の内周よりも小さくなっている。
【0020】
図3は、本発明に係る接続装置の一部であるブーツ30の一実施形態を示す概略図であり、(a)は外観斜視図、(b)はブーツ30の断面の概略図である。
【0021】
ブーツ30は、中空の円筒形状をしている。ブーツ30の内周は、LANケーブル35の被覆の外周と同じ、または若干大きい程度にする。また、ブーツ30の外周は、コネクタ11の受け入れ部15の内周とほぼ同じにする。また、ブーツ30の外面には、コネクタ11の受け入れ部15の凸部18と対応する位置に、凹部31が設けられている。上述したが、この凹部31とコネクタ11の受け入れ部15の凸部18とが嵌め合い、コネクタ11とブーツ30との接続を維持している。
【0022】
次に、コネクタ11と、基台20と、ブーツ30とからなる接続装置を用いてLANケーブル35とコネクタ11とを接続する方法を説明する。
【0023】
接続方法の一例として、ツイストペア線37(図4参照)を使用するLANケーブル35をストレートケーブルとし、コネクタ11をRJ45コネクタとしてTIA/EIA−568−B規格(ANSI:米国規格協会の規格)で結線する方法を説明する。
【0024】
始めにピンアサインについて説明する。
【0025】
図4に、LANケーブル35と、コネクタ11のピンアサイン図とを示す。なお、コネクタ11は、正面から見た状態を示しており、外部接続部12のみを図示している。また、LANケーブル35の配線は、LANケーブル35の両端部をそれぞれ矢印の方向から見たときの状態である。
【0026】
LANケーブル35は、8本の芯線36が、2本ずつ撚られ、4組のツイストペア線37が設けられている。ツイストペア線37は被覆で覆われている。ツイストペア線37の各組の芯線36の具体的な組み合わせを芯線36の被覆の色で表すと、白/橙と橙、白/緑と緑、白/青と青、白/茶と茶、となっている。また、TIA/EIA−568−B規格では、ピン13の番号と芯線36の被覆の色との組み合わせがそれぞれ、1番:白/橙、2番:橙、3番:白/緑、4番:青、5番:白/青、6番:緑、7番:白/茶、8番:茶と決まっている。
【0027】
LANケーブル35は、4組のツイストペア線37がそれぞれ平行に伸び、ツイストペア線37同士は交差しないため、一方の端部を見たときと他方の端部を見たときでは、左右のツイストペア線37の配置が左右対称になる。
【0028】
次に図5および図6を用いて結線方法を説明する。なお、図4ではLANケーブル35の両端にコネクタ11をそれぞれ図示しているが、結線方法は同じであるため、以下の説明では別々に説明しない。
【0029】
図5は、各芯線36をガイド25のどの位置に配置するかを示した図であり、(a)は、LANケーブル35を図4のX方向(左から右に向かう方向)に見たときの配置図であり、(b)はLANケーブル35を図4のX’方向(右から左に向かう方向)に見たときの配置図である。
【0030】
図6は、基台20の挿入部22がLANケーブル35の被覆の中に挿入され、基台20のガイド25に芯線36が配置された状態の概略斜視図である。
【0031】
予めブーツ30にLANケーブル35を通しておく。LANケーブル35の被覆を剥いた直後にブーツ30にLANケーブル35を通してもよい。ストリッパなどを使い、LANケーブル35の端部の被覆を、ツイストペア線37の撚りを戻さずに20mm程度剥き、ツイストペア線37を基台20の挿入部22側から中空部23に挿入し、固定部21側から外部に突出させる。また、基台20の挿入部22を、LANケーブル35の被覆とツイストペア線37との間に挿入する。
【0032】
次に、固定部21から突出したツイストペア線37の撚りを戻し、撚りを戻した芯線36を、基台20のガイド25に沿って配置する。このとき、固定部21の中空部23内ではツイストペア線37の撚りを戻さず、ガイド25に配置する部分だけツイストペア線37の撚りを戻すようにする。
【0033】
ツイストペア線37の撚りを戻す長さをできるだけ短くするためには、各芯線36をそれに最も近接するガイド25に配置することが好ましい。したがって、LANケーブル35をX方向(左から右に向かう方向)に見た場合、ガイド25の位置と芯線36の配置は、芯線36の被覆の色を用い、かつガイド25の位置を、360°を12等分した時計の文字盤の表示を用いて表現すると、図5(a)に示すように、(1時、青)、(3時、白/橙)、(4時、橙)、(5時、白/緑)、(8時、緑)、(9時、白/茶)、(10時、茶)、(12時、白/青)となるようにする。
【0034】
図4に示したように、LANケーブル35をX方向(左から右に向かう方向)に見たときと、X’方向(右から左に向かう方向)に見たときでは、ツイストペア線37の配置が左右対称になるため、白/橙と橙のツイストペア線37と白/茶と茶のツイストペア線37の位置が変わっていて、白/青と青のツイストペア線37と白/緑と緑のツイストペア線37の位置は変わっていない。LANケーブル35を右から左に見たとき、ガイド25の位置と芯線36の配置は、上記と同様に時計の文字盤の表示を用いて表現すると、図5(b)に示すように、(1時、白/青)、(3時、白/茶)、(4時、茶)、(5時、緑)、(8時、白/緑)、(9時、白/橙)、(10時、橙)、(12時、青)となるようにする。
【0035】
上記のようにツイストペア線37の撚りを戻し、芯線36を基台20のガイド25に配置した後に、芯線36の、ガイド25から突き出た、つまり、基台20の固定部21の外周部分からはみ出した部分は切除する。なお、図5の状態は、芯線36の切除前の状態である。このようにして、図6(挿入溝26は不図示)に示すように、基台20の挿入部22がLANケーブル35の被覆の中に挿入され、基台20のガイド25に芯線36が配置された状態になる。
【0036】
次に、基台20を保持した状態で、図6に示すように、コネクタ11を、受け入れ部15が基台20の端面24に向いた状態でその基台20側に向けて(図中の矢印の方向)移動させて、コネクタ11の受け入れ部15内に基台20の固定部21を挿入する。このとき、コネクタ11のピン13の番号と芯線36の被覆の色が、上述のように、1番:白/橙、2番:橙、3番:白/緑、4番:青、5番:白/青、6番:緑、7番:白/茶、8番:茶となるように、コネクタ11を回して位置合わせしてから、コネクタ11を基台20に向けて移動させる。なお、芯線36が図5(a)の配置になっているとき、コネクタ11を図4のX方向から見ると、図7(a)に示すような位置になるように角度を調節してから(結果的にコネクタ11の上下をほぼ反転させてから)、コネクタ11を図6の矢印の方向に移動させる。また、LANケーブル35の反対側の端部では、芯線36が図5(b)の配置になっているため、コネクタ11を図4のX’方向から見ると、図7(b)に示すような位置になるように角度を調節してから、コネクタ11を移動させる。
【0037】
コネクタ11の受け入れ部15に基台20の固定部21を挿入していくと、図8に基台20の固定部21のガイド25とコネクタ11の結合端子16との結合部の拡大概略図を示すように、コネクタ11の結合端子16が、基台20のガイド25に配置された芯線36を挿入溝26の位置で挟み込む。そしてさらに押し当てると、結合端子16が芯線36の被覆を破り、芯線36の被覆内部の信号を伝達する線と接触する。
【0038】
図9は、コネクタ11の下方から見たときの接続装置全体の透視図である。ブーツ30をコネクタ11の受け入れ部15に押し込んで、コネクタ11の受け入れ部15の内壁から突出する凸部18と、ブーツ30の外壁に設けられた凹部31とを嵌め合いさせることで、ブーツ30とコネクタ11とが接合される。ブーツ30は、受け入れ部15内に部分的に挿入されて、基台20を受け入れ部15内に押し込んで保持する働きをする。
【0039】
また、基台20の挿入部22は、固定部21側の方が太くなっているので、基台20の挿入部22をLANケーブル35の被覆内に挿入すると、LANケーブル35の被覆の端部は基台20の挿入部22の形状に合わせて広がる。上述のように、ブーツ30の凹部31とコネクタ11の凸部18とを嵌め合いすると、基台20へブーツ30が押し込まれ、LANケーブル35の被覆の端部が、基台20の挿入部22と、ブーツ30とに挟まれ、LANケーブル35が固定される。
【0040】
上述したように、関連技術のコネクタのピンとLANケーブルとの接続方法では、被覆を剥いたLANケーブルのツイストペア線の撚りを戻し、芯線をコネクタのピンの位置に合わせて、曲げたり、芯線同士を交差させたりして接続していた(図13参照)。そのため、ツイストペア線の撚り戻しが長くなったり、不均一であったり、無理な曲げをしている場合があった。
【0041】
本発明では、被覆を剥いたLANケーブル35のツイストペア線37の撚り戻しの長さは、芯線36が基台20のガイド25に配置可能でありさえすれば十分である。また、各ツイストペア線37と隣接する位置のガイド25に芯線36を配置するようになっているため、ツイストペア線37の撚り戻し長さを短く、均一にすることができる。さらに、芯線36同士が交差することもない。関連技術のコネクタでは、ツイストペア線の撚りを戻し、芯線を1列に配列させ、コネクタの挿入路内に挿入していた。本発明のコネクタ11は、一列に並んだピン13と、芯線36と接続する結合端子16とが接続線19で接続されているため、結合端子16を1列ではなく同心円状に配置することができる。したがって、断面円形のLANケーブル35内に収容されているツイストペア線37の各芯線36を、隣接する結合端子16に接続するまでの距離が短くてすみ、接続ミス(芯線36と結合端子16の対応関係が狂うこと)が生じる可能性を非常に小さくすることができるなど、芯線36の配置が簡便にできる。また、コネクタ11に対してLANケーブル35をどのような角度で挿入しても、コネクタ11を受け入れ部15の円周方向に回転させれば、コネクタ11の各ピン13とLANケーブル35の各芯線36とが、前記した適切な対応関係で配置された状態が容易に実現するようになっている。
【0042】
また、本実施形態では、図7(a)、(b)に示すように、3番から6番までのピン13をそれぞれ2つの結合端子16に接続してある。表1に、図5(a)のときのピン13の番号と結合端子16とガイド25の位置と芯線36の被覆の色の関係を示し、表2に図5(b)のときのピン13の番号と結合端子16とガイド25の位置と芯線36の被覆の色の関係を示す。図4および図5に示すように、LANケーブル35を一方の端部と他方の端部とは鏡写しのように、上下のツイストペア線37はそのままで、左右のツイストペア線37が入れ替わる。具体的には芯線36の被覆の色が、白/青と青、白/緑と緑の組み合わせのツイストペア線37の位置は変わらない。白/橙と橙、白/茶と茶の組み合わせのツイストペア線37の位置が変わる。そのため、表1に示すように、例えばガイド25の位置が、時計の文字盤の表示を用いると3時、4時に配置されていた被覆の色が白/橙と橙の芯線36は、表2に示すように、180°移動してそれぞれ9時、10時のガイド25の位置に移動する。しなしながら、被覆の色が白/緑の芯線36は、表1に示すようにガイド25の位置が5時に配置されていたが、表2に示すように、180°移動した11時ではなく8時の位置のガイド25に配置される。つまり、ピン13が1つの結合端子16のみに接続されるのではなく、番号が3番から6番のピン13は接続線19を介して接続される結合端子16を複数設けることで、例えばLANケーブル35の一方の端部用と他方の端部用のように複数種類のコネクタ11を準備しなくても、コネクタ11を受け入れ部15の円周方向に回転させれば、コネクタ11のピン13の番号と芯線36の配置が適合するようになっている。
【0043】
さらに、コネクタ11を受け入れ部15の円周方向に回転させれば、コネクタ11のピン13の番号と芯線36の配置が適合するようになっていることから、芯線36とピン13の組み合わせを間違える接続ミスを減らすこともできる。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
次に、接続方法の他の一例として、ツイストペア線37を使用するLANケーブル35をクロスケーブルとし、コネクタ11をRJ45コネクタとして結線する方法を説明する。
【0047】
図10を用いて、ピンアサインについて説明する。
【0048】
図10に、LANケーブル35と、コネクタ11のピンアサイン図とを示す。なお、コネクタ11は、外部接続部12のみを図示し、正面から見た状態を示している。また、LANケーブル35の配線は、LANケーブル35の両端部をそれぞれ矢印の方向から見たときの状態である。
【0049】
ツイストペア線37を構成する芯線36の組み合わせはストレートケーブルと変わらない。しかしながら、クロスケーブルでは、一方の端部はTIA/EIA−568−B規格であり、他方の端部はTIA/EIA−568−A規格(ANSI:米国規格協会の規格)となっている。TIA/EIA−568−A規格では、ピン13の番号と芯線36の被覆の色との組み合わせがそれぞれ、1番:白/緑、2番:緑、3番:白/橙、4番:青、5番:白/青、6番:橙、7番:白/茶、8番:茶と決まっている。つまり、白/緑と緑の組のツイストペア線37と、白/橙と橙の組のツイストペア線37とが入れ替わった結線である。
【0050】
図10では、LANケーブル35を左から右に見たときにはTIA/EIA−568−A規格であり、LANケーブル35を右から見たときにはTIA/EIA−568−B規格となっている。
【0051】
次に結線方法を説明する。なお、基台20のガイド25に配置するまでの手順は上述と同様であるため、省略する。
【0052】
図11は、各芯線36をガイド25のどの位置に配置するかを示した図であり、(a)は、LANケーブル35を図10のX方向(左から右に向かう方向)に見たときの配置図であり、(b)はLANケーブル35を図10のX’方向(右から左に向かう方向)に見たときの配置図である。なお、図11の状態は、芯線36の切除前の状態である。
【0053】
LANケーブル35をX方向(左から右に向かう方向)に見た場合、ガイド25の位置と芯線36の配置は、上記と同様に時計の文字盤の表示を用いて表現すると、図11(a)に示すように、(1時、青)、(3時、白/橙)、(4時、橙)、(5時、白/緑)、(8時、緑)、(9時、白/茶)、(10時、茶)、(12時、白/青)となるようにする。
【0054】
図10に示したように、本実施例のLANケーブル35はクロスケーブルであるため、LANケーブル35をX’方向(右から左に向かう方向)に見たときでは、上述した実施例の図5(b)とは異なり、白/緑と緑の組のツイストペア線37と、白/橙と橙の組のツイストペア線37とが入れ替わる。つまり、ガイド25の位置と芯線36の配置は、上記と同様に時計の文字盤の表示を用いて表現すると、図11(b)に示すように(1時、白/青)、(3時、白/茶)、(4時、茶)、(5時、橙)、(8時、白/橙)、(9時、白/緑)、(10時、緑)、(12時、青)となるようにする。
【0055】
次に、基台20を保持した状態で、コネクタ11を移動させて、コネクタ11の受け入れ部15内に基台20の固定部21を挿入する(図6参照)。このとき、図11(a)で示すTIA/EIA−568−B規格の結線である場合は、コネクタ11を図10のX方向から見ると、図12(a)の位置、つまり、コネクタ11のピン13の番号と芯線36の被覆の色が、1番:白/橙、2番:橙、3番:白/緑、4番:青、5番:白/青、6番:緑、7番:白/茶、8番:茶となるように、コネクタ11の角度を調節して位置を合わせてから(結果的にコネクタ11の上下をほぼ反転させてから)、コネクタ11を基台20に向けて移動させる(図6参照)。また、図11(b)に示すTIA/EIA−568−A規格の結線である場合は、コネクタ11を図10のX’方向から見ると、図12(b)の位置、つまり、コネクタ11のピン13の番号と芯線36の被覆の色が、1番:白/緑、2番:緑、3番:白/橙、4番:青、5番:白/青、6番:橙、7番:白/茶、8番:茶となるように、コネクタ11の角度を調節し位置を合わせてから、コネクタ11を基台20に向けて移動させる。
【0056】
以降の手順は上述の実施例と同様である。
【0057】
本発明の接続方法は、LANケーブルとコネクタとの接続に限定されず、本発明の接続装置であるコネクタ、基台、およびブーツのいずれかを使用する方法であればよい。例えば、平行伝送用ケーブルコネクタとケーブルとの接続などにも適用できる。
【符号の説明】
【0058】
11コネクタ
12外部接続部
13ピン
14ツメ
15受け入れ部
16結合端子
17開口部
18凸部
19接続線
20基台
21固定部
22挿入部
23中空部
24端面
25ガイド
26挿入溝
30ブーツ
31凹部
35LANケーブル
36芯線
37ツイストペア線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの芯線が接続されるコネクタと、前記芯線が配置され、前記コネクタ内部に挿入される基台とを少なくとも有する、ケーブルとコネクタとの接続装置であり、
前記コネクタには、ピンが設けられた外部接続部と受け入れ部とが設けられており、
前記コネクタの前記受け入れ部は、一方の端部が開口している中空の円筒状をしており、他方の端部には、前記他方の端部から前記一方の端部に向かって突出し、前記ピンとは接続線によって接続されており、前記ケーブルの芯線と接続される結合端子が円周上に設けられており、
前記基台には、一方の端部から他方の端部まで連通する中空部が設けられた円筒状の固定部が設けられており、前記基台は前記固定部側から前記受け入れ部に挿入され、
前記基台の前記固定部には、前記コネクタの前記受け入れ部に挿入される側の端面に、放射状に、前記結合端子と対応する位置に前記芯線を位置決めして保持するためのガイドが設けられている、ケーブルとコネクタの接続装置。
【請求項2】
前記基台の前記固定部の前記ガイドが設けられている端面とは反対の端面に、前記中空部を有し、前記固定部側は太く、前記固体部側とは反対側になるにつれて細くなっている挿入部が接続されている、請求項1に記載のケーブルとコネクタの接続装置。
【請求項3】
前記基台の前記挿入部の前記固定部側の外周は前記ケーブルの被覆の内周よりも大きく、前記固定部とは反対側の外周は前記ケーブルの被覆の内周よりも小さい、請求項2に記載のケーブルとコネクタとの接続装置。
【請求項4】
前記受け入れ部の前記開口より前記他方の端部側に位置し中心に向かって突出する凸部が設けられており、
前記接続装置には、中空の円筒状をしており、外面には前記コネクタの前記凸部と対応する位置に凹部を有し、前記基台を前記コネクタの前記受け入れ部内に保持するために前記受け入れ部内に部分的に挿入されるブーツが設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載のケーブルとコネクタとの接続装置。
【請求項5】
前記ブーツの内周は前記ケーブルの被覆の外周と同じであり、前記ブーツの外周は前記コネクタの前記受け入れ部の内周と同じである、請求項4に記載のケーブルとコネクタとの接続装置。
【請求項6】
前記基台の前記固定部の前記ガイドが設けられている前記端面には、前記コネクタの前記ピンと対応する位置を全て通る同心円状の溝が設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載のケーブルとコネクタとの接続装置。
【請求項7】
前記接続装置はLANケーブルとLANケーブル用コネクタとを接続する接続装置であり、
前記コネクタの前記外部接続部には、1番から8番までの番号を有する8本の前記ピンが1列に並んで順番に設けられており、
前記コネクタの前記外部接続部の前記受け入れ部とは反対側から見たときに、前記ピンが水平に、かつ左端が1番のピンで右端が8番のピンになるように前記コネクタを配置して、前記結合端子の位置を、360°を12等分した時計の文字盤の表示を用いて表現したときに、
1番の前記ピンと8時の位置にある前記結合端子、2番の前記ピンと9時の位置にある前記結合端子、3番の前記ピンと7時および10時の位置にある前記結合端子、4番の前記ピンと6時および11時の位置にある前記結合端子、5番の前記ピンと5時および12時の位置にある前記結合端子、6番の前記ピンと1時および4時の位置にある前記結合端子、7番の前記ピンと2時の位置にある前記結合端子、8番の前記ピンと3時の位置にある前記結合端子、とがそれぞれ接続されている、請求項1から6のいずれか1項に記載のケーブルとコネクタとの接続装置。
【請求項8】
ピンが設けられた外部接続部と、一方の端部が開口している中空の円筒状をしており、他方の端部には、前記他方の端部から前記一方の端部に向かって突出し、円周上に配置され、前記ピンとは接続線によって接続されている結合端子を有する受け入れ部とが設けられているコネクタと、一方の端部から他方の端部まで連通する中空部が設けられた中空の円筒状の固定部が設けられている基台とを用いた、ケーブルとコネクタとの接続方法であって、
前記ケーブルの端部の被覆を剥いて露出させた前記ケーブルの芯線を、前記基台の前記中空部を介して前記固定部の前記一方の端面から突出させ、
前記固定部から突出した前記芯線を、前記固定部の前記一方の端面に放射状に、かつ前記結合端子に対応する位置に設けられたガイド内に配置して、前記ガイド内に配置した前記芯線の、前記固定部の前記一方の端面の外周から飛び出した部分を切除し、
前記コネクタの前記受け入れ部内に前記固定部を前記一方の端面側から挿入し、前記結合端子を、前記ガイド内に配置された前記芯線に押し当てて該芯線の被覆を破って内部まで進入させることにより、前記芯線を前記結合端子と前記接続線とを介して前記ピンに接続させる、
ケーブルとコネクタとの接続方法。
【請求項9】
前記基台の前記固定部の前記ガイドが設けられた前記一方の端面とは反対の端部に、前記中空部を有し、前記固定部側とは反対側になるにつれて細くなる挿入部を設け、前記ガイドに前記芯線を配置する前に前記挿入部を前記ケーブルの被覆の内部に挿入する、請求項8に記載のケーブルとコネクタとの接続方法。
【請求項10】
中空の円筒状をしており、外面に凹部を有するブーツを、前記ケーブルの被覆を剥く前に前記ケーブルに通しておき、前記結合端子と前記芯線が接続した後に、前記ケーブルを前記受け入れ部内に挿入し、前記受け入れ部の前記開口より前記他方の端部側に設けた中心に向かって突出する凸部と前記ケーブルの前記凹部とを嵌め合いさせる、請求項8または9に記載のケーブルとコネクタとの接続方法。
【請求項11】
前記基台の前記固定部の前記一方の端面に同心円状の溝を設け、前記コネクタの前記結合端子が前記溝内に入るようにする、請求項8から10のいずれか1項に記載のケーブルとコネクタとの接続方法。
【請求項12】
前記ケーブルは、前記芯線が2本ずつ撚られたツイストペア線を有しており、前記基台の前記ガイドに配置される長さだけ前記ツイストペア線の撚りを戻す、請求項8から11のいずれか1項に記載のケーブルとコネクタとの接続方法。
【請求項13】
前記芯線は、前記芯線同士が交差しない位置の前記ガイドに配置する、請求項8から12のいずれか1項に記載のケーブルとコネクタとの接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−119121(P2011−119121A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275399(P2009−275399)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】