説明

ケーブルの梱包方法

【課題】 ケーブルが損傷した際における損傷の判別が可能なケーブルの梱包方法を提供する。
【解決手段】 ドラム12の胴部へケーブル11を巻き付け、この巻き付けたケーブル11の周囲を、耐水材料から形成されたシート15によって覆う。さらに、その外周を、複数の板16を周方向へわたって配設してドラム12の鍔部14へ釘17で打ち付けて固定して覆う。梱包解除後に、シート15における損傷の有無からケーブル11の損傷時期を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムにケーブルを巻き付けて梱包するケーブルの梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ケーブルは、ドラムの胴部に巻き付けることにより梱包され、輸送あるいは保管される。
特に、輸送時では、ドラムの胴部に巻き付けたケーブルを保護するために、ドラムの両端の鍔部に、周方向へわたって複数の板を釘で打ち付け、胴部に巻かれたケーブルを囲っていた。複数の板は針金を介して、バラけないように連結固定されており、梱包解除時に、連結された板群が丸まり、打ち付けられた釘がケーブル外表面を傷付けることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、胴部にケーブルを巻いたドラムの鍔部を板によって直接囲う梱包方法では、梱包を解除する際に、平板に打ち付けた釘によってケーブルを損傷させることがあり、特に、光ファイバケーブルの場合、損傷によって伝送不良が生じてしまう。
しかし、その損傷が、梱包解除によるものであるか、梱包によるものであるかを判別する手段がなく、責任の所在を明確にすることが困難であった。
【0004】
この発明は、万一ケーブルが損傷した際における損傷の判別が可能なケーブル梱包方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係るケーブルの梱包方法は、ドラムの胴部にケーブルが巻かれ、前記胴部の両側の鍔部の外周を複数の板で覆い、前記複数の板を前記鍔部に釘で固定するケーブルの梱包方法であって、前記複数の板を前記鍔部に固定する前に、前記胴部に巻かれた状態のケーブル外周部を、釘等による損傷を受けた際の痕跡が残るシートで覆うことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るケーブルの梱包方法は、前記シートは、前記鍔部に対して固定され、前記鍔部と前記シートの相対位置にマークを付けることが望ましい。
【0007】
また、本発明に係るケーブルの梱包方法は、前記シートに、梱包解除時には釘によるケーブルの損傷に対する注意事項を表記しておくことが望ましい。
【0008】
また、本発明に係るケーブルの梱包方法は、前記シートは、耐水性材料で形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のケーブル梱包方法によれば、梱包時、及び梱包解除時のケーブルの損傷を、シートの損傷を確認することにより、早期に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のケーブル梱包方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るケーブル梱包構造を示す一部を破断した斜視図、図2は、梱包に用いるドラムを示す斜視図、図3〜図6は、本実施形態に係るケーブル梱包方法の手順を説明する斜視図である。
図1に示すように、ケーブル11は、ドラム12に巻き付けられて梱包されている。このケーブル11は、例えば、内部に複数の光ファイバケーブルを束ねた光ケーブルである。
【0011】
図2に示すように、ケーブル11が巻き付けられるドラム12は、円筒状の胴部13と、この胴部13の両端に固定された円板状の鍔部14とから構成されており、胴部13と鍔部14とから円筒状の収納部12aが形成されている。そして、このドラム12には、円筒状の胴部13に、ケーブル11が巻き付けられ、これにより、ケーブル11がドラム12の収納部12aに収納されている。
【0012】
また、胴部13に巻き付けられたケーブル11には、その外周側に、例えば、蝋をコーティングした紙、ビニールシート、プラスチックシート、エアクッションなどの安価な材料からなるシート15が巻かれている。これらのシートを用いることで耐水性を有し、屋外で使用することができる。このシートは釘等による損傷を受けた際に、痕跡が残るようになっている。また、梱包解除時に現場で使用される工具(バール等)、先の尖った木片により、ケーブルに損傷を与えることがあり、それらについても痕跡が残るようなシートであれば、さらに好ましい。
ドラム12には、複数の板16が周方向へわたって配設され、これら板16が、鍔部14へ釘17によって打ち付けられて固定されている。そして、これら板16によって、胴部13に巻き付けられたケーブル11の外周側が覆われ、ドラム12の収納部12aが塞がれ、ケーブル11が確実に保護されている。円周状に釘打ちされた板16は、その両側で針金18、18を巻き回し、止め具19、19により板16に針金18、18が固定される。従って、円周状に配列された板16は針金18、18を介して連結固定されている。ドラムの保管・使用環境により、板どうし16、16の間から雨泥等がドラム12内に流れ込むことがあるが、ケーブル11はシート15により覆われているので、ケーブル外表面への汚れの付着が低減できる。
【0013】
次に、上記のようにケーブル11を梱包する梱包方法を、手順に沿って説明する。
まず、図3に示すように、ドラム12の胴部13に、ケーブル11を巻き付け、ドラム12の収納部12aにケーブル11を収納させる。
次いで、図4に示すように、ドラム12の胴部13に巻き付けたケーブル11の外周側に、シート15を巻き付け、ケーブル11の外周側をシート15によって完全に覆う。
【0014】
さらに、図5に示すように、ドラム12の外周に板16を配設し、鍔部14へ釘17によって打ち付けて固定する。
このようにして、図6に示すように、板16によって、胴部13に巻き付けたケーブル11の外周側全周を覆い、ドラム12の収納部12aを閉鎖する。
【0015】
そして、上記のようなケーブル梱包構造では、平板16を取り外す際に、釘17によってケーブル11を損傷させてしまった場合、収納しているケーブル11の外周を覆うシート15にも、穴や裂け目などの損傷が生じることとなる。したがって、釘17によってケーブル11が損傷し、シート15の損傷を確認することにより、損傷が梱包を解除した際に生じたものであると判断することができる。
【0016】
つまり、上記実施形態に係るケーブル梱包方法によれば、シートに損傷が無く、ケーブルが損傷していた場合には、ケーブルの損傷が製造時に発生したものと判断することができる。また、シートに損傷が有り、ケーブルが損傷した場合は、ケーブルがドラムに収納された以降にケーブルの損傷が発生したものと判断できる。
【0017】
なお、シート15としては、釘17が刺さった際に痕跡が残る材料で、しかも、表面形状が経時的に著しく変化(1ヶ月程度で変化)することがない強度を持ち、ケーブル11と化学反応を起こさないものであれば、前述したものに限定されない。
また、シート15に、例えば、ケーブル11の取り扱いの注意事項、敷設作業手順、あるいはケーブル11の種別などを記載しておくことにより、梱包解除後における作業の円滑化を図ることができる。特に、梱包解除時の釘によるケーブルの損傷に対する注意事項をシート15に記載しておけば、梱包解除時のケーブルの損傷を未然に防止することができる。
【0018】
また、シートを鍔部に対して固定しておき、鍔部とシートとの相対位置にマークを付けておくことが好ましい。このようにすることで、シート除去後に、どのドラムと対応し、どの位置でケーブルの損傷が発生したのか確認することができる。
【0019】
なお、上記実施形態では、梱包するケーブル11として光ファイバケーブルを例にとって説明したが、本発明のケーブル梱包方法は、いかなるケーブルでも適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係るケーブル梱包構造を示す一部を破断した斜視図である。
【図2】梱包に用いるドラムを示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係るケーブル梱包方法の手順を説明する斜視図である。
【図4】本実施形態に係るケーブル梱包方法の手順を説明する斜視図である。
【図5】本実施形態に係るケーブル梱包方法の手順を説明する斜視図である。
【図6】本実施形態に係るケーブル梱包方法の手順を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
11 ケーブル
12 ドラム
13 胴部
14 鍔部
15 シート
16 板
17 釘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラムの胴部にケーブルが巻かれ、前記胴部の両側の鍔部の外周を複数の板で覆い、前記複数の板を前記鍔部に釘で固定するケーブルの梱包方法であって、前記複数の板を前記鍔部に固定する前に、前記胴部に巻かれた状態のケーブル外周部を、釘等による損傷を受けた際の痕跡が残るシートで覆うことを特徴とするケーブルの梱包方法。
【請求項2】
前記シートは、前記鍔部に対して固定され、前記鍔部と前記シートの相対位置にマークを付けることを特徴とする請求項1記載のケーブルの梱包方法。
【請求項3】
前記シートに、梱包解除時には釘によるケーブルの損傷に対する注意事項を表記しておくことを特徴とする請求項1記載のケーブルの梱包方法。
【請求項4】
前記シートは、耐水性材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載のケーブル梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−176171(P2006−176171A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372177(P2004−372177)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】