ケーブルクランプ
【課題】取付け作業性のよい防水ケーブルクランプを提供する。
【解決手段】ケーブルクランプは、ケーブル29を外部から中部の貫通穴に至るスリットに設けたケーブルパッキン4と、ケーブルパッキンを両側から挟着する一対のスライドケース3と、一対のスライドケースの一方の内側に凹部11を設けるとともに、他方のスライドケースの内側には凹部に対応する位置に凸部10を設け、かつ一対のスライドケースのそれぞれには内方を高くして対向する傾斜面を設け、その傾斜面と対応する傾斜面を設けたテーパーワッシャーを設けることにより、テーパーワッシャーと貫通し、スライドケースと余裕を持って遊嵌する取付ネジ5をパネルに捩じ込み、凸部を凹部内に進行させるとともに、一対のスライドケースによりケーブルを貫通したケーブルパッキンを圧縮して、ケーブルの周囲とケーブルパッキンの周囲を防水可能にした。
【解決手段】ケーブルクランプは、ケーブル29を外部から中部の貫通穴に至るスリットに設けたケーブルパッキン4と、ケーブルパッキンを両側から挟着する一対のスライドケース3と、一対のスライドケースの一方の内側に凹部11を設けるとともに、他方のスライドケースの内側には凹部に対応する位置に凸部10を設け、かつ一対のスライドケースのそれぞれには内方を高くして対向する傾斜面を設け、その傾斜面と対応する傾斜面を設けたテーパーワッシャーを設けることにより、テーパーワッシャーと貫通し、スライドケースと余裕を持って遊嵌する取付ネジ5をパネルに捩じ込み、凸部を凹部内に進行させるとともに、一対のスライドケースによりケーブルを貫通したケーブルパッキンを圧縮して、ケーブルの周囲とケーブルパッキンの周囲を防水可能にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケーブルを保持するケーブルクランプ、詳細には各種電機機器を内蔵したパネルの開口に、その電機機器からの出力を外部に供給するケーブルを保持するケーブルクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、下記の特許発明のように、上下(両側)に隣接するブロック11〜14(以下図番は従来例の実施例のもの)を、長ねじ16(固定手段)により固定するものとし、その相対するブロックに隣接して長手方向に設けた切り欠き部11a〜14aのある中空部11b〜14b内に、ケーブル1を保持する略半円形の凹部17a〜19aを有する横長または個々に独立した小ブロック体の弾性パッキン17〜19を、着脱自在に装着したものである。
【0003】
従来例ではケーブルクランプしてパネルに取り付ける作業性に課題がある。
まず、ケーブルを弾性パッキン17〜19で挟み、さらに各ブロック11〜14で弾性パッキン17〜19を挟んで長ネジ16で締付ける。その状態にしてからやっとパネルに対して別のネジ11d〜14dで締付ける作業となる。
つまり、ケーブルをクランプしてパネルに固定しようとする際には、2種類(2方向)のネジの締付けが必要となり、作業の手間がかかるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3431355号(特願平7−179529)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決せんとしたものであり、本発明は1方向によるネジの締付けだけで、ケーブルのクランプとパネルへの固定が同時に行える構造となっており、取付けの作業性が良くなるようにしたことを発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記問題点を解決したものであり、その要旨は、パネルの開口にケーブルを通して保持するためのケーブルクランプにおいて、該ケーブルクランプは、前記ケーブルを外部から中部の貫通穴に至るようにスリットを設けたケーブルパッキン体と、該ケーブルパッキン体を両側から挟着する一対のスライドケースと、該一対のスライドケースの一方の内側に凹部を設けるとともに、他方のスライドケースの内側には前記凹部に対応する位置に凸部を設け、かつ前記一対のスライドケースのそれぞれには内方を高くして対向する傾斜面を設け、その傾斜面と対応する傾斜面を設けたテーパーワッシャーを設けることにより、前記テーパーワッシャーと貫通し、前記スライドケースと余裕を持って遊嵌する取付ネジを前記パネルに捩じ込み、前記凸部を前記凹部内に進行させるとともに、前記一対のスライドケースにより前記ケーブルを貫通したケーブルパッキン体を圧縮して、前記ケーブルの周囲とケーブルパッキン体の周囲を防水可能にしたことを特徴とするケーブルクランプにある。
この構造により、一対のスライドケースとケーブルパッキン体の間、及びケーブルパッキン体とケーブルとの間を水密にして、これらの間からの漏水を防止するようにしている。
【0007】
ここで、ケーブルパッキン体としては、ゴム製の弾性体を用いることが好ましい。
【0008】
スライドケースとパネルとの間には、スライドケースのそれ自体の材料か、少なくとも底部に摩擦抵抗を小さくするコーティング材を形成するか、潤滑油を塗布するか、のいずれかを選択することにより、パネル上を一対のスライドケースがケーブルパッキン体を潰す方向に滑り易くしている。
【0009】
ケーブルを貫通したケーブルパッキン体の厚さ方向の中央部を、そのケーブルの周囲を圧接する幅の狭い丸形突起を形成することで、より十分に水密性を保持している。
【0010】
テーパーワッシャーの両側にスライドケース壁を設け、その内壁にスライドケース爪27を設けることにより、テーパーワッシャー13がスライドケースから脱落しない構造になっている。
【0011】
テーパーワッシャーが位置する下方のスライドケースの貫通孔内には、挿通状態で遊びをもっている取付ネジを仮固定する先端内方に突起25を設けた筒状体26を一体に成形している。このことは、特に本発明のケーブルクランプをパネルの側面や底面に位置する場合に有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のケーブルクランプは、電気機器を内蔵してケーブルを貫通するパネルへの取付構造であり、前記パネルの開口において、スリットを開いてケーブルを貫通したケーブルパッキン体を、上下一対のスライドケースにより取り付けるようにしたものである。
【0013】
具体的には、上下のスライドケースの両側に、前記上下に対向した側を高くした傾斜面をそれぞれ設け、各傾斜面とは面一の傾斜面を設けたテーパーワッシャーを重ね、この重ね合わせたテーパーワッシャーとスライドケースに雄ネジを有する取付ネジが、テーパーワッシャーに対して密着状態に貫通し、スライドケースに対しては遊嵌状態にして貫通し、スライドケースの下方にあるパネルに設けた雌ネジを、図5に示す、矢印A方向への捩じ込むことで、上下のテーパーワッシャーとパネルとは不動であるが、上下間のスライドケースは矢印B方向(上下のスライドケースが近づく方向)に移動する。この移動により、前記上下一対のスライドケースの両端の各内側に向って相対して設けた、凸部を凹部内に進行することで上下のスライドケースを上下以外に動かぬように位置決めしている。これと同時進行して、上下スライドケースの内側に介在させた前記ケーブルを貫通したケーブルパッキン体を、上下スライドケース間において圧着する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のケーブルクランプの分解平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のスライドケースにより、ケーブルをケーブルパッキン体で圧着した平面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図3のC−C断面図である。
【図7】ケーブルパッキン体のスリットを開いてケーブルを押し込む説明図である。
【図8】図1のD−D断面図である。
【図9】上記とは別の実施例としての分解平面図である。
【図10】図9の組み立て状態の平面図である。
【図11】図10のE―E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、上下スライドケースのそれぞれの両側に設けた、テーパーワッシャーとスライドケースとの傾斜面を利用し、これらに貫通した取付ネジをパネルの雌ネジに螺入することにより、不動のテーパーワッシャーとパネル間にある上下スライドケースを互いに近づけることで、スライドケースとケーブルパッキン体間と、ケーブルパッキン体とケーブル間とを圧着するようにした。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明のケーブルクランプを分解した平面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のケーブルクランプを用いて、ケーブルを圧着した状態の平面図、図4は図3の正面図、図5は図3のB−B断面図、図4は図3の正面図、図5は図3のB−B断面図、図6は図3のC−C断面図、図7は図1のケーブルパッキン体4にあるスリット21’を開いてケーブルを押し込む説明図、図8は図1のD−D断面図に取付ネジ14を加えたもの、図9は図1とは別の実施例の分解平面図、図10は図9のケーブルクランプを用いて組み立てた状態の平面図、図11は図10のE−E断面図である。
【0017】
本発明のケーブルクランプは、図1乃至図8に示すように、パネル1の開口2の上下に位置するスライドケース3,3'と、その全体として細長いコの字状にしたスライドケース3,3'間に介在する複数個のケーブルパッキン体4,4'、4"、4"'と、これらを保持する取付ネジ5,5'とからなる。
【0018】
なお、図5と図6にある、パネル1上面とスライドケース3、3'の間には、スライドパッキン6がスライドケース3,3'の底部に固着されている。
【0019】
図1において、スライドケース3,3'は同一の形態で相対するものであり、各スライドケースの底部には、図3のケーブルクランプの組み立て状態では、上下のスライドケースが互いに当接するために立設している面から各スライドケースの底部外周面に亘ってスライドパッキン6,6'が敷設され、パネル1上をスライドケースがスライドパッキンと共に上下方向に移動可能にしている。また、各スライドケース3,3'の両端の側壁12,12’内には、上下に対向する側を高くした、スライドケース6,6'の下の傾斜面7,7'をそれぞれの頂部8,8'と底部9,9'間に設けている(図5)。さらに各スライドケース3,3'の内側の一方に凸部10,10'を、他方には凹部11,11'を設け、各スライドケース3,3'が当接するまで凸部10,10'が凹部11,11'内に進行することで各ケースの左右方向(上下方向以外)に位置決めがなされている。
【0020】
前記スライドケース3,3'下の傾斜面7,7'の中央には、後述する取付ネジとしての頭付ボルト5,5'を遊嵌状態で挿通する下の孔15,15'を設ける。また、前記下の傾斜面7,7'と合致するテーパーワッシャー13,13'の上の傾斜面16,16'を有するテーパーワッシャー13,13'を載置し、そのテーパーワッシャーには、前記頭付ボルト5,5'を密着状態で挿通する上の孔17,17'を設けている。
前記上の孔17,17'は、ボルト5,5'を挿通するのに必要な径であるが、その下にあるスライドケース3,3'の下の孔15,15'は、ボルト5,5'を遊嵌状態で挿通して、ボルト5,5'の下部雄ネジ18,18'をパネルの雌ネジ19,19'に捩じ込むようにしている。
なお、略コの字状のスライドケース3,3'の両端部は、前記した下の傾斜面7,7'を貫通してボルト5,5'を取り付ける箇所である。また、各スライドケース3,3'の間には、横に4個並んで角形座布団型のケーブルパッキン体4,4',4",4"'の上下部をスライドケース3,3'の中空部30,30'に嵌め込み、中空部30,30'の入口は両側が大きくて中央側が小さい3つの弧状の切欠部14,14'を前後に設けている。
【0021】
つぎに、ゴム製等の弾性体からなる前記ケーブルパッキン体4〜4"'は、同一及び異なる径のケーブル29,29',29"の貫通穴22,22',22"を、ケーブルパッキン体の中部に備え、この中部の一側方には外部から貫通孔22,22',22"に通じるスリット20,21',21"を設け、これらのスリットからケーブルパッキン体を開いて、前記貫通穴22,22',22"に応じたケーブル29,29',29"を嵌入するようにしている(図7)。なお、このケーブルパッキン体4〜4"に設けた貫通穴22〜22"内の中央部に丸形突起24、すなわち図2や図6に示すように、ケーブルパッキン体より径を小さくした丸形突起24を設けてケーブル29,29',29”との圧着により水密性を高めている。
【0022】
図8は、図1のボルト5を抜いたD−D断面で、スライドケース3、3'の両端が対称となって現れる。同箇所のスライドケースの下の孔15,15'は、ボルト5,5'に対して遊嵌状態にあるが、その孔15,15'には弾性の下端に爪25を有する筒状体26をスライドケースと一体に設けることで、嵌入したボルトの落下を防止している。また、筒状体26の上部に前記テーパーワッシャー13,13'を載置しており、そのワッシャーは、前記したスライドケース3,3'のボルト貫通用の孔17,17'に設けた爪27と、その爪27にテーパーワッシャー13,13'の下部外周を太径にして、その上端が引っ掛かることにより、特に、ケーブルクランプ1をパネルの側部又は底部開口に取り付けた場合において、テーパーワッシャー13,13'の脱落を防止する。
【0023】
つぎに、上記構成からなるスライドケース3,3'とケーブル19〜19"を貫通したケーブルパッキン体4〜4"を、パネル1の開口2の周囲へ取り付ける取付方法について説明する。
まず、図1と図2の分解したスライドケース3,3'を、パネルの開口の周囲にボルト5,5'で取り付けるが、この取付位置は、ボルトのネジをテーパーワッシャー13,13'の孔17,17'とスライドケースの孔15,15'を貫通して、パネル1の雌ネジ19,19'に螺進する。
このようにボルトを螺進して行くと、ボルト頭に近いテーパーワッシャー13,13'と螺着しているパネル1とが位置決めされて固定されているために、スライドケース3,3'とテーパーワッシャー13,13'の上の傾斜面16,16'がスライドケース3,3'の下の傾斜面7,7'と合致している箇所は圧接状態になり、テーパーワッシャー13,13'とパネル1の中間位置にある遊嵌状態の上下2つのスライドケース3,3'が互いに近寄って最終的に図5、図6のように、前記凸部10,10'が凹部11,11'内に進行して各スライドケース3,3'の先端面となる前記スライドパッキン6、6'の立ち上がり部が互いに圧接すると同時に、前記中空部30,30'内に挟持されたケーブルパッキン体4〜4"の上下面を圧接することで、ケーブル1の周囲(特にケーブルパッキン体4〜4"の丸形突起により)は水密になる。この際に、スライドケースの底部の周囲に設けたスライドパッキン6,6'によって、パネル1間も気密に保持される。
【0024】
図9乃至図11は、前記本発明を二段レーンにしたものであり、前記した実施例と構造上の違いは固定ケース3"として開口2の中央を横切ったパネル1に取付ネジ105で固定したものであり、その固定ケース3"の上下両側に前記した上下にあるスライドケース3,3'をそれぞれの傾斜面7,7'とテーパーワッシャーの傾斜面16,16'とにより、各取付ネジ5,5',105をパネル1に螺入することで固定する。図10と図11に示す状態は、各種径のケーブル19〜19" ,119,119',119",119"'をスリット21〜21",121〜121"'から嵌め込んだケーブルパッキン体4〜4"',104〜104"'を上下に対応する図形の中空部に圧接するようにしたものである。
なお、上記の実施例は上下二段のものであるが、三段以上でも、同じ構成のケーブルクランプを仕上げることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
パネルの開口に固定するケーブルクランプを、上下のスライドケースに取り付けた取付ネジをパネルに螺入することにより、ケーブルパッキン体の中央に位置するケーブルを気密に保持したものである。
【符号の説明】
【0026】
1・・・パネル
2・・・パネルの開口
3,3'・・・スライドケース
4,4',4",4"',104,104',104",104"'・・・ケーブルパッキン体
5,5'・・・取付ネジ
6,6'・・・スライドパッキン
7,7',16,16'・・・傾斜面
10・・・凸部
11・・・凹部
22,22',22"・・・貫通穴
24・・・丸形突起
25・・・26の先端にある爪
26・・・スライドケースの筒状体
27・・・スライドケース爪
【技術分野】
【0001】
本発明はケーブルを保持するケーブルクランプ、詳細には各種電機機器を内蔵したパネルの開口に、その電機機器からの出力を外部に供給するケーブルを保持するケーブルクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、下記の特許発明のように、上下(両側)に隣接するブロック11〜14(以下図番は従来例の実施例のもの)を、長ねじ16(固定手段)により固定するものとし、その相対するブロックに隣接して長手方向に設けた切り欠き部11a〜14aのある中空部11b〜14b内に、ケーブル1を保持する略半円形の凹部17a〜19aを有する横長または個々に独立した小ブロック体の弾性パッキン17〜19を、着脱自在に装着したものである。
【0003】
従来例ではケーブルクランプしてパネルに取り付ける作業性に課題がある。
まず、ケーブルを弾性パッキン17〜19で挟み、さらに各ブロック11〜14で弾性パッキン17〜19を挟んで長ネジ16で締付ける。その状態にしてからやっとパネルに対して別のネジ11d〜14dで締付ける作業となる。
つまり、ケーブルをクランプしてパネルに固定しようとする際には、2種類(2方向)のネジの締付けが必要となり、作業の手間がかかるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3431355号(特願平7−179529)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決せんとしたものであり、本発明は1方向によるネジの締付けだけで、ケーブルのクランプとパネルへの固定が同時に行える構造となっており、取付けの作業性が良くなるようにしたことを発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記問題点を解決したものであり、その要旨は、パネルの開口にケーブルを通して保持するためのケーブルクランプにおいて、該ケーブルクランプは、前記ケーブルを外部から中部の貫通穴に至るようにスリットを設けたケーブルパッキン体と、該ケーブルパッキン体を両側から挟着する一対のスライドケースと、該一対のスライドケースの一方の内側に凹部を設けるとともに、他方のスライドケースの内側には前記凹部に対応する位置に凸部を設け、かつ前記一対のスライドケースのそれぞれには内方を高くして対向する傾斜面を設け、その傾斜面と対応する傾斜面を設けたテーパーワッシャーを設けることにより、前記テーパーワッシャーと貫通し、前記スライドケースと余裕を持って遊嵌する取付ネジを前記パネルに捩じ込み、前記凸部を前記凹部内に進行させるとともに、前記一対のスライドケースにより前記ケーブルを貫通したケーブルパッキン体を圧縮して、前記ケーブルの周囲とケーブルパッキン体の周囲を防水可能にしたことを特徴とするケーブルクランプにある。
この構造により、一対のスライドケースとケーブルパッキン体の間、及びケーブルパッキン体とケーブルとの間を水密にして、これらの間からの漏水を防止するようにしている。
【0007】
ここで、ケーブルパッキン体としては、ゴム製の弾性体を用いることが好ましい。
【0008】
スライドケースとパネルとの間には、スライドケースのそれ自体の材料か、少なくとも底部に摩擦抵抗を小さくするコーティング材を形成するか、潤滑油を塗布するか、のいずれかを選択することにより、パネル上を一対のスライドケースがケーブルパッキン体を潰す方向に滑り易くしている。
【0009】
ケーブルを貫通したケーブルパッキン体の厚さ方向の中央部を、そのケーブルの周囲を圧接する幅の狭い丸形突起を形成することで、より十分に水密性を保持している。
【0010】
テーパーワッシャーの両側にスライドケース壁を設け、その内壁にスライドケース爪27を設けることにより、テーパーワッシャー13がスライドケースから脱落しない構造になっている。
【0011】
テーパーワッシャーが位置する下方のスライドケースの貫通孔内には、挿通状態で遊びをもっている取付ネジを仮固定する先端内方に突起25を設けた筒状体26を一体に成形している。このことは、特に本発明のケーブルクランプをパネルの側面や底面に位置する場合に有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のケーブルクランプは、電気機器を内蔵してケーブルを貫通するパネルへの取付構造であり、前記パネルの開口において、スリットを開いてケーブルを貫通したケーブルパッキン体を、上下一対のスライドケースにより取り付けるようにしたものである。
【0013】
具体的には、上下のスライドケースの両側に、前記上下に対向した側を高くした傾斜面をそれぞれ設け、各傾斜面とは面一の傾斜面を設けたテーパーワッシャーを重ね、この重ね合わせたテーパーワッシャーとスライドケースに雄ネジを有する取付ネジが、テーパーワッシャーに対して密着状態に貫通し、スライドケースに対しては遊嵌状態にして貫通し、スライドケースの下方にあるパネルに設けた雌ネジを、図5に示す、矢印A方向への捩じ込むことで、上下のテーパーワッシャーとパネルとは不動であるが、上下間のスライドケースは矢印B方向(上下のスライドケースが近づく方向)に移動する。この移動により、前記上下一対のスライドケースの両端の各内側に向って相対して設けた、凸部を凹部内に進行することで上下のスライドケースを上下以外に動かぬように位置決めしている。これと同時進行して、上下スライドケースの内側に介在させた前記ケーブルを貫通したケーブルパッキン体を、上下スライドケース間において圧着する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のケーブルクランプの分解平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のスライドケースにより、ケーブルをケーブルパッキン体で圧着した平面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図3のC−C断面図である。
【図7】ケーブルパッキン体のスリットを開いてケーブルを押し込む説明図である。
【図8】図1のD−D断面図である。
【図9】上記とは別の実施例としての分解平面図である。
【図10】図9の組み立て状態の平面図である。
【図11】図10のE―E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、上下スライドケースのそれぞれの両側に設けた、テーパーワッシャーとスライドケースとの傾斜面を利用し、これらに貫通した取付ネジをパネルの雌ネジに螺入することにより、不動のテーパーワッシャーとパネル間にある上下スライドケースを互いに近づけることで、スライドケースとケーブルパッキン体間と、ケーブルパッキン体とケーブル間とを圧着するようにした。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明のケーブルクランプを分解した平面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のケーブルクランプを用いて、ケーブルを圧着した状態の平面図、図4は図3の正面図、図5は図3のB−B断面図、図4は図3の正面図、図5は図3のB−B断面図、図6は図3のC−C断面図、図7は図1のケーブルパッキン体4にあるスリット21’を開いてケーブルを押し込む説明図、図8は図1のD−D断面図に取付ネジ14を加えたもの、図9は図1とは別の実施例の分解平面図、図10は図9のケーブルクランプを用いて組み立てた状態の平面図、図11は図10のE−E断面図である。
【0017】
本発明のケーブルクランプは、図1乃至図8に示すように、パネル1の開口2の上下に位置するスライドケース3,3'と、その全体として細長いコの字状にしたスライドケース3,3'間に介在する複数個のケーブルパッキン体4,4'、4"、4"'と、これらを保持する取付ネジ5,5'とからなる。
【0018】
なお、図5と図6にある、パネル1上面とスライドケース3、3'の間には、スライドパッキン6がスライドケース3,3'の底部に固着されている。
【0019】
図1において、スライドケース3,3'は同一の形態で相対するものであり、各スライドケースの底部には、図3のケーブルクランプの組み立て状態では、上下のスライドケースが互いに当接するために立設している面から各スライドケースの底部外周面に亘ってスライドパッキン6,6'が敷設され、パネル1上をスライドケースがスライドパッキンと共に上下方向に移動可能にしている。また、各スライドケース3,3'の両端の側壁12,12’内には、上下に対向する側を高くした、スライドケース6,6'の下の傾斜面7,7'をそれぞれの頂部8,8'と底部9,9'間に設けている(図5)。さらに各スライドケース3,3'の内側の一方に凸部10,10'を、他方には凹部11,11'を設け、各スライドケース3,3'が当接するまで凸部10,10'が凹部11,11'内に進行することで各ケースの左右方向(上下方向以外)に位置決めがなされている。
【0020】
前記スライドケース3,3'下の傾斜面7,7'の中央には、後述する取付ネジとしての頭付ボルト5,5'を遊嵌状態で挿通する下の孔15,15'を設ける。また、前記下の傾斜面7,7'と合致するテーパーワッシャー13,13'の上の傾斜面16,16'を有するテーパーワッシャー13,13'を載置し、そのテーパーワッシャーには、前記頭付ボルト5,5'を密着状態で挿通する上の孔17,17'を設けている。
前記上の孔17,17'は、ボルト5,5'を挿通するのに必要な径であるが、その下にあるスライドケース3,3'の下の孔15,15'は、ボルト5,5'を遊嵌状態で挿通して、ボルト5,5'の下部雄ネジ18,18'をパネルの雌ネジ19,19'に捩じ込むようにしている。
なお、略コの字状のスライドケース3,3'の両端部は、前記した下の傾斜面7,7'を貫通してボルト5,5'を取り付ける箇所である。また、各スライドケース3,3'の間には、横に4個並んで角形座布団型のケーブルパッキン体4,4',4",4"'の上下部をスライドケース3,3'の中空部30,30'に嵌め込み、中空部30,30'の入口は両側が大きくて中央側が小さい3つの弧状の切欠部14,14'を前後に設けている。
【0021】
つぎに、ゴム製等の弾性体からなる前記ケーブルパッキン体4〜4"'は、同一及び異なる径のケーブル29,29',29"の貫通穴22,22',22"を、ケーブルパッキン体の中部に備え、この中部の一側方には外部から貫通孔22,22',22"に通じるスリット20,21',21"を設け、これらのスリットからケーブルパッキン体を開いて、前記貫通穴22,22',22"に応じたケーブル29,29',29"を嵌入するようにしている(図7)。なお、このケーブルパッキン体4〜4"に設けた貫通穴22〜22"内の中央部に丸形突起24、すなわち図2や図6に示すように、ケーブルパッキン体より径を小さくした丸形突起24を設けてケーブル29,29',29”との圧着により水密性を高めている。
【0022】
図8は、図1のボルト5を抜いたD−D断面で、スライドケース3、3'の両端が対称となって現れる。同箇所のスライドケースの下の孔15,15'は、ボルト5,5'に対して遊嵌状態にあるが、その孔15,15'には弾性の下端に爪25を有する筒状体26をスライドケースと一体に設けることで、嵌入したボルトの落下を防止している。また、筒状体26の上部に前記テーパーワッシャー13,13'を載置しており、そのワッシャーは、前記したスライドケース3,3'のボルト貫通用の孔17,17'に設けた爪27と、その爪27にテーパーワッシャー13,13'の下部外周を太径にして、その上端が引っ掛かることにより、特に、ケーブルクランプ1をパネルの側部又は底部開口に取り付けた場合において、テーパーワッシャー13,13'の脱落を防止する。
【0023】
つぎに、上記構成からなるスライドケース3,3'とケーブル19〜19"を貫通したケーブルパッキン体4〜4"を、パネル1の開口2の周囲へ取り付ける取付方法について説明する。
まず、図1と図2の分解したスライドケース3,3'を、パネルの開口の周囲にボルト5,5'で取り付けるが、この取付位置は、ボルトのネジをテーパーワッシャー13,13'の孔17,17'とスライドケースの孔15,15'を貫通して、パネル1の雌ネジ19,19'に螺進する。
このようにボルトを螺進して行くと、ボルト頭に近いテーパーワッシャー13,13'と螺着しているパネル1とが位置決めされて固定されているために、スライドケース3,3'とテーパーワッシャー13,13'の上の傾斜面16,16'がスライドケース3,3'の下の傾斜面7,7'と合致している箇所は圧接状態になり、テーパーワッシャー13,13'とパネル1の中間位置にある遊嵌状態の上下2つのスライドケース3,3'が互いに近寄って最終的に図5、図6のように、前記凸部10,10'が凹部11,11'内に進行して各スライドケース3,3'の先端面となる前記スライドパッキン6、6'の立ち上がり部が互いに圧接すると同時に、前記中空部30,30'内に挟持されたケーブルパッキン体4〜4"の上下面を圧接することで、ケーブル1の周囲(特にケーブルパッキン体4〜4"の丸形突起により)は水密になる。この際に、スライドケースの底部の周囲に設けたスライドパッキン6,6'によって、パネル1間も気密に保持される。
【0024】
図9乃至図11は、前記本発明を二段レーンにしたものであり、前記した実施例と構造上の違いは固定ケース3"として開口2の中央を横切ったパネル1に取付ネジ105で固定したものであり、その固定ケース3"の上下両側に前記した上下にあるスライドケース3,3'をそれぞれの傾斜面7,7'とテーパーワッシャーの傾斜面16,16'とにより、各取付ネジ5,5',105をパネル1に螺入することで固定する。図10と図11に示す状態は、各種径のケーブル19〜19" ,119,119',119",119"'をスリット21〜21",121〜121"'から嵌め込んだケーブルパッキン体4〜4"',104〜104"'を上下に対応する図形の中空部に圧接するようにしたものである。
なお、上記の実施例は上下二段のものであるが、三段以上でも、同じ構成のケーブルクランプを仕上げることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
パネルの開口に固定するケーブルクランプを、上下のスライドケースに取り付けた取付ネジをパネルに螺入することにより、ケーブルパッキン体の中央に位置するケーブルを気密に保持したものである。
【符号の説明】
【0026】
1・・・パネル
2・・・パネルの開口
3,3'・・・スライドケース
4,4',4",4"',104,104',104",104"'・・・ケーブルパッキン体
5,5'・・・取付ネジ
6,6'・・・スライドパッキン
7,7',16,16'・・・傾斜面
10・・・凸部
11・・・凹部
22,22',22"・・・貫通穴
24・・・丸形突起
25・・・26の先端にある爪
26・・・スライドケースの筒状体
27・・・スライドケース爪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの開口にケーブルを通して保持するためのケーブルクランプにおいて、該ケーブルクランプは、前記ケーブルを外部から貫通穴に至るようにスリットを設けたケーブルパッキン体と、該ケーブルパッキン体を両側から挟着する一対のスライドケースと、該一対のスライドケースの一方の内側に凹部を設けるとともに、他方のスライドケースの内側には前記凹部に対応する位置に凸部を設け、かつ前記一対のスライドケースのそれぞれには内方を高くして対向する傾斜面を設け、その傾斜面と対応する傾斜面を設けたテーパーワッシャーを設けることにより、前記テーパーワッシャーと貫通し、前記スライドケースと余裕を持って遊嵌する取付ネジを前記パネルに捩じ込み、前記凸部を前記凹部内に進行させるとともに、前記一対のスライドケースにより前記ケーブルを貫通したケーブルパッキン体を圧縮して、前記ケーブルの周囲とケーブルパッキン体の周囲を防水可能にしたことを特徴とするケーブルクランプ。
【請求項2】
前記ケーブルパッキン体を弾性体にした請求項1に記載のケーブルクランプ。
【請求項3】
前記スライドケースの下部に取り付けたスライドパッキンを、前記パネル面との摩擦抵抗を小さくする材料にするか、少なくとも前記スライドパッキンの底部をコーティング材で形成するか、潤滑油で塗布するかのいずれかである請求項1又は2に記載のケーブルクランプ。
【請求項4】
前記ケーブルを貫通した前記ケーブルパッキン体の厚さ方向の中央部に、前記ケーブルの周囲を圧接する丸形突起を設けた請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブルクランプ。
【請求項5】
前記スライドケースから立ち上がるスライドケース壁を設け、その内壁に前記テーパーワッシャーが脱落しないようにしたスライドケース爪を設けた請求項1乃至4のいずれかに記載のケーブルクランプ。
【請求項6】
前記テーパーワッシャー下部の前記スライドケースの貫通孔内に、前記取付ネジを仮固定をする筒状体を設けた請求項5に記載のケーブルクランプ。
【請求項1】
パネルの開口にケーブルを通して保持するためのケーブルクランプにおいて、該ケーブルクランプは、前記ケーブルを外部から貫通穴に至るようにスリットを設けたケーブルパッキン体と、該ケーブルパッキン体を両側から挟着する一対のスライドケースと、該一対のスライドケースの一方の内側に凹部を設けるとともに、他方のスライドケースの内側には前記凹部に対応する位置に凸部を設け、かつ前記一対のスライドケースのそれぞれには内方を高くして対向する傾斜面を設け、その傾斜面と対応する傾斜面を設けたテーパーワッシャーを設けることにより、前記テーパーワッシャーと貫通し、前記スライドケースと余裕を持って遊嵌する取付ネジを前記パネルに捩じ込み、前記凸部を前記凹部内に進行させるとともに、前記一対のスライドケースにより前記ケーブルを貫通したケーブルパッキン体を圧縮して、前記ケーブルの周囲とケーブルパッキン体の周囲を防水可能にしたことを特徴とするケーブルクランプ。
【請求項2】
前記ケーブルパッキン体を弾性体にした請求項1に記載のケーブルクランプ。
【請求項3】
前記スライドケースの下部に取り付けたスライドパッキンを、前記パネル面との摩擦抵抗を小さくする材料にするか、少なくとも前記スライドパッキンの底部をコーティング材で形成するか、潤滑油で塗布するかのいずれかである請求項1又は2に記載のケーブルクランプ。
【請求項4】
前記ケーブルを貫通した前記ケーブルパッキン体の厚さ方向の中央部に、前記ケーブルの周囲を圧接する丸形突起を設けた請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブルクランプ。
【請求項5】
前記スライドケースから立ち上がるスライドケース壁を設け、その内壁に前記テーパーワッシャーが脱落しないようにしたスライドケース爪を設けた請求項1乃至4のいずれかに記載のケーブルクランプ。
【請求項6】
前記テーパーワッシャー下部の前記スライドケースの貫通孔内に、前記取付ネジを仮固定をする筒状体を設けた請求項5に記載のケーブルクランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−243860(P2012−243860A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110516(P2011−110516)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000108708)タキゲン製造株式会社 (256)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000108708)タキゲン製造株式会社 (256)
【Fターム(参考)】
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