説明

ケーブルコネクタ、特に多極ケーブルコネクタ

【課題】ケーブルコネクタに導入された素線に確実な接触を保証することができる改良された締付け効果を実現するためのケーブルコネクタ、特に多極ケーブルコネクタを提供する。
【解決手段】接触棒として形成されたいくつかの接触要素14を備えるプラグ部品10と、多心より線の素線を受ける素線支持要素を備えるケーブル取込み部とを備え、素線支持要素は、組み立てられた状態での枢動運動によって、素線の方向に枢動されるフック要素と素線支持要素の内壁との間で、素線支持要素内に導入された素線を締め付け、固定する、枢動可能に取り付けられたフック要素を備える、多心より線を接続するケーブルコネクタ、特に多極ケーブルコネクタを提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多心より線を接続するケーブルコネクタ、特に多極ケーブルコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
より線の個々の素線を受ける分配部品(distribution piece)と、圧力ねじを用いてハンドルとケーブルグランドとから組み立てられるケーブル取込み部と、接触室に位置する接触棒を備える接触支持体と分配部品にケーブル取込み部を嵌め合わせるためのねじ込み口金とから形成されるプラグ部品とからなるケーブルコネクタが、ドイツ連邦共和国特許第4418259(C1)号明細書から知られている。分配部品のケーブル側端部の断面は八角形として形成されており、それによって、その8本のまっすぐなスリーブ面は、自由端の方向に円錐状に先細りになっている。ハンドルのプラグ側部分の内輪郭の形状は、分配部品のケーブル側端部の外輪郭に適合するように合わせられている。分配部品には剥離されていないより線導体を受ける4本の軸方向に平行なチャネルが貫通しており、2チャネルごとの仕切り、及び、各チャネルと個々のスリーブ面との間の対向する外壁は、形成された2つの弾性外側部分からなるスロットを備えている。各チャネルの直径は個々の素線の外径よりわずかに小さく、そのため、挿入漏斗部と弾性の外側部分とにより、分配部品の締付け領域内で素線のわずかな締付けが実現され、これにより、素線の目標位置を確実にすることができる。さらに別のステップにおいて、分配部品はハンドル内に押し込まれ、それによって、協働する円錐状面によって半径方向の分力が生じ、この分力が締付け領域内での素線への必要な締付けを確実にする。しかし、そのようなケーブルコネクタの設計では、分配部品内の個々の素線に比較的わずかな締付け効果しか発揮することができず、そのため、接触工程において、接触棒として設計された接触要素により素線を押し戻す危険性が比較的高く、より線の個々の素線の確実な接触を保証することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許第4418259(C1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、ケーブルコネクタに導入された素線に確実な接触を保証することができる改良された締付け効果を実現するためのケーブルコネクタ、特に多極ケーブルコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴によって解決される。本発明の好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明の、多心より線を接続するケーブルコネクタ、特に多極ケーブルコネクタは、接触棒として設計されたいくつかの接触要素を備えるプラグ部品と、組み立て時に、素線の方向に枢動されるフック要素と、素線支持要素の内壁との間に、枢動運動によって、素線支持要素に導かれた素線を締め付け、かつ固定する枢動可能なフック要素が据え付けられた、多心より線の素線を受け止めるための素線支持要素を有するケーブル取り込み部を備える。
【0007】
本発明のケーブルコネクタは、追加されたフック要素が素線支持要素内、特に接続棒として設計された接触要素との接続中に、縦軸に沿う素線の望ましくない軸方向のずれに対する安全装置として素線支持要素に設けられ、そのフックが接触要素を用いた素線の確実な接続を保証するためのフック要素の枢動によって望まれた位置に素線を固定できることを特徴とする。素線を素線支持要素内に挿入するとき、フック要素は、好ましくは、フック要素が素線の挿入を妨げないように枢動し、したがって、フック要素が素線を素線支持要素内に挿入するための素線支持要素入口開口の領域内に位置せず、または突出しない。素線が素線支持要素内の所望の位置に位置決めされたときに初めて、フック要素は、素線の外周面に触れ、素線を素線支持要素の内壁に押し付け、それによって素線がフック要素と素線支持要素の内壁との間に締め付けられ、かつ固定されるように組み立てられた状に、素線を動かすための素線支持要素内に位置づけられた素線方向に枢動する。フック要素の枢動運動は、好ましくは、スリーブが素線支持要素の外周面に押し被され、フック要素が、スリーブ、特にスリーブの内面によって、導入された素線が位置する素線支持要素の内側領域の方向に移動され、好ましくは押されるようになる。この締付け固定された状態では、素線の長手方向軸に沿った軸方向の素線の移動は不可能になる。素線と接触要素との接触工程における素線支持要素内への素線の取込みと逆方向の素線の押し戻しを防止することができる。フック要素は、素線の確実な固定を実現するように、フック要素が素線の外周面と接するように組み立てられた状態において、半径方向の素線に対する永続的接触圧を加えることができる。素線支持要素上におけるフック要素の枢動可能な配置は、素線支持要素への素線の妨げられることのない挿入、及びそれに続くフック要素による素線の確実な締め付けを簡単に実現することができる。素線は、フック要素によって締め付けられ、固定されるとすぐに、プラグ部品がケーブル取込み部と接続されるように、接触棒として設計された接触要素と、素線の長手方向軸に沿って軸方向に接触することができる。挿入された素線には、枢動可能に取り付けられたフック要素によって、定義された軸方向の圧力を加えることができる。このようにして、接触時の素線の確実な固定を保証することができる。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、フック要素は、2本の素線が1つのフック要素によって同時に締め付けられ、固定されるように設計される。このために、フック要素は、好ましくは、その幅が2本の素線の外径を横切って延在するのに十分な幅になるように設計される。よって、素線支持要素内で素線を固定するのに必要な構成要素、特にフック要素の数を減らすことができる。また、1つのフック要素ごとに、一定の圧力を数本の素線に同時に加えることができるように、数本の素線へ同時に加えられる最も大きな一定の同時締付けを保証することもできる。
【0009】
さらに好ましくは、フック要素は、くさび形に設計される。このくさび形設計を用いることによって、フック要素を、素線の外周面に沿って特に効果的に引っかけ、この方法によって、素線を締め付け、固定することができる。くさび形設計は、好ましくは、フック要素領域に設けられ、そこで素線支持要素自体に直接的に位置しないフック要素の自由端を形成する。くさび形フック要素は、素線の絶縁体に圧入される先端部を備えることができ、よって、素線の長手方向軸に沿った軸方向のずれを生じさせないように、素線を所望の位置に確実に固定させることができる。
【0010】
素線支持要素は、さらに好ましくは、ガイド要素の内周面に沿って素線を導くためのガイド要素を備え、それによって、ガイド要素の内周面を、素線支持要素に挿入された素線の外径に押し付けることができる。ガイド要素はそれぞれ、好ましくは、ケーブル取込み部上での位置決め時に素線を貫通させるための、内周面として設計された1つの貫通孔を備える。ガイド要素は、好ましくは、素線支持要素上のフック要素とは別個に位置する。素線をガイド要素内またはガイド要素の貫通孔内に挿入するに先立ち、ガイド要素は、貫通孔の領域において、挿入されるべき素線の外径に適合するように調整することのできる内周面を備える。このために、内周面または貫通孔は、好ましくは、少なくともいくつかの領域では素線の外径より小さい直径を備え、その場合ガイド要素は、素線がその内周面に沿って挿入されるときに拡張することができるように設計され、内周面の直径が挿入される素線の外径と等しい大きさになる。このようにして、ガイド要素は素線が挿入されるとすぐに素線へのわずかな締付けを実現することができる。このために、ガイド要素は、好ましくは、その内周面の直径が、素線をちょうど受けられるように、その内周面を拡張することができる。それによって、素線の挿入状態において挿入された素線の外径とほぼ等しくなる。
【0011】
ガイド要素は、好ましくは、接触要素が接触状態で素線に挿入される接点の領域において、ガイド要素が素線に半径方向のスプリング力を加えることができるように設計される。接点に対して半径方向に加えられるスプリング力は、特に、素線と接触要素との間の確実な接触を可能にし、それによって、特に、例えば、端子板が素線から滑り落ちることなどによる、接触のゆるみが効果的に防止される。
【0012】
ガイド要素の内周面は、好ましくは、ガイド要素がその長手方向面に沿ってスリット状の開口を備えるようにして、挿入された素線の直径に適合させることができる。スリット状の開口は、好ましくは、ガイド要素の長手方向面全体にわたって延在するのでなく、ガイド要素の長手方向面の1つまたは複数の区間にのみ形成される。スリット状の開口があることによって、ガイド要素は、素線がガイド要素の貫通孔に挿入されるときに、素線をガイド要素に、またはガイド要素の貫通孔に押し通すことが可能になるように、このスリット状の開口の領域において拡張することができる。これは、挿入されるべき素線の外径に適合するように内周面の直径を最適に、個別に調整することを可能にする。
【0013】
さらに好ましくは、ガイド要素が、くさび形の端部を備える。このくさび形の端部は、好ましくは、素線をガイド要素に挿入するための端部の反対側に位置する端部である。くさび形でないガイド要素の領域は、好ましくは、円筒形である。一方の端部が円錐形状の設計であることにより、ガイド要素に挿入された素線へのわずかな締付けを実現することができる。スリット状の開口は、好ましくは、円錐形状の端部の領域に設けられ、そのため、端部の円錐形状の設計によって実現される締付け、特に、挿入された素線の外周面に作用する半径方向の締付け力は、挿入される素線に適合するように最適に調整することができる。
【0014】
好ましくは、素線支持要素が環状面と、環状面上に形成された1つまたは複数のベースプレート要素とを備え、その場合、フック要素が環状面上に、ガイド要素がベースプレート要素上に設けられる。フック要素が環状面上に位置し、ガイド要素がベースプレート要素上に位置することは、ガイド要素の機能をフック要素から分離することが可能であり、そのため、フック要素の機能が、好ましくは、ガイド要素の機能による影響を受けず、逆もまた同様であることを意味する。このために、フック要素は、好ましくは、素線支持要素の環状面上に枢動可能に取り付けられる。
【0015】
好ましくは、2つのガイド要素はそれぞれ1つのベースプレート上に設けられる。1つのベースプレートは、好ましくは、2つのガイド要素を受けることができるように設計され、そのため、1つのベースプレートにより1本のより線の2本の素線を受けることができる。2つのガイド要素がそれぞれ好ましくは、1つのベースプレート上に位置することは、素線を相互に分離することを可能にし、そのため、素線の間での漏話の影響を防止することができる。
【0016】
さらに好ましくは、遮蔽要素を受ける溝形開口が2つのベースプレートの間に設けられる。遮蔽要素は、好ましくは、プラグ部品上に形成され、プラグ部品がケーブル取込み部と組み立てられるときに、2つのベースプレートの間の溝形開口に挿入することができる。遮蔽要素は、ベースプレート要素上に位置する2本の個々の素線の影響を防止することができる。遮蔽要素は、例えば、遮蔽プレートとして設計することができる。
【0017】
次に本発明を、添付の図面および好ましい実施形態を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるケーブルコネクタのためのプラグ部品を示す分解図である。
【図2】本発明によるケーブルコネクタのためのケーブル取込み部を示す分解図である。
【図3】本発明による素線支持要素を示す概略図である。
【図4】素線が挿入された図3に示す素線支持要素を示す概略図である。
【図5】プッシュオン式スリーブを装着した図4に示す素線支持要素を示す概略図である。
【図6】図5に示すケーブルコネクタの構成を示す概略的断面図である。
【図7】挿入された素線が適切な長さまで短縮されている、プッシュオン式スリーブを装着した図5に示す素線支持要素を示す概略図である。
【図8】本発明のケーブルコネクタのプラグ部品の接合側を示す概略図である。
【図9】プラグ部品がケーブル取込み部と接続されている、本発明によるケーブルコネクタを示す概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に、本発明によるケーブルコネクタを形成するために図2に示すケーブル取込み部12と接続することのできる、本発明のプラグ部品10の分解図を示す。
【0020】
図1に示すように、プラグ部品10は、ケーブル取込み部12に位置する、図1には示されていない多心より線の素線を接触させるための、接触棒として設計されたいくつかの接触要素14を備える。接触要素14は、接触要素14をプラグ部品10内に位置決めするために非導電材料でできている接触支持要素16に押し込むことができ、その接触支持要素16をさらに接触要素14と一緒にスリーブ18内順繰りに配置することができる。次いで、プラグ部品10とケーブル取込み部12とを接続するために、ねじ要素20を、ねじ要素20に固定することのできるローレットねじ22と共に、スリーブ18上に押し被せることができる。ローレットねじ22上には、プラグ部品10とケーブル取込み部12とを確実に接続するために、ばね24、締付けリング26、および、例えばOリング形などの封止要素28を形成することができる。
【0021】
図2に示すケーブル取込み部12は、図2には示されていないより線の素線を受ける素線支持要素30を備える。素線を受けた後で、素線支持要素30をスリーブ32に押し込むことができ、スリーブ32の外周面上に、Oリングとして形成された封止要素36、クラウン38および封止スリーブ40を備えることのできるナット34を、ケーブル取込み部12の固定のためにねじ止めする。
【0022】
図3には、拡大した素線支持要素30が示されている。素線支持要素30は、非導電材料、好ましくはプラスチック材料でできていることが好ましく、環状面42と、環状面42上に位置する数個のベースプレート要素44とを備えている。
【0023】
環状面42上には、いくつかのフック要素46が枢動可能に取り付けられており、フック要素46は、組み立てられた状態での枢動運動によって、素線の方向に枢動するフック要素46と、素線支持要素30の内壁48、好ましくはベースプレート要素44の内壁48との間で、素線支持要素30に挿入された、図3には示されていない素線を締め付け、固定することができる。
【0024】
環状面42に設けられているフック要素46は、内側、つまり素線支持要素30を覆うスリーブ32によって、素線支持要素30の内側方向に枢動できる。スリーブ32は、フック要素46の角度付けられた面50の上をスライドする。それによって、フック要素46上に半径方向内向きの力が及ぼされ、この方法によって素線支持要素30の内壁48の方向にフック要素46が押さえつけられる。フック要素46は、この場合、1つのフック要素46がそれぞれ2本の素線を同時に締め付け、固定することができるように設計されている。このために、フック要素46は、素線支持要素30内の素線配置に合わせて、挿入された各素線においてフック要素46の受面52に沿って弧を描いている。
【0025】
素線支持要素30への素線の挿入方向54に見て、フック要素46の上方にあるベースプレート要素44上には、接触させるべき素線を導くガイド要素56が設けられている。ガイド要素56はそれぞれ、素線が導かれる貫通孔58を備える。ガイド要素56は、好ましくは、ほぼ円筒形であり、ガイド要素56は、円錐形状の端部60を備える。円錐形状の端部60は、ガイド要素56がベースプレート要素44上に位置する端部62の反対側にある。ガイド要素56は、円錐形状の端部60の領域に、端部60接合面およびガイド要素56の長手方向面に沿って延在するスリット状の開口64を備える。スリット状の開口64は、各ガイド要素56ごとに、ガイド要素56が2つの独立可動側方部分に分かれ、スリット状の開口64は広がるように形成され、それによって貫通孔58は拡張することができる。
【0026】
図3から明らかなように、2つのガイド要素56は、それぞれ、1つのフック要素46によって固定される素線が、1つのベースプレート要素44上に位置する2つのガイド要素56を通して相互に平行に導かれるように、1つのベースプレート要素44上に位置する。1つのベースプレート要素44上に位置する2つのガイド要素56のスリット状の開口64は、同じ高さで並べて配置されており、1つのベースプレート要素44上に相互に平行に位置する2つのガイド要素56の均一な拡張を実現することができる。
【0027】
2つのベースプレート要素44の間には、図8に示すプラグ部品10における遮蔽要素76と係合させることのできる溝形開口66が、それぞれ1つ形成されている。
【0028】
さらに、素線支持要素30の中心軸に沿ってエンコーディングドーム(encoding dome)68が形成されており、それによって、ガイド要素56は、エンコーディングドーム68の周りにほぼ円形に位置決めされている。
【0029】
図4に、より線82の素線70が挿入された図3の素線支持要素30を示す。より線82は、相互に平行に導かれ、それぞれ共通のケーシング72を備える2本の素線70を備える。ケーシング72の一部は、素線支持要素30内にまで到達している。素線70をフック要素46によって締め付け、固定することのできる素線70の領域からは、ケーシング72が素線70から除去されている。しかしながら、個々の素線70も、個々の素線70の心80を包み込むそれぞれの絶縁体74を備える。
【0030】
図4に示す図では、個々の素線70は、素線支持要素30のガイド要素56の貫通孔58を通って導かれており、ガイド要素56は、円錐形状の端部60の領域にあるスリット状の開口64によって拡張されていることが明白であり、それによって、貫通孔58又はガイド要素56の内周面の直径がガイド要素56内ですでに素線へのわずかな締め付けが実現された、挿入された素線70の外径に適合するように最適な調整を行うことができるため、この状態で貫通孔58の直径と素線70の外径が好ましくは等しくなる。図4に示す状態では、まだ、フック要素46による素線70の締付けおよび固定は行われていない。また、素線70は、所望の所まで、素線支持要素30内に押し込まれており、そのため、素線70はガイド要素56のさらに先まで突出している。
【0031】
図4から明らかなように、ケーブル82には遮蔽編組86が装着されており、遮蔽編組86は、遮蔽編組86が、図6に示すように、図4に示す位置から素線支持要素30に被せられるように裏返しにされ、続いて、素線支持要素30を被覆し、素線支持要素30の環状面42のところで、環状面42に重なるように切断される。図6に示すような組み立てられた状態では、遮蔽編組86は、環状空間42でスリーブ32に押し付けられ、そのため、遮蔽編組86によって360°の遮蔽接続が作り出される。
【0032】
図5から明らかなように、素線70と接触させるために、スリーブ32は、好ましくは後続のステップにおいて、素線支持要素30に押し被せられ、それによってフック要素46は、挿入された素線70の方向に枢動され、そのため素線70は、フック要素46により、フック要素46と素線支持要素30の内壁48との間で締め付けられる。これは、図6に示す図5の断面図を見れば明らかである。フック要素46は、そのくさび形面が素線70の絶縁体74に引っ掛かり、このようにして素線70が素線の長手方向軸に沿って軸方向にずれるのを防止する。
【0033】
素線70がフック要素46によって軸方向のずれを防ぐように固定された後で、素線70は、好ましくは、円錐形状の端部60の接合側に沿って切断されて、図7から明らかなように、すべての素線70が同じ長さとされる。素線70を切断する前に、ナット34をねじ止めして、ケーブル82の張力を緩和することができれば有益である。素線70が切断された後、個々の素線70は接触要素14と接触できる。
【0034】
図8に、図7に示す事前に組み立てられたケーブル取込み部12と接触するように位置決めされている、組立てプラグ部品10の嵌め合いパターンを示す。2つの接触要素14がそれぞれ、好ましくは、相互に平行に配置されており、それによって、接触要素14の各対が、遮蔽プレートの形状の遮蔽要素76によってその他の接触要素14の対に対して遮蔽されることが明らかである。この場合の接触要素14の配置は、プラグ部品10をケーブル取込み部12に差し込むことにより簡単で迅速な接続を実現することができるように、ケーブル取込み部12における素線70の配置と等しい。
【0035】
図9では組み立てられたプラグ部品を示し、プラグ部品10はケーブル取込部と連結され、結果として、素線を刺すように、接触要素14が棒状の端部78を用いて、軸方向に素線70の心80に押し込められるので、接触要素14は軸方向に素線70と接触する。個々の素線70と個々の接触要素14との接触は、好ましくは、プラグ部品10をケーブル取込み部12と連結することにより同時に実現される。ガイド要素56は、ガイド要素56の円錐形状の端部60の領域において、半径方向に個々の素線70に押し付けられて、そのため、特に確実な接触を実現することができる。円錐形状の端部60は、図8に示すようなスリーブの内部空間において、好ましくは楕円形状に形成された開口84において支持されており、よって、素線70と接触要素14との接触が行われる接点に対してより大きな半径方向のスプリング力を加えることができ、接触時の接触要素14の棒状の端部78に向けた素線70または素線70の心80の心出しを改善することができる。
【0036】
本発明のケーブルコネクタは、例えば、金属箔として設計されたケーシング72によって素線70を2本1組として遮蔽することのできる、PIMFシールドを備えるイーサネット(登録商標)ケーブルとして設計することができる。組み立てられたケーブルコネクタでは、2本1組として配置された個々の素線70のケーシング72を、図4に示すように、フック要素46が形成されている素線支持要素30の領域に挿入して、組み立てられた状態においてプラグ部品10の遮蔽要素76とのオーバーラップが実現されるようにすることができる。このようにして、2本1組として隣接して位置する素線70間の漏話を最小限に抑えることができる。
【符号の説明】
【0037】
10 プラグ部品
12 ケーブル取込み部
14 接触要素
16 接触支持要素
18 スリーブ
20 ねじ要素
22 ローレットねじ
24 ばね
26 締付けリング
28 封止要素
30 素線支持要素
32 スリーブ
34 ナット
36 封止要素
38 クラウン
40 封止スリーブ
42 環状面
44 ベースプレート要素
46 フック要素
48 内壁
50 面
52 受面
54 挿入方向
56 ガイド要素
58 貫通孔
60 端部
62 端部
64 スリット状の開口
66 溝形開口
68 エンコーディングドーム
70 素線
72 ケーシング
74 絶縁体
76 遮蔽要素
78 棒状の端部
80 心
82 より線
84 開口
86 遮蔽編組

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触棒として形成されたいくつかの接触要素(14)を備えるプラグ部品(10)と、
多心より線(82)の素線(70)を受ける素線支持要素(30)を備えるケーブル取込み部(12)と
を備える、前記多心より線(82)を接続するケーブルコネクタ、特に多極ケーブルコネクタであって、
前記素線支持要素(30)は、組み立てられた状態での枢動運動によって、前記素線(70)の方向に枢動されるフック要素(46)と前記素線支持要素(30)の内壁(48)との間で、前記素線支持要素(30)に導入された前記素線(70)を締め付け、固定する、枢動可能に取り付けられたフック要素(46)を備える、ケーブルコネクタ。
【請求項2】
前記フック要素(46)は、2本の素線(70)が1つのフック要素(46)によって同時に締め付けられ、固定されるように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のケーブルコネクタ。
【請求項3】
前記フック要素(46)はくさび形であることを特徴とする、請求項1または2に記載のケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記素線支持要素(30)は、ガイド要素(56)の内周面を前記素線支持要素(30)に挿入された前記素線(70)の外径に押し付けるための、前記ガイド要素(56)の前記内周面に沿って前記素線(70)を案内する前記ガイド要素(56)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のケーブルコネクタ。
【請求項5】
前記ガイド要素(56)は、前記接触要素(14)が接触状態において前記素線(70)に挿入される接点の領域において、前記素線(70)に半径方向のスプリング力を加えることができるように設計されていることを特徴とする、請求項4に記載のケーブルコネクタ。
【請求項6】
前記ガイド要素(56)は、前記ガイド要素(56)の長手方向面に沿ってスリット状の開口(64)を備えることを特徴とする、請求項4または5に記載のケーブルコネクタ。
【請求項7】
前記ガイド要素(56)は、円錐状の設計とされる端部(60)を備えることを特徴とする、請求項6に記載のケーブルコネクタ。
【請求項8】
前記素線支持要素(30)は、環状面(42)と、前記環状面(42)上に形成された1つまたは複数のベースプレート要素(44)とを備え、
前記環状面(42)上に前記フック要素(46)が設けられ、
前記ベースプレート要素(44)上にガイド要素(56)が設けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のケーブルコネクタ。
【請求項9】
1つのベースプレート要素(44)上にそれぞれ2つのガイド要素(56)が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載のケーブルコネクタ。
【請求項10】
遮蔽要素(76)を受けるために、2つのベースプレート要素(44)の間に、それぞれ、溝形開口(66)が設けられていることを特徴とする、請求項8または9に記載のケーブルコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−204679(P2011−204679A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−47698(P2011−47698)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(504019733)フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー (72)
【Fターム(参考)】