説明

ケーブルモデム及びケーブルモデムを備えたCATV端末装置

【課題】減衰手段の加減の際の切替ノイズをなくす。

【解決手段】入力端とチューナとの間の信号経路には減衰量が加減できる減衰手段を介在させ,常時は減衰させて次段へ送り出すように構成する。チューナには,入力信号レベルを測定し出力する電界強度測定手段を備え,さらに,チューナが測定した信号レベル情報を受入れて所定の処理手順でデータ処理を行うと共に,該データ処理で得られた結果に基づいて,減衰手段のアッテネータ要素の減衰量を加減させるように切替える切替制御信号を出力する制御手段を備える。上記減衰手段は,複数のアッテネータ要素と切替手段とを備え,上記アッテネータ要素を選択的に利用可能に構成してあり,上記制御手段は,上記減衰手段が入力端から入力された信号を途切れることなく次段へ送り出すことができるように,少なくとも,複数のアッテネータ要素の内の何れか1つのアッテネータ要素が必ず介在して切替るように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,CATV網に接続して,データ通信の信号を供給する為のケーブルモデム及び,そのケーブルモデムを備えたCATV端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のケーブルモデムは,内部にチューナ,QAM(Quadrature Amplitude Modulation)復調器を備えさせ,入力端から入力されるCATV信号(下り信号:ダウンストリーム)を上記チューナにより,周波数変換した後,QAM復調器で復調を行っている。
また,入力端から入力される信号のレベルが内部のチューナ,QAM復調器の正常な動作を妨げるような異常値になった場合を想定し,それを正常なレベルに調整する為にチューナ内にAGC機能を持たせるようにしてある。
ところが,従来のケーブルモデムでは,チューナが正常に動作できる範囲の入力信号レベル(以下「実用入力レベル」ともいう。)に対して,入力される信号に妨害波が混信するなど種々の原因で入力される信号のレベルが異常に高くなる場合があり,AGC範囲が狭いAGC機能を有するチューナでは,歪みが発生して,正常に対応ができない場合があった。また,このように過大なレベルの信号が入力されると,チューナにおいて反射があり,その反射によってチューナが検出しようとする信号が妨害され,チューナが正常に動作できない問題点があった。さらに,ケーブルモデムのチューナ以外に複数のチューナ(例えば,ケーブルモデム内蔵のCATV端末装置としてのセットトップボックス内のQAMチューナ)が隣接している場合には,上記チューナからの反射により,他のチューナにも影響を与え,他のチューナの動作までも妨害してしまうという問題点もあった。
【0003】
そこで出願人においては,ケーブルモデムの入力端とチューナとの間の信号経路に,減衰量が加減できるアッテネータ要素を備える減衰手段を介在させ,上記減衰手段は,入力された信号を,上記アッテネータ要素を介して常時は減衰させて次段へ送り出すように構成し,上記チューナには,入力された信号のレベルを測定し,その信号レベル情報を出力するようにした電界強度測定手段を備えさせ,さらに,上記電界強度測定手段によって得られた受信レベル情報を基に,所定の処理手順を行うことによって,入力端に入力されている信号のレベルが小さい(過大なレベルが入力されていない)ことを判断し,その判断に基づき減衰手段におけるアッテネータ要素の減衰量が減少するように切替える処理をする制御手段を備え,これによってチューナには適正なレベルの信号が入力され,正常に動作できるように構成されたケーブルモデムが提案されている。
(例えば,特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特開2007−243252公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが,従来技術で構成したケーブルモデムは,上述したような,CATV端末装置としての,例えばセットトップボックス(以下,STBと記載する。)と組み合わせて使用(STBに内蔵させた場合を含む。)したときに,上記減衰手段のアッテネータ要素の切り替えのタイミングによっては,減衰手段のインピーダンス変動によって,アッテネータ要素の切り替えにかかるノイズが発生して,STBの受像回路等の,他のRF接続機器に影響を及ぼす場合があることが確認された。
即ち,テレビ端子等から宅内に引き込まれた同軸ケーブルに,分配器もしくは分岐器からなる信号分配手段を介してSTBとケーブルモデムを接続したシステムであって,CATVセンター局からの下り信号を使った放送サービスに加え,上り信号を使ったインターネット接続サービス等ができる双方向システムを考えたときに,上記ケーブルモデムを接続するための分配器もしくは分岐器の性能によっては,上述した減衰手段のアッテネータ要素の切り替えにかかるノイズが,分配器もしくは分岐器を介してSTBの映像用チューナに回り込むことによって,妨害が引き起こされるのである。特に,STBにケーブルモデムを内蔵したような端末装置の場合,引き回しの距離が近いことも相まって,その影響は顕著であるといった問題が生じる場合があった。
【0006】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みなされたものであり,入来する信号レベルに対して,広いダイナミックレンジを必要とする高周波装置に好適な減衰手段とその切替制御方式を提供するものであり,その目的は,上記高周波装置の一例としてのケーブルモデムにおいて,不要ノイズの発生の少ないケーブルモデムを提供しようとするものである。
他の目的は,STB等のCATV端末装置と組み合わせて使用しても,そのCATV端末装置に妨害を与えないケーブルモデムを提供しようとするものである。
他の目的は,入力端に向けて入った信号を,チューナに受入れて周波数変換し,QAM復調器で復調して正常に出力できるケーブルモデムを提供しようとするものである。
他の目的は,入力端に過大なレベルの信号が入力される場合においても,チューナは適正なレベルの信号を受入れ,正常に動作できるようにしたケーブルモデムを提供しようとするものである。
他の目的は,ケーブルモデム起動後の入力レベルを継続的に監視し受信異常があっても,あらためてケーブルモデムの起動処理を自動的に行い,安定した受信を継続的に行えるケーブルモデムを提供しようとするものである。
他の目的は,上記特徴を有しつつ,しかもケーブルモデムの起動処理をできる限り短時間で行うことができるケーブルモデムを提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために,請求項1の発明は,入力端から入力される信号を周波数変換して出力するチューナと,その出力された信号を受入れて,QAM復調して出力するQAM復調器とを備えるケーブルモデムにおいて,
上記入力端と上記チューナとの間の信号経路には減衰量が加減できるアッテネータ要素を備える減衰手段を介在させ,上記チューナには,入力された信号のレベルを測定し,その信号レベル情報を出力するようにした電界強度測定手段を備えさせ,さらに,上記電界強度測定手段において測定した信号レベル情報を受入れて,その信号レベル情報を基に所定の処理手順でデータ処理を行うと共に,該データ処理で得られた結果に基づいて,前記減衰手段にむけてアッテネータ要素の減衰量を加減できるように切替制御信号を送出する制御手段を備え,
上記減衰手段は,複数のアッテネータ要素と切替手段とを備えさせ,該切替手段を前記制御手段からの切替制御信号によって選択的利用可能に切替制御することによって,上記アッテネータ要素を選択的に利用可能に構成してあり,上記制御手段は,上記減衰手段に向けての切替制御において,上記減衰手段が入力端から入力された信号を途切れることなく次段へ送り出すことができるように,少なくとも,複数のアッテネータ要素の内の何れか1つのアッテネータ要素が,上記信号経路に必ず介在して切替るように制御するように構成した。
【0008】
請求項2の発明は,請求項1に記載のケーブルモデムにおいて,上記減衰手段は,入力された信号を,上記アッテネータ要素を介して常時は減衰させて次段へ送り出すように構成し,上記制御手段は,さらに,上記減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号を出力し,上記QAM復調器がQAM信号を復調しているかいないかを判定する判定ステップを行う第1の処理を行うと共に,上記判定ステップにおいて,QAM復調器がQAM信号を復調していないと判定されたなら,さらに,上記測定した信号レベル情報を受入れて,その信号レベル情報の総和を計算して,信号レベル情報の総和と第1閾値とを比較する比較ステップと,信号レベル情報の内の任意の一波の上記現在入来したレベル値と第2閾値とを比較する比較ステップとを行い,上記両方の比較ステップの比較において,信号レベル情報の総和が第1閾値以下で,信号レベル情報の内の任意の一波の現在入来したレベル値が第2閾値以下の場合は,減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号を出力する制御を行う第3の処理をするように構成した。
【0009】
請求項3の発明は,請求項2に記載のケーブルモデム上記制御手段において,さらに,上記信号レベル情報の内の任意の一波について,先に対象にされて記憶されているレベル値と現在入来したレベル値とを比較する比較ステップを行い,両者の差が所定値を超えた場合は,減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号を出力することなく,再び上記信号レベル情報を受入れて,上記三つの比較する比較ステップを行い,
信号レベル情報の総和が第1閾値以下で,
信号レベル情報の内の一波の現在入来したレベル値が第2閾値以下で,
現在入来したレベル値と先に対象にされて記憶されているレベル値との差が所定値以下の場合は,減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替えるための切替え制御信号を出力する制御を行う第4の処理をするように構成した。
【0010】
請求項4の発明は,請求項2または請求項3の何れか一項に記載のケーブルモデムにおいて,さらに,入力された信号受信レベル情報に対する処理手順を設定する処理手順設定手段を備えさせ,
上記第1の処理を行い,しかも,上記QAM復調器がQAM信号を復調していないと判定された場合に上記第3の処理を行う上記処理手順に加え,
上記第1の処理を行い,しかも,上記QAM復調器がQAM信号を復調していないと判定された場合であってもさらに上記第1の処理を行う処理手順,
減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号を出力することなく,上記QAM復調器がQAM信号を復調しているかいないかを判定する判定ステップを行う第2の処理を行い,しかも,上記QAM復調器がQAM信号を復調していないと判定された場合にさらに上記第2の処理を行う処理手順,
上記3つの処理手順の代わりに,直接上記第3の処理もしくは第4の処理から行う処理手順,の何れかを選択的に設定可能に構成し,上記制御手段は,上記処理手順設定手段に対する設定に基づいて,上記処理手順のうちの何れか1つの処理手順を行う制御をするように構成した。
【0011】
請求項5の発明は,ケーブルモデムを備えてなるCATV端末装置において,該ケーブルモデムは,請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のケーブルモデムを備えるように構成した。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に発明によれば,上記制御手段は,上記減衰手段に備えた上記切替回路に対する切替制御において,減衰手段が入力端から入力された信号を途切れることなくチューナへ送り出すことができるように,少なくとも,複数の上記アッテネータ要素の内の何れか1つのアッテネータ要素が,上記信号経路に必ず介在して切替える制御をするようにしてあることによって,上記減衰手段の減衰量の加減を行う際に,上記信号経路はオープン状態には絶対にならないと共に,上記減衰手段は,そのインピーダンスが大きく変化することがないことから,上記アッテネータ要素の切替えにかかる制御による切替ノイズの発生がない。また,それぞれ異なるアッテネータ要素が同時に入力端とチューナとの間に介在する時間は,ケーブルモデムの起動処理に影響のない所定時間内に設定することによって,ケーブルモデムの動作を妨げることはない。
【0013】
請求項2および請求項3の発明によれば,上記効果に加え,上記減衰手段は,チューナに過大なレベルの信号を入力しないように,入来した信号を,上記アッテネータ要素を介して常時は減衰させて次段へ送り出すように構成されていても,制御手段は,初期化が終わったら,まず,減衰手段の減衰量0dB(スルー)に減少するように制御し,入力端に入来する信号レベルが実用入力レベルであれば,チューナには減衰のない適正レベルの信号が入力されるように制御すると共に,直ちに下り信号の周波数帯域内全ての周波数に対してチューナが正しく復調できるかどうかの判定を行う処理(第1の処理)を行うことができることから,ケーブルモデムの起動処理のスピードアップが図られ,従来技術に比べ,極めて短時間で行うことが可能になる。
また,入力端に過大なレベルの信号が入力され,上記処理(第1の処理)の過程においてチューナが正常に動作しなかった場合であっても,更に用意された所定の処理手順(第3の処理または第4の処理)に基づいて,上記制御手段は,上記減衰手段によって入力信号を常時は減衰させ,適性レベルの信号がチューナに入力するように制御するので,チューナは適正なレベルの信号を受入れることができ,従来の問題点が生じることなく,チューナを正常に動作できる効果がある。
【0014】
更に加え,本願の請求項4の発明によれば,入力された信号や信号受信レベル情報に対する処理手順を設定する処理手順設定手段を備えさせ,上記制御手段は,上記処理手順設定手段に対する設定に基づいて,標準処理手順である「デフォルト」を含む,複数の処理手順の内の何れか1つの処理手順を行うよう制御するように構成したことによって,「デフォルト」である,入来する信号のレベルが適切か,もしくは,高いかの何れの状態にも対応可能な,上記標準処理手順における上述の効果に加え,予め入力信号レベルの状態が分かっていて,適正レベルの信号が入来している状況,もしくは,強いレベルの信号が存在している状況がはっきりしておれば,状況に応じて適宜に標準処理手順とは異なるモードの処理手順(第1の処理だけの手順または第2の処理だけの手順)を選択することによって,上記標準処理手順を構成するサーチの一部を実行する手間が省けるので,ケーブルモデムの起動処理のスピードアップが可能になる。
さらに,入来する信号のレベルが適切か,もしくは,高いかの何れの状態であっても,上記第1の処理または第2の処理等の制御を行うことなく,直接に第3の処理もしくは第4の処理を行う制御のモードを選択すれば,上記第1の処理または第2の処理を行うことなく,減衰手段が入来した信号を,上記アッテネータ要素を介して常時は減衰させて次段へ送り出すように構成されていても,入来する信号レベルに係わらず,減衰手段の減衰量を適宜に加減してチューナに入力するので,チューナは適正なレベルの信号を受入れることができ,従来の問題点が生じることなく,しかも,より短い時間でチューナを正常に動作できる効果がある。
【0015】
請求項5の発明によれば,上記効果を有した請求項1から請求項4の何れか一項に記載のケーブルモデムをCATV端末装置に備えたならば,ケーブルモデムに備えられたチューナには,入力レベルに影響されることなく適正なレベルの信号が入力されるため,起動処理を正常に行うことができるようになるばかりでなく,上記減衰手段を構成するアッテネータ要素の切替にかかる制御による切替ノイズの発生がないので,CATV端末装置に備えられた映像用チューナに上記切替ノイズが回り込まないため,妨害が引き起こされることがないといった,極めて性能の安定したケーブルモデムを備えた(もしくは,内蔵した)CATV端末装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本願発明の実施の形態を図1から図7を用いて説明する。図において,1は高周波装置の一例としての,CATV網に接続してデータ通信の信号を供給する本発明に係るケーブルモデムの存在を示す。
尚,図中,減衰手段10,チューナ5,QAM復調器8等は,ケーブルモデム1において下り信号用に用いられるものを示した。一方,この種のケーブルモデム1において周知のように備えさせる上り信号用の関係部材については,実質的には存在させるものであるが,周知事項のため図示及び説明は省略する。
【0017】
上記ケーブルモデム1において,2は周知のCATV信号を入力する為の入力端,3はPC等の端末装置へのデータ信号を出力する為の出力端を示す。
次に,5は周知のチューナを示し,広く知られているように,入力端2から入力されるCATV信号(下り信号)の周波数帯域内の所定の周波数(一波ともいう)にチューニングし,その周波数(一波)の信号を周波数変換して出力するように構成されている。
6はチューナ5に内蔵された電界強度測定手段(RSSI:Received Signal Strength Indicator)の存在を示し,チューナ5に入力される信号の内の任意所定周波数(一波)のレベルを測定するようにしてある。さらに,チューナ5に内蔵された電界強度測定手段6で測定した信号レベル情報は,後述する制御手段16に向けて出力するように構成してある。
【0018】
8はチューナ5から出力された信号5bを受入れて,QAM復調して出力する為の周知のQAM復調器を示す。
【0019】
次に,15はCPU(Central Processing Unit 以下,CPU と記載する。)を示し,通常知られているようにケーブルモデムを動作させる為の各種アプリケーションを実行するようにしてある。
16は制御手段の存在を示し,電界強度測定手段6から出力された信号レベル情報17を読み取り,その信号レベル情報17に基づいて,後に詳述する減衰手段10に対して,減衰量を加減する切替制御信号18を出力するように構成してあると共に,後述するステップや判定等に係る処理の制御を行うように構成されている。
【0020】
次に,10は入力端2とチューナ5との間の信号経路に介在させた上記減衰手段を示し,相互に減衰量が異なる第1アッテネータ要素11,第2アッテネータ要素12,第3アッテネータ要素13と,切替手段としての切替回路14を備えている。上記第1〜第3アッテネータ要素11,12,13は,上記切替回路14に対する上記制御手段16からの切替制御信号18によって選択的に切替利用可能に構成してある。また,上記第1〜第3アッテネータ要素11,12,13の減衰量は,相互に選択的に切替利用して,入力端2に入力される信号のレベルを,チューナ5の実用入力レベルに調整して,チューナ5の入力点5aに対して信号を送出するようにしてあればよく,例えば,夫々0dB,10dB,20dBとしてもよい。
なお,アッテネータ要素の数は,必要に応じて増減させればよく,例えば第1アッテネータ要素11,第2アッテネータ要素12の2段階に構成し,切替利用してもよい。
そして,本発明においては,上記減衰手段10は,入力された信号を,上記アッテネータ要素を介して常時は減衰させて次段へ送り出すように,上記制御手段16からの切替制御信号18によって制御されている。
【0021】
上記第1〜第3アッテネータ要素11,12,13を切替える手段としては,通常知られているPINダイオードを用いて構成された上記切替回路14によって選択的に切替え利用できるようにしておけばよい。そして,上記制御手段16は,上記切替回路14に対する切替制御において,上記減衰手段10が入力端2から入力された信号を途切れることなくチューナ5へ送り出すことができるように,少なくとも,複数の上記アッテネータ要素11,12,13の内の何れか1つのアッテネータ要素が,上記信号経路に必ず介在するように切替える制御を行うようにしてある。
【0022】
19は,入力された信号や受信レベル情報に対する処理手順を設定する処理手順設定手段であり,制御手段16は,この処理手順設定手段19の設定に基づいて,予め設定された複数の処理手順(本発明の実施形態においては「デフォルト」である標準処理手順に加え,他に3つの処理手順を備える。)の内の何れか1つの処理手順の制御を行うように構成されている。尚,本発明においては,処理手順の実施形態として4モードを備えさせており,それぞれのパラメータおよびコマンドは以下の通りである。
「デフォルト」の場合=「SearchMode」(処理手順のパラメータ)は「0」
「モード1」の場合=「SearchMode」(処理手順のパラメータ)は「1」
「モード2」の場合=「SearchMode」(処理手順のパラメータ)は「2」
「モード3」の場合=「SearchMode」(処理手順のパラメータ)は「3」
である。
尚,それぞれの処理手順の詳細は後に詳述する。また,ここに示す4つの内から選択する例は一例であり,例えば,ケーブルモデムを起動した時は「デフォルト」が設定されるなど,処理手順の方法および種類は実施例に限定されるものではない。
以下の説明では,特に明示しない限り,上記4つの処理手順から,主として処理手順設定手段19によって「デフォルト」を選択した場合における標準処理手順について説明する。この標準処理手順は,入力レベルの状況に合わせて自在に対応できる汎用性の高い手順である。
【0023】
20はケーブルモデムを動作させる為のプログラムやデータを格納するフラッシュメモリを示し,21はCPU15及び制御手段16等の動作時にデータの一時的な保存に使われるRAMを示す。
【0024】
上記構成のものにおいて,制御手段16の動作について図2から図4に示すフローチャートを用いて詳しく説明する。なお,説明を簡単にするために,減衰手段10においては,第1アッテネータ要素11及び第2アッテネータ要素12の2つが用いられている場合について説明する。
まず,入力端2に入力される信号が適正レベルである場合について説明する。ケーブルモデム1の起動に当たり,減衰手段10の第2アッテネータ要素12(例えば減衰量:10dB)を介在させるよう切替制御信号18を出力する(S10)と共に,ケーブルモデムの初期化を行う(S11)。入力端2に入力された信号は減衰手段10により減衰され,入力点5aへ向けて送り出されるのであるが,本発明の実施例では,ケーブルモデムの初期化にあわせて,入力端2に入力された信号の処理手順について,上述したコマンドを上記処理手順設定手段19でもって設定する(S12)。以下の説明では,主として「デフォルト」である「SearchMode」(処理手順のパラメータ)を「0」(標準処理手順)にセットしたときの処理手順について詳しく示す。
次に,コマンド設定(「SearchMode」)が「3」であるがどうかを判定(S13)して,「SearchMode」が「0」であるので(S13でNoの場合),次の処理(S14)へ移行する。次処理ではまた「SearchMode」の判定を行い,「SearchMode」が「0」であるので(S14でYesの場合),さらに次の処理(S15)へ移行する。そして,この処理では減衰手段10の第2アッテネータ要素12に代わって第1アッテネータ要素11(例えば減衰量:0dB(スルーともいう))を介在させるように切替制御信号18を出力する(S15)。
【0025】
次に下り信号の周波数帯域内の任意の周波数(任意の一波)を読出し(S16),それぞれの周波数の信号に対して,制御手段16は,ケーブルモデムにおいて通常行われるように,下り信号として検出できる信号か否か(即ち,QAM信号か否か)を判断し(S19),検出できた場合(S19でYesの場合)は上り信号の処理を行い(S20)処理が完了する。一方,下り信号として検出できない場合(S19でNoの場合)は,下り信号の周波数帯域内全ての周波数に対しサーチ(QAM信号か否か)を1回以上行ったか否かを判断する(S21)。行っていない場合(S21でNoの場合)は,所定のチャンネルプランに基づき,次の周波数のサーチを行うようS16に移行し(S22),S16以降の処理を続ける。
一方,全ての周波数に対しサーチを1回以上行った場合(S21でYesの場合)は,「SearchMode」が「1」か「2」かの判断をして(S25),「SearchMode」が「0」であるので(S25がNoの場合),次の処理(S101)に移行する。
尚,上記制御手段16が,減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号18を出力し(S15),上記QAM復調器がQAM信号を復調しているかいないかを判定する判定ステップを行う(S19)処理を含む一連の処理が請求項に記載の第1の処理である。
【0026】
ここで,上述のような標準処理手順である「デフォルト」の設定に変わって,上記処理手順設定手段19でもって「モード1」もしくは「モード2」を設定(S12)した場合について説明する。まず,「モード1」つまり「SearchMode」(処理手順のパラメータ)は「1」が設定されると,コマンド設定が「SearchMode」が「3」であるがどうかを判定(S13)して,「SearchMode」が「1」であるので(S13でNoの場合),次の処理(S14)へ移行する。次処理ではまた「SearchMode」が「0」か「1」かの判定を行い,「SearchMode」が「1」であるので(S14でYesの場合),さらに次の処理(S15)へ移行する。そして,この処理では減衰手段10の第2アッテネータ要素12に代わって第1アッテネータ要素11(例えば減衰量:0dB(スルーとも言う))を介在させるように切替制御信号18を出力する(S15)。そして下り信号として検出できる信号か否か(即ち,QAM信号か否か)を判断する(S19)。ここまでの処理は,上記第1の処理と同じ手順であるが,全ての周波数に対しサーチを1回以上行った場合(S21でYesの場合)以降の処理が「デフォルト」とは異なる。つまり,次の処理において「SearchMode」が「1」か「2」かの判断をして(S25),「SearchMode」が「1」であるので(S25がYesの場合),「モード1」では再び次の処理(S14)に移行して,第1アッテネータ要素11(例えば減衰量:0dB)を介在させた状態で以降の処理を行うことになる。
【0027】
次に,S12において「モード2」つまり「SearchMode」(処理手順のパラメータ)は「2」が設定されると(S12),コマンド設定が「SearchMode」が「3」であるがどうかを判定(S13)して,「SearchMode」が「2」であるので(S13でNoの場合),次の処理(S14)へ移行する。次処理ではまた「SearchMode」が「0」か「1」の判定を行い,「SearchMode」が「2」であるので(S14でNoの場合),減衰手段10の第2アッテネータ要素12(例えば減衰量:10dB)を介在させた状態を維持するように構成されており,「モード2」は「デフォルト」および「モード1」とは,介在するATTの減衰量が異なる手順で行うように構成されている点において異なる。さらに,全ての周波数に対しサーチを1回以上行った場合(S21でYesの場合)以降の処理についても「デフォルト」とは異なる。つまり,次の処理において「SearchMode」が「1」か「2」かの判断をして(S25),「SearchMode」が「2」であるので(S25がYesの場合),「モード2」では再び次の処理(S14)に移行して,減衰手段10の第2アッテネータ要素12(例えば減衰量:10dB)を介在させたまま以降の処理を行うことになる。
尚,減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号18を出力せずに(つまり,第2アッテネータ要素12を介在させた状態のままで),上記QAM復調器がQAM信号を復調しているかいないかを判定する判定ステップを行う(S19)処理を含む一連の処理が請求項に記載の第2の処理である。
【0028】
「デフォルト」,「モード1」および「モード2」の何れもが,下り信号の周波数帯域内全ての周波数に対しサーチ(QAM信号か否か)を1回以上行って,QAM信号が検出されたなら(S19のYesの場合),次に上り信号の処理を行い(S20),ケーブルモデムの起動処理は完了する。また,ケーブルモデムの起動処理が完了後の所定時間経過後に,QAM信号が検出されない状態が続いたとすると,一般的にケーブルモデムは初期化を行うことになるのであるが,再起動後は,再起動前の設定が「モード1」もしくは「モード2」の何れであっても,「デフォルト」に設定されるようしておけば,制御手段16は,所定時間経過後の信号レベルの高い,低いに係わらず,アッテネータ要素を適宜に加減してチューナ5に適切なレベルの信号が入力されるように制御できる。
【0029】
以上のように,ケーブルモデム1を起動後,チューナ5に過大なレベルの信号を入力しないように常時は減衰手段10によって入力信号のレベルを減少させるように制御していても(S10),上記処理手順設定手段19でもって「デフォルト」(本発明の実施形態では標準処理手順)の設定がなされておれば(S12),制御手段16は,S14〜S19等のステップにより,減衰手段10の減衰量を0dBにすることによって入力信号のレベルを増加させるように制御するので,入来する信号のレベルが実用入力レベルであれば,入来したそのままの適正レベルの信号がチューナ5に入力される。それと共に,制御手段16は,直ちに下り信号の周波数帯域内全ての周波数に対しサーチ(QAM信号が検出されるか)の制御を行うことで下り信号処理が迅速に行うことができるので,ケーブルモデムの起動処理のスピードアップが可能になる。また,予め入力信号レベルの状態が分かっていて,適正レベルの信号が入力されている状況であれば「モード1」を,強いレベルの信号が存在している状況であれば「モード2」を選択すれば,ケーブルモデムの起動処理のスピードアップが可能になる。
【0030】
ここで,図6および図2を用いて,第1アッテネータ要素11,第2アッテネータ要素12の切替タイミングについて説明する。この図6は,「デフォルト」である標準処理手順における初期化の状態から第1の処理に移行する部分に着目し,その移行に係る第1アッテネータ要素11,第2アッテネータ要素12の切替タイミングを説明するための図面である。
本発明の減衰手段10は,入力された信号を,上記アッテネータ要素を介して常時は減衰させて次段へ送り出すように構成されているので,上記減衰手段16は,初期状態では,第1アッテネータ要素11がOFF(減衰量:0dB(スルーとも言う)で,第2アッテネータ要素12がON(減衰量10dB)となるように上記制御手段16によって制御されている(図2におけるS10,図6では初期状態。)。次に初期化(S11)と共に,「デフォルト」である「SearchMode」(処理手順のパラメータ)が「0」(標準処理手順)にセットされたなら,所定の処理および判定が行われ(図2におけるS12からS14のYes),次の処理(S15)へ移行する。そして,S15では第1の処理の開始にあたり,減衰手段10の第2アッテネータ要素12に代わって第1アッテネータ要素11をONにして,第1アッテネータ要素11を信号経路に介在するように制御されるのであるが(図2におけるS15,図6では第1の処理の開始。),図6に良く示されるように,本発明におけるアッテネータ要素の切替において,上記制御手段16は,第2のアッテネータ要素12を信号回路から切り離す前に,第1のアッテネータ要素11を信号経路に介在するように接続し,両方のアッテネータ要素が,図におけるtで示される所定時間の間だけ入力端2とチューナ5との間に介在するようにしてから,第2のアッテネータ要素12を信号回路から切り離すように切替制御している。
【0031】
即ち,上記制御手段16は,上記減衰手段10に備えた上記切替回路に対する切替制御において,減衰手段10が入力端2から入力された信号を途切れることなくチューナ5へ送り出すことができるように,少なくとも,複数の上記アッテネータ要素の内の何れか1つのアッテネータ要素が,上記信号経路に必ず介在して切替える制御をするようにしてあることによって,上記減衰手段10の減衰量の加減を行う際に,上記減衰手段10は,そのインピーダンスが大きく変化することがないと共に,上記信号経路はオープン状態には絶対にならないので,上記アッテネータ要素の切替えにかかる切替ノイズの発生がない。また,第1のアッテネータ要素11と第2のアッテネータ要素12の両方が,入力端2とチューナ5との間に介在する時間tは,ケーブルモデムの起動処理に影響のない所定時間内に設定することによって,ケーブルモデムの動作を妨げることはないのである。
【0032】
引き続き標準処理手順である「デフォルト」の処理手順におけるS101以降の説明の続きを行う。まず,S19のステップにおいてQAM信号が検出されず,S21において,下り信号の周波数帯域内全ての周波数に対してのサーチが済んだとき(S21のYesの場合)の状態について説明する。このような場合は,入力端2に入力される信号が過大なレベル(例えば,34dBmV:ディジタル信号1波が+5dBmV,アナログ信号76波が夫々+15dBmV)が入力されていると考えられるときである。そして,次の処理において「SearchMode」が「1」か「2」かの判断をして(S25),「SearchMode」が「0」であるので(S25がNoの場合),次の処理(S101)に移行する。
【0033】
上記第1の処理においては,減衰手段10の第1アッテネータ要素11(例えば減衰量:0dB)であったので(S15),ここでは再びこの第1アッテネータ要素11に代わって,第2アッテネータ要素(例えば減衰量:10dB)を介在させるように切替制御信号18を出力する(S101)。入力端2に入力される信号は減衰手段10により減衰され,入力点5aへ向けて送り出される。そこで「weak signal」(弱い信号か否かのパラメータ)を「1」(弱い信号)にセットする(S102)。
次に,チューナ5に入力される,所定地域におけるチャンネルプランに基づく,下り信号の周波数帯域内の全周波数(例えば,日本においては最大117波)をスキャンする(S103,S104)。電界強度測定手段6は,全周波数夫々についてレベル(L1)を測定し,それらの信号レベル情報17を出力する。制御手段16はそれら信号レベル情報17を読み取り(S105),夫々RAM21に格納する(S106)。
次に,格納した信号レベル情報17の全てが所定値P1(例えば−7.8dBmV)より大きいか否か判断する(S107)。ここでは所定値P1より大きいと判断され(S107でYesの場合),パラメータ「weak signal」は「0」(弱い信号ではない)にセットし(S108),引き続き次の処理(S109)へ移行する。
次に,下り周波数が所定地域におけるチャンネルプラン(例えば,日本等)におけるものか否かの判断(S109),入力レベルの単位変換(S110),入力レベルの積算(S111)の処理を行った後,次の処理(S112)へ移行する。所定地域でなければ(S109がNoの場合),入力レベルの単位変換(S110),入力レベルの積算(S111)の処理を飛ばして,次の処理(S112)へ移行する。尚,S109におけるチャンネルプラン(チャンネル配列)の判定は,下り周波数のチャンネルプランが,国によって異なる(日本では90〜770MHz,北米では88〜860MHz)ため,使用する下り周波数に応じて,全周波数帯をカバーできるようにするための処理である。チャンネルプランの判定は実施例のように備えさせてもよいし,仕様によっては備えなくてもよい。
次に全周波数に関する信号レベル情報17の読み取りが完了したか否か判断し(S112),完了していない場合(S112でNoの場合)はS104へ戻り,S104以降の処理を繰り返す。
【0034】
次に,S112において「完了」と判断された場合(S112でYesの場合)は,全周波数に関する信号レベル情報17の総和を計算し単位変換する(S113)。
次に,信号レベル情報17の総和と第1閾値T1(例えば,31.0dBmV)とを比較する(S114)。ここでは信号レベル情報17の総和が第1閾値T1より大きいと判断され(S114でYesの場合),「Multi−channel」(信号レベルの総和が高いか低いかのパラメータ)は初期値「1」(入力レベルが高い環境)にセットし(S115),S201へ移行して引き続き次の処理へ移行する。
尚,電界強度測定手段6において測定した信号レベル情報を受入れ,その信号レベル情報の総和を計算して,信号レベル情報の総和と第1閾値T1を比較する処理が請求項に記載の3つの比較ステップの内の第1の比較ステップである。
【0035】
次に下り信号の周波数帯域内の任意の周波数(任意の一波)を読出し(S201),減衰手段10に対して第2アッテネータ要素12が継続して介在するように切替制御信号18を出力する(S202)。次に,読出した任意の一波について電界強度測定手段6が測定したレベルL2を読み取る(S203)。そのレベル値L2(現在入来したレベル値ともいう)と,S106において格納した先に対象にされている同一の周波数のレベル値L1とを比較し,その差を算出する(S204)。その差が所定値G(例えば4dB)より大きいか否か判断する(S205)。ここでは差が所定値Gを越えないと判断され(S205でNo),次の処理(S206)へ移行する。
次にS203において読み取ったレベル値L2が所定値P2(例えば−2.8dBmV)より大きく,かつ,「weak signal」が「1」(弱い信号)かどうかを判断する(S206)。「weak signal」が「0」(弱い信号ではない)であるから(S206でNoの場合)と判断され,次の処理(S207)へ移行する。
尚,上記受信レベル信号の内の任意の一波について,先に対象にされて記憶されているレベル値L1と現在入来したレベル値L2とを比較する処理が請求項に記載の3つの比較ステップの内の第2の比較ステップである。
【0036】
次に,現在入来した任意の一波のレベル値L2(S203で読み取ったレベル値)と,第2閾値T2(例えば−1.8dBmV)とを比較する。そして,第2閾値T2以下で,かつ,信号レベル情報17の総和が第1閾値T1以下(「Multi−channel」が「0」,つまりレベルが低い)かどうかを判断する(S207)。「Multi−channel」が「1」であるから,両方の比較において共に第1閾値T1,第2閾値T2以下ではないと判断され(S207でNoの場合),制御手段16は,減衰手段10に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように,第1アッテネータ要素11(例えば減衰量:0dB(スルーともいう))へ切替える為の切替制御信号18を出力することなく,S209へ移行する。入力端2に入力される信号は,減衰手段10により減衰されたままのレベルで入力点5aへ向けて送り出される。
尚,現在入来した任意の一波のレベル値L2と第2閾値T2とを比較する処理が請求項に記載の3つの比較ステップの第3の比較ステップである。
【0037】
次に,制御手段16は,ケーブルモデムにおいて通常行われるように,下り信号として検出できる信号か否か(QAM信号か否か)を判断し(S209),検出できた場合(S 209でYesの場合)は上り信号の処理を行う(S210)。一方,下り信号として検出できない場合(S209でNoの場合)は,下り信号の周波数帯域内全ての周波数に対しサーチ(L2のレベルの測定)を1回以上行ったか否かを判断する(S211)。行っていない場合(S211でNoの場合)は,所定のチャンネルプランに基づき,次の周波数のサーチを行うようS201に移行し(S212),S201以降の処理を続ける。
一方,全ての周波数に対しサーチを1回以上行った場合(S211でYesの場合)はS101に移行し,再びS101以降の処理を行う。
【0038】
以上のように,処理手順が標準である「デフォルト」に設定されていて,入来する信号のレベルが適切であれば,上記第1の処理を行うだけでよいことから,下り信号処理が迅速に行え,上り信号の処理とあわせて,ケーブルモデムの起動処理のスピードアップが可能になる。
また,信号のレベルが異常に高くて,ケーブルモデム1を起動した後の上記第1の処理において,QAM信号が検出されない場合であっても,S101において減衰手段10のアッテネータ要素をセットし,入力端2からの信号のレベルを減衰させてチューナ5へ送出するので,チューナ5には過大なレベルの信号が入力されず,従来の問題点が生じることなく,チューナを正常に動作できる。つまり,入来する信号のレベルに影響されない極めて汎用性が高く,利便性の良いケーブルモデムを提供できる。
【0039】
次に,本発明の実施形態にかかる4つの処理手順の内の残りのモードである「モード3」の説明をしつつ,S101以降の処理手順についてさらに説明する。本発明の実施形態にかかる「モード3」は,「デフォルト」,「モード1」,「モード2」とは違って,上記第1の処理もしくは上記第2の処理を経ずに,直接S101以降の処理(即ち,後述する第3の処理もしくは第4の処理)を行うものである。「デフォルト」に設定されている場合と比較して,この「モード3」が設定されている場合,入来する信号レベルが高い場合であれば,上記第1の処理を行うことがないので,ケーブルモデムの起動処理時間が短くてすむといったメリットがある。さらに「デフォルト」に備えられた,入来する信号のレベルが適切レベルでも高いレベルでも,チューナ5には適切なレベルの信号が入力されて,チューナ5は正常に動作させることができるといった本来機能を有することで,「デフォルト」と同様の汎用性を有している。
【0040】
この「モード3」において,入来する電波が異常に高い場合の動作説明は,すでに詳述した「デフォルト」におけるS101以降の処理手順と同じであるので省略するが,ここでは,入力端2に入力される信号が適正レベル(チューナ5の実用入力レベル,例えば,24dBmV)が入力されている場合について説明する。
まず,減衰手段10の第2アッテネータ要素12(例えば減衰量:10dB)を介在させるよう切替制御信号18を出力する(S10)と共に,ケーブルモデムの初期化を行う(S11)。入力端2に入力される信号は減衰手段10により減衰され,入力点5aへ向けて送り出されるのであるが,ここでは,ケーブルモデムの初期化にあわせて,信号の処理手順について,上記処理手順設定手段19でもって「モード3」である「SearchMode」(処理手順のパラメータ)を「3」に設定する(S12)。「SearchMode」が「3」であるがどうかを判定(S13)して,「SearchMode」が「3」であるので(S13でYesの場合),次の処理(S101)へ移行する。減衰手段10は第2アッテネータ要素12(例えば減衰量:10dB)を介在させるように切替制御信号18が出力されている(S101)ので,入力端2に入力される信号は減衰手段10により減衰され,入力点5aへ向けて送り出される。そして「weak signal」(弱い信号か否かのパラメータ)を「1」(弱い信号)にセットする(S102)。次に103へ移行し,引き続きS103〜S106の処理を行う。
次に,格納した信号レベル情報17の全てが所定値P1(例えば−7.8dBmV)より大きいか否か判断する(S107)。ここでは所定値P1以下と判断され(S107でNo),パラメータ「weak signal」は「1」のまま次の処理(S109)へ移行する。
次に,下り信号が日本等におけるものか否かの判断(S109),入力レベルの単位変換(S110),入力レベルの積算(S111)の処理を行った後,次の処理へ移行する。
次に全周波数に関する信号レベル情報17の読み取りが完了したか否か判断し(S112),完了していない場合(S112でNoの場合)はS104へ戻り,S104以降の処理を繰り返す。
【0041】
次に,S112において「完了」と判断された場合(S112でYesの場合)は,全周波数に関する信号レベル情報17の総和を計算し単位変換する(S113)。
次に,信号レベル情報17の総和と第1閾値T1(例えば,31.0dBmV)とを比較する(S114)。入力端2に入力される信号は減衰手段10により減衰され,入力点 5aへ向けて送り出されているので,信号レベル情報17の総和が第1閾値T1以下と判断され(S114でNoの場合),「Multi−channel」(信号レベルの総和が高いか低いかのパラメータ)は初期値「0」(レベルが低い)のまま次の処理へ移行する(S114のNoの場合)。さらにS201へ移行して引き続きS201からS204の処理を行う
【0042】
次に,S204で求めた,現在入来したレベル値L2と,S106において格納した先に対象にされている同一の周波数のレベル値L1との差が所定値G(例えば4dB)より大きいか否か判断する(S205)。差が所定値Gを越えないと判断され(S205でNo),次の処理(S206)へ移行する。
次にS203において読み取ったレベル値L2が所定値P2(例えば−2.8dBmV)より大きく,かつ,「weak signal」が「1」(弱い信号)かどうかを判断する(S206)。入力端2に入力される信号にはレベルの変動がない(S206でNoの場合)と判断され,次の処理(S207)へ移行する。
【0043】
次に,現在入来した任意の一波のレベル値L2(S203で読み取ったレベル値)と,第2閾値T2(例えば−1.8dBmV)とを比較する。そして,第2閾値T2以下で,かつ,信号レベル情報17の総和が第1閾値T1以下(「Multi−channel」が「0」)かどうかを判断する(S207)。両方の比較において共に第1閾値T1,第2閾値T2以下(S207でYes)と判断され,制御手段16は,減衰手段10に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように,第1アッテネータ要素11(例えば減衰量:0dB(スルーともいう))へ切替える為の切替制御信号18を出力し,切替える(S208)。入力端2に入力される信号は,減衰手段10により減衰されることなく,そのままのレベルで入力点5aへ向けて送り出される。
尚,上記第1および第3の2つの比較ステップで得られた結果(信号レベル情報の総和が第1閾値以下で,信号レベル情報の内の任意の一波の現在入来したレベル値が第2閾値以下の場合)に基づいて,減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号18を出力する処理が請求項に記載の第3の処理である。
また,上記第1から第3の3つの比較ステップで得られた結果(信号レベル情報の総和が第1閾値以下で,現在入来したレベル値と先に対象にされて記憶されているレベル値との差が所定値以下で,信号レベル情報の内の任意の一波の現在入来したレベル値が第2閾値以下の場合)に基づいて,減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号を出力する処理が請求項に記載の第4の処理である。
【0044】
以上のように,処理手順が「モード3」に設定されておれば,入来する信号のレベルが適切にも係わらず,チューナ5に過大なレベルの信号を入力しないように常時は減衰手段10によって入力信号のレベルを減少させるようにしていても(S101),制御手段16は,S114,S207等のステップにより,入力端2に入力されている信号のレベルが小さい(過大なレベルが入力されていない)ことを判断することができ,それに基づきS208のステップで減衰手段10におけるアッテネータ要素の減衰量が減少するように切替える指示をするので,チューナ5には適正なレベルの信号が入力され,正常に動作できる。
【0045】
次に,入力端2に入力される信号のレベルが,ケーブルモデム起動時は小さいレベルだったが,その後過大なレベルになった場合(入力レベルに変動がある場合)の制御手段16の動作についてである。なお,この処理手順は「デフォルト」であっても「モード3」であっても同じ処理であるので,S101〜S106,S109〜S113,S201〜S204の処理については上述した入力端2に入力される信号が過大なレベルの場合と同様の処理であることから,重複する説明を一部省力した。
まず,減衰手段10の第2アッテネータ要素12(例えば減衰量:10dB)を介在させるようにセットする(S101)。入力端2に入力される信号は減衰手段10により減衰され,入力点5aへ向けて送り出される。「weak signal」(弱い信号か否かのパラメータ)を「1」(弱い信号)にセットする(S102)。次に,ステップS103へ移行し,引き続きS103〜S106の処理を行う。
【0046】
次に,格納した信号レベル情報17の全てが所定値P1(例えば-7.8dBmV)より大きいか否か判断する(S107)。ここでは所定値P1以下と判断され(S107でNoの場合),パラメータ「weak signal」は「1」のまま次の処理へ移行する。次に,ステップS109へ移行し,引き続きS109〜S113の処理を行う。
次に,信号レベル情報17の総和と第1閾値T1(例えば,第1閾値T1:31.0dBmV)とを比較する(S114)。ここでは信号レベル情報17の総和が第1閾値T1以下と判断され(S114でNo),「Multi−channel」(信号レベルの総和が高いか低いかのパラメータ)は初期値「0」(レベルが低い)のまま次の処理(S201)へ移行する(S114)。引き続きS201〜S204の処理を行う。
【0047】
次に,S205において,S204の処理において算出した差が所定値G(例えば4dB)より大きいか否か判断する。信号レベル情報17の内の任意の一波について,S106において記憶されているレベル値L1と,現在入来したレベル値L2(S203の値)とにギャップが所定値Gより大きい(S205でYes)ときは,S101へ移行し,再びS101以降の処理を繰り返す。
【0048】
一方,S204,S205において差が所定値G以下の場合は,次の処理(S206)へ移行する。
S203において読み取ったレベル値が所定値P2(例えば−2.8dBmV)より大きく,かつ,「weak signal」が「1」かどうかを判断する。共に条件を満たす場合(S206でYesの場合:「S107の時点では信号レベルが弱い」と判断され,かつ,「現在入来したS203の信号レベルは高い」と判断された場合)は,S101へ移行し,再びS101以降の処理を繰り返す。
【0049】
以上のように,もし仮に信号レベル情報17の総和を計算する間,例えば,10秒〜20秒の間にチューナ5に入力される信号のレベルが変動した場合(例えば,使用者がケーブルモデムにRFコネクタを接続せずにケーブルモデム1を起動し,その後接続した場合や,RFコネクタの接触不良により変動する場合等)でも,S205において変動があったことを検出して,減衰手段10に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるような切替制御信号18を出力することなく,S101へ移行して三つの比較するステップ(S114,S205,S207)を行うようにしたので,過大なレベルの信号がチューナ5に入力されるのを防止することができ,チューナを正常に動作できる。
さらに,S206においても変動の有無を判断するので,より精度高く変動の有無を検出してチューナを正常に動作させることができる。
また,ケーブルモデムの起動処理が完了後の所定時間経過後に,所定時間経過後に,QAM信号が検出されない状態が続いたとすると,ケーブルモデムは初期化を行うことになるのであるが,再起動後は,再起動前の設定が「モード3」であっても,「デフォルト」に設定されるようしておけば,信号レベル変動の状態に係わらず,アッテネータ要素を適宜に加減してチューナ5に適切なレベルの信号が入力されるようになる。
【0050】
次に,図1とは複数のアッテネータ要素の切替手段の点において異なる例を示す図5について説明する。
25,26,27は夫々上記と同様の減衰手段,第1アッテネータ要素,第2アッテネータ要素を示す。28は入力端2からの入力点,29はチューナ5への出力点,30は接点を示し,上記制御手段16からの制御信号18によって,周知の同軸リレー31を介して第1アッテネータ要素26,第2アッテネータ要素27の2点において選択的に切替え利用できるようにしてある。
なお,図5ではアッテネータ要素の両側に接点30,30を設けたが,一方を短絡させ,一方の接点30のみを切替えるようにしてもよい。
さらに,周知のFET(電界効果型トランジスタ)で構成された切替回路を使用して第1アッテネータ要素26,第2アッテネータ要素27の2点において選択的に切替え利用するようにしてもよい。そして,この実施形態においても,上記制御手段16による,上記切替回路14に対する切替制御において,上記減衰手段10が入力端から入力された信号を途切れることなく次段へ送り出すことができるように,少なくとも,複数の上記アッテネータ要素26,27の内の何れか1つのアッテネータ要素が,上記信号経路に必ず介在するように切替制御するのがよい。
【0051】
次に本発明に係る上記ケーブルモデム1を備えたCATV用端末装置50について図7を用いて詳しく説明する。図7はCATV端末装置50の1例を示す概略ブロック図である。
CATV用端末装置50は,信号分配手段26,放送信号受信機100,双方向通信機101,ディジタル信号を伝送する接続線102で構成される。図7の例では,放送信号受信機100,双方向通信機101,ディジタル信号を伝送する接続線102が1つの筐体51に収められている。
加入者宅へ引き込まれた,図には示されていないCATV伝送線の引込み線は,入力端25,信号分配手段26を介して放送信号受信機100と双方向通信機101の両方に接続される。尚,信号分配手段26は分配回路で構成しても良いし,分岐回路で構成しても良い。
【0052】
放送信号受信機100は,図には示されていないセンター局から送出された放送信号の中から希望のチャンネルを選局する受信処理部(チューナ)32,受信処理部32の出力信号を,図には示されていないテレビジョン受像機が扱う信号に変換するための信号処理部37,受信処理部32の制御や放送信号受信機100の動作プログラムを受け取りや,MIB情報の送信及び放送信号受信機100でインターネットを行うための制御等を行う制御部33,放送信号受信機100の動作プログラムやその他のデータを記憶するメモリー34で構成されている。放送信号受信機100に入力された信号は,受信処理部32で希望のチャンネルが選局され,信号処理部37でテレビジョン受像機が扱う信号に変換されてテレビジョン接続端子28から出力される。
【0053】
信号分配手段26のもう一方の出力は双方向通信機101に接続される。双方向通信機101は,本願発明にかかる上記ケーブルモデム1と,スイッチングハブ4で構成されている。スイッチングハブ4は複数のディジタル信号入出力端子を有し,放送信号受信機100及びインターネットの通信を行うための機器(例えばパーソナルコンピュータ)等に接続される。放送信号受信機100と双方向通信機101は共にCATV伝送線に接続されると共に,これら2つの装置は互いにディジタル信号を伝送する接続線102で接続され,双方向通信機101に接続した機器からでも,放送信号受信機100からでも,CATV網10の内部及び外部と双方向通信することができる。
【0054】
このように構成されたCATV用端末装置50を考えたときに,従来技術で示したケーブルモデムを使用した場合,このケーブルモデムは上述したように,減衰手段10のアッテネータ要素の切替え時に,一時的にせよ信号経路がオープン状態になると共に,インピーダンスが大きく変化して,アッテネータ要素の切替に係るノイズが発生することから,放送信号受信機100と双方向通信機101を接続するための信号分配手段26である分配器もしくは分岐器の性能によっては,上記切替ノイズが,信号分配手段26を介してSTB側の映像用チューナに回り込むことによって,妨害が引き起こされるのである。特に図7の実施例の如く,同一筐体51内にケーブルモデム1を内蔵したようなCATV用端末装置50の場合,引き回しの距離が近いことも相まって,その影響は顕著であるといった問題があった。
【0055】
一方,本発明に係る上記ケーブルモデム1は,上記制御手段16が,電界強度測定手段6からの受信レベル情報に基づいて上記減衰手段10を加減するように切替制御する構成になっていることによって,入力レベルに影響されることなく適正なレベルの信号がチューナ5に入力されるため,異常に高いレベルの信号が入力されても起動処理を正常に行うことができる特長を有するばかりでなく,さらに加えて,上記減衰手段10に対するその切替制御において,上記制御手段16は,上記減衰手段10に対して,上記減衰手段10が入力端から入力された信号を途切れることなく次段へ送り出すことができるように,少なくとも,複数の上記アッテネータ要素の内の何れか1つのアッテネータ要素が,上記信号経路に必ず介在するように切替制御する構成にしたことによって,上記減衰手段10の減衰量の加減を行ったとしても,上記信号経路はオープン状態には絶対にならないと共に,上記減衰手段10は,そのインピーダンスが大きく変化することがないので,上記アッテネータ要素の切替にかかる制御による切替ノイズの発生がなく,双方向通信機101の映像用チューナに信号分配手段26を介して切替ノイズが回り込んで,映像用チューナに対して妨害をあたえる,従来技術のような問題が起きないことなど,優れた利点を有することから,従来技術のケーブルモデムに替えて本発明に係るケーブルモデム1を内蔵することによって,極めて安定した動作が可能な双方向通信対応のCATV端末装置50が実現できるのである。
尚,本発明の実施例に係るCATV端末装置50では,双方向通信機101を同一の筐体51に内蔵した例を示したが,双方向通信機101を筐体51とは別の筐体に収納するように備えさせて,上記CATV用端末装置50と,筐体51の外部に設けた外付けの信号分配手段26とでシステムを構成しても同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0056】
上記実施形態における減衰手段およびその切替制御方式の応用例として,高周波機器としてのケーブルモデムおよびケーブルモデムを備えたCATV端末装置の例を示して説明したが,さらに,以下に示す例のように,入来する信号や電波に対して広いダイナミックレンジを必要とする高周波装置であれば,上記実施形態における減衰手段およびその切替制御方式を用いても良いことは言うまでもない。
例えば,走行中の車と車との間で通信を行う車車間通信のように,ダイナミックなレベル変動が想定される高周波機器における周波数変換手段等のRF回路の入力レベル制御。
また,路上に設置されたアンテナやガントレーに設置されたアンテナと,車両に積まれた車載器との間で通信を行うETC(Electronic Toll Collection System)等の高周波機器における周波数変換手段等のRF回路の入力レベル制御。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ケーブルモデムを説明するための概略ブロック図を示す。
【図2】制御手段の動作を説明するためのフローチャートを示す。
【図3】制御手段の動作を説明するためのフローチャートを示す。
【図4】制御手段の動作を説明するためのフローチャートを示す。
【図5】図1の減衰手段とは異なる例を説明する為の概略ブロック図を示す。
【図6】アッテネータ要素の切替タイミングを説明するための図である。
【図7】CATV端末装置を説明するための概略ブロック図を示す。
【符号の説明】
【0058】
1…ケーブルモデム,2…入力端,3…出力端,4…スイッチングハブ,5…チューナ,5a…入力点,5b…出力信号,6…電界強度測定手段(RSSI),8…QAM復調器,10…減衰手段,11…第1アッテネータ要素,12…第2アッテネータ要素,13…第3アッテネータ要素,14…切替回路,15…CPU,16…制御手段,17…信号レベル情報,18…切替制御信号,19…処理手順設定手段,20…フラッシュメモリ,21…RAM,25…入力端,26…信号分配手段,28…テレビジョン接続端子,29…パーソナルコンピュータ接続端子,32…受信処理部,33…制御部,34…メモリー,37…信号処理部,50…CATV端末装置,51…筐体,100…放送信号受信機,101…双方向通信機,102…接続線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端から入力される信号を周波数変換して出力するチューナと,
その出力された信号を受入れて,QAM復調して出力するQAM復調器と,を備えるケーブルモデムにおいて,
上記入力端と上記チューナとの間の信号経路には減衰量が加減できるアッテネータ要素を備える減衰手段を介在させ,
上記チューナには,入力された信号のレベルを測定し,その信号レベル情報を出力するようにした電界強度測定手段を備えさせ,
さらに,上記電界強度測定手段において測定した信号レベル情報を受入れて,その信号レベル情報を基に所定の処理手順でデータ処理を行うと共に,該データ処理で得られた結果に基づいて,前記減衰手段にむけてアッテネータ要素の減衰量を加減できるように切替制御信号を送出する制御手段を備え,
上記減衰手段は,複数のアッテネータ要素と切替手段とを備えさせ,該切替手段を前記制御手段からの切替制御信号によって選択的利用可能に切替制御することによって,上記アッテネータ要素を選択的に利用可能に構成してあり,
上記制御手段は,上記減衰手段に向けての切替制御において,上記減衰手段が入力端から入力された信号を途切れることなく次段へ送り出すことができるように,少なくとも,複数のアッテネータ要素の内の何れか1つのアッテネータ要素が,上記信号経路に必ず介在して切替るように制御することを特徴としたケーブルモデム。
【請求項2】
上記減衰手段は,入力された信号を,上記アッテネータ要素を介して常時は減衰させて次段へ送り出すように構成し,
上記制御手段は,さらに,上記減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号を出力し,上記QAM復調器がQAM信号を復調しているかいないかを判定する判定ステップを行う第1の処理を行うと共に,
上記判定ステップにおいて,QAM復調器がQAM信号を復調していないと判定されたなら,さらに,上記測定した信号レベル情報を受入れて,その信号レベル情報の総和を計算して,信号レベル情報の総和と第1閾値とを比較する比較ステップと,
信号レベル情報の内の任意の一波の上記現在入来したレベル値と第2閾値とを比較する比較ステップとを行い,
上記両方の比較ステップの比較において,信号レベル情報の総和が第1閾値以下で,信号レベル情報の内の任意の一波の現在入来したレベル値が第2閾値以下の場合は,減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号を出力する制御を行う第3の処理をするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のケーブルモデム。
【請求項3】
上記制御手段において,さらに,上記信号レベル情報の内の任意の一波について,先に対象にされて記憶されているレベル値と現在入来したレベル値とを比較する比較ステップを行い,両者の差が所定値を超えた場合は,減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号を出力することなく,再び上記信号レベル情報を受入れて,上記三つの比較する比較ステップを行い,
信号レベル情報の総和が第1閾値以下で,
信号レベル情報の内の一波の現在入来したレベル値が第2閾値以下で,
現在入来したレベル値と先に対象にされて記憶されているレベル値との差が所定値以下の場合は,減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替えるための切替え制御信号を出力する制御を行う第4の処理をするようにしたことを特徴とする請求項2記載のケーブルモデム。
【請求項4】
さらに,入力された信号受信レベル情報に対する処理手順を設定する処理手順設定手段を備えさせ,
上記第1の処理を行い,しかも,上記QAM復調器がQAM信号を復調していないと判定された場合に上記第3の処理を行う上記処理手順に加え,
上記第1の処理を行い,しかも,上記QAM復調器がQAM信号を復調していないと判定された場合であってもさらに上記第1の処理を行う処理手順,
減衰手段に向けてアッテネータ要素の減衰量を減少させるように切替える為の切替制御信号を出力することなく,上記QAM復調器がQAM信号を復調しているかいないかを判定する判定ステップを行う第2の処理を行い,しかも,上記QAM復調器がQAM信号を復調していないと判定された場合にさらに上記第2の処理を行う処理手順,
上記3つの処理手順の代わりに,直接上記第3の処理もしくは第4の処理から行う処理手順,の何れかを選択的に設定可能に構成し,
上記制御手段は,上記処理手順設定手段に対する設定に基づいて,上記処理手順のうちの何れか1つの処理手順を行うよう制御することを特徴とした請求項2または請求項3の何れか一項に記載のケーブルモデム。
【請求項5】
ケーブルモデムを備えてなるCATV端末装置において,
該ケーブルモデムは,請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のケーブルモデムを備えてなることを特徴としたCATV端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−41319(P2010−41319A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200992(P2008−200992)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】