説明

ケーブル伝達機構

【課題】 駆動部材から作動部材に引張り力を伝達可能なケーブルにて、同ケーブルのインナーワイヤと駆動部材との結合状態での信頼性を極めて高いものとする。
【解決手段】 インナーワイヤの一端部15a1には、同インナーワイヤの長手方向に対して直交するI字状連結部yが設けられている。インナーワイヤの一端部15a1と駆動部材間には、連結部材62と回転抑止部材63を備えた連結機構D1が介装されている。連結部材62は、I字状連結部yを挿通可能な挿通孔部と、この挿通孔部に挿通されたI字状連結部yの挿通孔周りの回転を許容する回転許容部62bと、I字状連結部yが回転許容部62bにて所定量回転された状態でI字状連結部yと係合可能な係合部62cを備えている。回転抑止部材63は、連結部材62とインナーワイヤの一端部15a1の連結部位に脱着可能で、I字状連結部yの所定量回転された状態を保持する抑制部63bを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電動パーキングブレーキ装置に適用可能なケーブル伝達機構に係り、特に、駆動部材と作動部材間に介装されて前記駆動部材から前記作動部材に引張り力を伝達可能なケーブルが、前記駆動部材に連結機構を介して一端部にて連結されるとともに他端部にて前記作動部材に連結されるインナーワイヤと、このインナーワイヤの両端部以外の外周を被覆し両端部を保持部材により移動不能に保持されるアウターチューブを備えているケーブル伝達機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のケーブル伝達機構は、例えば、下記特許文献1に記載されている。下記特許文献1に記載されている電動パーキングブレーキ装置に適用されているケーブル伝達機構においては、駆動部材としてのイコライザと作動部材としてのパーキングブレーキの作動部間に介装されて引張り力を伝達可能なケーブルが、イコライザ(駆動部材)に連結機構を介して一端部にて連結されるとともに他端部にてパーキングブレーキの作動部(作動部材)に連結されるインナーワイヤと、このインナーワイヤの両端部以外の外周を被覆し両端部を保持部材により移動不能に保持されるアウターチューブを備えている。
【特許文献1】特開2006−17158号公報
【0003】
上記した特許文献1に記載されているケーブル伝達機構においては、イコライザとインナーワイヤの一端部を連結する連結機構として、イコライザの揺動部(インナーワイヤ側に向けて開口するコ字状に形成されている)に設けられてインナーワイヤの長手方向に対して直交する方向に貫通する一対の貫通孔と、これら貫通孔の一方に設けられて同貫通孔の一部をインナーワイヤの長手方向および貫通孔に対して直交する方向に開口させる切欠が採用されている。また、インナーワイヤの一端部に、同インナーワイヤの長手方向に対して直交するI字状連結部が一体的に設けられていて、このI字状連結部が、その一部を上記した切欠を通して挿通され、両端部にて上記した一対の貫通孔に嵌合固定されている。
【0004】
また、上記した特許文献1に記載されているケーブル伝達機構においては、上記したインナーワイヤの外周を被覆するアウターチューブの一端部に環状溝が形成されていて、この環状溝にハウジング(車体に組付けられて保持部材としても機能する)の一部が嵌合するようにして、アウターチューブの一端部がハウジングにより移動不能に保持されるように構成されている。
【発明の開示】
【0005】
上記した特許文献1に記載されているケーブル伝達機構では、インナーワイヤの一端部に設けたI字状連結部がその両端部にてイコライザの揺動部に設けた一対の貫通孔に嵌合固定されている構成であり、I字状連結部とイコライザの連結が確実に保持し難く、何らかの要因でI字状連結部がイコライザから外れるおそれがあり、信頼性が不足している。
【0006】
また、上記した特許文献1に記載されているケーブル伝達機構では、ハウジング内に組付けられているイコライザの揺動部に対して、インナーワイヤの一端部に設けたI字状連結部を組付けるとともに、アウターチューブの一端部に形成した環状溝にハウジングの一部が嵌合するようにして、アウターチューブの一端部をハウジングの一部に組付ける必要がある。このため、ハウジングにイコライザ、インナーワイヤ、アウターチューブ等を組付けた状態では、ハウジングとケーブルを一体で取り扱う必要があって、生産ラインにおける途中の工程にて、長くて取り扱いが不便なケーブルを扱う必要があり、生産性が悪い。また、ケーブルを交換する場合などには、ハウジングを分解・再組付する必要があり、市場でのサービス性も悪い。
【0007】
本発明は、上記した課題に対処すべくなされたものであり、駆動部材と作動部材間に介装されて前記駆動部材から前記作動部材に引張り力を伝達可能なケーブルが、前記駆動部材に連結機構を介して一端部にて連結されるとともに他端部にて前記作動部材に連結されるインナーワイヤと、このインナーワイヤの両端部以外の外周を被覆し各端部を保持部材により移動不能に保持されるアウターチューブを備えているケーブル伝達機構において、前記インナーワイヤの一端部には、同インナーワイヤの長手方向に対して直交するI字状連結部が一体的に設けられていて、前記連結機構が、前記I字状連結部を前記インナーワイヤの長手方向に挿通可能な挿通孔部と、この挿通孔部に挿通されて貫通した前記I字状連結部の挿通孔周りの回転を許容する回転許容部と、前記挿通孔部に挿通されて貫通した前記I字状連結部が前記回転許容部にて所定量回転された状態で前記I字状連結部と前記インナーワイヤの長手方向にて係合可能な係合部とをワイヤ側端部に有して、駆動側端部にて前記駆動部材に連結される連結部材を備えるとともに、この連結部材と前記インナーワイヤの一端部の連結部位に脱着可能に組付けられて、前記I字状連結部の所定量回転された状態を保持可能な回転抑止部材を備えていることに特徴がある。
【0008】
本発明によるケーブル伝達機構においては、インナーワイヤの一端部に設けたI字状連結部を、駆動部材に連結された連結部材の挿通孔部に挿通して貫通させた状態で連結部材の回転許容部にて所定量回転させた後に、連結部材とインナーワイヤの一端部の連結部位に回転抑止部材を組付けてI字状連結部の所定量回転された状態を保持することで、駆動部材とインナーワイヤを結合させることができる。また、連結部材とインナーワイヤの一端部の連結部位から回転抑止部材を外した後に、インナーワイヤの一端部に設けたI字状連結部を、連結部材の回転許容部にて連結部材の挿通孔部に合わせるまで回転させてインナーワイヤの長手方向に引き抜けば、駆動部材とインナーワイヤの結合を解くことができる。
【0009】
ところで、本発明によるケーブル伝達機構においては、駆動部材とインナーワイヤの結合状態で、連結部材の係合部とインナーワイヤのI字状連結部がインナーワイヤの長手方向にて係合可能であり、しかも、I字状連結部の所定量回転された状態が回転抑止部材により保持可能であるため、インナーワイヤに引張り力が作用するときにも、インナーワイヤのI字状連結部が駆動部材に対して回転し難く、駆動部材とインナーワイヤの結合状態での信頼性が極めて高いものである。
【0010】
本発明の実施に際して、前記回転抑止部材は、前記インナーワイヤの長手方向に対して直交する方向にて前記連結部材の一部または前記インナーワイヤの一部に弾撥的に係合して抜け止めされかつ同弾撥的係合を解除された状態では前記インナーワイヤの長手方向に沿って移動可能な係止部と、前記挿通孔部に挿通されて一部が貫通し貫通部分にて前記I字状連結部の回転を抑制する抑制部とを一体的に備えていることも可能である。この場合には、駆動部材とインナーワイヤのI字状連結部を連結する信頼性が極めて高い連結機構を、連結部材と回転抑止部材の二部品にて構成することが可能であり、シンプルかつ安価に構成することが可能である。
【0011】
また、本発明の実施に際して、前記作動部材は車両用パーキングブレーキの作動部に設けられており、前記駆動部材は車体に組付けられるハウジング内に組付けられてパーキングブレーキ操作に伴って生じる駆動力を出力部にて出力可能であり、前記インナーワイヤの一端部は前記ハウジング外から前記ハウジングを通して前記駆動部材の出力部に前記連結機構を介して脱着可能であり、前記アウターチューブの一端部は前記ハウジングに対して脱着可能であることも可能である。
【0012】
この場合において、前記アウターチューブの一端部は前記ハウジングに対して前記インナーワイヤの長手方向に沿って抜き差し可能であり、前記アウターチューブの一端部を覆うチューブカバーは前記ハウジングに対して脱着可能であって前記ハウジングに組付けられた状態では前記アウターチューブの一端部を前記ハウジングに対して抜け止めすることも可能である。また、前記チューブカバーは、前記アウターチューブに対してその長手方向に直交する方向にて抜き差し可能とする切欠部と、前記アウターチューブの外周の一部に嵌合して位置決めされる嵌合部と、前記ハウジングに設けた係止部に脱着可能に係合する係合部を有していることも可能である。
【0013】
これらの場合には、ケーブル伝達機構において、前記インナーワイヤの一端部が前記ハウジング外から前記ハウジングを通して前記駆動部材の出力部に前記連結機構を介して脱着可能であり、前記アウターチューブの一端部が前記ハウジングに対して脱着可能である。このため、ハウジングへの各種部品の組付後において、ケーブルにおけるハウジング側端部の組付を該当部分の構成部品のみの組付で行うことが可能であり、車両の生産ラインにおいてケーブルは途中工程でハウジングに組付けた状態で取り扱う必要がないため、生産性が極めてよい。また、ケーブルにおけるハウジング側端部の脱着(分解・再組付)が、ハウジングを分解することなく、該当部分の構成部品のみの脱着で可能であり、市場でのサービス性が極めてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6は本発明の第1実施形態を示していて、この第1実施形態は自動車用の電動パーキングブレーキ装置に本発明を実施したものである。図1に示した電動パーキングブレーキ装置は、電気モータ11の出力である回転駆動力を減速して伝達する減速機構Aと、この減速機構Aを介して伝達される電気モータ11の回転駆動力を直線駆動力(直線的な駆動力)に変換する変換機構Bと、この変換機構Bにより変換された直線駆動力によって駆動されるとともに直線駆動力を二つの出力部に分配するイコライザ12を備えている。
【0015】
また、電動パーキングブレーキ装置は、イコライザ12の各出力部12a,12bに連結されて直線駆動力を各パーキングブレーキ13,14に伝達する一対のケーブル15,16と、これら両ケーブル15,16におけるインナーワイヤ15a,16aに作用する引張力を検出可能で電気信号を出力する張力センサTSと、電気モータ11の回転駆動を制御する電気制御装置ECUを備えている。
【0016】
なお、減速機構Aと変換機構Bの連結部位には、ワンウェイ動力伝達機構Cが介装されている。ワンウェイ動力伝達機構Cは、ねじ軸41上に組付けられていて、電気モータ11および減速機構Aから変換機構Bへの回転駆動力は伝達するが、変換機構Bから減速機構Aへの回転駆動力の伝達は阻止して、電気モータ11の正回転駆動停止時に、パーキングブレーキ13,14の制動状態を保持可能である。
【0017】
電気モータ11は、車体の一部に固定保持されるハウジング31の一側に組付けたケーシング32に組付けられていて、電気制御装置ECUによって作動を制御されるようになっている。この電気モータ11は、例えば、運転者が制動スイッチSW1を操作することにより正方向に回転駆動され、運転者が解除スイッチSW2を操作することにより逆方向に回転駆動されるようになっている。
【0018】
減速機構Aは、ハウジング31とケーシング32間の収容部内に組み込まれていて、電気モータ11の出力軸(図示省略)に組付けられて一体的に回転する入力小歯車(図示省略)と、ねじ軸41の端部に回転可能に組付けられてワンウェイ動力伝達機構Cの入力部にトルク伝達可能に連結されている出力大歯車21を備えている。また、減速機構Aは、ハウジング31とケーシング32に回転可能に組付けられて入力小歯車と常時噛合する中間大歯車(図示省略)と、この中間大歯車と一体的に回転可能であり出力大歯車21と常時噛合する中間小歯車(図示省略)を備えている。
【0019】
変換機構Bは、ワンウェイ動力伝達機構Cの出力部にトルク伝達可能に連結されているねじ軸41を入力要素とし、このねじ軸41に螺合して組付けたナット42を出力要素とする構成であり、ねじ軸41が正方向に回転駆動されることによりナット42が図1右方の解除位置(図示実線位置)から図1左方の制動位置(図示仮想線位置)に向けてねじ軸41の軸線方向に移動され、また、ねじ軸41が逆方向に回転駆動されることによりナット42が図1右方の解除位置に向けてねじ軸41の軸線方向に移動されるようになっている。
【0020】
ねじ軸41は、ケーブル15,16におけるインナーワイヤ15a,16aの移動方向を軸方向として配置されていて、雄ねじ(雄ねじの条数や形状は適宜変更可能である)を有しており、ハウジング31に対して軸方向に僅かに(張力センサTSにて両ケーブル15,16のインナーワイヤ15a,16aに作用する引張力を検出可能な程度に)移動可能かつ回転可能に組付けられている。ナット42は、連結ピン43を介してイコライザ12と連結されていて、イコライザ12を揺動可能(連結ピン43周りに回動可能)に支持している。なお、図1に示したハウジング31では、同ハウジング31の開口を密封するカバー(図示省略)が取り外されている。
【0021】
イコライザ12は、ナット42に作用する直線駆動力を二つの出力部12a,12bに等分に分配するものであり、その中央部にてナット42に設定量(例えば、図1の状態から左右に20度程度)揺動可能に組付けられている。また、イコライザ12は、一方の出力部12aにて、一方のケーブル15におけるインナーワイヤ15aの一端部15a1と連結機構D1を介して連結され、他方の出力部12bにて、他方のケーブル16におけるインナーワイヤ16aの一端部16a1と連結機構D2を介して連結されている。
【0022】
一方のケーブル15は、インナーワイヤ15aと、このインナーワイヤ15aの両端部以外の外周を被覆し各端部を保持部材としてのハウジング31と一方のパーキングブレーキ13のブレーキハウジング(図示省略)により移動不能に保持されるアウターチューブ15bによって構成されていて、インナーワイヤ15aの他端部は、一方のパーキングブレーキ13の作動部に周知のようにして連結されている。
【0023】
他方のケーブル16は、インナーワイヤ16aと、このインナーワイヤ16aの両端部以外の外周を被覆し各端部を保持部材としてのハウジング31と他方のパーキングブレーキ14のブレーキハウジング(図示省略)により移動不能に保持されるアウターチューブ16bによって構成されていて、インナーワイヤ16aの他端部は、他方のパーキングブレーキ14の作動部に周知のようにして連結されている。
【0024】
張力センサTSは、ハウジング31の図1右端部に組付けられていて、ハウジング31にOリングを介して内側から嵌合固定されたケース51と、このケース51内に組付けられてクリップ52により抜け止めされた軸受プレート53、スラストベアリング54、プレッシャプレート55およびゴム製のディスク56と、ハウジング31にOリングを介して外側から嵌合されかつケース51に螺着されてディスク56の一部に当接しねじ軸41に作用する軸荷重の一部を検出する圧力センサ57等によって構成されている。
【0025】
この張力センサTSでは、ねじ軸41に作用する全軸荷重が、軸受プレート53、スラストベアリング54、プレッシャプレート55を介してディスク56に伝わり、ディスク56にてケース51と圧力センサ57に予め設定されている受圧面積比で分配されるため、圧力センサ57の出力に基づいて両ケーブル15,16のインナーワイヤ15a,16aに作用する引張力(ねじ軸41に作用する全軸荷重に相当する)を検出することが可能である。
【0026】
一方の連結機構D1は、図1に示したように、イコライザ12における一方の出力部12aに連結ピン61を介して回動可能に連結された連結部材62と、この連結部材62と一方のケーブル15におけるインナーワイヤ15aの一端部15a1との連結部位に脱着可能に組付けられた回転抑止部材63を備えている。他方の連結機構D2は、図1に示したように、イコライザ12における他方の出力部12bに連結ピン71を介して回動可能に連結された連結部材72と、この連結部材72と他方のケーブル16におけるインナーワイヤ16aの一端部16a1との連結部位に脱着可能に組付けられた回転抑止部材73を備えている。
【0027】
インナーワイヤ15aの一端部15a1と、インナーワイヤ16aの一端部16a1は、同一形状に形成されているため、インナーワイヤ15aの一端部15a1について詳細に説明し、インナーワイヤ16aの一端部16a1についての説明は省略する。インナーワイヤ15aの一端部15a1は、図2〜図5に示したように、インナーワイヤ15aの長手方向に延びる軸部xと、この軸部xの先端に一体的に設けられてインナーワイヤ15aの長手方向に対して直交するI字状連結部yを有していて、全体としてT字状(図4参照)とされている。
【0028】
一方の連結部材62と、他方の連結部材72は、同一形状に形成されているため、一方の連結部材62について詳細に説明し、他方の連結部材72についての説明は省略する。一方の連結部材62は、図2、図4および図5に示したように、インナーワイヤ15aのI字状連結部yをインナーワイヤ15aの長手方向に挿通可能な挿通孔部62aと、この挿通孔部62aに挿通されて貫通したI字状連結部yの挿通孔周りの回転を許容する回転許容部62bと、挿通孔部62aに挿通されて貫通したI字状連結部yが回転許容部62bにて所定量(略90度)回転された状態でI字状連結部yとインナーワイヤ15aの長手方向にて係合可能な係合部62cとをワイヤ側端部に有している。
【0029】
また、一方の連結部材62のワイヤ側端部には、インナーワイヤ15aのI字状連結部yが挿通孔部62aに挿通されて貫通し挿通孔周りの回転を許容されたときにI字状連結部yが当接可能なストッパ部62dと、挿通孔部62aの端部からインナーワイヤ15aの長手方向に所定量延びる一対の突片部62eと、これら各突片部62eに形成されて回転抑止部材63の係止部63aが弾撥的に係合・離脱可能で回転抑止部材63を連結部材62に対して脱着可能とする一対の突起62fが設けられている。
【0030】
一方の回転抑止部材63と、他方の回転抑止部材73は、同一形状に形成されているため、一方の回転抑止部材63について詳細に説明し、他方の回転抑止部材73についての説明は省略する。一方の回転抑止部材63は、図2、図4〜図6に示したように、連結部材62とインナーワイヤ15aの一端部15a1の連結部位に脱着可能に組付けられていて、I字状連結部yの所定量回転された状態を保持可能である。
【0031】
また、一方の回転抑止部材63は、インナーワイヤ15aの長手方向に対して直交する方向にて連結部材62の各突起62fに弾撥的に係合して抜け止めされかつ同弾撥的係合を解除された状態ではインナーワイヤ15aの長手方向に沿って移動可能な一対の係止部63aと、連結部材62の挿通孔部62aに挿通されて一部が貫通し貫通部分にてインナーワイヤ15aのI字状連結部yの回転を抑制する一対の抑制部63bとを一体的に備えている。また、一方の回転抑止部材63には、インナーワイヤ15aのI字状連結部yと連結部材62の両突片部62eが挿通可能な矩形孔63cが形成されるとともに、連結部材62の両突起62fが通過可能な一対の切欠63dが形成されている。
【0032】
また、この実施形態においては、各インナーワイヤ15a,16aの一端部15a1,16a1がハウジング31外からハウジング31を通してイコライザ12の各出力部12a,12bに各連結機構D1,D2を介して脱着可能である。また、各アウターチューブ15b,16bの一端部15b1,16b1が、ハウジング31に対してOリングを介して各インナーワイヤ15a,16aの長手方向に沿って抜き差し可能(脱着可能)であって、各アウターチューブ15b,16bの一端部15b1,16b1を覆う各チューブカバー81,82によってハウジング31に対して抜け止めされている。
【0033】
一方のチューブカバー81と、他方のチューブカバー82は、同一形状に形成されているため、一方のチューブカバー81について詳細に説明し、他方のチューブカバー82についての説明は省略する。一方のチューブカバー81は、アウターチューブ15bの一端部15b1に組付けられた状態にてハウジング31に対して脱着可能であって、図2〜図4に示したように、アウターチューブ15bに対してその長手方向に直交する方向にて抜き差し可能とする切欠部81aと、アウターチューブ15bの外周の一部に嵌合して位置決めされる嵌合部81bと、ハウジング31に設けた一対の係止部31a(溝部)に脱着可能に係合する一対の係合部81c(爪部)を有している。
【0034】
上記のように構成したこの第1実施形態においては、制動スイッチSW1が操作されると、電気モータ11が正回転駆動されて、変換機構Bのねじ軸41が正回転され、これに伴ってナット42とイコライザ12が図1の右方位置(解除位置)から図1の左方位置(制動位置)に向けてねじ軸41の軸方向に移動する。このため、両ケーブル15,16のインナーワイヤ15a,16aが引っ張られて両パーキングブレーキ13,14が解除状態から制動状態とされる。
【0035】
このとき(両ケーブル15,16のインナーワイヤ15a,16aが引っ張られるとき)には、張力センサTSにて、両ケーブル15,16のインナーワイヤ15a,16aに作用する引張力が検出される。この引張力は、電気制御装置ECUに入力され、その値が高設定値(制動判定値)になると、電気制御装置ECUからの制御信号に基づいて、電気モータ11の正回転駆動が停止される。なお、電気モータ11の正回転駆動停止時には、ねじ軸41の逆回転が変換機構B、ワンウェイ動力伝達機構Cおよび減速機構A等により規制されて保持されるため、両パーキングブレーキ13,14の制動状態が保持される。
【0036】
また、上記した両パーキングブレーキ13,14の制動状態にて、解除スイッチSW2が操作されると、電気モータ11が逆回転駆動されて、変換機構Bのねじ軸41が逆回転され、これによりナット42とイコライザ12が図1の左方位置(制動位置)から図1の右方位置(解除位置)に移動する。このため、両ケーブル15,16のインナーワイヤ15a,16aが緩められて両パーキングブレーキ13,14が制動状態から解除状態とされる。
【0037】
このとき(両ケーブル15,16のインナーワイヤ15a,16aが緩められるとき)にも、張力センサTSにて、両ケーブル15,16のインナーワイヤ15a,16aに作用する引張力が検出される。この引張力は、電気制御装置ECUに入力され、その値が低設定値(解除判定値)になると、電気制御装置ECUからの制御信号に基づいて、電気モータ11の逆回転駆動が停止される。
【0038】
また、上記した第1実施形態においては、各チューブカバー81,82をハウジング31から取り外すこと(一対の係合部81c(爪部)をハウジング31に設けた一対の係止部31a(溝部)から外して引き抜くこと)で、各アウターチューブ15b,16bの一端部15b1,16b1を、ハウジング31から取り外すこと(各インナーワイヤ15a,16aの長手方向に沿って抜き取ること)ができる。
【0039】
また、各チューブカバー81,82と各アウターチューブ15b,16bの一端部15b1,16b1をハウジング31から取り外した状態では、各連結部材62,72と各インナーワイヤ15a,16aの一端部15a1,16a1との連結部位から各回転抑止部材63,73を外した後に、各インナーワイヤ15a,16aの一端部15a1,16a1に設けたI字状連結部yを、各連結部材62,72の回転許容部(62b)にて各連結部材62,72の挿通孔部(62a)に合わせるまで回転させてインナーワイヤの長手方向に引き抜けば、各連結部材62,72と各インナーワイヤ15a,16aの結合を解いて、イコライザ12と各インナーワイヤ15a,16aの結合を解くことができる。なお、各回転抑止部材63,73は、一対の係止部(63a)を各連結部材62,72の各突起(62f)から外した状態で、インナーワイヤの長手方向に引き抜くことにより、上記した連結部位から外すことができる。
【0040】
一方、各インナーワイヤ15a,16aの一端部15a1,16a1に設けたI字状連結部yを、イコライザ12に連結された各連結部材62,72の挿通孔部(62a)に挿通して貫通させ、I字状連結部yの左端がストッパ部62dに当接する程度まで押し込んだ状態で各連結部材62,72の回転許容部(62b)にて所定量(略90度)回転させた後に、各連結部材62,72と各インナーワイヤ15a,16aの一端部15a1,16a1との連結部位に各回転抑止部材63,73を組付けてI字状連結部yの所定量回転された状態を保持することで、イコライザ12と各インナーワイヤ15a,16aを結合させることができる。
【0041】
また、イコライザ12と各インナーワイヤ15a,16aを各連結機構D1,D2を介して結合させた状態では、各アウターチューブ15b,16bの一端部15b1,16b1を、ハウジング31に取り付けること(各インナーワイヤ15a,16aの長手方向に沿って嵌め込むこと)ができるとともに、各チューブカバー81,82をハウジング31に取り付けること(各チューブカバー81,82をハウジング31に嵌め込むことで、一対の係合部81c(爪部)をハウジング31に設けた一対の係止部31a(溝部)に係合させること)ができる。
【0042】
ところで、この第1実施形態においては、イコライザ12と各インナーワイヤ15a,16aの結合状態で、各連結部材62,72の係合部(62c)と各インナーワイヤ15a,16aのI字状連結部yがインナーワイヤの長手方向にて係合可能であり、しかも、各I字状連結部yの所定量回転された状態が各回転抑止部材63,73により保持可能であるため、各インナーワイヤ15a,16aに引張り力が作用するときにも、各インナーワイヤ15a,16aのI字状連結部yがイコライザ12に連結された各連結部材62,72に対して回転し難く、イコライザ12と各インナーワイヤ15a,16aの結合状態での信頼性が極めて高いものである。
【0043】
また、この第1実施形態においては、各回転抑止部材63,73が、インナーワイヤの長手方向に対して直交する方向にて各連結部材62,72の突起(62f)に弾撥的に係合して抜け止めされかつ同弾撥的係合を解除された状態ではインナーワイヤの長手方向に沿って移動可能な係止部(63a)と、各連結部材62,72の挿通孔部(62a)に挿通されて一部が貫通し貫通部分にてI字状連結部yの回転を抑制する抑制部(63b)とを一体的に備えている。このため、イコライザ12と各インナーワイヤ15a,16aのI字状連結部yを連結する信頼性が極めて高い各連結機構D1,D2を、各連結部材62,72と各回転抑止部材63,73の二部品にて構成することが可能であり、シンプルかつ安価に構成することが可能である。
【0044】
また、この第1実施形態においては、上述したように、各インナーワイヤ15a,16aのI字状連結部y(一端部)が、ハウジング31外からハウジング31に挿入されて、ハウジング31内のイコライザ12の各出力部12a,12bに各連結機構D1,D2を介して脱着可能であり、かつ、各アウターチューブ15b,16bの一端部15b1,16b1がハウジング31に対して脱着可能である。
【0045】
しかも、各アウターチューブ15b,16bの一端部15b1,16b1はハウジング31に対してインナーワイヤの長手方向に沿って抜き差し可能であり、各アウターチューブ15b,16bの一端部15b1,16b1を覆う各チューブカバー81,82は、ハウジング31に対して脱着可能であって、ハウジング31に組付けられた状態では各アウターチューブ15b,16bの一端部15b1,16b1をハウジング31に対して抜け止めする。また、各チューブカバー81,82は、各アウターチューブ15b,16bに対してその長手方向に直交する方向にて抜き差し可能とする切欠部(81a)と、各アウターチューブ15b,16bの外周の一部に嵌合して位置決めされる嵌合部(81b)と、ハウジング31に設けた係止部31aに脱着可能に係合する係合部(81c)を有している。
【0046】
このため、ハウジング31への各種部品の組付後において、各ケーブル15,16におけるハウジング側端部の組付を該当部分の構成部品(各インナーワイヤ15a,16a、各アウターチューブ15b,16b、各回転抑制部材63,73、各チューブカバー81,82)のみの組付で行うことが可能であり、電動パーキングブレーキ装置あるいは車両の生産ラインにおいて各ケーブル15,16は途中工程でハウジング31に組付けた状態で取り扱う必要がないため、生産性が極めてよい。また、各ケーブル15,16におけるハウジング側端部の脱着(分解・再組付)が、ハウジング31を分解することなく、該当部分の構成部品のみの脱着で可能であり、市場でのサービス性が極めてよい。
【0047】
上記した第1実施形態においては、インナーワイヤの長手方向に対して直交する方向にて各連結部材62,72の突起(62f)に弾撥的に係合して抜け止めされかつ同弾撥的係合を解除された状態ではインナーワイヤの長手方向に沿って移動可能な係止部(63a)と、各連結部材62,72の挿通孔部(62a)に挿通されて一部が貫通し貫通部分にてI字状連結部yの回転を抑制する抑制部(63b)とを一体的に備える各回転抑止部材63,73を採用して実施したが、図7〜図9に示した第2実施形態のように、各連結部材62,72に代えて連結部材162を採用するとともに、各回転抑止部材63,73に代えて回転抑止部材163を採用して実施することも可能である。
【0048】
第2実施形態の連結部材162は、上記した第1実施形態の突片部62eと突起62fを備えていないことを除いて、第1実施形態の連結部材62と実質的に同じ構成であり、インナーワイヤ15aのI字状連結部yをインナーワイヤ15aの長手方向に挿通可能な挿通孔部162aと、この挿通孔部162aに挿通されて貫通したI字状連結部yの挿通孔周りの回転を許容する回転許容部162bと、挿通孔部162aに挿通されて貫通したI字状連結部yが回転許容部162bにて所定量(略90度)回転された状態でI字状連結部yとインナーワイヤ15aの長手方向にて係合可能な係合部162cとをワイヤ側端部に有するとともに、インナーワイヤ15aのI字状連結部yが挿通孔部162aに挿通されて貫通した状態で当接可能なストッパ部162dをワイヤ側端部に有している。このため、I字状連結部yは、ストッパ部162dに当接する程度に押し込まれた状態で、挿通孔部162a周りの回転が許容される。
【0049】
第2実施形態の回転抑止部材163は、インナーワイヤ15aの長手方向に対して直交する方向にてインナーワイヤ15aに設けた環状突起zに弾撥的に係合して抜け止めされかつ同弾撥的係合を解除された状態ではインナーワイヤ15aの長手方向に沿って移動可能な一対の係止部163aと、連結部材162の挿通孔部162aに挿通されて一部が貫通し貫通部分にてインナーワイヤ15aのI字状連結部yの回転を抑制する一対の抑制部163bとを一体的に備えている。また、回転抑止部材163には、インナーワイヤ15aのI字状連結部yが挿通可能な矩形孔163cが形成されている。
【0050】
図7〜図9に示した第2実施形態においては、チューブカバー81をハウジング31から取り外すことにより、アウターチューブ15bの一端部15b1をハウジング31から抜き取ることが可能である。また、アウターチューブ15bの一端部15b1をハウジング31から抜き取った状態で、一対の係止部163aを拡げて環状突起zとの係合を解除することにより、回転抑止部材163をハウジング31内から取り出すことが可能である。更に、この状態にてインナーワイヤ15aのI字状連結部yを略90度回転させて引き抜くことにより、インナーワイヤ15aを連結部材162から抜き取ることが可能である。このため、この第2実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0051】
また、上記した第1実施形態においては、各アウターチューブ15b,16bの一端部15b1,16b1がこれを覆う各チューブカバー81,82によってハウジング31に対して抜け止めされているが、図10〜図13に示した第3実施形態のように、各チューブカバー81,82に代えてホーク状部材281を採用して実施することも可能である。また、図10〜図13に示した第3実施形態においては、上記した第1実施形態の各連結部材62,72に代えて連結部材262が採用されるとともに、上記した第1実施形態の各回転抑止部材63,73に代えて回転抑止部材263が採用されている。
【0052】
第3実施形態のホーク状部材281は、ハウジング231に対して脱着可能であり、一対の脚部281aにてハウジング231に設けた一対のスリット231aに差し込まれている。各脚部281aは、その中間部分にてハウジング231に嵌合されたアウターチューブ215bの一端部215b1と当接可能であって、アウターチューブ215bの一端部215b1を抜け止めしている。また、各脚部281aの先端部には、ハウジング231に係合可能な爪部281a1が設けられていて、この爪部281a1によってホーク状部材281がハウジング231に対して抜け止めされている。
【0053】
第3実施形態の連結部材262は、インナーワイヤ15aのI字状連結部yをインナーワイヤ15aの長手方向に挿通可能な挿通孔部262aと、この挿通孔部262aに挿通されて貫通したI字状連結部yの挿通孔周りの回転を許容する回転許容部262bと、挿通孔部262aに挿通されて貫通したI字状連結部yが回転許容部262bにて所定量(略90度)回転された状態でI字状連結部yとインナーワイヤ15aの長手方向にて係合可能な係合部262cとをワイヤ側端部に有している。また、連結部材262には、インナーワイヤ15aのI字状連結部yが挿通孔部262aに挿通されて貫通した状態で当接可能なストッパプレート262dが固着されている。このため、I字状連結部yは、ストッパプレート262dに当接する程度に押し込まれた状態で、挿通孔部262a周りの回転が許容される。
【0054】
第3実施形態の回転抑止部材263は、インナーワイヤ15aの長手方向に対して直交する方向にて連結部材262に設けた係合孔262eに弾撥的に係合して抜け止めされかつ同弾撥的係合を解除された状態ではインナーワイヤ15aの長手方向に沿って移動可能な一対の係止部263aと、連結部材262の挿通孔部262aに挿通されて一部が貫通し貫通部分にてインナーワイヤ15aのI字状連結部yの回転を抑制する一対の抑制部263bとを一体的に備えている。また、回転抑止部材263には、インナーワイヤ15aのI字状連結部yが挿通可能な挿通孔263cが形成されるとともに、上記した各係止部263aと連結部材262の係合孔262eとの係合を解除させるための一対の操作レバー部263dが形成されている。
【0055】
図10〜図13に示した第3実施形態においては、ホーク状部材281をハウジング231から抜き取ることにより、アウターチューブ215bの一端部215b1をハウジング231から抜き取ることが可能である。また、アウターチューブ215bの一端部215b1をハウジング231から抜き取った状態で、一対の操作レバー部263dを近づけて各係止部263aと係合孔262eとの係合を解除することにより、回転抑止部材263をハウジング231内から取り出すことが可能である。更に、この状態にてインナーワイヤ15aのI字状連結部yを略90度回転させて引き抜くことにより、インナーワイヤ15aを連結部材262から抜き取ることが可能である。このため、この第3実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0056】
上記した各実施形態においては、本発明によるケーブル伝達機構を車両用パーキングブレーキ装置に適用したが、本発明によるケーブル伝達機構は車両用パーキングブレーキ装置以外の種々な作動機器にも上記実施形態と同様にまたは適宜変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明によるケーブル伝達機構を車両用パーキングブレーキ装置に適用した第1実施形態の一部破断平面図である。
【図2】図1の要部拡大平面図である。
【図3】図2の3−3線に沿った断面図である。
【図4】図2の4−4線に沿った断面図である。
【図5】図4の5−5線に沿った断面図である。
【図6】図1、図2、図4および図5に示した回転抑止部材単体の部分正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示す図2相当の要部拡大平面図である。
【図8】図7に示した第2実施形態の図4相当の断面図である。
【図9】図7および図8に示した回転抑止部材単体の部分正面図である。
【図10】本発明の第3実施形態を示す図2相当の要部拡大平面図である。
【図11】図10に示した第3実施形態の図4相当の断面図である。
【図12】図10および図11に示したハウジングとホーク状部材の関係を示す図である。
【図13】図10および図11に示した回転抑止部材単体の部分正面図である。
【符号の説明】
【0058】
12…イコライザ(駆動部材)、12a,12b…出力部、13,14…パーキングブレーキ(作動部材)、15,16…ケーブル、15a…インナーワイヤ、15a1…インナーワイヤの一端部、y…I字状連結部、15b…アウターチューブ、15b1…アウターチューブの一端部、31…ハウジング、D1,D2…連結機構、62…連結部材、62a…挿通孔部、62b…回転許容部、62c…係合部、63…回転抑制部材、63a…係止部、63b…抑制部、81…チューブカバー、81a…切欠部、81b…嵌合部、81c…係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部材(12)と作動部材(13)間に介装されて前記駆動部材(12)から前記作動部材(13)に引張り力を伝達可能なケーブル(15)が、前記駆動部材(12)に連結機構(D1)を介して一端部(15a1)にて連結されるとともに他端部にて前記作動部材(13)に連結されるインナーワイヤ(15a)と、このインナーワイヤ(15a)の両端部以外の外周を被覆し各端部を保持部材により移動不能に保持されるアウターチューブ(15b)を備えているケーブル伝達機構において、
前記インナーワイヤ(15a)の一端部(15a1)には、同インナーワイヤ(15a)の長手方向に対して直交するI字状連結部(y)が一体的に設けられていて、
前記連結機構(D1)が、前記I字状連結部(y)を前記インナーワイヤ(15a)の長手方向に挿通可能な挿通孔部(62a)と、この挿通孔部(62a)に挿通されて貫通した前記I字状連結部(y)の挿通孔周りの回転を許容する回転許容部(62b)と、前記挿通孔部(62a)に挿通されて貫通した前記I字状連結部(y)が前記回転許容部(62b)にて所定量回転された状態で前記I字状連結部(y)と前記インナーワイヤ(15a)の長手方向にて係合可能な係合部(62c)とをワイヤ側端部に有して、駆動側端部にて前記駆動部材(12)に連結される連結部材(62)を備えるとともに、この連結部材(62)と前記インナーワイヤ(15a)の一端部(15a1)の連結部位に脱着可能に組付けられて、前記I字状連結部(y)の所定量回転された状態を保持可能な回転抑止部材(63)を備えていることを特徴とするケーブル伝達機構。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル伝達機構において、前記回転抑止部材(63)は、前記インナーワイヤ(15a)の長手方向に対して直交する方向にて前記連結部材(62)の一部または前記インナーワイヤ(15a)の一部に弾撥的に係合して抜け止めされかつ同弾撥的係合を解除された状態では前記インナーワイヤ(15a)の長手方向に沿って移動可能な係止部(63a)と、前記挿通孔部(62a)に挿通されて一部が貫通し貫通部分にて前記I字状連結部(y)の回転を抑制する抑制部(63b)とを一体的に備えていることを特徴とするケーブル伝達機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載のケーブル伝達機構において、前記作動部材(13)は車両用パーキングブレーキの作動部に設けられており、前記駆動部材(12)は車体に組付けられるハウジング(31)内に組付けられてパーキングブレーキ操作に伴って生じる駆動力を出力部(12a)にて出力可能であり、前記インナーワイヤ(15a)の一端部(15a1)は前記ハウジング(31)外から前記ハウジング(31)を通して前記駆動部材の出力部(12a)に前記連結機構(D1)を介して脱着可能であり、前記アウターチューブ(15b)の一端部(15b1)は前記ハウジング(31)に対して脱着可能であることを特徴とするケーブル伝達機構。
【請求項4】
請求項3に記載のケーブル伝達機構において、前記アウターチューブ(15b)の一端部(15b1)は前記ハウジング(31)に対して前記インナーワイヤ(15a)の長手方向に沿って抜き差し可能であり、前記アウターチューブ(15b)の一端部(15b1)を覆うチューブカバー(81)は前記ハウジング(31)に対して脱着可能であって前記ハウジング(31)に組付けられた状態では前記アウターチューブ(15b)の一端部(15b1)を前記ハウジング(31)に対して抜け止めすることを特徴とするケーブル伝達機構。
【請求項5】
請求項4に記載のケーブル伝達機構において、前記チューブカバー(81)は、前記アウターチューブ(15b)に対してその長手方向に直交する方向にて抜き差し可能とする切欠部(81a)と、前記アウターチューブ(15b)の外周の一部に嵌合して位置決めされる嵌合部(81b)と、前記ハウジング(31)に設けた係止部(31a)に脱着可能に係合する係合部(81c)を有していることを特徴とするケーブル伝達機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−103263(P2009−103263A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277245(P2007−277245)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】