説明

ケーブル用導管

【課題】伸張状態となったときでも、外部からの衝撃その他による破損を未然に防止でき、且つ保護機能を損なわないようにする。
【解決手段】螺旋状に巻回して互いに隣り合う管形成部材Q相互が伸縮自在となるよう筒状に形成したケーブル用導管Pとする。管形成部材Qは、縦断面二股状で且つ開口端内縁にストッパー部4を対設した第1嵌合部1を一側縁に有し、第1嵌合部1に嵌合する縦断面矢形状の係止アーム片3、係止アーム片3の外側に並設したプロテクタ部5それぞれによって縦断面二股状に形成した第2嵌合部6を他側縁に有し、ケーブル用導管Pは、互いに隣り合う管形成部材Q相互で、第1嵌合部1に第2嵌合部6の係止アーム片3を嵌合し、且つ第2嵌合部6に縦断面二股状の第1嵌合部1の外側片を嵌挿してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、建物等の建築構造物内に例えば洞道部、人孔部等から引込配線される光ファイバーケーブル等の各種のケーブル類を例えば地中に埋設するためのケーブル用導管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洞道部、人孔部等から各種の建築構造物内に通信ケーブル等を引込配線する場合、洞道部、人孔部等は地下に設置されているために、浸入する雨水その他に対する防水、排水処理が施される。この場合、光ファイバーケーブル等の各種のケーブル類は、当該ケーブル類を保護しながら区分通線するためのフレキシブルな鞘管に挿入されており、ケーブル類を挿入した鞘管の現場での敷設施工に際し、この鞘管を複数に纏めて収納させて保護するための外管に挿入されて地中に配管設置される。このケーブル類を収容する複数の鞘管、鞘管を挿入する外管それぞれは、可撓性を有するように例えばPVC・PE・PP・ABSその他の合成樹脂素材、または金属製素材による複合管構造としてある。
【0003】
この種のケーブル用導管およびその製造方法として、これを合成樹脂にて形成するものとするとき、例えば特許文献1に開示されているように、一側端部に縦断面二股状の嵌合部が設けられ、他側端部に縦断面矢尻状の係止部が設けられた熱可塑性樹脂製のプロファイルをマンドレル上に螺旋状に供給巻回し、相隣る一方のプロファイルの嵌合部と他方のプロファイルの係止部とを係合させることにより螺旋管を製造する螺旋管の製造方法において、マンドレルの外径を拡大もしくは縮小させることによりマンドレルの外径に対応した口径を備えた螺旋管を製造する螺旋管の製造方法およびその装置が存在する。
【0004】
また、特許文献2に開示されているように、一側縁の縦断面二股状の嵌合部と他側縁の縦断面矢尻状の係止部と縦断面直線状の中央部とからなる合成樹脂製のプロファイルを螺旋状に巻回し、この巻回状態において互いに隣合う嵌合部の中に係止部が挿入され、このとき係止部が嵌合部先端に形成された抜止部によって係止されるものとした螺旋管の製造方法が存在する。
【0005】
また、特許文献3に開示されているように、帯状のプロファイルを螺旋状に巻き付け、隣接する縦断面二股状の嵌合部と、係止部先端の係止突起とを嵌合係止することによって螺旋管を形成する螺旋管形成用帯状体およびその成形方法が存在する。
【0006】
また、特許文献4に開示されているように、縦断面二股状で且つ開口端内縁に抜止部が対設された嵌合部を一側縁に有し、この嵌合部内に摺動可能に嵌入係止される係止部を他側縁に有する帯状の合成樹脂製のプロファイルを樹脂組成物から異形押出成形し、このプロファイルを螺旋状に巻回すると共に、巻回状態において互いに隣合う嵌合部に係止部を嵌合させて筒状に形成してなる螺旋管が存在する。
【0007】
また、特許文献5に開示されているように、一側縁に縦断面二股状の嵌合部を有し、他側縁に縦断面矢尻状の係止部を有する帯状のプロファイルを螺旋状に巻き付け、隣接する嵌合部と係止部を嵌合することによって螺旋管を形成するための螺旋管形成用の帯状体において、巻き付けるときに外面側となる帯状体の嵌合部の開口端内縁に、シール材が帯状体の抜け止め部の凹溝内に食い込んで一体化されている螺旋管形成用の帯状体および螺旋管が存在する。
【0008】
また、特許文献6に開示されているように、縦断面二股状で且つ開口端内縁に抜止部が対設された嵌合部を一側縁に有し、この嵌合部内に摺動可能に嵌入係止される係止部を他側縁に有する帯状となった合成樹脂製のプロファイルを樹脂組成物から異形押出成形し、このプロファイルを螺旋状に巻回すると共に、巻回状態において互いに隣合う嵌合部に係止部を嵌合させて筒状に形成してなる螺旋管が存在する。
【0009】
また、特許文献7に開示されているように、縦断面二股状で開口端内縁に抜止部が対設された嵌合部を一側縁に有し、この嵌合部内に摺動可能に嵌入係止される係止部を他側縁に有し、且つ抜止部の一方の先端に軟質塩化ビニル系樹脂組成物を共押出した、塩素化塩化ビニル樹脂組成物からなる帯状のプロファイルを螺旋状に巻回すると共に、巻回状態において互いに隣り合う嵌合部と係止部とを嵌合させて筒状に形成してなる螺旋管であって、軟質塩化ビニル系樹脂組成物に可塑剤を含まないものとしてあるケーブル防護管が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−47718号公報
【特許文献2】特開平9−229245号公報
【特許文献3】特開2000−88155号公報
【特許文献4】特開2000−256526号公報
【特許文献5】特開2001−124251号公報
【特許文献6】特開2001−145954号公報
【特許文献7】特開2004−297946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記した従来例に示すように、特許文献1乃至7のいずれの場合においても、図5に示すように、ケーブル用導管Pが一側縁の縦断面二股状の嵌合部101と他側縁の縦断面矢尻状の係止部102と縦断面直線状の中央部103とからなる帯状のプロファイルRによって形成されている。そして、プロファイルRを不図示のマンドレル上に螺旋状に供給巻回し、互いに隣合う嵌合部101の中に係止部102が挿入された状態で螺旋管状のケーブル用導管Pが形成され、この内部に光ファイバーケーブル等の各種のケーブル類が挿通されてから地中の所定の場所に埋設される。
【0012】
しかしながら、上記した従来におけるケーブル用導管Pは、例えば管路構成に対応して彎曲させるに際し、その湾曲部分において、図5(a)に示す収縮状態から図5(b)に示す伸張状態となったときには、係止部102が嵌合部101先端に形成された抜止部102によって係止されて中央部103が露出する。そうすると、この中央部103の管壁は1枚構造であるため、外部からの衝撃、例えば不用意にもスコップSが落下して当該スコップSの先端が中央部103に当たってしまった場合、その衝撃で中央部103に亀裂・破断を生じ、これによりケーブル用導管Pによるケーブル類の保護機能、例えば防水機能等が損なわれるという問題点を有していた。
【0013】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、管壁を形成する互いに隣り合う管形成部材(プロファイル)の相互が伸張状態となったときでも、管壁全域が二重構造に保持されていることで、外部からの衝撃、例えば不用意に落下したスコップからの衝撃その他によって破損されるのを未然に防止でき、ケーブル用導管に挿通されている各種ケーブル類に対する保護機能が損なわれないようにしたケーブル用導管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、螺旋状に巻回されて互いに隣り合う管形成部材Q相互が伸縮自在となるよう筒状に形成されたケーブル用導管Pであって、管形成部材Qは、縦断面二股状で且つ開口端内縁にストッパー部4が対設された第1嵌合部1を一側縁に有し、第1嵌合部1に嵌合される縦断面矢形状の係止アーム片3、係止アーム片3の外側に並設したプロテクタ部5によって縦断面二股状に形成された第2嵌合部6を他側縁に有し、ケーブル用導管Pは、互いに隣り合う管形成部材Q相互で、第1嵌合部1に係止アーム片3が嵌合され、且つ第2嵌合部6に縦断面二股状の第1嵌合部1の外側片が嵌挿されてなるものである。
プロテクタ部5は、外側に凸となった縦断面湾曲状に形成されたり、あるいは係止アーム片3と平行となった縦断面直線状に形成されたりすることができる。
プロテクタ部5は、先端内縁に係止突部7を設け、互いに隣り合う管形成部材Q相互の伸張状態で、第1嵌合部1の開口端外縁に形成された被係止突部8によって係止されるものとすることができる。
管形成部材Qは帯状に形成され、これを螺旋状に巻回してから、第1嵌合部1に係止アーム片3を順次嵌合させることで螺旋管状に形成されてなるものとすることができる。
管形成部材Qはそれぞれ環状となって複数が形成され、これら管形成部材Qは、一方の管形成部材Qの第1嵌合部1に他方の管形成部材Qの第2嵌合部6の係止アーム片3を順次嵌合させることで管形成部材Q直列型の管状に形成されてなるものとすることができる。
【0015】
以上のように構成された本発明に係るケーブル用導管Pにあって、係止アーム片3を外側から覆っているプロテクタ部5は、互いに隣り合う管形成部材Q相互の伸張状態で係止アーム片3が第1嵌合部1のストッパー部4によって係止される。この状態においても外側のプロテクタ部5が係止アーム片3上を常に覆っているため、第2嵌合部6は第1嵌合部1と共に管壁全域にわたって二重構造となる。
縦断面湾曲状に形成されたプロテクタ部5は、互いに隣り合う管形成部材Q相互の屈曲調整を可能にさせる。
縦断面直線状に形成されたプロテクタ部5は、互いに隣り合う管形成部材Q相互の直線的な伸縮調整を可能にさせる。
プロテクタ部5は、互いに隣り合う管形成部材Q相互の伸張状態で、当該プロテクタ部5の係止突部7を第1嵌合部1の被係止突部8に係止させ、相互間の抜脱を阻止し、全域の二重管壁構造を維持させる。
螺旋管状に形成される管形成部材Qは、螺旋径を拡大したり縮小したりすることによって導管全体を任意の口径に設定させる。
直列型の管状に形成される管形成部材Qは、各種口径の管形成部材Qを用意することで、通信ケーブル等の引込配線のサイズや個数に対応させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、互いに逆向きとなっている縦断面二股状の第1嵌合部1と第2嵌合部6とを螺旋状に巻回しながらそれらの溝内で互いに嵌め合わせて管壁を形成するものとなっており、そのため、互いに隣り合う管形成部材Qの相互が伸張状態となったときでも、管壁全域の二重構造が維持される。そのため、外部からの衝撃、例えば不用意に落下したスコップSからの衝撃その他によって破損されるのを未然に防止でき、ケーブル用導管Pに挿通されている各種ケーブル類に対する保護機能が損なわれないようにすることができる。
【0017】
すなわち、これは本発明が、管形成部材Qは、縦断面二股状で且つ開口端内縁にストッパー部4が対設された第1嵌合部1を一側縁に有し、第1嵌合部1に嵌合される縦断面矢形状の係止アーム片3、係止アーム片3の外側に並設したプロテクタ部5によって縦断面二股状に形成された第2嵌合部6を他側縁に有し、ケーブル用導管Pは、互いに隣り合う管形成部材Q相互で、第1嵌合部1に係止アーム片3が嵌合され、且つ第2嵌合部6に縦断面二股状の第1嵌合部1の外側片が嵌挿されてなるからである。これによって、螺旋状に巻回されて互いに隣り合う管形成部材Qの相互が伸張状態となっても、第1嵌合部1は元より、第2嵌合部6においては、プロテクタ部5によって係止アーム片3箇所が管壁全域にわたって二重構造となるため、外部からの衝撃がプロテクタ部5によって阻止され、係止アーム片3自体の破損を未然に防止することができる。しかも、このような係止アーム片3を保護することに加えて、プロテクタ部5は外部からの衝撃に対して係止アーム片3を強化することができる。
【0018】
また、第1嵌合部1が縦断面二股状であることで二重構造となっていることと相俟ち、第2嵌合部6における係止アーム片3箇所でもプロテクタ部5が並設されて二重構造となっていることで、互いに隣り合う管形成部材Qの相互が伸張しても管壁全体が二重構造に維持されるから、管壁全域にわたる強度および保護機能がさらに向上する。しかも、螺旋状に巻回されて互いに隣り合う管形成部材Qの相互が収縮したときでは、管壁全体が四重構造となるため、さらに強度が向上する。
【0019】
プロテクタ部5は、外側に凸となった縦断面湾曲状に形成されてなるので、互いに隣り合う管形成部材Q相互の屈曲をスムーズに行わせ、通信ケーブル等の湾曲状の引込配線に応じて必要となる導管全体の湾曲調整を容易に行うことができる。
【0020】
プロテクタ部5は、係止アーム片3と平行となった縦断面直線状に形成されてなるので、通信ケーブル等の直線状の引込配線に応じて必要となる導管全体の直線的な伸縮調整を精確に行うことができる。
【0021】
プロテクタ部5は、先端内縁に係止突部7を設け、互いに隣り合う管形成部材Q相互の伸張状態で、第1嵌合部1の開口端外縁に形成された被係止突部8によって係止されるものとしたので、第1嵌合部1からの係止アーム片3の抜け止め強度を更に向上させ、全体の二重管壁構造を維持できる。
【0022】
管形成部材Qは帯状に形成され、これを螺旋状に巻回してから、第1嵌合部1に第2嵌合部6の係止アーム片3を順次嵌合させることで螺旋管状に形成されてなるので、巻回成形時に螺旋径を縮小または拡大することで、導管全体の口径を任意に設定することができる。
【0023】
管形成部材Qはそれぞれ環状となって複数が形成され、これら管形成部材Qは、一方の管形成部材Qの第1嵌合部1に他方の管形成部材Qの第2嵌合部6の係止アーム片3を順次嵌合させることで管形成部材Q直列型の管状に形成されるので、通信ケーブル等の引込配線のサイズや個数に応じて各種口径の管形成部材Qを用意することで、その対応が可能となる。
【0024】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付したもので、図面中の符号によって示された構造・形状に本発明が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を実施するための一形態を示すもので、収縮状態と伸張状態との一部拡大断面図を含む正面図である。
【図2】他の形態を示すもので、(a)は収縮状態の要部を示す拡大断面図、(b)は伸張状態の要部を示す拡大断面図である。
【図3】更に他の形態を示す伸張状態の要部を示す拡大断面図である。
【図4】更に他の形態を示すもので、嵌合状態の一部拡大断面図を含む正面図である。
【図5】従来例を示すもので、(a)は収縮状態の要部を示す拡大断面図、(b)は伸張状態の要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態を詳細に説明すると、図において示される符号Pは、光ファイバーケーブル等の各種のケーブル類を例えば地中に埋設配線するための配線管路を構成するケーブル用導管である。
【0027】
ケーブル用導管Pは、管形成部材Qによって構成される。この管形成部材Qとしては、例えばPVC・PE・PP・ABSその他の合成樹脂素材を用途環境に合わせて使用し、また使用環境に対応するよう、耐熱性・難燃性・耐衝撃性・熱硬化性・熱可塑性等のものを使用する。尚、管形成部材Qの素材や熱的・機械的な物性等は本発明を何ら限定するものではなく、合成樹脂素材とする他に例えば金属製素材を使用しても良い。
【0028】
管形成部材Qは、図1に示すように、合成樹脂組成物から押出成形等により帯状に形成され、帯一側縁には、縦断面二股状で且つ開口端内縁にストッパー部4が対設された第1嵌合部1が形成され、帯他側縁には当該第1嵌合部1とは逆向きの第2嵌合部6が一体形成されている。
【0029】
第2嵌合部6は、第1嵌合部1の基端部中央から逆向きに延び、先端に係止部2を備えた縦断面矢形状の係止アーム片3と、係止アーム片3と並行するように第1嵌合部1の基端部外側から逆向きに延びたプロテクタ部5とによって縦断面二股状に形成され、第1嵌合部1および第2嵌合部6は互いの開口部を反対にして逆向き一体構造となることで管形成部材Q自体は縦断面略H形状を呈している。
【0030】
プロテクタ部5は、係止アーム片3を外側から覆うように外側に向けて凸となった縦断面湾曲状に形成されており、螺旋状に巻回したときに、前部側の一方あるいは後部側の他方として互いに隣り合う管形成部材Q相互の屈曲に対応できるようにしてある。また、係止部2の先端は若干の丸みを帯びており、これに対応して第1嵌合部1の内底側は断面略U字状に形成されている。
【0031】
ケーブル用導管Pは、この帯状の管形成部材Qを螺旋状に巻回してから、第1嵌合部1に、第2嵌合部6における係止アーム片3の係止部2を順次嵌合させることで螺旋管状に形成されてなる。このとき、第2嵌合部6における係止アーム片3とプロテクタ部5との間の間隙内には、隣接する管形成部材Qの縦断面二股状となった第1嵌合部1の二股外側片部分が嵌挿されるものとなっている。
【0032】
互いに隣り合う管形成部材Q相互の伸張状態では、係止部2が第1嵌合部1先端のストッパー部4によって係止される。このとき露出する係止アーム片3の外表面全体はプロテクタ部5によって外側から覆われた状態となっていることで当該係止アーム片3が保護されるものとしている。
【0033】
次に、以上のように構成された形態についての組立方法および使用の一例について説明すると、上記した構成による帯状の管形成部材Qを不図示のマンドレル上に螺旋状に供給巻回し、不図示の押圧具により、第1嵌合部1に係止アーム片3の係止部2を強制嵌合させることにより螺旋管状のケーブル用導管Pが形成される。このとき、マンドレルの外径を拡大もしくは縮小させることによりマンドレルの外径に対応した口径を備えたケーブル用導管Pが製造される。
【0034】
ケーブル用導管Pの使用時において、通信ケーブル等の湾曲状もしくは直線状の引込配線に応じて当該ケーブル用導管Pの互いに隣り合う管形成部材Q相互が湾曲もしくは伸張された際には、第1嵌合部1に挿入されている係止アーム片3は当該第1嵌合部1から外側へスライドされ、第2嵌合部6の係止アーム片3先端の係止部2が第1嵌合部1先端のストッパー部4によって係止される。このとき係止アーム片3の外表面全体はプロテクタ部5によって外側から覆われた二重構造となっていることで当該係止アーム片3は保護される。
【0035】
しかも、互いに隣り合う管形成部材Q相互が湾曲もしくは伸張しても、第1嵌合部1及び第2嵌合部6それぞれが縦断面二股状であることで互いの嵌合は全体を二重構造となしており、特に係止アーム片3箇所にプロテクタ部5が並設されて二重構造となっていることにより、管壁全体にわたって二重構造が維持される。
【0036】
一方、互いに隣り合う管形成部材Q相互が収縮したときでは、第1嵌合部1と第2嵌合部6とが相互に嵌合することで、管壁全体にわたって四重構造となる。こうして、ケーブル用導管Pの管壁全域にわたる強度および保護機能が保障される。
【0037】
また、図2には管形成部材Qの他の例が示されている。この例において、プロテクタ部5は係止アーム片3と平行となった縦断面直線状に形成されており、互いに隣り合う管形成部材Q相互の伸縮状態では、互いに隣り合うプロテクタ部5相互が面一の状態となるようにしてある。尚、係止部2の先端は鋭角状に尖っており、これに対応して第1嵌合部1の内底側は断面略円錐状に凹設されている。
【0038】
また、図3には管形成部材Qの更に他の例が示されている。すなわち、第2嵌合部6のプロテクタ部5の先端内縁には係止突部7が設けられ、これに対応して、第1嵌合部1の開口端外縁には被係止突部8が設けられている。そして互いに隣り合う管形成部材Q相互の伸張状態では、第2嵌合部6のプロテクタ部5の係止突部7が第1嵌合部1の被係止突部8によって係止されるものとしてある。
【0039】
また、図4には管形成部材Qの更に他の例が示されている。すなわち、一側縁に縦断面二股状で且つ開口端内縁にストッパー部4が対設された第1嵌合部1を有し、他側縁に先端に係止部2を備えた縦断面矢形状の係止アーム片3と当該係止アーム片3を外側で覆うプロテクタ部5との並設によって、同じく縦断面二股状に形成された第2嵌合部6を有する環状の管形成部材Qを複数作製しておく。そして一方の管形成部材Qの第1嵌合部1に他方の管形成部材Qの第2嵌合部6の係止アーム片3を順次嵌合させることで、複数の管形成部材Qが可撓性ある直列型となったケーブル用導管Pが形成される。この場合、通信ケーブル等の引込配線のサイズや個数に応じて各種口径の管形成部材Qとして形成され、用意される。
【符号の説明】
【0040】
P…ケーブル用導管 Q…管形成部材
R…プロファイル S…スコップ
1…第1嵌合部 2…係止部
3…係止アーム片 4…ストッパー部
5…プロテクタ部 6…第2嵌合部
7…係止突部 8…被係止突部
101…嵌合部 102…係止部
103…中央部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に巻回されて互いに隣り合う管形成部材相互が伸縮自在となるよう筒状に形成されたケーブル用導管であって、管形成部材は、縦断面二股状で且つ開口端内縁にストッパー部が対設された第1嵌合部を一側縁に有し、第1嵌合部に嵌合される縦断面矢形状の係止アーム片、係止アーム片の外側に並設したプロテクタ部によって縦断面二股状に形成された第2嵌合部を他側縁に有し、ケーブル用導管は、互いに隣り合う管形成部材相互で、第1嵌合部に係止アーム片が嵌合され、且つ第2嵌合部に縦断面二股状の第1嵌合部の外側片が嵌挿されてなることを特徴とするケーブル用導管。
【請求項2】
プロテクタ部は、外側に凸となった縦断面湾曲状に形成されてなる請求項1記載のケーブル用導管。
【請求項3】
プロテクタ部は、係止アーム片と平行となった縦断面直線状に形成されてなる請求項1記載のケーブル用導管。
【請求項4】
プロテクタ部は、先端内縁に係止突部を設け、互いに隣り合う管形成部材相互の伸張状態で、第1嵌合部の開口端外縁に形成された被係止突部によって係止される請求項1乃至3のいずれか記載のケーブル用導管。
【請求項5】
管形成部材は帯状に形成され、これを螺旋状に巻回してから、第1嵌合部に第2嵌合部の係止アーム片を順次嵌合させることで螺旋管状に形成されてなる請求項1乃至4のいずれか記載のケーブル用導管。
【請求項6】
管形成部材はそれぞれ環状となって複数が形成され、これら管形成部材は、一方の管形成部材の第1嵌合部に他方の管形成部材の第2嵌合部の係止アーム片を順次嵌合させることで管形成部材直列型の管状に形成されてなる請求項1乃至4のいずれか記載のケーブル用導管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−16121(P2012−16121A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148834(P2010−148834)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000151184)株式会社土井製作所 (21)
【Fターム(参考)】