説明

ケーブル用電気コネクタそしてこれと基板用電気コネクタとを有するコネクタ組立体

【課題】ケーブルに対して該ケーブルの延出方向へ不用意な力が作用しても、端子やハウジングに変形や損傷を生じさせることなく、ハウジングからの端子の抜けを確実に防止するケーブル用電気コネクタそしてこれと基板用コネクタとを有する組立体を提供する。
【解決手段】ケーブル用電気コネクタの端子30は、結線部32よりも前方に位置し前方へ延びる一対の延出部35と、該延出部35同士を連結する被規制部36とを有しており、コネクタ嵌合状態にて、上記一対の延出部35は、前後方向および嵌合方向の両方向に対して直角な方向で、基板用電気コネクタの端子60に設けられた規制部62Aの両側に位置し、かつ、上記被規制部36は、上記規制部62Aより前方に位置して該被規制部36の後面が規制部62Aの前面と対向しており、後方への上記被規制部36の移動が上記規制部62Aによって規制されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル付端子を有するケーブル用電気コネクタ(以下、「ケーブル用コネクタ」という)に関し、さらには、該ケーブル用コネクタとこれに接続される基板用電気コネクタ(以下、「基板用コネクタ」という)を有するコネクタ組立体とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金属板から作られた端子の結線部にケーブルが結線されるケーブル付端子を有するケーブル用コネクタが開示されている。このケーブル用コネクタは、回路基板に取り付けられた相手コネクタたる基板用コネクタに形成され上方に向け開口する嵌合凹部へ嵌合される。この特許文献1では、ケーブル延出方向を「前方」、端子挿入方向を「後方」として説明しているが、ここでは、本発明との対比を容易とすべく、端子挿入方向を「前方」、ケーブル延出方向を「後方」として説明する。この特許文献1において、ケーブル用コネクタのハウジングには、コネクタ嵌合方向に直角で回路基板の面に平行な前後方向に延びる端子収容孔が形成されており、後方に延びるケーブルの前端部に圧着された端子が該端子収容孔へ後方側から前方に向け挿入されて該端子収容孔に収容されている。
【0003】
上記ハウジングには、端子収容孔と外部とを連通する係合孔が該ハウジングの上壁を貫通して形成されている。また、端子の上面には斜上後方へ向けて突出するランスが形成されている。端子が端子収容孔へ挿入される際には、該ランスが弾性変形して挿入を可能とする。そして、該端子がハウジングの端子収容孔に収容された状態において、上記ランスがハウジングの上記係合孔に進入して該係合孔の内面と後方向で係止することにより、該端子収容孔からの端子の抜けの防止が図られている。
【特許文献1】特開2002−33150
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにランスを端子に形成する場合、該ランスは端子の一部を切り起こして形成される。しかし、金属板から作られた端子においては、切り起こしによって舌片状に形成されたランスは強度が低い。例えば、特許文献1におけるランスが端子の一部を切り起こして形成されている場合、ケーブルに後方への強い力が不用意に作用した際、係合孔の内面とランスとが係止したときに該ランスに過大な力が加わって該ランスがその板厚方向で撓み変形しやすく、さらには破損し、その結果、端子がハウジングから抜けるおそれがある。さりとて、ランスの変形や破損を回避すべく該ランスの強度を大きく形成した場合には、上記係合孔の内面が上記ランスとの係止によって損傷するおそれがある。また、端子が端子収容孔へ挿入時の弾性変形を得づらいことにもなり、挿入困難となってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、ケーブル用コネクタにおいて、ケーブルに対して該ケーブルの延出方向へ不用意な力が作用しても、端子やハウジングに変形や損傷を生じさせることなく、ハウジングからの端子の抜けを確実に防止するケーブル用電気コネクタそしてこれと基板用コネクタとを有する組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<第一発明>
本発明に係るケーブル用電気コネクタは、金属板から作られた端子の結線部にケーブルが結線されて該ケーブルが後方に延びるケーブル付端子を有するケーブル用電気コネクタであって、回路基板に取り付けられる相手コネクタたる基板用電気コネクタの嵌合部へ該ケーブルの延出方向に対して直角な嵌合方向で嵌合されて、端子が上記結線部よりも前方に接触部を有し、該接触部が基板用電気コネクタの対応接触部と接続可能となっている。
【0007】
かかるケーブル用電気コネクタにおいて、本発明では、上記端子は、結線部よりも前方に位置し前方へ延びる延出部と、該延出部の前端部から嵌合方向に延びる被規制部とを有しており、コネクタ嵌合状態にて、上記被規制部は、上記基板用電気コネクタの端子に設けられた規制部より前方に位置して該被規制部の後面が規制部の前面と対向しており、後方への上記被規制部の移動が上記規制部によって規制されるようになっていることを特徴としている。
【0008】
かかるケーブル用電気コネクタでは、被規制部は金属製の端子の一部として形成されており、ランスのように弾性を有していなくともよいので、強度を大きくすることができ、ケーブルに対して後方へ大きい不用意な力が作用したときに、基板用電気コネクタの金属製の端子の一部として形成された規制部と当接しても該被規制部は十分に耐えられる。また、規制部も金属なので十分な強度を有しており、被規制部が該規制部と当接したときに該規制部が損傷することもない。さらには、上記被規制部は、前方へ延びる延出部の前端部から嵌合方向に延びており、該被規制部の後面が規制部の前面と対向するようになっているので、被規制部は、幅方向(前後方向および嵌合方向の両方向に対して直角な方向)の寸法そして該嵌合方向の寸法を大きく形成することができる。したがって、ケーブルに対して後方への不用意な力が作用したとき、幅方向および嵌合方向における端子の位置ずれが多少あっても、被規制部の後面と規制部の前面とが確実に当接する。この結果、後方への被規制部の移動が規制部によって確実に規制される。
【0009】
<第二発明>
本発明に係るケーブル用電気コネクタは、金属板から作られた端子の結線部にケーブルが結線されて該ケーブルが後方に延びるケーブル付端子を有するケーブル用電気コネクタであって、回路基板に取り付けられる相手コネクタたる基板用電気コネクタの嵌合部へ該ケーブルの延出方向に対して直角な嵌合方向で嵌合されて、端子が上記結線部よりも前方に接触部を有し、該接触部が基板用電気コネクタの対応接触部と接続可能となっている。
【0010】
かかるケーブル用電気コネクタにおいて、本発明では、上記端子は、結線部よりも前方に位置し前方へ延びる一対の延出部と、該延出部同士を連結する被規制部とを有しており、コネクタ嵌合状態にて、上記一対の延出部は、前後方向および嵌合方向の両方向に対して直角な方向で、上記基板用電気コネクタの端子に設けられた規制部の両側に位置し、かつ、上記被規制部は、上記規制部より前方に位置して該被規制部の後面が規制部の前面と対向しており、後方への上記被規制部の移動が上記規制部によって規制されるようになっていることを特徴としている。
【0011】
かかるケーブル用電気コネクタにおいても、第一発明と同様に、被規制部は金属製の端子の一部として形成されており、ランスのように弾性を有していなくともよいので、強度を大きくすることができ、ケーブルに対して後方へ大きい不用意な力が作用したときに、基板用電気コネクタの金属製の端子の一部として形成された規制部と当接しても該被規制部は十分に耐えられる。また、規制部も金属なので十分な強度を有しており、被規制部が該規制部と当接したときに該規制部が損傷することもない。さらには、上記被規制部は、規制部の両側に位置する延出部を連結しているので、前後方向で見たときに規制部と被規制部は交差している。したがって、ケーブルに対して後方への不用意な力が作用したとき、幅方向および嵌合方向において端子の位置ずれが多少あっても、被規制部の後面と規制部の前面とが確実に当接する。この結果、後方への被規制部の移動が規制部によって確実に規制される。
【0012】
延出部は、前端部が嵌合方向に屈曲しており、被規制部は、延出部の上記前端部同士を連結して形成されていることが好ましい。このように、延出部の前端部を嵌合方向に屈曲させることにより、該延出部の強度が向上する。また、嵌合方向に延びる被規制部の後面は金属板の板面で形成されているので、幅方向および嵌合方向にて被規制部の寸法を大きくすることにより、該被規制部の後面の面積を大きくすることができる。これによって、被規制部の後面と規制部の前面との当接面積を大きくすることが可能となる。この結果、幅方向および嵌合方向で端子同士の位置ずれがあっても、後方への被規制部の移動が規制部によって規制され、ケーブル用電気コネクタの端子の抜けが確実に防止される。
【0013】
接触部は、コネクタ嵌合時に基板用電気コネクタの端子の対応接触部の進入を許容し該対応接触部を挟圧して接触する一対の接触片として形成されており、該一対の接触片は、嵌合方向での先端が対向方向内側に巻き込むように湾曲していることが好ましい。
【0014】
このように、一対の接触片が、嵌合方向での先端が対向方向内側に巻き込むように湾曲していることにより、コネクタ嵌合時、この湾曲している部分が導入部分となって、基板用電気コネクタの端子が案内されて接触片同士間に進入しやすい。また、接触片の先端が湾曲されており、導入部分を接触部よりも反進入方向位置に設ける必要がないので、その分、該接触片は嵌合方向での寸法を小さく形成できる。したがって、ケーブル用コネクタの低背化が可能となる。
【0015】
接触部は、前方に向け片持梁状に延びていることが好ましい。接触部を片持梁状に前方へ向けて延ばして形成することにより、嵌合方向、すなわちコネクタ高さ方向での寸法を小さくしても、接触部の長さを前後方向で大きくすることができる。したがって、ケーブル用電気コネクタを低背に維持しつつ、前後方向において十分な長さをもって接触部を形成することができ、この結果、該接触部の弾性を大きくして基板用電気コネクタの端子との接触圧を確保できる。
【0016】
<第三発明>
本発明に係るコネクタ組立体は、上記第一発明または上記第二発明のケーブル用電気コネクタと、該ケーブル用電気コネクタと嵌合接続する基板用電気コネクタとを備え、コネクタ嵌合状態にて、基板用電気コネクタの端子が嵌合方向でのケーブル付端子の範囲に位置するように形成されていることを特徴としている。このように、基板用電気コネクタの端子が嵌合方向でのケーブル付端子の範囲に位置することにより、コネクタ組立体の低背化が可能となる。
【0017】
<第四発明>
本発明に係るコネクタ組立体は、上記第一発明または上記第二発明のケーブル用電気コネクタと、該ケーブル用電気コネクタと嵌合接続する基板用電気コネクタとを備え、基板用電気コネクタの端子は、該基板用コネクタのハウジングに係止して固定される固定部と、回路基板の対応回路部と電気的に接続される接続部とを有し、コネクタ嵌合状態にて、ケーブル用電気コネクタの結線部および接触部と、基板用電気コネクタの上記固定部および上記接続部とが、前後方向にて非重複位置に設けられていることを特徴としている。
【0018】
仮に、上記結線部、接触部、固定部、接続部が前後方向で重複位置に設けられている場合、これらの部分は、高さ方向において重複位置に設けることはできないので、高さ方向でずらして設ける必要がある。その結果、組立体の高さ方向寸法が大きくなってしまう。本発明では、コネクタ嵌合状態にて、ケーブル用電気コネクタの結線部および接触部そして基板用電気コネクタの上記固定部および上記接続部が、前後方向にて非重複位置に設けられているので、各部分を高さ方向でずらす必要がなく、コネクタ組立体の低背化が可能となる。また、本発明のコネクタ組立体では、高さ方向での省スペース化、すなわち低背化の要求は大きいが、ケーブルが延びる方向、すなわち前後方向でのスペースには余裕があるので、各部分を非重複位置に設けることによりコネクタ組立体の前後方向での寸法が多少大きくなっても何ら問題はない。
【0019】
<第五発明>
本発明に係るコネクタ組立体は、上記第一発明または上記第二発明のケーブル用電気コネクタと、該ケーブル用電気コネクタと嵌合接続する基板用電気コネクタとを備え、コネクタ嵌合状態にて、基板用電気コネクタの端子の対応接触部がケーブル用電気コネクタの端子の延出部同士間にまで到達していることを特徴としている。
【0020】
基板用電気コネクタの対応接触部の嵌合方向での寸法を、コネクタ嵌合状態において該対応接触部の先端がケーブル用電気コネクタの延出部同士間にまで到達する程度の寸法にすることにより、有効嵌合長、すなわちコネクタ同士が完全に嵌合した状態における対応接触部の先端から該対応接触部とケーブル用コネクタの接触部との正規の接触位置までの嵌合方向での距離を大きく確保できる。これによって、コネクタ嵌合状態において、上記ケーブル用電気コネクタの接触部と上記基板用電気コネクタの対応接触部との接触位置が、コネクタ同士が完全に嵌合している場合の正規な接触位置から該対応接触部の先端側に多少ずれて位置していても、該接触部と該対応接触部との電気的導通を確保することができる。したがって、コネクタの各部品における上記嵌合方向での製造誤差あるいはこれらの部品の同方向での組立誤差が生じている場合や、コネクタ嵌合状態が不完全である場合であっても、接触部と対応接触部の安定した接触状態を確保することができる。
【0021】
また、コネクタ嵌合状態において、上記接触部と上記対応接触部との接触部位に不用意な外力が多少作用しても、有効嵌合長が大きく確保されているので、端子同士の抜けが容易に生じることはなく、端子同士の安定した接触状態を良好に維持することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るケーブル用コネクタでは、嵌合方向に延びる該被規制部の後面が規制部の前面と対向するので、被規制部は、幅方向の寸法そして該嵌合方向の寸法を大きく形成することが可能である。したがって、コネクタ嵌合状態において、ケーブルに対して後方への不用意な力が作用したとき、幅方向や嵌合方向で端子の位置ずれが多少あっても、規制部の前面と被規制部の後面とは確実に当接する。これによって、後方への被規制部の移動が規制されるので、ケーブル用コネクタの端子の抜けが確実に防止される。また、上記被規制部は金属製の端子に形成されており、上記当接の際に受ける力に対して十分な強度をもたせることができ、該被規制部が基板用コネクタの金属製の端子に形成された規制部と当接してもケーブル用コネクタの端子が変形あるいは損傷することはない。また、規制部も金属なので十分な強度を有しており、被規制部が該規制部と当接したときに該規制部が損傷こともない。
【0023】
さらには、被規制部を、幅方向にて規制部の両側に位置する延出部を連結する形態とした場合には、前後方向で見たときに規制部と被規制部は交差しているので、これによっても、幅方向や嵌合方向で端子の位置ずれが多少あっても、規制部の前面と被規制部の後面とを確実に当接させることができ、ケーブル用コネクタの端子の抜けが確実に防止される。
【0024】
また、本発明に係るコネクタ組立体では、コネクタ嵌合状態にて、基板用コネクタの端子が嵌合方向でのケーブル付端子の範囲に位置するので、コネクタ組立体の低背化が可能となる。さらに、ケーブル用コネクタの結線部および接触部そして基板用コネクタの固定部および接続部が前後方向にて非重複位置に設けられることにより、両端子について各部分を嵌合方向でずらす必要がなくなるので、コネクタ組立体のさらなる低背化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を添付図面にもとづいて説明する。
【0026】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係るケーブル用コネクタおよび基板用コネクタの嵌合前の状態を示す斜視図である。また、図2は、図1のケーブル用コネクタと基板用コネクタとをケーブル延出方向でずらした位置で示した平面図である。また、図3は、回路基板に対して直角な面での図2のIII−III断面図であり、コネクタ幅方向における端子位置での断面を示している。図3(A)は、ケーブル用コネクタおよび基板用コネクタの嵌合前における断面、図3(B)は、両コネクタの嵌合直後における断面、図3(C)は、両コネクタの嵌合後、かつ、基板用コネクタの移動部材の移動後における断面を示している。
【0027】
本実施形態では、ケーブル付端子を有するケーブル用コネクタ10と、回路基板(図示せず)に取り付けられる相手コネクタたる基板用コネクタ40とが、コネクタ組立体1を形成している。該コネクタ組立体1は、ケーブル用コネクタ10に取り付けられたケーブルCが回路基板の面と平行で後方(図1における左方)に延出した状態で該回路基板に対して直角な方向(図1において下方向)を嵌合方向として嵌合接続可能となっている。
【0028】
ケーブル用コネクタ10は、図1に示されているように、略直方体外形のハウジング20と、ケーブルCが取り付けられた端子30(図3(A)ないし(C)参照)、すなわちケーブル付端子とを有している。ハウジング20には、前後方向に貫通する複数の端子孔21がコネクタ幅方向にて一列に並んで形成されている。該ハウジング20は、両側縁部の前端が没して他部よりも薄く形成された第一被ロック部20Aと、前後方向に延びる両側面の後方寄り位置にてコネクタ外方へ向けて突出する第二被ロック部20Bを有している(図1参照)。該第一被ロック部20Aおよび該第二被ロック部20Bは、コネクタ嵌合後において、後述するように、基板用コネクタ40の移動部材に設けられた第一ロック部71A−1および第二ロック部71A−2とコネクタ離脱方向でそれぞれ係止する。以下、説明の便宜上、第一被ロック部20Aと第二被ロック部20Bとを総称して「被ロック部」というものとする。
【0029】
端子孔21は、図3(A)によく見られるように、前後方向に貫通しており、さらに前部では下方に開口した下方開口部22が形成されている。該下方開口部22は、前端側の端子受入部22Aとその後方の係止孔22Bとを有している。端子受入部22Aは下方から基板用コネクタ40の端子60の接触部62を受け入れるための開口であり、係止孔22Bは、後述する端子30の係止部33を収容する空間を形成し、係止孔22Bの内壁面が係止部33と後方向に係止してケーブル付端子の抜けを防止する。すなわち、ケーブルCに対して後方への不用意な力が作用したとき、該係止部33の後端部が係止孔22Bの縁部と前後方向で係止し合い、これによって、ケーブル付端子の抜けが防止される。上記基板用コネクタ40については後述する。
【0030】
図4は、本実施形態に係るケーブル用コネクタ10の端子30および基板用コネクタ40の端子60を後方から見た斜視図であり、(A)はコネクタ嵌合前における状態、(B)はコネクタ嵌合後における状態を示している。図5は、本実施形態に係るケーブル用コネクタ10の端子30を前方から見た斜視図である。図6は、図4(B)のVI−VI断面図であり、前後方向における両端子の接触部の位置での断面を示している。
【0031】
ケーブル付端子は、ケーブルCに端子30を圧着して得られる。端子30は、金属板を略筒状に丸めた形状をなし、図3(A)、図4(A),(B)および図5によく見られるように、前後に延びる背板状の基部31から下方に延び該基部31と一体に形成された、結線部32および係止部33が、後部から前方に向け、順に設けられている。また、上記端子30は、係止部33よりも前方に位置し該係止部33の前端部と連結され前方へ延びる一対の接触部34を有している。また、上記端子30は、基部31の前方に位置し前方へ延びる延出部35そして該延出部35の前端部同士を連結する被規制部36を有している。
【0032】
結線部32は、カシメ部32Aおよび該カシメ部32Aより前方に設けられた圧着部32Bを有している。上記カシメ部32Aは、一対の脚片状をなしており、ケーブルCの被覆にカシメられ、これによって、端子30がケーブルCに保持されるようになっている(図3(A)参照)。圧着部32Bも、同じく一対の脚片状をなしており、ケーブルCの芯線C1に圧着又はこれと共に半田結線されて該芯線C1と電気的に接続される(図3(A)参照)。なお、図4(A),(B)および図5では、該カシメ部32Aおよび圧着部32Bは、ケーブルCに取り付けられる前、すなわちカシメ部32Aのカシメおよび圧着部32Bの圧着がなされる前の開いた状態で示されている。
【0033】
係止部33は、一対の脚片状をなしており、図4(A),(B)によく見られるように、両脚片の下端は対向方向内側へ屈曲されている。該係止部33の下端は、図3(A)〜(C)に示されるように、上記ハウジング20の係止孔22Bに進入する位置まで下方に延びている。接触部34は、前後方向および嵌合方向(上下方向)の両方に対して直角な方向、すなわち幅方向にて板面同士が対向した状態で前方に向け片持梁状に延びる一対の腕片として形成されており、上記幅方向で弾性撓み変形が可能となっている。本実施形態では、接触部34が片持梁状に前方へ向けて延びて形成されているので、嵌合方向、すなわちコネクタ高さ方向での寸法を小さくしても、該接触部34の長さを前後方向で大きくすることができる。したがって、ケーブル用コネクタ10を低背に維持しつつ、前後方向において十分な長さをもって接触部34を形成でき、この結果、接触部34の弾性を大きくして基板用コネクタ40の端子60との接触圧を確保できる。
【0034】
図5によく見られるように、該接触部34の前部の下端は両腕片の対向方向となる上記幅方向にて内側に巻き込むように湾曲した巻込部34Aとして形成されている。該巻込部34Aは、前後方向において延出部35の範囲内に位置している。また、該巻込部34Aはコネクタ嵌合時に基板用コネクタ40の端子60の接触部62の進入を許容し該接触部62と弾性的に挟圧接触するようになっている。各巻込部34Aは、図3(A)および図6によく見られるように、対向方向内側に突出する凸部が形成されており、該凸部によって、上記端子60の接触部62との接触圧が大きく確保される。
【0035】
本実施形態では、接触部34の下端を湾曲させて上記巻込部34Aを形成したので、コネクタ嵌合時、上記下端の湾曲部分が導入部分となって、基板用コネクタ40の端子60の接触部62が案内されて巻込部34A間に進入しやすくなっている。また、接触部34の下端が湾曲されており、上記巻込部34Aより下方に導入部分を延ばして設ける必要がないので、その分、該接触部34は嵌合方向での寸法を小さく形成できる。これによって、ケーブル用コネクタ10の低背化が図られている。
【0036】
図4(A),(B)および図5に示されているように、基部31の前部には、前後方向に延びる部分と幅方向に延びる部分とを有するT字状にビード加工が施されて補強部31Aをなしており、基部31の上面に凹部がそして基部31の下面に凸部(図示せず)が形成されている。該補強部31Aが設けられることにより、該前後方向に延びる部分において、前後方向にわたる板厚方向の曲げ応力に対する強度が確保されている。また、上記幅方向に延びる部分において、幅方向にわたる板厚方向の曲げ応力に対する強度が確保されている。また、該幅方向に延びる部分は、その端部が基部31と係止部33との連結部分にまで延びており、すなわち下方へ向けて屈曲しており、この屈曲部分において板厚方向の曲げ応力に対する強度が確保されている。
【0037】
延出部35は、一対の腕片をなし基部31の前部から前方へ向けて互いに平行して延び、その前端部が下方へ向けて屈曲している。このように延出部35の前端部を屈曲させることにより、該延出部35の強度が向上する。本実施形態では、各延出部35は、図5によく見られるように、その屈曲部分における凸屈曲面に凹部が形成されそして凹屈曲面に凸部が形成されるようにビード加工が施されて補強部35Aをなしており、上記屈曲部分において板厚方向の曲げ応力に対する強度が確保されている。
【0038】
被規制部36は、図5によく見られるように、上記延出部35の前端部同士を連結した状態をなしていて幅方向に延びている。該被規制部36は、図3(A)によく見られるように、接触部34の巻込部34Aの前方に位置している。図4(A),(B)および図5によく見られるように、端子30には、基部31、一対の延出部35、被規制部36に囲まれた孔部37が形成されている。該孔部37は、コネクタ嵌合時において、上記端子60の接触部62の先端部の進入を許容する空間を形成する。
【0039】
上記延出部35および被規制部36は、端子30を形成する金属板に、前後方向に延びるスリット状の孔部37を形成するとともに、該孔部37における前方寄り位置で該金属板を板厚方向で下方に向けて屈曲させることにより形成される。本実施形態では、上記延出部35および被規制部36を形成する際、上述したように、孔部37における前方寄り位置、すなわち孔部37が延びる方向における該孔部37の範囲内の位置で延出部35に屈曲加工を施す。このように、孔部37の範囲内の位置で延出部35に屈曲加工を施すことにより、上記孔部37への上記接触部62の先端部の進入を許容されるだけでなく、孔部の範囲外の位置で金属板を屈曲する場合と比較して屈曲加工を容易に施すことができる。
【0040】
なお、屈曲加工が容易な金属板であれば、孔部は屈曲部分にまで及んでいる必要はなく、基板用コネクタの端子の接触部と前後方向で対応する位置にのみ孔部を形成することとしてもよい。
【0041】
基板用コネクタ40は、電気絶縁材としての合成樹脂製のハウジング50と、該ハウジング50によって配列保持される金属製の複数の端子60と、該ハウジング50に対して前後方向、すなわち回路基板に対して平行な方向で移動可能に取り付けられた合成樹脂製の移動部材70と、該ハウジング50に取り付けられた金属製の複数の固定金具80とを有する。
【0042】
本実施形態では、後述するように、移動部材70が前方に位置しているとき、回路基板に対して直角な方向における基板用コネクタ40へのケーブル用コネクタ10の嵌合が許容され、移動部材70が後方に位置しているとき、嵌合されたケーブル用コネクタ10の離脱が阻止される。本実施形態では、移動部材70の位置について、前方位置を「嵌合許容位置」といい、後方位置を「離脱阻止位置」という。
【0043】
図1に示されているように、ハウジング50は、コネクタ幅方向に延びる前壁部51と、該前壁部51のコネクタ幅方向(端子配列方向)両端から後方に向けて延びる二つの側壁部52と、該前壁部51および二つの側壁部52によって形成されたU字状部分に囲まれた板状の底壁部53とを有している。また、上記U字状部分および底壁部53によって、ケーブル用コネクタ10を上方から受け入れる受入凹部54が形成されている。
【0044】
上記前壁部51は、前後方向に貫通したスリット状の端子保持孔51Aが長手方向にて所定間隔で形成されており、板状の端子60が該端子保持孔51Aに前方から圧入されて保持されている(図3(A)〜(C)参照)。端子60については後述する。
【0045】
側壁部52には、後述するように移動部材70と前後方向で係止する第一係止部(図示せず)および第二係止部52Aがコネクタ幅方向で外方へ向けて突起状に突出して形成されている。本実施形態では、第二係止部52Aは、上記第一係止部より後方に形成されており、前面および後面がテーパ面をなしている。
【0046】
上記側壁部52の後端部は、コネクタ幅方向および高さ方向で突出していて他部よりも寸法が大きい直方体外形をなす固定金具保持部52Bとして形成されている。固定金具保持部52Bは、後方に開放し前方向に延びるスリット状の固定金具保持溝52B−1が形成されており、固定金具80が該固定金具保持溝52B−1に後方から圧入されて保持されている。
【0047】
該固定金具80は、金属板から作られていて、図1に示されているように、上記固定金具保持溝52B−1内にて保持される被保持部81と該被保持部81に対して直角に屈曲され固定金具保持溝52B−1外の下方で回路基板と平行に延びる面をなす被固定部82とを有する。被固定部82は回路基板と半田接続されて基板用コネクタ40が回路基板に固定される。
【0048】
端子60は、金属板から作られており、図3(A)〜(C)によく見られるように、底壁部53に接した状態で前後方向に延びる基部61と、該基部61の後方寄り位置、すなわち同図における左方位置にて該基部61から上方へ向けて突出する接触部62を有している。該接触部62は、その前方側部分が後述の規制部62Aとして形成されている。該接触部62は図1および図3(A)によく見られるように、ハウジング50の端子保持孔51Aから受入凹部54内に延出している。また、該端子60は、前後方向での中間位置にて上記基部61から上方へ向けて延び先端が突起状をなす被取付部63を有している。該被取付部63は、その先端がハウジング50の端子保持溝51Aの内面に喰い込んで該ハウジング50に係止しており、これによって、端子60はハウジング50に対して固定されている。このような構成の端子60は、図3(A)〜(C)によく見られるように、コネクタ嵌合方向、すなわち上下方向における寸法がケーブル用コネクタ10の端子30の同方向の寸法とほぼ同じである。
【0049】
端子60において、前後方向における接触部62と被取付部63との間の凹部分は、コネクタ嵌合時にケーブル用コネクタ10の端子30の被規制部36を受け入れる受入部64として形成されている。端子60は、前方寄り位置、すなわち図3(A)〜(C)での右方位置にてコネクタ高さ方向で回路基板(図示せず)と同じレベルまで下方に延びるとともに該回路基板と平行な方向(紙面に垂直な方向)に屈曲されており、該回路基板と平行な部分は接続部65として形成されている。端子60は、接続部65が回路基板の対応回路部と半田接続されることにより該対応回路部と電気的に接続される。
【0050】
移動部材70は、図1に示されているように、ハウジング50の側壁部52同士間とほぼ同じ間隔をもって前後方向に延びる二つの腕部71と、コネクタ幅方向に延び該腕部71の前端部同士を連結する連結部72とを有する。腕部71は、コネクタ高さ方向に対して直角な板面を有する上板部71Aおよび下板部71Bを該コネクタ高さ方向にて間隔をもって配置したような形状をなしており、該上板部71Aおよび下板部71Bは、該腕部71の後端部のコネクタ外方寄り位置にて被係止部71Cによって連結されている(図1参照)。
【0051】
図2によく見られるように、各腕部71の上板部71Aは、コネクタ幅方向でコネクタ内方側の縁部が、ハウジング50の側壁部52よりもコネクタ内方に位置している。上板部71Aの上記縁部は前後方向での中間位置に段部を有する平面形状をなしており、前方側部分が後方側部分よりもコネクタ内方に延びていて、該前方側部分が第一ロック部71A−1、後方側部分が第二ロック部71A−2として形成されている。
【0052】
後述するように、該第一ロック部71A−1および第二ロック部71A−2は、離脱阻止位置にて、ケーブル用コネクタ10とコネクタ離脱方向(図3(A)〜(C)における上方向)で係止して該ケーブル用コネクタ10の離脱を阻止する。以下、説明の便宜上、第一ロック部71A−1と第二ロック部71A−2とを総称して「ロック部」というものとする。
【0053】
図1によく見られるように、被係止部71Cはハウジング50の側壁部52よりもコネクタ外方に位置しており、該被係止部71Cのコネクタ内方側の側面は、上記側壁部52のコネクタ外方側の側面、すなわち第一係止部(図示せず)および第二係止部52Aが設けられている面と、コネクタ幅方向にてほぼ一致している。
【0054】
移動部材70が嵌合許容位置にあるとき、該移動部材70の被係止部71Cは、ハウジング50の第一係止部と第二係止部52Aとの間に位置している。該嵌合許容位置において、該被係止部71Cの前端面は第一係止部の後端面と前後方向で対向するので、仮に、移動部材70に対して該移動部材70を前方へ移動させる力が作用したとしても、該被係止部71Cの前端面と第一係止部の後端面とが当接する。すなわち、被係止部71Cの前方向移動時に該被係止部71Cと第一係止部とが係止し合うので、該移動部材70の前方への抜けが防止される。
【0055】
また、移動部材70が嵌合許容位置にあるとき、被係止部71Cの後方には前端面がテーパ面として形成されている第二係止部52Aが位置している。すなわち、移動部材70が離脱阻止位置へ向けて後方へ移動する際、上記被係止部71Cが第二係止部52Aを乗り越えなければならないようになっている。
【0056】
また、移動部材70が離脱阻止位置へ移動したとき、被係止部71Cの前方に後端面がテーパ面として形成されている第二係止部52Aが位置するので、移動部材70が嵌合許容位置へ向けて前方へ移動する際、上記被係止部71Cが第二係止部52Aを乗り越えなければならないようになっている。
【0057】
次に、このように構成されたケーブル用コネクタ10および基板用コネクタ40の使用要領について説明する。
【0058】
まず、図1および図3(A)〜(C)に示されるように、コネクタ嵌合前において、回路基板(図示せず)上に実装された基板用コネクタ40の移動部材70が前方位置、すなわち嵌合許容位置にある状態で、該基板用コネクタ40の受入凹部54内にケーブル用コネクタ10を上方から嵌入させて、図3(B)に示されるコネクタ嵌合状態にもたらす。ケーブル用コネクタ10が嵌入することにより、ケーブル用コネクタ10の端子30の接触部34と基板用コネクタ40の端子60の接触部62とが接触して、両コネクタが電気的に導通する。具体的には、図6に示されるように、上記端子60の接触部62が上記端子30の一対の接触部34の巻込部34A間に進入し、該巻込部34Aが上記接触部62と弾性的に挟圧接触する。本実施形態では、上記接触部62が上記巻込部34A間に進入する際、該巻込部34Aの湾曲部分が導入部分となって、該接触部62が案内されて巻込部34A間に進入しやすくなっている。
【0059】
コネクタ嵌合状態において、図3(B)および図4(B)に示されるように、上記端子60の接触部62は、その先端が上記端子30の上面から突出しない程度に該端子30の一対の延出部35の間、すなわち孔部37に進入している。このように、接触部62の嵌合方向での寸法を、該接触部62の先端が孔部37にまで到達する程度の寸法にすることにより、有効嵌合長、すなわちコネクタ同士が完全に嵌合した状態における接触部62の先端から該接触部62と上記端子30の巻込部34Aとの正規の接触位置までの嵌合方向での距離を大きく確保できる。これによって、コネクタ嵌合状態において、上記ケーブル用コネクタ10の巻込部34Aと上記基板用コネクタ40の接触部62との接触位置が、コネクタ同士が完全に嵌合している場合の正規な接触位置から該接触部62の先端側に多少ずれて位置していても、該巻込部34Aと該接触部62との電気的導通を確保することができる。したがって、コネクタの各部品における上記嵌合方向での製造誤差あるいはこれらの部品の同方向での組立誤差が生じている場合や、コネクタ嵌合状態が不完全である場合であっても、上記巻込部34Aと上記接触部62の安定した接触状態を確保することができる。
【0060】
また、コネクタ嵌合状態において、該巻込部34Aと該接触部62との接触部位に不用意な外力が多少作用しても、有効嵌合長が大きく確保されているので、端子同士の抜けが容易に生じることはなく、端子同士の安定した接触状態を良好に維持することができる。
【0061】
本実施形態では、コネクタ嵌合状態において、接触部62の先端は上記端子30の上面から突出していないが、これに代えて、該接触部62の先端を上記端子30の上面から突出させてもよい。この場合、ハウジング20の端子孔21の該内面に、上記接触部62の先端の進入を許容する孔部または凹部を設けておくことにより、該接触部62の先端と上記内面との衝突を回避することが可能となる。
【0062】
コネクタ嵌合状態において、ケーブル用コネクタ10の端子30の被規制部36は基板用コネクタ40の端子60の受入部64内に進入し、該被規制部36の後面が上記端子60の規制部62Aの前面と対向している。
【0063】
次に、移動部材70を後方へ移動させてケーブル用コネクタ10の離脱を阻止するためのロックを行う。移動部材70に対して操作者が指によって後方へ向けた操作力を加えて移動操作がなされると、移動部材70は、該移動部材70の被係止部71Cがハウジング50の第二係止部52Aを乗り越えて後方へ移動して、図3(C)に示されるような離脱阻止位置にもたらされる。
【0064】
移動部材70が離脱阻止位置にもたらされると、移動部材70の第一ロック部71A−1はケーブル用コネクタ10の第一被ロック部20Aの上方に、移動部材70の第二ロック部71A−2はケーブル用コネクタ10の第二被ロック部20Bの上方に位置し、これによって、ケーブル用コネクタ40に対するロックが完了する。すなわち、ケーブル用コネクタ10に対して上方への不用意な力が作用しても、第一ロック部71A−1が第一被ロック部20Aとコネクタ離脱方向で係止し、また、第二ロック部71A−2が第二被ロック部20Bとコネクタ離脱方向で係止することにより、ケーブル用コネクタ10の離脱が阻止される。
【0065】
なお、ケーブル用コネクタ10を基板用コネクタ40から離脱させたい場合には、移動部材70を前方に移動させて戻し、該移動部材70をもとの嵌合許容位置にもたらすことによりロックを解除した後、ケーブル用コネクタ10を基板用コネクタ40から上方へ引き抜けばよい。
【0066】
本実施形態では、コネクタ嵌合状態において、ケーブル用コネクタ10の端子30の被規制部36の後面が基板用コネクタ40の端子60の規制部62Aの前面と対向するので、ケーブルCに対して後方への不用意な力が作用したとき、後方へ移動した上記被規制部36の後面が上記規制部62Aの前面に当接することにより、後方への該被規制部36のそれ以上の移動が規制される。この結果、ケーブル用コネクタ10の端子30の抜けが防止される。
【0067】
また、上記被規制部36は金属製の端子30の一部として形成されており、強度が大きくすることができ、ケーブルCに対して後方へ不用意な大きい力が作用して、金属製の端子60の一部として形成されている上記規制部62Aと当接しても上記被規制部36は十分に耐えられ、端子30が変形あるいは損傷することを回避できる。また、上記規制部62Aは、金属製の端子60の一部として形成されており、上記被規制部36と同様に十分な強度を有しているので、上記被規制部36との当接により変形あるいは損傷することはない。
【0068】
本実施形態では、上記被規制部36は、幅方向にて上記規制部62Aの両側に位置する一対の延出部35を連結しているので、図6に示されているように、前後方向で見たときに、幅方向(図6における左右方向)に延びる被規制部36と嵌合方向(図6における上下方向)に延びる該規制部62Aとが交差している。したがって、ケーブルCに対して後方への不用意な力が作用したとき、幅方向および嵌合方向において端子30および端子60の位置ずれが多少あっても、被規制部36の後面と規制部62Aの前面とが確実に当接する。この結果、後方への被規制部36の移動が規制部62Aによって規制され、ケーブル用コネクタ10の端子30の抜けが確実に防止される。
【0069】
また、本実施形態では、延出部35の前端部が下方、すなわち嵌合方向に屈曲しており、被規制部36は該延出部35の前端部同士を連結している。嵌合方向に延びる該被規制部36の後面は金属板の板面で形成されているので、幅方向および嵌合方向にて被規制部36の寸法を大きくすることにより、該被規制部36の後面の面積を大きくすることができる。これによって、被係止部36の後面と規制部62Aの前面との当接面積を大きくすることが可能となる。この結果、幅方向および嵌合方向で端子30および端子60の位置ずれがあってもケーブル用コネクタ10の端子30の抜けがより確実に防止される。
【0070】
また、図3(B)に示されているように、コネクタ嵌合状態において、基板用コネクタ40の端子60は、嵌合方向すなわちコネクタ高さ方向における大部分がケーブル用コネクタ10の端子30の範囲内に位置している。これによって、コネクタ組立体1の低背化が図られている。
【0071】
本実施形態では、コネクタ嵌合状態において、図3(B)に示されているように、ケーブル用コネクタ10のカシメ部32A、圧着部32B、係止部33、接触部34、基板用コネクタ40の被取付部63、接続部65が前方へ向けて順に位置しており、これらの部分は前後方向にて非重複位置に設けられている。仮に、これらの部分が前後方向で重複位置に設けられた場合、各部分は、高さ方向において重複位置に設けることはできないので、嵌合方向、すなわちコネクタ高さ方向でずらして設ける必要がある。その結果、コネクタ組立体の高さ方向寸法が大きくなってしまう。
【0072】
本実施形態では、これらの部分が前後方向にて非重複位置に設けられているので、各部分を高さ方向でずらす必要がなく、コネクタ組立体1の低背化が可能となる。また、本実施形態のコネクタでは、高さ方向での省スペース化、すなわち低背化の要求は大きいが、ケーブルCが延びる方向、すなわち前後方向でのスペースに余裕があるので、各部分を非重複位置に設けることによりコネクタ組立体1の前後方向での寸法が多少大きくなっても何ら問題はない。
【0073】
本実施形態では、図6によく見られるように、基板用コネクタ10の接触部34の下端を湾曲させて巻込部34Aを形成することとしたが、これに代えて、図7に示されるように、接触部の下端を湾曲させずに、該下端が下方へ向けて延びた形態としてもよい。同図に示される変形例では、接触部34’は、幅方向(図7における左右方向)外側の板面にディンプル加工が施されており、該板面に凹部34’Aが形成されているとともに、幅方向内側の板面に幅方向内方へ突出する突起34’Bが形成されている。コネクタ嵌合状態において、一対の接触部34’は上記突起34’にて端子60の接触部62と弾性的に挟圧接触するので、該接触部62との接触圧が大きく確保される。
【0074】
本実施形態では、ケーブル用コネクタ10の端子30は、前方に延びる一対の延出部35と、該延出部35の前端部を連結する被規制部36とを有することとしたが、これに代えて、ケーブル用コネクタの端子は、前方へ延びる板状の一つの延出部と、該延出部の前端部から下方に延びる被規制部とを有することとしてもよい。該被規制部は、延出部の前端部を下方に向けて屈曲させることにより容易に形成できる。この変形例によっても、該被規制部の後面が基板用コネクタの規制部の前面と対向するので、被規制部は、幅方向の寸法そして該嵌合方向の寸法を大きく形成することができる。したがって、ケーブルに対して後方への不用意な力が作用したとき、幅方向および嵌合方向における端子の位置ずれが多少あっても、被規制部の後面と規制部の前面とが確実に当接する。この結果、後方への被規制部の移動が規制部によって規制され、ケーブル用コネクタ10の端子30の抜けが確実に防止される。
【0075】
本実施形態では、規制部62Aは基板用コネクタ40の端子60の接触部62の一部として形成されることとしたが、これに代えて、被規制部は基板用コネクタにおける接触部とは別個の部分として形成されていてもよい。
【0076】
本実施形態では、基板用コネクタ10とケーブル用コネクタ40の嵌合方向は回路基板に対して直角な方向であることとしたが、嵌合方向はこれに限られず、回路基板に対して角度をもってコネクタ同士が嵌合することとしてもよい。
【0077】
<第二実施形態>
本実施形態は、ケーブル用コネクタの端子が、該端子の基部が下側に位置した姿勢で該ケーブル用コネクタに設けられている点で、ケーブル用コネクタの端子が、該端子の基部が上側に位置した状態でケーブル用コネクタに設けられている第一実施形態と異なる。本実施形態は、第一実施形態と相俟って、端子保持の向きに関して選択の幅を広げ、これによって、ケーブル用コネクタの使い勝手が向上する。以下、第一実施形態と異なる点を中心に本実施形態を説明する。第一実施形態と同一の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
図8は、本実施形態に係るケーブル用コネクタ(図示せず)の端子30および基板用コネクタ(図示せず)の端子60を後方から見た斜視図であり、(A)はコネクタ嵌合前における状態、(B)はコネクタ嵌合後における状態を示している。図9は、本実施形態に係るケーブル用コネクタ(図示せず)の端子30を前方から見た斜視図である。図10は、図8(B)のX−X断面図であり、前後方向における両端子の接触部の位置での断面を示している。
【0079】
本実施形態におけるケーブル用コネクタは、第一実施形態と同様に、ハウジング(図示せず)および端子30を有している。該端子30自体は、第一実施形態における端子30と同一形状をなしているが、該端子30を上下反転させた姿勢、すなわち基部31が下側に位置するような姿勢(図8(A),(B)および図9参照)で上記ハウジングに保持されている点で第一実施形態と異なる。
【0080】
本実施形態では、前後方向に延びる上記基部31から一対のカシメ部32A、圧着部32B、係止部33が上方へ向けて延びている。また、一対の接触部34が係止部33の前端部と連結され前方へ向けて延びるとともに、その前部の上端が該接触部34同士の対向方向である幅方向内側に巻き込むように湾曲した巻込部34Aを有している。したがって、この巻込部34Aの湾曲部分は上方へ向けて位置している。各巻込部34Aの先端部は、図10によく見られるように、該先端部同士が互いに離れる方向に屈曲されており、該先端部同士の間隔が大きくなっている。このように、該先端部同士の間、すなわち基板用コネクタの端子60の接触部62の導入部分を拡げておくことにより、コネクタ嵌合時において上記接触部62が巻込部34A間に進入しやすくなっている。
【0081】
また、一対の延出部35が基部31の前部から前方へ向けて延び、その前端部が上方へ向けて屈曲している。被規制部36は延出部35の前端部同士を連結した状態をなしていて幅方向に延びている(図9参照)。
【0082】
なお、本実施形態のハウジング(図示せず)は、第一実施形態におけるハウジング20と同じ外形をなしており、また、本実施形態の基板用コネクタ(図示せず)は、第一実施形態の基板用コネクタ40と基本的に同じ構成をなしている。また、基板用コネクタの端子60の接続部65は、図8および図10に示されているように、端子60の下端が第一実施形態とは反対の方向に向けて屈曲されることにより形成されている。
【0083】
コネクタ嵌合の際には、ケーブル用コネクタを上方から基板用コネクタの受入凹部内に嵌入させる。該ケーブル用コネクタの嵌入時において、基板用コネクタの端子60の接触部62は、一対の延出部35同士の間、すなわち孔部37へ、さらに巻込部34同士間へ下方から進入し、ケーブル用コネクタおよび基板用コネクタは嵌合状態にもたらされる(図8(B)および図10参照)。
【0084】
コネクタ嵌合状態において、図10によく見られるように、一対の巻込部34Aは、該巻込部3A同士の対向方向内側に突出する凸部にて上記接触部62と弾性的に挟圧接触し、これによって、ケーブル用コネクタと基板用コネクタが電気的に接続される。また、コネクタ嵌合状態において、図10によく見られるように、ケーブル用コネクタの端子30の被規制部36の後面は基板用コネクタの端子60の規制部62Aの前面と対向する。
【0085】
したがって、基部31が下側に位置した姿勢で端子30をケーブル用コネクタに設けることが要求されるような場合において、本実施形態によれば、コネクタ嵌合状態において、上記被規制部36の後面が上記規制部62Aの前面と対向するので、ケーブルに対して後方への不用意な力が作用したとき、後方へ移動した上記被規制部36の後面が上記規制部62Aの前面に当接することにより、後方への該被規制部36のそれ以上の移動が規制される。この結果、ケーブル用コネクタの端子30の抜けが防止される。
【0086】
また、本実施形態においても、第一実施形態と同様に、上記被規制部36は、幅方向にて上記規制部62Aの両側に位置する一対の延出部35を連結しているので、図10に示されているように、前後方向で見たときに、幅方向(図10における左右方向)に延びる被規制部36と嵌合方向(図10における上下方向)に延びる該規制部62Aとが交差している。したがって、ケーブルに対して後方への不用意な力が作用したとき、幅方向および嵌合方向において端子30および端子60の位置ずれが多少あっても、被規制部36の後面と規制部62Aの前面とが確実に当接する。この結果、後方への被規制部36の移動が規制部62Aによって規制され、ケーブル用コネクタの端子30の抜けが確実に防止される。
【0087】
<第三実施形態>
第三実施形態は、ケーブル用コネクタの端子の基部の前部が斜下前方へ屈曲されており、その屈曲した部分から延出部が前方へ向けて延びている点および該延出部が嵌合方向に屈曲されていない点で、嵌合方向において基部と同位置で該基部の前部から延出部が前方へ延びるとともに、該延出部の前端部が嵌合方向に屈曲している第一実施形態と異なっている。本実施形態に係るケーブル用コネクタおよび基板用コネクタの基本的な構成は第一実施形態と同じであるので、異なる点を中心に説明する。第一実施形態と同一の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0088】
図11は、本実施形態に係るケーブル用コネクタの端子30’および基板用コネクタの端子60を後方から見た斜視図であり、(A)はコネクタ嵌合前における状態、(B)はコネクタ嵌合後における状態を示している。図12は、本実施形態に係るケーブル用コネクタの端子30’を前方から見た斜視図である。図13は、図11(B)のXIII−XIII断面図であり、前後方向における両端子の接触部の位置での断面を示している。
【0089】
本実施形態では、図11および図12によく見られるように、基部31’の前部が斜下前方へ屈曲されており、延出部35’が一対の腕片をなし該基部31’の屈曲部分から互いに平行して前方へ向けて延びている。また、該延出部35’はその延出方向において屈曲されていない。被規制部36’は、該延出部35’の前端部同士を連結した状態をなしていて幅方向に延びている。すなわち、延出部35’および被規制部36’は、図11(A),(B)および図12に示されているように、端子30’を形成する金属板に、基板用コネクタの端子60の接触部62の進入を許容する、前後方向に延びるスリット状の孔部37’を設けることにより形成される。
【0090】
基板用コネクタへのケーブル用コネクタの嵌入時において、端子60の接触部62は、巻込部34A’同士間に下方から進入し、さらに孔部37’に下方から進入する(図11(B)および図13参照)。
【0091】
コネクタ嵌合状態において、接触部62の先端部は孔部37’から上方に突出する。該先端部は、嵌合方向における基部31’の上面の位置と同位置または下方に位置している。図13によく見られるように、一対の巻込部34A’は、対向方向内側に突出する凸部にて上記接触部62と弾性的に挟圧接触し、これによって、ケーブル用コネクタと基板用コネクタが電気的に接続される。また、図13によく見られるように、ケーブル用コネクタの端子30’の被規制部36’の後面は基板用コネクタの端子60の規制部62Aの前面と対向する。
【0092】
本実施形態においても、第一実施形態と同様に、コネクタ嵌合状態において、ケーブル用コネクタの端子30’の被規制部36’の後面が基板用コネクタの端子60の規制部62Aの前面と対向するので、ケーブルに対して後方への不用意な力が作用したとき、後方へ移動した上記被規制部36’の後面が上記規制部62Aの前面に当接することにより、後方への該被規制部36’のそれ以上の移動が規制される。この結果、ケーブル用コネクタの端子30’の抜けが防止される。
【0093】
本実施形態では、端子30’の基部31’の前部が斜下前方へ向けて屈曲されているので、孔部37’は、該基部31の前部が屈曲されていない第一実施形態の場合よりも下方に位置する。したがって、コネクタ嵌合状態において、上記端子60の接触部62の先端部が十分な突出量をもって上記孔部37’から突出しやすくなる。この結果、図13に示されているように、前後方向で見たときに、幅方向(図13における左右方向)に延びる被規制部36’と嵌合方向(図13における上下方向)に延びる該規制部62Aとを確実に交差させることができる。したがって、ケーブルに対して後方への不用意な力が作用したとき、幅方向および嵌合方向において端子30’および端子60の位置ずれが多少あっても、被規制部36’の後面と規制部62Aの前面とが確実に当接する。この結果、後方への被規制部36’の移動が規制部62Aによって規制され、ケーブル用コネクタの端子30’の抜けが確実に防止される。
【0094】
なお、ここでは、上記接触部62の先端を上記孔部37’から突出させることにより、後方への被規制部36’の移動をより確実に規制する形態について説明したが、上記接触部62の先端を上記孔部37’から突出させなくても、該先端が嵌合方向において被規制部36’の板厚の範囲内に位置して規制部62Aの前面が被規制部36’の後面と対向する位置にあれば、後方への被規制部36’の移動を規制部62Aによって規制できることは言うまでもない。
【0095】
上述したように、本実施形態では、端子30’の基部31’の前部が斜下前方へ向けて屈曲されている。また、コネクタ嵌合状態にあるとき、端子60’の接触部62’の先端部は、ハウジングの端子孔の平坦な内面と接面する基部31’の前部の上面と嵌合方向(高さ方向)で同位置または下方に位置している。
【0096】
仮に、基部31’の前部が上述のように屈曲されておらず、また、屈曲部分を有さない延出部35’が基部31’の上記上面と嵌合方向において同位置で前方に延びているような形態にするとき、この場合においても、規制部62Aによって被規制部36’の移動を確実に規制するためには、上記接触部62’の先端部を延出部35’の上面の位置、すなわち、基部31’の上記上面の位置よりも上方に突出させるのが好ましい。したがって、この上記接触部62’の先端部がハウジングの端子孔の内面と衝突しないようにするために、該端子孔の内面に、上記先端部の進入を許容する孔部または凹部を追加的に形成する必要がある。
【0097】
本実施形態では、上記先端部が嵌合方向で基部31’の上記上面よりも上方に突出することはないので、そのような孔部や凹部を設ける必要がなく、その分、上記端子孔が単純な形状となり上記ハウジングの製造が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第一実施形態に係るケーブル用コネクタおよび基板用コネクタの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【図2】図1のケーブル用コネクタおよび基板用コネクタの平面図である。
【図3】図2のIII−III断面図であり、(A)はコネクタ嵌合前、(B)はコネクタ嵌合直後、(C)はコネクタ嵌合後かつ移動部材の移動後を示す。
【図4】第一実施形態に係るケーブル用コネクタの端子および基板用コネクタの端子を後方から見た斜視図であり、(A)はコネクタ嵌合前、(B)はコネクタ嵌合後を示す。
【図5】第一実施形態に係るケーブル用コネクタの端子を前方から見た斜視図である。
【図6】図4(B)のVI−VI断面図である。
【図7】第一実施形態における接触腕の変形例を示す断面図である。
【図8】第二実施形態に係るケーブル用コネクタの端子および基板用コネクタの端子を後方から見た斜視図であり、(A)はコネクタ嵌合前、(B)はコネクタ嵌合後を示す。
【図9】第二実施形態に係るケーブル用コネクタの端子を前方から見た斜視図である。
【図10】図8(B)のX−X断面図である。
【図11】第三実施形態に係るケーブル用コネクタの端子および基板用コネクタの端子を後方から見た斜視図であり、(A)はコネクタ嵌合前、(B)はコネクタ嵌合後を示す。
【図12】第三実施形態に係るケーブル用コネクタの端子を前方から見た斜視図である。
【図13】図11(B)のXIII−XIII断面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 コネクタ組立体 36 被規制部
10 ケーブル用コネクタ 40 基板用コネクタ
20 ハウジング 50 ハウジング
30 端子 60 端子
32 結線部 62A 規制部
34 接触部 63 被取付部(固定部)
34A 巻込部 65 接続部
35 延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板から作られた端子の結線部にケーブルが結線されて該ケーブルが後方に延びるケーブル付端子を有するケーブル用電気コネクタであって、回路基板に取り付けられる相手コネクタたる基板用電気コネクタの嵌合部へ該ケーブルの延出方向に対して直角な嵌合方向で嵌合されて、端子が上記結線部よりも前方に接触部を有し、該接触部が基板用電気コネクタの対応接触部と接続可能な上記ケーブル用電気コネクタにおいて、上記端子は、結線部よりも前方に位置し前方へ延びる延出部と、該延出部の前端部から嵌合方向に延びる被規制部とを有しており、コネクタ嵌合状態にて、上記被規制部は、上記基板用電気コネクタの端子に設けられた規制部より前方に位置して該被規制部の後面が規制部の前面と対向しており、後方への上記被規制部の移動が上記規制部によって規制されるようになっていることを特徴とするケーブル用電気コネクタ。
【請求項2】
金属板から作られた端子の結線部にケーブルが結線されて該ケーブルが後方に延びるケーブル付端子を有するケーブル用電気コネクタであって、回路基板に取り付けられる相手コネクタたる基板用電気コネクタの嵌合部へ該ケーブルの延出方向に対して直角な嵌合方向で嵌合されて、端子が上記結線部よりも前方に接触部を有し、該接触部が基板用電気コネクタの対応接触部と接続可能な上記ケーブル用電気コネクタにおいて、上記端子は、結線部よりも前方に位置し前方へ延びる一対の延出部と、該延出部同士を連結する被規制部とを有しており、コネクタ嵌合状態にて、上記一対の延出部は、前後方向および嵌合方向の両方向に対して直角な方向で、上記基板用電気コネクタの端子に設けられた規制部の両側に位置し、かつ、上記被規制部は、上記規制部より前方に位置して該被規制部の後面が規制部の前面と対向しており、後方への上記被規制部の移動が上記規制部によって規制されるようになっていることを特徴とするケーブル用電気コネクタ。
【請求項3】
延出部は、前端部が嵌合方向に屈曲しており、被規制部は、延出部の上記前端部同士を連結して形成されていることとする請求項2に記載のケーブル用電気コネクタ。
【請求項4】
接触部は、コネクタ嵌合時に基板用電気コネクタの端子の対応接触部の進入を許容し該対応接触部を挟圧して接触する一対の接触片として形成されており、該一対の接触片は、嵌合方向での先端が対向方向内側に巻き込むように湾曲していることとする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載のケーブル用電気コネクタ。
【請求項5】
接触部は、前方に向け片持梁状に延びていることとする請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載のケーブル用電気コネクタ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載のケーブル用電気コネクタと、該ケーブル用電気コネクタと嵌合接続する基板用電気コネクタとを備え、コネクタ嵌合状態にて、基板用電気コネクタの端子が嵌合方向でのケーブル付端子の範囲に位置するように形成されていることを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載のケーブル用電気コネクタと、該ケーブル用電気コネクタと嵌合接続する基板用電気コネクタとを備え、基板用電気コネクタの端子は、該基板用コネクタのハウジングに係止して固定される固定部と、回路基板の対応回路部と電気的に接続される接続部とを有し、コネクタ嵌合状態にて、ケーブル用電気コネクタの結線部および接触部と、基板用電気コネクタの上記固定部および上記接続部とが、前後方向にて非重複位置に設けられていることを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項8】
請求項2ないし請求項5のいずれか一つに記載のケーブル用電気コネクタと、該ケーブル用電気コネクタと嵌合接続する基板用電気コネクタとを備え、コネクタ嵌合状態にて、基板用電気コネクタの端子の対応接触部がケーブル用電気コネクタの端子の延出部同士間にまで到達していることを特徴とするコネクタ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−10024(P2010−10024A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170050(P2008−170050)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【Fターム(参考)】