説明

ゲル状食品

【課題】レトルト殺菌しても、外観にムラがほとんどなく、滑らかな食感である食用種子成分と乳成分を含んだゲル状食品の提供。
【解決手段】食用種子成分3〜10質量%、乳成分及びゲル化剤を含み、さらにセルロース0.1〜5質量%、HLB値が12以上である乳化剤0.01〜1質量%を含む、ゲル状食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト殺菌しても、外観にムラがほとんどなく、滑らかな食感である食用種子成分と乳成分を含んだゲル状食品に関する。
【背景技術】
【0002】
身の回りには、ゼリー、プリン、豆腐、こんにゃくなど様々なゲル状食品があふれている。ゲル状とは実質的にゲルを形成している状態のことである。ゲルとは高分子学会編の「新版高分子辞典」では「あらゆる溶媒に不溶の三次元網目構造をもつ高分子及びその膨潤体」と定義されるものであり、液体と固体の中間の物質形態のことをいう。
【0003】
食用種子とは、ゴマや大豆、コーヒー豆、カカオ豆、ヒマワリの種、かぼちゃの種など食用可能な植物の種子であり、これらは栄養価に優れており広く食品に利用されている。特にゴマは最も馴染みが深い食用種子の一つである。ゴマとは、ゴマ科ゴマ属の一年草であり、その種子を食用とし、古くから親しまれている。通常は、ゴマというと、草そのもののことではなく、食用とする種子のことを指す。栄養価が高く健康に良いと言われており、煎りゴマ、すりゴマ、練りゴマなど様々な形態で食用されている。中にはゴマプリンのようなゲル状食品も存在する。工業的に製造されるゴマプリンは、練り胡麻、乳成分、ゲル化剤などを用いて製造される。しかし、ゴマに代表される食用種子は、様々な成分を含むために、加熱や経時的に凝集を起こしやすいという問題点がある。加えて、例え、練り胡麻のように、小さく粉砕されたものであっても水不溶性であることは変わらないため、沈殿を起こしやすい。すなわち、食用種子成分を含むゲル状食品においては外観に、色ムラができたり、食感がザラツクなどの問題が生じることが非常に多かった。特に加熱殺菌時には、ゲル化剤は溶けて、溶液上になるため、沈降や凝集が非常に起こりやすい。そのため、特許文献1では、胡麻成分を含む原料液と、乳成分を含む原料液を別々に加熱時間の短くて済むUHT殺菌をして、混合するゴマプリンの製造方法が開示されている。特許文献2では、レトルト殺菌時の凝集を微結晶セルロースで抑制する技術が開示されている。特許文献3では二種類の乳化剤の組み合わせによるゲル状食品の殺菌時の凝集抑制が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−263924号公報
【特許文献2】特開2004−313123号公報
【特許文献3】特開2002−262787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、食用種子としてゴマを使用している。そして、特許文献1では、原材料を別々にUHT殺菌し、混合してゴマプリンを製造する工程が開示されている。しかし、原材料を別々にUHT殺菌することは、非常に手間がかかる、レトルト殺菌に比べ、UHT殺菌は日持ちが短くなる傾向にある、という課題があった。しかし、ゴマ成分を代表とする食用種子成分と乳成分を含むゲル状食品をレトルト殺菌しようとした場合、ゲル化剤が溶解している間に食用種子成分が沈降しやすく、食用種子成分、乳成分が凝集を起こして見た目にムラができる、食感が悪化するという課題があった。
【0006】
また、特許文献2では、乳成分の凝集を微結晶セルロースで抑制しているが、さらに油分やタンパク質を含む食用種子が存在する場合、微結晶セルロースのみでは凝集を抑制できないという問題があった。特許文献3では、有機酸モノグリセリドとポリグリセリン脂肪酸エステルの二種類の乳化剤を用いているが、全成分を一括で仕込むと凝集抑制効果は不十分であり、油分を含む成分と、含まない成分を別々にそれぞれの乳化剤と混合する工程が必要で、操作が煩雑であるという問題点があった。さらに、油分やタンパク質を含む食用種子が存在する場合には、前記2種類の乳化剤を用いたとしても凝集抑制効果が不十分であること、食用種子が沈降して不均一になるという問題があった。特に食用種子成分の含有量が多くなるほど、凝集抑制が困難であった。
【0007】
上記問題を鑑み、本発明は、レトルト殺菌しても外観にムラがほとんどなく、滑らかな食感である食用種子成分を含んだゲル状食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、セルロースと特定の乳化剤を併用することにより、食用種子成分を多く含み、且つ乳成分を含むレトルト殺菌のゲル状食品であっても、外観にムラがほとんどなく、滑らかな食感のゲル状食品にでき、しかも、驚くべきことに原材料を別々に予備調製する必要がないことを見出し、本発明を成すに至った。すなわち本発明は下記の通りである。
【0009】
(1)食用種子成分3〜10質量%、乳成分及びゲル化剤を含み、さらにセルロース0.1〜5質量%、HLB値が12以上である乳化剤0.01〜1質量%を含む、ゲル状食品。
(2)食用種子成分がゴマ成分である(1)に記載のゲル状食品。
(3)セルロースが結晶セルロース複合体である(1)又は(2)のいずれかに記載のゲル状食品。
(4)乳化剤が、HLB値が12以上のショ糖脂肪酸エステル及び/又は酵素処理レシチンである(1)〜(3)のいずれか一つに記載のゲル状食品。
(5)食用種子成分、乳成分、ゲル化剤、セルロース、及び乳化剤を混合する工程、加熱によりゲル化剤を溶解した後、容器に充填して密封する工程、及びレトルト殺菌をする工程を含む(1)〜(4)のいずれか一つに記載のゲル状食品の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゲル状食品は、レトルト殺菌しても外観にムラがほとんどなく、滑らかな食感であるという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のゲル状食品は、食用種子成分、乳成分、ゲル化剤、セルロース、及び乳化剤を含む。
【0012】
本発明でいう食用種子成分とは、ゴマ、大豆、コーヒー豆、カカオ豆、ヒマワリの種、かぼちゃの種など食用可能な植物の種子の成分のことをいう。本発明に用いる食用種子としては、入手が容易であり、風味や栄養分に優れるゴマが好ましい。本発明に用いるゴマは、黒ゴマでも白ごまでもその混合物でも良く、その形態も特に制限はない。すなわちゴマ成分としては、例えば、煎りゴマ、すりゴマ、ゴマペースト(練りゴマ)などが挙げられる。特にゴマペーストは、食感が滑らかで風味が良いため好ましい。ゲル状食品全体に対しての食用種子成分の割合は、風味の観点から、3〜10質量%であり、好ましくは3〜8質量%である。
【0013】
本発明でいう乳成分とは、牛、羊、山羊などの動物や、大豆などの植物から得られる、乳及び乳製品で、生乳、牛乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、全脂練乳、脱脂練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バター、バターミルク、生クリーム、チーズ、豆乳などのことをいう。これらは、そのまま用いても良いし、溶解又は希釈して用いても良い。ゲル状食品全体に対しての乳成分の割合は、風味の点から、固形分で1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量%である。
【0014】
本発明で用いるゲル化剤としては、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸塩、ジェランガムなどが挙がられる。これらを単独もしくは複数を組み合わせて使用する。ゲル状食品全体に対してのゲル化剤の割合は、固形分で0.1〜1質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜0.8質量%である。ゲル化剤が1質量%以下であれば、ゲルが適度な硬さとなり、食感が良好になる。また、0.1質量以上であれば、ゲル状態を維持できる。
【0015】
本発明でいうセルロースとは草木類や微生物などから得られる粒径が0.1〜200μmのセルロースのことであり、最も一般的なものとしては木材パルプを機械的若しくは化学的に処理して得られる粉末セルロースや結晶セルロースなどが挙げられる。粉末セルロースとしては、例えば、KC−フロック W−50、KC−フロック W−100(G)、KCフロック W−200(G)、KCフロック W−250、KCフロック W−300G、KCフロック W−400G(いずれも製品名、日本製紙ケミカル株式会社)が挙げられる。結晶セルロースとしては、例えば、セオラス FD−101、セオラス FD−301、セオラス ST−02、セオラス ST−100、セオラス FD−F20、セオラス UF−F711、セオラス UF−F702(いずれも製品名、旭化成ケミカルズ株式会社)、エンデュランスMCC VE−050(製品名、FMCバイオポリマー社製)などが挙げられる。特に、本発明ではセルロースのなかでも極めて純度が高く、好食感である結晶セルロースを用いることが好ましい。
【0016】
本発明における結晶セルロースとは、例えば木材パルプ、精製リンターなどのセルロース系素材を、酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解などにより解重合処理して得られる平均重合度30〜400、結晶部分が10%を超えるものをいう。ここでいう平均重合度とは「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)の結晶セルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定されたものをいう。
【0017】
本発明のセルロースとしては、結晶セルロース複合体を用いることが好ましい。結晶セルロース複合体は、例えば、結晶セルロースと親水性高分子を混合し、湿式磨砕して、乾燥・粉砕することにより得られるものである。
【0018】
親水性高分子としては例えば、カルボキシメチルセルロース及びその塩、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、カラヤガム、カラギーナン、アラビアガム、グルコマンナン、ジェランガム、タマリンドシードガム、アルギン酸及びその塩や、アルギン酸プロピレングリコールエステルのようなエステル体などが挙げられる。
【0019】
また、結晶セルロース複合体には、結晶セルロースと親水性高分子以外にも、水溶性物質を含んでいても構わない。水溶性物質としては、ショ糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、異性化糖、水あめ、粉末水あめ、トレハロース、キシロース、アラビノースなどの糖類、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、還元水飴などの糖アルコール類、フラクトオリゴ糖、セロオリゴ糖、キシロオリゴ糖、マンノオリゴ糖、デキストリンなどのオリゴ糖・少糖類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、塩化マグネシウムなどの無機塩類などが挙げられる。
【0020】
一般的に市販されている結晶セルロース複合体としては、例えばセオラス RC−N81、セオラス RC−N30、セオラス DX−2、セオラス RC−591、セオラス SC−900(いずれも製品名、旭化成ケミカルズ株式会社製)や、アビセル RC−591、アビセル RC−581、アビセル BV1518、ノバゲル GP3282(製品名、FMCバイオポリマー社製)などが挙げられる。特にプロペラで容易に分散可能なセオラスDX−2が好ましい。
【0021】
ゲル状食品全体に対してのセルロースの配合割合は、0.1〜5質量%であり、好ましくは1〜3質量%である。0.1質量%以上とすることにより、レトルト殺菌しても外観にムラがほとんどなく、滑らかな食感であるという本発明の効果が発現しやすく、5質量%以下であれば、食感への影響が強くなることもない。
【0022】
本発明のゲル状食品ではセルロースと乳化剤を併用することがポイントである。
【0023】
本発明に使用する乳化剤はHLB値が12以上のものである。
【0024】
HLB値が12以上の乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステルのなかの高HLB品、ポリグリセリン脂肪酸エステルのなかの高HLB品、ショ糖脂肪酸エステルのなかの高HLB品、酵素処理レシチンなどが挙げられる。その中でも、安価で入手が容易なショ糖脂肪酸エステル、天然系の酵素処理レシチンが好ましい。
【0025】
HLB値が12未満の乳化剤では、レトルト殺菌時の凝集抑制効果が不十分となる。HLB値とは界面活性剤の水と油との親和性の程度を表す値であり、0から20までの値を取る。0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高いことを示す。すなわち上限は20であるが、16を超える乳化剤は入手困難であるため16以下が好ましい。HLB値は、日本由化学協会で制定された「基準油脂分析試験法」(1971)に準じて算出できる。ゲル状食品全体に対しての乳化剤の割合は、0.01〜1質量%である。0.01質量%以上とすることにより、レトルト殺菌しても外観にムラがほとんどなく、滑らかな食感であるという本発明の効果が得られやすく、1質量%を以下とすることで風味に悪影響が出てくることもない。より好ましくは0.05〜0.5質量%、さらに好ましくは0.1〜0.3質量%である。
【0026】
本発明のゲル状食品は、食用種子成分、乳成分、ゲル化剤、セルロース、及び乳化剤を加熱して混合し、容器に充填して密封し、レトルト殺菌することによって得られる。レトルト殺菌とは加圧下で100℃を越えて湿熱殺菌することである。
【0027】
本発明で実施するレトルト殺菌は、バッチ式でも連続式でもどちらでも構わず、常法に従って行えばよい。通常の殺菌温度は110〜140℃、殺菌時間は10〜60分である。また、レトルト殺菌前に均一な状態になりさえすれば、混合の順番や、方法に特に制限はなく、一般的な手法で行えばよい。例えば、粉末原料をあらかじめ粉で混合してから、水にプロペラ攪拌機や高速攪拌機、ホモジナイザー等で溶解・分散させても良いし、一部の原料をあらかじめ水に溶解・分散させてから、残りの原料を加えて、さらに溶解・分散させても構わない。ただし、滑らかな食感を得るためには、レトルト殺菌前にゲル化剤を均一に溶解させておく必要がある。
【0028】
本発明のゲル状食品には、必要に応じて、調味料、香料、増粘剤などの1種類又は2種類以上を含んでいても構わない。調味料としては、例えば、塩、はちみつ、ブドウ糖、果糖、異性化糖、麦芽糖、砂糖、ステビア、トレハロース、オリゴ糖(例えばフラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、乳果オリゴ糖など)、糖アルコール(例えばソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、還元パラチノースなど)、アセルファムK、ネオテーム、スクラロース、水飴、還元水飴、コショウなどの香辛料、出汁調味料(例えば、かつお出汁、昆布出汁、チキンコンソメ、ビーフコンソメ、ポークコンソメなど)、グルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。特に、還元水飴は甘味も少なく、食感をより滑らかにすることができるので、セルロース及び加工澱粉と共に用いることが好ましい。ゲル食品全体に対しての還元水飴の添加量は1〜20質量%が好ましい。
【0029】
香料としてはバニラエッセンス、ミント、トマト香料、オレンジ香料、レモン香料、ミルク香料などが挙げられる。
【0030】
増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、カラヤガム、カルボキシメチルセルロースの金属塩、グアーガム、ガディガム、アラビアガム、タラガム、アルギン酸プロピレングリールエステル、サイリウムシードガム、タマリンドシードガムなどが挙げられる。
【実施例】
【0031】
実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。官能評価の評価基準は下の通りに行った。
【0032】
(HLB値)
日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」(1971)に準じて算出した。
【0033】
(凝集(色ムラ))
○(良):側面にほとんど凝集が見られず、均一である。
△(可):わずかに凝集が見られ、よく見ると色ムラがある。
×(不可):完全に凝集が発生して色ムラがはっきり分かる。
【0034】
(沈殿)
○(良):容器の底を見ても、沈殿はほとんど見られない。
△(可):容器の底を見ると、沈殿が見られるが、横から見た場合は沈殿がはっきり
とは分からない。
×(不可):容器底部に完全に沈殿しており、横から見ても沈殿物がはっきり分かる。
【0035】
(食感(滑らかさ))
○(良):非常に滑らかな舌触りである。
△(可):○と比較するとわずかに滑らかさが足りないが、十分滑らかである。
×(不可):食感にムラがあり、滑らかな部分とそうでない部分が存在する。
【0036】
(実施例1、2、比較例1、2、3)
表1の組成に従ってゲル状食品を作製した。食用種子としてはゴマ(製品名:ミクロペースト黒胡麻、株式会社波里製)を用いた。乳化剤として、実施例1及び比較例3ではHLB値が15のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製)、実施例2ではHLB値12の大豆レシチン酵素処理物(太陽化学(株)製)、比較例2ではHLB値が7のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製)を用いた。
【0037】
試作方法は次のようである。ゲル化剤、セルロース(セオラス DX−2、製品名、旭化成ケミカルズ(株)製)、グラニュー糖、クリームパウダー、練乳パウダー、乳化剤をポリ袋内で粉混合し、高速攪拌機(TKホモミキサー、特殊機化工業(株)製)を用いて6000rpmで撹拌しながら水に加えた。 そのまま撹拌しながら、加熱し、ゲル化剤を溶解した。ゴマペーストを混合し、水溶きした食塩を混合した。さらに6000rpmで10分撹拌し、ゼリーカップ容器に充填し、シールしたのち、120℃で30分レトルト殺菌を行った。冷却後、カップより取り出し各評価を実施した。
【0038】
評価結果を表2に示す。セルロースとHLB値が15の乳化剤を併用した実施例1、セルロースとHLB値が12の乳化剤を併用した実施例2では、凝集・沈降がなく滑らかな食感の良好なゲル状食品であった。一方、セルロースとHLB値が7の乳化剤を併用した比較例1では、表面に凝集が発生し、ムラができていた。また、乳化剤を併用せずに、セルロースのみを用いた比較例2も、表面に凝集が発生してムラがあった。セルロースを併用せず、HLB値が15の乳化剤のみの場合は、表面に凝集が生じるだけではなく、容器にゴマ成分が沈降して完全に分離していた。
【表1】


【表2】

【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明により、レトルト殺菌しても、外観にムラがほとんどなく、滑らかな食感であるゲル状食品が得られるため、食品製造業に好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用種子成分3〜10質量%、乳成分及びゲル化剤を含み、さらにセルロース0.1〜5質量%、HLB値が12以上である乳化剤0.01〜1質量%を含む、ゲル状食品。
【請求項2】
食用種子成分がゴマ成分である、請求項1に記載のゲル状食品。
【請求項3】
セルロースが結晶セルロース複合体である、請求項1又は2に記載のゲル状食品。
【請求項4】
乳化剤が、HLB値が12以上のショ糖脂肪酸エステル及び/又は酵素処理レシチンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲル状食品。
【請求項5】
食用種子成分、乳成分、ゲル化剤、セルロース、及び乳化剤を混合する工程、
加熱によりゲル化剤を溶解した後、容器に充填して密封する工程、
及びレトルト殺菌をする工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゲル状食品の製造方法。

【公開番号】特開2013−63047(P2013−63047A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204302(P2011−204302)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】