説明

ゲートウェイ装置、中継方法、中継プログラム及び記録媒体

【課題】データ通信網とIP電話網が接続されるゲートウェイ装置とVoIP終端装置へのユーザ設定の負担を軽減する。
【解決手段】IP電話網100と通信するVoIP終端装置20に関する情報をVoIP終端装置設定情報に登録し、IP電話網100に関する情報をDHCP設定情報に登録しておき、転送設定部113がパケットの転送ルールを定めたパケット転送設定情報をVoIP終端装置設定情報とDHCP設定情報から生成し、生成部132がSIP情報をゲートウェイ装置内部設定情報とDHCP設定情報から生成してVoIP終端装置20へ通知する。これにより、ユーザを煩わせることなくゲートウェイ装置10及びVoIP終端装置20を設定することが可能となる。また、VoIP終端装置設定情報に、IP電話網100と通信するVoIP終端装置20を登録することで、ユーザは、VoIPサービスとインターネットを同時に利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末とネットワークとを接続する技術に関し、特にSIPを利用したVoIPサービスに用いられるゲートウェイ装置、中継方法、中継プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
SIP(Session Initiation Protocol)を利用したVoIP(Voice over Internet Protocol)サービスがISP(Internet Service Provider)や通信事業者によって提供されている。VoIPサービスの利用にあたっては、SIPを解釈し、通話パケットを音声信号に変換する機能を備えた装置(以下、「VoIP終端装置」と称する)が必要となる。
【0003】
ユーザがインターネットサービスやVoIPサービスを利用する際、宅内の端末と通信網を中継するCPE(Customer Premises Equipment:加入者宅内機器)のようなゲートウェイ装置を用いる(例えば、特許文献1参照)。ゲートウェイ装置は、WAN(広域ネットワーク)とLAN(ローカルエリアネットワーク)に接続するインタフェースを持ち、LAN側に接続された端末と、WAN側の通信を中継する。VoIPサービスの利用に際して、ゲートウェイ装置にVoIP終端装置が内蔵されていない場合、ユーザはゲートウェイ装置の配下に別途VoIP終端装置を接続する。VoIP終端装置はゲートウェイ装置のLAN側に接続され、通常は、LAN側セグメントのローカルIP(Internet Protocol)アドレスが割り当てられる。そして、VoIP終端装置が送受信するSIPメッセージおよび通話パケットはゲートウェイ装置によって中継、転送される。
【0004】
上記の構成でVoIPサービスを利用する場合、下記の2つの設定を行う必要が生じる。第1に、ゲートウェイ装置がVoIP終端装置の送受信するパケットを転送するために、ゲートウェイ装置のネットワークアドレス変換機能(NAT:Network Address Translation)、ファイアウォール、ルーティングを適切に設定する必要がある。第2に、SIPメッセージを生成するために、ゲートウェイ装置のWAN側インタフェースに割り当てられたグローバルIPアドレスをVoIP終端装置が把握する必要がある。
【0005】
上記の設定を行うために、従来技術としてUPnP(Universal Plug and Play)に対応したゲートウェイ装置とVoIP終端装置を用いたUPnP NAT Traversalがある。VoIP終端装置はUPnPを通じてゲートウェイ装置のグローバルIPアドレスを取得し、NAT設定を行うことができる。UPnP NAT Traversalは、VoIP終端装置のみならず、ゲートウェイ装置のLAN側に接続された非VoIP端末上のアプリケーションでも用いられる。アプリケーションの例として、WANを介して他者の端末とメッセージを交換するインスタントメッセンジャーが挙げられる。
【0006】
ところで、VoIPサービスの中には、ISPを介してインターネット上のサービスを利用するためのデータ通信網とは別に構築されたIP電話網を利用する形態のものがある(例えば、非特許文献1参照)。IP電話網はデータ通信網とは異なるサブネットであるため、ゲートウェイ装置のWAN側インタフェースには、データ通信網とIP電話網それぞれに対して通信するためのIPアドレスが割り当てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4091619号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「音声利用IP通信網サービス(第2種サービス タイプ1メニュー1)のインタフェース」、[online]、2008年3月31日、西日本電信電話株式会社、[平成21年4月20日検索]、インターネット〈URL:http://flets-w.com/hikaridenwa/download/hikari_tel5.0.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ISPが提供するVoIPサービスを利用する場合は、ゲートウェイ装置が接続するネットワークはデータ通信網のみであり、VoIP終端装置および非VoIP端末がUPnPで取得するグローバルIPアドレスは同一でよい。ところが、ゲートウェイ装置にIP電話網とデータ通信網を接続し、IP電話網を利用するVoIP終端装置とデータ通信網を利用する非VoIP端末の両方がUPnPを利用する場合、ゲートウェイ装置は接続された端末の種類に応じたグローバルIPアドレスを通知する必要が生じる。
【0010】
しかしながら、UPnPでは、接続された端末を識別して端末に応じたIPアドレスを通知する方法は規定されていない。IP電話網とデータ通信網が異なる場合では、VoIP終端装置と非VoIP端末のどちらかがUPnP NAT Traversalを利用できなくなるという問題が生じる。
【0011】
VoIP終端装置がUPnP NAT Traversalを利用しない場合、ユーザがゲートウェイ装置ならびにVoIP終端装置にIPアドレスやNAT等の設定を手動で設定すればVoIPサービスの利用は可能であるが、この設定作業はユーザの負担につながる。また、IP電話網側の設備工事やユーザの契約変更によって、ゲートウェイ装置に割り当てるIPアドレスや契約電話番号の変更などが起こる度に、ユーザは手動でゲートウェイ装置ならびにVoIP終端装置の設定を変更しなければならず、これもユーザにとって負担である。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、データ通信網とIP電話網が接続されるゲートウェイ装置とVoIP終端装置へのユーザ設定の負担を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の本発明に係るゲートウェイ装置は、データ通信網とIP電話網をWAN側に接続するゲートウェイ装置であって、IP電話網と通信する端末に関する情報を登録した端末設定情報及びIP電話網に関する情報を登録した網側情報を格納する記憶手段と、記憶手段から端末設定情報と網側情報を読み出し、端末設定情報に登録された端末とIP電話網との間でパケットを中継するとともに、端末設定情報に登録されていない端末とデータ通信網との間でパケットを中継するように設定する転送情報を生成して記憶手段に格納させる転送設定手段と、転送情報を参照し、LAN側に接続される端末とデータ通信網あるいはIP電話網との間でパケットを中継する転送手段と、端末からIP電話網との通信に必要なIP電話情報が要求されたときに、当該端末が端末設定情報に登録されているか否かを判定し、当該端末が端末設定情報に登録されている場合は、当該端末に設定するIP電話情報を通知する通知手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
上記ゲートウェイ装置において、IP電話網から網側情報の再取得要求を受信したときに、網側情報を更新するとともに、端末設定情報に登録された端末に対して当該端末の設定の更新を要求する更新手段を有することを特徴とする。
【0015】
第2の本発明に係る中継方法は、データ通信網とIP電話網をWAN側に接続するゲートウェイ装置の中継方法であって、IP電話網と通信する端末に関する情報を登録した端末設定情報及びIP電話網に関する情報を登録した網側情報を格納する記憶手段から端末設定情報と網側情報を読み出し、端末設定情報に登録された端末とIP電話網との間でパケットを中継するとともに、端末設定情報に登録されていない端末とデータ通信網との間でパケットを中継するように設定する転送情報を生成して記憶手段に格納させるステップと、転送情報を参照し、LAN側に接続される端末とデータ通信網あるいはIP電話網との間でパケットを中継するステップと、端末からIP電話網との通信に必要なIP電話情報が要求されたときに、当該端末が端末設定情報に登録されているか否かを判定し、当該端末が端末設定情報に登録されている場合は、当該端末に設定するIP電話情報を通知するステップと、を有することを特徴とする。
【0016】
上記中継方法において、IP電話網から網側情報の再取得要求を受信したときに、網側情報を更新するとともに、端末設定情報に登録された端末に対して当該端末の設定の更新を要求するステップを有することを特徴とする。
【0017】
第3の本発明に係る中継プログラムは、上記ゲートウェイ装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0018】
第4の本発明に係る記録媒体は、上記ゲートウェイ装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための中継プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、データ通信網とIP電話網が接続されるゲートウェイ装置とVoIP終端装置へのユーザ設定の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態におけるゲートウェイ装置の構成および利用環境を示すブロック図である。
【図2】VoIP終端装置設定情報の構成例を示す図である。
【図3】ゲートウェイ装置内部設定情報の構成例を示す図である。
【図4】DHCP設定情報の構成例を示す図である。
【図5】上記ゲートウェイ装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】上記ゲートウェイ装置がDHCP設定情報を取得する処理の流れを示すシーケンス図である。
【図7】上記ゲートウェイ装置がVoIP終端装置にIPアドレスを払い出す処理の流れを示すシーケンス図である。
【図8】DHCP情報を生成する様子を示す図である。
【図9】上記ゲートウェイ装置がVoIP終端装置にSIP情報を通知する処理の流れを示すシーケンス図である。
【図10】SIP情報要求メッセージの例を示す図である。
【図11】SIP情報を生成する様子を示す図である。
【図12】SIP情報応答メッセージの例を示す図である。
【図13】ゲートウェイ装置とVoIP終端装置の設定情報を更新する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置の構成および利用環境を示すブロック図である。同図に示すゲートウェイ装置10のWAN側はIP電話網100とデータ通信網200に接続され、LAN側にはVoIP終端装置20と非VoIP端末30を接続する。IP電話網100には、DHCPサーバ110とSIPサーバ120が配置される。
【0023】
ゲートウェイ装置10は、DHCPクライアント部11、DHCPサーバ部12、SIP情報通知部13、パケット転送部14、および設定記憶部15を備える。ゲートウェイ装置10は、演算処理装置、記憶装置、メモリ等を備えたコンピュータにより構成して、各部の処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムはゲートウェイ装置10が備える記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。以下、各部の処理の概要について説明する。
【0024】
DHCPクライアント部11は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)に従って処理を行うプロトコル処理部111、DHCPサーバ110が送信するDHCPメッセージからDHCP設定情報を抽出する抽出部112、およびパケット転送設定情報を作成して設定する転送設定部113を備える。
【0025】
DHCPサーバ部12は、DHCPに従って処理を行うプロトコル処理部121、DHCPメッセージの送信元がVoIP終端装置20であるか否かを判定する判定部122、および送信元に応じたDHCPメッセージを生成する生成部123を備える。なお、DHCPメッセージの送信元がVoIP終端装置20であるか否かは、後述するVoIP終端装置設定情報に送信元の端末が登録されているか否かにより判定される。
【0026】
SIP情報通知部13は、VoIP終端装置20が送信したSIP情報要求メッセージを受信し、VoIP終端装置20にSIP情報応答メッセージを送信するメッセージ処理部131、およびSIP情報応答メッセージを生成する生成部132を備える。SIP情報応答メッセージは、SIP情報要求メッセージの送信元が後述するVoIP終端装置設定情報に登録されている場合に生成して送信される。
【0027】
パケット転送部14は、ローカルIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互に変換するアドレス変換部141、パケットの通過を制御するフィルタリング部142、およびパケットの転送先を決めるルーティング部143を備える。パケット転送部14は、後述する設定記憶部15に格納したパケット転送設定情報に基づいてパケットを転送する。
【0028】
設定記憶部15は、VoIP終端装置設定情報、ゲートウェイ装置内部設定情報、DHCP設定情報、SIP情報、およびパケット転送設定情報を格納する。以下、各設定記憶部15が格納する各種情報について説明する。
【0029】
図2は、VoIP終端装置設定情報の構成例を示す図である。VoIP終端装置設定情報は、VoIP終端装置20のMACアドレス、VoIP終端装置20に設定するIPアドレスを保持する。他にも、VoIP終端装置20とIPアドレスを固定的に払い出すその他の端末とを区別するための識別フラグを保持してもよい。設定記憶部15に格納されるVoIP終端装置設定情報は、ユーザが設定端末40を用いて登録する。VoIP終端装置設定情報に登録されているか否かを判定することにより、VoIP終端装置20であるか非VoIP端末30であるかを識別することが可能となる。
【0030】
図3は、ゲートウェイ装置内部設定情報の構成例を示す図である。ゲートウェイ装置内部設定情報は、ゲートウェイ装置10のMACアドレス、ゲートウェイ装置10のLAN側のIPアドレス、およびLAN側セグメントのサブネットマスクを保持する。
【0031】
図4は、DHCP設定情報の構成例を示す図である。DHCP設定情報は、IP電話網100と通信するためのIPアドレス、サブネットマスク、ルータアドレスと、VoIPサービスを利用するためのSIPサーバ120のアドレス、電話番号、SIPドメイン名を保持する。他にも、DHCPサーバ110のアドレス、DHCPサーバ110に再度問い合わせを行うためのリース時間等を保持してもよい。なお、DHCP設定情報は、DHCPサーバ110から取得した情報に基づいて設定する。
【0032】
パケット転送設定情報(図示せず)には、パケット転送処理で用いるNAT/NAPT、フィルタリング、ルーティングの各種情報が設定される。パケット転送設定情報は、VoIP終端装置20とIP電話網100との間でパケットを中継し、非VoIP端末30とデータ通信網200との間でパケットを中継するように設定される。パケット転送設定情報は、転送設定部113により、VoIP終端装置設定情報とDHCP設定情報から作成される。
【0033】
次に、本実施の形態におけるゲートウェイ装置の動作について説明する。前提としてIP電話網100のDHCPサーバ110には、ゲートウェイ装置10のMACアドレスに対応させたユーザ設定があらかじめ登録されているものとし、VoIPサービスで使用するVoIP終端装置20のMACアドレス、VoIP終端装置20に設定するIPアドレスは設定記憶部15のVoIP終端装置設定情報に登録されているものとする。
【0034】
図5は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
まず、DHCPクライアント部11がIP電話網100のDHCPサーバ110からIP電話網100に接続するためのIPアドレスを始めとする情報を取得し、DHCP設定情報として設定記憶部15に格納する(ステップS11)。このときのDHCPシーケンスについては後述する。
【0036】
続いて、DHCPクライアント部11の転送設定部113がVoIPサービス利用のためのパケット転送を設定する(ステップS12)。転送設定部113は、設定記憶部15からVoIP終端装置設定情報とDHCP設定情報を読み出し、VoIP終端装置20とIP電話網100間のパケット転送のための設定を生成し、設定記憶部15にパケット設定情報として設定する。具体的には、NATについては、IP電話網100と接続するゲートウェイ装置10のWAN側IPアドレスとVoIP終端装置20のIPアドレス間で、全てのポート番号、全てのプロトコルでNATを許可するよう設定する。ファルタリングについては、VoIP終端装置20とIP電話網100の間の全てのパケットの通過を許可する一方で、VoIP終端装置20以外の端末とIP電話網100との間の全てのパケットの通過を拒否するよう設定する。また、ルーティングについては、VoIP終端装置20から送出されるパケットはIP電話網100に転送し、IP電話網100から受信したパケットはVoIP終端装置20に転送するよう設定する。このとき、VoIP転送のための各種設定は、ユーザ設定よりも優先順位を高く設定する。これにより、ユーザが誤ってVoIPに関するパケットを阻害する設定をした場合もVoIPを利用した通話が保証される。
【0037】
続いて、VoIP終端装置20がゲートウェイ装置10に接続されると、VoIP終端装置20がDHCPによりゲートウェイ装置10に対してIPアドレスの取得を試みるので、DHCPサーバ部12は、VoIP終端装置20の要求に応じてDHCP設定情報を生成し通知する(ステップS13)。このときのDHCPシーケンスおよびDHCP設定情報の生成については後述する。
【0038】
続いて、VoIP終端装置20がゲートウェイ装置10にSIP情報を要求すると、SIP情報通知部13は、VoIP終端装置20の要求に応じてSIP情報を生成し通知する(ステップS14)。SIP情報の生成、通知については後述する。
【0039】
以降、パケット転送部14は、ステップS12で設定されたパケット転送設定情報に基づいて、VoIP終端装置20とIP電話網100間のパケットを転送する(ステップS15)。これにより、VoIP終端装置20は、VoIPサービスを利用することが可能となる。また、説明は割愛したが、パケット転送部14は、非VoIP端末とデータ通信網200間のパケット転送処理も行う。なお、REGISTERサーバへの登録、SIPメッセージの送受信、通話パケットの送受信は、VoIP終端装置20が行うので、ここでの説明は省略する。
【0040】
次に、ゲートウェイ装置10がDHCP設定情報を取得するステップS11の処理について説明する。
【0041】
図6は、ゲートウェイ装置10がDHCP設定情報を取得する処理の流れを示すシーケンス図である。
【0042】
まず、DHCPクライアント部11のプロトコル処理部111がゲートウェイ装置内部設定情報に保持されたMACアドレスをDHCP DISCOVERメッセージに設定して送出する(ステップS21)。
【0043】
DHCP DISCOVERメッセージを受信したDHCPサーバ110は、あらかじめ登録されたゲートウェイ装置10のMACアドレスに対応するIP電話設定を含む情報を生成し(ステップS22)、DHCP OFFERメッセージで通知する(ステップS23)。
【0044】
プロトコル処理部111は、DHCP OFFERメッセージに含まれる情報がDHCP設定情報に記録すべき設定項目と過不足なければ、DHCP REQUESTメッセージを送出しDHCPサーバ110に情報を要求する(ステップS24)。
【0045】
そして、プロトコル処理部111がDHCPサーバ110の送出したDHCP ACKメッセージを受信すると(ステップS25)、抽出部112がDHCP ACKメッセージに含まれる情報からDHCP設定情報を抽出して設定記憶部15に記録する(ステップS26)。
【0046】
次に、ゲートウェイ装置10がVoIP終端装置20にIPアドレスを払い出すステップS13の処理について説明する。
【0047】
図7は、ゲートウェイ装置10がVoIP終端装置20にIPアドレスを払い出す処理の流れを示すシーケンス図である。
【0048】
まず、DHCPサーバ部12のプロトコル処理部121がVoIP終端装置20の送出したDHCP DISCOVERメッセージを受信すると(ステップS31)、判定部122は、DHCP DISCOVERメッセージに含まれるVoIP終端装置20のMACアドレスと、設定記憶部15に記録されたVoIP終端装置情報とを照合する(ステップS32)。
【0049】
照合できた場合、生成部123は、設定記憶部15からVoIP終端装置情報、ゲートウェイ装置内部設定情報、およびDHCP設定情報を読み出し、VoIP終端装置情報に登録されたIPアドレスをVoIP終端装置20に払い出すIPアドレスとし、ゲートウェイ装置内部設定情報とDHCP設定情報からDHCP OFFERメッセージ、DHCP ACKメッセージを生成する(ステップS33)。VoIP終端装置情報、ゲートウェイ装置内部設定情報、およびDHCP設定情報からVoIP終端装置20へ送出するDHCP情報を生成する様子を図8に示す。
【0050】
生成されたDHCP OFFERメッセージはVoIP終端装置20に送出される(ステップS34)。プロトコル処理部121は、DHCP REQUESTメッセージを受信すると(ステップS35)、DHCP ACKメッセージをVoIP終端装置20に送出する(ステップS36)。
【0051】
なお、MACアドレスが照合できない場合、つまり、DHCP DISCOVERメッセージの送信元がVoIP終端装置20でない場合、DHCPサーバ部12は、DHCP設定情報に登録されているIPアドレス以外のIPアドレスを通知する。これにより、VoIP終端装置20と非VoIP端末30のIPアドレスが重複することなく、両者がネットワークに同時に接続することができる。
【0052】
次に、ステップS14におけるゲートウェイ装置10がSIP情報を生成し、VoIP終端装置20に通知する処理について説明する。
【0053】
図9は、ゲートウェイ装置10がVoIP終端装置20にSIP情報を通知する処理の流れを示すシーケンス図である。
【0054】
まず、VoIP終端装置20がHTTP(Hypertext Transfer Protocol)を用いてSIP情報要求メッセージを送信する(ステップS41)。SIP情報要求メッセージの例を図10に示す。SIP情報要求メッセージには、送信元がVoIP終端装置20であることを識別するために、送信元の端末のMACアドレスが設定されている。
【0055】
SIP情報要求メッセージを受信したSIP情報通知部13のメッセージ処理部131は、設定記憶部15からVoIP終端装置設定情報を読み出し、SIP情報要求メッセージに設定されたMACアドレスとVoIP終端装置設定情報に登録されたMACアドレスとを照合する(ステップS42)。
【0056】
照合できた場合、生成部132は、設定記憶部15からゲートウェイ装置内部設定情報とDHCP設定情報を読み出し、SIP情報を生成する(ステップS43)。ゲートウェイ装置内部設定情報、およびDHCP設定情報からSIP情報を生成する様子を図11に示す。
【0057】
そして、受信したSIP情報要求メッセージに対応するSIP情報応答メッセージをHTTPを用いて送信する(ステップS44)。図11のSIP情報から生成したSIP情報応答メッセージの例を図12に示す。なお、MACアドレスが照合できない場合は、HTTPエラーメッセージ(例えば、403 Forbidden)を応答として送信する。
【0058】
次に、VoIPサービスを利用中にIP電話網100で管理する設定情報に何かしらの変更が生じたとき、その変更をゲートウェイ装置10やVoIP終端装置20に反映する処理の流れを説明する。IP電話網100で管理する設定情報の変更とは、例えば網側の設備工事に伴う、ゲートウェイ装置10に設定するIPアドレスの変更やルーティング情報の変更などである。
【0059】
図13は、IP電話網100で管理する設定情報に生じた変更をゲートウェイ装置10とVoIP終端装置20に反映する処理の流れを示すフローチャートである。
【0060】
まず、DHCPクライアント部11がIP電話網100に配置されたDHCPサーバ110から送信された再取得要求を受信する(ステップS51)。DHCPサーバ110は、再取得要求として、DHCP設定情報の再取得を促すDHCP FORCERENEWメッセージを送信する。
【0061】
再取得要求を受信したDHCPクライアント部11は、DHCPサーバ110からDHCP設定情報を再取得して設定記憶部15に記録する(ステップS52)。なお、DHCPクライアント部11がDHCP設定情報を再取得する処理は、図6に示したステップS21〜ステップS26の処理と同様である。
【0062】
続いて、転送設定部113がVoIPサービス利用のためのパケット転送を再設定する(ステップS53)。
【0063】
続いて、DHCPクライアント部11は、DHCPサーバ部12に設定情報更新要求を促す制御信号を送信し、VoIP終端装置20への情報再設定を指示する(ステップS54)。
【0064】
そして、DHCPサーバ部12は、VoIP終端装置20へ再取得要求を送信する(ステップS55)。DHCPサーバ部12は、再取得要求として、DHCP情報の再取得を促すDHCP FORCERENEWメッセージを送信する。VoIP終端装置設定情報に登録されている端末すべてに対して再取得要求は送信される。
【0065】
DHCPサーバ部12は、VoIP終端装置20からDHCP情報の再取得要求に応じてDHCP情報を生成し通知する(ステップS56)。なお、DHCP情報を生成し通知する処理は、図7に示したステップS31〜ステップS36の処理と同様である。
【0066】
その後、SIP情報通知部13がVoIP終端装置20の要求に応じてSIP情報を生成して通知する(ステップS57)。この処理は、図9に示したステップS41〜ステップS44の処理と同様である。
【0067】
以降、パケット転送部14は、VoIP終端装置20とIP電話網100間のパケットおよび非VoIP端末30とデータ通信網200間のパケットを転送する(ステップS58)。
【0068】
したがって、本実施の形態によれば、IP電話網100と通信するVoIP終端装置20に関する情報をVoIP終端装置設定情報に登録し、IP電話網100に関する情報をDHCP設定情報に登録しておき、転送設定部113がパケットの転送ルールを定めたパケット転送設定情報をVoIP終端装置設定情報とDHCP設定情報から生成し、生成部132がSIP情報をゲートウェイ装置内部設定情報とDHCP設定情報から生成してVoIP終端装置20へ通知することにより、ユーザを煩わせることなくゲートウェイ装置10及びVoIP終端装置20を設定することが可能となる。また、VoIP終端装置設定情報に、IP電話網100と通信するVoIP終端装置20を登録することで、ゲートウェイ装置10のLAN側に接続される装置がIP電話網100、データ通信網200のいずれと通信するものであるか区別することができるので、ユーザは、VoIPサービスとインターネットを同時に利用することができる。
【0069】
本実施の形態によれば、IP電話網100で管理する設定情報に変更が生じたときに、DHCPサーバ110の要求によってDHCP設定情報を更新し、そのDHCP設定情報に基づいてパケット転送設定情報を更新するとともに、VoIP終端装置20に対して情報再設定を指示することにより、ユーザを煩わせることなくサービスを継続して利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
10…ゲートウェイ装置
11…DHCPクライアント部
110…DHCPサーバ
111…プロトコル処理部
112…抽出部
113…転送設定部
12…DHCPサーバ部
120…SIPサーバ
121…プロトコル処理部
122…判定部
123…生成部
13…SIP情報通知部
131…メッセージ処理部
132…生成部
14…パケット転送部
141…アドレス変換部
142…フィルタリング部
143…ルーティング部
15…設定記憶部
20…VoIP終端装置
30…端末
40…設定端末
100…IP電話網
200…データ通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ通信網とIP電話網をWAN側に接続するゲートウェイ装置であって、
前記IP電話網と通信する端末に関する情報を登録した端末設定情報及び前記IP電話網に関する情報を登録した網側情報を格納する記憶手段と、
前記記憶手段から前記端末設定情報と前記網側情報を読み出し、前記端末設定情報に登録された端末と前記IP電話網との間でパケットを中継するとともに、前記端末設定情報に登録されていない端末と前記データ通信網との間でパケットを中継するように設定する転送情報を生成して前記記憶手段に格納させる転送設定手段と、
前記転送情報を参照し、LAN側に接続される端末と前記データ通信網あるいは前記IP電話網との間でパケットを中継する転送手段と、
前記端末から前記IP電話網との通信に必要なIP電話情報が要求されたときに、当該端末が前記端末設定情報に登録されているか否かを判定し、当該端末が前記端末設定情報に登録されている場合は、当該端末に設定する前記IP電話情報を通知する通知手段と、
を有することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項2】
前記IP電話網から前記網側情報の再取得要求を受信したときに、前記網側情報を更新するとともに、前記端末設定情報に登録された端末に対して当該端末の設定の更新を要求する更新手段を有することを特徴とする請求項1記載のゲートウェイ装置。
【請求項3】
データ通信網とIP電話網をWAN側に接続するゲートウェイ装置の中継方法であって、
前記IP電話網と通信する端末に関する情報を登録した端末設定情報及び前記IP電話網に関する情報を登録した網側情報を格納する記憶手段から前記端末設定情報と前記網側情報を読み出し、前記端末設定情報に登録された端末と前記IP電話網との間でパケットを中継するとともに、前記端末設定情報に登録されていない端末と前記データ通信網との間でパケットを中継するように設定する転送情報を生成して前記記憶手段に格納させるステップと、
前記転送情報を参照し、LAN側に接続される端末と前記データ通信網あるいは前記IP電話網との間でパケットを中継するステップと、
前記端末から前記IP電話網との通信に必要なIP電話情報が要求されたときに、当該端末が前記端末設定情報に登録されているか否かを判定し、当該端末が前記端末設定情報に登録されている場合は、当該端末に設定する前記IP電話情報を通知するステップと、
を有することを特徴とする中継方法。
【請求項4】
前記IP電話網から前記網側情報の再取得要求を受信したときに、前記網側情報を更新するとともに、前記端末設定情報に登録された端末に対して当該端末の設定の更新を要求するステップを有することを特徴とする請求項3記載の中継方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のゲートウェイ装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための中継プログラム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のゲートウェイ装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための中継プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−268356(P2010−268356A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119750(P2009−119750)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】