説明

ゲームシステムにおけるカード読取方式

【課題】カード読込装置を備えることのない携帯ゲーム機において、カード読込のための特別な周辺機器を接続することなく、しかも簡単な認証によりカードに記載されたゲームのキャラクタやアイテムの情報を携帯ゲーム機に読み込んでゲームアプリケーションに利用することができるゲームシステムにおけるカード読取方式を提供する。
【解決手段】アーケードゲーム機1から払い出されたカード3のバーコード4は携帯電話機5のカメラで撮影され、テキストデータにデコードされる。ゲームサーバ装置に登録要求を送信し、テキストデータをデータベース9に格納する。携帯ゲーム機10はゲームサーバ装置に登録されたカード情報の配信要求を行い、カード情報を得ることができ、ゲームアプリケーションでカード情報のデータを利用することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカードゲーム機から払い出されるカードの情報を、無線LAN機能を有し、カード読取機能を備えることのない携帯ゲーム機に読込みができるようにしたゲームシステムにおけるカード読取方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙カードに記述されたゲームのキャラクタなどの情報を携帯ゲーム機で読み取るためには、専用の読取デバイスなど比較的高価な周辺機器が必要であり、携帯ゲーム機に比較し周辺機器が高いためこのようなデバイスは実現されていない。
【0003】
また、ゲームプログラムおよびそれに関連するデータなど大容量のデータを格納した特別なカードに対し、このカード情報を読み込む読込装置を搭載した携帯ゲーム機が存在する。
【特許文献1】特開2002−263361
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特別なカードは特定の携帯ゲーム機専用に読み込むために用意されたカードであり、読込装置も専用であり、一般的な紙カードなどの情報を読み込むために使用できるものではない。また、専用カードの情報のみ読み込むため読込装置を内蔵した携帯ゲーム機の価格は上昇するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、カード読込装置を備えることのない携帯ゲーム機において、カード読込のための特別な周辺機器を接続することなく、しかも簡単な認証によりカードに記載されたゲームのキャラクタやアイテムの情報を携帯ゲーム機に読み込んでゲームアプリケーションに利用することができるゲームシステムにおけるカード読取方式を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、ゲームの特定キャラクタまたはアイテムをコードパターンで記述したカードと、カメラを搭載し、該カメラによって前記コードパターンを撮影し、撮影したコードパターンをデコードし、デコードしたデータをネットワークを介して送信可能な携帯通信端末と、前記ネットワークを通じて前記携帯通信端末により送信される前記データを携帯通信端末を特定するID情報とともに記憶手段に記憶するゲームサーバ装置と、前記ネットワークに接続された通信装置と、前記通信装置と通信を行い、該通信装置を介して自らの携帯通信端末を特定するID情報を送信することにより、前記ゲームサーバ装置にデータ送信要求を行い、前記記憶手段から読み出した携帯通信端末対応のデータを受信する携帯ゲーム機とを有し、前記カードに記述されている特定キャラクタまたはアイテムのデータを携帯ゲーム機に読込み、前記特定キャラクタまたはアイテムのデータを、携帯ゲーム機で実行されるアプリケーションソフトのデータとして使用可能に構成したことを特徴とする。
本発明の請求項2は請求項1記載の発明において前記携帯通信端末を特定するID情報は携帯電話機の番号であることを特徴とする。
本発明の請求項3は請求項1または2記載の発明において前記通信装置は無線LAN機能を用いたことを特徴とする。
本発明の請求項4は請求項1,2または3記載の発明において前記カードは、アーケードゲーム機によって獲得されるカードであり、1つのカードに1つのキャラクタまたはアイテムデータが記述されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、例えばカードゲーム機から払い出されるカードのバーコードを携帯電話機のカメラで読取り、ゲームサーバ装置にこのカード情報を送り、WiFiなどの無線LAN通信機能を有する携帯ゲーム機にカード情報を受信することができ、直にカード読取装置を備えることのない携帯ゲーム機でカード情報を利用することが可能となる。
上記システムによって携帯ゲーム機にカード情報を読み込むための周辺機器を購入したり、接続したりする必要はなく、携帯通信端末を用いることにより個人が特定できるため、特別な認証手段を用いることがないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は本発明によるカード読取方式を適用したゲームシステムの概略を示す図である。 本発明によるゲームシステムは2次元バーコードまたはカラーコード(以下、「2次元バーコード等」という)が記述されたカード3を払い出すカード払出口2を有するアーケードゲーム機1と、カード3に記述されている2次元バーコード等をカメラ20(図2参照)で撮影しデコードしたデータをゲームサーバ装置に送信するための携帯電話機5と、携帯電話機5から送られてくるデータをデータベース9に格納するゲームサーバ装置8(図3参照)と、ゲームサーバ装置8にデータ送信要求を行い、データベース9から自からのID情報対応のデータを受信し、メモリ部に格納されているゲームアプリケーションソフトの実行に際し、このデータを利用することができる携帯ゲーム機10と、携帯電話機5とゲームサーバ装置8との間および携帯ゲーム機10とゲームサーバ装置8との間の通信を行うインターネット回線35および無線LAN制御局36とから構成されている。
【0009】
カード3は例えば紙カードであり、1枚のカードに1つのキャラクタデータまたはアイテムデータが2次元バーコード等で記述されている。キャラクタは例えば恐竜ゲームなどに登場する種々のサウルスや、虫が戦うゲームに登場する種々の昆虫などである。アイテムは、例えば武器,防具などである。なお、1枚のカードに2以上のキャラクタやアイテムを記述することは可能である。また、キャラクタやアイテム以外に携帯ゲーム機に用いるデータを記述しても良い。
カード3はアーケードゲーム機1でゲームを行って獲得することができる。また、他の方法、例えば購入するか、他人から譲り受けて入手することも可能である。携帯ゲーム機10ではこのカード3を直接読み取る機能は付属せず読み取ることができない。
【0010】
携帯電話機5の液晶表示部6の裏面にカメラ20が搭載されており、液晶表示部6でカード3の2次元バーコード等4を確認して撮影ボタン7を押すことにより、2次元バーコード等4を撮影することができる。携帯電話機5はカード3の撮影が行われると、2次元バーコード等4をデコードしてゲームサーバ装置8にデコードしたデータを送信する。携帯ゲーム機10はWiFIの無線LAN通信機能を有しており、液晶表示部11にゲームアプリケーションソフトの実行画面を表示し、操作部12の操作によってユーザはゲームを楽しむことができる。ゲームサーバ装置8から受信したカードに記述されたデータ(キャラクタやアイテム)がこの携帯ゲーム機10で利用することが可能となる。
【0011】
図2は本発明によるゲームシステムにおける携帯電話機の回路の実施の形態を示す回路ブロック図である。図2および後述する図3は本発明に直接関連する部分のみを記載してあり、他の構成は省略してある。
カメラ制御回路22は、制御部26からの指令に従ってカメラ20のCCDやCMOSなどの撮像素子の駆動制御を行う。ユーザがカメラ撮影モードを選択すると、制御部26はカメラ制御回路22に指示を出し、カメラ20よりカードの画像を取り込み、画像処理部24で所定の画像処理を行って現在撮像しているカード画像を表示する。
カード3の2次元バーコード等を明確に撮影できるように液晶表示部25で構図の確認を取った後、ユーザが撮影ボタン7を押すと、制御部26はこの操作信号を受けてカメラ制御回路22に画像の撮影を指示する。撮影されたカード3のイメージ画像は、メモリ部21に格納されるとともにバーコード変換部26aでイメージ画像がテキストデータに変換される。制御部26は、このテキストデータをメモリ部21に格納する。このようにしてカード3のバーコードの内容が認識される。
【0012】
つぎに制御部26の認識データ送信部26bは、液晶表示部25にこの認識したデータをゲームサーバ装置8に送信するか否かを選択するための表示を行い、送信を促す。ユーザが送信を選択すると、通信部23は、基地局34a〜34n,キャリア交換機33を介してゲームサーバ装置8にアクセスし通信可能状態となる。認識データ送信部26bは携帯電話番号(ID情報)とともにキャラクタデータなどの認識したデータを送信する。
【0013】
図3は本発明によるゲームシステムにおけるゲームサーバ装置および携帯ゲーム機の回路の実施の形態を示す回路ブロック図である。
キャリア交換機33はインターネット回線35に接続されており、インターネット回線35を通じてゲームサーバ装置8と通信が可能である。また、インターネット回線35にはLAN制御局36が接続され、LAN制御局36は各所に設置されたLAN基地局36a〜36nの制御を行い、無線LAN通信機能を備えた携帯ゲーム機10と通信可能となっている。無線LAN通信装置はLAN制御局36およびLAN基地局36a〜36nより構成される。この無線LANはWiFiの無線LAN規格を用いることにより、安定して外部との通信を行うことができる。
【0014】
ゲームサーバ装置8の制御部30は、通信部32を介して携帯電話機5から携帯電話番号および認識したデータが送られてくると、その情報をデータベース9に格納する。
データベース9はゲームデータや携帯ゲーム機に関する種々のデータが格納されている他、携帯番号−カード番号を格納する領域9aおよびカード番号−キャラクタテーブル9bを有している。
領域9aには携帯番号○×・・・××○に対しカード番号009(認識されたデータ)が格納されている例が示されている。カード番号009はカード番号−キャラクタテーブル9bを参照すると、サウルスIであることが分かる。
制御部30は携帯ゲーム機10から携帯電話番号およびそのデータの受信要求があると、データベース9から携帯電話番号対応のキャラクタのデータを読み出し、携帯ゲーム機10に対し、携帯電話番号対応のキャラクタデータを送信する。この例の場合は携帯番号○×・・・××○に対しカード番号009であるので、カード番号−キャラクタテーブル9bよりサウルスIのデータが送信されることとなる。
【0015】
携帯ゲーム機10の通信部43は無線LAN機能を備えており、LAN基地局36a〜36nと通信することが可能である。メモリ部41にはゲームアプリケーションソフト1がインストールされており、ユーザはゲームアプリケーションソフト1を起動操作することによりゲームを楽しむことができる。ゲーム起動によって制御部42がゲームアプリケーションソフト1を読み出しゲーム制御部42aの機能が実現される。ゲーム制御部42aは画像処理部45で画像処理を行い液晶表示部11にゲームの画面を表示し、ユーザが選択や入力操作することによりゲームが進行する。ゲーム制御部42aはゲーム進行に沿ってサウンド回路46に音声や背景音データを送りスピーカ47より音声・背景音などを出力させる。
【0016】
制御部(CPU)42がメモリ部41の通信制御プログラムを読み出すことにより通信制御部42bの機能が実現される。通信制御部42bは上述したようにWiFiの無線LAN規格によって通信部43を制御し、LAN基地局36a〜36nを介してゲームサーバ装置8にアクセスすることができる。
ユーザが操作部12を操作して携帯電話番号を入力しデータの配信を要求すると、ゲームサーバ装置8からキャラクタのデータを受信することができる。受信したキャラクタのデータはゲームアプリケーションソフト1のゲームに登場させるなどして利用することができる。
【0017】
つぎに、図4,図5を用いて本ゲームシステムの全体の操作およびデータの流れを説明する。図4は、アーケードゲーム機から得たカード情報をゲームサーバ装置に登録するまでの流れを示すフローチャートである。
アーケードゲーム機1からカードが払い出され(ステップ(以下「S」という)001)、携帯電話機5の撮影モードが起動すると、制御部26はカードの2次元バーコード等を読み取ったか否かを判断する(S002)。2次元バーコード等が読み取られると、バーコード変換部26aでテキストデータに変換しゲームサーバ装置8に送信する(S003)。ゲームサーバ装置8の制御部30は、携帯電話機5からアクセスがあると、携帯電話機5からのカード情報を受信したか否かを判断する(S004)。携帯電話機5からカードデータを受信すると、データベース9に携帯電話機の固有情報(携帯番号)に対応付けて受信したカード情報をデータベースに格納する(S005)。
【0018】
図5は、登録されたカード情報を携帯ゲーム機で利用するまので流れを示すフローチャートである。
ゲームサーバ装置8の制御部30は、携帯ゲーム機10から携帯電話機5の電話番号対応にカード情報の配信が要求されたか否かを監視している(S010)。配信の要求があると、データベース9より携帯電話機5の電話番号のカード情報を読み出し、携帯ゲーム機10に読み出したキャラクタのデータを送信する(S011,S012)。携帯ゲーム機10ではゲームアプリケーションソフトで送信されたキャラクタを登場させてゲームで利用することが可能となる(S013)。
【0019】
以上の実施の形態は、WiFiの無線LAN機能を利用してゲームサーバ装置に携帯ゲーム機をアクセスする例を説明したが、安定性が確保できるならば他の規格の無線LAN機能を用いても良い。また、他の通信方式、例えばブルーツースなどを用いて通信することも可能である。
携帯通信端末として携帯電話機を用いた例を説明したが、他の携帯通信端末、例えばカメラ機能および通信機能を備えたPDAなどを利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
アーケードゲーム機,携帯電話機,ゲームサーバ装置および携帯ゲーム機を含むゲームシステムであって、アーケードゲーム機から払い出されるカードの情報を携帯ゲーム機に読み込むシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるカード読取方式を適用したゲームシステムの概略を示す図である。
【図2】本発明によるゲームシステムにおける携帯電話機の回路の実施の形態を示す回路ブロック図である。
【図3】本発明によるゲームシステムにおけるゲームサーバ装置および携帯ゲーム機の回路の実施の形態を示す回路ブロック図である。
【図4】アーケードゲーム機から得たカード情報をゲームサーバ装置に登録するまでの流れを示すフローチャートである。
【図5】登録されたカード情報を携帯ゲーム機で利用するまので流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
1 アーケードゲーム機
2 カード払出口
3 カード
4 バーコード
5 携帯電話機
6,11,25 液晶表示部
7 撮影ボタン
8 ゲームサーバ装置
9 データベース
10 携帯ゲーム機
12 操作部
20 カメラ
21,31,41 メモリ部
22 カメラ制御部
23,32 通信部
24,45 画像処理部
26,30,42 制御部
27 電話機能部
33 キャリア交換機
34a〜34n 基地局
35 インターネット回線
36 LAN制御局
36a〜36n LAN基地局
44 操作制御部
46 サウンド回路
47 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームの特定キャラクタまたはアイテムをコードパターンで記述したカードと、
カメラを搭載し、該カメラによって前記コードパターンを撮影し、撮影したコードパターンをデコードし、デコードしたデータをネットワークを介して送信可能な携帯通信端末と、
前記ネットワークを通じて前記携帯通信端末により送信される前記データを携帯通信端末を特定するID情報とともに記憶手段に記憶するゲームサーバ装置と、
前記ネットワークに接続された通信装置と、
前記通信装置と通信を行い、該通信装置を介して自らの携帯通信端末を特定するID情報を送信することにより、前記ゲームサーバ装置にデータ送信要求を行い、前記記憶手段から読み出した携帯通信端末対応のデータを受信する携帯ゲーム機とを有し、
前記カードに記述されている特定キャラクタまたはアイテムのデータを携帯ゲーム機に読込み、前記特定キャラクタまたはアイテムのデータを、携帯ゲーム機で実行されるアプリケーションソフトのデータとして使用可能に構成したことを特徴とするゲームシステムにおけるカード読取方式。
【請求項2】
前記携帯通信端末を特定するID情報は携帯電話機の番号であることを特徴とする請求項1記載のゲームシステムにおけるカード読取方式。
【請求項3】
前記通信装置は無線LAN機能を用いたことを特徴とする請求項1または2記載のゲームシステムにおけるカード読取方式。
【請求項4】
前記カードは、アーケードゲーム機によって獲得されるカードであり、1つのカードに1つのキャラクタまたはアイテムデータが記述されていることを特徴とする請求項1,2または3記載のゲームシステムにおけるカード読取方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−289458(P2007−289458A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121533(P2006−121533)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】