説明

ゲームシステム及びゲームプログラム

【課題】単純なルールでプレイヤの技量に応じた楽しみ方ができる新規ゲームを提供する。
【解決手段】プレイヤの操作信号を制御装置に伝達する入力手段と、ゲーム基礎データ・ゲームプログラム・及び漢字、平仮名などの文字OBJのデータを格納する記憶装置と、操作信号及びゲームプログラムに従ってゲーム基礎データを読み出してゲームデータを生成する制御装置と、ゲームデータを表示するディスプレイとを備え、制御装置は、多数の文字OBJをディスプレイに表示する表示機能、プレイヤが選択した複数の文字OBJを識別する識別機能、選択された複数の文字OBJが同一であるかを判別する同一性判別機能、同一である場合に、当該複数の文字OBJをディスプレイから消去する消去機能、全ての文字OBJのペアを消去するまでの時間を記録する成績算出機能と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤの操作信号を制御装置に伝達する入力手段と、ゲーム基礎データ及びゲームプログラムを格納する記憶装置と、操作信号及びゲームプログラムに従ってゲーム基礎データを読み出してゲームデータを生成する制御装置と、このゲームデータを出力するディスプレイとを備えたゲームシステム及びゲーム用のソフトウェアプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人が自宅などで楽しむゲーム装置として、家庭のテレビに接続してプレイする家庭用ゲーム機や、小型ディスプレイを備えたポータブルゲーム機、及びパーソナルコンピュータや携帯電話などの電子機器にインストールされたゲームプログラムによってプレイするコンピュータゲーム(以下、「電子ゲーム機」と総称する)が主流となってきている。
【0003】
このような電子ゲーム機においても、年齢層や性別を問わずに楽しめるシンプルなゲームが根強い人気を有している。例えば、神経衰弱やポーカー、ソリティア(ペイシャンス)などのカードゲーム、将棋やマージャンなどのボードゲーム、テトリスなどの絵合わせゲーム、もぐら叩きなどの反射神経や瞬時の状況判断を要するシューティングゲームなどである。これらのゲームは、ルールが単純で分かり易く、特別な能力や知識などがなくてもプレイでき、その反面で、経験値が上がるに従ってより高度なレベルでプレイできる点が人気の理由となっている。
【0004】
電子ゲーム機でこのような種々のゲームを提供する例として、例えば、以下の特許文献が参考になる。
【0005】
【特許文献1】特開平8−323045号公報
【特許文献2】特開2000−342847号公報
【特許文献3】特開2005−106863号公報
【特許文献4】特開2006−87496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、電子ゲーム機でプレイできる様々な種類のゲームが提案されているが、長期間に亙ってプレイヤの興趣を惹き続けることは容易ではない。そのため、ルールが単純でありながら奥が深いという人気ゲームの利点を備えた、新しいゲームが常に望まれている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電子ゲーム機用ゲームであって、ルールは単純でも、プレイヤの技量に応じた楽しみ方ができる新規なゲームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の主要な観点によれば、プレイヤの操作信号を制御装置に伝達する入力手段と、ゲーム基礎データ及びゲームプログラムを格納する記憶装置と、操作信号及びゲームプログラムに従ってゲーム基礎データを読み出してゲームデータを生成する制御装置と、このゲームデータを表示するディスプレイとを備えたゲームシステムであって、前記記憶装置は、外観が近似し視覚的に紛らわしい同一種別のキャラクタであって、同一物を複数個ずつ含む多数のキャラクタのデータを格納するものであり、前記制御装置は、前記多数のキャラクタをディスプレイに表示するキャラクタ表示機能と、表示された多数のキャラクタから、プレイヤが入力手段を通じて選択した複数のキャラクタを識別するキャラクタ識別機能と、選択された複数のキャラクタが同一であるかを判別する同一性判別機能と、同一であると判別された場合に、当該複数のキャラクタをディスプレイから消去するキャラクタ消去機能と、キャラクタの消去に関連付けた所定の基準でプレイヤの成績を算出する成績算出機能と、を備えたことを特徴とするシステムが提供される。
【0009】
このような構成によれば、外観が近似し視覚的に紛らわしい同一種別のキャラクタをディスプレイに多数表示させ、その中から同一のキャラクタのセットをタッチペンやコントローラ、マウスなどの入力機器でプレイヤに選択させる。そのため、プレイヤには、多数の同種のキャラクタの中から同一のものを見分ける瞬時の識別力が要求される。選択されたキャラクタのセットが同一であればそのキャラクタを画面から消去する。そして、全てのキャラクタを消去できるまでこの動作を繰り返してその所要時間を競ったり、制限時間内に消去できたキャラクタの個数を競ったりする。これにより、年齢や性別などを問わず、誰でも簡単にプレイできる電子ゲーム機用ゲームを提供できる。また、プレイヤの技量や経験値に応じてキャラクタの種別や表示態様、制限時間を種々変化させることができ、長期に亙ってプレイヤの遊戯意欲を維持できる。
【0010】
ここで、キャラクタの種別としては、平仮名やカタカナ、アルファベット、アラビア数字などの比較的見分け易いものから、同じ部首(門構え、魚偏等)の漢字、ローマ数字(II、VI、IX等)などの比較的見分けにくいものまで、複数種類を用意しておくのが好ましい。
【0011】
また、難易度の調整やプレイに変化を持たせるため、キャラクタの大きさ、色、向き、移動/回転の方向や速度など表示態様を種々変化させるのが好ましい。同じキャラクタの縦横比を変えたり、一部を歪めて表示させて、一見すると別のキャラクタに見えるように表示態様を複雑に変化させたり、さらに「漢字とその読み」、「漢字とその意味を示す絵」、「ローマ数字と漢数字」のようにペアのキャラクタの種別を異ならせるようにしてもよい。また、ペアとなるキャラクタが存在しないダミーのキャラクタを混在させることで難度を高めてもよい。
【0012】
また、本発明の第2の主要な観点によれば、コンピュータシステムを、ゲームシステムとして機能させるゲームプログラムであって、外観が近似し視覚的に紛らわしい同種のキャラクタであって、同一物を複数個ずつ含む多数のキャラクタをディスプレイに表示するキャラクタ表示手段と、表示された多数のキャラクタから、プレイヤが入力手段を通じて選択した複数のキャラクタを識別するキャラクタ識別手段と、選択された複数のキャラクタが同一であるかを判別する同一性判別手段と、同一であると判別された場合に、当該複数のキャラクタをディスプレイから消去するキャラクタ消去手段と、キャラクタの消去に関連付けた所定の基準でプレイヤの成績を算出する成績算出手段として機能させるためのゲームプログラムが提供される。
【0013】
このような構成によれば、コンピュータシステムを、上記した第1の主要な観点におけるゲームシステムとして機能させるためのゲームプログラムを得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子ゲーム機用ゲームであって、ルールは単純でも、プレイヤの技量に応じた楽しみ方ができる新規なゲームを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の最良の実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子ゲーム機の概略構成を示す図、図2は、電子ゲーム機の内部構成を示すブロック図である。このゲーム機1は、充電式のポータブルゲーム機であり、矩形状のメイン筐体2及びサブ筐体3の端部同士が枢支されて折畳み可能に構成され、各筐体2、3の略中央には折畳み時に対向する面にLCD(Liquid Crystal Display)などのメインディスプレイ4a及びサブディスプレイ4bが夫々装着されている。2つのディスプレイ4a、4bの表面は何れもプレイヤがタッチペン(スタイラスペン)5や指などで触れた位置を検出する液晶タッチパネル6a、6bで構成されており、これによりディスプレイ4a、4bは入力機能と出力機能とを兼用している。
【0016】
メイン筐体2の前面側の側面には、ゲームプログラムや後述するゲームキャラクタを始めとするゲームデータが格納された記録媒体(ゲームカートリッジ)7が挿入されるスロット8が設けられている。スロット8の図示しない奥部にはゲームカートリッジ7の先端の出力端子と接続されるコネクタ23(図2参照)が設けられている。サブ筐体3のサブディスプレイ4bの左右にはスピーカ9用の多数の音抜き孔10が穿設されている。また、メインディスプレイ4aの左右には、電源スイッチや十字キーなどのスイッチ群11が配置されている。
【0017】
このような構成において、プレイヤがゲームカートリッジ7をスロット8に挿入して電源スイッチをONにすると、ゲーム機1の後述するRAM27にゲームカートリッジ7内のゲームプログラムやゲームデータがロードされてゲームプレイが可能になる。
【0018】
ゲーム機1は、図2に一点鎖線で示す電子回路基板20に制御装置としてのCPUコア21が実装される。このCPUコア21に、通信バス22を介して、前記ゲームカートリッジ7の端子が接続されるコネクタ23、入出力インタフェース(I/F)回路24、3Dグラフィックスの表示に必要な計算処理を行なう第1、第2のGPU(Graphics Processing Unit)25、26、RAM27、LCDコントローラ28、及びワイヤレス通信部29が接続されている。入出力インタフェース(I/F)回路24に、上記したタッチパネル6a、6b、左右のスピーカ9、9及びスイッチ群11が接続される。
【0019】
第1、第2のGPU25、26には、第1、第2のVRAM(Video RAM)30、31が夫々接続されている。これら第1、第2のGPU25、26が、CPUコア21から受けた指令に応じてRAM27に記憶されているゲームデータに基いてゲームの進行に合致させたゲームデータを随時生成(更新)して前記第1、第2のVRAM30、31に描画する。前記LCDコントローラ28は、CPUコア21からの指令に基いて0又は1の値が記憶されるレジスタ32を備えている。この0又は1の値に応じて、前記第1又は第2のVRAM30、31に描画されたゲームデータが、前記LCDコントローラ28を介してメインディスプレイ4a又はサブディスプレイ4bに選択的に出力される。
【0020】
また、ゲームカートリッジ7には、後述するゲームプログラム35及びゲームデータ36を格納するカートリッジROM33と、バックアップデータを書換え可能に記憶するRAM34とを備えている。このゲームカートリッジ7が図1に示したスロット8に挿入されると、コネクタ23を通じてカートリッジROM33に格納されたゲームプログラム35及びゲームデータ36が前記RAM27に記憶される。
【0021】
ゲームデータ36には、効果音や定型メッセージ、背景画像、ハイスコア、待機画面、HELPデータなどの周知のゲーム基本データの他、図3に示すゲーム回数・表示個数データと、図4に示す、外観が近似し視覚的に紛らわしい同一種別の多数のキャラクタのデータとが含まれる。
【0022】
ゲーム回数・表示個数データは、本実施例では、1問目〜5問目までの各ゲームごとに、表示するキャラクタの個数が徐々に増えていくように設定される。この表示個数は、キャラクタのペアの数であるため、メインディスプレイ4aに実際に表示されるキャラクタの数はこの2倍になる。
【0023】
また、本実施形態では、キャラクタの識別容易性に基づいて、「かんたん」「ふつう」「むずかしい」の3段階の難易度が設定されており、この難易度に応じてキャラクタの表示個数も異なる数が設定されている。なお、ペアが成立しない(同一のキャラクタが存在しない)ダミーのキャラクタを混在させて難度を高める場合には、ダミーキャラクタの数若しくは比率を、このゲーム回数・表示個数データとして格納しておくのが好ましい。
【0024】
前記キャラクタデータは、プレイヤが一見して容易に識別しにくいほど外観が近似している複数種別のキャラクタ群が、各キャラクタのシリアル番号(01〜99)、キャラクタ種別コード(A〜Z)に関連付けられて格納される。ゲーム開始時に、これらのキャラクタ群から任意の個数のキャラクタが抽出され、それらが複製されてキャラクタのペアを構成する。複製されたキャラクタは、シリアル番号や種別コードは共通するが、図1のメインディスプレイ4aに示したように、大きさ、色彩、表示角度、表裏、進行方向などの表示態様はペアの文字ごとに異ならせることができる。この表示態様は、図3に示した難易度やプレイ回数、プレイヤの経験値等によって適宜変更される。
【0025】
各キャラクタは、上記した3段階の難易度の何れかに分類され、難易度を示すコードに関連付けて格納される。例えば、「かんたん(E)」のキャラクタとして、図4(a)に示す平仮名やアラビア数字、「ふつう(N)」のキャラクタとして、図4(b)に示すカタカナや2次元図形、アルファベット、「むずかしい(D)」のキャラクタとして、図4(c)に示すローマ数字、部首(冠、偏、構え等)が共通する漢字、3次元画像、などが格納されている。ゲーム開始時にプレイヤが難易度を選択すると、そのコードに関連付けられたキャラクタが、前記表示個数だけ任意に抽出されてディスプレイに表示される。なお、アルファベットの大文字と小文字、アラビア数字とローマ数字や漢数字などを組み合わせて表示させてもよい。
【0026】
以下においては、「かんたん(E)」に属するキャラクタとして「平仮名」を例に取って説明する。また、表示される文字群若しくは個々の文字を「文字オブジェクト(OBJ)」と総称する。
【0027】
前記RAM27には、ゲームプレイ中は、メインディスプレイ4aに表示させる全ての文字OBJについて、上記したシリアル番号及び文字種類コードと共に、表示位置(x:000〜999,y:000〜999)、タッチ受付範囲の幅(x±5)や高さ(y±5)、及びマーカーフラグ(0,1)の各データが記述される。本実施形態では、文字OBJはメインディスプレイ4a上の位置が常に変化しているため、表示位置及びタッチ受付範囲の幅は随時更新される。
【0028】
前記ゲームプログラム35は、キャラクタ表示部(キャラクタ消去部)40、キャラクタ認識部41、同一性判定部42、成績判定部43、通信制御部44、及び同期化処理部45を備えている。これらの機能部は、実際はゲームプログラムのモジュールやサブルーチン、若しくは独立したプログラムであり、前記CPUコア21やGPU25、26によってRAM27上に読み出されて実行されることで、上記したハードウェアと協動して各機能を奏する。
【0029】
キャラクタ表示部40は、プレイヤが選択した難易度(E、N、D)に従って、前記RAM27から該当する種別のキャラクタ群をランダムに抽出すると共に、同一性判定部42が同一と判定したペアの文字OBJをゲーム画面から消去するものである。抽出されたキャラクタ群が前記GPU25、26によってゲーム基本データと合成されてメインディスプレイ4aに表示される。本実施形態では、文字OBJがゲーム画面内を移動して、画面端部の壁や他のキャラクタに接した時に、跳ね返らせて進行方向及び表示方向をランダムに変えるように動作が制御される。このような動作制御は、周知の電子ゲームと同様に行われ、前記GPU25、26が主として実行する。なお、ディスプレイの中央に任意の形状、大きさの障害物を固定的に表示させ、この障害物に接した場合にも文字OBJの進行方向等を変化させてもよい。
【0030】
また、キャラクタ表示部40は、一部又は全部の文字OBJについて、難易度やゲーム回数等に応じて、色彩、大きさ、表示方向、回転方向、回転速度、進行方向、進行速度などが動的若しくは静的に変更する。図1に示すように、漢字や幾何学図形などでは、表裏反転させたり、移動速度を変化させることで、識別性を低下させることができる。これにより、キャラクタの種別以外でも難易度の調整が容易で、複雑なゲームを提供できる。ゲームキャラクタの色彩や大きさなどの表示態様を変更するパターン(アルゴリズム等)は、図示しない表示パターンテーブルに記述されており、前記GPU25、26がランダムに若しくは所定のルールに従ってこの表示パターンを随時読み出して、各文字OBJの表示態様を変更する。
【0031】
キャラクタ認識部41は、プレイヤがタッチペン5で触れた(選択した)メインディスプレイ4a(タッチパネル6a)の座標位置に基いて、このメインディスプレイ4aに表示された文字OBJを識別し、その文字OBJのシリアル番号をRAM27に書き込むものである。認識可能な範囲は、文字OBJの表示位置からタッチ受付範囲の幅(x±5)や高さ(y±5)だけ広い範囲である。
【0032】
また、このキャラクタ認識部41は、図7(A)を参照して後述するように、ペアの文字OBJの1個目の文字OBJについて「選択済」であることを示す矩形状の枠(マーカー)がディスプレイ4aに表示中であると識別するためのフラグもRAM27に同時に書き込む。このフラグが記録されると、前記キャラクタ表示部40はその文字OBJの動作(移動や回転など)を停止すると共に、認識可能範囲の外周に前記マーカーを表示する。そのため、このキャラクタ認識部41は、文字OBJが選択された場合に、RAM27にフラグが格納されていない場合は1文字目(=未選択)と判断してフラグを書き込み、逆にフラグが格納されている場合は2文字目(=選択済)と判断してフラグを書き込まずに、同一性判定部42にその文字OBJのシリアル番号を受け渡して判定結果が出るまで待機する。
【0033】
同一性判定部42は、キャラクタ認識部41から2個目の文字OBJのシリアル番号を受け取ると、RAM27に格納されている「選択済」の文字OBJのシリアル番号と照合して2個の文字OBJが同一であるかを判別するものである。なお、漢字とその読み方、アラビア数字とローマ数字など、種別が異なるキャラクタ認をペアとして選択させる場合は、シリアル番号とは別に、これらのキャラクタの関連付けを示す識別記号などを登録しておく。同一性判定部42は、この識別記号とシリアル番号との何れかが一致する場合に、これらのキャラクタがペアであると判定する。
【0034】
成績判定部43は、パルスなどを利用した計時機能によって所定数の文字OBJのペアを消去するまでの所要時間を計測して、そのプレイヤの成績としてRAM27に記録するものである。1例として、ゲーム5回を1セットとして、総合タイムを競う形式を採用している。ここで、文字OBJの「所定数」は、図3に示したように、難易度とゲーム回数に応じて予め設定される。また、本実施形態では、難易度や回数に拘らず、制限時間が60秒(1分)に設定され、この時間内に所定数の文字OBJのペアを消去できない場合は、この成績判定部43は、「タイムオーバー」として成績を記録する。なお、RAM27に記録された成績(時間)データは、1セット5回のゲーム終了後、ゲームカートリッジ7を取り出す際若しくはゲーム機1の電源をOFFにする際にゲームカートリッジ7のRAM33に転送されて記録される。
【0035】
成績判定の基準は、キャラクタの消去に関連付けた基準であればよく、例えば、単位時間内に消去したキャラクタの数(ペアの数)、消去したキャラクタの属性(漢字は高得点、平仮名やアラビア数字は低得点など)、などの基準を採用してもよい。また、難易度や回数、プレイヤの経験値等に応じて、制限時間や、回数、文字OBJの数などを変更してもよい。
【0036】
また、本実施形態では、通信中の他のゲーム機と同期させて同一のゲームデータを表示させる同期化処理部45と、ワイヤレス通信部29を制御して他のゲーム機との赤外線による無線データ通信を行う通信制御部44とを備えている。例えば、複数台のゲーム機同士で無線通信を行う場合、その中の1台をホストとしてゲームプログラムを実行させる。このホストと他のクライアントのディスプレイには、通信制御部44及び同期化処理部45によって同一のゲームデータ(キャラクタ等)を表示する。
【0037】
この場合の遊び方としては、同一のキャラクタ群を複数のプレイヤが協力して消去していく「協力モード」、制限時間内に消去できたキャラクタの数を競う「早押し競争」、同じゲーム(キャラクタ種別、動作、数など)を順番にプレイしてクリアするまでの時間を競う「タイムトライアル」、などが考えられる。協力モードや早押し競争においては、同期化処理部45が、複数のプレイヤが同じ文字OBJを選択した場合の先後を判定したり、他のプレイヤが選択した文字OBJにもマーカーを表示させるなどの処理を、各処理部に指示する。なお、この場合の他のゲーム機は、図1に示した同種のゲーム機はもちろん、PCや家庭用ゲーム機などでもよい。
【0038】
次に、図5のフローチャートと図6及び図7のゲーム画面の例を参照して、本実施形態のゲームプログラムの詳細な機能と具体的な処理工程を説明する。以下の説明においては、難易度として「かんたん」が選択され、キャラクタ種別として「ひらがな」が抽出された例を示す。図6及び図7では、上がサブディスプレイ4b、下がメインディスプレイ4aに夫々表示されるゲーム画面である。なお、上記した本発明の特徴的な機能部以外の、ゲーム機として一般的な処理工程については、制御手段(CPUコア21やGPU25、26など)を実行主体として説明する。
【0039】
まず、プレイヤがゲームカートリッジ7をスロットに挿入して電源スイッチをONにすると、制御手段が、カートリッジ7からゲームデータ及びプログラムを読み出し、図6(A)に示す初期メニュー画面を生成してディスプレイ4に表示させる。プレイヤがタッチパネル6にタッチペン5や指で触れたり、十字キー等を操作してゲーム種別を選択すると、制御手段がその操作信号を受け付ける(S1)。ここでは、破線で囲んだ「識別力ゲーム」が選択される。
【0040】
ゲーム種別が選択されると、制御手段は、図6(B)の難易度選択画面をディスプレイ4に表示させて、同じくプレイヤの選択を受け付ける(S2)。ここでは、破線で囲んだ「かんたん」が選択される。
【0041】
次いで、キャラクタ表示部40が起動して、RAM27に読み込まれたゲームデータから、「難易度:かんたん(E)」のコードが付与されたキャラクタ種別(図4(a)参照)の中から「ひらがな」を抽出する(S3)。具体的には、この時点では1問目であるため(ゲーム回数(n)=1)、図3のテーブルを参照して「かんたん」「1問目」の場合の「5個」を特定し、図4(a)に示したキャラクタデータから5個のひらがなをランダムに抽出し、さらに、これらを複製して合計10個からなる文字OBJ群を生成する。また、キャラクタ表示部40は、図示しないパターンテーブルから文字OBJの表示態様パターンを抽出して各文字OBJの表示態様(動作等)を決定する。この準備処理が完了するまでの間、ディスプレイ4にはゲーム開始までのカウントダウンが表示される(図6(C))。
【0042】
準備処理が終了すると、図6(D)のゲーム画面が生成されてディスプレイ4に表示されてゲームが開始する(S4)。具他的には、直ちにキャラクタ認識部41がプレイヤのキャラクタ選択の監視を開始すると共に、成績判定部43が制限時間60秒のカウントアップを始めてディスプレイ4にタイマ表示する。
【0043】
図示の例では、メインディスプレイ4aの中央に文字OBJよりも常に表面(上面)に表示される十文字型の遮蔽物50を表示させて、難度を高めている。図6(D)の状態では、一点鎖線で囲んだ「め」の文字OBJの一方が遮蔽物50で遮蔽され、認識しにくくなっている。上記したように、文字OBJはゲーム画面上の位置が常に変化しているため、遮蔽物50で遮蔽されて視認困難な文字OBJでもほどなく視認可能になる。また、図示の例では、ペアを構成しない文字OBJ(一点鎖線で囲んだ「わ」)も混在されている。このように、ダミーの文字OBJも表示していくことで、プレイに変化を持たせることができるようになる。
【0044】
キャラクタ認識部41は、プレイヤがタッチペン5などでディスプレイ4(タッチパネル6)の任意の位置をタッチすると、このタッチパネル6からタッチされた座標位置情報を取得して、ディスプレイ4に表示されている全ての文字OBJの現在の座標位置及びその周囲のタッチ受付範囲と照合して、何れかの文字OBJがタッチされたかを認識する(S5)。文字OBJの現在の座標位置及びその周囲のタッチ受付範囲は、RAM27に記録され、文字OBJの動作に伴って随時更新される。
【0045】
文字OBJの選択を検出すると(S5のYES)、キャラクタ認識部41は、その文字OBJについて「選択済」マーカー表示中フラグがRAM27に記録されているかに基づいて、1文字目であるかを判定する(S6)。フラグが記録されていない場合は(S6のYes)、1文字目と判断して、選択された文字OBJについてフラグを記録して、マーカー表示を行う文字OBJシリアル番号として、この文字のOBJの番号を設定する。これによって、図7(A)に示すマーカー表示が開始されると共に、S5のキャラクタ選択の待機状態に戻る(S7)。なお、前記ダミーデータ(図中の「わ」)が選択された場合も同様の処理を行う。
【0046】
一方、フラグが記録されている場合は(S6のNo)、同一性判定部42が起動して、後から選択された2文字目の文字OBJのシリアル番号と、RAM27に記録されたマーカー表示中の文字OBJのシリアル番号とを照合する(S8)。両者のシリアル番号が一致すれば(S8のYes)、前記キャラクタ表示部40が、該当する2つの文字OBJをゲーム画面上から消去する(S9)。両方のシリアル番号が一致しない場合は(S8のNo)、マーカー表示中フラグをRAM27から消去してマーカー表示を中止する(S10)。
【0047】
上記したS5〜S10まで処理を、消去すべきペア(図示の例では5ペア)が全てなくなるまで、若しくは制限時間(60秒)が経過するまで継続する(S11、S12)。
【0048】
消去すべきペアが全て消去された場合は(S11のNo)、成績判定部43はプレイヤが1問目をクリアしたと判定し、図7(B)に示すクリア画面を表示し(S13)、カウントアップを停止し(S14)、かつタイムをRAM27に記録する(S15)。
【0049】
一方で、上記した工程(S5のNo、S10、S11)で制限時間を超えた場合は(S12のYes)、図7(C)のタイムアウト画面をディスプレイに表示し(S16)、その回のタイムを「タイムアウト」としてRAM27に記録する(S17)。
【0050】
プレイヤが、図7(B)のクリア画面若しくは図7(C)のタイムアウト画面の「すすむ」ボタンを選択すると、ゲーム回数(n)がインクリメントされてS3に戻り2問目が開始される(S19)。これを、5問目まで繰り返す(S18)。
【0051】
5問目が終了すると(S18のYes)、成績判定部43は、そのプレイヤの5回のタイムを集計し、各回のタイムを一覧表示したゲーム画面を生成して図7(D)に示すようにディスプレイ4に出力する(S20)。これにより、1連のゲームが終了する。5問中、1問でも時間切れがあると、図示の例のように、総合タイムは集計されない。また、総合タイムや平均タイム、難易度などに応じて複数用意されたメッセージが表示される。なお、上記したように、成績判定部43が計測した各回のタイムや総合タイム、「タイムアウト」フラグ、ランキングなどの情報は、ゲーム終了後などの所定のタイミングでゲーム機1のRAM27からゲームカートリッジ7のRAM34に転送される。
【0052】
(変形例)
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0053】
例えば、上記の実施形態では、難易度に応じてキャラクタ種別を設定したが、全ての種別のキャラクタの難易度は共通にし、表示・動作の態様を異ならせたり、制限時間を変更することで難易度を調整してもよい。また、難易度の選択は受け付けずに、1問〜5問に進むに従って難易度が徐々に高くなるように自動設定してもよい。
【0054】
また、選択済のキャラクタを特定するのも、上記した枠状のマーカーに限定されず、キャラクタを点滅させたり、サブディスプレイや別ウィンドウに表示させてもよい。この場合は、選択されたキャラクタの動作を停止させる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子ゲーム機の概略構成を示す図である。
【図2】図2は、同、電子ゲーム機の内部構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、ゲームキャラクタ(文字OBJ)の具体例を示す図である。
【図4】図4は、ゲームキャラクタ(文字OBJ)の具体例を示す図である。
【図5】図5は、本発明のゲームプログラムの処理工程を示すフローチャートである。
【図6】図6は、ゲーム画面の例を示す図である。
【図7】図7は、ゲーム画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…ゲーム機
2…メイン筐体
3…サブ筐体
4a…メインディスプレイ
4b…サブディスプレイ
5…タッチペン
6a、6b…液晶タッチパネル
7…記録媒体(ゲームカートリッジ)
8…スロット
9…スピーカ
10…音抜き孔
11…スイッチ群
20…電子回路基板
21…CPUコア
22…通信バス
23…コネクタ
24…入出力インタフェース回路
25、26…GPU
27…RAM
28…LCDコントローラ
29…ワイヤレス通信部
30、31…VRAM
32…レジスタ
33…カートリッジROM
34…RAM
35…ゲームプログラム
36…ゲームデータ
37…ゲーム回数・表示個数データ
40…キャラクタ表示部
41…キャラクタ認識部
42…同一性判定部
43…成績判定部
44…通信制御部
45…同期化処理部
50…遮蔽物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤの操作信号を制御装置に伝達する入力手段と、ゲーム基礎データ及びゲームプログラムを格納する記憶装置と、操作信号及びゲームプログラムに従ってゲーム基礎データを読み出してゲームデータを生成する制御装置と、このゲームデータを表示するディスプレイとを備えたゲームシステムであって、
前記記憶装置は、外観が近似し視覚的に紛らわしい同一種別のキャラクタであって、同一物を複数個ずつ含む多数のキャラクタのデータを格納するものであり、
前記制御装置は、
前記多数のキャラクタをディスプレイに表示するキャラクタ表示機能と、
表示された多数のキャラクタから、プレイヤが入力手段を通じて選択した複数のキャラクタを識別するキャラクタ識別機能と、
選択された複数のキャラクタが同一であるかを判別する同一性判別機能と、
同一であると判別された場合に、当該複数のキャラクタをディスプレイから消去するキャラクタ消去機能と、
キャラクタの消去に関連付けた所定の基準でプレイヤの成績を算出する成績算出機能と、を備えた
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、
前記記憶装置は、識別容易性が異なる複数種別のキャラクタ群を、その識別容易性に基づいて設定される難易度の特定情報に関連付けて格納するものであり、
前記キャラクタ表示機能は、選択された難易度に従って、前記記憶装置から該当する種別のキャラクタ群を抽出して表示するものである
ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1のシステムにおいて、
前記成績算出機能は、単位時間内に消去したキャラクタの数、所定数のキャラクタを消去するまでの所要時間、消去したキャラクタの属性、の少なくとも何れかに基づいて成績を算出するものであることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1のシステムにおいて、
前記記憶装置は、キャラクタとして、平仮名、カタカナ、図形、部首が共通する漢字、記号、平面若しくは立体画像、外国文字、数字の少なくとも何れかを格納するものであることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1のシステムにおいて、
前記キャラクタ表示機能は、キャラクタがゲーム画面内を移動して、画面端部の壁、画面内の任意の位置に固定的に表示される障害物、若しくは他のキャラクタに接した時に、跳ね返らせて進行方向及び/若しくは表示方向をランダムに変えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1のシステムにおいて、
前記キャラクタ表示機能は、一部のキャラクタの色彩、大きさ、表示方向、回転方向、回転速度、進行方向、進行速度の少なくとも何れかを動的に変更することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1のシステムにおいて、
前記キャラクタ表示機能は、同一のキャラクタが存在しないダミーのキャラクタを含む多数のキャラクタをディスプレイに表示することを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1のシステムにおいて、
さらに、前記制御装置は、
他のゲームシステムとのデータ通信を制御する通信制御機能と、
通信中の他のゲームシステムと同期させて同一のゲームデータを表示させる同期化機能と、を備え、
前記キャラクタ識別機能は、通信制御機能によって取得した、他のゲームシステムのプレイヤが選択したキャラクタも識別するものである
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
コンピュータシステムを、ゲームシステムとして機能させるゲームプログラムであって、
外観が近似し視覚的に紛らわしい同種のキャラクタであって、同一物を複数個ずつ含む多数のキャラクタをディスプレイに表示するキャラクタ表示手段と、
表示された多数のキャラクタから、プレイヤが入力手段を通じて選択した複数のキャラクタを識別するキャラクタ識別手段と、
選択された複数のキャラクタが同一であるかを判別する同一性判別手段と、
同一であると判別された場合に、当該複数のキャラクタをディスプレイから消去するキャラクタ消去手段と、
キャラクタの消去に関連付けた所定の基準でプレイヤの成績を算出する成績算出手段と
して機能させるためのゲームプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−92967(P2008−92967A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274444(P2006−274444)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】