ゲームプログラム、ゲーム装置、およびゲーム制御方法
【課題】飛翔体キャラクタの到達点の履歴を、飛翔体キャラクタに対する作用の難易に反映させる。
【解決手段】ゲームを実行可能なコンピュータに、送出キャラクタから飛翔体キャラクタを送出する送出機能と、送出キャラクタによって送出される飛翔体キャラクタの、目標領域における最終的な到達点を決定する到達点決定機能と、到達点決定機能によって決定された到達点を内包する飛翔体キャラクタの到達予報領域を、送出キャラクタから飛翔体キャラクタが送出された後に表示する到達予報領域表示機能と、送出キャラクタから飛翔体キャラクタが送出される毎に、到達点の位置の履歴を記憶する到達点位置記憶機能とを実現させ、到達予報領域表示機能は、到達予報領域の大きさを、到達点決定機能によって決定された到達点および到達点位置記憶機能によって記憶された到達点の位置の履歴とに基づいて決定する。
【解決手段】ゲームを実行可能なコンピュータに、送出キャラクタから飛翔体キャラクタを送出する送出機能と、送出キャラクタによって送出される飛翔体キャラクタの、目標領域における最終的な到達点を決定する到達点決定機能と、到達点決定機能によって決定された到達点を内包する飛翔体キャラクタの到達予報領域を、送出キャラクタから飛翔体キャラクタが送出された後に表示する到達予報領域表示機能と、送出キャラクタから飛翔体キャラクタが送出される毎に、到達点の位置の履歴を記憶する到達点位置記憶機能とを実現させ、到達予報領域表示機能は、到達予報領域の大きさを、到達点決定機能によって決定された到達点および到達点位置記憶機能によって記憶された到達点の位置の履歴とに基づいて決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、操作部を介してプレイヤが、飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出するゲームを実行するゲームプログラム、ゲーム装置、およびゲーム制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(digital versatile disc)などに記録されたゲームソフトを用いてゲームをプレイするTVゲーム機が普及している。例えば野球ゲームでは、あるプレイヤ(またはTVゲーム機)は、投手キャラクタを動かしてボールキャラクタを投げる。他のプレイヤは、打者キャラクタを動かしてボールキャラクタを打つ。このような従来技術によるTVゲーム機は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
打者キャラクタは、投げられたボールキャラクタにミートカーソルを合わせるようにコントローラを操作し、バットを振る。ミートカーソルは、打者キャラクタが振るバットキャラクタのうち、打撃に実質的に影響する部分を表す。ミートカーソルは、例えば打撃カーソルやバットカーソルとも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−185359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような従来の野球ゲームでは、投手キャラクタがボールキャラクタを投げた瞬間に、打者キャラクタ側のストライクゾーン上にボールキャラクタの最終到達点である着弾点がピンポイントで表示される。打者キャラクタ(プレイヤ)はこの着弾点を参照して、飛んでくるボールキャラクタがその着弾点に到達するタイミングでバットをスイングして打撃を行なう。従って、打者キャラクタにとって、このピンポイントの着弾点は打撃を行なう目安になるので、打撃操作を補助する機能として有用である。
【0006】
しかしながら、一方、現実世界の野球ではこのように、事前に着弾点を知ることはあり得ないため、現実からかなり乖離したシステムであるとも言える。また、プレイヤが着弾点にタイミングを合わせることに慣れてしまうと、それだけで概ね、好結果を得ることが可能になり、打撃に関する限り、それ以上のテクニックや戦略は不要なことから、同様のシステムでゲーム性の深さや多様性をさらに求めるのには限界があった。
【0007】
そこで、本発明は、従来ゲームの着弾点に関連するシステムを改変して、より現実に近いリアリティを追求するとともに、深いゲーム性を追求できるゲームプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のある実施形態によれば、ゲーム空間内に設定された、飛翔体キャラクタ、前記飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出する送出キャラクタ、および前記目標領域において前記飛翔体キャラクタに対して作用を及ぼす作用キャラクタを表示部に表示し、操作部から出力される信号に基づいて、前記作用キャラクタから前記飛翔体キャラクタに作用が及ぼされるゲームを実行可能なコンピュータに、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタを送出する送出機能と、前記送出キャラクタによって送出される飛翔体キャラクタの、前記目標領域における最終的な到達点を決定する到達点決定機能と、前記到達点決定機能によって決定された到達点を内包する前記飛翔体キャラクタの到達予報領域を、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出された後に表示する到達予報領域表示機能と、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出される毎に、前記到達点の位置の履歴を記憶する到達点位置記憶機能とを実現させ、前記到達予報領域表示機能は、前記到達予報領域の大きさを、前記到達点決定機能によって決定された到達点および前記到達点位置記憶機能によって記憶された到達点の位置の履歴とに基づいて決定する。
【0009】
上記構成によれば、例えば野球ゲームにおいて、まず、ボールキャラクタ(飛翔体キャラクタ)のストライクゾーン上の着弾点(到達点)が到達点決定機能によって決定され、さらに、この着弾点を含む到達予報領域が表示される。打者キャラクタはこの到達予報領域のどこかに着弾点があるということを認識した状態で打撃を行なうことになる。つまり、従来のように着弾点がピンポイントで表示されるわけではないので、実際に飛翔表示されるボールキャラクタの移動と、着弾点を内包する到達予報領域との情報に基づき打撃を行なうことになる。
【0010】
但し、後記する(5)のように、実施形態のバリエーションとしては、着弾点を全く表示しないのではなく、例えばボールキャラクタが投手キャラクタからリリースされた後、所定時間経過後に(すなわち、ボールキャラクタがある程度、飛翔したタイミングで)、到達予報領域の中に現出するようにしてもよい。このようにすれば、到達予報領域のみの情報で打撃する場合に比べ、難易度を低くできる。
【0011】
さらに、この到達予報領域は、その大きさが、現在のボールキャラクタの到達点と、少なくとも1つの過去の到達点とに依存して決定される。例えばボールキャラクタが連続して同じ到達点(コース)に到達するときは、そうでないときに比較して、表示される到達予報領域の大きさが縮小される。これは、現実の野球においても、同じコース、例えば内角低めに連続して投球が行われた場合、打者はそのコースに目が慣れてくるので、再び同じ内角低めにボールが来たときには、打撃を行ないやすくなるという傾向にあるが、この現象をゲーム上で擬似的に演出したものである。すなわち、ボールがその中のどこにくるかわからない到達予報領域の大きさ自体を縮小して、ボールの到達点の予想を行い易くすることで、打者キャラクタの目の慣れを擬似演出している。
【0012】
以上のように、本構成によれば、従来に比し、現実に近いリアリティを実現できるとともに、熟練したプレイヤでもさらにその技量を伸ばす余地があるゲームを実現できる。
【0013】
(2)ある実施形態では、前記到達予報領域表示機能は、前記到達点決定機能によって決定された到達点と、前記到達点位置記憶機能によって記憶された前回の送出時の到達点とが、前記目標領域内を分割した小領域のいずれかの同一領域内に位置する場合に、前記到達予報領域の大きさを縮小する。
【0014】
上記構成によれば、例えば野球ゲームにおいて、投球されつつある(飛翔中の)現在のボールキャラクタの到達点と、前回の到達点とが目標領域(ストライクゾーン)内の同一の小領域中に位置する場合には、到達予報領域の大きさを縮小する。ここで、小領域とは、ストライクゾーンを複数に分割した各分割領域を示すものである。到達予報領域の大きさを縮小するのは、上記(1)で示したように、打者キャラクタの目の慣れを擬似演出するためである。
【0015】
ここで、本構成では、到達予報領域の縮小の条件を、現在および前回のボールキャラクタの到達点が同一の小領域中に位置する場合としている。よって2つの到達点が座標上、完全に一致しなくても、実質的に同じ点であるとみなせる程度に近傍に位置すれば、到達予報領域の大きさは縮小する。これによって、到達予報領域の縮小は、厳密な条件下で発動するのではなく、ゲーム進行の中で適宜、発生することとなるので、プレイヤは従来にない変化を楽しむことができ、遊戯性が向上する。
【0016】
(3)ある実施形態では、前記到達予報領域表示機能は、前記到達点決定機能によって決定された到達点が位置する前記小領域と同一領域に、前記到達点位置記憶機能によって記憶された過去の到達点が連続して位置する場合に、連続回数が多くなるにつれて、その連続する前後の到達予報領域の大きさの縮小率を大きくする。
【0017】
上記構成によれば、例えば野球ゲームの場合、ボールキャラクタが連続して同じ点または近傍に到達する回数が増えるにつれて、急激に到達予報領域が小さくなる。すなわち同じコースにボールが連続的に投球されればされるほど、そのコースに対する打者の目の慣れが急速に上昇するという実際の野球をよりよく模擬できる。その結果、リアリティの向上を図れ、ゲームの興趣性が向上する。
【0018】
(4)ある実施形態では、前記小領域は、前記目標領域をマス目状に等分割したものである。
【0019】
上記構成により、例えば野球ゲームの場合、目標領域(ストライクゾーン)における小領域の位置がプレイヤにとってはわかりやすく、ゲームコントローラの操作に習熟しやすいという利点がある。
【0020】
(5)ある実施形態では、前記到達点の表示を制御する到達点表示機能をさらに備え、前記到達点表示機能は、前記飛翔体キャラクタが前記送出キャラクタから送出され、前記目標領域近傍に近接するまで前記到達点を表示せず、前記目標領域に近接したときに、前記到達予報領域内の位置に前記到達点を表示する。
【0021】
上記構成により、例えば野球ゲームの場合、打者キャラクタを操作するプレイヤは、ボールキャラクタがストライクゾーンにある程度、近接した時点で、到達点を確認できることになる。このようにすれば、到達点を全く表示せず到達予報領域のみの情報で打撃する場合に比べ、難易度が低くなるので、例えば、ゲーム初心者等にとって適切なレベルのゲームを提供できる。
【0022】
(6)ある実施形態では、前記ゲームは野球ゲームであり、前記送出者キャラクタは投手キャラクタであり、前記作用者キャラクタは打者キャラクタであり、前記飛翔体キャラクタはボールであり、前記到達予報領域表示機能は、前記投手キャラクタの送出フォームに応じて、前記到達予報領域を縦長形状または横長形状にする。
【0023】
上記構成により、野球ゲームにおいて、投手キャラクタの送出フォームに依存して異なる到達予報領域を表示でき、打撃の難易のバリエーションが得られる。その結果、ゲームの興趣性が高まる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ボールを扱うような現実世界の試合等において発生する、ボールの飛翔コースに対する選手の目の慣れを、擬似的にゲーム上で演出することができ、従来にないリアリティと興趣性に満ちたゲームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のある実施形態によるゲームプログラムを用いるシステムを示す図である。
【図2】本発明のある実施形態によるゲームプログラムのフローを示す図である。
【図3】ゲームプログラムのフローを実行するデータ処理部の構成を示す図である。
【図4】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図5】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図6】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図7】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図8】本発明のある実施形態によるゲームプログラムが、現在の投球の到達点と、前回の投球の到達点とを比較するための小領域を示す図である。
【図9】本発明のある実施形態によるゲームプログラムが、到達予報領域の大きさの縮小率を大きくする機能を示す図である。
【図10】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図11】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図12】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図13】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図14】図13に示される機能を実現するために用いられる、到達点予測の的中を判断する方法を示す図である。
【図15】システムのハードウェアを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明によるゲームプログラム、ゲーム装置、およびゲーム制御方法の例示的実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。図面において同一又は同様の構成要素は、同じ参照符号によって表される。
【0027】
(システムの概略)
図1は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムを用いるシステム100を示す図である。システム100は、典型的にはゲーム装置110、コントローラ130、およびディスプレイ140を含む。ゲーム装置110は、記録媒体120からデータを読み出すドライブ112を備える。ゲーム装置110は、仮想的なゲーム空間内にキャラクタを生成し、ゲームのルールに従ってキャラクタを動かす。ゲームプログラムは、ゲーム空間、ゲームキャラクタ、およびゲームルールなどを記述する。
【0028】
例えば野球ゲームのゲームプログラムであれば、ゲーム空間は、野球場を模擬する空間である。ゲームキャラクタには、例えば、投手キャラクタ、ボールキャラクタ、打者キャラクタ、バットキャラクタ、および野手キャラクタがある。ゲームルールには、例えば、ボールが打者に打たれることなくストライクゾーンを通過すると、ストライクとみなすルールなど、野球ゲームを規定するさまざまなルールがある。
【0029】
記録媒体120は、本発明によるゲームプログラムを記録した任意の有体でありかつ非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、典型的にはDVD−ROM(read only memory)である。しかし記録媒体120はこれには限られず、BD(Blu-ray disc)−ROM、CD(compact disc)−ROM、半導体メモリなどであってもよい。ただしこれら記録媒体には、搬送波など無体の一時的な媒体は含まれない。典型的には本発明によるゲームプログラムは、コンピュータで読み取り可能な、有体な非一時的な記録媒体に記録されて流通される。代替として、本発明によるゲームプログラムは、コンピュータで読み取り可能な無体の一時的な記録媒体、例えば搬送波にデータ信号として記録され、例えばインターネットを介して流通されてもよい。
【0030】
プレイヤ(操作者、ユーザとも呼ばれる)は、コントローラ130を操作することによって、ゲーム空間内のキャラクタを動かすことができる。例えば野球ゲームの場合は、ゲーム空間内に投手キャラクタ、打者キャラクタ、野手キャラクタなどが配置される。プレイヤは、コントローラ130が備えるボタンを押すことによって、キャラクタを操作できる。例えばプレイヤは、打者キャラクタがバットを振る時の、バットの打撃部分の位置、バットを振る力の強さ、バットを振るタイミングなどをコントローラのボタンを押すことによって制御できる。このような制御によってプレイヤは、打者にボールを打たせる操作を行うことができる。
【0031】
コントローラ130は、典型的には、L1ボタン131、および十字キー132(十字ボタン、方向キーとも呼ばれる)を備えるが、これだけではなく他のさまざまなボタンを備えてもよい。コントローラ130は、例えば有線でゲーム装置110と結合されるが、これには限られず無線で結合されてもよい。
【0032】
ゲーム装置110は、ゲームプログラムに基づいて、さまざまなゲームを実行する。典型的にはゲーム装置110は、TVゲーム機と呼ばれる、ゲームプログラムを実行するための専用のハードウェアである。これには限られずゲーム装置110は、ゲームプログラムを実行することが可能なパーソナルコンピュータであり得る。
【0033】
図1のシステム100の代替として、ゲーム装置110、記録媒体120、コントローラ130、およびディスプレイ140が小型の筐体に収められた携帯型ゲーム機がゲームプログラムを実行してもよい。そのような携帯型ゲーム機は、ゲーム専用機である必要はない。例えば、ユーザが触ることでデータを入力できるタッチパネルを有する携帯電話機であってもよい。この場合、ユーザは、コントローラ130の代わりに携帯電話機のタッチパネルを指などで触ることによってキャラクタを動かしたり、さまざまな操作をしたりする。
【0034】
ゲーム装置110は、記録媒体120からゲームプログラムなどを読み込むためのドライブ112を有する。ドライブ112は、記録媒体120に対応する任意のドライブであり、例えばDVDドライブ、BDドライブ、CDドライブであり得る。記録媒体120として半導体メモリが用いられる時は、ドライブ112の代わりに、半導体メモリデバイスとゲーム装置110とを電気的に結合するコネクタが用いられる。ゲーム装置110が携帯型ゲーム機であるときは、半導体メモリデバイスはゲーム機の筐体内に設けられる。
【0035】
ディスプレイ140は、ゲーム装置110によって生成されたゲーム空間内のさまざまなキャラクタをプレイヤに表示する。ディスプレイ140は、液晶テレビ、プラズマテレビなどであり得る。ディスプレイ140は、ゲーム装置110とは、典型的には有線で結合され、例えばHDMI(high-definition multimedia interface)ケーブルが用いられる。ゲーム装置110が携帯型ゲーム機であるときは、ディスプレイ140は、液晶表示パネルであってもよい。さらにそのような携帯型ゲーム機は、上述のようなタッチパネルを有してもよい。
【0036】
ゲーム装置110は、仮想的なゲーム空間内にさまざまなゲームキャラクタ(単にキャラクタともいう)を生成する。ゲーム装置110は、その記憶装置に格納されているゲームルール、およびコントローラ130を介してプレイヤによって入力される信号などに従ってゲームキャラクタをゲーム空間において動かす。ゲーム装置110は、ゲーム空間、ゲームキャラクタなどをディスプレイ140上に表示する。
【0037】
ゲームキャラクタには、例えば飛翔体キャラクタ、飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出する送出キャラクタ、および目標領域において飛翔体キャラクタに対して作用を及ぼす作用キャラクタがある。プレイヤの操作に応じて操作部(例えばコントローラ130)から出力される信号に基づいて、作用キャラクタは、飛翔体キャラクタに作用を及ぼす。ゲーム装置110の記憶装置に格納されているゲームプログラムは、ゲーム空間、ゲームキャラクタ、およびゲームルールなどを記述する。
【0038】
例えばゲームプログラムが野球ゲームを実行する場合は、ゲーム空間は野球場を模擬する空間である。この場合、飛翔体キャラクタは野球のボールであり、送出キャラクタは投手キャラクタであり、作用キャラクタは打者キャラクタである。投手キャラクタは、ボールキャラクタを、目標領域であるストライクゾーン、またはその周辺へ投げる。その他のキャラクタとしては、バットキャラクタや背景キャラクタなどがある。
【0039】
ゲームプログラムがサッカーゲームを実行する場合は、飛翔体キャラクタはサッカーボールのキャラクタであり、目標領域はゴールキャラクタである。このとき送出キャラクタは、例えばペナルティキック合戦を行う選手キャラクタであり、作用キャラクタはゴールキーパーキャラクタである。
【0040】
上述の飛翔体キャラクタ、目標領域、送出キャラクタ、および作用キャラクタは一例であって、ゲーム装置110が実行するゲームに依存して、任意のキャラクタであり得る。ゲーム装置110が実行するゲームは、既存の球技に基づくものでなくてもよく、一般に飛翔体キャラクタを扱うゲームならよい。例えば、ゲーム機100は、シューティングゲーム、アクションゲーム、シミュレーションゲームなどのゲームを実行し得る。実行されるゲームに応じて、飛翔体キャラクタは、ボール、フリスビー、円盤、槍、モンスターなどであり得る。
【0041】
ゲームルールには、プレイヤと情報をやりとりしつつ、ゲームを進めるためのさまざまなルールがある。例えば野球ゲームのゲームプログラムであれば、ボールが打者に打たれることなくストライクゾーンを通過すると、ストライクとみなすルールなど、野球ゲームを規定するさまざまなルールがある。このようなゲームルールは一例であって、ゲーム装置110が実行するゲームに依存して、任意のゲームルールであり得る。
【0042】
プレイヤは、コントローラ130を操作することによって、ゲーム空間内のキャラクタを動かすことができる。例えば野球ゲームの場合は、ゲーム空間内に投手キャラクタ、打者キャラクタ、野手キャラクタなどが配置される。プレイヤは、L1ボタン131、および十字キー132などを用いてキャラクタを操作できる。例えばプレイヤは、打者キャラクタがバットを振る時の、バットの打撃部分の位置、バットを振る力の強さ、バットを振るタイミングなどをコントローラ130を操作することによって制御できる。このような制御によってプレイヤは、投手キャラクタにボールキャラクタを投げさせたり、打者キャラクタにボールキャラクタを打たせたりする操作を行うことができる。
【0043】
(ゲームプログラムの動作)
図2は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムのフロー200を示す図である。図2を参照しながら、本発明のある実施形態によるゲームプログラムの動作を説明する。図2に示すさまざまなステップは、ゲーム装置110のデータ処理部1600(図16を参照して後述する)によって実行される。具体的には、データ処理部1600によって実行されるステップは、ゲーム装置110が備えるCPU(central processing unit)1602が、RAM(random access memory)1604やCPU1602のキャッシュに記憶された命令群を実行することなどによって実現される。
【0044】
図3は、ゲームプログラムのフロー200を実行するデータ処理部1600の構成を示す図である。データ処理部1600は、信号処理部1612および画像処理部1614を備える。信号処理部1612は、送出手段302、到達点決定手段304、および到達点位置記憶手段306を備える。画像処理部1614は、到達予報領域表示手段308および到達点表示手段310を備える。これら手段は、典型的にはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせで実現され、必要な処理を行うためにデータの授受を行う。
【0045】
図4〜図7は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ140上に表示するゲーム画面の流れを示す図であり、以下、順次説明する。
図4は、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330を投げた瞬間を示す。ゲーム装置110は、図4に示す画像を生成し、ディスプレイ140に表示する。
【0046】
投手キャラクタ320(送出キャラクタに含まれる)は、打者キャラクタ340(作用キャラクタに含まれる)に向かってボールキャラクタ330(飛翔体キャラクタに含まれる)を送出する。打者キャラクタ340は、バットキャラクタ350でボールキャラクタ330を打撃する(作用を及ぼす)。ゲーム空間内には、典型的には仮想的な作用面が設けられる。この作用面は、野球ゲームの場合、ホームベース付近において投手キャラクタ320に正対し、かつ野球場のグラウンドに垂直に設けられる。目標領域であるストライクゾーンは、典型的にはこの作用面上に位置する。打者キャラクタ340は、この作用面において、ボールキャラクタ330を打撃する。ミートカーソル360は、打撃時のバットキャラクタ350の作用面での位置をプレイヤに示すためにディスプレイ140に表示される。
【0047】
なお、図4にはストライクゾーン700を仮に示しているが、これは後に詳述する図8のストライクゾーンがどこにあるかの位置を示すためのものであり、実際には図4〜7の一連の投打の中では表示されない。ストライクゾーン700は、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330を投げる前、およびボールキャラクタがホームべースを通過してストライクまたはボール判定された以降のタイミングで表示する。この理由は、ボールキャラクタ330が投げられた後もストライクゾーン700を表示していると、打者キャラクタ340にとっては、ストライクかボールかの判定が極めて容易になってしまいゲーム性が低下するためである。
【0048】
図4の表示に関連する処理を図2のフロー200に従って説明すると、まず、ステップ210では、投手キャラクタ320が送出するボールキャラクタ330の、作用面における(例えば目標領域であるストライクゾーン上における)最終的な到達点を到達点決定手段304によって決定する。図面上、最終的な到達点は、後述する図6または図7中の530であるが、図4さらにこれに続く図5の時点では内部処理的には既に決定されているものの、表示は行なわれない。ゲームプログラムは、投手キャラクタ320が意図する到達点や球種、および投手キャラクタ320の属性などに基づいて、ボールキャラクタ330の到達点を決定する。投手キャラクタ320が意図する到達点や球種は、例えばプレイヤがコントローラ130を介してゲーム装置110に入力できる。プレイヤが投手キャラクタ320を操作しない場合は、代わりにゲームプログラムが適宜、必要なデータを生成し、プログラム中でそれらを用いる。
【0049】
さらにゲームプログラムは、乱数などを用いて、意図する到達点からのランダムな誤差を表現してもよい。さらにコントロールの良さ、悪さなど、投手キャラクタ320の属性を到達点決定に反映させてもよい。例えばコントロールの良い投手キャラクタ320の場合は、ゲームプログラムは、プレイヤが意図する到達点をそのままボールキャラクタ330の到達点として用いる。逆にコントロールの悪い投手キャラクタ320の場合は、プレイヤが意図する到達点に所定量の誤差だけずらした位置を到達点として用いる。この所定量の誤差は、投手キャラクタ320の属性に基づいてその大小を変化させてもよく、ランダムに設定してもよい。
【0050】
ステップ220では、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330を送出するのに必要な処理を送出手段302によって行う。そのような処理は、典型的には投手キャラクタ320の用いる球種、ステップ210によって決定されたボールキャラクタ330の到達点などに基づいて、ボールキャラクタ330の飛翔軌跡を求めることを含む。そして、プレイヤ操作またはゲームプログラムに従って、投手キャラクタ320の投球が行われると、求められた飛翔軌跡に沿ってゲーム空間内でボールキャラクタ330が描画される。
【0051】
図5は、図4に続く表示を示したもので、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330を投げた後に、ディスプレイ140に到達予報領域430が表示される。ゲーム装置110は、図5に示す画像を生成し、ディスプレイ140に表示する。
【0052】
図5の表示に関連する処理を図2のフロー200に従って説明すると、ステップ230では、まずボールキャラクタ330の到達予報領域430が到達予報領域表示手段308によって求められる。この到達予報領域表示手段308は、到達予報領域430が、到達点決定手段304によって決定された到達点を内包するように決める。到達予報領域430の典型的な形状は、図5に示される円形であるが、これには限定されず楕円形、あるいは多角形や任意の閉領域でもよい。
【0053】
また、ステップ230では、到達予報領域430の大きさが、ステップ210を実行する到達点決定手段304によって決定された到達点および後述のステップ240を実行する到達点位置記憶手段306によって記憶された到達点の位置の履歴に基づいて、到達予報領域表示手段308によって決定される。その結果、ボールキャラクタ330の到達点の履歴を、飛翔体キャラクタの作用(例えば打撃)の難易度に反映させることができる。これにより飛翔体キャラクタを打撃する難易にバリエーションをつけることができ、ゲームの興趣性が向上する。
【0054】
具体的には、まず、投球されるボールキャラクタ330が第一球目の場合は、到達点位置記憶手段306には、到達点の位置がまだ記憶されていない。現実の野球でも、第一球目の場合は、打者にとって、ボールがストライクゾーンに来るか否か、あるいは、ストライクゾーンのどこに来るかを予測するのが難しい。この到達点の予測の困難さを模擬するために、ゲームプログラムは、到達予報領域430の大きさを比較的大きめに設定する。大きめに設定するということは、その中のどこにボールが来るかわからないため、予想が難しいということになる。
【0055】
ところで、ステップ240に示すように、到達点位置記憶手段306によって、第一球目以降、ボールキャラクタ330の到達点の位置の履歴は記憶されている。そして、この記憶に基づいて、第二球目以降の打撃の難易度を変えるようにしている。
【0056】
具体的には、投手キャラクタ320が第二球目を、第一球目の到達点と近い位置(例えば外角高め)に投げるとする。その場合に、到達予報領域430の大きさを第一球目に比べて小さくする。図10は、この到達予報領域430が縮小された状態を示しており、図5または図6と比較すると、到達予報領域430が小さく表示されている。この理由は以下の通りである。すなわち、現実の野球でも第一球目のコースに近い位置に第二球目が投げられる場合は、打者にとっては、第一球目で目が慣れていることから、ボールを打ちやすい。これを、本形態では、同じか近いコースにボールキャラクタが連続して到達するときの打ち易さを、到達予報領域430の大きさを小さめに設定することで模擬している。
【0057】
以上のように、到達予報領域430の大きさが過去のボールキャラクタの到着点の履歴に依存して変化するので、ゲームに緊張感がでて、より実際の野球に近い投打の駆け引きを体感できる。その結果、ゲームの興趣性が向上する。
【0058】
さらに、従来のシステムで表示されていた着弾点の代わりに、本発明のゲームプログラムでは、到達予報領域430のように所定の大きさを有する領域を表示する。ボールキャラクタ330がこの領域内のどこに最終的に着弾するかは、打者キャラクタ340を操作するプレイヤにはわからない。そのため従来よりも打撃が難しくなり、ゲームに緊張感が出て、興趣性が向上する。
【0059】
次に、図6は、到達予報領域430の領域内に、最終的なボールキャラクタ330の到達点530が現出した状態を示す。到達点530は、ステップ235において到達点表示手段310によって表示される。
【0060】
ここで、到達点530が現出するタイミングについては、投手キャラクタ320の能力に依存するように設定すればよい。具体的には、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330をリリースしてから、到達点530が表示されるまでの遅延期間を変化させるようにすればよい。例えば、投手キャラクタ320の能力として、ボールの切れが良い、という属性があるときは、リリースから表示までの遅延期間を、その属性がないときに比べて長くする。遅延時間が長いということは、それだけ打者キャラクタが到達点を認識するタイミングが遅くなるということなので、打撃の難易度が上がる。逆に、投手キャラクタ320の能力が低い場合には、遅延時間を短くしても良い。このように、投手キャラクタ320の能力に応じて遅延時間を変化させれば、試合内容に従来にないような変化が生じ、ゲームの興趣性が高まる。
【0061】
図6に示されるように典型的には、ゲーム装置110の到達予報領域表示手段308は、到達予報領域430の中心に到達点530が位置するように、到達予報領域430を生成し、ディスプレイ140に表示する。しかしこのような位置関係に限定されず、到達予報領域430の中心から投球毎にランダムにずれた位置に到達点が位置するような到達予報領域430を生成し表示してもよい。
【0062】
図7は、図6の状態から所定時間が経過した後に、到達予報領域430のみが消去された状態を示す。消去するのは、プレイヤにとっては到達点530が視認できた時点で、到達予報領域430の存在の意味はなくなったからである(到達点530のみを目指して打撃操作すればよい)。消去は所定時間経過後、即座に行ってもよいし、時間をかけて徐々にフェードアウトさせてもよい。この状態において、打者キャラクタ340を操作するプレイヤは、ミートカーソル360を到達点530に合わせるとともにボールキャラクタ330がちょうど到達点530を通過するタイミングを見計らって打撃する。
【0063】
なお、上記図4〜図7の実施形態では、到達予報領域430を図6から図7に移行する段階で消去したが、ボールキャラクタ330が打撃されるか、ホームベースを通過してストライク、ボールの判定が行なわれるまで継続して表示してもよい。
【0064】
ステップ240に示すように、到達点位置記憶手段306は、投手キャラクタ320からボールキャラクタ330が送出される毎に、ボールキャラクタ330の到達点の位置を記憶する。典型的には、少なくとも前回の(直近の)投球の到達点を表す座標データを記憶する。これによりステップ230で、到達予報領域430の大きさを、ステップ210によって決定された到達点と、前回の投球の到達点の位置とに基づいて決定できる。具体的には、ステップ210によって決定された到達点が、前回の投球の到達点の近傍にあるときには、到達予報領域430の大きさを縮小する。さらにゲーム装置110は、その打席の全ての投球の到達点を表す座標データを記憶してもよい。なお記憶される座標データは、ボールキャラクタ330の軌跡を算出するのに用いるような精度の高いデータであってもよく、逆に精度の低い、例えば図8を参照して後述するストライクゾーン内の小領域を特定するデータであってもよい。
【0065】
ステップ250において、ゲーム装置110は1打席が終了したかを判定する。1打席が終了した場合(YESの枝)、フロー200は終了する。1打席が終了していない場合(NOの枝)はステップ210へ戻る。
【0066】
図8は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムが、現在の投球の到達点と、前回の投球の到達点とを比較するための小領域を示す図である。ゲーム装置110は、前述の仮想的な作用面に、野球ゲームの場合はストライクゾーン700を目標領域として設定する。ストライクゾーン700は、典型的には縦3マス、横3マスの合計9個の等分割された小領域700a〜700iからなる。小領域の個数は9個には限定されず、縦4マス、横4マスの16個などの個数でもよい。
【0067】
ゲーム装置110は、前回の投球の到達点710を表す座標データを記憶している。前述のようにステップ210は、現在の投球の到達点720を決定する。前回の投球の到達点710も、現在の投球の到達点720も同じ小領域(ここでは700c)の中に位置する。この場合には到達予報領域430の大きさを縮小する。到達点530は到達予報領域430の中にあるので、到達予報領域430の大きさを縮小すると、ボールキャラクタ330が到達する可能性のある領域が限定されることから、打者キャラクタ340を操作するプレイヤはミートカーソル360を到達点530に合わせやすくなる。前回の投球の到達点710と、現在の投球の到達点720とが位置する小領域は、小領域700cには限定されず、700a〜700iのいずれでもよい。
【0068】
この機能によって、前の投球と近い位置にボールが来るときには、打者の目が慣れているので打撃しやすくなる(すなわち打者に有利になる)という実際の野球の感覚を模擬できる。一方、投手キャラクタ320にとっては、上記傾向を把握した上で、適宜、コースをばらつかせるような配球が必要となる。その結果、投打の駆け引きに従来のゲームでは実現できなかったバリエーションが生まれる。よってゲームに緊張感がでて、興趣性が高まるという効果を奏する。
【0069】
図9は、本発明のある実施形態による到達予報領域表示手段308が、到達予報領域の大きさの縮小率を大きくする機能を示す図である。図9に示すグラフ800の横軸は過去の投球の到達点が連続した球数nであり、縦軸は到達予報領域430の大きさ(例えば円の直径)を、第1球のデフォールトの大きさを100とした百分率rである。点810は、n=1、すなわち第1球の(デフォールトの)到達予報領域430の大きさr1=100を示す。点820は、n=2、すなわち2球連続で同じ小領域に到達したときの到達予報領域430の大きさr2=90を示す。点830は、n=3、すなわち3球連続で同じ小領域に到達したときの到達予報領域430の大きさr3=70を示す。点840は、n=4、すなわち4球連続で同じ小領域に到達したときの到達予報領域430の大きさr4=40を示す。図9は4点しか示さないがこれには限られず、ゲーム装置110は、過去の投球の到達点を表すデータをより多く記憶してもよい。好ましくはゲーム装置110は、その打席における過去の投球の到達点を表すデータを全て記憶する。
【0070】
ある実施形態ではステップ230において、ステップ210によって決定された到達点が位置する小領域と同一領域に、ステップ240によって記憶された過去の到達点が連続して位置する場合に、連続回数が多くなるにつれて、その連続する前後の到達予報領域の大きさの縮小率を大きくする。本明細書において、「連続する前後の到達予報領域の大きさの縮小率」とは、到達点が連続して同じ領域内に位置する投球のうち、連続する2つの投球についての到達予報領域の大きさの差をいう。例えば、点810に示される第1球および点820に示される第2球についての到達予報領域の大きさの差はr1−r2=100−90=10である。点820に示される第2球および点830に示される第3球についての到達予報領域の大きさの差はr2−r3=90−70=20である。同様にして第3球および第4球についての到達予報領域の大きさの差はr3−r4=70−40=30である。このように到達点が同じ領域に位置する投球がより多く連続するにつれて、到達予報領域の大きさの小さくなる度合い(すなわち差分)がより大きくなる。このように到達予報領域の大きさを変化させると、打者キャラクタを操作するプレイヤにとっては、同じコースのボールが連続すると急激に打ちやすくなる。これは実際の野球でも起こる、ボールのコースに打者の目が慣れて打ちやすくなることを再現している。したがってゲームの興趣性が向上するという効果を奏する。
【0071】
図11および図12は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ140上に表示するゲーム画面を示す図である。ある実施形態によるゲームプログラムにおいては、ステップ230で到達予報領域表示手段308は、投手キャラクタ320の送出フォームに応じて、到達予報領域430を縦長形状または横長形状にする。例えば投手キャラクタ320の投法がサイドスローのときは、図11および図12に示されるように横長形状である到達予報領域430を生成し、表示する。または投手キャラクタ320の投法がオーバースローのときは、縦長形状である到達予報領域430を生成し、表示する。
【0072】
図11に示されるように、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330をリリースした直後に、到達予報領域表示手段308は横長の到達予報領域430を表示する。この横長の到達予報領域430は、その一部が打者キャラクタ340と重なるほど近い。そのため打者キャラクタ340を操作するプレイヤは、デッドボールになるかもしれないと予測し、打撃しにくくなる。ところが図12に示されるように、到達予報領域430内の最もストライクゾーン寄りの位置にボールキャラクタ330が到達すれば、内角ぎりぎりでストライクになる。このように投法に応じて到達予報領域430の形状を変化させることによって、実際の野球のようにある方向(上では水平方向)に到達点530の不確定さが増す。その結果、円形の到達予報領域430に比べて、ゲームに緊張感が出て、興趣性が向上する。
【0073】
代替の実施形態として、球種に応じて予報円の形状を変化させてもよい。例えばフォークであれば、到達予報領域430は縦長の楕円であり、かつストライクゾーン下寄りに配置される。またカーブであれば、到達予報領域430は横長形状の楕円であり、かつストライクゾーン左寄りに配置される。到達予報領域430のこれら配置位置は、投手のコースの狙い方に依存して変化させてもよい。
【0074】
図13は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ140上に表示するゲーム画面を示す図である。ある実施形態によるゲームプログラムにおいては、ステップ230で到達予報領域表示手段308は、打者キャラクタ340を操作するプレイヤによる、ボールキャラクタ330の到達点の予測が当たったときには、そうでないとき(例えば到達予報領域430)よりも小さい大きさを持つ到達予報領域1430を表示する。具体的には図13の到達予報領域1430の大きさは、図10の到達予報領域430の大きさよりも小さい。到達点予測が的中したかどうかに依存して到達予報領域の大きさを変化させることによって、打者の予測が当たればヒットになりやすいという実際の野球をよりよく模擬できる。その結果、ゲームの興趣性が高まる。
【0075】
図14は、図13に示される機能を実現するために用いられる、到達点予測の的中を判断する方法を示す図である。ある実施形態においては、ボールキャラクタ330がリリースされた直後のミートカーソル360の中心1565が、打者キャラクタ340が予測するボールキャラクタ330の到達点を表すとして予測の的中が判定される。例えば、リリースされた直後のミートカーソル360の中心1565が、ステップ210によって決定された到達点1535と同一の小領域(ここでは700a)に位置するときは、到達点予測が的中したとみなして、到達予報領域430の大きさよりも小さい、到達予報領域1430を表示する。このように2つの点が同一の小領域に位置するかに基づいて判定することによって、打者キャラクタ340を操作するプレイヤにとっては、これら2点がある程度、一致すれば予測が的中したと判定されるので、判定の基準がプレイヤにとって適度に緩く、ミートカーソル360の操作に習熟しやすいという利点がある。
【0076】
なお小領域内に位置するかで判定する代わりに、リリース直後のミートカーソル360の中心1565と、決定された到達点1535との距離が所定の閾値より小さいときに、到達予報領域の大きさを小さくしてもよい。
【0077】
到達点の履歴に基づいて、到達予報領域430の大きさを変えるには他の方法もある。例えば、到達点の位置が大きく変わるときには、到達予報領域430の大きさを大きめに設定してもよい。具体的には、第1球および第2球が外角高めに到達したときに、第3球が内角低めだと、その第3球についての到達予報領域430の大きさは大きく設定される。これは配球の組み立てに依存して、到達予報領域430の大きさを変化させる一例である。このように配球パターンに応じて到達予報領域430の大きさを変化させれば、より実際の野球に近くなり、興趣性が向上する。
【0078】
以上、説明してきた実施形態によれば到達予報領域表示手段308は、到達点の履歴に基づいて、到達予報領域430の大きさを変えた。他の実施形態によれば到達予報領域表示手段308は、打者キャラクタ340の属性に基づいて、到達予報領域430の大きさを変える。例えば打撃力が強い(ミート力が強いともいう)打者キャラクタの場合は、到達予報領域430の大きさを小さめに設定する。このような打者キャラクタを操作するプレイヤは、ボールキャラクタの到達点の予測がしやすくなるので、ヒットになりやすく、またヒットになった場合は長打になりやすい。逆に打撃力が弱い(ミート力が弱いともいう)打者キャラクタの場合は、到達予報領域430の大きさを大きめに設定する。このような打者キャラクタを操作するプレイヤは、ボールキャラクタの到達点の予測がしにくくなるので、ヒットになりにくく、また仮にヒットになったとしても長打になりにくい。
【0079】
(システムのハードウェア)
図15は、システム100のハードウェアを示すブロック図である。システム100は、ゲーム装置110、コントローラ130、およびディスプレイ140を含む。ゲーム装置110は、ネットワーク1660を介して他のゲーム装置1650と接続されてもよい。
【0080】
CPU1602は、ゲーム装置110の各構成要素と接続され、制御信号やデータをやりとりすることによって、その全体の動作を制御する。CPU1602は、RAM1604に記憶されたゲームプログラムを構成するステップ群を実行することによって、所望の機能を実現する。具体的にはCPU1602は、図2に示されるステップ群を実行することによって、ステップ群が規定する所望の機能群を実現する。
【0081】
CPU1602は、レジスタに対してALU(Arithmetic Logic Unit)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。CPU1602は、マルチメディア処理のための加減乗除などの飽和演算、および三角関数などベクトル演算を高速に行えるように構成されてもよい。CPU1602は、演算を高速に行うためにコプロセッサを備えてもよい。
【0082】
記録媒体120は、任意の適切なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、本発明によるゲームプログラム、およびゲームに付随する画像データおよび音声データを記録する。ドライブ112は、CPU1602の制御によって、記録媒体120からゲームプログラムおよび付随するデータを読み出す。CPU1602は、読み出されたプログラムおよびデータをバス1606を介して、RAM1604に転送し、一時的に記憶する。
【0083】
RAM1604は、データやプログラムを一時的に記憶する。RAM1604は、記録媒体120から読み出したゲームプログラム、ゲームプログラムに付随するデータ、ネットワーク対戦モードにおける他のプレイヤに関連するデータ、通信に関連するデータなどを記憶する。CPU1602は、RAM1604に変数領域を設け、変数領域に格納された値に対して直接に演算を行ってもよい。CPU1602は、RAM1604に記憶された値をいったんレジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻してもよい。
【0084】
ROM1608は、電源投入直後に実行されるIPL(initial program loader)を記憶する。CPU1602は、IPLを実行することによって、記録媒体120に記録されたゲームプログラムを読み出す。CPU1602は、読み出されたゲームプログラムをRAM1604に記憶させ、ゲームプログラムの実行に必要な処理を行う。ROM1608は、ゲーム装置110の制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムおよび各種データを記憶する。
【0085】
インタフェース1610は、コントローラ130によって検出されたプレイヤの操作に関連付けられたデータを、バス1606を介してCPU1602などに送る。信号処理部1612および画像処理部1614は、図3でも示したように、バス1606を通してCPU1602と接続される。CPU1602は、ゲームプログラムからの命令を解釈し、各種のデータ処理および制御を行う。例えば、CPU1602は、信号処理部1612に対して、画像データを画像処理部に供給するように命令する。信号処理部1612は、例えばゲーム空間内におけるさまざまなキャラクタの計算、ゲーム空間からディスプレイ画面への座標変換計算、光源計算、および画像および音声データの生成を行う。
【0086】
画像処理部1614は、2次元画像の重ね合わせ演算、αブレンディングなどの透過演算、各種の飽和演算などを高速に実行する。仮想3次元空間であるゲーム空間内には、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴンとして表現される、さまざまなキャラクタが配置される。画像処理部1614は、このポリゴンをZバッファ法によってレンダリングする。画像処理部1614は、ゲーム空間内に配置されたポリゴンを、所定の視点位置から所定の視線方向へ俯瞰したレンダリング画像を得るための演算を高速に実行できる。
【0087】
CPU1602は、画像演算プロセッサ1614と協調して、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画したりする。
【0088】
データ処理部1600は、典型的にはCPU1602、RAM1604、ROM1608、信号処理部1612、および画像処理部1614によって構成される。データ処理部1600は、図2および図3を参照して説明したさまざまなステップをCPU1602によって実行することにより、それぞれのステップに対応する手段を実現する。具体的には、データ処理部1600は、ステップ210に対応する到達点決定手段304、ステップ220に対応する飛翔体キャラクタを送出する送出手段302、ステップ230に対応する到達予報領域表示手段308、ステップ235に対応する到達点表示手段310、ステップ240に対応する到達点位置記憶手段306、およびステップ250に対応する1打席終了の判定手段を少なくとも構成する。データ処理部1600は、ゲームプログラムを実行するのに必要な他のさまざまな手段を構成してもよい。逆にデータ処理部1600は、上記手段のうちの一部を省略してもよい。
【0089】
データ処理部1600は、上述の構成要素に加えて他のハードウェアまたはソフトウェアの要素をさらに備えてもよい。例えばデータ処理部1600は、単一のCPU1602の代わりに複数のCPUを用いることによって並列処理を行い、計算速度を高速化してもよい。逆に、データ処理部1600は、上述の構成要素の一部を含まなくてもよい。 画像出力部1616は、典型的にはデジタルアナログ変換器、フレームメモリを有する。このフレームメモリは、例えば画像処理部1614によって処理された画像データを記憶する。画像出力部1616は、画像データを所定の同期タイミングでビデオ信号に変換し、ディスプレイ140へ出力する。
【0090】
音声出力部1618は、典型的にはデジタルアナログ変換器を有する。音声出力部1618は、記録媒体120から読み出された音声データをアナログ信号に変換し、出力する。ディスプレイ140は、変換されたアナログ信号を、例えばHDMIケーブルなどを通して受け取り、内蔵のスピーカから音声として出力する。CPU1602は、ゲームの実行中において、効果音および楽曲データを生成し、音声信号として出力してもよい。音声出力部1618は、記録媒体120に記録された音声データがMIDI(musical instrument digital interface)データである時は、関連付けられた音源データを参照することによって、MIDIデータをPCM(pulse code modulation)データに変換する。音声出力部1618は、音声データがADPCM(adaptive differential pulse code modulation)形式やOgg Vorbis形式などで圧縮されている時には、圧縮されたデータを展開してPCMデータに変換する。音声出力部1618は、PCMデータに対して、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでデジタルアナログ変換を行って、出力する。
【0091】
ネットワークインタフェース1620は、ネットワーク1660を通して他のゲーム装置1650と通信するのに用いられる。例えばネットワーク対戦モードで自分が用いる、相手のチームに関連するさまざまなデータは、ネットワークインタフェース1620によって、ネットワーク1660を通して受け取られる。逆に、ネットワーク対戦モードで相手が用いる、自分のチームに関連するさまざまなデータは、ネットワークインタフェース1620によって、ネットワーク1660を通して相手のゲーム装置1650に送られる。これによりネットワーク対戦モードで、遠隔地におけるプレイヤどうしでゲームの対戦が可能になる。システム100は、ネットワーク1660に接続することなく、ゲーム装置110単体でゲームプログラムを実行してもよい。
【0092】
本発明によるゲームプログラムは、典型的には記録媒体120からゲーム装置110にロードされる。しかしこれには限られず、本発明によるゲームプログラムの全部または一部が、ネットワーク1660を介して、遠隔地にあるコンピュータ(例えばサーバ)からロードされてもよい。また本発明によるゲームプログラムに関連して用いられるデータの全部または一部が、ネットワーク1660を介して、遠隔地にあるコンピュータ(例えばサーバ)からロードされてもよい。
【0093】
当業者には理解されるように、上述のさまざまな要素(ハードウェアの要素、ソフトウェアのステップなど)は、その一部が省略されてもよい。逆に、付加的な要素を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、飛翔体キャラクタの到達点の履歴に依存して飛翔体キャラクタの到達予報領域の大きさを変化させることができるゲームプログラム、ゲーム装置、およびゲーム制御方法を提供できる点で有用である。
【符号の説明】
【0095】
200 ゲームプログラムのフロー
210 ボールキャラクタの到達点を決定するステップ
220 ボールキャラクタを送出するステップ
230 到達予報領域を表示するステップ
235 到達点を表示するステップ
240 到達点位置を記憶するステップ
250 1打席終了かを判定するステップ
【技術分野】
【0001】
本開示は、操作部を介してプレイヤが、飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出するゲームを実行するゲームプログラム、ゲーム装置、およびゲーム制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(digital versatile disc)などに記録されたゲームソフトを用いてゲームをプレイするTVゲーム機が普及している。例えば野球ゲームでは、あるプレイヤ(またはTVゲーム機)は、投手キャラクタを動かしてボールキャラクタを投げる。他のプレイヤは、打者キャラクタを動かしてボールキャラクタを打つ。このような従来技術によるTVゲーム機は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
打者キャラクタは、投げられたボールキャラクタにミートカーソルを合わせるようにコントローラを操作し、バットを振る。ミートカーソルは、打者キャラクタが振るバットキャラクタのうち、打撃に実質的に影響する部分を表す。ミートカーソルは、例えば打撃カーソルやバットカーソルとも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−185359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような従来の野球ゲームでは、投手キャラクタがボールキャラクタを投げた瞬間に、打者キャラクタ側のストライクゾーン上にボールキャラクタの最終到達点である着弾点がピンポイントで表示される。打者キャラクタ(プレイヤ)はこの着弾点を参照して、飛んでくるボールキャラクタがその着弾点に到達するタイミングでバットをスイングして打撃を行なう。従って、打者キャラクタにとって、このピンポイントの着弾点は打撃を行なう目安になるので、打撃操作を補助する機能として有用である。
【0006】
しかしながら、一方、現実世界の野球ではこのように、事前に着弾点を知ることはあり得ないため、現実からかなり乖離したシステムであるとも言える。また、プレイヤが着弾点にタイミングを合わせることに慣れてしまうと、それだけで概ね、好結果を得ることが可能になり、打撃に関する限り、それ以上のテクニックや戦略は不要なことから、同様のシステムでゲーム性の深さや多様性をさらに求めるのには限界があった。
【0007】
そこで、本発明は、従来ゲームの着弾点に関連するシステムを改変して、より現実に近いリアリティを追求するとともに、深いゲーム性を追求できるゲームプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のある実施形態によれば、ゲーム空間内に設定された、飛翔体キャラクタ、前記飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出する送出キャラクタ、および前記目標領域において前記飛翔体キャラクタに対して作用を及ぼす作用キャラクタを表示部に表示し、操作部から出力される信号に基づいて、前記作用キャラクタから前記飛翔体キャラクタに作用が及ぼされるゲームを実行可能なコンピュータに、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタを送出する送出機能と、前記送出キャラクタによって送出される飛翔体キャラクタの、前記目標領域における最終的な到達点を決定する到達点決定機能と、前記到達点決定機能によって決定された到達点を内包する前記飛翔体キャラクタの到達予報領域を、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出された後に表示する到達予報領域表示機能と、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出される毎に、前記到達点の位置の履歴を記憶する到達点位置記憶機能とを実現させ、前記到達予報領域表示機能は、前記到達予報領域の大きさを、前記到達点決定機能によって決定された到達点および前記到達点位置記憶機能によって記憶された到達点の位置の履歴とに基づいて決定する。
【0009】
上記構成によれば、例えば野球ゲームにおいて、まず、ボールキャラクタ(飛翔体キャラクタ)のストライクゾーン上の着弾点(到達点)が到達点決定機能によって決定され、さらに、この着弾点を含む到達予報領域が表示される。打者キャラクタはこの到達予報領域のどこかに着弾点があるということを認識した状態で打撃を行なうことになる。つまり、従来のように着弾点がピンポイントで表示されるわけではないので、実際に飛翔表示されるボールキャラクタの移動と、着弾点を内包する到達予報領域との情報に基づき打撃を行なうことになる。
【0010】
但し、後記する(5)のように、実施形態のバリエーションとしては、着弾点を全く表示しないのではなく、例えばボールキャラクタが投手キャラクタからリリースされた後、所定時間経過後に(すなわち、ボールキャラクタがある程度、飛翔したタイミングで)、到達予報領域の中に現出するようにしてもよい。このようにすれば、到達予報領域のみの情報で打撃する場合に比べ、難易度を低くできる。
【0011】
さらに、この到達予報領域は、その大きさが、現在のボールキャラクタの到達点と、少なくとも1つの過去の到達点とに依存して決定される。例えばボールキャラクタが連続して同じ到達点(コース)に到達するときは、そうでないときに比較して、表示される到達予報領域の大きさが縮小される。これは、現実の野球においても、同じコース、例えば内角低めに連続して投球が行われた場合、打者はそのコースに目が慣れてくるので、再び同じ内角低めにボールが来たときには、打撃を行ないやすくなるという傾向にあるが、この現象をゲーム上で擬似的に演出したものである。すなわち、ボールがその中のどこにくるかわからない到達予報領域の大きさ自体を縮小して、ボールの到達点の予想を行い易くすることで、打者キャラクタの目の慣れを擬似演出している。
【0012】
以上のように、本構成によれば、従来に比し、現実に近いリアリティを実現できるとともに、熟練したプレイヤでもさらにその技量を伸ばす余地があるゲームを実現できる。
【0013】
(2)ある実施形態では、前記到達予報領域表示機能は、前記到達点決定機能によって決定された到達点と、前記到達点位置記憶機能によって記憶された前回の送出時の到達点とが、前記目標領域内を分割した小領域のいずれかの同一領域内に位置する場合に、前記到達予報領域の大きさを縮小する。
【0014】
上記構成によれば、例えば野球ゲームにおいて、投球されつつある(飛翔中の)現在のボールキャラクタの到達点と、前回の到達点とが目標領域(ストライクゾーン)内の同一の小領域中に位置する場合には、到達予報領域の大きさを縮小する。ここで、小領域とは、ストライクゾーンを複数に分割した各分割領域を示すものである。到達予報領域の大きさを縮小するのは、上記(1)で示したように、打者キャラクタの目の慣れを擬似演出するためである。
【0015】
ここで、本構成では、到達予報領域の縮小の条件を、現在および前回のボールキャラクタの到達点が同一の小領域中に位置する場合としている。よって2つの到達点が座標上、完全に一致しなくても、実質的に同じ点であるとみなせる程度に近傍に位置すれば、到達予報領域の大きさは縮小する。これによって、到達予報領域の縮小は、厳密な条件下で発動するのではなく、ゲーム進行の中で適宜、発生することとなるので、プレイヤは従来にない変化を楽しむことができ、遊戯性が向上する。
【0016】
(3)ある実施形態では、前記到達予報領域表示機能は、前記到達点決定機能によって決定された到達点が位置する前記小領域と同一領域に、前記到達点位置記憶機能によって記憶された過去の到達点が連続して位置する場合に、連続回数が多くなるにつれて、その連続する前後の到達予報領域の大きさの縮小率を大きくする。
【0017】
上記構成によれば、例えば野球ゲームの場合、ボールキャラクタが連続して同じ点または近傍に到達する回数が増えるにつれて、急激に到達予報領域が小さくなる。すなわち同じコースにボールが連続的に投球されればされるほど、そのコースに対する打者の目の慣れが急速に上昇するという実際の野球をよりよく模擬できる。その結果、リアリティの向上を図れ、ゲームの興趣性が向上する。
【0018】
(4)ある実施形態では、前記小領域は、前記目標領域をマス目状に等分割したものである。
【0019】
上記構成により、例えば野球ゲームの場合、目標領域(ストライクゾーン)における小領域の位置がプレイヤにとってはわかりやすく、ゲームコントローラの操作に習熟しやすいという利点がある。
【0020】
(5)ある実施形態では、前記到達点の表示を制御する到達点表示機能をさらに備え、前記到達点表示機能は、前記飛翔体キャラクタが前記送出キャラクタから送出され、前記目標領域近傍に近接するまで前記到達点を表示せず、前記目標領域に近接したときに、前記到達予報領域内の位置に前記到達点を表示する。
【0021】
上記構成により、例えば野球ゲームの場合、打者キャラクタを操作するプレイヤは、ボールキャラクタがストライクゾーンにある程度、近接した時点で、到達点を確認できることになる。このようにすれば、到達点を全く表示せず到達予報領域のみの情報で打撃する場合に比べ、難易度が低くなるので、例えば、ゲーム初心者等にとって適切なレベルのゲームを提供できる。
【0022】
(6)ある実施形態では、前記ゲームは野球ゲームであり、前記送出者キャラクタは投手キャラクタであり、前記作用者キャラクタは打者キャラクタであり、前記飛翔体キャラクタはボールであり、前記到達予報領域表示機能は、前記投手キャラクタの送出フォームに応じて、前記到達予報領域を縦長形状または横長形状にする。
【0023】
上記構成により、野球ゲームにおいて、投手キャラクタの送出フォームに依存して異なる到達予報領域を表示でき、打撃の難易のバリエーションが得られる。その結果、ゲームの興趣性が高まる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ボールを扱うような現実世界の試合等において発生する、ボールの飛翔コースに対する選手の目の慣れを、擬似的にゲーム上で演出することができ、従来にないリアリティと興趣性に満ちたゲームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のある実施形態によるゲームプログラムを用いるシステムを示す図である。
【図2】本発明のある実施形態によるゲームプログラムのフローを示す図である。
【図3】ゲームプログラムのフローを実行するデータ処理部の構成を示す図である。
【図4】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図5】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図6】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図7】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図8】本発明のある実施形態によるゲームプログラムが、現在の投球の到達点と、前回の投球の到達点とを比較するための小領域を示す図である。
【図9】本発明のある実施形態によるゲームプログラムが、到達予報領域の大きさの縮小率を大きくする機能を示す図である。
【図10】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図11】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図12】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図13】本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ上に表示するゲーム画面を示す図である。
【図14】図13に示される機能を実現するために用いられる、到達点予測の的中を判断する方法を示す図である。
【図15】システムのハードウェアを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明によるゲームプログラム、ゲーム装置、およびゲーム制御方法の例示的実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。図面において同一又は同様の構成要素は、同じ参照符号によって表される。
【0027】
(システムの概略)
図1は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムを用いるシステム100を示す図である。システム100は、典型的にはゲーム装置110、コントローラ130、およびディスプレイ140を含む。ゲーム装置110は、記録媒体120からデータを読み出すドライブ112を備える。ゲーム装置110は、仮想的なゲーム空間内にキャラクタを生成し、ゲームのルールに従ってキャラクタを動かす。ゲームプログラムは、ゲーム空間、ゲームキャラクタ、およびゲームルールなどを記述する。
【0028】
例えば野球ゲームのゲームプログラムであれば、ゲーム空間は、野球場を模擬する空間である。ゲームキャラクタには、例えば、投手キャラクタ、ボールキャラクタ、打者キャラクタ、バットキャラクタ、および野手キャラクタがある。ゲームルールには、例えば、ボールが打者に打たれることなくストライクゾーンを通過すると、ストライクとみなすルールなど、野球ゲームを規定するさまざまなルールがある。
【0029】
記録媒体120は、本発明によるゲームプログラムを記録した任意の有体でありかつ非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、典型的にはDVD−ROM(read only memory)である。しかし記録媒体120はこれには限られず、BD(Blu-ray disc)−ROM、CD(compact disc)−ROM、半導体メモリなどであってもよい。ただしこれら記録媒体には、搬送波など無体の一時的な媒体は含まれない。典型的には本発明によるゲームプログラムは、コンピュータで読み取り可能な、有体な非一時的な記録媒体に記録されて流通される。代替として、本発明によるゲームプログラムは、コンピュータで読み取り可能な無体の一時的な記録媒体、例えば搬送波にデータ信号として記録され、例えばインターネットを介して流通されてもよい。
【0030】
プレイヤ(操作者、ユーザとも呼ばれる)は、コントローラ130を操作することによって、ゲーム空間内のキャラクタを動かすことができる。例えば野球ゲームの場合は、ゲーム空間内に投手キャラクタ、打者キャラクタ、野手キャラクタなどが配置される。プレイヤは、コントローラ130が備えるボタンを押すことによって、キャラクタを操作できる。例えばプレイヤは、打者キャラクタがバットを振る時の、バットの打撃部分の位置、バットを振る力の強さ、バットを振るタイミングなどをコントローラのボタンを押すことによって制御できる。このような制御によってプレイヤは、打者にボールを打たせる操作を行うことができる。
【0031】
コントローラ130は、典型的には、L1ボタン131、および十字キー132(十字ボタン、方向キーとも呼ばれる)を備えるが、これだけではなく他のさまざまなボタンを備えてもよい。コントローラ130は、例えば有線でゲーム装置110と結合されるが、これには限られず無線で結合されてもよい。
【0032】
ゲーム装置110は、ゲームプログラムに基づいて、さまざまなゲームを実行する。典型的にはゲーム装置110は、TVゲーム機と呼ばれる、ゲームプログラムを実行するための専用のハードウェアである。これには限られずゲーム装置110は、ゲームプログラムを実行することが可能なパーソナルコンピュータであり得る。
【0033】
図1のシステム100の代替として、ゲーム装置110、記録媒体120、コントローラ130、およびディスプレイ140が小型の筐体に収められた携帯型ゲーム機がゲームプログラムを実行してもよい。そのような携帯型ゲーム機は、ゲーム専用機である必要はない。例えば、ユーザが触ることでデータを入力できるタッチパネルを有する携帯電話機であってもよい。この場合、ユーザは、コントローラ130の代わりに携帯電話機のタッチパネルを指などで触ることによってキャラクタを動かしたり、さまざまな操作をしたりする。
【0034】
ゲーム装置110は、記録媒体120からゲームプログラムなどを読み込むためのドライブ112を有する。ドライブ112は、記録媒体120に対応する任意のドライブであり、例えばDVDドライブ、BDドライブ、CDドライブであり得る。記録媒体120として半導体メモリが用いられる時は、ドライブ112の代わりに、半導体メモリデバイスとゲーム装置110とを電気的に結合するコネクタが用いられる。ゲーム装置110が携帯型ゲーム機であるときは、半導体メモリデバイスはゲーム機の筐体内に設けられる。
【0035】
ディスプレイ140は、ゲーム装置110によって生成されたゲーム空間内のさまざまなキャラクタをプレイヤに表示する。ディスプレイ140は、液晶テレビ、プラズマテレビなどであり得る。ディスプレイ140は、ゲーム装置110とは、典型的には有線で結合され、例えばHDMI(high-definition multimedia interface)ケーブルが用いられる。ゲーム装置110が携帯型ゲーム機であるときは、ディスプレイ140は、液晶表示パネルであってもよい。さらにそのような携帯型ゲーム機は、上述のようなタッチパネルを有してもよい。
【0036】
ゲーム装置110は、仮想的なゲーム空間内にさまざまなゲームキャラクタ(単にキャラクタともいう)を生成する。ゲーム装置110は、その記憶装置に格納されているゲームルール、およびコントローラ130を介してプレイヤによって入力される信号などに従ってゲームキャラクタをゲーム空間において動かす。ゲーム装置110は、ゲーム空間、ゲームキャラクタなどをディスプレイ140上に表示する。
【0037】
ゲームキャラクタには、例えば飛翔体キャラクタ、飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出する送出キャラクタ、および目標領域において飛翔体キャラクタに対して作用を及ぼす作用キャラクタがある。プレイヤの操作に応じて操作部(例えばコントローラ130)から出力される信号に基づいて、作用キャラクタは、飛翔体キャラクタに作用を及ぼす。ゲーム装置110の記憶装置に格納されているゲームプログラムは、ゲーム空間、ゲームキャラクタ、およびゲームルールなどを記述する。
【0038】
例えばゲームプログラムが野球ゲームを実行する場合は、ゲーム空間は野球場を模擬する空間である。この場合、飛翔体キャラクタは野球のボールであり、送出キャラクタは投手キャラクタであり、作用キャラクタは打者キャラクタである。投手キャラクタは、ボールキャラクタを、目標領域であるストライクゾーン、またはその周辺へ投げる。その他のキャラクタとしては、バットキャラクタや背景キャラクタなどがある。
【0039】
ゲームプログラムがサッカーゲームを実行する場合は、飛翔体キャラクタはサッカーボールのキャラクタであり、目標領域はゴールキャラクタである。このとき送出キャラクタは、例えばペナルティキック合戦を行う選手キャラクタであり、作用キャラクタはゴールキーパーキャラクタである。
【0040】
上述の飛翔体キャラクタ、目標領域、送出キャラクタ、および作用キャラクタは一例であって、ゲーム装置110が実行するゲームに依存して、任意のキャラクタであり得る。ゲーム装置110が実行するゲームは、既存の球技に基づくものでなくてもよく、一般に飛翔体キャラクタを扱うゲームならよい。例えば、ゲーム機100は、シューティングゲーム、アクションゲーム、シミュレーションゲームなどのゲームを実行し得る。実行されるゲームに応じて、飛翔体キャラクタは、ボール、フリスビー、円盤、槍、モンスターなどであり得る。
【0041】
ゲームルールには、プレイヤと情報をやりとりしつつ、ゲームを進めるためのさまざまなルールがある。例えば野球ゲームのゲームプログラムであれば、ボールが打者に打たれることなくストライクゾーンを通過すると、ストライクとみなすルールなど、野球ゲームを規定するさまざまなルールがある。このようなゲームルールは一例であって、ゲーム装置110が実行するゲームに依存して、任意のゲームルールであり得る。
【0042】
プレイヤは、コントローラ130を操作することによって、ゲーム空間内のキャラクタを動かすことができる。例えば野球ゲームの場合は、ゲーム空間内に投手キャラクタ、打者キャラクタ、野手キャラクタなどが配置される。プレイヤは、L1ボタン131、および十字キー132などを用いてキャラクタを操作できる。例えばプレイヤは、打者キャラクタがバットを振る時の、バットの打撃部分の位置、バットを振る力の強さ、バットを振るタイミングなどをコントローラ130を操作することによって制御できる。このような制御によってプレイヤは、投手キャラクタにボールキャラクタを投げさせたり、打者キャラクタにボールキャラクタを打たせたりする操作を行うことができる。
【0043】
(ゲームプログラムの動作)
図2は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムのフロー200を示す図である。図2を参照しながら、本発明のある実施形態によるゲームプログラムの動作を説明する。図2に示すさまざまなステップは、ゲーム装置110のデータ処理部1600(図16を参照して後述する)によって実行される。具体的には、データ処理部1600によって実行されるステップは、ゲーム装置110が備えるCPU(central processing unit)1602が、RAM(random access memory)1604やCPU1602のキャッシュに記憶された命令群を実行することなどによって実現される。
【0044】
図3は、ゲームプログラムのフロー200を実行するデータ処理部1600の構成を示す図である。データ処理部1600は、信号処理部1612および画像処理部1614を備える。信号処理部1612は、送出手段302、到達点決定手段304、および到達点位置記憶手段306を備える。画像処理部1614は、到達予報領域表示手段308および到達点表示手段310を備える。これら手段は、典型的にはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせで実現され、必要な処理を行うためにデータの授受を行う。
【0045】
図4〜図7は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ140上に表示するゲーム画面の流れを示す図であり、以下、順次説明する。
図4は、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330を投げた瞬間を示す。ゲーム装置110は、図4に示す画像を生成し、ディスプレイ140に表示する。
【0046】
投手キャラクタ320(送出キャラクタに含まれる)は、打者キャラクタ340(作用キャラクタに含まれる)に向かってボールキャラクタ330(飛翔体キャラクタに含まれる)を送出する。打者キャラクタ340は、バットキャラクタ350でボールキャラクタ330を打撃する(作用を及ぼす)。ゲーム空間内には、典型的には仮想的な作用面が設けられる。この作用面は、野球ゲームの場合、ホームベース付近において投手キャラクタ320に正対し、かつ野球場のグラウンドに垂直に設けられる。目標領域であるストライクゾーンは、典型的にはこの作用面上に位置する。打者キャラクタ340は、この作用面において、ボールキャラクタ330を打撃する。ミートカーソル360は、打撃時のバットキャラクタ350の作用面での位置をプレイヤに示すためにディスプレイ140に表示される。
【0047】
なお、図4にはストライクゾーン700を仮に示しているが、これは後に詳述する図8のストライクゾーンがどこにあるかの位置を示すためのものであり、実際には図4〜7の一連の投打の中では表示されない。ストライクゾーン700は、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330を投げる前、およびボールキャラクタがホームべースを通過してストライクまたはボール判定された以降のタイミングで表示する。この理由は、ボールキャラクタ330が投げられた後もストライクゾーン700を表示していると、打者キャラクタ340にとっては、ストライクかボールかの判定が極めて容易になってしまいゲーム性が低下するためである。
【0048】
図4の表示に関連する処理を図2のフロー200に従って説明すると、まず、ステップ210では、投手キャラクタ320が送出するボールキャラクタ330の、作用面における(例えば目標領域であるストライクゾーン上における)最終的な到達点を到達点決定手段304によって決定する。図面上、最終的な到達点は、後述する図6または図7中の530であるが、図4さらにこれに続く図5の時点では内部処理的には既に決定されているものの、表示は行なわれない。ゲームプログラムは、投手キャラクタ320が意図する到達点や球種、および投手キャラクタ320の属性などに基づいて、ボールキャラクタ330の到達点を決定する。投手キャラクタ320が意図する到達点や球種は、例えばプレイヤがコントローラ130を介してゲーム装置110に入力できる。プレイヤが投手キャラクタ320を操作しない場合は、代わりにゲームプログラムが適宜、必要なデータを生成し、プログラム中でそれらを用いる。
【0049】
さらにゲームプログラムは、乱数などを用いて、意図する到達点からのランダムな誤差を表現してもよい。さらにコントロールの良さ、悪さなど、投手キャラクタ320の属性を到達点決定に反映させてもよい。例えばコントロールの良い投手キャラクタ320の場合は、ゲームプログラムは、プレイヤが意図する到達点をそのままボールキャラクタ330の到達点として用いる。逆にコントロールの悪い投手キャラクタ320の場合は、プレイヤが意図する到達点に所定量の誤差だけずらした位置を到達点として用いる。この所定量の誤差は、投手キャラクタ320の属性に基づいてその大小を変化させてもよく、ランダムに設定してもよい。
【0050】
ステップ220では、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330を送出するのに必要な処理を送出手段302によって行う。そのような処理は、典型的には投手キャラクタ320の用いる球種、ステップ210によって決定されたボールキャラクタ330の到達点などに基づいて、ボールキャラクタ330の飛翔軌跡を求めることを含む。そして、プレイヤ操作またはゲームプログラムに従って、投手キャラクタ320の投球が行われると、求められた飛翔軌跡に沿ってゲーム空間内でボールキャラクタ330が描画される。
【0051】
図5は、図4に続く表示を示したもので、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330を投げた後に、ディスプレイ140に到達予報領域430が表示される。ゲーム装置110は、図5に示す画像を生成し、ディスプレイ140に表示する。
【0052】
図5の表示に関連する処理を図2のフロー200に従って説明すると、ステップ230では、まずボールキャラクタ330の到達予報領域430が到達予報領域表示手段308によって求められる。この到達予報領域表示手段308は、到達予報領域430が、到達点決定手段304によって決定された到達点を内包するように決める。到達予報領域430の典型的な形状は、図5に示される円形であるが、これには限定されず楕円形、あるいは多角形や任意の閉領域でもよい。
【0053】
また、ステップ230では、到達予報領域430の大きさが、ステップ210を実行する到達点決定手段304によって決定された到達点および後述のステップ240を実行する到達点位置記憶手段306によって記憶された到達点の位置の履歴に基づいて、到達予報領域表示手段308によって決定される。その結果、ボールキャラクタ330の到達点の履歴を、飛翔体キャラクタの作用(例えば打撃)の難易度に反映させることができる。これにより飛翔体キャラクタを打撃する難易にバリエーションをつけることができ、ゲームの興趣性が向上する。
【0054】
具体的には、まず、投球されるボールキャラクタ330が第一球目の場合は、到達点位置記憶手段306には、到達点の位置がまだ記憶されていない。現実の野球でも、第一球目の場合は、打者にとって、ボールがストライクゾーンに来るか否か、あるいは、ストライクゾーンのどこに来るかを予測するのが難しい。この到達点の予測の困難さを模擬するために、ゲームプログラムは、到達予報領域430の大きさを比較的大きめに設定する。大きめに設定するということは、その中のどこにボールが来るかわからないため、予想が難しいということになる。
【0055】
ところで、ステップ240に示すように、到達点位置記憶手段306によって、第一球目以降、ボールキャラクタ330の到達点の位置の履歴は記憶されている。そして、この記憶に基づいて、第二球目以降の打撃の難易度を変えるようにしている。
【0056】
具体的には、投手キャラクタ320が第二球目を、第一球目の到達点と近い位置(例えば外角高め)に投げるとする。その場合に、到達予報領域430の大きさを第一球目に比べて小さくする。図10は、この到達予報領域430が縮小された状態を示しており、図5または図6と比較すると、到達予報領域430が小さく表示されている。この理由は以下の通りである。すなわち、現実の野球でも第一球目のコースに近い位置に第二球目が投げられる場合は、打者にとっては、第一球目で目が慣れていることから、ボールを打ちやすい。これを、本形態では、同じか近いコースにボールキャラクタが連続して到達するときの打ち易さを、到達予報領域430の大きさを小さめに設定することで模擬している。
【0057】
以上のように、到達予報領域430の大きさが過去のボールキャラクタの到着点の履歴に依存して変化するので、ゲームに緊張感がでて、より実際の野球に近い投打の駆け引きを体感できる。その結果、ゲームの興趣性が向上する。
【0058】
さらに、従来のシステムで表示されていた着弾点の代わりに、本発明のゲームプログラムでは、到達予報領域430のように所定の大きさを有する領域を表示する。ボールキャラクタ330がこの領域内のどこに最終的に着弾するかは、打者キャラクタ340を操作するプレイヤにはわからない。そのため従来よりも打撃が難しくなり、ゲームに緊張感が出て、興趣性が向上する。
【0059】
次に、図6は、到達予報領域430の領域内に、最終的なボールキャラクタ330の到達点530が現出した状態を示す。到達点530は、ステップ235において到達点表示手段310によって表示される。
【0060】
ここで、到達点530が現出するタイミングについては、投手キャラクタ320の能力に依存するように設定すればよい。具体的には、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330をリリースしてから、到達点530が表示されるまでの遅延期間を変化させるようにすればよい。例えば、投手キャラクタ320の能力として、ボールの切れが良い、という属性があるときは、リリースから表示までの遅延期間を、その属性がないときに比べて長くする。遅延時間が長いということは、それだけ打者キャラクタが到達点を認識するタイミングが遅くなるということなので、打撃の難易度が上がる。逆に、投手キャラクタ320の能力が低い場合には、遅延時間を短くしても良い。このように、投手キャラクタ320の能力に応じて遅延時間を変化させれば、試合内容に従来にないような変化が生じ、ゲームの興趣性が高まる。
【0061】
図6に示されるように典型的には、ゲーム装置110の到達予報領域表示手段308は、到達予報領域430の中心に到達点530が位置するように、到達予報領域430を生成し、ディスプレイ140に表示する。しかしこのような位置関係に限定されず、到達予報領域430の中心から投球毎にランダムにずれた位置に到達点が位置するような到達予報領域430を生成し表示してもよい。
【0062】
図7は、図6の状態から所定時間が経過した後に、到達予報領域430のみが消去された状態を示す。消去するのは、プレイヤにとっては到達点530が視認できた時点で、到達予報領域430の存在の意味はなくなったからである(到達点530のみを目指して打撃操作すればよい)。消去は所定時間経過後、即座に行ってもよいし、時間をかけて徐々にフェードアウトさせてもよい。この状態において、打者キャラクタ340を操作するプレイヤは、ミートカーソル360を到達点530に合わせるとともにボールキャラクタ330がちょうど到達点530を通過するタイミングを見計らって打撃する。
【0063】
なお、上記図4〜図7の実施形態では、到達予報領域430を図6から図7に移行する段階で消去したが、ボールキャラクタ330が打撃されるか、ホームベースを通過してストライク、ボールの判定が行なわれるまで継続して表示してもよい。
【0064】
ステップ240に示すように、到達点位置記憶手段306は、投手キャラクタ320からボールキャラクタ330が送出される毎に、ボールキャラクタ330の到達点の位置を記憶する。典型的には、少なくとも前回の(直近の)投球の到達点を表す座標データを記憶する。これによりステップ230で、到達予報領域430の大きさを、ステップ210によって決定された到達点と、前回の投球の到達点の位置とに基づいて決定できる。具体的には、ステップ210によって決定された到達点が、前回の投球の到達点の近傍にあるときには、到達予報領域430の大きさを縮小する。さらにゲーム装置110は、その打席の全ての投球の到達点を表す座標データを記憶してもよい。なお記憶される座標データは、ボールキャラクタ330の軌跡を算出するのに用いるような精度の高いデータであってもよく、逆に精度の低い、例えば図8を参照して後述するストライクゾーン内の小領域を特定するデータであってもよい。
【0065】
ステップ250において、ゲーム装置110は1打席が終了したかを判定する。1打席が終了した場合(YESの枝)、フロー200は終了する。1打席が終了していない場合(NOの枝)はステップ210へ戻る。
【0066】
図8は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムが、現在の投球の到達点と、前回の投球の到達点とを比較するための小領域を示す図である。ゲーム装置110は、前述の仮想的な作用面に、野球ゲームの場合はストライクゾーン700を目標領域として設定する。ストライクゾーン700は、典型的には縦3マス、横3マスの合計9個の等分割された小領域700a〜700iからなる。小領域の個数は9個には限定されず、縦4マス、横4マスの16個などの個数でもよい。
【0067】
ゲーム装置110は、前回の投球の到達点710を表す座標データを記憶している。前述のようにステップ210は、現在の投球の到達点720を決定する。前回の投球の到達点710も、現在の投球の到達点720も同じ小領域(ここでは700c)の中に位置する。この場合には到達予報領域430の大きさを縮小する。到達点530は到達予報領域430の中にあるので、到達予報領域430の大きさを縮小すると、ボールキャラクタ330が到達する可能性のある領域が限定されることから、打者キャラクタ340を操作するプレイヤはミートカーソル360を到達点530に合わせやすくなる。前回の投球の到達点710と、現在の投球の到達点720とが位置する小領域は、小領域700cには限定されず、700a〜700iのいずれでもよい。
【0068】
この機能によって、前の投球と近い位置にボールが来るときには、打者の目が慣れているので打撃しやすくなる(すなわち打者に有利になる)という実際の野球の感覚を模擬できる。一方、投手キャラクタ320にとっては、上記傾向を把握した上で、適宜、コースをばらつかせるような配球が必要となる。その結果、投打の駆け引きに従来のゲームでは実現できなかったバリエーションが生まれる。よってゲームに緊張感がでて、興趣性が高まるという効果を奏する。
【0069】
図9は、本発明のある実施形態による到達予報領域表示手段308が、到達予報領域の大きさの縮小率を大きくする機能を示す図である。図9に示すグラフ800の横軸は過去の投球の到達点が連続した球数nであり、縦軸は到達予報領域430の大きさ(例えば円の直径)を、第1球のデフォールトの大きさを100とした百分率rである。点810は、n=1、すなわち第1球の(デフォールトの)到達予報領域430の大きさr1=100を示す。点820は、n=2、すなわち2球連続で同じ小領域に到達したときの到達予報領域430の大きさr2=90を示す。点830は、n=3、すなわち3球連続で同じ小領域に到達したときの到達予報領域430の大きさr3=70を示す。点840は、n=4、すなわち4球連続で同じ小領域に到達したときの到達予報領域430の大きさr4=40を示す。図9は4点しか示さないがこれには限られず、ゲーム装置110は、過去の投球の到達点を表すデータをより多く記憶してもよい。好ましくはゲーム装置110は、その打席における過去の投球の到達点を表すデータを全て記憶する。
【0070】
ある実施形態ではステップ230において、ステップ210によって決定された到達点が位置する小領域と同一領域に、ステップ240によって記憶された過去の到達点が連続して位置する場合に、連続回数が多くなるにつれて、その連続する前後の到達予報領域の大きさの縮小率を大きくする。本明細書において、「連続する前後の到達予報領域の大きさの縮小率」とは、到達点が連続して同じ領域内に位置する投球のうち、連続する2つの投球についての到達予報領域の大きさの差をいう。例えば、点810に示される第1球および点820に示される第2球についての到達予報領域の大きさの差はr1−r2=100−90=10である。点820に示される第2球および点830に示される第3球についての到達予報領域の大きさの差はr2−r3=90−70=20である。同様にして第3球および第4球についての到達予報領域の大きさの差はr3−r4=70−40=30である。このように到達点が同じ領域に位置する投球がより多く連続するにつれて、到達予報領域の大きさの小さくなる度合い(すなわち差分)がより大きくなる。このように到達予報領域の大きさを変化させると、打者キャラクタを操作するプレイヤにとっては、同じコースのボールが連続すると急激に打ちやすくなる。これは実際の野球でも起こる、ボールのコースに打者の目が慣れて打ちやすくなることを再現している。したがってゲームの興趣性が向上するという効果を奏する。
【0071】
図11および図12は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ140上に表示するゲーム画面を示す図である。ある実施形態によるゲームプログラムにおいては、ステップ230で到達予報領域表示手段308は、投手キャラクタ320の送出フォームに応じて、到達予報領域430を縦長形状または横長形状にする。例えば投手キャラクタ320の投法がサイドスローのときは、図11および図12に示されるように横長形状である到達予報領域430を生成し、表示する。または投手キャラクタ320の投法がオーバースローのときは、縦長形状である到達予報領域430を生成し、表示する。
【0072】
図11に示されるように、投手キャラクタ320がボールキャラクタ330をリリースした直後に、到達予報領域表示手段308は横長の到達予報領域430を表示する。この横長の到達予報領域430は、その一部が打者キャラクタ340と重なるほど近い。そのため打者キャラクタ340を操作するプレイヤは、デッドボールになるかもしれないと予測し、打撃しにくくなる。ところが図12に示されるように、到達予報領域430内の最もストライクゾーン寄りの位置にボールキャラクタ330が到達すれば、内角ぎりぎりでストライクになる。このように投法に応じて到達予報領域430の形状を変化させることによって、実際の野球のようにある方向(上では水平方向)に到達点530の不確定さが増す。その結果、円形の到達予報領域430に比べて、ゲームに緊張感が出て、興趣性が向上する。
【0073】
代替の実施形態として、球種に応じて予報円の形状を変化させてもよい。例えばフォークであれば、到達予報領域430は縦長の楕円であり、かつストライクゾーン下寄りに配置される。またカーブであれば、到達予報領域430は横長形状の楕円であり、かつストライクゾーン左寄りに配置される。到達予報領域430のこれら配置位置は、投手のコースの狙い方に依存して変化させてもよい。
【0074】
図13は、本発明のある実施形態によるゲームプログラムがディスプレイ140上に表示するゲーム画面を示す図である。ある実施形態によるゲームプログラムにおいては、ステップ230で到達予報領域表示手段308は、打者キャラクタ340を操作するプレイヤによる、ボールキャラクタ330の到達点の予測が当たったときには、そうでないとき(例えば到達予報領域430)よりも小さい大きさを持つ到達予報領域1430を表示する。具体的には図13の到達予報領域1430の大きさは、図10の到達予報領域430の大きさよりも小さい。到達点予測が的中したかどうかに依存して到達予報領域の大きさを変化させることによって、打者の予測が当たればヒットになりやすいという実際の野球をよりよく模擬できる。その結果、ゲームの興趣性が高まる。
【0075】
図14は、図13に示される機能を実現するために用いられる、到達点予測の的中を判断する方法を示す図である。ある実施形態においては、ボールキャラクタ330がリリースされた直後のミートカーソル360の中心1565が、打者キャラクタ340が予測するボールキャラクタ330の到達点を表すとして予測の的中が判定される。例えば、リリースされた直後のミートカーソル360の中心1565が、ステップ210によって決定された到達点1535と同一の小領域(ここでは700a)に位置するときは、到達点予測が的中したとみなして、到達予報領域430の大きさよりも小さい、到達予報領域1430を表示する。このように2つの点が同一の小領域に位置するかに基づいて判定することによって、打者キャラクタ340を操作するプレイヤにとっては、これら2点がある程度、一致すれば予測が的中したと判定されるので、判定の基準がプレイヤにとって適度に緩く、ミートカーソル360の操作に習熟しやすいという利点がある。
【0076】
なお小領域内に位置するかで判定する代わりに、リリース直後のミートカーソル360の中心1565と、決定された到達点1535との距離が所定の閾値より小さいときに、到達予報領域の大きさを小さくしてもよい。
【0077】
到達点の履歴に基づいて、到達予報領域430の大きさを変えるには他の方法もある。例えば、到達点の位置が大きく変わるときには、到達予報領域430の大きさを大きめに設定してもよい。具体的には、第1球および第2球が外角高めに到達したときに、第3球が内角低めだと、その第3球についての到達予報領域430の大きさは大きく設定される。これは配球の組み立てに依存して、到達予報領域430の大きさを変化させる一例である。このように配球パターンに応じて到達予報領域430の大きさを変化させれば、より実際の野球に近くなり、興趣性が向上する。
【0078】
以上、説明してきた実施形態によれば到達予報領域表示手段308は、到達点の履歴に基づいて、到達予報領域430の大きさを変えた。他の実施形態によれば到達予報領域表示手段308は、打者キャラクタ340の属性に基づいて、到達予報領域430の大きさを変える。例えば打撃力が強い(ミート力が強いともいう)打者キャラクタの場合は、到達予報領域430の大きさを小さめに設定する。このような打者キャラクタを操作するプレイヤは、ボールキャラクタの到達点の予測がしやすくなるので、ヒットになりやすく、またヒットになった場合は長打になりやすい。逆に打撃力が弱い(ミート力が弱いともいう)打者キャラクタの場合は、到達予報領域430の大きさを大きめに設定する。このような打者キャラクタを操作するプレイヤは、ボールキャラクタの到達点の予測がしにくくなるので、ヒットになりにくく、また仮にヒットになったとしても長打になりにくい。
【0079】
(システムのハードウェア)
図15は、システム100のハードウェアを示すブロック図である。システム100は、ゲーム装置110、コントローラ130、およびディスプレイ140を含む。ゲーム装置110は、ネットワーク1660を介して他のゲーム装置1650と接続されてもよい。
【0080】
CPU1602は、ゲーム装置110の各構成要素と接続され、制御信号やデータをやりとりすることによって、その全体の動作を制御する。CPU1602は、RAM1604に記憶されたゲームプログラムを構成するステップ群を実行することによって、所望の機能を実現する。具体的にはCPU1602は、図2に示されるステップ群を実行することによって、ステップ群が規定する所望の機能群を実現する。
【0081】
CPU1602は、レジスタに対してALU(Arithmetic Logic Unit)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。CPU1602は、マルチメディア処理のための加減乗除などの飽和演算、および三角関数などベクトル演算を高速に行えるように構成されてもよい。CPU1602は、演算を高速に行うためにコプロセッサを備えてもよい。
【0082】
記録媒体120は、任意の適切なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、本発明によるゲームプログラム、およびゲームに付随する画像データおよび音声データを記録する。ドライブ112は、CPU1602の制御によって、記録媒体120からゲームプログラムおよび付随するデータを読み出す。CPU1602は、読み出されたプログラムおよびデータをバス1606を介して、RAM1604に転送し、一時的に記憶する。
【0083】
RAM1604は、データやプログラムを一時的に記憶する。RAM1604は、記録媒体120から読み出したゲームプログラム、ゲームプログラムに付随するデータ、ネットワーク対戦モードにおける他のプレイヤに関連するデータ、通信に関連するデータなどを記憶する。CPU1602は、RAM1604に変数領域を設け、変数領域に格納された値に対して直接に演算を行ってもよい。CPU1602は、RAM1604に記憶された値をいったんレジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻してもよい。
【0084】
ROM1608は、電源投入直後に実行されるIPL(initial program loader)を記憶する。CPU1602は、IPLを実行することによって、記録媒体120に記録されたゲームプログラムを読み出す。CPU1602は、読み出されたゲームプログラムをRAM1604に記憶させ、ゲームプログラムの実行に必要な処理を行う。ROM1608は、ゲーム装置110の制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムおよび各種データを記憶する。
【0085】
インタフェース1610は、コントローラ130によって検出されたプレイヤの操作に関連付けられたデータを、バス1606を介してCPU1602などに送る。信号処理部1612および画像処理部1614は、図3でも示したように、バス1606を通してCPU1602と接続される。CPU1602は、ゲームプログラムからの命令を解釈し、各種のデータ処理および制御を行う。例えば、CPU1602は、信号処理部1612に対して、画像データを画像処理部に供給するように命令する。信号処理部1612は、例えばゲーム空間内におけるさまざまなキャラクタの計算、ゲーム空間からディスプレイ画面への座標変換計算、光源計算、および画像および音声データの生成を行う。
【0086】
画像処理部1614は、2次元画像の重ね合わせ演算、αブレンディングなどの透過演算、各種の飽和演算などを高速に実行する。仮想3次元空間であるゲーム空間内には、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴンとして表現される、さまざまなキャラクタが配置される。画像処理部1614は、このポリゴンをZバッファ法によってレンダリングする。画像処理部1614は、ゲーム空間内に配置されたポリゴンを、所定の視点位置から所定の視線方向へ俯瞰したレンダリング画像を得るための演算を高速に実行できる。
【0087】
CPU1602は、画像演算プロセッサ1614と協調して、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画したりする。
【0088】
データ処理部1600は、典型的にはCPU1602、RAM1604、ROM1608、信号処理部1612、および画像処理部1614によって構成される。データ処理部1600は、図2および図3を参照して説明したさまざまなステップをCPU1602によって実行することにより、それぞれのステップに対応する手段を実現する。具体的には、データ処理部1600は、ステップ210に対応する到達点決定手段304、ステップ220に対応する飛翔体キャラクタを送出する送出手段302、ステップ230に対応する到達予報領域表示手段308、ステップ235に対応する到達点表示手段310、ステップ240に対応する到達点位置記憶手段306、およびステップ250に対応する1打席終了の判定手段を少なくとも構成する。データ処理部1600は、ゲームプログラムを実行するのに必要な他のさまざまな手段を構成してもよい。逆にデータ処理部1600は、上記手段のうちの一部を省略してもよい。
【0089】
データ処理部1600は、上述の構成要素に加えて他のハードウェアまたはソフトウェアの要素をさらに備えてもよい。例えばデータ処理部1600は、単一のCPU1602の代わりに複数のCPUを用いることによって並列処理を行い、計算速度を高速化してもよい。逆に、データ処理部1600は、上述の構成要素の一部を含まなくてもよい。 画像出力部1616は、典型的にはデジタルアナログ変換器、フレームメモリを有する。このフレームメモリは、例えば画像処理部1614によって処理された画像データを記憶する。画像出力部1616は、画像データを所定の同期タイミングでビデオ信号に変換し、ディスプレイ140へ出力する。
【0090】
音声出力部1618は、典型的にはデジタルアナログ変換器を有する。音声出力部1618は、記録媒体120から読み出された音声データをアナログ信号に変換し、出力する。ディスプレイ140は、変換されたアナログ信号を、例えばHDMIケーブルなどを通して受け取り、内蔵のスピーカから音声として出力する。CPU1602は、ゲームの実行中において、効果音および楽曲データを生成し、音声信号として出力してもよい。音声出力部1618は、記録媒体120に記録された音声データがMIDI(musical instrument digital interface)データである時は、関連付けられた音源データを参照することによって、MIDIデータをPCM(pulse code modulation)データに変換する。音声出力部1618は、音声データがADPCM(adaptive differential pulse code modulation)形式やOgg Vorbis形式などで圧縮されている時には、圧縮されたデータを展開してPCMデータに変換する。音声出力部1618は、PCMデータに対して、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでデジタルアナログ変換を行って、出力する。
【0091】
ネットワークインタフェース1620は、ネットワーク1660を通して他のゲーム装置1650と通信するのに用いられる。例えばネットワーク対戦モードで自分が用いる、相手のチームに関連するさまざまなデータは、ネットワークインタフェース1620によって、ネットワーク1660を通して受け取られる。逆に、ネットワーク対戦モードで相手が用いる、自分のチームに関連するさまざまなデータは、ネットワークインタフェース1620によって、ネットワーク1660を通して相手のゲーム装置1650に送られる。これによりネットワーク対戦モードで、遠隔地におけるプレイヤどうしでゲームの対戦が可能になる。システム100は、ネットワーク1660に接続することなく、ゲーム装置110単体でゲームプログラムを実行してもよい。
【0092】
本発明によるゲームプログラムは、典型的には記録媒体120からゲーム装置110にロードされる。しかしこれには限られず、本発明によるゲームプログラムの全部または一部が、ネットワーク1660を介して、遠隔地にあるコンピュータ(例えばサーバ)からロードされてもよい。また本発明によるゲームプログラムに関連して用いられるデータの全部または一部が、ネットワーク1660を介して、遠隔地にあるコンピュータ(例えばサーバ)からロードされてもよい。
【0093】
当業者には理解されるように、上述のさまざまな要素(ハードウェアの要素、ソフトウェアのステップなど)は、その一部が省略されてもよい。逆に、付加的な要素を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、飛翔体キャラクタの到達点の履歴に依存して飛翔体キャラクタの到達予報領域の大きさを変化させることができるゲームプログラム、ゲーム装置、およびゲーム制御方法を提供できる点で有用である。
【符号の説明】
【0095】
200 ゲームプログラムのフロー
210 ボールキャラクタの到達点を決定するステップ
220 ボールキャラクタを送出するステップ
230 到達予報領域を表示するステップ
235 到達点を表示するステップ
240 到達点位置を記憶するステップ
250 1打席終了かを判定するステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム空間内に設定された、飛翔体キャラクタ、前記飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出する送出キャラクタ、および前記目標領域において前記飛翔体キャラクタに対して作用を及ぼす作用キャラクタを表示部に表示し、
操作部から出力される信号に基づいて、前記作用キャラクタから前記飛翔体キャラクタに作用が及ぼされるゲームを実行可能なコンピュータに、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタを送出する送出機能と、
前記送出キャラクタによって送出される飛翔体キャラクタの、前記目標領域における最終的な到達点を決定する到達点決定機能と、
前記到達点決定機能によって決定された到達点を内包する前記飛翔体キャラクタの到達予報領域を、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出された後に表示する到達予報領域表示機能と、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出される毎に、前記到達点の位置の履歴を記憶する到達点位置記憶機能とを実現させ、
前記到達予報領域表示機能は、前記到達予報領域の大きさを、前記到達点決定機能によって決定された到達点および前記到達点位置記憶機能によって記憶された到達点の位置の履歴とに基づいて決定するゲームプログラム。
【請求項2】
前記到達予報領域表示機能は、前記到達点決定機能によって決定された到達点と、前記到達点位置記憶機能によって記憶された前回の送出時の到達点とが、前記目標領域内を分割した小領域のいずれかの同一領域内に位置する場合に、前記到達予報領域の大きさを縮小する請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記到達予報領域表示機能は、前記到達点決定機能によって決定された到達点が位置する前記小領域と同一領域に、前記到達点位置記憶機能によって記憶された過去の到達点が連続して位置する場合に、連続回数が多くなるにつれて、その連続する前後の到達予報領域の大きさの縮小率を大きくする請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記小領域は、前記目標領域をマス目状に等分割したものであることを特徴とする請求項2または3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記到達点の表示を制御する到達点表示機能をさらに備え、
前記到達点表示機能は、前記飛翔体キャラクタが前記送出キャラクタから送出され、前記目標領域近傍に近接するまで前記到達点を表示せず、前記目標領域に近接したときに、前記到達予報領域内の位置に前記到達点を表示する請求項1乃至4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記ゲームは野球ゲームであり、
前記送出者キャラクタは投手キャラクタであり、
前記作用者キャラクタは打者キャラクタであり、
前記飛翔体キャラクタはボールであり、
前記到達予報領域表示機能は、前記投手キャラクタの送出フォームに応じて、前記到達予報領域を縦長形状または横長形状にする請求項1乃至5に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
ゲーム空間内に設定された、飛翔体キャラクタ、前記飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出する送出キャラクタ、および前記目標領域において前記飛翔体キャラクタに対して作用を及ぼす作用キャラクタを表示部に表示し、
操作部から出力される信号に基づいて、前記作用キャラクタから前記飛翔体キャラクタに作用が及ぼされるゲームを実行するゲーム装置であって、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタを送出する送出手段と、
前記送出キャラクタによって送出される飛翔体キャラクタの、前記目標領域における最終的な到達点を決定する到達点決定手段と、
前記到達点決定手段によって決定された到達点を内包する前記飛翔体キャラクタの到達予報領域を、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出された後に表示する到達予報領域表示手段と、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出される毎に、前記到達点の位置の履歴を記憶する到達点位置記憶手段とを備え、
前記到達予報領域表示手段は、前記到達予報領域の大きさを、前記到達点決定手段によって決定された到達点および前記到達点位置記憶手段によって記憶された到達点の位置の履歴とに基づいて決定するゲーム装置。
【請求項8】
ゲーム空間内に設定された、飛翔体キャラクタ、前記飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出する送出キャラクタ、および前記目標領域において前記飛翔体キャラクタに対して作用を及ぼす作用キャラクタを表示部に表示し、
操作部から出力される信号に基づいて、前記作用キャラクタから前記飛翔体キャラクタに作用が及ぼされるゲームを制御する方法であって、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタを送出する送出ステップと、
前記送出キャラクタによって送出される飛翔体キャラクタの、前記目標領域における最終的な到達点を決定する到達点決定ステップと、
前記到達点決定ステップによって決定された到達点を内包する前記飛翔体キャラクタの到達予報領域を、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出された後に表示する到達予報領域表示ステップと、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出される毎に、前記到達点の位置の履歴を記憶する到達点位置記憶ステップとを備え、
前記到達予報領域表示ステップは、前記到達予報領域の大きさを、前記到達点決定ステップによって決定された到達点および前記到達点位置記憶ステップによって記憶された到達点の位置の履歴とに基づいて決定するゲーム制御方法。
【請求項1】
ゲーム空間内に設定された、飛翔体キャラクタ、前記飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出する送出キャラクタ、および前記目標領域において前記飛翔体キャラクタに対して作用を及ぼす作用キャラクタを表示部に表示し、
操作部から出力される信号に基づいて、前記作用キャラクタから前記飛翔体キャラクタに作用が及ぼされるゲームを実行可能なコンピュータに、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタを送出する送出機能と、
前記送出キャラクタによって送出される飛翔体キャラクタの、前記目標領域における最終的な到達点を決定する到達点決定機能と、
前記到達点決定機能によって決定された到達点を内包する前記飛翔体キャラクタの到達予報領域を、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出された後に表示する到達予報領域表示機能と、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出される毎に、前記到達点の位置の履歴を記憶する到達点位置記憶機能とを実現させ、
前記到達予報領域表示機能は、前記到達予報領域の大きさを、前記到達点決定機能によって決定された到達点および前記到達点位置記憶機能によって記憶された到達点の位置の履歴とに基づいて決定するゲームプログラム。
【請求項2】
前記到達予報領域表示機能は、前記到達点決定機能によって決定された到達点と、前記到達点位置記憶機能によって記憶された前回の送出時の到達点とが、前記目標領域内を分割した小領域のいずれかの同一領域内に位置する場合に、前記到達予報領域の大きさを縮小する請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記到達予報領域表示機能は、前記到達点決定機能によって決定された到達点が位置する前記小領域と同一領域に、前記到達点位置記憶機能によって記憶された過去の到達点が連続して位置する場合に、連続回数が多くなるにつれて、その連続する前後の到達予報領域の大きさの縮小率を大きくする請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記小領域は、前記目標領域をマス目状に等分割したものであることを特徴とする請求項2または3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記到達点の表示を制御する到達点表示機能をさらに備え、
前記到達点表示機能は、前記飛翔体キャラクタが前記送出キャラクタから送出され、前記目標領域近傍に近接するまで前記到達点を表示せず、前記目標領域に近接したときに、前記到達予報領域内の位置に前記到達点を表示する請求項1乃至4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記ゲームは野球ゲームであり、
前記送出者キャラクタは投手キャラクタであり、
前記作用者キャラクタは打者キャラクタであり、
前記飛翔体キャラクタはボールであり、
前記到達予報領域表示機能は、前記投手キャラクタの送出フォームに応じて、前記到達予報領域を縦長形状または横長形状にする請求項1乃至5に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
ゲーム空間内に設定された、飛翔体キャラクタ、前記飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出する送出キャラクタ、および前記目標領域において前記飛翔体キャラクタに対して作用を及ぼす作用キャラクタを表示部に表示し、
操作部から出力される信号に基づいて、前記作用キャラクタから前記飛翔体キャラクタに作用が及ぼされるゲームを実行するゲーム装置であって、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタを送出する送出手段と、
前記送出キャラクタによって送出される飛翔体キャラクタの、前記目標領域における最終的な到達点を決定する到達点決定手段と、
前記到達点決定手段によって決定された到達点を内包する前記飛翔体キャラクタの到達予報領域を、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出された後に表示する到達予報領域表示手段と、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出される毎に、前記到達点の位置の履歴を記憶する到達点位置記憶手段とを備え、
前記到達予報領域表示手段は、前記到達予報領域の大きさを、前記到達点決定手段によって決定された到達点および前記到達点位置記憶手段によって記憶された到達点の位置の履歴とに基づいて決定するゲーム装置。
【請求項8】
ゲーム空間内に設定された、飛翔体キャラクタ、前記飛翔体キャラクタを目標領域に対して送出する送出キャラクタ、および前記目標領域において前記飛翔体キャラクタに対して作用を及ぼす作用キャラクタを表示部に表示し、
操作部から出力される信号に基づいて、前記作用キャラクタから前記飛翔体キャラクタに作用が及ぼされるゲームを制御する方法であって、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタを送出する送出ステップと、
前記送出キャラクタによって送出される飛翔体キャラクタの、前記目標領域における最終的な到達点を決定する到達点決定ステップと、
前記到達点決定ステップによって決定された到達点を内包する前記飛翔体キャラクタの到達予報領域を、前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出された後に表示する到達予報領域表示ステップと、
前記送出キャラクタから前記飛翔体キャラクタが送出される毎に、前記到達点の位置の履歴を記憶する到達点位置記憶ステップとを備え、
前記到達予報領域表示ステップは、前記到達予報領域の大きさを、前記到達点決定ステップによって決定された到達点および前記到達点位置記憶ステップによって記憶された到達点の位置の履歴とに基づいて決定するゲーム制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−182929(P2011−182929A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50909(P2010−50909)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】
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