説明

ゲームプログラム、記録媒体、及びゲーム装置

【課題】 メインキャラクタに対する敵キャラクタの心理状態を表すパラメータを設定し、敵キャラクタがそのパラメータに基づいて行動するアクションゲームのゲームプログラムを提供する。
【解決手段】 本願発明のゲームプログラムは、遊技者の操作コントローラ3の操作によるメインキャラクタの動きに対して、メインキャラクタと異なる敵キャラクタの心理状態を数値化したフィアー値を変化させ、変化されたフィアー値に基づいて、敵キャラクタの容姿又は動作の態様を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ(遊技者)が操作部材を操作することによって、モニタ装置に表示されるキャラクタ(以下、「メインキャラクタ」という。)を動作させ、その動作によって複数の敵キャラクタを倒す等して進行されるゲーム(いわゆる「アクションゲーム」)におけるゲームプログラム、そのゲームプログラムが記録された記録媒体、及びそのゲームプログラムが実行されるゲーム装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技者が操作部材を操作することによってモニタ装置に表示されたメインキャラクタが、コンピュータによって制御されることによって表示装置に表示される複数の敵キャラクタ(モンスター等)を倒していくことにより進行されるアクションゲームがテレビゲーム機において提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】浜村弘一、「デビルメイクライ解体真書」、初版、株式会社カプコン、2001年10月13日、p50−p55
【0004】
この種のアクションゲームでは、例えばメインキャラクタが所定の場面に登場すると、敵キャラクタが出現し、メインキャラクタに対し攻撃を仕掛ける。すなわち、敵キャラクタは、予め設定された攻撃プログラムによってメインキャラクタを攻撃するようにその動作が制御される。この場合、敵キャラクタは、単数に限らず、複数出現することもあるのであるが、各敵キャラクタは、その場面に出現している他の敵キャラクタの存在に関係なく、個々にメインキャラクタに対して攻撃を仕掛けるようプログラムされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本願発明者は、予め定められたプログラムによって敵キャラクタを行動させるのではなく、複数の敵キャラクタの個々に対して心理状態を表すパラメータを設定し、そのパラメータに基づいて行動させるようにすれば、ゲームの面白みがより増すのではないかと考えた。例えば、複数の敵キャラクタのうちのいずれかがメインキャラクタによって倒されると、メインキャラクタに対して「恐れ」や「怯え」といった感情をいだき、それらの感情が以降の敵キャラクタの行動に影響を及ぼすようにすれば(例えば「震えだす」、「逃げる」等)、より動物的要素が加わり、ゲームの面白みが向上する。
【0006】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、メインキャラクタに対する敵キャラクタの心理状態を表すパラメータを設定し、敵キャラクタがそのパラメータに基づいて行動するアクションゲームのゲームプログラムを提供することを、その課題とする。また、そのゲームプログラムが記録された記録媒体、及びそのゲームプログラムを実行するゲーム装置を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本願発明の第1の側面によって提供されるゲームプログラムは、コンピュータを、遊技者の操作手段の操作によるメインキャラクタの動きに対して、前記メインキャラクタと異なるサブキャラクタの心理状態を数値化した制御値を変化させる制御値変化手段と、前記制御値変化手段によって変化された前記制御値に基づいて、前記サブキャラクタの容姿又は動作の態様を変化させる行動変化手段と、して機能させることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
この場合、前記サブキャラクタは、複数のキャラクタによって構成されており、前記制御値変化手段は、前記メインキャラクタが複数のキャラクタのうちいずれかのサブキャラクタに対して攻撃を加えたとき、攻撃が加えられたサブキャラクタ及び/又は攻撃が加えられたサブキャラクタ以外の他のサブキャラクタの前記制御値を変化させるとよい(請求項2)。
【0010】
また、前記行動変化手段は、前記制御値変化手段によって変化された前記制御値が予め定める閾値を越えたとき、前記サブキャラクタの容姿又は動作の態様を変化させるとよい(請求項3)。
【0011】
この構成によれば、遊技者の操作手段を用いて操作されるメインキャラクタが、メインキャラクタとは異なるサブキャラクタ(例えばモンスター等の敵キャラクタ)に対して動作(例えば攻撃)すると、サブキャラクタの心理状態を数値化した制御値が変化する。そして、変化された制御値に基づいて、例えば制御値が予め定める閾値を越えたとき、サブキャラクタの容姿又は動作の態様が変化される(例えば、「震えだす」、「逃げる」等)。したがって、サブキャラクタは、メインキャラクタの動きにともなって容姿又は動作の態様が変化されるので、すなわち、あたかもサブキャラクタが意思や感情をもったように行動するので、ゲームの面白みをより向上させることができる。
【0012】
他の好ましい実施の形態によれば、コンピュータを、前記制御値を時間の経過とともに低減させる制御値低減手段としてさらに機能させるとよい(請求項4)。
【0013】
本願発明の第2の側面によって提供される記録媒体は、本願発明の第1の側面によって提供されるゲームプログラムが記録された、コンピュータ読取可能な記録媒体であることを特徴としている(請求項5)。
【0014】
本願発明の第3の側面によって提供されるゲーム装置は、遊技者の操作手段の操作によるメインキャラクタの動きに対して、前記メインキャラクタと異なるサブキャラクタの心理状態を数値化した制御値を変化させる制御値変化手段と、前記制御値変化手段によって変化された前記制御値に基づいて、前記サブキャラクタの容姿又は動作の態様を変化させる行動変化手段と、を備えたことを特徴としている(請求項6)。
【0015】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1は、本願発明に係るゲームプログラムが実行されるゲーム装置の一例を示す構成図である。ゲーム装置1は、家庭用として用いられるいわゆるテレビゲーム機であり、装置本体2、操作コントローラ3、モニタ4、及びゲーム実行時において装置本体2内にセットされるディスク5によって構成されている。装置本体2には、操作コントローラ3及びモニタ4が接続されている。
【0018】
装置本体2は、制御部11、ディスクドライブユニット12、及びI/Oインターフェース部13によって構成されている。制御部11には、I/Oインターフェース部13が接続されおり、I/Oインターフェース部13には、ディスクドライブユニット12、操作コントローラ3及びモニタ4が接続されている。
【0019】
制御部11は、装置本体2の全体動作を司るマイクロコンピュータを有しており、マイクロコンピュータは、CPU15、RAM16、ROM17、及びタイマ18等からなり、各部は、それぞれバスラインで接続されている。CPU15は、装置本体2にセットされたディスク5に記憶されたゲームプログラムに基づいて、データ処理を行うことにより、ディスク5に記憶された画像データのモニタ4への表示の制御やディスク5に記憶された音声や効果音等の、モニタ4に設けられたスピーカ4aへの出力の制御等を行う。
【0020】
RAM16には、ゲームプログラム及びデータを処理するためのワークエリアを提供するものである。RAM16には、ゲームの進行に応じて必要なデータプログラムとデータとが随時ディスク5から読み出されて記憶される。
【0021】
ROM17には、ディスクローディング機能等の装置本体2の基本的機能やディスク5に記憶されたゲームプログラムを読み出す手順等を示す基本プログラム等が記憶されている。
【0022】
タイマ18は、CPU15によって制御され、所定のタイミングに応じて動作し、所定の所要時間を計時するものである。例えば、タイマ18は、後述するフィアー値減算処理の基準となる時間を計時する。
【0023】
ディスクドライブユニット12は、ディスク5に記録されたプログラムやデータを読み出すものである。
【0024】
I/Oインターフェース部13は、ディスクドライブユニット12によって読み出されたゲームプログラムや操作コントローラ3からの操作信号を制御部11に入力したり、制御部11からの映像信号やオーディオ信号をモニタ4やスピーカ4aに出力したりするものである。
【0025】
操作コントローラ3は、メインキャラクタを動作させたり、ゲームに関する各種の設定を行ったりするために遊技者によって操作されるものであり、複数のボタン3aとレバー3bとを有する。ゲームの進行においては、レバー3bは、主としてメインキャラクタの移動と移動方向を指示するための操作部材として用いられ、複数の操作ボタン3aは、メインキャラクタに攻撃や防御の動作をさせたり、装備可能な武器や防具を交換させたり、取得しているアイテムや現在の状態を確認したりするための操作部材として用いられる。
【0026】
遊技者によって操作コントローラ3が操作されると、その操作信号が制御部11に入力され、その操作信号に基づいてモニタ4に表示されたメインキャラクタが動作する。具体的には、遊技者のレバー3bの操作により、メインキャラクタは、モニタ4の画面上で「歩く」、「走る」等の特定の移動動作を行う。また、遊技者の複数のボタン3aの操作(特定のボタン3aの操作や複数のボタン3aの組み合わせ操作)により、メインキャラクタは、「剣」、「体術(キックやパンチ等)」、「銃」、「ナイフ」等の武器を用いて特定の攻撃動作を行う。
【0027】
モニタ4は、装置本体2から送られてきた映像信号やオーディオ信号に応じてゲーム画面を映し出したり音声を出力させたりするための装置であり、映像信号やオーディオ信号を入力するための外部入力端子を備えた、例えばテレビジョン受像機である。モニタ4の前面の両側には、音声を出力するスピーカ4aが設けられている。
【0028】
ディスク5に記憶されたゲームプログラムは、例えば遊技者が操作コントローラ3を操作することにより動作が制御されるメインキャラクタと、ゲームプログラムによって動作が制御される複数の敵キャラクタとを対戦させるといったアクションゲームのゲームプログラムである。より具体的には、このアクションゲームは、例えば複数の部屋を有する建物においてその部屋を対戦場とし、メインキャラクタが複数の敵キャラクタと対戦しながら各部屋を探索し、最後に最強の敵キャラクタ(ボスのキャラクタ)と対戦してその敵キャラクタを倒す過程を物語形式で進行させるようにしたものである。
【0029】
ゲームの進行は、図2に示すように、複数の部屋によって構成される複数のミッションによって区分されており、各ミッションを達成しなければ、次のミッションに移行できないようになっている。遊技者は、ミッションを順番にクリアすることによってメインキャラクタをボスの敵キャラクタの居場所まで導き、最後のミッションでボスの敵キャラクタを倒すことによってゲーム終了となる。
【0030】
ここで、ミッションとは、例えばメインキャラクタが複数の部屋を探索する際、各部屋に入るために必要な特定のアイテム(鍵や宝物等のゲーム上の物品)を取得したり、ボスの敵キャラクタよりも下位の敵キャラクタを倒したりする指令である。遊技者は、例えば特定のアイテムを取得する内容のミッションの場合、画面上でメインキャラクタを入室可能な部屋に移動させて特定のアイテムを探索することになる。この場合、ある部屋では、メインキャラクタの探索を妨害するために複数の敵キャラクタが出現するようになっており、遊技者は、操作コントローラ3を操作してメインキャラクタに攻撃動作をさせて敵キャラクタを倒したり、対戦を回避したりして特定のアイテムを探索し、それを取得することができる。特定のアイテムを取得するとミッションクリアとなり、次のミッションに移行可能になる。
【0031】
なお、このゲームプログラムでは、上述したように、遊技者が操作コントローラ3に設けられたボタン3aやレバー3b等の複数の操作部材を操作することにより、例えばメインキャラクタが所有する武器を用いて複数の敵キャラクタを倒すことができるのであるが、もちろん、メインキャラクタは、敵キャラクタに攻撃されることもある。敵キャラクタとメインキャラクタとにはそれぞれ「体力値」と呼称されるポイントが設定されており、攻撃によってダメージを受けると、ダメージを受ける毎に「体力値」のポイントが所定量(敵キャラクタの種類に応じて異なる)ずつ減少するようになっている。敵キャラクタの「体力値」のポイントが「0」になった場合、その敵キャラクタは倒されたことになり、画面上から消滅する。一方、メインキャラクの「体力値」のポイントが「0」になった場合、ゲーム終了となる。
【0032】
ゲームプログラムには、制御部11のマイクロコンピュータに実行させるための処理手順や各種命令等が記述されており、その中には、操作コントローラ3からの操作信号に応じてゲーム画面や音声等を制御するための内容が含まれている。
【0033】
また、ディスク5には、ゲームプログラムを実行するために必要なデータも記憶されている。このデータは、例えばポリゴンデータ及びテクスチャーデータによって構成され、ゲーム画面を構成するメインキャラクタ、敵キャラクタ、及び背景等の画像データが3次元画像データでディスク5に記憶されている。さらに、メインキャラクタのゲーム進行上の状況(「体力値」等)等を表すデータ、BGMや各種効果音として用いられる音声データ等がディスク5に記憶されている。
【0034】
このアクションゲームでは、モンスター等の敵キャラクタがメインキャラクタに対して持つ「恐れ」や「怯え」といった心理状態を表すパラメータが設定されており、これにより、敵キャラクタがあたかも意思や感情を有するように行動する。
【0035】
すなわち、敵キャラクタは、メインキャラクタに対して複数で攻撃を行うことがあるが、例えば一体の敵キャラクタがメインキャラクタによって倒されたとき、倒された敵キャラクタ以外の敵キャラクタは、仲間が倒されたとして、メインキャラクタに対して「恐れ」や「怯え」といった感情を抱くようになる。そして、そのような「恐れ」や「怯え」といった感情を抱いたときには、以降の行動が通常の攻撃動作に比べて異なるようにされている。例えば、その感情に応じて容姿を変化させたり、逃げたりするようにされている。これにより、敵キャラクタにあたかも意思が備わったようになり、ゲームにより面白みを与えることができる。
【0036】
このアクションゲームでは、敵キャラクタに、上記した「恐れ」や「怯え」といった感情を抱かせるために、下記に示すような固有の属性データが設定されている。以下、この属性データについて説明する。
【0037】
属性データは、各敵キャラクタのそれぞれに対して予め設定されるものであり、例えば図3に示すようなテーブルの形でディスク5に記憶されている。ディスク5に記憶されている属性データは、RAM16に記憶され、必要に応じてRAM16から読み出される。
【0038】
各敵キャラクタA,B,C,D,‥には、属性データとして「フィアー値」が設定されている。フィアー値は、敵キャラクタの「恐れ」や「怯え」といった感情の度合いを数値化したものであり、「0」が初期値として予め設定されている。フィアー値は、メインキャラクタの攻撃動作によって同一の対戦部屋に出現している他の敵キャラクタが倒されると増加するようになっている。敵キャラクタA,B,C,D,‥には、後述する「フィアー影響値」がそれぞれ設定されており、倒された敵キャラクタのフィアー影響値が倒された敵キャラクタ以外の他の敵キャラクタのフィアー値として加算されるようになっている。
【0039】
また、フィアー値は、それが「1」以上の自然数になると、時間の経過にともなって減少するようになっている。これは、敵キャラクタが時間の経過にともなって落ち着きを取り戻し、「恐れ」や「怯え」といった感情が薄まるといったことを表すためである。すなわち、速く落ち着く敵キャラクタもあれば、落ち着くのが遅い敵キャラクタもあるようにしている。これにより、各敵キャラクタに個性をもたせることができる。
【0040】
フィアー値が時間の経過にともなって減少する割合は、属性データの「フィアー値減少速度」(図3参照)として敵キャラクタごとに予め設定されている。図3の例では、フレーム周期当たりのフィアー値の減少量で表しているが、単位時間(1秒)当たりのフィアー値の減少量に換算すると、フィアー値の減少割合は、敵キャラクタA及び敵キャラクタBで60×0.167=10ポイント/秒、敵キャラクタCで60×0.001=0.06ポイント/秒、敵キャラクタDで60×0.335=20ポイント/秒である。なお、この単位時間当たりのフィアー値の減算量も一例であって、適宜設定することができる。
【0041】
また、フィアー値が減少する割合は、ゲームの進行に応じて変化させてもよい。例えば、遊技者が多数のミッションをクリアしていくにつれて、フィアー値が減少する割合が大きくなるように設定してもよい。このようにすれば、敵キャラクタが即座に通常の状態に回復しやすくなり、ゲームに困難性を与えることができる。
【0042】
また、このアクションゲームでは、ゲームの困難性に応じて複数のゲームレベルが設定され、そのゲームレベルに対応するゲームモードが設けられている。そして、最も困難なゲームモードをクリアしたときに、そのゲームモードよりさらに困難なボーナスモードが遊技者に提供されるようになっている。すなわち、遊技者は、ボーナスモードでゲームを楽しむことができるようになっている。フィアー値が減少する割合は、このボーナスモードにおいて、大きくなるように設定されていてもよい。
【0043】
また、各敵キャラクタA,B,C,D,‥には、属性データとして「フィアー閾値」が設定されている。フィアー閾値は、敵キャラクタがフィアー行動と呼称される行動をとるときの基準となる値である。すなわち、敵キャラクタのフィアー値の積算値がフィアー閾値を越えるとき、当該敵キャラクタは、フィアー状態と呼称される状態になるように制御される。フィアー閾値は、図3に示すように、敵キャラクタA,B,C,D,‥の種類ごとに固有の値が設定されている。
【0044】
フィアー状態とは、「恐れ」や「怯え」等により敵キャラクタが一種の混乱状態に陥った状態をいい、このフィアー状態になると、敵キャラクタは、フィアー行動をとるように制御される。フィアー行動とは、敵キャラクタが混乱状態になった結果として敵キャラクタが行う行動をいい、例えば、敵キャラクタは、フィアー行動として自らの体の色を青ざめたことを示す青色に変化させたり、体を震えさせたりする。あるいは、「恐れ」等とは逆に、「怒り」をおぼえ、メインキャラクタに対する攻撃の行動速度を増したりする。なお、これらのフィアー行動における敵キャラクタの画像データは、ディスク5に記憶されており、一旦RAM16に記憶された後、必要に応じて読み出されてモニタ4に画像として表示される。
【0045】
各敵キャラクタA,B,C,D,‥には、属性データとして「フィアー影響値」が設定されている。フィアー影響値は、ある敵キャラクタがメインキャラクタに倒されたとき、その敵キャラクタ以外の他の敵キャラクタのフィアー値に加算される値である。すなわち、ある敵キャラクタがメインキャラクタに倒されたとき、当該敵キャラクタの有するフィアー影響値が他の敵キャラクタのフィアー値として加算される。例えば、フィアー影響値は、メインキャラクタが比較的倒しにくい敵キャラクタほど大きな値が設定されている。これは、比較的倒しにくい敵キャラクタが倒されたことにより、他の敵キャラクタが恐れる度合い(フィアー値)を大きくするためである。
【0046】
なお、フィアー影響値は、遊技者が複数のミッションをクリアしていくにつれて例えばその値が小さくなるように変化させてもよい。また、フィアー影響値は、上記したボーナスモードにおいてその値が小さくなるように変化させてもよい。
【0047】
各敵キャラクタA,B,C,D,‥には、属性データとして「フィアーフラグ」が設定されている。フィアーフラグは、敵キャラクタがフィアー状態になったか否かを示すフラグであり、例えば敵キャラクタがフィアー状態になったとき、フィアーフラグは「0」から「1」に変化される。このフィアーフラグが「1」になると、以降の敵キャラクタの行動が変化するようになっており、例えば、敵キャラクタの動作速度が遅くなる。
【0048】
ここで、このアクションゲームでは、敵キャラクタの固有のデータとして、「難度値」が設定されている。この難度値は、メインキャラクタが敵キャラクタを倒すときの困難さを示す度合いであり、敵キャラクタごとに予め設定され、ゲームの進行状況に応じて変化する値である。例えば、この難度値が増加すると、メインキャラクタに対して攻撃する際の攻撃力が高まったり、防御する際の防御力が高まったりする。
【0049】
各敵キャラクタA,B,C,D,‥には、属性データとして上記難度値を変化させる「難度変化値」が設定されている。難度変化値は、敵キャラクタがフィアー状態になったときに当該敵キャラクタの難度値を変化させる値である。難度変化値は、各敵キャラクタにおいて固有の値が設定されている。例えば敵キャラクタがフィアー状態になったとき、自己の難度変化値が自己の難度値に加算され、以降、変化された難度値が敵キャラクタの行動に影響を及ぼし、その難度値に応じた行動をとるようになる。例えば、上述したように、メインキャラクタに対して攻撃する際の攻撃力が高まったり、防御する際の防御力が高まったりする。
【0050】
なお、難度変化値は、各敵キャラクタに応じて正の値又は負の値を有し、正の値の難度変化値が難度値に加算された場合には、難度値が高くなり、遊技者にとっては、その敵キャラクタが倒しにくくなる。一方、負の値の難度変化値が難度値に加算された場合には、難度値が低くなり、遊技者にとっては、その敵キャラクタが倒しやすくなる。このように、難度値を増減させると、敵キャラクタに個性が表れ、より面白みを増すことができる。
【0051】
各敵キャラクタA,B,C,D,‥には、属性データとして「反応速度」が設定されている。反応速度は、敵キャラクタがフィアー状態になってフィアー行動をとる際、当該敵キャラクタの動作の速度を表すものである。例えば、図3によると、敵キャラクタAは、フィアー行動する際の動作速度が「5」フレーム分速くなる。また、敵キャラクタDは、フィアー行動する際の動作速度が「10」フレーム分遅くなる。なお、フィアー行動する際に動作速度が変化しない敵キャラクタ(この場合、敵キャラクタB,C)には、反応速度は「0」が設定される。
【0052】
次に、上記構成における作用について、図4に示すフローチャート及び図5の各敵キャラクタのフィアー値の変化具合を示す図を参照して説明する。図4に示すフローチャートは、あるミッションの対戦場となる部屋にメインキャラクタが進入したときの対戦処理に関するものである。
【0053】
また、図5は、複数の敵キャラクタA1,A2,A3,B1,B2がモニタ画面上に出現する場合を示すが、敵キャラクタA1,A2,A3は同一種類のキャラクタであることを示し、敵キャラクタB1,B2は同一種類のキャラクタであることを示す。また、図5(a) 〜(d) の左部分には、敵キャラクタA1,A2,B1,B2が最初に画面に出現した瞬間を基準にしたフレーム画面数が表されている。例えば、図5(b) では、フレーム数が「100」であり、これは敵キャラクタA1,A2,B1,B2が最初に出現してから100フレーム目を表しており、時間に換算すれば、100/60≒1.66秒後である。
【0054】
遊技者がディスク5を装置本体2のディスクドライブユニット12に装着すると、ディスクドライブユニット12は、ディスク5に記憶されているゲームプログラムやゲームに必要なデータを読み出す(S1)。
【0055】
読み出されたゲームプログラムに基づいてゲームが開始されると、対戦モードのゲーム進行処理が開始される(S2)。すなわち、ゲーム画面に、ミッションに対応する背景画像(敵キャラクタと対戦する所定の対戦部屋の三次元画像)とメインキャラクタの画像(三次元画像)とが表示される。そして、所定のタイミングで画面上に敵キャラクタの画像(三次元画像)が表示される。例えば、図5(a) では、敵キャラクタA1,A2,B1,B2が対戦部屋に出現したことを示している。なお、このとき、各敵キャラクタA1,A2,B1,B2のフィアー値は初期値の「0」である。
【0056】
そして、これ以降は、遊技者の操作コントローラ3による操作に基づいて画面上のメインキャラクタ、敵キャラクタ及び背景の画像が適宜変化される。敵キャラクタは、予め設定された攻撃プログラムによって、遊技者のメインキャラクタに対する操作の有無に関係なく、メインキャラクタを攻撃するようにその動作が制御される。したがって、例えば、遊技者がメインキャラクタを対戦エリア外に移動させると、対戦モードが解除され、敵キャラクタは攻撃動作を止めるとともに、背景画の変化に伴っていなくなる。なお、図4のフローチャートには示していないが、メインキャラクタが敵キャラクタに倒されたとき、ゲーム終了となる。
【0057】
このような対戦モードのゲーム進行処理が行われると、次いで、フィアーフラグ参照処理が行われる。フィアーフラグ参照処理では、各敵キャラクタのフィアーフラグが参照され、フィアーフラグが「1」であるか否かが判別される(S3)。フィアーフラグが「1」である場合(S3:YES)、フィアーフラグによるフィアー行動処理が行われる(S4)。
【0058】
フィアー行動処理では、敵キャラクタが以下に示すような行動をおこすように制御される。すなわち、メインキャラクタに恐怖しメインキャラクタから遠ざかろうとして逃げる、メインキャラクタに恐怖し味方の影で自身を守るために味方にくっついて動く、メインキャラクタに恐怖し自身が危機状態になっていることから動作が機敏になる、メインキャラクタに恐怖した結果、動作が鈍くなる、メインキャラクタに恐怖し攻撃より守備を優先してメインキャラクタの攻撃をより防ぐようになる、メインキャラクタに恐怖し、恐怖で錯乱状態になったとして仲間を攻撃するようになる、メインキャラクタに恐怖してメインキャラクタに対して攻撃しなくなる等がフィアーフラグによるフィアー行動として挙げられる。
【0059】
なお、上記のフィアー行動は、フィアーフラグと難度値とが考慮された結果、行われるものであってもよい。
【0060】
次いで、敵キャラクタのフィアー値が自然数になっているか否かが判別され(S5)、フィアー値が自然数になっている場合(S5:YES)、フィアー値減算処理が行われる(S6)。すなわち、図3に示した各敵キャラクタのフィアー値減少速度が参照され、タイマ18を用いてフィアー値が時間の経過にともなって減少される。例えば、敵キャラクタA1では、10ポイント/秒の割合でフィアー値が減少される。
【0061】
次に、メインキャラクタと各敵キャラクタとの対戦によって、いずれかの敵キャラクタが倒されたか否かが判別される(S7)。すなわち、敵キャラクタがメインキャラクタの攻撃を受け、敵キャラクタの体力値が「0」になり、当該敵キャラクタが倒されたと判別された場合(S7:YES)、倒された敵キャラクタ以外の他の敵キャラクタのフィアー値に、倒された敵キャラクタのフィアー影響値が加算される(S8)。
【0062】
例えば、図5(b) の状態(敵キャラクタA1,A2,B1,B2の出現から100フレーム目)において、敵キャラクタA2がメインキャラクタによって倒されたとすると、敵キャラクタA2のフィアー影響値「80」(図3参照)が、敵キャラクタA2以外の他の各敵キャラクタA1,B1,B2のフィアー値に加算される。すなわち、各敵キャラクタA1,B1,B2のフィアー値は、それぞれ「0」から「80」になる。
【0063】
また、図5(c) の状態(敵キャラクタA1,A2,B1,B2の出現から160フレーム目)において、倒れた敵キャラクタA2に代えて、新たに敵キャラクタA3が出現したとすると、敵キャラクタA3は、敵キャラクタA2が倒されたときには出現していなかったので、フィアー値は「0」である。
【0064】
次いで、各敵キャラクタについて、自己のフィアー値が自己のフィアー閾値を越えるか否かがそれぞれ判別される(S9)。フィアー値がフィアー閾値を越えないと判別されると(S9:NO)、ステップS2に戻る。すなわち、先に説明したフィアーフラグを判別する処理(ステップS3)及びフィアー値を判別する処理(ステップS5)が行われる。
【0065】
ここで、図5(b) によると、敵キャラクタA1,B1,B2については、敵キャラクタA2が倒されたことにより、各敵キャラクタA1,B1,B2のフィアー値が自然数になっているため、これらのフィアー値に対してフィアー値減算処理(S6)が行われる。具体的には、図5(b) 及び図5(c) を参照すると、敵キャラクタが出現してからのフレーム数が「100」から「160」に変化しており、敵キャラクタA1,B1,B2のフィアー値は、10ポイント/秒の割合で減少するため、それぞれ「80」から「70」になる。
【0066】
一方、ステップS9において、フィアー値がフィアー閾値を越えたと判別されると(S9:YES)、その敵キャラクタは、フィアー状態に移行する(S10)。具体的には、図5(d) の状態(敵キャラクタA1,A2,B1,B2の出現から280フレーム目)において、敵キャラクタB1がメインキャラクタによって倒されると、他の敵キャラクタA1,B2,A3のフィアー値に、倒された敵キャラクタB1のフィアー影響値「60」が加算される。図5(d) の状態は、図5(c) の状態から120フレーム分をモニタ画面に表示されているため、例えば敵キャラクタA1のフィアー値は、70(図5(c) の状態)−20(120フレーム画像表示分)+60(敵キャラクタB1のフィアー影響値分)=110となる。
【0067】
ここで、敵キャラクタA1のフィアー閾値は「100」であるので(図3参照)、つまり、フィアー値がフィアー閾値を越えているため、敵キャラクタA1は、フィアー状態に移行する。
【0068】
この場合、図5(d) の状態では、異なる種類の敵キャラクタB2も、そのフィアー値が「110」になるが、敵キャラクタA1とフィアー閾値「130」が異なるため、すなわち、フィアー閾値が敵キャラクタA1のそれより高いため、敵キャラクタB2は、フィアー状態とはならない。また、敵キャラクタA3は、敵キャラクタA1と同じ種類であるが、出現のタイミングが敵キャラクタA1より遅かったために、フィアー値がフィアー閾値を越えず、敵キャラクタA3もフィアー状態とはならない。
【0069】
敵キャラクタがフィアー状態に移行すると、当該敵キャラクタのフィアーフラグが「0」から「1」に設定変更されるとともに(S11)、フィアー値は「0」にリセットされる。
【0070】
フィアー状態に移行すると、当該敵キャラクタの難度値が増減される(S12)。具体的には、各敵キャラクタには、難度変化値が予め設定されているが(図3参照)、フィアー状態になったとき、自己の難度変化値が自己の難度値に加算される。例えば、敵キャラクタA1のフィアー状態になる前の難度値が「500」である場合、フィアー状態になったとき、敵キャラクタA1の難度変化値「−200」(図3参照)が難度値に加算され、難度値は「300」になる。すなわち、敵キャラクタA1は、フィアー状態に移行すると難度値が小さくなる。
【0071】
この場合、敵キャラクタDは、その難度変化値が正の値(「300」)であるため(図3参照)、例えば敵キャラクタDがフィアー状態になった場合、その難度値は大きくなる。すなわち、遊技者にとっては、敵キャラクタDを倒すことがより困難になる。
【0072】
敵キャラクタがフィアー状態となると、その後、フィアー行動を起こす処理が行われる(S13)。例えば、フィアー行動としては、「見た目が変化する」といったパターンとして、怯えて体の色が青くなる、怒りで体の色が赤くなる、体の形を代えてメインキャラクタの攻撃に対抗する等が挙げられる。
【0073】
また、フィアー行動としては、「特殊な行動を行う」パターンとして、恐怖により震える、逆に怒る、自分自身を分裂させて仲間を増やす、仲間と融合してパワーを増大する、わざとメインキャラクタを挑発して自身が「恐怖」していることを隠す、死んだ振りをしてメインキャラクタの攻撃を逃れようとする、仲間を呼ぶ等が挙げられる。
【0074】
敵キャラクタのフィアー行動は、敵キャラクタごとに予め設定されており、上記したいずれかの行動が行われる。あるいは複数の行動が組み合わされて行われてもよい。なお、敵キャラクタの種類によっては、上記したフィアー行動を起こさないものも存在するようにしてもよい。
【0075】
このように、複数の敵キャラクタにおいて、各敵キャラクタに「恐れ」や「怯え」あるいは「怒り」といった心理状態を示すフィアー値を設定し、それがフィアー閾値を越えた場合にフィアー状態となるとともに、フィアー行動をとるように制御することにより、敵キャラクタがあたかも意思をもつように行動するので、ゲームの面白みをより増すことができる。
【0076】
なお、フィアー状態になったとき、フィアー値をリセットする、フィアーフラグを立てる、難度値を変更する等の一連の設定変更は、フィアー行動が行われた後に行われてもよい。
【0077】
また、例えば敵キャラクタがメインキャラクタを攻撃している動作を行っているときに、他のキャラクタがメインキャラクタによって倒されたとき、攻撃している敵は、即座にフィアー状態になってフィアー行動を行うのではなく、メインキャラクタに対する攻撃による動作を終了した時点でフィアー行動を行うようにされている。
【0078】
ステップS13のフィアー行動処理が行われた後、ステップS2に戻り、先に説明したフィアーフラグを判別する処理(ステップS3)が行われる。フィアー行動を行った敵キャラクタでは、フィアーフラグが「1」に設定されているため、フィアーフラグによるフィアー行動処理(S4)が行われる。すなわち、フィアーフラグによるフィアー行動処理は、ステップS13に示すフィアー行動処理とは別の処理である。
【0079】
なお、フィアー行動が上述したボーナスモード時に行われたときには、敵キャラクタは、攻撃力や防御力がさらにアップする特定キャラクタに変身するようにしてもよい。
【0080】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、敵キャラクタが倒されたときにフィアー値が変化するようにされたが、フィアー値が変化する事象はこれに限るものではない。例えばメインキャラクタが強力な攻撃を敵キャラクタに対して加え、その攻撃により敵キャラクタが瀕死状態になったとき、あるいは多大なダメージを受けたとき、他の敵キャラクタのフィアー値が増加するように制御してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、複数の敵キャラクタが出現した場合のフィアー値の処理について説明したが、これに代えて、単数の敵キャラクタが出現し、メインキャラクタの単数の敵キャラクタに対する動きによって敵キャラクタがフィアー行動をとるように制御されてもよい。例えば、メインキャラクタが敵キャラクタに対して挑発行為を行ったとき、敵キャラクタがフィアー行動を起こすように制御されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本願発明に係るゲームプログラムが実行されるゲーム装置の一例を示す構成図である。
【図2】ゲームの進行イメージを表した図である。
【図3】敵キャラクタの属性データを示すテーブルの一例である。
【図4】ゲーム装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】敵キャラクタのフィアー値の変化具合を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 ゲーム装置
2 装置本体
3 操作コントローラ
4 モニタ
5 ディスク
11 制御部
12 ディスクドライブユニット
13 I/Oインターフェース部
15 CPU
16 RAM
17 ROM
18 タイマ
A1,A2,A3,B1,B2 敵キャラクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
遊技者の操作手段の操作によるメインキャラクタの動きに対して、前記メインキャラクタと異なるサブキャラクタの心理状態を数値化した制御値を変化させる制御値変化手段と、
前記制御値変化手段によって変化された前記制御値に基づいて、前記サブキャラクタの容姿又は動作の態様を変化させる行動変化手段と、
して機能させることを特徴とする、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記サブキャラクタは、複数のキャラクタによって構成されており、
前記制御値変化手段は、前記メインキャラクタが複数のキャラクタのうちいずれかのサブキャラクタに対して攻撃を加えたとき、攻撃が加えられたサブキャラクタ及び/又は攻撃が加えられたサブキャラクタ以外の他のサブキャラクタの前記制御値を変化させる、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記行動変化手段は、前記制御値変化手段によって変化された前記制御値が予め定める閾値を越えたとき、前記サブキャラクタの容姿又は動作の態様を変化させる、請求項1又は2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
コンピュータを、
前記制御値を時間の経過とともに低減させる制御値低減手段としてさらに機能させる、請求項1ないし3のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のゲームプログラムが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項6】
遊技者の操作手段の操作によるメインキャラクタの動きに対して、前記メインキャラクタと異なるサブキャラクタの心理状態を数値化した制御値を変化させる制御値変化手段と、
前記制御値変化手段によって変化された前記制御値に基づいて、前記サブキャラクタの容姿又は動作の態様を変化させる行動変化手段と、
を備えたことを特徴とする、ゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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