説明

ゲームプログラムおよびゲーム装置

【課題】 出力音響のリアリティを確保しつつ演算負荷を軽減する。
【解決手段】
ゲーム画面の表示と同時に、オブジェクト対応位置CPに対応した4種の音響S1〜S4が複合的に再生され、例えば、オブジェクト対応位置CPに対応して、音響S1は音量0から滑らかに音量が高まり、ピークを越えた後に、一旦音量が0になり、再び滑らかに音量ピークを迎え、その後音量0に戻る。音響S2〜S4も、オブジェクト対応位置CPに対応して、個々に音量変化が設定されている。
音響S1〜S4等には、背景音楽、水音、生物の鳴き声、風音等の環境音その他が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間内のオブジェクトの移動に応じて、音響を出力するためのゲームプロググラムおよびゲーム装置に関する。
【0002】
ゲームのための音響出力に関して、特許文献1には、オブジェクトの各ポリゴン中心と音源との距離、方向を逐次算出し、距離、方向に応じた音響を出力する3次元サウンドシステムが開示されている。
【0003】
一方、特許文献2には、音源と聴取位置との距離を逐次計算し、距離に応じた周波数特性の音響を出力するゲーム装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平08−149600号公報(特許3654369号公報)
【特許文献2】特開2005−046270号公報(特許3740518号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2による音響出力を実行するためには、音源とオブジェクトの距離を頻繁に演算する必要があり、演算負荷が大きい。さらに特許文献1の音響出力は、さらに方向の演算が必要であり、演算負荷は一層大きい。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点を解消すべく創案されたもので、出力音響のリアリティを確保しつつ演算負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、移動操作手段と、音響記憶手段と、音響再生手段と、制御手段とを備えたゲーム装置のためのゲームプログラムであって、前記制御手段を、仮想空間を生成する仮想空間生成手段と、前記仮想空間内でオブジェクトを生成するオブジェクト生成手段として機能させ、さらに、前記制御手段に、前記移動操作手段の入力に基づいて、前記仮想空間内で、前記オブジェクトを前記仮想空間内で移動させ、前記オブジェクトの前記仮想空間内の位置に対応して、前記音響情報記憶手段に記憶された音響情報を読み出し、該音響情報を前記音響再生手段に入力させる、ゲームプログラム。
【0008】
これによって、出力音響のリアリティを確保しつつ演算負荷を軽減し得る。
【0009】
本発明は、移動操作手段と、記憶手段と、音響再生手段と、制御手段とを備えたゲーム装置であって、前記制御手段は、仮想空間を生成する仮想空間生成手段と、前記仮想空間内でオブジェクトを生成するオブジェクト生成手段と、前記オブジェクトの移動標準経路を生成する標準経路生成手段と、前記オブジェクトの位置に対応して前記移動標準経路上の位置(オブジェクト対応位置という。)を算出するオブジェクト対応位置算出手段とを含み、前記制御手段は、前記移動操作手段の入力に基づいて、前記仮想空間内で、前記オブジェクトを前記移動標準経路に略沿って移動させ、前記オブジェクト対応位置に対応して、前記記憶手段に記憶された音響制御情報及び/又は音響情報を読み出し、該音響制御情報により制御された該音響情報を前記音響再生手段に入力させる。
【0010】
これによって、出力音響のリアリティを確保しつつ演算負荷を軽減し得る。
【0011】
本発明に係るゲームプログラムおよびゲーム装置において、前記仮想空間は、例えば、複数のエリアに分割され、前記音響制御情報及び/又は前記音響情報は前記エリアごとに設定される。これによって、エリアごとの演出効果設定が容易になる。
【0012】
本発明に係るゲームプログラムおよびゲーム装置において、前記オブジェクトの移動標準経路を生成し、前記オブジェクトの位置に対応して前記移動標準経路上の位置(オブジェクト対応位置という。)を算出し、さらに、前記オブジェクト対応位置に対応して、前記記憶手段に記憶された音響制御情報及び/または音響情報を読み出し、該音響制御情報に制御された該音響情報を前記音響再生手段に入力させてもよい。
【0013】
これによって、移動標準経路が設定されたゲームにおいて、極めてわずかな演算負荷による音響設定が可能である。
【0014】
本発明に係るゲームプログラムおよびゲーム装置において、前記音響制御情報には音量情報が含まれ、前記オブジェクト対応位置に対応した前記音量情報に基づいて、前記音響再生手段の出力音量を制御してもよい。これによって、移動標準経路が設定されたゲームにおいて、音源との距離に基づいた音響調節を、極めてわずかな演算負荷によって実現し得る。
【0015】
本発明に係るゲームプログラムにおいて、前記音響情報には、例えば、背景音楽の情報が含まれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、出力音響のリアリティを確保しつつ演算負荷を軽減することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明に係るゲームプログラムおよびゲーム装置の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
[ゲーム装置]
図1は、本発明に係るゲーム装置の実施例を示す正面図、図2は、図1のゲーム装置を示すブロック図である。
【0019】
図1において、ゲーム装置2000にコントロ−ラ2100が接続されており、さらにゲーム装置2000には、TVモニタ2200等の表示装置およびキーボード2300が接続されている。
【0020】
表示装置2200にはプレーヤキャラクタ等のオブジェクトCH、オブジェクトの移動経路(コース)CR、オブジェクトのパワー残量を示すライフゲージLGおよび周囲の風景が表示され、オブジェクトCHは、コントローラ2100によって移動操作される。上記、オブジェクトの移動経路(コース)CRは、図1においてはオブジェクトCHの進行方向に沿って図示されているが、図示しなくても良い。また、この移動経路(コース)CRは、オブジェクトCHが走行可能なエリアの幅方向における略中心に位置しており、この位置を基準に後述する音響情報を決定しても良い。
【0021】
図2において、ゲーム装置2000は、全体を制御するCPU1000と、ゲーム装置2000を起動させるためのプログラムを格納するブートロム1010と、CPU1000によって実行されるプログラムやデータを格納するシステムメモリ1020とを有する。
【0022】
ゲーム装置2000には、表示すべき画像を生成、制御するビデオプロセッサ1030と、生成される画像の元となる画像や生成された画像を記憶するグラフィックメモリ1040が設けられ、ビデオプロセッサ1030は、生成した画像を表示装置2200に表示する。
【0023】
ゲーム装置2000には、音響を再生するオーディオプロセッサ(音響再生手段)1070と、再生される音データの音響情報ならびに音響情報を制御する音響制御情報を記憶するオーディオメモリ(記憶手段)1080が設けられ、オーディオプロセッサ1070はオーディオメモリ1080に記憶された音響情報および音響制御情報に基づいて音響のデジタル信号を生成し、スピーカやヘッドフォン等の音響出力装置2210によって音響を出力する。
【0024】
音データは、仮想空間上の特定の場所に固定されて流れるように設定された単発の音データあるいは、ループして流れるように設定されている音データでも良い。また、音響制御情報は、音量情報や、音響情報に対するエフェクト効果をもたらせるプログラミング等である。音に対するエフェクト効果としては、たとえば、エコー効果をもたらせるもの、意図的にゆがんだ音声を出力するものなどがある。これらを組み合わせることで、少ない音データでも多彩な音表現が可能となる。
【0025】
なお、ここで言う音響の音量情報とはあくまでプログラムによって設定され、オーディオプロセッサ1070からの音声情報に基づいて出力される音響のことをいい、実際に再生される音量は、スピーカやヘッドフォン(音響出力装置2210)そのものの設定された音量にて再生される。
【0026】
ゲーム装置2000には、プログラムデータ等の記憶装置としてCD−ROMドライブ1090等が設けられ、記憶装置において記憶媒体に格納されたゲームプログラムやデータをシステムメモリ1020、グラフィックメモリ1040、オーディオメモリ1080に読み込まれる。
【0027】
ゲーム装置2000にはメモリインターフェース1130が設けられ、遊戯者が保有するメモリカードA、Bに対する読み書きが可能である。これによって、各ユーザのゲーム成績、中途で終了したゲームの状態等を登録し得る。
【0028】
ゲーム装置2000には、通信インターフェース1160を介してモデム1150が設けられ、ネットワークを介して複数のゲーム装置2000によるネットワークゲームを実行でき、また、サーバ(図示省略)から、ゲーム成績の統計、各遊戯者順位、種々のイベント等、ゲームに関する種々の情報を取得し得る。
【0029】
ゲーム装置2000には、コントローラインターフェース1140が設けられ、コントローラ2100はコントローラインターフェース1140の端子1〜4に接続される。
【0030】
次に、ゲーム装置2000で実行されるゲームにおける、プレーヤキャラクタ(オブジェクト)CHの移動経路、ゲーム画面および再生音響について説明する。
【0031】
図3は、図1のゲーム装置で実行されるゲームにおける、プレーヤキャラクタの移動経路を示す図、図4は、図1のゲーム装置で表示されるゲーム画面を示す図、図5は、図1のゲーム装置で表示される他のゲーム画面を示す図、図6は、図1のゲーム装置で実行されるゲームのための音響制御情報の例を示すグラフ、図7は、対応位置算出法を示す図、図8は、音響の音量制御情報の例を示す表である。
【0032】
図3に模式図として示すように、移動経路CRは、仮想空間SP内に形成され、プレーヤキャラクタCHはコースCRから逸脱しない範囲で自由に移動し得る。また、移動経路CRは図3においては一つの道として一連で記載されているが、実際の仮想空間上においてはプレーヤキャラクタCHが移動可能な範囲で途切れていても良い。また、移動経路CRの途中に分岐点を設け、移動経路CRが複数に分かれていても良い。また、分岐点は、プレーヤによって自由に選択できるようにしてもよいし、プレーヤキャラクタCHが移動経路CR上にアイテムとして配置されているオブジェクトを獲得したという判定を元に分岐させるなど、諸条件を満たすことで分岐させてもよい。
【0033】
コースCR内には、プレーヤキャラクタCHの標準的な移動経路を示す移動標準経路CR1が設定されている。この移動標準経路CR1は実際に表示装置に表示しても良いし、しなくても良い。
【0034】
遊戯者は、コントローラ2100等の操作によって、プレーヤキャラクタCHを、コースCRに沿って、例えば前進、後退させ、またコースCRの幅方向、仮想空間SPの上下方向に移動させることができる。
【0035】
移動標準経路CR1には、プレーヤキャラクタCHの仮想空間SP内の位置CH(X,Y,Z)に対応したオブジェクト対応位置CPが決定される。
【0036】
図4、図5に示すように、表示装置2200には、プレーヤキャラクタCHの移動にともなうオブジェクト対応位置CPの変化に対応して、ゲーム画面が生成、表示される。
【0037】
なお、図5に示すように、ゲーム画面には、プレーヤキャラクタCH以外の二人の人物オブジェクトOB1、OB2、その他のオブジェクトが表示されているが、これらオブジェクトの全部または一部について、プレーヤキャラクタCHとのコリジョン判定を実行し、プレーヤキャラクタCHが対象となるオブジェクトに接触したときに、プレーヤキャラクタCHのパワー残量を示すライフゲージLGのパワー残量を変化するようにしてもよい。また、その他の種々の効果を設定し得る。
【0038】
さらに、図6に示すように、ゲーム画面の表示と同時に、オブジェクト対応位置CPに対応した1種または複数の音データが音響として再生される
【0039】
図6では4種の音響制御情報によって制御された音響S1〜S4が複合的に再生されたものを模式的に示している。例えば、オブジェクト対応位置CPに対応して、音響S1は音量0から滑らかに音量が高まり、ピークを越えた後に、一旦音量が0になり、再び滑らかに音量ピークを迎え、その後音量0に戻る。音響S2〜S4も、オブジェクト対応位置CPに対応して、個々に音量変化が設定されている。
【0040】
音響S1〜S4等には、背景音楽、水音、生物の鳴き声、風音等の環境音その他が含まれる。こうしたそれぞれに管理されている複数の音データを複合させて再生することで、背景音楽だけではなく、仮想空間内におけるプレーヤキャラクタCHの周囲環境の音を表現することが可能となり、よりリアリティのある音響をプレーヤに提供することが可能となり、たとえば、仮想空間上を流れている滝のそばにプレーヤキャラクタCHが近づけば近づくほどに滝の流れている音量を大きくすることが可能となる。
【0041】
[オブジェクト対応位置の算出]
オブジェクト対応位置CPは、例えば、プレーヤキャラクタCHの位置CH(X,Y,Z)に最も近い移動標準経路CR1上の点である。ただし、移動標準経路CR1は一般に曲線あるいは複雑な折れ線に設定され、任意の位置CHに対する最短距離の点を移動標準経路CR1上で求めることが容易でない場合もある。
【0042】
オブジェクト対応位置CPの算出が容易でないときは、計算を単純化するために、例えば、標準移動経路CR1上に、複数のコース基準座標KF0〜KFnを設定し、あらかじめスタート位置KF0から各コース基準座標KFiまでの経路長bdistを算出しておき、隣接するコース基準座標KFi、KFi+1を結ぶ線分上で、KFiからCPまでの距離ndistを近似的に算出する。そしてオブジェクト対応位置CPは、最初のコース基準座標KF0から標準移動経路CR1に沿って計測した経路長posld=bdist+ndistによって特定される。
【0043】
ここで、近似的なCP算出方法の例を示す。
【0044】
例えば、図7に示すように、位置CH(X,Y,Z)がコース基準座標KFi、KFi+1間に存在するとき、以下のパラメータを定義する。
vp0:位置CHからコース基準座標KFiに向かうベクトル
vp1:KFi+1からKFiに向かうベクトル
vp2:KFi+1からCHに向かうベクトル
【0045】
ここで以下のパラメータを設定する。
bdist:コース基準座標KF0からコース基準座標KFiまでの経路長
ndist:コース基準座標KFiからCPまでの経路長
poslt:コース基準座標KF0から対応位置CPまでの経路長
c:コース基準座標KFiから垂線の足CFまでの距離
θ:ベクトルvp0とベクトルvp1のなす角度
【0046】
上記ベクトルvp0+vp2がvp1の良好な近似であれば、ノルム|vp0|をndistとみなすことができる。すなわち、
ndist=|vp0| 式(1)
である。
【0047】
ベクトルvp0+vp2がvp1の良好な近似となるか否かの判断は、例えば、以下のように実行する。
【0048】
例えば、ベクトルvp0、vp1の内積が負、あるいはベクトルvp1の2乗が負となったとき(条件1という。)、良好な近似と判断し、vp0のノルムをndistとみなす。あるいは、ベクトルvp1、vp2の内積が負のとき(条件2という。)、良好な近似と判断し、vp2のノルムをndistとみなす。
【0049】
また、ベクトルvp0+vp2がvp1の良好な近似とならないときは、例えば、図7に示すように、位置CHからベクトルvp1に垂線を垂らし、KFiから垂線の足CFまでの距離を経路長ndistとみなして、対応位置CP(bdist+ndist)を算出する。
このとき距離cは以下のように算出される。
ndist=|vp0|×cosθ 式(2)
cosθ={|vp0|2+|vp1|2−|vp2|2}
/{2|vp2|・|vp1|} 式(3)
【0050】
図8に示すように、音響S1〜S4のための音量情報volは、posldのデジタル値ごとに設定され、オーディオメモリ1080に記憶されており、算出された経路長posldが、デジタル値posld(j)、posld(j+1)の間の値(posldtとする。)であったとき(式(4))、posld(j)、posld(j+1)における音量をvol(posld(j))、vol(posld(j+1))とすると、式(5)の補間演算により音量vol(posldt)を算出する。
posld(j)<posldt<posld(j+1) 式(4)
vol(posldt)=vol(posld(j))
+{vol(posld(j+1))−vol(posld(j))}
×{posldt−posld(j)}
/{posld(j+1)−posld(j)} 式(5)
【0051】
コースCRは複数エリアに分割することも可能であり、各エリアを異なる情景、状況が設定されたステージとして、ゲームに変化を与えてもよい。各エリアの境界は、例えば、コース基準座標KF0〜KFnによって設定される。
【0052】
以上のように、オブジェクト位置CHに基づいてオブジェクト対応位置CPを設定し、オブジェクト対応位置CPの経路長またはその近似値に基づいて音響制御情報を設定するので、音響再生のための演算負荷は少ない。さらに、オブジェクトCHの移動方向に沿って、音響の音量を設定するので、滑らかな音響変化を設定することが容易であり、エリア境界での不自然な音響変化を防止し得る。
【0053】
また、各距離における比率に基づいて音響の音量を決定することも可能である。この場合、比率に応じて各プラットフォームの最大の値に比率を掛け合わせることで、実際に音量を求めることが可能となる。また、毎フレームの計算を省く場合には、各ステージの初期化時等に予め補間を前提としない段階テーブルを生成しておき、音量変化がそれほどないポイント間は段階テーブルを少なくするなどして、データ位置検索を行うだけで音量をテーブルの値をそのまま使用することも可能である。これによって、音量変化がそれほどない場合においての補完を省くことで、負荷を抑えることも可能である。また、設定されている音量が0である場合のポイント間は計算をしないという設定をすることで、負荷を抑えることも可能である。
【0054】
以上の実施例において、CPU1000、システムメモリ1020は協働して制御手段として機能する。
【0055】
また、CPU1000、システムメモリ1020、ビデオディスプレイプロセッサ1030およびグラフィックメモリ1040は協働して、仮想空間SPを生成する仮想空間生成手段として機能し、仮想空間内SPでオブジェクトCHを生成するオブジェクト生成手段として機能する。
【0056】
また、CPU1000、システムメモリ1020およびコントローラ2100は協働して、仮想空間SP内で、オブジェクトCHを移動標準経路CR1に略沿って移動させる移動操作手段として機能する。
【0057】
また、CPU1000およびシステムメモリ1020は協働して、オブジェクトCHの移動標準経路CR1を生成する標準経路生成手段として機能し、
オブジェクトCHの位置CH(X,Y,Z)に対応してオブジェクト対応位置CPを算出するオブジェクト対応位置算出手段として機能する。
【0058】
[ゲームプログラム]
ゲーム装置2000において実行されるゲームプログラムについて説明する。
【0059】
図9は、本発明に係るゲームプログラムの実施例1の処理を示すフローチャート、図10は、図9における、オブジェクト対応位置算出の処理を示すフローチャートである。
【0060】
図9において、ゲームプログラムは、以下の各ステップを制御手段に実行させる。
【0061】
ステップS1101:まず、bdist、posld、ndist、CH(X,Y,Z)、vp0、vp1、vp2、θ等のパラメータを初期設定し、ステップS1102に進む。
【0062】
ステップS1102:コントローラ2100から、キャラクタCHを移動させるべきコントロール信号が入力されたか否か判断する。コントロール信号が入力されたときは、ステップS1103に進み、コントロール信号が入力されなかったときはステップS1107にジャンプする。
【0063】
ステップS1103:コントロール信号に基づいてオブジェクトCHを移動させ、ステップS1104に進む。
【0064】
ステップS1104:オブジェクト対応位置CPを算出し、ステップS1105に進む。
【0065】
ステップS1105:位置CHおよびオブジェクトCHの方向等に基づいて表示すべきゲーム画像を生成、出力し、ステップS1106に進む。
【0066】
ステップS1106:オブジェクト対応位置CPに基づいて、オーディオメモリ1080から音響情報を読み出して、オーディオプロセッサ1070に入力する。オーディオプロセッサ1070に入力された音データは、表示装置2200を介して、音響出力装置2210よりオブジェクト対応位置CPに対応した音響が再生される。
【0067】
ステップS1107:オブジェクトCHがゲームのゴールに到達したか否か判断する。ゴールに到達したときはそのまま処理を終了し、ゴールに到達していないときはステップS1108に進む。
【0068】
ステップS1108:時間切れによってゲームを終了すべきか否か判断する。ゲームを終了すべきときはそのまま処理を終了し、時間切れでないときはステップS1102に戻る。
【0069】
図10において、ゲームプログラムは、ステップS1104のオブジェクト対応位置の算出に際して、制御手段に以下の各ステップを実行させる。
【0070】
ステップS1201:条件1が満足されたか否か、すなわち、ベクトルvp0、vp1の内積が負、あるいはベクトルvp1の2乗が負であるか否かを判断する。条件1が満足されたときは、ステップS1205にジャンプし、条件1が満足されなかったときは、ステップS1202に進む。
【0071】
ステップS1202:条件2が満足されたか否か、すなわち、ベクトルvp1、vp2の内積が負であるか否かを判断する。条件2が満足されたときは、ステップS1204にジャンプし、条件2が満足されなかったときは、ステップS1203に進む。
【0072】
ステップS1203:ベクトルvp0+vp2がvp1の良好な近似とならないときは、図7に示すように、位置CHからベクトルvp1に垂線を垂らし、式(2)、(3)によって、KFiから垂線の足CFまでの距離を算出し、経路長ndistとみなす。これによって、対応位置CP(bdist+ndist)を算出する。その後、処理を終了する。
【0073】
ステップS1204:ndist=|vp2|として対応位置CPを算出する。その後、処理を終了する。
【0074】
ステップS1205:ndist=|vp0|として対応位置CPを算出する。その後、処理を終了する。
【実施例2】
【0075】
実施例1は曲線コースに沿って移動するキャラクタについて、オブジェクト対応位置を経路長で定義したが、オブジェクト対応位置CPを2次元領域で定義することも可能である。
【0076】
図11は、本発明に係るゲームプログラムおよびゲーム装置の実施例2における仮想空間を示す平面図、図12は、本発明に係るゲームプログラムの実施例2の処理を示すフローチャートである。
【0077】
図11に示すように、例えば、X座標(ゲーム画像の水平方向の座標)、Z座標(ゲーム画像の奥行方向の座標)によって複数の長方形エリアA1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、・・・・を順次接続して、キャラクタCHの移動経路CRを設定し、エリアA1を小エリアA11〜A15、エリアA2を小エリアA21〜A22、エリアA3を小エリアA31〜A35、エリアA4を小エリアA41〜A44、エリアA5を小エリアA51〜A53、エリアA6を小エリアA61〜A64、・・・に分割する。各小エリアは、X軸またはZ軸に平行な辺のみで構成される長方形または多角形である。
【0078】
すなわち、エリアA1、A2、・・および小エリアA11、A12、・・・は、X−Z座標に沿った平面図形として定義されており、エリアA1、A2、・・は、例えば、ゲームのステージに対応して設けられる。
【0079】
コントローラ2100の操作によってキャラクタCHはエリアA1、A2、・・・・から逸脱しないように移動し、キャラクタCHの位置CH(X、Z)によって小エリア(図11では小エリアA42)が決定する。
【0080】
音響S1〜S4のための音データ(音響情報ならびに音響制御情報)は、各エリアについて、小エリアごとに変化するように設定され、制御手段は位置CH(X、Z)に対応する小エリアをオブジェクト対応位置CPとして特定し、対応する音データを読み出す。なお、小エリアの特定は、X、Z座標の評価のみであるので、演算負荷はわずかである。
【0081】
なお、エリアおよび小エリアを、X−Z座標に沿った平面図形とせず、X−Y(ゲーム画面の高さ方向)座標に沿った平面図形、Y−Z座標に沿った平面図形とすることも当然可能である。
【0082】
実施例2のゲームプログラムは、図1、2のゲーム装置によって実行され、ゲームプログラムは、制御手段に以下の各ステップ(図12)を実行させる。
【0083】
ステップS1401〜S1403:図9のステップS1101〜S1103と同様の処理を実行する。
【0084】
ステップS1404:位置CHに対応するオブジェクト対応位置CP(小エリア)を算出し、ステップS1405に進む。
【0085】
ステップS1405:図9のステップS1105と同様の処理を実行し、ステップS1406に進む。
【0086】
ステップS1406:オブジェクト対応位置CP(小エリア)に基づいて、オーディオメモリ1080から音響制御情報を読み出して、オーディオプロセッサ1070に入力する。これによって、オブジェクト対応位置CPに対応した音響が再生される。
【0087】
ステップS1407、S1408:図9のステップS1107、S1108と同様の処理を実行する。
【0088】
また、ゲームプログラムを汎用コンピュータによって実行する際には、ゲームプログラムをコンピュータに実行させるプログラムコードを、記憶媒体や通信媒体から、汎用コンピュータのシステムメモリに読み込む。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上の実施例は主に1個のオブジェクトがコースに沿って走るゲームについて説明したが、1個または複数のオブジェクトが仮想空間内を移動する任意のゲームに適用でき、さらには、仮想空間内のオブジェクトを移動させる種々のアプリケーション、例えばフライトシミュレータ、RPGゲーム、アクションゲーム等に本発明を適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係るゲーム装置の実施例を示す正面図である。
【図2】図1のゲーム装置を示すブロック図である。
【図3】図1のゲーム装置で実行されるゲームにおける、プレーヤキャラクタの移動経路を示す図である。
【図4】図1のゲーム装置で表示されるゲーム画面を示す図である。
【図5】図1のゲーム装置で表示される他のゲーム画面を示す図である。
【図6】図1のゲーム装置で実行されるゲームのための音響情報の例を示すグラフである。
【図7】対応位置算出法を示す図である。
【図8】音響の音量情報の例を示す表である。
【図9】本発明に係るゲームプログラムの実施例1の処理を示すフローチャートである。
【図10】図9における、オブジェクト対応位置算出の処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係るゲームプログラムおよびゲーム装置の実施例2における仮想空間を示す平面図である。
【図12】本発明に係るゲームプログラムの実施例2の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
CH オブジェクト(プレーヤキャラクタ)
CP オブジェクト対応位置
CR 移動経路(コース)
CR1 標準移動経路
SP 仮想空間
LG ライフゲージ
1000 CPU
1010 BOOT ROM
1020 システムメモリ
1030 ビデオディスプレイプロセッサ
1040 グラフィックメモリ
1150 モデム
1160 通信インターフェース
1070 オーディオプロセッサ
1080 オーディオメモリ
1090 CD−ROMドライブ
1130 メモリインターフェース
1140 コントロールインターフェース
1190 バスアービタ
2000 ゲーム装置
2100 コントローラ
2200 表示装置
2210 音響出力装置
2300 キーボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動操作手段と、記憶手段と、音響再生手段と、制御手段とを備えたゲーム装置のためのゲームプログラムであって、
前記記憶手段には、
音響情報と、
音響情報を制御する音響制御情報と、が記憶され、
前記制御手段を、
仮想空間を生成する仮想空間生成手段と、
前記仮想空間内でオブジェクトを生成するオブジェクト生成手段と、
して機能させ、
さらに、前記制御手段に、
前記移動操作手段の入力に基づいて、前記仮想空間内で、前記オブジェクトを前記仮想空間内で移動させ、
前記オブジェクトの前記仮想空間内の位置に対応して、前記記憶手段に記憶された前記音響制御情報を読み出し、前記音響制御情報によって制御された該音響情報を前記音響再生手段に入力させる、
ゲームプログラム。

【請求項2】
前記仮想空間は複数のエリアに分割され、前記音響情報及び/又は前記音響制御情報は、前記エリアごとに設定されていることを特徴とする請求項1記載のゲームプログラム。

【請求項3】
前記制御手段を、さらに、
前記オブジェクトの移動標準経路を生成する標準経路生成手段と、
前記オブジェクトの位置に対応して前記移動標準経路上の位置(オブジェクト対応位置という。)を算出するオブジェクト対応位置算出手段と、
して機能させ、
さらに、前記制御手段に、
前記オブジェクト対応位置に対応して、前記記憶手段に記憶された前記音響制御情報を読み出し、前記音響制御情報によって制御された該音響情報を前記音響再生手段に入力させる、
ことを特徴とする請求項1または2記載のゲームプログラム。

【請求項4】
前記音響制御情報には音量情報が含まれ、
前記制御手段に、
前記オブジェクト対応位置に対応した前記音量情報に基づいて、前記音響再生手段の出力音量を制御させる、
ことを特徴とする請求項2または3記載のゲームプログラム。

【請求項5】
移動操作手段と、記憶手段と、音響再生手段と、制御手段とを備えたゲーム装置であって、
前記記憶手段は、
音響情報と、
音響情報を制御する音響制御情報と、を記憶し、
前記制御手段は、
仮想空間を生成する仮想空間生成手段と、
前記仮想空間内でオブジェクトを生成するオブジェクト生成手段と、
前記オブジェクトの移動標準経路を生成する標準経路生成手段と、
前記オブジェクトの位置に対応して前記移動標準経路上の位置(オブジェクト対応位置という。)を算出するオブジェクト対応位置算出手段と、
を含み、
前記制御手段は、
前記移動操作手段の入力に基づいて、前記仮想空間内で、前記オブジェクトを前記移動標準経路に略沿って移動させ、
前記オブジェクト対応位置に対応して、前記記憶手段に記憶された前記音響制御情報を読み出し、前記音響制御情報によって制御された該音響情報を前記音響再生手段に入力する、
ゲーム装置。

【請求項6】
前記仮想空間は複数のエリアに分割され、前記音響情報及び/又は前記音響制御情報は前記エリアごとに設定されていることを特徴とする請求項5記載のゲーム装置。

【請求項7】
前記制御手段は、さらに、
前記オブジェクトの移動標準経路を生成する標準経路生成手段と、
前記オブジェクトの位置に対応して前記移動標準経路上の位置(オブジェクト対応位置という。)を算出するオブジェクト対応位置算出手段と、
を含み、
さらに、前記制御手段は、
前記オブジェクト対応位置に対応して、前記記憶手段に記憶された前記音響制御情報を読み出し、前記音響制御情報によって制御された該音響情報を前記音響再生手段に入力する、
ことを特徴とする請求項5または6記載のゲーム装置。

【請求項8】
前記音響制御情報には音量情報が含まれ、
前記制御手段は、
前記オブジェクト対応位置に対応した前記音量情報に基づいて、前記音響再生手段の出力音量を制御する、
ことを特徴とする請求項7または8記載のゲーム装置。

【請求項9】
請求項1乃至4のいずれかに記載のゲームプログラムのコンピュータ実行可能なプログラムコードが格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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