説明

ゲーム機

【課題】ボールなどの転動体を利用したゲームを従来よりも面白くすることができるとともに、製造コストが大幅に上昇するといった不具合も抑制することが可能なゲーム機を提供する。
【解決手段】転動体投入手段4から転動体Bが投入される転動用部材5の下方に位置し、かつ転動体通過用の貫通孔70が設けられた補助部材7を備えているとともに、転動用部材5と補助部材7とは、孔部51と貫通孔70とが重なる第1の状態と重ならない第2の状態とが生じるように相対回転可能であり、転動用部材5の孔部51に嵌入した転動体Bは、上記第2の状態では補助部材7によって支持されることにより孔部51に嵌入保持される一方、上記第1の状態では貫通孔70の下方に落下する構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームセンタなどに設置されるいわゆるアーケード型のゲーム機として用いるのに好適なゲーム機、さらに詳しくは、ボールなどの転動体を用いてゲームを行なうように構成されたタイプのゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
アーケード型のゲーム機としては、メダルを所定のフィールド内に投入させてゲームを行なわせるものがある。このようなゲーム機においては、メダルを用いて単純なゲームを進行させるだけではなく、メダルゲームの進行状況に応じて、たとえばボールを利用したゲームを行なわせることにより、ゲームを複雑化し、その趣向性を高めるようにしたものがある(たとえば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
従来のボールを利用したゲーム機の具体例としては、皿状の部材上にボールを投入させることにより、このボールを皿状の部材上において転動させ、このボールが皿状の部材に設けられている複数の抽選用孔のいずれに嵌入するかによって、入賞か否か、あるいは入賞した場合の入賞の種別を決定するようにしたものがある。従来のボールを利用したゲーム機の多くは、これと同様な基本構成となっている。
【0004】
しかしながら、従来のボールを利用したゲームは、皿状の部材内に投入されたボールが複数の抽選用孔のいずれに嵌入するかの点に興味をもたせるだけであり、そのプロセスはいたって単純である。したがって、このゲームだけを取り上げてみると、さほど面白いものではない。このようなことから、ボールを利用したゲームにおいては、未だ、その面白さを高め、遊戯者の満足度を高め得る余地がある。また、従来のボールを利用した抽選ゲームでは、入賞か否かが非常に短時間で決定されてしまうため、次回の抽選ゲームまでに相当程度の時間を要すると認められる場合には、この抽選ゲームが終了した時点で、遊戯者がこの抽選ゲームを含むゲーム全体を止めてしまう場合が多い。したがって、ゲーム機の稼働率を高める点においても改善の余地がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−210221号公報
【特許文献2】特開2002−210223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、ボールなどの転動体を利用したゲームを従来よりも面白くすることができるとともに、製造コストが大幅に上昇するといった不具合も抑制することが可能なゲーム機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供されるゲーム機は、転動体を転動させるためのフィールドを形成し、かつこのフィールド上において転動する転動体を嵌入させるための孔部が形成されている転動用部材と、上記フィールドに転動体を投入するための転動体投入手段と、を備えている、ゲーム機であって、上記転動用部材の下方に位置し、かつ転動体通過用の貫通孔が設けられた補助部材をさらに備えているとともに、上記転動用部材と上記補助部材とは、上記孔部と上記貫通孔とが重なる第1の状態と重ならない第2の状態とが生じるように相対回転可能であり、上記転動用部材の上記孔部に嵌入した転動体は、上記第2の状態では上記補助部材によって支持されることにより上記孔部に嵌入保持される一方、上記第1の状態では上記貫通孔の下方に落下する構成とされていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、転動用部材に投入された転動体は、転動用部材上を転動してから転動用部材の孔部に嵌入するが、その時点において上記孔部が、たとえば補助部材の貫通孔の直上に位置する第1の状態にあれば、上記転動体は直ちにこの貫通孔の下方に落下する。これに対し、上記とは異なり、上記孔部が補助部材の貫通孔の直上には位置しない第2の状態にあると、上記転動体は補助部材により支持されることによって上記孔部に嵌入保持されたままとなり、その後第1の状態になった時点で貫通孔の下方に落下することとなる。この落下がなされたこと自体を入賞としてもよいし、この落下した転動体を利用して別に設けたゲームフィールドで抽選を行なわせてもよい。上記した転動体の動作から理解されるように、本発明によれば、転動体が嵌入した孔部が補助部材の貫通孔との関係において、どのような位置にあるかによって、転動体が貫通孔の下方に落下するまでの時間の長さに変化をもたせることが可能となり、これが従来のゲーム機では得られなかった面白さとなり、ゲームの趣向性が高いものとなる。また、転動体が転動用部材上に投入されている限りは、その後抽選などが行なわれる可能性があるために、遊戯者に比較的長い間興味を抱かせて、ゲームが短時間で終了されることを抑制し、ゲーム機の稼働率を高めることが可能となる効果も得られる。さらに、本発明においては、転動用部材の下方に補助部材を追加して設けて、これら補助部材と転動用部材とを相対回転可能にした基本的構成であり、とくに高価な機器類を用いる必要もなく、製造コストが従来と比較して大幅に上昇するといった不具合も回避することができる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記転動用部材の上記孔部は、複数設けられているとともに、上記補助部材の上記貫通孔は、上記複数の孔部よりも少数であり、上記複数の孔部には、複数の転動体を嵌入保持させることが可能な構成とされている。このような構成によれば、複数の転動体を1つずつ順番に投入し、あるいは一斉に投入するといったことが可能となり、転動体を1つだけ投入する場合よりもさらにゲームの面白さが増す。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の孔部のそれぞれは、転動体が所定数だけ嵌入保持された満杯状態になったときにはそれ以上の数の転動体の嵌入がなされないように形成されており、非満杯状態の孔部に転動体が嵌入する構成とされている。このような構成によれば、たとえば貫通孔から遠く離れている1つの孔部に転動体が嵌入してその孔部が満杯になると、その後はこの孔部とは異なる孔部に転動体が嵌入することとなり、貫通孔に近い孔部に転動体が嵌入する確率が高くなる。また、これとは反対の現象も発生し得る。このようなことから、ゲームがより面白いものとなる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記補助部材の下方には、抽選用の複数の穴を備えた抽選盤が配されており、前記貫通孔から落下したボールは、上記抽選盤上に投入されるように構成されている。このような構成によれば、上記貫通孔から落下したボールを利用して抽選を行なうことができ、その抽選の仕方が面白いものとなるが、先に述べたように、転動用部材のフィールド上に転動体を投入してから貫通孔の下方に落下するまでの時間は一定ではなく、この点にゲーム性があるために、上記抽選が短時間のうちに頻繁に行なわれたり、あるいはそれとは反対に、抽選が長時間行なわれなかったりする現象が生じ、これがゲームの面白さをより増大させることとなる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記転動用部材および上記補助部材は、上下に並ぶようにして複数組設けられており、上記転動体投入手段は、上段の転動用部材上に転動体を投入するように設けられ、かつ上段の補助部材の貫通孔から落下した転動体は、下段の転動用部材上に投入されるように構成されている。このような構成によれば、転動用部材および補助部材を利用したゲームが複数段階にわたって実行されるために、やはりゲームの面白みが増す。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記転動体とは別の媒体を用いたゲームが行なわれる追加のゲームフィールドを備えており、この追加のゲームフィールドで行なわれるゲームにおいて所定の結果が生じる都度、上記転動体投入手段が上記転動用部材のフィールドに転動体を投入するように構成されている。このような構成によれば、転動用部材および補助部材を利用したゲームが、追加のゲームフィールドで行なわれる他のゲームと関連付けされて開始されることとなるために、それら複数種類のゲームの趣向性がより高められる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記追加のゲームフィールドで行なわれるゲームにおいて上記結果と同一または異なる所定の結果が生じる都度、上記転動用部材と上記補助部材とが所定角度だけ相対回転するように構成されている。このような構成によれば、追加のゲームフィールドで行なわれる他のゲームにおいて所定の結果がでると、転動用部材と補助部材との相対回転がなされるために、たとえば上記ゲームの結果に応じて転動用部材の孔部に嵌入している転動体を貫通孔内に早期に落下させたり、あるいは落下させることができなかったりする現象が生じ、やはりゲームの面白さが増す。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記追加のゲームフィールドで行なわれるゲームは、メダルゲームである。このような構成によれば、転動体を用いたゲームと上記メダルゲームとを組み合わせたゲームが楽しめることとなり、ゲーム全体が面白いものとなる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1〜図4は、本発明が適用されたゲーム機の一実施形態を示している。図1によく表われているように、本実施形態のゲーム機Aは、下部筐体10上に筒状のショーケース11が載設され、かつこのショーケース11上に上部カバー12が設けられた構成を有しており、ショーケース11によって囲まれた空間部には、後述するメダルゲームフィールドMFやボールゲームフィールドBFが設けられている。下部筐体10の外周面部には、複数の操作パネル部13が等間隔で設けられており、それらの操作パネル部13と同数の複数人(たとえば6人)が同時にゲームを行なうことができるようになっている。詳細な図示説明は省略するが、各操作パネル部13には、メダルを溜めておくためのメダル貯留部、メダル投入口、このメダル投入口に投入されたメダルを後述するメダルゲーム盤2内に向けて発射させるためのメダル発射用スイッチなどが設けられている。操作パネル部13の下方には、所定の入賞があったときに遊戯者に対してメダルを払い出すメダル払い出し口13Aも設けられている。
【0020】
図2によく表われているように、メダルゲームフィールドMFには、メダルゲーム盤2とプッシャゲーム機構3とが具備されている。メダルゲーム盤2は、略鉛直状に起立しており、透明な前面カバー20Aと、その背後に位置する起立壁20Bとの間にメダルmを通過させるための空間部21が形成された構造を有している。この空間部21の上部には、メダル進入口21aが設けられており、図1に示した操作パネル13の上記発射用スイッチが操作されると、メダル発射装置(図示略)が作動してスイッチ操作に対応した枚数のメダルmが供給され、このメダル進入口21aから空間部21に投入されるようになっている。空間部21には、メダル進入口21aの直下において常時揺動していることにより、空間部21内に投入されたメダルmを空間部21内の左右方向などに大きく振り分け移動させるための揺動部材(図示略)や、この揺動部材によって振り分けられたメダルmの落下移動を不規則に行なわせるための複数本の釘や複数のガイドなどが設けられている。また、複数の入賞口22も設けられており、これらの入賞口22にメダルmが入ると、後述する電子ゲームが行なわれる。
【0021】
メダルゲーム盤2には、液晶ディスプレイなどを用いた電子ゲーム実行用の画像表示装置23が組み込まれている。また、このゲーム機Aにおいては、画像表示装置23を駆動制御する制御部Cも具備している(図3を参照)。制御部Cは、CPUやこれに付属する各種のメモリなどを備えており、メダルゲーム盤2の入賞口22にメダルmが入り、これが入賞口センサSaによって検出されると、一定のプログラムにしたがって画像表示装置23に所定の画像を表示させながら電子ゲームを実行し、「外れ」あるいは「当たり」の結果をだすように構成されている。制御部Cは、「外れ」の場合には、特別な処理は行なわないものの、「当たり」の場合には、たとえばメダル払出し用モータM1を駆動させることにより、プッシャゲーム機構3の側方に設けられているメダル払い出し器24からプッシャゲーム機構3上に所定枚数のメダルmを払い出す制御、あるいはメダルゲーム盤2の上部から空間部21内に所定枚数のメダルmを投入するような態様の払い出し制御を行なう。さらに、制御部Cは、所定の「当たり」になると、上記した制御に代え、または加えて、後述するように、ボールゲームフィールドBFにおいてボール投入動作を行なわせるための制御を行なうように構成されている。
【0022】
プッシャゲーム機構3は、固定プレート30上に可動プレート31が重ねられ、かつこの可動プレート31がプッシャ用モータM2の駆動により一定のストロークで往復動を行なうように構成されたものである。可動プレート31が前進したときに、固定プレート30上に載っている複数枚のメダルmどうしが固定プレート30の前方に向けてうまく押し合うと、この固定プレート30の先端縁30aからその前方下方にメダルmが落下するようになっている。可動プレート31の往復動は、常時繰り返して実行されるように構成されているが、これに代えて、たとえばメダルゲーム盤2において実行されるゲーム結果に対応させて可動プレート31を間欠的に動作させるようにしてもかまわない。固定プレート30から落下したメダルmは、遊戯者に払い出してもよいし、下部筐体10内の所定箇所に回収してもよく、いずれでもよい。固定プレート30の先端縁30aの前方には、1または複数のチャッカ32が設けられている。これらのチャッカ32にメダルmが入ると、これがチャッカセンサSbにより検出される。すると、制御部Cは、後述するように、ボールゲームフィールドBFにおいてボール転動用円板5を一定角度だけ回転させる制御を行なうように構成されている。なお、チャッカ32については、たとえば図2の矢印Nc方向に常時または間欠的に往復動を行なうように設けておき、メダルmが固定プレート30から落ちたときにチャッカ32が丁度その位置に移動していれば、チャッカ32へのメダルmの進入がなされる構成とすることもできる。
【0023】
ボールゲームフィールドBFには、ボール投入装置4とゲーム用タワーTとが具備されている。ゲーム用タワーTは、2つのボール転動用円板5(5A,5B)が上下に設けられ、かつそれらの下方に抽選盤6が設けられた構成を有している。2つのボール転動用円板5は、本発明でいう転動用部材の一例に相当するものであり、これらの下方には、補助部材7(7A,7B)が設けられている。
【0024】
図4によく表われているように、ボール転動用円板5は、外周縁に上向きに起立した起立壁50を有する平面視円形の皿状であり、このボール転動用円板5の上面部分が、ボール転動用のフィールドfであり、その中央寄りの部分には、たとえば4つの孔部51が等間隔に設けられている。これらの孔部51は、ボールBを嵌入させるための部分であり、ボールBよりもやや大きめの直径を有し、かつボール転動用円板5の上下厚み方向に貫通している。これに対し、補助部材7は、貫通孔70を1つのみ有する円板状に形成されている。貫通孔70は、ボールBが通過可能なサイズであり、補助部材7にはこの貫通孔70をボールBが通過したときにそのガイドを行なうためのガイド体71が取り付けられている。
【0025】
補助部材7は、図5の符号n1,n2で示すように、ボール転動用円板5の孔部51にボールB1,B2が嵌入すると、このボールB1,B2の下部を支持し、それらの落下を防止するように設けられている。その際、ボールB1,B2の上部がボール転動用円板5の上方に一部突出した状態で孔部51内に嵌入したままとなるように構成されている。本実施形態においては、補助部材7がボール転動用円板5と略同一の直径に形成されているが、この補助部材7は、孔部51に嵌入したボールBを支持し得るサイズであればよく、ボール転動用円板5よりも小径に形成することができる。
【0026】
ボール転動用円板5は、回転可能であるのに対し、補助部材7は、固定されている。より具体的には、図5に示すように、ボール転動用円板5A,5Bは、中実または中空パイプ状の軸52A,52Bに支持されており、これらの軸52A,52Bの下端部には、図3に示したボール転動用円板の駆動用モータM3から回転力を受ける歯車あるいはスプロケットなど(図示略)が設けられている。これにより、ボール転動用円板5A,5Bは、ともに矢印Na方向に同期回転するように構成されている。ただし、このボール転動用円板5A,5Bの回転は、制御部Cによって制御されており、図2に示したプッシャゲーム機構3のチャッカ32にメダルmが入ると、ボール転動用円板5A,5Bはたとえば15度の角度だけ回転するようになっている。これに対し、補助部材7は、中空パイプ状の軸53A,53Bに支持されているが、これらの軸53A,53Bは、ベース部材19やこれに取り付けられた適当な部材に固定支持された非回転軸である。
【0027】
抽選盤6は、ボール転動用円板5と同様な形状を有する皿状の円板60を有しており、この円板60には、ボールBが嵌入可能な複数の抽選用孔61(61a,61b)が形成されている。各抽選用孔61の下方には、ボールBを回収するための通路62が形成されているとともに、抽選用孔61を通過したボールBを検出する抽選用センサScが設けられている。制御部Cは、抽選用孔61aにボールBが入ったときには、これを当たりとして処理し、たとえば遊戯者に対するメダルmの払い出し動作を行なう。もちろん、これに代えて、たとえばボールBを別途設けられている別の抽選装置に移動させて再度の抽選動作を行なうようにしてもよく、当たりに対する具体的な対応処理の内容は限定されない。一方、抽選用孔61bにボールBが入ったときには、制御部Cは、これを「はずれ」として処理し、なんら特別な処理を行なわない。この場合、ボールBは、ボール投入装置4に再供給されるように所定の箇所に回収される。
【0028】
抽選盤6は、中空パイプ状の軸63を有しているとともに、この軸63には、図3の抽選盤用モータM4からの駆動力が付与されるように構成されている。このことにより、抽選盤6は、ベース部材19上において、鉛直軸周りの矢印Nb方向に常時連続回転する。本実施形態においては、回転方向Nbが、ボール転動用円板5の回転方向Naとは反対方向となっているが、これに限定されるものではなく、同一方向であってもよい。抽選盤6を回転させずに、静止させた場合には、抽選盤6に僅かな傾きがあるだけで、この傾きに起因してボールBが抽選用孔61の同一箇所に入り易くなる傾向があるが、抽選盤6を回転させると、そのような不具合を解消することができる。
【0029】
ボール投入装置4は、鉛直状に起立した筒状体40の内部に、複数のボールBを上昇させるためのコンベア(リフタ)41が設けられた構成を有している。コンベア41は、上下のプーリ41a,41bに掛け廻されたベルト41cまたはその他の線状部材にボール支持用の複数のアタッチメント41dが一定ピッチで取り付けられた構成を有しており、筒状体40の下部のボール供給口42に供給されるボールBをアタッチメント41dにより掬い上げて、筒状体40の上部の投入口43の高さまで上昇させることができるようになっている。ボールBが投入口43の高さまで上昇すると、このボールBは、ガイド44上を転動してボール転動用円板5A上に投入されるようになっている。コンベア41は、図3に示すボール投入用モータM5により駆動されており、たとえば画像表示装置23を利用して実行される電子ゲームにおいて、所定の「当たり」となると、ボールBを1つだけボール転動用円板5A上に投入させる動作を行なうように、制御部Cによって制御されている。
【0030】
次に、上記したゲーム機Aの作用について説明する。
【0031】
このゲーム機Aでは、メダルmを用いたメダルゲームが実行され、そのゲームの進行過程において、ボールゲームフィールドBFでのボールBを用いたゲームが並行して行なわれるようになっている。メダルゲームは、操作パネル部13のスイッチ操作により、メダルゲーム盤2の空間部21内にメダルmが発射されることにより開始され、既述したとおり、このメダルmが入賞口22に入ると、制御部Cの制御により画像表示装置23を利用した電子ゲームが実行される。この電子ゲームの結果、所定の「当たり」になると、ボール投入装置4のコンベア41が動作し、このボール投入装置4からボール転動用円板5A上にボールBが投入される。メダルゲーム盤2へのメダル発射が継続して行なわれていれば、その後も上記電子ゲームが繰り返し実行されて所定の「当たり」が複数回にわたって得られる場合があり、この場合にはボール転動用円板5A上へのボール投入も繰り返しなされることとなる。
【0032】
ボール転動用円板5A上にボールBが投入されると、このボールBはボール転動用円板5A上を周回するように転動してから、4つの孔部51のいずれかに嵌入する。この場合、ボールBが嵌入した孔部51が貫通孔70の直上に位置していない場合には、ボールBが補助部材7によって支持され、その孔部51に嵌入されたままとなる。一方、ボール転動用円板5Aは、プッシャゲーム機構3のチャッカ32にメダルmが入る都度、15度ずつ回転する。ボール転動用円板5Aがこのように回転しても、ボールBは孔部51に嵌入保持されたままである。したがって、上記回転により、ボールBが嵌入している孔部51が貫通孔70の直上に到達すると、その時点でボールBは貫通孔70の下方に落下し、次段のボール転動用円板5B上に投入されることとなる。このようなことから、基本的には、チャッカ32にメダルmが入る頻度が高く、ボール転動用円板5Aの回転量が大きいほど、ボールBは早期にボール転動用円板5B上に移行する。また、孔部51にボールBが嵌入したときに、その孔部51が貫通孔70に近いほど、やはりボールBはボール転動用円板5B上に早期に移行することとなる。ボールBが貫通孔70から遠く離れた孔部51に嵌入して保持されている状態において、ボールBがボール転動用円板5A上に新たに投入された場合には、もはや上記の孔部51にボールBが嵌入することはなく、上記の孔部51よりも貫通孔70に近い孔部51に嵌入することとなり、このボールBは比較的早期にボール転動用円板5B上に投入されることとなる。
【0033】
一方、上記とは異なり、ボール転動用円板5Aの回転角度如何では、4つの孔部51のいずれかが貫通孔70の直上に位置している場合があり、この場合において、貫通孔70の直上に位置する孔部51にボールBが嵌入したときには、直ちにこのボールBは貫通孔70を通過してボール転動用円板5B上に投入されることとなる。また、そのような場合において、貫通孔70の直上に位置しない他の3つの孔部51の全てにボールBが嵌入した状態にあれば、このボール転動用円板5A上にその後に投入されたボールBの全てが、貫通孔70の直上の孔部51に嵌入することとなる。したがって、このような場合には、ボール転動用円板5Aからボール転動用円板5Bに対して短時間で多量のボールBが次々と投入される可能性がある。
【0034】
ボール転動用円板5Aからボール転動用円板5Bに投入されたボールBは、ボール転動用円板5AにボールBが投入された場合と同様な作用で補助部材7Bの貫通孔70を通過し、その下方の抽選盤6に投入される。そして、この抽選盤6においては、いずれの抽選用孔61にボールBが入るかによって抽選がなされ、その結果メダルmの払い出しやその他の処理がなされる。
【0035】
上記したボールBを利用したゲームにおいては、抽選盤6に落下したボールBがいずれの抽選用孔61に入るかが、遊戯者にとっての基本的な興味対象となるが、遊戯者は、そのような抽選ができる限り多く繰り返して実行されることを願望することとなる。その一方、既述したとおり、上記したゲームにおいては、ボールBがボール転動用円板5Aに投入されてから抽選盤6上に落下投入されるまでの時間は一定ではなく、その時間の長短は、種々の要素に左右される。したがって、これがゲームとして甚だ面白いものとなる。
【0036】
また、ゲーム用タワーTは、ボール転動用円板5を回転可能とし、かつその下方に補助部材7を非回転状態に設けたものを、抽選盤6の上方に2段に設けた構造を有しており、その外観形態は特異であって、装飾性に優れたものにできる。一方、その基本的な構造は比較的簡素であり、特殊な機器などを用いる必要がなく、その製造コストを廉価にすることが可能である。
【0037】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るゲーム機の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0038】
たとえば、図6に示すように、ボール転動用円板5および補助部材7をそれぞれ1段だけ設けた構成とし、それらを上下複数段に設けない構成としてもかまわない。また、貫通孔70を通過したボールBは、必ずしも抽選に用いられる必要もなく、たとえばボール転動用円板5上に投入されたボールBが貫通孔70を通過すると、その時点で「当たり」あるいは「入賞」とするようにしてもかまわない。
【0039】
本発明においては、ボール転動用円板5と補助部材7とは相対回転可能であればよく、上記した実施形態とは反対に、たとえばボール転動用円板5を固定とし、補助部材7を回転させる構成とすることもできる。また、ボール転動用円板5または補助部材7の回転は、間欠回転に代えて、連続回転とすることもできる。さらに、ボール転動用円板5と補助部材7との双方が回転し、それらの回転速度に差があることにより、これらが相対回転する構成とすることもできる。
【0040】
本発明でいう転動体としては、ボール以外の多面体、あるいは卵状などの非球状の物体を用いることもできる。その材質やサイズなども問わない。本発明でいう転動用部材および補助部材は、円板状に限らず、他の形状に形成することもできる。補助部材の貫通孔は、1つに限らず、複数にすることもできる。同様に、転動用部材に設けられる孔部の具体的な数もとくに限定されるものではない。また、孔部は、1つのボールのみが入るサイズではなく、複数のボールが嵌入し得るサイズに形成することも可能であり、さらには複数の孔部を設ける場合に、それら複数の孔部のサイズや形状を不揃いにすることもできる。転動体投入手段も、鉛直状のコンベア(リフタ)などを用いたものに限るものではない。
【0041】
本発明に係るゲーム機は、転動体を利用したゲームに加えて、他のメダルゲームなども行なうゲーム機として構成するのに適するが、やはりこれに限定されず、たとえば転動体を用いて抽選などを行なう1種類のゲームのみを実行可能なゲーム機として構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明が適用されたゲーム機の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示すゲーム機の要部概略斜視図である。
【図3】図1に示すゲーム機に具備されている制御部およびこれに関連する機器の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示すゲーム機の要部概略斜視図である。
【図5】図4の要部断面図である。
【図6】本発明が適用されたゲーム機の他の実施形態を示す要部概略斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
A ゲーム機
B ボール(転動体)
f フィールド
m メダル
MF メダルゲームフィールド
BF ボールゲームフィールド
T ゲーム用タワー
4 ボール投入装置
5 ボール転動用円板(転動用部材)
6 抽選盤
7 補助部材
51 孔部
70 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動体を転動させるためのフィールドを形成し、かつこのフィールド上において転動する転動体を嵌入させるための孔部が形成されている転動用部材と、
上記フィールドに転動体を投入するための転動体投入手段と、
を備えている、ゲーム機であって、
上記転動用部材の下方に位置し、かつ転動体通過用の貫通孔が設けられた補助部材をさらに備えているとともに、
上記転動用部材と上記補助部材とは、上記孔部と上記貫通孔とが重なる第1の状態と重ならない第2の状態とが生じるように相対回転可能であり、
上記転動用部材の上記孔部に嵌入した転動体は、上記第2の状態では上記補助部材によって支持されることにより上記孔部に嵌入保持される一方、上記第1の状態では上記貫通孔の下方に落下する構成とされていることを特徴とする、ゲーム機。
【請求項2】
上記転動用部材の上記孔部は、複数設けられているとともに、上記補助部材の上記貫通孔は、上記複数の孔部よりも少数であり、上記複数の孔部には、複数の転動体を嵌入保持させることが可能な構成とされている、請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
上記複数の孔部のそれぞれは、転動体が所定数だけ嵌入保持された満杯状態になったときにはそれ以上の数の転動体の嵌入がなされないように形成されており、非満杯状態の孔部に転動体が嵌入する構成とされている、請求項2に記載のゲーム機。
【請求項4】
上記補助部材の下方には、抽選用の複数の穴を備えた抽選盤が配されており、前記貫通孔から落下したボールは、上記抽選盤上に投入されるように構成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載のゲーム機。
【請求項5】
上記転動用部材および上記補助部材は、上下に並ぶようにして複数組設けられており、
上記転動体投入手段は、上段の転動用部材上に転動体を投入するように設けられ、かつ上段の補助部材の貫通孔から落下した転動体は、下段の転動用部材上に投入されるように構成されている、請求項1ないし4のいずれかに記載のゲーム機。
【請求項6】
上記転動体とは別の媒体を用いたゲームが行なわれる追加のゲームフィールドを備えており、
この追加のゲームフィールドで行なわれるゲームにおいて所定の結果が生じる都度、上記転動体投入手段が上記転動用部材のフィールドに転動体を投入するように構成されている、請求項1ないし5のいずれかに記載のゲーム機。
【請求項7】
上記追加のゲームフィールドで行なわれるゲームにおいて上記結果と同一または異なる所定の結果が生じる都度、上記転動用部材と上記補助部材とが所定角度だけ相対回転するように構成されている、請求項6に記載のゲーム機。
【請求項8】
上記追加のゲームフィールドで行なわれるゲームは、メダルゲームである、請求項6または7に記載のゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−439(P2006−439A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180640(P2004−180640)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000129149)株式会社カプコン (192)
【Fターム(参考)】