説明

コア−シェル粒子を含有する反応樹脂及びその製造方法及びその使用

(A)熱硬化性樹脂へと加工可能な15〜100℃の範囲内の温度で液状の、200〜500000の平均分子量及び硬化プロセスのために十分な数の適した反応基を有する反応樹脂又は反応樹脂混合物50〜99.5質量%、及び
(B)反応樹脂又は反応樹脂混合物中で直径0.001〜0.4μmを有するポリオルガノシロキサンゴム粒子として微細分割された形で均質に含有されている1種以上の三次元的に架橋した再分散したポリオルガノシロキサンゴム0.5〜50質量%を含有し、
その際、ポリオルガノシロキサンゴム粒子が、有機ケイ素ポリマーからなるコア(a)及び有機ポリマーシェル(d)及び場合により2個の内側シェル(b)及び(c)から構成されていて、その際、この内側シェル(c)が有機ポリマーであり、かつ、内側シェル(b)が有機ケイ素ポリマーであり、これが次のものからなり、
(a)一般式(R3SiO1/2w・(R2SiO2/2x(RSiO3/2y・(SiO4/2z[式中、w=0〜20Mol%、x=80〜99.5Mol%、y=0.5〜10Mol%、z=0〜10Mol%を有する]のコアポリマー、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して20〜95質量%、
(b)式(R3SiO1/2w(R2SiO2/2x・(RSiO3/2y・(SiO4/2z[式中、w=0〜20Mol%、x=0〜99.5Mol%、y=0.5〜100Mol%、z=0〜50Mol%を有する]の単位からなるポリジアルキルシロキサンシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して0〜40質量%、
(c)モノオレフィン性又はポリオレフィン性不飽和モノマーの有機ポリマーからなるシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して0〜40質量%、及び
(d)モノオレフィン性不飽和モノマーの有機ポリマーからなるシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して5〜95質量%、を有し
その際、Rは、同じか又は異なる、1〜6個のC原子を有する1価のアルキル基又はアルケニル基、アリール基又は置換された炭化水素基を意味する、
組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア−シェル粒子を含有する反応樹脂並びにその製造方法及び改善された機械的特性、例えば破断強さ及び衝撃強さを有する熱硬化性プラスチックの製造のための使用に関する。
【0002】
大抵は極めて高い架橋密度により、架橋した反応樹脂は幾つかの有用な特性を有し、この結果、この樹脂は、熱可塑性樹脂の他に最も使用される架橋したポリマーに属する。この特性には、その硬度、強度、化学薬品抵抗性及び耐熱性が挙げられる。これにより、この反応樹脂は、様々な領域での適用のために、例えば繊維強化したプラスチックの製造のために、電気技術における絶縁物質のために、建築接着剤、積層物質、焼き付け塗料及びその他の製造のために適格となる。
【0003】
この他に、この熱硬化性樹脂は、重大な欠点を有し、これは様々な場合において適用の妨げとなる。高度に架橋した状態の結果、この樹脂の衝撃強さは極めて少ない。これは特に、低温の領域で、即ち、0℃未満の温度で生じ、この結果、熱硬化性樹脂を高い機械的負荷、例えば衝撃荷重に低い温度で曝す可能性がある適用のためには、通常は、熱可塑性ポリマーが有利とされ、その際、これに関連した欠点、例えばより少ない熱変形抵抗性及び化学薬品抵抗性は我慢されなくてはならない。
【0004】
この挙動の改善のためには、熱硬化性樹脂の衝撃強さ又は柔軟性を改善するための複数の方法が開発されている。
【0005】
この大抵の方法は、弾性成分を衝撃強さ改善剤として反応樹脂中に導入することを目指す。
【0006】
公知であるのは、粉末形状の、軟質充填剤、例えばゴム粉末又は柔軟性プラスチック粉末を反応樹脂に添加することである。この種の粉末形状添加物の粒径は、約0.04〜1mmの範囲内にあり、これは明らかに、所望されるように反応樹脂を改善するために十分でなく、かつ、これは更に、この種の改質された熱硬化性樹脂の他の重要な適用技術的特性のための欠点に関連している。
【0007】
可塑剤の添加により、架橋した反応樹脂の衝撃強さを改善することが試みられる。これにより、衝撃強さの改善は達成されることができるが、しかしながら、残念なことに、熱硬化性樹脂の他の重要な特性の劣悪化が条件付けられる。さらに、可塑剤の使用では、反応樹脂の架橋後にブリードの潜在的な危険性が生じ、これは、材料の表面特性、例えば、付着、全面の塗り付け性、光沢その他のためのこれに関連した不利な結果を有する。
【0008】
液状又は固体の、しかしながら架橋していないブタジエン−アクリルニトリル−ゴム(ニトリルゴム、NBR)又はシロキサンポリエステルコポリマーを、反応樹脂中で強さ改善添加剤として使用することも公知である。このエラストマーは、反応樹脂と架橋プロセスの際に又は前もって実施された(vorgelagert)反応においても反応することができる官能基を含有する。これまでに挙げられたものに対するこの改質剤の特殊性は、これらが、確かに架橋していない反応樹脂と混合可能であるが、しかしながらその一方でこの反応樹脂の架橋は微細な液滴の形でゴム相が沈殿する相分離を生じることにある。ニトリルゴム粒子の表面に存在する官能基と反応樹脂との反応により、このゴム相と熱硬化性樹脂マトリックスとの固い連結が生じる。
【0009】
残念ながら、この種のニトリルゴムで改質した熱硬化性樹脂も本質的な欠点を有する。従って、例えば、ニトリルゴムで改質した熱硬化性樹脂の熱的な抵抗性は劣悪化し、そしてこれにより高温でのその使用性も問題となる。この同じことは、様々な電気的特性、例えば絶縁耐力に当てはまる。ニトリルゴムと大抵の反応樹脂、特にエポキシド樹脂との比較的良好な相容性のために、架橋の際にこのゴムの所定の割合は相分離に関与せず、そして樹脂マトリックス中に組み込まれ、これは、完成した熱硬化性樹脂の特性イメージを劣悪化する。更なる一欠点は、ニトリルゴム−改質剤の極めて高い粘度であり、これは加工の問題を生じ、そして、改質された反応樹脂の流動特性を損なう。
【0010】
欧州特許(EP-B1)第0266513号明細書には、改質された反応樹脂、それらの製造方法及びそれらの使用が記載されている。反応樹脂に加えて、2〜50質量%の量で0.01〜50μmの粒度を有する三次元架橋されたポリオルガノシロキサンゴムを最大2〜50質量%含有する組成物に限定されており、その場合にそこに記載された組成物の特性は耐衝撃性及び衝撃強さに関して不十分である。更に、欧州特許(EP-B1)第0266513号明細書に記載された方法は欠点を有し、というのは全ての反応樹脂について異なる方法様式及び処方が開発されなくてはならず、そしてこれにより異なる特性プロファイルも得られるからである。更に、記載された処方では、反応しない成分、例えば遊離シリコーンオイルの存在は排除されておらず、これは付着特性における劣悪化を生じることができる。
【0011】
WO2006037559は、改質された反応樹脂並びにその製造方法を記載する。ここでは、予備成形された粒子の有機溶媒中の溶液が反応樹脂と混合され、この溶媒の引き続く除去により発明性のある反応樹脂が獲得されることができる。この方法の欠点は、部分的に大量の溶媒であり、これは極めて手間をかけて初めて再度除去されることができ、そして完全に除去されない場合には反応樹脂の硬化の際に材料中の欠陥部分を生じることができる。更に欠点であるのは、抽出によっても常にシロキサン粒子の有機溶液中に存在する無機塩の使用であり、というのもこれは部分的に水を吸収し、そしてこの結果常に塩含有水滴が含有されているからであり、これにより塩含有汚染物質が反応樹脂へと持ち込まれ、これは反応樹脂の電気的適用のためには不所望である。
【0012】
反応樹脂−混合物の製造のために固形粉末が使用される場合には、これは完全には再分散せず、即ち、反応樹脂中に不均質に存在する。
【0013】
本発明の課題は、技術水準を改善し、かつ、硬化及び成形の後に耐衝撃性及び衝撃強さに関して改善された特性を有し、並びに、場合により少ない導電性の値のみを示す均質な反応樹脂を製造することである。
【0014】
本発明の主題は、以下のものを含有する組成物である:
(A)熱硬化性樹脂へと加工可能な15〜100℃の範囲内の温度で液状の、200〜500000の平均分子量及び硬化プロセスのために十分な数の適した反応基を有する反応樹脂又は反応樹脂混合物50〜99.5質量%、及び、
(B)反応樹脂又は反応樹脂混合物中に直径0.001〜0.4μmを有するポリオルガノシロキサンゴム粒子として微細分割された形で均質に含有されている1種以上の三次元的に架橋した再分散したポリオルガノシロキサンゴム0.5〜50質量%、
その際、ポリオルガノシロキサンゴム粒子が、有機ケイ素ポリマーからなるコア(a)及び有機ポリマーシェル(d)及び場合により2個の内側シェル(b)及び(c)から構成されていて、その際、この内側シェル(c)が有機ポリマーであり、かつ、内側シェル(b)が有機ケイ素ポリマーであり、これが次のものからなり、
(a)一般式(R3SiO1/2w(R2SiO2/2x・(RSiO3/2y・(SiO4/2z[式中、w=0〜20Mol%、x=80〜99.5Mol%、y=0.5〜10Mol%、z=0〜10Mol%を有する]のコアポリマー、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して20〜95質量%、
(b)式(R3SiO1/2w(R2SiO2/2x・(RSiO3/2y・(SiO4/2z[式中、w=0〜20Mol%、x=0〜99.5Mol%、y=0.5〜100Mol%、z=0〜50Mol%を有する]の単位からなるポリジアルキルシロキサンシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して0〜40質量%、
(c)モノオレフィン性又はポリオレフィン性不飽和モノマーの有機ポリマーからなるシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して0〜40質量%、及び
(d)モノオレフィン性不飽和モノマーの有機ポリマーからなるシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して5〜95質量%、を有し、
その際、Rは、同じか又は異なる、1〜6個のC原子を有する1価のアルキル基又はアルケニル基、アリール基又は置換された炭化水素基を意味する。
【0015】
好ましくは、基R′はアルキル基、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、イソプロピル−、n−ブチル−、s−ブチル−、アミル−、ヘキシル基;アルケニル基、例えばビニル−及びアリル基及びブテニル基;アリール基、例えばフェニル基;又は置換された炭化水素基である。このための例は、ハロゲン化された炭化水素基、例えばクロロメチル−、3−クロロプロピル−、3−ブロモプロピル−、3,3,3−トリフルオロプロピル−及び5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンチル基、並びにクロロフェニル−基;メルカプトアルキル基、例えば2−メルカプトエチル−及び3−メルカプトプロピル基;シアノアルキル基、例えば2−シアノエチル−及び3−シアノプロピル基;アミノアルキル基、例えば3−アミノプロピル基;アシルオキシアルキル基、例えば3−アクリルオキシプロピル−及び3−メタクリルオキシプロピル基;ヒドロキシアルキル基、例えばヒドロキシプロピル基である。
【0016】
基メチル、エチル、プロピル、フェニル、ビニル、3−メタクリルオキシプロピル及び1−メタクリルオキシメチル、1−アクリルオキシメチル及び3−メルカプトプロピルが特に好ましく、その場合にシロキサンポリマー中の基の30モル%未満がビニル−、3−メタクリルオキシプロピル又は3−メルカプトプロピル基である。
【0017】
有機ポリマー含分d)のためのモノマーとして、好ましくは、炭素原子1〜10個を有する脂肪族アルコールのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、マレインイミド、塩化ビニル、エチレン、ブタジエン、イソプレン及びクロロプレン又は二官能性基、例えばアリルメタクリラートが使用される。スチレン並びに炭素原子1〜4個を有する脂肪族アルコールのアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、グリシジルメタクリラート又はブチル(メタ)アクリラートが特に好ましい。有機ポリマー成分として、前記モノマーのホモポリマーもコポリマーも適している。
【0018】
微粒状のエラストマーのグラフトコポリマーは、透過型電子顕微鏡を用いて測定される、10〜400nm、好ましくは40〜300nmの平均粒度(直径)を有する。
【0019】
この粒度分布は有利には極めて均一であり、このグラフトコポリマーは有利には単峰性で存在し、すなわちこの粒子は、透過型電子顕微鏡を用いて測定して、粒度分布中に1つの極大を有しかつ最大0.2の多分散性係数σ2を有する。
【0020】
単峰性分布したポリオルガノシロキサンゴム粒子の混合物は同様に可能である。
【0021】
この際、ポリオルガノシロキサンゴム粒子はその表面で反応性基を有することができ、この基は場合により反応媒介剤として使用される助剤の存在下で、場合により、少量の助剤、特に架橋剤、触媒、分散剤及び/又は硬化剤と一緒に、改質された反応樹脂の更なる加工前又はこの際に、この反応樹脂と化学的に反応する。
【0022】
この改質された反応樹脂は有利には更に、ナトリウム、マンガン又はカルシウム−イオンの含量が、50ppm未満であり、並びに、この塩化物、スルファート−イオンの含有量が同様に50ppmを下回ることにより特徴付けられている。
【0023】
この溶媒残分の含有量は、有利には、0.3質量%未満、特に有利には0.1質量%未満である。
【0024】
この際有利には、コア中に存在するゴム相がシリコーンゴム又はシリコーンゴムと有機ゴム、例えばジエンゴム、フッ素ゴム、アクリラートゴムとの混合物であり、又は、その際、このコアは少なくとも40質量%がゴム相からなっていなくてはならない。特に有利には、この際、少なくとも60質量%がシリコーンゴムからなるコアである。
【0025】
特に好ましいコア−シェル粒子は、架橋されたシリコーンコア少なくとも20質量%からなるコア及びグラフトされた有機ポリマー最大60質量%からなるシェルを含有する。
【0026】
特に好ましい有機ポリマーは、ポリ(アルキル)(メタ)アクリラートをベースとするポリマー及びそれらとその他のモノマー構成要素とのコポリマーである。
【0027】
このシェルのガラス転移温度は、この際、有利には、DSCを用いて測定して、60〜150℃、特に有利には80〜140℃である。
【0028】
有利には、本発明により改質された反応樹脂は、1種以上の三次元的に架橋したポリオルガノシロキサンゴムを有利には1〜60質量%、更に有利には1〜15質量%、特に有利には2〜5質量%含有する。
【0029】
反応樹脂として、本発明によれば、硬化反応に十分な数の適した反応性基を備えている、全てのポリマー又はオリゴマーの有機化合物が適している。本発明により改質された反応樹脂の製造のための出発製品として、それぞれの反応樹脂の硬化の際に進行するそれぞれの架橋機構から独立して、熱硬化性プラスチックに加工されることができる一般的に全ての反応樹脂が適している。
【0030】
原則的に、出発製品として使用可能な反応樹脂は、付加、縮合又は重合による架橋の種類に相応して、3つのグループに分けられる。
【0031】
重付加により架橋される反応樹脂の第一のグループからは、好ましくは、1つ又はそれ以上のエポキシド樹脂、ウレタン樹脂及び/又は空気乾燥するアルキド樹脂が出発物質として選択される。エポキシド樹脂及びウレタン樹脂は、通例、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又は無水カルボン酸基を有している硬化剤の化学量論的量の添加により架橋され、その場合に硬化反応は、硬化剤の相応する基への樹脂のオキシラン基もしくはイソシアナート基の付加により行われる。エポキシド樹脂の場合に、オキシラン基自体の重付加によるいわゆる触媒硬化も可能である。空気乾燥するアルキド樹脂は、空気酸素での自動酸化により架橋する。付加硬化するシリコーン樹脂も知られており、好ましくは、更なる遊離シランが含まれていないそのようなシリコーン樹脂である。
【0032】
重縮合により架橋される反応樹脂の第二のグループの例は、アルデヒド、例えばホルムアルデヒドと、アミン基含有の脂肪族又は芳香族の化合物、例えば尿素又はメラミンと、又は芳香族化合物、例えばフェノール、レゾルシノール、クレゾール等との縮合生成物、さらにフラン樹脂、飽和ポリエステル樹脂及び縮合硬化するシリコーン樹脂である。硬化は、この場合に、たいてい温度を上昇させることにより、水、低分子量アルコール又はその他の低分子量化合物の脱離下に行われる。好ましくは、本発明により改質される反応樹脂のための出発物質として1つ又はそれ以上のフェノール−樹脂、レゾルシノール−樹脂及び/又はクレゾール−樹脂、しかもレゾール並びにノボラック、さらに尿素、ホルムアルデヒド−及びメラミン−ホルムアルデヒド−初期縮合物、フラン樹脂並びに飽和ポリエステル樹脂及び/又はシリコーン樹脂が選択される。
【0033】
重合により架橋される反応樹脂の第三のグループからは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はそのエステルの1つ又はそれ以上のホモポリマー又はコポリマー、さらに不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂及び/又はマレインイミド樹脂が、本発明により改質される反応樹脂のための出発樹脂として好ましい。これらの樹脂は、重合又は共重合により三次元架橋が生じる、重合することのできる二重結合を有する。開始剤として、フリーラジカルを形成する能力のある化合物、例えば過酸化物、ペルオキソ化合物又はアゾ基を有している化合物が利用される。高エネルギー放射線、例えば紫外線又は電子線による架橋反応の開始も可能である。
【0034】
前記の反応樹脂だけでなく、熱硬化性プラスチックの製造に適している他の全ての反応樹脂も、本発明により提案された方法で改質されることができ、かつ架橋及び硬化後に、かなり改善された破断強さ及び衝撃強さを有する熱硬化性プラスチックとなり、その場合にその他の本質的な、熱硬化性プラスチックに固有の性質、例えば強さ、熱成形安定性及び耐薬品性が、本質的には影響を受けずに得られたままである。この場合に、反応樹脂が室温で固体又は液体であるかは重要でない。反応樹脂の分子量も実地上重要でない。しばしば反応性樹脂用の硬化剤成分として使用される化合物、例えばフェノール樹脂又は無水物硬化剤は、反応性樹脂としても解されることができる。
【0035】
好ましくは、反応性樹脂として本発明による組成物中に次のものが含まれていてよい:エポキシド樹脂、例えばビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、ノボラック−エポキシド樹脂、ビフェニル単位を有しているエポキシド樹脂、脂肪族又は脂環式のエポキシド樹脂、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート。全てのエポキシド樹脂は、製造の際の縮合の程度に応じて、モノマー構造から多少は著しく相違していてよい。さらに、アクリラート樹脂が本発明による組成物のために使用されることができる。好ましいアクリラート樹脂の例は、トリエチレングリコールジメタクリラート、ウレタンジメタクリラート、グリシジルメタクリラートである。また、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、後者のシリコーン樹脂であり、好ましくはそのようなシリコーン樹脂であるが、但し別の遊離シランは含まれていない。
【0036】
更なる主題は、コア−シェル粒子を含有する反応樹脂を製造するにあたり、
(A)熱硬化性樹脂へと加工可能な15〜100℃の範囲内の温度で液状の、200〜500000の平均分子量及び硬化プロセスのために十分な数の適した反応基を有する反応樹脂又は反応樹脂混合物50〜99.5質量%、及び
(B)反応樹脂又は反応樹脂混合物中に直径0.001〜0.4μmを有するポリオルガノシロキサンゴム粒子として微細分割された形で均質に含有されている1種以上の三次元的に架橋した再分散したポリオルガノシロキサンゴム0.5〜50質量%を0〜180℃の温度で混合し、
その際、ポリオルガノシロキサンゴム粒子が、有機ケイ素ポリマーからなるコア(a)及び有機ポリマーシェル(d)及び場合により2個の内側シェル(b)及び(c)から構成されていて、その際、この内側シェル(c)が有機ポリマーであり、かつ、内側シェル(b)が有機ケイ素ポリマーであり、これが次のものからなり、
(a)一般式(R3SiO1/2w(R2SiO2/2x・(RSiO3/2y・(SiO4/2z[式中、w=0〜20Mol%、x=80〜99.5Mol%、y=0.5〜10Mol%、z=0〜10Mol%を有する]のコアポリマー、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して20〜95質量%、
(b)式(R3SiO1/2w(R2SiO2/2x・(RSiO3/2y・(SiO4/2z[式中、w=0〜20Mol%、x=0〜99.5Mol%、y=0.5〜100Mol%、z=0〜50Mol%を有する]の単位からなるポリジアルキルシロキサンシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して0〜40質量%、
(c)モノオレフィン性又はポリオレフィン性不飽和モノマーの有機ポリマーからなるシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して0〜40質量%、及び
(d)モノオレフィン性不飽和モノマーの有機ポリマーからなるシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して5〜95質量%、を有し
その際、Rは、同じか又は異なる、1〜6個のC原子を有する1価のアルキル基又はアルケニル基、アリール基又は置換された炭化水素基を意味し、(B)ポリオルガノシロキサンゴム粒子は反応樹脂中で均質に分割される、コア−シェル粒子を含有する反応樹脂の製造方法である。
【0037】
0℃〜180℃の温度、有利には10〜80℃の温度で成分が混合され、その際、ポリオルガノシロキサンゴム粒子は反応樹脂中で均質に分割される。このためには、特に、撹拌機、溶解機、ニーダー、ローラミル(Walzenstuhl)、高圧ホモジェナイザー、超音波ホモジェナイザー、特に"Ultra-Turrax"のタイプの分散装置が使用されることができる。この適用される温度は、分散相の間の反応樹脂の目立った架橋が起こることを生じてはならない。
【0038】
ここでは、場合により更なる溶媒が添加されることができ、有利にはこの際溶媒の使用は断念される。
【0039】
ここでは、場合により更なる充填剤が添加されることができる。
【0040】
有利には、この反応樹脂の割合は99質量%〜80質量%の間にある。
【0041】
反応樹脂及びポリオルガノシロキサンゴム粒子からなるこの本発明による混合物は、場合により、更なるシロキサン粒子を含有でき、これは例えばEP 744 432 A 又はEP 0 266 513 B1中に記載されているとおりである。
【0042】
本発明により改質された反応樹脂は、比較可能な公知の製品に対して一連の利点を有し、従って数々の領域で有利に使用されることができる。この利点には、まず最初に、熱硬化性プラスチックの破断強さ及び衝撃強さの改善、つまり、極めて低い温度で使用されるポリオルガノシロキサンに応じて−50℃までの、また同様に、極めて高い温度、即ち、このそれぞれの熱硬化性樹脂の軟化温度までの、熱硬化性プラスチックの破断強さ及び衝撃強さの改善が属する。更に重要であるのは、改質により、架橋した反応樹脂の硬度、強度及び軟化温度に対する不利な影響が与えられないことである。エラストマー成分により本発明により硬化される反応樹脂は、これにより熱硬化性樹脂の特徴的な特性を自体で損なうことなく、高い老化抵抗性、耐候性及び温度抵抗性を有する。反応樹脂の電気的特性、特に絶縁特性もまた、とりわけ高温で損なわれない。
【0043】
本発明による耐衝撃性に改質された反応樹脂の加工は、慣用の手法で行うことができる。本発明により改質された反応樹脂は、熱硬化性樹脂が通常使用される全ての使用領域のために適する。加えて、これは特に、純粋な熱硬化性樹脂がその不十分な破断強さ及び衝撃強さのためにこれまでに使用できなかった適用のために適する。本発明により改質される反応樹脂の適した使用は、特に、破断強さ及び衝撃強さを有する、場合により成形される熱硬化性プラスチック、繊維強化プラスチック、電気技術における絶縁物質及び積層物質の製造のための使用である。
【0044】
再分散性のための実施例
透過型電子顕微鏡を用いた粒径及び多分散性指数σ2の測定:
透過型電子顕微鏡及びこれに続く計算ユニットを用いて個々の試料のために、直径分布、表面積分布及び容積分布のための曲線が算出される。直径分布のための曲線からは、粒径のための平均値及びその標準偏差σが測定されることができる。表面積分布のための曲線からは、平均容積Vのための平均値が得られる。表面積分布のための曲線からは、粒子の平均表面積Aのための平均値が得られる。多分散性指数σ2は、以下の式により算出される:
σ2=σ/x3/2、その際、x3/2=V/A。
【0045】
P. Becher (Encyclopedia of Emulsion Technology 1巻, 71頁, Marcel Dekker New York 1983)によれば、上記した式により算出された多分散性指数σ2が0.5未満である場合に単峰性粒径分布が存在する。
【0046】
この粒径及び多分散性指数は、Phillips社の透過型電子顕微鏡 (Phillips CM 12)及びZeiss社の評価ユニット(Zeiss TGA 10)を用いて測定される。測定すべきラテックスを水で希釈し、かつ、1μlの接種シリンジを用いて標準−銅網に設けた。
【0047】
更に、本発明により提案される組成物により、引き続く自体公知の成形加工及び硬化の際に、改質されていないか又は同じようには改質されていない熱硬化性プラスチックに対して顕著に改善された材料の粘性又は破断強さ、特に衝撃強さを有し、その一方で残りの、熱硬化性樹脂にとって有利な特性、例えば温度抵抗性、強度及び化学薬品抵抗性が、損なわれていないか又はほとんど損なわれていない熱硬化性プラスチックを生じる、改質した反応樹脂が見出された。
【0048】
例1(本発明によらない):
グラフト基体の製造:
水3800gと、ドデシルベンゼンスルホン酸19g(Si化合物に対して1.9質量%)とを85℃に加熱した。オクタメチルシクロテトラシロキサン855g(2.9Mol、74Mol%)と、メチルトリメトキシシロキサン97g(0.7Mol、18Mol%)と、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン66g(0.3Mol、8Mol%)とからなる混合物を計量供給し、85℃で4時間後攪拌した。約400gの留出物を除去した後に、固体含有量21質量%及び111nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0049】
グラフト:
この分散液13050gを、15リットルの反応器中で窒素で不活性化しかつpH4に調節した。メチルメタクリラート90gを供給し、K228(モノマーに対して0.6質量%)5.2gとNaHSO3(モノマーに対して2.1質量%)18g(水中で37質量%)の添加により重合を開始させた。1時間の間に、さらにメチルメタクリラート780gを計量供給し、引き続き65℃に加熱し、3時間の間に完全に重合させた。グラフトコポリマー中でポリメチルメタクリラート24質量%を有し、かつ固体含有量25.7質量%、平均粒径127nm、かつ多分散性指数σ2=0.02を有するラテックスが生じた。
【0050】
例2(本発明による)
グラフト基体の製造:
水3000g、ドデシルベンゼンスルホン酸5g(Si化合物に対して0.5質量%)及び酢酸8gを90℃に加熱した。オクタメチルシクロテトラシロキサン855g(92Mol%)及びビニルトリメトキシシロキサン95g(5Mol%)からなる混合物を2時間のうちに計量供給し、3時間後撹拌した。
【0051】
シェルBのグラフト:
引き続き、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン63g(2Mol%)を計量供給し、1時間90℃で後撹拌した。23質量%の固形物含有量及び122nmの平均粒径を有する分散液を得た。
【0052】
シェルDのグラフト:
この分散液13050gを、25リットルの反応器中で窒素で不活性化しかつpH4に調節した。メチルメタクリラート90gを供給し、K228(モノマーに対して0.6質量%)5.2gとNaHSO3(モノマーに対して2.1質量%)18g(水中で37質量%)の添加により重合を開始させた。
【0053】
1時間の間に、さらにメチルメタクリラート780gを計量供給し、引き続き65℃に加熱し、3時間の間に完全に重合させた。グラフトコポリマー中でポリメチルメタクリラート23質量%を有し、かつ固体含有量27質量%、平均粒径137nm、かつ多分散性指数σ2=0.03を有するラテックスが生じた。
【0054】
例3(本発明による):
グラフト基体の製造:
水3000g、ドデシルベンゼンスルホン酸5g(Si化合物に対して0.5質量%)及び酢酸8gを90℃に加熱した。オクタメチルシクロテトラシロキサン855g(92Mol%)及びビニルトリメトキシシロキサン95g(5Mol%)からなる混合物を2時間のうちに計量供給し、3時間後撹拌した。
【0055】
シェルBのグラフト:
引き続き、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン63g(2Mol%)を計量供給し、1時間90℃で後撹拌した。23質量%の固形物含有量及び132nmの平均粒径を有する分散液を得た。
【0056】
シェルDのグラフト:
この分散液13050gを、25リットルの反応器中で窒素で不活性化しかつpH4に調節した。メチルメタクリラート90gを計量供給し、K228(モノマーに対して0.6質量%)5.2gとNaHSO3(モノマーに対して2.1質量%)18g(水中で37質量%)の添加により重合を開始させた。1時間の間に、更なるメチルメタクリラート700g及びグリシジルメタクリラート90gからなる混合物を計量供給し、引き続き65℃に加熱し、3時間の間に完全に重合させた。グラフトコポリマー中でポリメチルメタクリラート23質量%を有し、かつ固体含有量26質量%、平均粒径141nm、かつ多分散性指数σ2=0.03を有するラテックスが生じた。
【0057】
例4−8
噴霧乾燥によるコア−シェル材料の単離:
例1−3中で製造された分散液を水性分散液から吹き付けた。この際、Nubilosa社(高さ12m、直径2.2m)の噴霧乾燥塔中で、33barの圧力でこの分散液を一流体ノズルから噴霧した。この入口温度は145℃、この出口温度75℃であり、その際この分散液を55℃に予備加熱してある。流量は、1時間あたり分散液65lであり、かつ、乾燥空気量は2000m3/hであった。全ての3つの分散液から粉末形状生成物を得た。
【0058】
【表1】

*本発明によらない。
【0059】
適用技術的試験:
例7−18(改質したエポキシド樹脂の製造)
例4−6で獲得した粉末を、ローター−ステーター混合機(Ultra-Turrax)中で変化する質量比で、様々な反応樹脂中に5分間混入し、その際この温度は60〜70℃に上昇した。硬化剤(HT 907、ヘキサヒドロフタル酸無水物)及び促進剤(0.2質量%、N,N−ジメチルベンジルアミン)の添加後に、再度均質化し、脱ガスし、そしてアルミニウム型中で高められた温度(1時間80℃、3時間180℃、1時間80℃)で硬化させた。
【0060】
【表2】

*本発明によらない。
**極めてばらつく値、極めて不均質
***非常に不均質かつもろい。
【0061】
【表3】

【0062】
この例は、再分散可能な粉末を用いて、単純な工程で硬化可能な、様々なエポキシド樹脂の混合物が様々な濃度で、このように仕上げられたエポキシド樹脂の衝撃強さを改善するために製造されることができることを示す。これは、技術水準に応じた粉末を用いては達成されず、というのはこの粉末は均質に混和されないからである。
【0063】
例15:
改質された不飽和ポリエステル樹脂の製造
不飽和ポリエステル樹脂(粘度、650mPa・s/20℃)、(Palatal P4 01、DSM社)200グラムを20℃で例5からの粉末30gと、ローター−ステーター原理に応じた混合機("Ultra-Turrax")で10分間均質化した。この際、温度は約45℃に上昇し、かつ、白っぽい半透明の分散液を得た。
【0064】
不飽和ポリエステル樹脂中のコアシェル粒子のこのようにして得られる白色の、滑らかな分散液を、ペルオキシドMEKP-HA 2(Peroxid-Chemie GmbH)2ml及びCo−Oct.溶液(スチレン中1%コバルト)0.4mlの添加により24時間室温で、再度24時間80℃で硬化させた。この均質な硬化した樹脂のガラス転移温度は、92℃であり、そしてこの衝撃強さは27kJ/m2であり、改質していない樹脂の93℃のガラス転移温度及びたった10kJ/m2の衝撃強さに匹敵する。
【0065】
例16:
エポキシ−ビスフェノールA−ビニルエステル樹脂(粘度、450mPa・s/20℃)、(ALTLAC、430,DSM社)200グラムを20℃で例5からの粉末30gと、ローター−ステーター原理に応じた混合機("Ultra-Turrax")で15分間均質化した。この際、温度は約55℃に上昇し、かつ、白っぽい半透明の分散液を得た。
【0066】
ビニルエステル樹脂中のコアシェル粒子のこのようにして得られる白色の、滑らかな分散液を、ペルオキシドButanox LPT (Akzo Nobel)2ml及びCo−Oct.溶液(スチレン中1%コバルト)1.0mlの添加により24時間室温で、再度24時間80℃で硬化させた。
【0067】
この均質な硬化した樹脂のガラス転移温度は、128℃であり、そしてこの衝撃強さは82kJ/m2であり、改質していない樹脂のガラス転移温度130℃及びたった28kJ/m2の衝撃強さに匹敵する。
【0068】
本発明によるシリコーン−コア−シェル材料は、反応樹脂との傑出した混合性を示し、これは強力に改善された機械的特性を生じる。この架橋していない混合物の半透明性は、この粉末アグロメラートが再分散化によりその一次粒径において生じることを全く明らかに示す。
【0069】
本発明によらない粉末は、はるかにずっと劣悪な再分散性を一般的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)熱硬化性樹脂へと加工可能な15〜100℃の範囲内の温度で液状の、200〜500000の平均分子量及び硬化プロセスのために十分な数の適した反応基を有する反応樹脂又は反応樹脂混合物50〜99.5質量%、及び
(B)反応樹脂又は反応樹脂混合物中で直径0.001〜0.4μmを有するポリオルガノシロキサンゴム粒子として微細分割された形で均質に含有されている1種以上の三次元的に架橋した再分散したポリオルガノシロキサンゴム0.5〜50質量%を含有し、
その際、ポリオルガノシロキサンゴム粒子が、有機ケイ素ポリマーからなるコア(a)及び有機ポリマーシェル(d)及び場合により2個の内側シェル(b)及び(c)から構成されていて、その際、この内側シェル(c)が有機ポリマーであり、かつ、内側シェル(b)が有機ケイ素ポリマーであり、これが、次のものからなり、
(a)一般式(R3SiO1/2w(R2SiO2/2x・(RSiO3/2y・(SiO4/2z[式中、w=0〜20Mol%、x=80〜99.5Mol%、y=0.5〜10Mol%、z=0〜10Mol%を有する]のコアポリマー、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して20〜95質量%、
(b)式(R3SiO1/2w(R2SiO2/2x・(RSiO3/2y・(SiO4/2z[式中、w=0〜20Mol%、x=0〜99.5Mol%、y=0.5〜100Mol%、z=0〜50Mol%を有する]の単位からなるポリジアルキルシロキサンシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して0〜40質量%、
(c)モノオレフィン性又はポリオレフィン性不飽和モノマーの有機ポリマーからなるシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して0〜40質量%、及び
(d)モノオレフィン性不飽和モノマーの有機ポリマーからなるシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して5〜95質量%、を有し
その際、Rは、同じか又は異なる、1〜6個のC原子を有する1価のアルキル基又はアルケニル基、アリール基又は置換された炭化水素基を意味する、
組成物。
【請求項2】
Rが、メチル、エチル、プロピル、フェニル、ビニル、3−メタクリルオキシプロピル、1−メタクリルオキシメチル、1−アクリルオキシメチル及び3−メルカプトプロピルからなる群から選択されており、その際、この基の30Mol%未満がシロキサンポリマー中でビニル基、3−メタクリルオキシプロピル基又は3−メルカプトプロピル基であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
反応樹脂又は反応樹脂混合物として、エポキシド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はそのエステルの1種以上のホモポリマー又はコポリマー、アクリラート樹脂、フェノール樹脂からなる群からの1種以上が選択されることを特徴とする、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
反応樹脂又は反応樹脂混合物のナトリウム、マグネシウム又はカルシウム−イオンの含有量が、50ppm未満であり、並びに、塩素、スルファート−イオンの含有量が50ppmを下回ることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
反応樹脂又は反応樹脂混合物の溶媒残分に関する含有量が0.3質量%未満であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
コア(a)がコア−シェル粒子中で架橋したシリコーンコア少なくとも20質量%からなるコアを有することを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
コア−シェル粒子を含有する反応樹脂を製造するにあたり、
(A)熱硬化性樹脂へと加工可能な15〜100℃の範囲内の温度で液状の、200〜500000の平均分子量及び硬化プロセスのために十分な数の適した反応基を有する反応樹脂又は反応樹脂混合物50〜99.5質量%、及び
(B)反応樹脂又は反応樹脂混合物中に直径0.001〜0.4μmを有するポリオルガノシロキサンゴム粒子として微細分割された形で均質に含有されている1種以上の三次元的に架橋した再分散したポリオルガノシロキサンゴム0.5〜50質量%を温度0℃〜180℃で混合し、
その際、ポリオルガノシロキサンゴム粒子が、有機ケイ素ポリマーからなるコア(a)及び有機ポリマーシェル(d)及び場合により2個の内側シェル(b)及び(c)から構成されていて、その際、この内側シェル(c)が有機ポリマーであり、かつ、内側シェル(b)が有機ケイ素ポリマーであり、これが、次のものからなり、
(a)一般式(R3SiO1/2w(R2SiO2/2x・(RSiO3/2y・(SiO4/2z[式中、w=0〜20Mol%、x=80〜99.5Mol%、y=0.5〜10Mol%、z=0〜10Mol%を有する]のコアポリマー、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して20〜95質量%、
(b)式(R3SiO1/2w(R2SiO2/2x・(RSiO3/2y・(SiO4/2z[式中、w=0〜20Mol%、x=0〜99.5Mol%、y=0.5〜100Mol%、z=0〜50Mol%を有する]の単位からなるポリジアルキルシロキサンシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して0〜40質量%、
(c)モノオレフィン性又はポリオレフィン性不飽和モノマーの有機ポリマーからなるシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して0〜40質量%、及び
(d)モノオレフィン性不飽和モノマーの有機ポリマーからなるシェル、ポリオルガノシロキサンゴム粒子の全質量に対して5〜95質量%、を有し、
その際、Rは、同じか又は異なる、1〜6個のC原子を有する1価のアルキル基又はアルケニル基、アリール基又は置換された炭化水素基を意味し、(B)ポリオルガノシロキサンゴム粒子は反応樹脂中で均質に分割されることを特徴とする、コア−シェル粒子を含有する反応樹脂の製造方法。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物を含有するか又は請求項7に応じて製造されることを特徴とする、耐破断性及び耐衝撃性の、熱硬化性プラスチック固体。
【請求項9】
請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物を含有するか又は請求項7に応じて製造されることを特徴とする、絶縁物質。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物を含有するか又は請求項7に応じて製造されることを特徴とする、繊維複合材料。

【公表番号】特表2010−528165(P2010−528165A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509784(P2010−509784)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056095
【国際公開番号】WO2008/145550
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】