説明

コネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造

【課題】コネクタに無理な負荷がかからないようにして、それにより、接触不良を引き起こす心配をなくす。
【解決手段】パネル1の開口部11に配置された第1コネクタ2と、パネルに固定される補機用ブラケット5と、補機用ブラケットに装着され、補機用ブラケットをパネルに固定する際の動作に伴って第1コネクタに嵌合接続される第2コネクタ4とを備える。補機用ブラケットの一端側に、パネルの開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、補機用ブラケットを回動できるようにするフック52が設けられている。フックの曲がり部52cの内周部には、該内周部をパネルの開口部の周縁に当てて、その当てた位置を回動中心としてブラケットをパネル側に回動させたとき、回動中心から第2コネクタの軸線までの距離が回動中心から第1コネクタの軸線までの距離に等しくなるように回動中心の位置を調整する湾曲凸部52dが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造に係り、例えば、バニティーミラー用のランプを備えたサンバイザ(補機)を車体パネル(天井部インナーパネル)に取り付けるに当たり、サンバイザを支持する補機用ブラケットを、コネクタを嵌合させながら、車体パネルに固定するための補機用ブラケットの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転席または助手席のフロントウインドウ上端近傍に配置されるサンバイザには、夜間でも使用できるようにバニティーミラー用のランプを備えたものがある。このようなランプを備えたサンバイザは、インナーパネルに形成された穴部によりコネクタ同士を結合させて取り付けられる。例えば、図16に示す特許文献1に開示のブラケット結合構造では、雄コネクタ部501を有するパネル側ブラケット503と、雌コネクタ部505を有しかつサンバイザ507が支持されたバイザ側ブラケット509とをコネクタ501、505同士を嵌合すると共に、ブラケット503、509同士を組み付けてリーンフォース511にサンバイザ507を固定している。
【0003】
バイザ側ブラケット509に、雌コネクタ部505の高さよりも高い係合突起513を突設し、パネル側ブラケット503に被係合部515を設け、雄コネクタ部501と雌コネクタ部505との嵌合に先駆けて、係合突起513が被係合部515に案内されて嵌合するようにしている。リーンフォース511には、パネル側ブラケット503の取付孔517、517に対応する位置に取付孔519、519が開設され、バイザ側ブラケット509は取付孔521、521が設けられている。取付孔519、517、521に挿通するスクリュウグロメットが形成された図示しないブラケットをサンバイザブラケットの下側から装着し、スクリュウグロメットが取付孔521、521を挿通した状態でビス523をスクリュウグロメットに螺着することで、サンバイザ507がリーンフォース511に固定される。バイザ側ブラケット509は、開口部525aの形成される内装材であるトリム525を挟んで、パネル側ブラケット503とは反対側に配置されている。
【0004】
このブラケット結合構造によれば、雄コネクタ部501と雌コネクタ部505との嵌合に先駆けて、係合突起513が被係合部515に案内されて嵌合することで、両ブラケット同士が適正に位置決め(調芯)されるため、雄コネクタ部501と雌コネクタ部505とが位置ずれを起こすことなく円滑かつ確実に嵌合するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−192949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、保持のなされていないバイザ側ブラケット509を不図示のスクリュウグロメットを介して2本のビス523、523で固定することは、上向き作業であることも相俟って組付け作業が困難であった。また、係合突起513を被係合部515に案内させるための嵌合狙い作業が容易でなく、端子にどつきによる変形が生じれば信頼性が高まらない。
【0007】
そこで、本出願人は、組付けが容易で、高い組付け信頼性が得られる補機用ブラケットの固定構造を先行発明として考え出した。以下、その内容を説明する。
図17は補機用ブラケット側の構成を示す斜視図、図18〜図20は、補機用ブラケットを車体側のパネル(インナーパネル)に取り付けるまでの手順を説明するための側断面図である。
【0008】
この補機用ブラケットの固定構造は、図17に示すように、パネル601の開口部に配置された第1コネクタ(メスコネクタ)602と、補機支持部を有すると共に、パネル601の開口部を覆うように、パネル601の内側からパネル601に固定される補機用ブラケット605と、この補機用ブラケット605に装着され、該補機用ブラケット605をパネル601に固定する際の動作に伴って第1コネクタ602に嵌合接続される第2コネクタ(オスコネクタ)604と、を備えて構成される。
【0009】
第1コネクタ602には、実際にコネクタの役割をする第1コネクタ本体部621が設けられ、この第1コネクタ本体部621のハウジングの内部に第1端子(オス端子)が装着されている。第2コネクタ604には、実際にコネクタの役割をする第2コネクタ本体部641が設けられ、この第2コネクタ本体部641のハウジングの内部に第2端子(メス端子)が装着されている。第1コネクタ本体部621の接続用開口は下向きに配され、第2コネクタ本体部641の接続用開口は上向きに配されている。
【0010】
また、パネル601の車室内側には、パネル601の開口部に対応した開口部を有するトリム603が設けられており、補機用ブラケット605は、このトリム603の車室内側に配される。
【0011】
図17および図18に示すように、補機用ブラケット605の一端側には、パネル601の開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、補機用ブラケット605をパネル601に対して斜めの姿勢(図18参照)からパネル601に対して平行な姿勢(図19参照)となるまで、図18中の矢印Fのように回動できるようにする外向きL形のフック652が設けられている。このフック652の先端は、パネル601の裏側の被係止部に引っ掛けることができるように下向きに若干曲がっている。また、フック652と反対側の補機用ブラケット605の他端側には、フック652をパネル601の開口部の周縁に引っ掛けて、パネル601に平行な姿勢となるまで補機用ブラケット605を回動させた状態で、パネル601に対して補機用ブラケット605を本固定するための本固定部としての取付孔653a(図17参照)が設けられている。取付孔653aは凸部653に形成されている。図20に示すように、この取付孔653aにビス608を通して、パネル601側に設けたネジ孔部607にビス608を締め込むことにより、補機用ブラケット605をパネル601に本固定することができる。
【0012】
また、補機用ブラケット605と第2コネクタ604との間には、補機用ブラケット605がパネル601に対し斜めの姿勢からパネル601に対し平行な姿勢となるまで回動される際に、第2コネクタ604の挿入方向を第1コネクタ602の挿入方向に整合させるための挿入方向整合手段が設けられている。この挿入方向整合手段は、補機用ブラケット605に設けられた一対の枠形の係合部654と、第2コネクタ604に設けられて、前記係合部654に嵌まる一対の係合ピン642とから構成されている。そして、係合部に654に係合ピン642を係合させることにより、第2コネクタ604は補機用ブラケット605に対して、フック652に接近する方向と離間する方向にわずかに移動可能な状態で回動可能に装着される。
【0013】
また、補機用ブラケット605と第2コネクタ604との間には、補機用ブラケット605がパネル601に対し斜めの姿勢からパネル601に対し平行な姿勢となるまでの間、第2コネクタ604を補機用ブラケット605に対して、わずかに傾斜した姿勢の仮係止位置(図18に示す位置)に係止する仮係止手段と、補機用ブラケット605がパネル601に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、第2コネクタ604を本係止位置(図19に示す位置)に係止する本係止手段と、が設けられている。
【0014】
この場合、仮係止手段は、図18に示すように、第2コネクタ604側に設けられた係合突起644と、補機用ブラケット605側に設けられたロック部657の上側の係合凹部657aとで構成され、本係止手段は、図19に示すように、第2コネクタ604側に設けられた係合突起644と、補機用ブラケット605側に設けられたロック部657の下側の係合凹部657bとで構成されている。上側の係合凹部657aと係合突起644とが係合した仮係止状態から、下側の係合凹部657bと係合突起644とが係合する本係止状態への移行は、例えば、補機用ブラケット605を取付位置まで回動させることで、自動的に行うことができる。
【0015】
この第2コネクタ604が装着された補機用ブラケット605を、開口部に第1コネクタ602が配置されたパネル601に固定する場合は、次のように作業を行う。
【0016】
まず、図18に示すように、第2コネクタ604の係合ピン642を補機用ブラケット605の係合部654に係合させ、第2コネクタ604の係合突起644を補機用ブラケット605のロック部657の上側の係合凹部657aに係合させ、補機用ブラケット605に対して第2コネクタ604を仮係止位置に保持する。この状態で、フック652の先端部をパネル601の開口部からパネル601の裏側まで挿入して、フック652の曲がり部の内側をパネル601の開口部の周縁に係合させると共に、フック652の先端をパネル601の裏側に係合させる。
【0017】
次に、この状態で補機用ブラケット605を矢印Fのようにパネル601側に回動させる。図19に示すように、補機用ブラケット605をパネル601に対して平行となる位置まで回動させると、第2コネクタ604の係合突起644が補機用ブラケット605のロック部657の上側の係合凹部657aから外れて、下側の係合凹部657bに係合し、これにより、補機用ブラケット605に対して第2コネクタ604が本係止される。
【0018】
この状態で、図20に示すように、ビス608を補機用ブラケット605の取付孔653aを通して、パネル601のネジ孔部607に締め込むことで、コネクタ602、604同士を嵌合させた状態で、補機用ブラケット605をパネル601に固定することができる。
【0019】
ところで、この固定構造では、補機用ブラケット605を、パネル601に対し斜めの姿勢からパネル601に対し平行な姿勢となるまで回動させる際に、回動支点の位置がフック652の先端部にほぼ固定されてしまうため、回動の過程において、回動支点から第1コネクタ602の軸線までの距離と回動支点から第1コネクタ602の軸線までの距離との間に徐々に差(ずれ)が生じてしまい、その結果、第1コネクタ602と第2コネクタ604が嵌合する段階で、両方のコネクタ602、604の特に端子間に無理な負荷がかかり、電線が引っ張られるなどして、端子の電線圧接部に接触不良を引き起こすおそれがあった。
【0020】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、コネクタに無理な負荷がかからないようにして、それにより、接触不良を引き起こす心配のないコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造は、下記(1)、(2)を特徴としている。
(1) パネルの開口部に配置された第1コネクタと、
補機支持部を有すると共に、前記パネルの開口部を覆うように、該パネルの内側からパネルに固定される補機用ブラケットと、
前記補機用ブラケットに装着され、該補機用ブラケットを前記パネルに固定する際の動作に伴って前記第1コネクタに嵌合接続される第2コネクタと、
を備え、
前記補機用ブラケットの一端側に、前記パネルの開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、前記補機用ブラケットをパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動できるようにする外向きL形のフックが設けられ、
前記補機用ブラケットの他端側に、前記パネルに平行な姿勢となるまで前記補機用ブラケットを回動させた状態で、前記パネルに対して補機用ブラケットを本固定する本固定部が設けられ、
さらに、前記フックの曲がり部の内周部に、該内周部を前記パネルの開口部の周縁に当てて、その当てた位置を回動中心として前記ブラケットをパネル側に回動させたとき、前記回動中心から前記第2コネクタの軸線までの距離が前記回動中心から前記第1コネクタの軸線までの距離に等しくなるように、前記回動中心となるパネルの開口部の周縁に対する前記フックの当たり位置を前記ブラケットの回動過程に応じて調整する湾曲凸部が設けられていること。
(2) 上記(1)の構成において、
前記補機用ブラケットと前記第2コネクタとの間に、前記補機用ブラケットがパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動する際に、前記第2コネクタの挿入方向を、該第2コネクタの挿入方向が前記第1コネクタの挿入方向に略一直線状に一致するように整合させる挿入方向整合手段と、前記補機用ブラケットがパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまでの間、前記第2コネクタを仮係止位置に係止する仮係止手段と、前記補機用ブラケットがパネルに対し平行な姿勢となるまで回動したとき、前記第2コネクタを本係止位置に係止する本係止手段と、が設けられていること。
【0022】
上記(1)の構成の固定構造によれば、補機用ブラケットのフックをパネルの開口部の周縁に引っ掛け、補機用ブラケットをパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動させることで、第2コネクタを第1コネクタに嵌合接続させる過程において、フックの曲がり部の内周部に設けた湾曲凸部が、回動中心から第2コネクタの軸線までの距離が回動中心から第1コネクタの軸線までの距離に等しくなるように、回動中心の位置を調整するので、補機用ブラケットの回動に応じて第2コネクタの軸線が第1コネクタの軸線から外れるのを避けることができる。従って、コネクタが嵌合する際に無理な負荷がコネクタにかかるのを極力防ぐことができ、接触不良の発生を未然に回避することができる。
上記(2)の構成の固定構造によれば、第1コネクタに対する第2コネクタの嵌合をスムーズに行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、フックの曲がり部の内周部に湾曲凸部を設けておくだけで、コネクタ同士の軸線のずれを防止することができ、コネクタに無理な負荷がかからないようにすることができて、接触不良を未然に回避することができる。
【0024】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態の補機用ブラケットの固定構造の分解斜視図である。
【図2】前記補機用ブラケットに第2コネクタを装着する要領を説明するための図であって、(a)は装着前の状態を示す側面図、(b)は装着後の仮係止の状態を示す側面図である。
【図3】前記補機用ブラケットに第2コネクタを装着する要領を説明するための別の図であって、(a)は図2の(b)の状態を別の方向から見た図、(b)は(a)のIIIb−IIIb矢視部分の部分拡大断面図、(c)は(a)のIIIc矢視部の拡大図である。
【図4】補機用ブラケットのフックとパネルの開口部の周縁との位置関係を説明する図であって、(a)は補機用ブラケットのフックをパネルの開口部の周縁に引っ掛けた状態を示す側面図、(b)は補機用ブラケットをパネルと平行な姿勢となる位置まで回動させて、第1コネクタに第2コネクタを嵌合させ、同時に補機用ブラケットと第2コネクタを本係止させた状態を示す側面図である。
【図5】第2コネクタと補機用ブラケットが仮係止した状態から、仮係止が解除されて、本係止に移行するまでの流れを示す原理図であって、(a)〜(c)はその一工程を示す図である。
【図6】図4(a)、図7(b)の状態に対応した、補機用ブラケットと第2コネクタとの係止状態を図7とは別の角度から視て説明する図であって、(a)は補機用ブラケットと第2コネクタが仮係止しているときの状態を示す図、(b)は補機用ブラケットと第2コネクタが本係止しているときの状態を示す図である。
【図7】前記補機用ブラケットをパネルと平行な姿勢となる位置まで回動させて、補機用ブラケットを仮保持手段により第1コネクタ側に仮保持し、仮保持した補機用ブラケットをビスにより本固定しようとしている状態を示す側面図である。
【図8】補機用ブラケットのフックをパネルの開口部の周縁に引っ掛けた状態を示す図であって、(a)は補機用ブラケットのフックをパネルの開口部の周縁に引っ掛けた状態を示す斜視図、(b)はそのときの側面図および要部拡大図である。
【図9】図8の状態から補機用ブラケットをややパネル側に回動させた状態を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はそのときの側面図および要部拡大図である。
【図10】図9の状態からさらに補機用ブラケットをパネル側に回動させた状態を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はそのときの側面図および要部拡大図である。
【図11】図10の状態からさらに補機用ブラケットをパネル側に回動させて、補機用ブラケットがパネルと平行な姿勢となった状態を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はそのときの側面図および要部拡大図である。
【図12】本実施形態に対する比較例を示す図で、(a)、(b)は図8(a)、(b)に対応する図である。
【図13】本実施形態に対する比較例を示す図で、(a)、(b)は図9(a)、(b)に対応する図である。
【図14】本実施形態に対する比較例を示す図で、(a)、(b)は図10(a)、(b)に対応する図である。
【図15】本実施形態に対する比較例を示す図で、(a)、(b)は図11(a)、(b)に対応する図である。
【図16】従来の補機用ブラケット固定構造の分解斜視図である。
【図17】本出願人が先に考え出した補機用ブラケット固定構造における補機用ブラケット側の構成を示す斜視図である。
【図18】同補機用ブラケットをパネルに固定するときの手順説明用の最初の段階を示す側断面図である。
【図19】同補機用ブラケットをパネルに対し平行な姿勢となるまで回動させた状態を示す側断面図である。
【図20】同補機用ブラケットをパネルにビス止めした状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本実施形態は、本発明を、例えば、自動車の運転席または助手席のフロントウインドウ上端に設けられるサンバイザ(補機)を車体(パネル)に対してワンタッチで簡単且つ確実に装着固定できるように構成した補機用ブラケットの固定構造に適用したものである。
【0027】
この補機用ブラケットの固定構造は、図1に示すように、パネル1およびその内側のトリム3の開口部11、31に配置された第1コネクタ(メスコネクタ)2と、補機支持部51を有すると共に、パネル1およびトリム3の開口部11、31を覆うようにパネル1の内側からパネル1に固定される補機用ブラケット5と、この補機用ブラケット5に装着され、該補機用ブラケット5をパネル1に固定する際の動作に伴って第1コネクタ2に嵌合接続される第2コネクタ(オスコネクタ)4と、を備えて構成される。第1コネクタ2は、コネクタハウジング20の下部に設けた固定用係止部24によって、パネル1およびトリム3の開口部11、31に固定される。なお、パネル1には、開口部11に隣接してビス止め用の孔部12が設けられている。
【0028】
第1コネクタ2には、実際にコネクタの役割をする第1コネクタ本体部21が設けられている。この第1コネクタ本体部21は、コネクタハウジング20の該当箇所の内部に第1端子(オス端子)28(図4)を装着することで構成されている。第2コネクタ4には、実際にコネクタの役割をする第2コネクタ本体部41が設けられている。この第2コネクタ本体部41は、コネクタハウジング40の該当箇所の内部に第2端子(メス端子)48(図4)を装着することで構成されている。第1コネクタ本体部21の接続用開口は下向きに配され、第2コネクタ本体部41の接続用開口は上向きに配されている。
【0029】
補機用ブラケット5の平板状の本体部50の一端側の上部には、図4に示すように、パネル1の開口部11の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、補機用ブラケット5をパネル1に対して斜めの姿勢(図4(a)参照)からパネル1に対して平行な姿勢(図4(b)参照)となるまで、図中矢印Dのように回動できるようにする外向きL形のフック52が設けられている。
【0030】
また、フック52と反対側の補機用ブラケット5の本体部50の他端側には、フック52をパネル1の開口部11の周縁に引っ掛けて、パネル1に平行な姿勢となるまで補機用ブラケット5の本体部50を回動させた状態で、パネル1に対して補機用ブラケット5を本固定するための本固定部としての取付孔53aが設けられている。取付孔53aは、トリム3の開口部31に嵌合するように形成されたボス部53に穿設されている。図7に示すように、この取付孔53aにビス8を通して、パネル1側に設けたビス止め用の孔部12にビス8を締め込むことにより、補機用ブラケット5をパネル1に本固定することができる。
【0031】
また、図1に示すように、補機支持部51は、フック52とビス止め用のボス部53との中間に配置されている。この補機支持部51は、サンバイザを支持する固定シャフトの先端を支持する筒状の部分であり、固定シャフトが挿入される挿入孔を有している。
【0032】
また、補機用ブラケット5と第2コネクタ4との間には、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動される際に、第2コネクタ4の挿入方向を第1コネクタ2の挿入方向に整合させるための挿入方向整合手段が設けられている。この挿入方向整合手段は、補機用ブラケット5の補機支持部51の両側に位置して設けられた一対の係合孔54a付きの係合枠部54と、第2コネクタ4に設けられて、前記係合枠部54の係合孔54aに嵌まる一対の係合ピン42とから構成されている。そして、係合孔54aに係合ピン42を係合させることにより、第2コネクタ4は補機用ブラケット5に対して回動可能に装着される。
【0033】
また、補機用ブラケット5と第2コネクタ4との間には、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまでの間、第2コネクタ4を補機用ブラケット5に対して、わずかに傾斜した姿勢の仮係止位置(図4(a)に示す位置)に係止する仮係止手段と、補機用ブラケット5がパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、第2コネクタ4を本係止位置(図4(b)に示す位置)に係止する本係止手段と、が設けられている。
【0034】
この実施形態の場合、仮係止手段は、図3(b)、(c)に示すように、第2コネクタ4側に設けられた係合フック44および補機用ブラケット5側に設けられた係合凹部57の組と、第2コネクタ4側に設けられたロックアーム43の係合突部43aおよび補機用ブラケット5側に設けられた係合凸壁55の上端の組とで構成されている。
【0035】
即ち、図3(b)に示すように、第2コネクタ4側の係合フック44が補機用ブラケット5側の係合凹部57に係合することで、補機用ブラケット5が第2コネクタ4に対して下側(矢印B方向)に移動しないように係止される(図中の×印)。また、図3(c)に示すように、第2コネクタ4側のロックアーム43の係合突部43aが補機用ブラケット5側の係合凸壁55の上端に当接することで、補機用ブラケット5が第2コネクタ4に対して上側(矢印A方向)に移動しないように係止される(図中の×印)。これにより、補機用ブラケット5と第2コネクタ4は、相対的に上側にも下側にも移動しないように仮係止されることになる。
【0036】
また、本係止手段は、図5および図6に示すように、第2コネクタ4側に設けられたロックアーム43の係合突部43aと、補機用ブラケット5側に設けられた係合凸壁55の係合孔55aの組で構成されている。即ち、図5(a)〜(c)に示すように、係合突部43aが係合凸壁55の上端に当たった仮係止の状態から、係合突部43aが係合凸壁55の係止孔55aに嵌まることで、補機用ブラケット5と第2コネクタ4が、相対的に上側にも下側にも移動しない本係止の状態に保持される。
【0037】
また、第1コネクタ2には、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、前記仮係止手段による仮係止の状態を解除して本係止手段による本係止の状態に移行させるための仮係止解除部(仮係止解除手段)23が設けられている。この仮係止解除部23は、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、ロックアーム43の係止解除凸部43bに当たって、ロックアーム43を内側(係合解除方向)に撓ませる役目を果たす。
【0038】
また、補機用ブラケット5と第1コネクタ2には、図6に示すように、補機用ブラケット5をパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動させて第1コネクタ2に対し第2コネクタ4を完全に嵌合接続させた際に、その状態で補機用ブラケット5を第1コネクタ2によって仮保持する仮保持手段が設けられている。この仮保持手段は、補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26とから構成されている。これら補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26が互いに係合することで、第1コネクタ2に補機用ブラケット5が直接仮保持される。
【0039】
また、図2に示すように、フック52は、基部52aから先端52bにかけて、L字形に折れ曲がった側面視形状をなしており、その曲がり部52cの内周部には、湾曲凸部52dが設けられている。この湾曲凸部52dを設けたことにより、湾曲凸部52dの上側と下側には、パネル1の開口部11の周縁に係合する括れ52d1、52d2が形成されている。そして、補機用ブラケット5を、パネル1に対し斜めの姿勢から平行な姿勢となるまで回動させた際に、回動の過程で、図8〜図11に示すように、フック52の内周部がパネル1の開口部11の周縁に当たる位置が、上側の括れ52d1から下側の括れ52d2に移動するようになっている。その際、補機用ブラケット5の平板状の本体部50のフック52の先端52bに対応する先端部Pが、トリム3の下面に当接しながらスライドすることで、補機用ブラケット5の回動を助けることになる。
【0040】
このように設けられたフック52の内周の湾曲凸部52dは、フック52の内周部をパネル1の開口部11の周縁に当てて、その当てた位置を回動中心としてブラケット5をパネル1側に回動させたとき、回動中心から第2コネクタ4の軸線L2までの距離が回動中心から第1コネクタ2の軸線L1までの距離に等しくなるように、回動中心となるパネル1の開口部11の周縁に対するフック52の当たり位置を、ブラケット5の回動過程に応じて調整する役割を果たす。
【0041】
この第2コネクタ4が装着された補機用ブラケット5を、開口部11に第1コネクタ2が配置されたパネル1に固定する場合は、次のように作業を行う。
【0042】
まず、図2に示すように、第2コネクタ4の係合ピン42を補機用ブラケット5の係合枠部54の係合孔54aに係合させ、同時に、図3に示すように、第2コネクタ4側に設けられた係合フック44を補機用ブラケット5側に設けられた係合凹部57に係合させると共に、第2コネクタ4側に設けられたロックアーム43の係合突部43aを補機用ブラケット5側に設けられた係合凸壁55の上端に突き当てる。この状態で、第2コネクタ4が補機用ブラケット5に斜めに傾いた初期姿勢で仮保持される。
【0043】
この状態で、図4(a)に示すように、フック52の先端部を矢印Cで示すように、トリム3の開口部31およびパネル1の開口部11からパネル1の裏側まで挿入して、フック52の曲がり部52cの内側を、パネル1の開口部11の周縁に係合させる。
【0044】
次に、この状態で補機用ブラケット5を矢印Dのようにパネル1側に回動させる。図5および図6に示すように、補機用ブラケット5をパネル1に対して平行となる位置まで回動させると、第1コネクタ2の仮係止解除部23が第2コネクタ4のロックアーム43を内側に撓ませる。そして、係合突部43aが補機用ブラケット5側の係合凸壁55の上端から外れて、係止孔55aに係合し、これにより、補機用ブラケット5に対して第2コネクタ4が本係止される。
【0045】
この状態になったとき、補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26が互いに係合することで、第1コネクタ2に補機用ブラケット5が直接仮保持される。従って、この状態で図7に示すようにビス8を補機用ブラケット5の取付孔53aを通して、パネル1の孔部12に締め込むことで、コネクタ2、4同士を嵌合さた状態で、補機用ブラケット5をパネル1に固定することができる。
【0046】
このように取り付ける過程で、図8〜図11に示すように、フック52の曲がり部52cの内周部に設けた湾曲凸部52dの上側と下側の括れ52d1、52d2が、パネル1の開口部11の周縁に位置を変えながら係合するので、回動中心から第2コネクタ4の軸線L2までの距離が回動中心から第1コネクタ2の軸線L1までの距離に等しくなるように調整される。従って、補機用ブラケット5の回動に応じて第2コネクタ4の軸線L2が第1コネクタ2の軸線L1から外れなくなり、コネクタ2、4が嵌合する際に無理な負荷がコネクタ2、4にかかるのを極力防ぐことができて、接触不良の発生を未然に回避することができるようになる。
【0047】
ちなみに、フック52の曲がり部52cの内周部に湾曲凸部を設けない場合は、図12〜図15に示すように、補機用ブラケット5の回動に応じて、フック52の内周部のパネル1の開口部11の周縁に対する係合位置が大きく移動する可能性があるので、回動支点から第1コネクタ2の軸線L1までの距離と回動支点から第2コネクタ2の軸線L2までの距離に差ができてしまい、両コネクタ2、4の軸線L1、L2の間にずれδが生じてしまう。従って、コネクタ2、4の嵌合時に無理な力がかかるおそれがあると言える。
【0048】
また、本実施形態の固定構造によれば、第2コネクタ4の挿入方向を第1コネクタ2の挿入方向に整合させることができるので、コネクタ2、4同士の嵌合をスムーズに行うことができる。
【0049】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0050】
1 パネル
2 第1コネクタ
4 第2コネクタ
5 補機用ブラケット
11 開口部
42 係合ピン(挿入方向整合手段)
43a 係合突部(仮係止手段、本係止手段)
44 係合フック(仮係止手段)
51 補機支持部
52 フック
52c 曲がり部
52d 湾曲凸部
53a 取付孔(本固定部)
54a 係合孔(挿入方向整合手段)
55 係合凸壁(仮係止手段)
55a 係合孔(本係止手段)
56 係合凹所(仮保持手段)
57 係合凹部(仮係止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの開口部に配置された第1コネクタと、
補機支持部を有すると共に、前記パネルの開口部を覆うように、該パネルの内側からパネルに固定される補機用ブラケットと、
前記補機用ブラケットに装着され、該補機用ブラケットを前記パネルに固定する際の動作に伴って前記第1コネクタに嵌合接続される第2コネクタと、
を備え、
前記補機用ブラケットの一端側に、前記パネルの開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、前記補機用ブラケットをパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動できるようにする外向きL形のフックが設けられ、
前記補機用ブラケットの他端側に、前記パネルに平行な姿勢となるまで前記補機用ブラケットを回動させた状態で、前記パネルに対して補機用ブラケットを本固定する本固定部が設けられ、
さらに、前記フックの曲がり部の内周部に、該内周部を前記パネルの開口部の周縁に当てて、その当てた位置を回動中心として前記ブラケットをパネル側に回動させたとき、前記回動中心から前記第2コネクタの軸線までの距離が前記回動中心から前記第1コネクタの軸線までの距離に等しくなるように、前記回動中心となるパネルの開口部の周縁に対する前記フックの当たり位置を前記ブラケットの回動過程に応じて調整する湾曲凸部が設けられていることを特徴とするコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造。
【請求項2】
前記補機用ブラケットと前記第2コネクタとの間に、前記補機用ブラケットがパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動する際に、前記第2コネクタの挿入方向を、該第2コネクタの挿入方向が前記第1コネクタの挿入方向に略一直線状に一致するように整合させる挿入方向整合手段と、前記補機用ブラケットがパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまでの間、前記第2コネクタを仮係止位置に係止する仮係止手段と、前記補機用ブラケットがパネルに対し平行な姿勢となるまで回動したとき、前記第2コネクタを本係止位置に係止する本係止手段と、が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−106618(P2012−106618A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257043(P2010−257043)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】